特許第5965425号(P5965425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965425
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】多管式触媒反応器を充填するための方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/02 20060101AFI20160721BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20160721BHJP
   B01J 8/06 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   B01J8/02 A
   B01J35/02 301Z
   B01J8/06
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-54437(P2014-54437)
(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-200786(P2014-200786A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2014年5月16日
(31)【優先権主張番号】1352952
(32)【優先日】2013年4月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・デュポン
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル・ランベール
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・スエ
(72)【発明者】
【氏名】ダビド・ユルバニア
【審査官】 森井 隆信
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/001732(WO,A1)
【文献】 特開2000−042400(JP,A)
【文献】 特表2006−521202(JP,A)
【文献】 特表2009−509763(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/051101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00− 8/46
B01J 21/00−38/74
B01J 35/02
B65B 1/00−1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口(5)および閉端部(4)を有する複数の管状反応区画(1)を含む触媒反応器を充填するための方法であって、前記方法が、以下の段階:
a)第1の触媒の層(6)を管状反応区画(1)の閉端部(4)に配置する段階、
b)管状反応区画(1)内における第2の触媒の層(7)を第1の触媒の層(6)の上部に配置する段階
を含み、前記第1の触媒および前記第2の触媒は粒状の触媒であり、
ここで、
−段階a)が、第1のインサート(10)を管状反応区画(1)中に挿入し、次に、第1の触媒を第1のインサート(10)中に導入することを伴い、それぞれの第1のインサート(10)は、
・管状反応区画(1)中に導入されるように設計された管状体(11)、
・第1のインサート(10)を所定の位置に保持するために管状反応区画(1)の入口(5)と共に作用するように設計された頭部(12)、
・管状体(11)の管状壁により画定され、頭部(12)に対して反対側の端部が開放されている、開口部(14)
を含み、
・頭部(12)は、管状体(11)の内側と連絡している長手方向の通路(13)を備えており、通路(13)は開口部(14)と連絡し、
−段階b)が、第2のインサート(20)を管状反応区画(1)中に挿入し、次に、第2の触媒を第2のインサート(20)中に導入することを伴い、それぞれの第2のインサート(20)は、
・管状反応区画(1)中に導入されるように設計された管状体(21)、
・第2のインサート(20)を所定の位置に保持するために管状反応区画(1)の入口(5)と共に作用するように設計された頭部(22)
・管状体(21)の管状壁により画定され、頭部(22)に対して反対側の端部が開放されている、開口部(24)
を含み、
・頭部(22)は、管状体(21)の内側と連絡している長手方向の通路(23)を備えており、通路(23)は開口部(24)と連絡し、
−第1のインサート(10)の管状体(11)が、第2のインサート(20)の管状体(21)の長さ寸法(L2)より大きい長さ寸法(L1)を有し、
−第1のインサート(10)の頭部(12)が、第2のインサート(20)の頭部(22)とは視覚的にはっきりと識別され、
