特許第5965449号(P5965449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965449
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】車両用ワイパ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/46 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   B60S1/46 E
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-199850(P2014-199850)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-68753(P2016-68753A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2015年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】神長 和宏
(72)【発明者】
【氏名】岩田 覚
【審査官】 八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−006971(JP,A)
【文献】 特開2015−137007(JP,A)
【文献】 特開平5−185908(JP,A)
【文献】 特開2014−201190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S1/00−1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ウインドウガラスの中央上部領域を稼働範囲に含む第1のブレードと、該第1のブレードの稼働範囲の下方領域を稼働範囲とする第2のブレードと、洗浄液を噴射部に供給して前記ウインドウガラス上に噴射させる洗浄液供給部と、前記各ブレードを前記各稼働範囲にてウンドウガラス上で往復移動させるブレード駆動部と、前記洗浄液供給部及び前記ブレード駆動部の動作を制御する制御部と、を有する車両用ワイパ装置において、
前記制御部は、
前記洗浄液を噴射すると共に前記第1のブレード及び前記第2のブレードが往復移動する一連の通常動作の終了後、前記洗浄液供給部からの洗浄液の供給を停止した状態で前記第1のブレード又は前記第2のブレードの何れか一方又は時間をずらして双方が往復移動を行う追加の移動動作を行うように前記洗浄液供給部及び前記ブレード駆動部を制御し、
前記第1のブレードの追加の移動動作を行わせる場合に、該移動動作を前記通常動作における移動範囲よりも大きく取るように前記制御を行うことを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項2】
車両ウインドウガラスの中央上部領域を稼働範囲に含む第1のブレードと、該第1のブレードの稼働範囲の下方領域を稼働範囲とする第2のブレードと、洗浄液を噴射部に供給して前記ウインドウガラス上に噴射させる洗浄液供給部と、前記各ブレードを前記各稼働範囲にてウンドウガラス上で往復移動させるブレード駆動部と、前記洗浄液供給部及び前記ブレード駆動部の動作を制御する制御部と、を有する車両用ワイパ装置において、
前記制御部は、
前記洗浄液を噴射すると共に前記第1のブレード及び前記第2のブレードが往復移動する一連の通常動作の終了後、前記第1のブレード又は前記第2のブレードの何れか一方又は時間をずらして双方が往復移動を行う追加の移動動作を、前記洗浄液供給部からの洗浄液の供給を該追加の移動動作の復動作のみ停止した状態で行うように前記洗浄液供給部及び前記ブレード駆動部を制御し、
前記第1のブレードの追加の移動動作を行わせる場合に、該移動動作を前記通常動作における移動範囲よりも大きく取るように前記制御を行うことを特徴とする車両用ワイパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ワイパ装置、特に、洗浄液の噴射機能を有するブレードを備えた車両用ワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ワイパ装置は、車両のウインドウガラス表面の雨水や汚れを払拭清掃するための装置として利用されており、回動動作するアームの移動端側にブレードを設け、これをウインドウガラス表面上で往復移動させて上記ウインドウガラスの払拭清掃を行っている。
【0003】
