(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、ソレノイドは、コイルに流れる電流によって可動鉄心が直線運動することで磁気エネルギーを運動エネルギーに変換する装置で、電力機器、自動車、有圧システムなどの多様な分野における産業で活用されている。
【0003】
図1は従来技術によるソレノイドの断面図である。
【0004】
図1を参照すると、従来技術によるソレノイドは、外部固定鉄心10、内部固定鉄心30、可動鉄心40、及びコイル20で構成される。
【0005】
このような従来技術によるソレノイドは、コイル20に電流が印加されると、コイル20に流れる電流によって可動鉄心40と内部固定鉄心30との間に吸引力が作用して可動鉄心40が内部固定鉄心30の方向に移動するようになる。
【0006】
しかし、従来技術によるソレノイドは、可動鉄心40が移動する構造であるため、可動部の質量が比較的に大きくて反応速度、即ち、応答速度が遅いという短所があった。
【0007】
また、コイル20の周辺に可動鉄心40、内部固定鉄心30、及び外部固定鉄心10のような鉄心が位置することから、電気的な時定数(インダクタンス/抵抗)が大きいため、電圧の印加時に電流が徐々に増加する。
【0008】
このとき、ソレノイドの駆動力は電流サイズと密接に係っており、電流が徐々に増加するため、従来技術によるソレノイドの場合、速い応答特性を期待することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の問題点のうち少なくとも一部を解決するためのもので、一側面として、早い応答特性を有する高速ソレノイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的のうち少なくとも一部を達成するための本発明の一側面は、軸方向に直線移動できる可動軸と、上記可動軸と結合した可動コイル部と、上記可動コイル部に流れる電流に対して垂直方向に磁界を形成させる磁界形成部と、を含み、上記可動コイル部に電流が印加されると、上記可動コイル部は、上記磁界形成部によって形成された磁界によって移動して上記可動軸を移動させる高速ソレノイドを提供する。
【0011】
一実施例において、上記可動コイル部は、コイルと、上記コイルが巻き取られた巻取部材と、上記巻取部材を上記可動軸と固定結合させる可動支持台と、を含むことができる。
【0012】
また、一実施例において、上記磁界形成部は、上記可動コイル部の内側または外側に配置され、上記可動コイル部に流れる電流に対して垂直方向に磁界を形成させる永久磁石と、上記永久磁石と連結され、上記可動コイル部の内側及び外側のそれぞれに配置されて、上記永久磁石によって形成された磁界の磁束を上記可動コイル部に集中させる第1ヨーク及び第2ヨークと、を含むことができる。
【0013】
ここで、上記第1ヨーク及び第2ヨークは、上記永久磁石の一側及び他側とそれぞれ連結されて、磁束経路を形成する磁性体で構成されることができる。
【0014】
また、一実施例において、上記可動軸の周りを囲むように構成されて、上記可動軸の直線移動をガイドするガイド部がさらに含まれることができる。
【0015】
また、一実施例において、上記可動軸を支持し、上記可動コイル部の移動空間を構成するカバーがさらに含まれることができる。
【発明の効果】
【0016】
このような構成を有する本発明の一実施例によると、可動部の重さが著しく減少し、電気的な時定数が小さくてソレノイドの応答速度が向上するという効果を得ることができる。
【0017】
また、本発明の一実施例によると、磁界に配置される可動部の厚さを薄く構成することができるため、駆動力が増加して応答速度が向上するという効果を得ることができる。
このとき、ことが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で用いられた用語は特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定するためのものではない。また、本明細書における単数の表現は、文脈上明確に異なる意味ではない限り、複数を含む。
【0020】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例について説明する。
【0021】
まず、
図2から
図4を参照して、本発明の一実施例による高速ソレノイドについて説明する。ここで、
図2は本発明の一実施例による高速ソレノイドの断面図、
図3は高速ソレノイドの可動コイル部が可動された状態を示した断面図、
図4は巻取部材の部分断面斜視図である。
【0022】
図2及び
図4に示されているように、本発明の一実施例による高速ソレノイド100は、カバー110、可動軸120、可動コイル部、及び磁界形成部を含み、上記可動軸120の直線移動をガイドするガイド部180をさらに含むことができる。
【0023】
上記カバー110は、本発明の一実施例による高速ソレノイド100の外観一部を構成することができ、中空に後述する可動軸120が挿入される構造によって可動軸120を支持することができる。
【0024】
一実施例において、カバー110は、後述する磁界形成部と合型されて、内部に可動コイル部が移動できる移動空間を形成することができる。