−第1のインサート(10)が、第2のインサート(20)が挿入される前に除去され、
前記第1の触媒の層(6)の体積が、管状体(11)の長さ寸法(L1)と開口部(14)の断面積とから決定され、
前記第2の触媒の層(7)の体積が、管状体(12)の長さ寸法(L2)と開口部(24)の断面積とから決定され、
各段階a)およびb)が、第1または第2の触媒が導入された後に、第1または第2のインサート(10、20)の除去を含み、その後に、管状反応区画(1)において、第1または第2のインサート(10、20)の再挿入が続き、第1の触媒の層(6)または第2の触媒の層(7)にぶつけ、
第1または第2のインサートの頭部が区画の入り口から同じ高さの距離で水平方向に一直線に並ぶことを確認し、一直線の並び方に異常があれば充填の修正を行う、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
次の段階:
c)管状反応区画(1)における第3の触媒の層(8)を第2の触媒の層(7)の上部に配置する段階
をさらに含み、第3の触媒は粒状の触媒であり、
ここで、
−段階c)が、第3のインサート(30)を管状反応区画(1)中に挿入し、次に、第3の触媒を第3のインサート(30)中に導入することを伴い、それぞれの第3のインサート(30)は、
・管状反応区画(1)中に導入されるように設計された管状体(31)、
・第3のインサート(30)を所定の位置に保持するために管状反応区画(1)の入口(5)と共に作用するように設計された頭部(32)、
・管状体(31)の管状壁により画定され、頭部(32)に対して反対側の端部が開放されている、開口部(34)
を含み、
・頭部(32)は、管状体(31)の内側と連絡している長手方向の通路(33)を備えており、通路(33)は開口部(34)と連絡し、
−第2のインサート(20)の管状体(21)が、第3のインサート(30)の管状体(31)の長さ寸法(L3)より大きい長さ寸法(L2)を有し、
−第3のインサート(30)の頭部(32)が、第1のインサート(10)の頭部(12)および第2のインサート(20)の頭部(22)とは視覚的にはっきりと識別され、
−第2のインサート(20)が、第3のインサート(30)が挿入される前に除去され、
前記第3の触媒の層(8)の体積が、管状体(31)の長さ寸法(L3)と開口部(34)の断面積とから決定され、
各段階a)、b)およびc)が、第1、第2または第3の触媒が導入された後に、第1、第2または第3のインサート(10、20、30)の除去を含み、その後に、管状反応区画(1)において、第1、第2または第3のインサート(10、20、30)の再挿入が続き、第1の触媒の層(6)、第2の触媒の層(7)または第3の触媒の層(8)にぶつけ、
第1、第2または第3のインサートの頭部が区画の入り口から同じ高さの距離で水平方向に一直線に並ぶことを確認し、一直線の並び方に異常があれば充填の修正を行う、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1、第2および、あてはまる場合は、第3のインサート(10、20、30)の頭部(12、22、32)が、異なる色である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1、第2および、あてはまる場合は、第3のインサート(10、20、30)の頭部(12、22、32)が、多角形の断面を有し、第1の触媒が導入されているときの第1のインサート(10)の頭部(12)同士、第2の触媒が導入されているときの第2のインサート(20)の頭部(22)同士、あてはまる場合は、第3の触媒が導入されているときの第3のインサート(30)の頭部(32)同士が接触することにより軸受表面を形成している、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
段階a)、b)および、あてはまる場合は、c)が、反応器の各管状反応区画(1)において少なくとも一部は同時に行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
反応器(40)内に隔壁を設置することによって、反応器(40)が区域(41、42、43、44)へと分割され、各段階a)、b)および、あてはまる場合は、c)が、各区域(41、42、43、44)の管状反応区画(1)の全てについて同時に実施される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多管式触媒反応器を充填するための方法およびこの方法を実施するために適するインサート一式に関する。
【背景技術】
【0002】
多管式触媒反応器は、多くの反応区画の構成要素となる数万の管を含む場合がある。触媒は時間が経てば失活状態になるために、触媒を定期的に取り替えること、すなわち、管を空にしてその管に新たな触媒を充填することが必要である。