また、払拭清掃をより効果的なものとするために、ウインドウガラス表面に洗浄液を噴射供給する機構も設けられている。近年では、洗浄液をウインドウガラスのより適切な位置や領域に噴射させるためにブレード自体から洗浄液の噴射を行う構成も用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、洗浄液をガラス面に向かって吹き付ける構造を有するワイパブレードが開示されている。この技術によれば、ブレード本体に相当するブレードラバーに通常設けられるパッキング部材自体に洗浄液の供給通路を形成している。これにより、別途チューブや吹き付け用のノズルを設ける必要がなく、構造の簡略化、製造の容易化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−97017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の背景技術のように、ブレード自体から洗浄液の噴射を行う機能を有する場合、ウインドウガラスに対して広範囲で適切な位置にかつ比較的均等に洗浄液の噴射を行うことが可能となる。しかし、一方でブレードは通常その進行方向前方に常に相当量の洗浄液が存在する状況で略円運動で移動することから、洗浄液はその移動に伴う遠心力の作用によってブレードの移動領域の半径方向の外側方向に飛び出す傾向にある。
【0007】
この様な状況は、特に、ウインドウガラスの中央上部領域の下方の領域をその移動領域として含むブレード(第2のブレード)においては、その移動動作中に洗浄液をウインドウガラスの中央上部領域に押し出してしまうこととなる。そして、ウインドウガラスの中央上部領域に押し出された洗浄液は、もはや当該第2のブレードでは払拭できない。
【0008】
したがって、ウインドウガラスの中央上部領域をその移動領域として含むブレード(第1のブレード)が次に払拭動作を行うまで残存することとなる。この様にウインドウガラスの中央上部領域に洗浄液が残存する状況は、後に下方に垂れてウインドウガラス主要領域に残存することもあり、前方の視界を良好に確保する上で好ましい状況ではない。
【0009】
また、特に近年実用されている前方の状況を撮像し、このデータに基づいた種々の運転の補助を行う車両においては、上記ウインドウガラスの中央上部領域にカメラなどの撮像装置が設置されることから、上記洗浄液の残存状態は撮像装置の機能に悪影響を与えることとなる。
【0010】
図5は、ウインドウガラス100の中央上部領域にカメラ等の撮像装置が設置される車両における問題点を説明する図である。撮像装置16-1、16-2の画角を含む領域であるウインドウガラス100上の特定領域18内に、往復運動する第2のブレード14から半径方向(矢印220で示す)に飛び散った洗浄液26が入ってくる様子を示している。このように、特定領域18に洗浄液26が残存する状況では、撮像装置16-1、16-2の機能に悪影響を及ぼす。
【0011】
したがって、それ自体で洗浄液を噴射する機能を有するブレードにおいて、可及的にウインドウガラスの中央上部領域に洗浄液が残存しないようにしたいという課題が存する。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウインドウガラスの主要領域及び中央上部領域に洗浄液が残存することを有効に防止することのできる洗浄液の噴射部を有するブレードを用いた車両用ワイパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的の達成にため請求項1に係る車両用ワイパ装置は、
車両ウインドウガラスの中央上部領域を稼働範囲に含む第1のブレードと、該第1のブレードの稼働範囲の下方領域を稼働範囲とする第2のブレードと、洗浄液を噴射部に供給して前記ウインドウガラス上に噴射させる洗浄液供給部と、前記各ブレードを前記各稼働範囲にてウンドウガラス上で往復移動させるブレード駆動部と、前記洗浄液供給部及び前記ブレード駆動部の動作を制御する制御部と、を有する車両用ワイパ装置において、