【0025】
また、上記可動軸120は、
図2及び
図3に示されているように、上記カバー110及び後述する磁界形成部の中空によって支持され、軸方向に直線移動できる。
【0026】
このような可動軸120は、直線移動し、本発明の一実施例による高速ソレノイド100の可動による運動エネルギーを外部要素に伝達することができる。
【0027】
また、上記可動コイル部は、カバー110の内部空間において直線移動できるように構成され、可動軸120と結合して直線移動時に可動軸120を移動させることができる。
【0028】
一実施例において、可動コイル部は、コイル140、巻取部材145、及び可動支持台130を含んで構成されることができる。
【0029】
上記コイル140は、後述する巻取部材145に巻き取られて電流が流れることができる導線で構成される。
【0030】
また、上記巻取部材145は、コイル140が巻き取られる絶縁体で構成されることができる。
一実施例において、巻取部材145は、
図4に示されているように、積層された複数のプリプレグ145a、145bの間に間隔が形成されるように構成されることができ、コイル140は複数のプリプレグ145a間の間隔に巻き取られることができる。
【0031】
一実施例において、巻取部材145は、中心に上記可動軸120が配置される円筒形の部材で構成されることができる。
【0032】
また、一実施例において、巻取部材145は、複数のプリプレグ(prepreg)が積層されて構成されることができる。
【0033】
ここで、プリプレグは、強化繊維にマトリックス樹脂を予備含浸した成形材料で、複数個が接合されて高強度軽量成形品を構成することができる部材である。
【0034】
一実施例において、巻取部材145は、
図4に示されているように、積層された複数のプリプレグ145a、145bの間に間隔が形成されるように構成されることができ、コイル140は複数のプリプレグ145a間の間隔に巻き取られることができる。
【0035】
即ち、コイル140は、円筒形の巻取部材145の中心から外側方向に複数回にわたって巻き取られて複数層に巻き取られることができる。このとき、コイル140のそれぞれの巻取層は、複数のプリプレグ145a間に配置されることができる。
【0036】
このため、一実施例において、巻取部材145は、積層された複数のメインプリプレグ145a、及び上記メインプリプレグ145aとメインプリプレグ145aとの間に積層される補助プリプレグ145bで構成されることができる。
【0037】
ここで、補助プリプレグ145bは、
図4に示されているように、メインプリプレグ145aより長さが短く構成されることにより、メインプリプレグ145aとメインプリプレグ145aとの間にコイル140の厚さに対応する間隔を形成させることができる。
【0038】
メインプリプレグ145aがコイル140の複数の巻取層を両側面から層別に支持する構造には、巻取部材145とコイル140の結合構造を安定するとともに、可動コイル部を薄くて軽く具現することができるという長所がある。
【0039】
また、コイル140がそれぞれの巻取層別にプリプレグ145a、145bの間で堅固に嵌め込まれている構造により、コイル140と巻取部材145の挙動が一致するようになる。
【0040】
このような構成を有する巻取部材145は、一般のコイルボビン(coil bobbin)より軽く具現されることができるため、駆動部が軽量化されてソレノイドの応答速度が大きく向上することができる。
【0041】
特に、巻取部材145が複数の薄いプリプレグ145a、145bが積層されて構成された構造により、巻取部材145の全体厚さが薄く具現されることができるため、後述する第1ヨーク160と第2ヨーク170との間隔が狭くなることができる。また、第1ヨーク160と第2ヨーク170との間隔が狭くなると、コイル140に加えられる磁界が増大されてソレノイドの駆動力が増大され、その結果、ソレノイドの動作速度が向上するようになる。
【0042】
また、上記可動支持台130は、巻取部材145を可動軸120に固定結合させる部材である。一実施例において、可動支持台130は、外郭が巻取部材145の一端と連結され、中空に可動軸120が結合した形態の部材で構成されることができるが、これに限定されない。
【0043】
一方、上記磁界形成部は、可動コイル部に流れる電流に対して垂直方向に磁界を形成させることができる。
【0044】
一実施例において、磁界形成部は、永久磁石150、第1ヨーク160、及び第2ヨーク170を含んで構成されることができる。
【0045】
上記永久磁石150は、可動コイル部の内側または外側に配置され、可動コイル部に流れる電流に対して垂直方向に磁界を形成させることができる。
【0046】
一実施例において、永久磁石150は、
図2及び
図3に示されているように、可動コイル部に備えられたコイル140の内側に備えられることができる。
【0047】
また、上記第1ヨーク160及び第2ヨーク170は、永久磁石150と連結され、可動コイル部の内側及び外側のそれぞれに配置されて、永久磁石150によって形成された磁界の磁束を可動コイル部に集中させることができる。
【0048】
一実施例において、第1ヨーク160は、
図2及び