【0003】
これは適切に完了するには数週間かかる場合がある複雑な作業であり、作業者には重大な費用となる。それ故、反応器を充填する方法については、できるだけ迅速であることが望ましい。
【0004】
その作業に関する主要な制約の1つは、それぞれの反応管中の触媒(一般に粒状の形)の量を正確に計測する必要があることである。いくつかの管の充填の間に不均一性があると、実際に反応器区画の間で圧力低下に差を生じ、それ故、効率を低下させる。それはまた、反応ガスの好ましい通過または管内の触媒のバイパスの発生を妨げる可能性をもたらす。
【0005】
文献EP0963785は、粒状の触媒を反応管中に導入する充填装置について記載している。その装置は、管の入口に取り付けられ、管中に導入される触媒の流れの流路となる。
【0006】
文献EP1654054は、反応管内側の触媒の高さに関して制御することを可能にする充填スリーブについて記載している。
【0007】
しかしながら、触媒反応器には、2層または3層の異なる触媒を含むことが多い。これらの層は、反応管中に正確な順序で、明確な層の厚さで配置される必要がある。現在、従来技術では、とりわけ充填工程をスピードアップするために反応器規模で同時にさまざまな触媒を充填することが望ましいときに、いくつかの触媒による多管式反応器の充填を良好に管理することが可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0963785号明細書
【特許文献2】欧州特許第1654054号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、従来技術におけるよりもより効果的および/またはより迅速である、反応器に複数の触媒を充填するための方法を開発する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、まず第一に、入口および閉端部を有する複数の管状反応区画を含む触媒反応器を充填するための方法であって、前記方法が、以下の段階:
a)第1の触媒の層を管状反応区画の閉端部に配置する段階、
b)第2の触媒の層を管状反応区画内の第1の触媒の層の上部に配置する段階
を含み、第1の触媒および第2の触媒は粒状の触媒であり、
ここで、
−段階a)が、第1のインサートを管状反応区画中に挿入し、次に、第1の触媒を第1のインサート中に導入することを伴い、それぞれの第1のインサートは、
・管状反応区画中に導入されるように設計された管状体、
・第1のインサートを所定の位置に保持するために管状反応区画の入口と共に作用するように設計された頭部
を含み、
・頭部は、管状体の内側と連絡している長手方向の通路を備えており、
−段階b)が、第2のインサートを管状反応区画中に挿入し、次に、第2の触媒を第2のインサート中に導入することを伴い、それぞれの第2のインサートは、
・管状反応区画中に導入されるように設計された管状体、
・第2のインサートを所定の位置に保持するために管状反応区画の入口と共に作用するように設計された頭部
を含み、
・頭部は、管状体の内側と連絡している長手方向の通路を備えており、
−第1のインサートの管状体が、第2のインサートの管状体の長さ寸法(L2)より大きい長さ寸法(L1)を有し、
−第1のインサートの頭部が、第2のインサートの頭部とは視覚的にはっきりと識別され、
−第1のインサートが、第2のインサートが挿入される前に除去される、
方法に関する。
【0011】
1つの実施形態によれば、この方法は、次の段階:
c)管状反応区画内における第3の触媒の層を第2の触媒の層の上部に配置する段階
をさらに含み、第3の触媒は粒状の触媒であり、
ここで、
−段階c)は、第3のインサートを管状反応区画中に挿入し、次に、第3の触媒を第3のインサート中に導入することを伴い、それぞれの第3のインサートは、
・管状反応区画中に導入されるように設計された管状体、
・第3のインサートを所定の位置に保持するために管状反応区画の入口と共に作用するように設計された頭部
を含み、
・頭部は、管状体の内側と連絡している長手方向の通路を備えており、
−第2のインサートの管状体は、第3のインサートの管状体の長さ寸法(L3)より大きい長さ寸法(L2)を有し、
−第3のインサートの頭部は、第1のインサートの頭部および第2のインサートの頭部とは視覚的にはっきりと識別され、
−第2のインサートは、第3のインサートが挿入される前に除去される。
【0012】
1つの実施形態によれば、第1、第2および、あてはまる場合は、第3のインサートの頭部は、異なる色である。
【0013】