前記制御部は、前記洗浄液を噴射すると共に前記第1のブレード及び前記第2のブレードが往復移動する一連の通常動作の終了後、前記洗浄液供給部からの洗浄液の供給を停止した状態で前記第1のブレード又は前記第2のブレードの何れか一方又は時間をずらして双方が往復移動を行う追加の移動動作を行うように前記洗浄液供給部及び前記ブレード駆動部を制御し、前記第1のブレードの追加の移動動作を行わせる場合に、該移動動作を前記通常動作における移動範囲よりも大きく取るように前記制御を行うことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、第1のブレードと第2のブレードは、洗浄液の噴射と共に往復移動する一連の通常動作の終了後、洗浄液の供給が停止された状態で、第1のブレード及び第2のブレードの追加の移動動作が行われる。したがって、追加の移動動作においては洗浄液が噴射されないことから、ブレードから半径方向に吹き飛ばされる洗浄液等はなく、第1のブレード及び第2のブレードの追加の移動動作は、専らウインドウガラス上を拭き取ることとなり、ウインドウガラスの主要領域及び中央上部領域に洗浄液等が残存することが抑制される。したがって、撮像装置の機能に悪影響及ぼすことが防止され、且つ、車両前方の視界も良好に保たれる。
【0016】
更に、追加の移動動作は第1のブレード又は第2のブレードの何れか一方で又は時間をずらして双方で行われる。第1のブレードの稼働範囲には、ウインドウガラスの中央上部領域が含まれるので、第1のブレードを追加で移動動作させることで、中央上部領域にある撮像装置の画角を含む特定領域を払拭することができる。また、第2のブレードを追加で移動動作させることで、ウインドウガラスの主要領域、特に運転手席側のウインドウガラスが払拭され、視界を良好に保つことができる。第1のブレード及び第2のブレードの双方を、時間をずらして追加移動させることで、ウインドウガラスの主要領域及び中央上部領域の両方で洗浄液等が残存することを防止することができる。したがって、状況に応じて第1のブレードのみ、第2のブレードのみ、又は時間をずらして両方を追加で往復移動させることができ、効率良くウインドウガラスを払拭することができる。
【0018】
然も、第1のブレードの追加の移動動作において、その移動範囲が通常動作における移動範囲よりも大きく取られているので、ウインドウガラスの主要領域、特に運転手側も含めて広い範囲に亘って、残存する洗浄液等を払拭することができる。
【0019】
上記目的の達成のため請求項2に係る車両用ワイパ装置は、
車両ウインドウガラスの中央上部領域を稼働範囲に含む第1のブレードと、該第1のブレードの稼働範囲の下方領域を稼働範囲とする第2のブレードと、洗浄液を噴射部に供給して前記ウインドウガラス上に噴射させる洗浄液供給部と、前記各ブレードを前記各稼働範囲にてウンドウガラス上で往復移動させるブレード駆動部と、前記洗浄液供給部及び前記ブレード駆動部の動作を制御する制御部と、を有する車両用ワイパ装置において、
前記制御部は、前記洗浄液を噴射すると共に前記第1のブレード及び前記第2のブレードが往復移動する一連の通常動作の終了後、前記第1のブレード又は前記第2のブレードの何れか一方又は時間をずらして双方が往復移動を行う追加の移動動作を、前記洗浄液供給部からの洗浄液の供給を該追加の移動動作の復動作のみ停止した状態で行うように前記洗浄液供給部及び前記ブレード駆動部を制御し、前記第1のブレードの追加の移動動作を行わせる場合に、該移動動作を前記通常動作における移動範囲よりも大きく取るように前記制御を行うことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、第1のブレード及び/又は第2のブレードの追加の移動動作において、復動作のみで洗浄液の停止が行われる。したがって、ブレードの追加の移動の際に、往動作では洗浄液の噴射が行われ、往動作では洗浄液の噴射が行われない。したがって、払拭が復動作だけで十分な場合に対応することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の車両用ワイパ装置によれば、洗浄液の噴射と共に第1のブレード及び第2のブレードが往復移動する一連の通常動作の終了後、洗浄液供給部からの洗浄液の供給が停止された状態で、追加の移動動作を行うように構成したので、ウインドウガラスの主要領域及び中央上部領域に洗浄液等が残存することが抑制される。したがって、中央上部領域の撮像装置の画角を含む特定領域には、洗浄液等の残存が抑制されるので撮像装置の機能に悪影響を与えることがなく、運手者側のウインドウガラスが払拭されるので車両前方の視界を良好に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の車両用ワイパ装置の概略構成図である。
図2図1の車両用ワイパ装置において、第1のブレード及び第2のブレードが洗浄液の噴射を止めた状態で追加の移動動作を行っている状態を示す説明図である。
図3図1の車両用ワイパ装置において、第1のブレードが追加の移動動作を行っている状態を示す説明図である。