図3に示されているように、永久磁石150の一側と連結されてコイル140の内側に配置されることができ、一端がコイル140に向かって突出した形態で構成されることができる。
【0049】
また、第2ヨーク170は、
図2及び
図3に示されているように、永久磁石150の他側と連結されてコイル140の外側に配置されることができ、一端がコイル140に向かって突出した形態で構成されることができる。
【0050】
このような構成により、第1ヨーク160と第2ヨーク170との間にはコイル140が配置されるようになる。
【0051】
ここで、第1ヨーク160及び第2ヨーク170は、磁性体で構成されて、永久磁石150によって発生された磁束の磁路を形成することができる。
【0052】
このような構成では、永久磁石150、第1ヨーク160、及び第2ヨーク170は、コイル140に流れる電流に対して垂直方向に磁界を形成させることができる。
【0053】
即ち、
図2及び
図3に矢印で示されているように、永久磁石150、第1ヨーク160、及び第2ヨーク170は、コイル140の内側から外側方向にコイル140に対する磁力を作用させることができる。
【0054】
このとき、第1ヨーク160及び第2ヨーク170がコイル140側に突出した構造により、磁束がコイル140に集中するようになるため、コイル140には強い磁力が作用するようになる。
【0055】
このような構成では、可動コイル部のコイル140に電流が印加されると、可動コイル部は、磁界形成部によって形成された磁界によって移動して可動軸120を移動させるようになる。
【0056】
換言すると、コイル140に電流が印加されると、永久磁石150、第1ヨーク160、及び第2ヨーク170によって形成された磁界内においてコイル140に流れる電流が垂直方向に流れるようになり、コイル140は、ローレンツ力によって直線移動、即ち、
図3に示されているように、上側に移動するようになる。
【0057】
一方、図示されていないが、一実施例において、コイル140に対する電流供給が中断される場合、可動コイル部が元の位置に戻る動作はスプリングのような弾性体(図示せず)で具現されることができる。
【0058】
また、上記ガイド部180は、可動軸120の周りを軸方向に囲むように構成されることで、可動軸120の直線移動をガイドすることができる。一実施例において、ガイド部180は、中空に可動軸120が挿入され、外郭に上記永久磁石150、第1ヨーク160、及び第2ヨーク170が固定される不導体で構成されることができる。
【0059】
このような本発明の一実施例による高速ソレノイド100は、
図1に示された従来技術によるソレノイドとは異なって、可動部が軽いコイル140及び巻取部材145で構成されるため応答速度が速いという長所がある。
【0060】
また、本発明の一実施例による高速ソレノイド100は、コイル140のインダクタンスが小さいことから、電気的な時定数が小さいため、応答速度が速いという長所がある。
【0061】
以下では、
図5から
図7を参照して本発明の他の実施例について説明する。ここで、
図5から
図7のそれぞれは本発明の他の実施例を示した断面図である。
【0062】
図5に示された本発明の他の一実施例による高速ソレノイド100は、
図2及び
図3を参照して上述した本発明の一実施例による高速ソレノイド100とは異なって、永久磁石150及び第1ヨーク160がコイル140の外側に配置されることができる。
【0063】
このような本発明の他の一実施例による高速ソレノイド100は、
図5に示されているように、可動支持台130の長さが短く構成され、巻取部材145及びコイル140の直径が小さく構成されることができるため、可動部の重さがさらに減少するという長所がある。
【0064】
また、
図6に示された本発明のさらに他の一実施例による高速ソレノイド100は、
図2及び
図3を参照して上述した本発明の一実施例による高速ソレノイド100とは異なって、可動軸120が永久磁石150、第1ヨーク160、及び第2ヨーク170を貫通せずに、カバー110のみを貫通するように短く構成されることができる。
【0065】
このような本発明のさらに他の一実施例による高速ソレノイド100は、可動軸120の重さが減少するため、可動部の重さがさらに減少するという長所がある。
【0066】
また、
図7に示された本発明のさらに他の一実施例による高速ソレノイド100は、
図6に示された本発明のさらに他の一実施例による高速ソレノイド100とは異なって、永久磁石150及び第1ヨーク160がコイル140の外側に配置されることができる。
【0067】
このような本発明のさらに他の一実施例による高速ソレノイド100は、
図7に示されているように、可動支持台130の長さが短く構成され、巻取部材145及びコイル140の直径が小さく構成されることができ、可動軸120の長さも短く構成されるため、可動部の重さが著しく減少するという長所がある。
【0068】
以上、本発明の特定の実施例を図示及び説明したが、当業界において一般の知識を有する者であれば特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域を外れない範囲内において本発明を多様に修正及び変更させることができる。