1つの実施形態によれば、第1、第2および、あてはまる場合は、第3のインサートの頭部は、多角形、好ましくは六角形の断面を有し、および/または、第1の触媒が導入されているときの第1のインサートの頭部、第2の触媒が導入されているときの第2のインサートの頭部および、あてはまる場合は、第3の触媒が導入されているときの第3のインサートの頭部は、接触している。
【0014】
1つの実施形態によれば、各段階a)、b)および、あてはまる場合は、c)は、第1、第2または第3の触媒が導入された後に、第1、第2または第3のインサートの除去を含み、その後に、管状反応区画において、第1、第2または第3のインサートの再挿入が続き、第1の触媒の層、第2の触媒の層または第3の触媒の層にぶつかる。この再挿入は、管内に実際に存在する触媒のレベルを、例えば、各インサートにつくられた外側の模様を用いて点検することができることを目指している。
【0015】
1つの実施形態によれば、段階a)、b)および、あてはまる場合は、c)は、反応器のさまざまな管状反応区画において少なくとも一部は同時に行われる。
【0016】
1つの実施形態によれば、反応器は、区域に分割され、各段階a)、b)および、あてはまる場合は、c)が、各区域の管状反応区画の全てについて同時に実施される。
【0017】
本発明のもう1つの主題は、複数の管状反応区画を含む触媒反応器を充填するためのインサート一式であって、前記インサート一式が、第1のインサートおよび第2のインサートを含み、ここでそれぞれの第1のインサートおよびそれぞれの第2のインサートが、
−管状反応区画中に導入されるように設計された管状体、
−インサートを所定の位置に保持するために管状反応区画の入口と共に作用するように設計された頭部
を含み、
−頭部は、管状体の内側と連絡している長手方向の通路を備えており、
第1のインサートの管状体が、第2のインサートの管状体の長さ寸法(L2)より大きい長さ寸法(L1)を有し、第1のインサートの頭部が、第2のインサートの頭部とは視覚的にはっきりと識別され、異なる色である、一式である。
【0018】
本発明によるこのインサート一式は、第3のインサートをさらに含むことができ、ここでそれぞれの第3のインサートは、
−管状反応区画中に導入されるように設計された管状体、
−インサートを所定の位置に保持するために管状反応区画の入口と共に作用するように設計された頭部
を含み、
−頭部は、管状体の内側と連絡している長手方向の通路を備えており、
第2のインサートの管状体は、第3のインサートの管状体の長さ寸法(L3)より大きい長さ寸法(L2)を有し、第3のインサートの頭部は、第1のインサートおよび第2のインサートの頭部とは視覚的にはっきりと識別され、異なる色である。
【0019】
本発明によるインサート一式は、上文に記載されている方法の実施に適している。
【0020】
本発明は、従来技術の不利な点を克服することを可能にする。より詳しくは、それは、従来技術におけるよりもより効果的および/またはより迅速である、反応器に複数の触媒を充填するための方法を提供する。
【0021】
これは、触媒の重ね合わせ層が反応区画中に配置されることを可能にする異なるタイプのインサートの使用のお陰で達成される。それらのインサートの頭部は、そのインサートのタイプによって視覚的にはっきりと識別され、充填の誤りを回避することを可能にし、従って、反応器規模で、触媒のさまざまな層の確実な同時の充填を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】充填のさまざまな段階における管状反応区画の断面図である。
図2】本発明によるインサート一式の断面図である。
図3】触媒の層の管状反応区画中への充填における連続的段階を図解している断面図である。
図4】隣接する管状反応区画中に挿入される本発明によるインサートの頭部を示している上から見た図である。
図5】反応器が、これを充填するための区域にどのように分割されるかを図解している概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、これから、以下に続く記述において、今まで以上に詳しく、限定するのではなく説明される。
【0024】
図1に関して、多管式触媒反応器は、複数の管状反応区画1を含む。空の管状反応区画1は、図形Aに描かれている。それぞれの管状反応区画1は、触媒を受け入れることが意図されており、その反応器が運転中のとき、望ましい反応または複数の反応がその中で起こる内部空間2の範囲を定める壁3を含む。この内部空間2は、一般に、好ましくは円形断面の円柱、好ましくは直円柱である嵩である。その対応する円柱の軸は、区画1の縦軸と称される。
【0025】
一般に、全ての区画1の縦軸は、好ましくは垂直線と一直線に並べられる。従って、区画1は、反応器内に、好ましくは正三角形の空間(コンパクトさを最適にするため)を画定するが、適切な場合は異なるタイプ、例えば正方形であってもよい格子型を形成する。
【0026】