図4図1の車両用ワイパ装置において、第2のブレードが追加の移動動作を行っている様子を示す説明図である。
図5】ウインドウガラスの中央上部領域にカメラ等の撮像装置が設置された車両における問題点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の車両用ワイパ装置の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の車両用ワイパ装置10の概略構成図であり、右ハンドル車両のフロントのウインドウガラス100を外方から視た図である。図示の様に、ウインドウガラス100上には、図上右側の助手席側に第1のブレード12が、左側の運転席側に第2のブレード14が設けられている。なお、左ハンドル車の場合には左右反転した構成となるが、以下説明を省略する。
【0025】
各ブレード12、14は、図示していない回動アームの先端に取り付けられており、回動アームの動作によって、所定範囲を往復回動する。第1のブレード12の動作エリアE1はウインドウガラス100の中央上部領域を含むエリアであり、第2のブレード14の動作エリアE2はウインドウガラス100の中央上部領域の下方の領域を含むエリアとなっており、一部において重複している。
【0026】
また、ウインドウガラス100の内側には、前方の状況を確認するための撮像装置としての1対のカメラ16−1、16−2が設置されており、図上2点鎖線で示した領域は、カメラ16−1、16−2の撮影範囲である画角に相当する領域である。この領域を特定領域18と定義する。このカメラ16で取得した画像情報に基づいて、前方の物体等の存在や距離の認識、判定を行い、車両の運転の補助制御が行われている。
【0027】
また、本実施の形態の車両用ワイパ装置10では、ブレード自体に洗浄液噴射部(図示せず)が形成されており、図上矢印200で示した方向に洗浄液が噴射される。この洗浄液の噴射は、制御部20によって制御される噴射ポンプ22a、22bによって各ブレード12、14に洗浄液を供給することによって行われる。洗浄液供給部は、噴射ポンプ22a、22bを含み、洗浄液タンク(図示せず)に溜められた洗浄液を各ブレード12、14の洗浄液噴射部に供給する構成全体を意味する。
【0028】
上述の各ブレード12、14を稼働させるための図示しない回動アームの回動動作は、同じく制御部20によって制御される駆動モータ24a、24bによって行われる。すなわち、各ブレード12、14は、それぞれ独立して回動動作の制御が行われ、また、洗浄液の噴射も独立して行われる。ブレード駆動部は、駆動モータ24a、24bを含み、回動アームを回動動作させる構成全体を意味する。
【0029】
例えば、駆動モータ24a、24bの出力をそれぞれ変えることでブレード12、14の動作速度の制御が可能であり、噴射ポンプ22a、22bの圧力をそれぞれ変えることで洗浄液の噴射量を調整することも可能である。
【0030】
なお、制御部24は、CPUやROM等を用いて構成され、上述の様に第1のブレード12と第2のブレード14を、それぞれ独立に又は同期して制御することが可能に構成されている。
【0031】
図2は、第1のブレード12及び第2のブレード14が洗浄液を噴射しつつ往復移動する一連の通常動作の終了後、洗浄液供給部からの洗浄液の供給を停止した状態で第1のブレード12と第2のブレード14が追加の移動動作を行っている様子を示す。但し、追加の移動動作の内の復動作の状態を示している。この追加の移動動作では第1のブレード12及び第2のブレード14には洗浄液が供給されず、洗浄液の噴射は停止されている。
【0032】
第1のブレード12の稼働範囲には、ウインドウガラスの中央上部領域が含まれる。第2のブレード14の稼働範囲には、第1のブレード12の稼働範囲の下方領域が含まれる。したがって、第1のブレード12及び第2のブレード14を洗浄液の噴射を停止した状態で、追加で移動動作させることで、ウインドウガラス100上の中央上部領域及び主要領域が払拭される。中央上部領域には、撮像装置161−、16−2の画角を含む特定領域18が含まれているので、第1のブレード12の追加の移動動作でこの特定領域18内に残存している洗浄液等が払拭され、撮像装置の機能を確保することができる。また、第2のブレード14の追加の移動動作で、ウインドウガラスの主要領域、特に運転手席側のウインドウガラスが払拭され、視界を良好に保つことができる。このようにして、第1のブレード12及び第2のブレード14がそれぞれの収納位置(下反転位置)に戻った時には、ウインドウガラス100上には洗浄席等の残存は殆どない良好な状態となっている。
【0033】