この反応器は、例えば、10から1000000の区画、好ましくは10から100000の区画、とりわけ、1000から50000の区画、より特定的には、10000から30000の区画を含むことができる。
【0027】
各区画1は、閉端部4(例えば、三脚型の多孔板またはバネ)および(反応器が開いているときには)開いている末端である入口5を含む。試薬供給および生成物収集システムならびに熱交換システムは、ここでは詳述されず、それ自体公知である。
【0028】
本発明によれば、各区画1は、少なくとも2つの異なる触媒によって充填されなければならず、図解されている例においては3つの触媒で充填されている。当然のことながら、本発明のいくつかの実施形態においては、3つより多い触媒(例えば4つ)が使用される。その場合、本明細書に記載されている作業は、それに応じて同様にただ単に繰り返されることを必要とする。
【0029】
図形B、CおよびDは、充填のさまざまな段階における区画1を、すなわち、それぞれ、区画1の閉端部4に配置されている第1の触媒の層6について、また第1の触媒の層6の上部に配置されている第2の触媒の層7について、および第2の触媒の層7の上部に配置されている第3の触媒の層8についても描いている。各触媒は粒状の形をしている(ビーズ、顆粒、その他のタイプの粒状化、しかし一般に粉末ではない)。各触媒は、単一触媒または触媒の混合物であり得、混合物の場合、その混合物の組成は、1つの層と別の層で異なる。
【0030】
図1に図解されている一連の段階によって区画1を充填するために、本発明は、図2に描かれているインサートの一式またはキットを提案している。
【0031】
一式は、少なくとも1つの第1のインサート10(1個のみまたは好ましくはいくつかのそれら)および第2のインサート20(1個のみまたは好ましくはいくつかのそれら)を含む。図解されている例においては、一式は、また、第3のインサート30(1個のみまたは好ましくはいくつかのそれらとして)も含む。一般に、異なるインサートの数は、その反応器中に配置されるべき触媒の層の数に一致する。各インサート10、20、30は、区画1が、1つの触媒の層によって充填されることを可能にするように設計される。
【0032】
各インサート10、20、30は、管状体11、21、31および頭部12、22、32を含む。この管状体11、21、31は、縦軸に沿って向きを持った管状壁を含む。例えば、管状体11、21、31は、円柱形のものであり、より詳しくは、好ましくは円形である断面(すなわち縦軸に直角の断面)を有する直円柱形のものである。
【0033】
管状壁は、管状体11、21、31のすき間14、24、34を画定する。その長手方向の末端の1つのところで、管状体11、21、31は、肩を形成している頭部12、22、32に接続している。言い換えれば、頭部12、22、32は、管状体11、21、31のそれより大きい断面を有する。
【0034】
頭部12、22、32は、管状体11、21、31の縦軸と一直線に並べられており、管状体11、21、31のすき間14、24、34と連絡している長手方向の通路13、23、33を含む。このインサートは一般に開いており、すなわち、頭部12、22、32に対するすき間14、24、34の反対端および通路13、23、33の管状体11、21、31からの反対端の両方が開放端部である。
【0035】
通路13、23、33の横断内部寸法(例えば円形断面の通路の場合の直径)は、すき間14、24、34の寸法より一般に小さい。
【0036】
第1、第2および第3のインサート10、20、30は、これらの管状体11、21、31が異なる長さのものであること以外は同じ形状を一般に有する。管状体11、21、31の長さは、頭部12、22、32からの管状体11、21、31の反対端と管状体11、21、31および頭部12、22、32が交わる点との間の距離に一致する。
【0037】
第1のインサート10の長さL1は、それ自体第3のインサート30の長さL3より大きい第2のインサート20の長さL2より大きい(さらなるインサートがある場合には同様である。)。
【0038】
しかしながら、インサート10、20、30が、その他の形状の違い、例えば、管状体11、21、31の横断寸法に関して、管状体11、21、31の壁の厚さ、特に、以下で説明されるように触媒の粒子の大きさに有利に適合され得る長手方向の通路13、23、33の横断寸法、を有するように計画することも可能である。
【0039】
実例として、第1のインサート10は、1.5から2.5m、例えば、1.8から2.2mの長さL1を有することができ、第2のインサート20は、1から2m、例えば、1.2から1.8mの長さL2を有することができ、第3のインサート30は、10から60cm、例えば、15から30cmの長さL3を有することができる。
【0040】
インサート10、20、30は、任意の剛体材料、例えば、PVC等のプラスチック材料製であり得る。
【0041】
その充填方法は、これから図3を参照して説明される。
【0042】
図形Aにおいて、第1のインサート10の管状体11は、区画1中に挿入される。管状体11(とりわけその断面)の寸法は、この挿入を可能にするように選ばれる。第1のインサート10の頭部12は、第1のインサート10を所定の位置に保持し、重力の影響下で区画1内をそれが完全に貫通し、落下することを防ぐために、区画1の入口5と共に作用する。頭部12(とりわけその断面)の寸法は、それ故このために選ばれる。
【0043】
触媒9の粒子は、長手方向の通路13を通って区画1中に導入され、その後重力の下でインサート10の管状体11のすき間14を通って落下し、区画1の内部空間2中に蓄積する。
【0044】
一定長さの時間後、内部空間2中の触媒のレベルが上昇し、インサート10の管状体11の自由端部に達する。触媒は、それ故、その粒状の性質によって触媒が管状体11の壁の周囲の内部空間2の内側で浮上することができないため、インサート10のすき間14中に蓄積し始める。すき間14が触媒でいっぱいになると、長手方向の通路13は、順次いっぱいになる。図形Bは、触媒によって完全に充填されたインサート10を描いている。
【0045】
次のフェーズにおいて、インサート10は、区画1から除去される。インサート10が、除去されるとき、インサート10に入っていた触媒は、区画1の中に流れる。図形Cは、インサート10が除去された後の区画1を描いている。第1の触媒の層6の堆積は、それ故完全である。インサート中での触媒の落下を引き起こすためにインサートを振動させることが時々必要である(例えば、触媒の大きさまたは形状によって)。インサートは、次に、それが徐々に除去されるときに管の端が軽くたたかれてもよい。
【0046】
層6中に導入される第1の触媒の量は、特別な計測または計量なしで調節される。層6の体積、それ故、存在する触媒の量が正確に調節されることを可能にするのは、第1のインサート10の寸法(特に長さL1およびすき間14の断面)の選択である。
【0047】
図形Dに図解されている次のフェーズにおいて、第1のインサート10は、区画1中に、管状体11の自由端部が第1の触媒の層6にぶつかるまで再導入される。このフェーズは、区画1の充填を点検するフェーズであり、なぜなら、このようにして区画1中に導入された全ての第1のインサート10は、区画1の入口5から同じH1の距離で垂直に一直線に並ぶ必要があるためである(深さ計測)。この点検は、例えば、各インサートについて高さH1を点検することを可能にする各インサート(11、21、31)につくられた外側の模様によって行うことができる。一直線の並び方に異常が少しでもあれば不適当な充填を示し、これは、その後修正される必要があり得る。
【0048】
次に、図形A、B、CおよびDに描かれている段階は、第2の触媒の層7、あてはまる場合は、第3の触媒の層8および、あてはまる場合は、さらなる触媒の層を配置するために同様に繰り返すことができ、第1のインサート10は、第2のインサート20によって、次に第3のインサート30によってなどと、取り替えられる。このようにして、図形Eは、第2の触媒を導入するために、第1の触媒の層6の上部に位置付けられている第2のインサート20を示している。連続するインサートの異なる長さL1、L2、L3は、それ故、1つのインサートから次に切り換えるときの区画1中の触媒のレベルの上昇と関係している。
【0049】
各触媒は、好ましくは触媒をインサート10、20、30の頭部12、22、32の上で傾けることによってインサート10、20、30中に導入される。インサート10、20、30の頭部12、22、32は、インサート10、20、30が反応区画1の中に位置付けられているとき、接触していること、すなわち、2つの隣接する頭部12、22、32の間の空いた空間は、触媒の粒子がインサート10、20、30の間に落下することを防ぐように、触媒の粒子の大きさより小さいことが有利である。
【0050】
それ故、インサート10、20、30の頭部12、22、32は、反応器中の区画1によって形成される配列のタイプに適する多角形(断面で)を有することが好ましい。例えば、区画1が、これらが通常有する正三角形の間隔を有するとき、頭部12、22、32は、図4に図解されているように断面において六角形を有する。
【0051】
長手方向の通路13、23、33の横断寸法(すなわち、円形断面の場合の直径)は、触媒の塊の形成によって引き起こされるバイパス現象につながり得る長手方向の通路13、23、33中の触媒の過剰な流速を防ぐように、触媒粒子の大きさに応じて好ましくは選択される。例えば、長手方向の通路13、23、33の横断寸法は、触媒粒子の最大寸法の1.2から2倍であるように選ばれる。
【0052】