また、第1のブレード12及び第2のブレード14の追加の移動動作は、洗浄液の噴射を止めて行っているが、追加の移動動作の復動作のみで洗浄液の噴射を停止することも可能である。ウインドウガラス100の状態によっては、洗浄液の噴射を止めた状態でブレードを往復移動させる必要はなく、復動作のみで十分な場合もある。このような場合に対応することができる。
【0034】
図3は、第1のブレード12及び第2のブレード14が洗浄液を噴射しつつ往復移動する一連の通常動作の終了後、第1のブレード12を往復移動させている様子を示す。往復移動の回数は1回とした。また、図3に示す様に、第1のブレード12の往復移動は、第1のブレード12の通常動作における移動範囲よりも大きく取っている。図3では、通常の往復移動に比べて拡大した領域を矢印Aで示している。このように移動範囲を拡大することで、ウインドウガラス100の主要領域、特に運転車側に残存する洗浄液26等をより広い範囲に亘って払拭することができ、車両前方の視界を良好に保つことができる。
【0035】
ここで、第1のブレード12の往復移動は、通常の往復移動する際の移動速度と同じとしたが、ウインドウガラス100上の洗浄液等の残存状況に応じて移動速度を変えることも好適である。また、前述のように洗浄液の噴射を追加の移動動作の復動作のみで停止するようにしても良い。
【0036】
以上のように、撮像装置の画角に相当する特定領域18を稼働範囲に含む第1のブレード12が洗浄液の噴射を停止した状態で追加移動させられるので、特定領域18及びウインドウガラス100の主要領域に残存する洗浄液等を好適に払拭することができる。
【0037】
図4は、第1のブレード12及び第2のブレード14が洗浄液を噴射しつつ往復移動する一連の通常動作の終了後、第2のブレード14を追加で往復移動させている様子を示す。往復移動の回数は1回とした。この第2のブレード14の追加の往復移動は、第1のブレード12の追加の往復移動を終えた後に行うことがより好適である。すなわち、第1のブレード12と第2のブレード14の追加の移動動作を、時間をずらして双方が行うように制御することがより好適である。この第2のブレード14の往復移動する際の移動速度は、通常の移動動作における移動速度と同じとした。但し、ウインドウガラス100上の洗浄液等の残存状況に応じて移動速度を変えることも好適である。また、第2のブレード14の追加の移動動作において、前述したように復動作時のみ洗浄液の噴射を停止しても良い。
【0038】
このように、第2のブレード14を追加で往復移動させることで、運転席側のウインドウガラス100上に残存する洗浄液等を好適に払拭することができる。したがって、車両前方の視界を良好に確保することができ、安全運転が促進されることとなる。
【0039】
本実施の形態の車両用ワイパ装置によれば、第1のブレード12と第2のブレード14が洗浄液を噴射しつつ往復移動する一連の通常動作の終了後、洗浄液供給部からの洗浄液の供給を停止した状態で、追加の移動動作を行うように構成した。追加の移動動作は、第1のブレード12及び第2のブレード14の双方、若しくは第1のブレード12又は第2のブレード14の何れか一方又は時間をずらして双方が行うようにした。これにより、撮像装置16−1、16−2の画角に相当する特定領域18及びウインドウガラス100の主要領域に洗浄液等が残存することが抑制され、撮像装置の機能を良好に保つことができ、且つ車両前方の視界も良好に確保することができる。
【0040】
なお、本発明は、上記の実施の形態に示した範囲に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、第1のブレード12の追加の移動速度は、通常の移動動作の場合の移動速度を同じとしたが、ウインドウガラス100の状況や車両の速度等に応じて変えても良い。また、第1のブレード12の往復移動は1回としたがウインドウガラス100上の状況に応じて回数を決めても良い。第2のブレード14の往復移動についても同様である。
【0041】
更に、各ブレードが洗浄液の噴射部を備えるものについて説明したが、噴射部がブレード以外の箇所に備えられている車両についても適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 車両用ワイパ装置
12 第1のブレード
14 第2のブレード
16−1、16−2 一対のカメラ(撮像装置)
18 特定領域
20 制御部
22a、22b 噴射ポンプ
24a、24b 駆動モータ
26 洗浄液
100 フロントウインドウガラス
図1
図2
図3
図4
図5