インサート10、20、30の頭部12、22、32は、接触しているとき、区画1の上に軸受表面を形成する。それ故、この表面はインサートの頭部の存在によって平らな状態にされ、一方で管板は、それ自体触媒を管板上に直接広げることを困難にする多数の凹凸を有する。それ故、粒状の触媒は、各区画1に対する個々の計測を必要とせずに、この軸受表面全体の上に直接広げることができる。このようにして広げられた触媒は、次に、さまざまな長手方向の通路13、23、33中に、例えば、小ブラシまたは吹込み装置を用いて追い込まれる。軸受表面上の吸気システムが、周囲の環境中の有毒粉塵の存在を防ぐために提供され得る。
【0053】
充填作業の迅速性を増すために、反応器を区域に分割することが有益であり得る。例えば、図5に関して、円形断面の反応器40は、4分の1ずつ41、42、43、44に分割することができる。その区域(これは2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上がある。)への分割は、分割器具、例えば、取り外し可能な隔壁を区画1の上に配置することによって実施され得る。
【0054】
このようにして、充填方法のいくつかの異なる段階がさまざまな区域において並行して行われるので充填をスピードアップすることができる。
【0055】
例として、所与の時点で、
−第1の区域41中に第1の触媒を導入すること(図3の図形Aに図解されている方法を用いて)、
−第2の区域42に配置されている第1の触媒の層6の均一性を点検すること(図3の図形Dに図解されている方法を用いて第1のインサート10を再導入することによって)、
−第3の区域43中に、既に堆積されている第1の触媒の層6の上部に、第2の触媒を導入すること(図3の図形Aに図解されている方法と同様にして)、
−第4の区域44中に堆積された第2の触媒の層7の均一性を点検すること(図3の図形Dに図解されているのと同様にして第2のインサート20を再導入することによって)
が可能である。
【0056】
本発明は、インサート10、20、30の頭部12、22、32がインサートのタイプによって視覚的にはっきりと識別されることを計画している。例えば、3つのタイプのインサートが使用される場合、第1のインサート10の頭部12は、第2のインサート20の頭部22とは視覚的にはっきりと識別され、第3のインサート30の頭部32は、第2のインサート20の頭部22とは視覚的にはっきりと識別され、第1のインサート10の頭部12は、第3のインサート30の頭部32とは視覚的にはっきりと識別される。
【0057】
なるべくなら、「視覚的にはっきりと識別される」とは、異なる単色の頭部を意味する。しかしながら、異なるパターンを持っているか、はっきりと識別されるアクセサリー(異なる色のステッカー、異なるフラグなど)が与えられている頭部を想像することも可能である。
【0058】
それは、充填中に起こる誤り(とりわけ、誤ったカテゴリーのインサートの使用)を、避けるまたは、最低限でも即座に、視覚的におよび非常に簡単な様式で確認することを可能にする。
【0059】
本発明の方法の利点は、次に続く多管式反応器を充填する従来の方法と比較される実施例においてこれから明らかにされる。
【実施例】
【0060】
15000の管からなる同じ工業用反応器が、本発明の方法を用いておよび振動機械を使用したこと以外は本発明に記載されているインサート一式を採用しない従来の方法を用いて充填された。
【0061】
触媒(これは2つあった。)および充填の高さは、上記2つの方法について全く同じである。
【0062】
反応器が完全に充填された後、その充填の質が、各管の全域での圧力低下を測定することによって点検された。管の全域で測定された圧力低下が反応器の管の圧力低下の平均から8%より多く異なるとき、この管は、作業のやり直しをされる、すなわち、空にされた後、同じ充填が達成されるまで再び充填される。
【0063】
このようにして、本発明による充填方法についての作業のやり直しがなされた管の数は3つであった。一方、従来の充填方法について作業のやり直しがなされた管の数は274個の管であった。
【0064】
本発明による充填方法は、また、工業的利用に対して相当なものである充填時間の30%の短縮も可能にした。
【符号の説明】
【0065】
1 管状反応区画
2 内部空間
3 壁
4 閉端部
5 入口
6 第1の触媒の層
7 第2の触媒の層
8 第3の触媒の層
9 触媒
10 第1のインサート
11 管状体
12 頭部
13 長手方向の通路
14 すき間
L1 長さ寸法
20 第2のインサート
21 管状体
22 頭部
23 長手方向の通路
24 すき間
L2 長さ寸法
30 第3のインサート
31 管状体
32 頭部
33 長手方向の通路
34 すき間
L3 長さ寸法
H1 高さ
40 円形断面の反応器
41 区域
42 区域
43 区域
44 区域
図1
図2
図3
図4
図5