特許第5965457号(P5965457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5965457MEMSデバイスのねじり懸垂のための取付けシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965457
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】MEMSデバイスのねじり懸垂のための取付けシステム
(51)【国際特許分類】
   B81B 3/00 20060101AFI20160721BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20160721BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   B81B3/00
   G01P15/08 101B
   H01L29/84 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-216108(P2014-216108)
(22)【出願日】2014年10月23日
(62)【分割の表示】特願2009-232442(P2009-232442)の分割
【原出願日】2009年10月6日
(65)【公開番号】特開2015-61737(P2015-61737A)
(43)【公開日】2015年4月2日
【審査請求日】2014年10月23日
(31)【優先権主張番号】12/249,681
(32)【優先日】2008年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・バラス
(72)【発明者】
【氏名】ギャレン・マジェンダンズ
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0189352(US,A1)
【文献】 特開平06−194378(JP,A)
【文献】 特開2008−064647(JP,A)
【文献】 米国特許第05220835(US,A)
【文献】 特表2002−524271(JP,A)
【文献】 特開2007−316443(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0140700(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 3/00
G01P 15/08
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMSデバイスのねじりおよびたわみ懸垂を提供するための取付けシステムであって、
プルーフマスと、
4つの第1の分離切欠き部分のグループおよび前記プルーフマス中に画定される一対の第2の分離切欠き部分と、
プルーフマスに結合された第1の表面および基板に結合された第2の表面を有するアンカー取付け部材であって、前記プルーフマスの中心線に対して中央に配置され、前記プルーフマスの周辺を越えて延びていないアンカー取付け部材と
一対のヒンジであって、前記4つの第1の分離切欠き部分のグループは、前記アンカー取付け部材の近傍に前記一対のヒンジが形成されるように前記プルーフマス内に形成され、前記4つの第1の分離切欠き部分のグループは前記プルーフマスに対する所望の量の剛性を達成し、および前記一対のヒンジに対する所望の量の剛性を達成するために、対称的に配置され、
前記一対の第2の分離切欠き部分は、ヒンジに近接して対称的に且つ前記基板とプルーフマスとの間のひずみ分離を達成するために前記アンカー取付け部材に隣接して位置決めされる、
取付けシステム。
【請求項2】
MEMSデバイスのねじりおよびたわみ懸垂を提供するための取付けシステムであって、
プルーフマスと、
4つの第1の分離切欠き部分のグループおよび前記プルーフマス中に画定される一対の第2の分離切欠き部分と、
基板に結合された第1の部分および前記プルーフマスに結合された第2の部分を有する一片のアンカー取付け部材であって、前記プルーフマスの周辺を越えて延びていないアンカー取付け部材と、
一対のヒンジであって、前記4つの第1の分離切欠き部分のグループは、前記プルーフマス内に配置され、前記アンカー取付け部材の近傍に前記一対のヒンジが形成されるように形成され、前記4つの第1の分離切欠き部分のグループは、前記プルーフマスに対する所望の量の剛性を達成し、および前記一対のヒンジに対する所望の量の剛性を達成するために、対称的に配置され、
前記一対の第2の分離切欠き部分は、ヒンジに近接して対称的に且つ前記基板とプルーフマスとの間のひずみ分離を達成するために前記アンカー取付け部材に隣接して位置決めされる、取付けシステム。
【請求項3】
センサ素子と、
プルーフマスと、
4つの第1の分離切欠き部分のグループおよび前記プルーフマス中に画定される一対の第2の分離切欠き部分と、
基板に結合された第1の表面および前記プルーフマスに結合された第2の表面を有するアンカー取付け部材であって、前記プルーフマスの中心線に対して中央に配置されたアンカー取付け部材であって、前記プルーフマスの周辺を越えて延びていないアンカー取付け部材と、
一対のヒンジであって、前記4つの第1の分離切欠き部分のグループは、前記プルーフマス内に配置され、前記アンカー取付け部材の近傍に前記一対のヒンジが形成されるように形成され、前記4つの第1の分離切欠き部分のグループは、前記プルーフマスに対する所望の量の剛性を達成し、および前記一対のヒンジに対する所望の量の剛性を達成するために、対称的に配置され、
前記一対の第2の分離切欠き部分は、ヒンジに近接して対称的に且つ前記基板とプルーフマスとの間のひずみ分離を達成するために前記アンカー取付け部材に隣接して位置決めされる、MEMSデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特定の物理現象(たとえば加速度)に対して高度に敏感であるように意図された超小型電気機械システム(MEMS)デバイスは、別の物理現象(たとえば温度)に対しても高度に敏感である場合がある。一例として誘導ひずみは、MEMSデバイスを備えたコンポーネント間の熱膨張率(CTE)の差によって生じる熱ひずみの形態を取ることがある。追加または別法として、ひずみは、パッケージングプロセスまたはアセンブリプロセスの間に誘導される残留応力の形態を取ることもあれば、複数のコンポーネントのうちの1つまたは複数の環境駆動型ひずみ状態変化(たとえば湿度、振動、印加される負荷、等々の変化)の形態を取ることもある。これらのひずみは、その起源に無関係に、MEMSデバイスの性能に影響を及ぼすバイアス誤差、換算係数誤差または軸整列誤差などの望ましくない誤差を誘導することがある。
【0002】
MEMSデバイスのための既存の構成の1つは、シーソースキームを使用して、プルーフマスをねじりヒンジを介して1つまたは複数の感知素子に取り付けることである。シーソースキームは、互いに有限の距離を隔てて配置された複数のアンカーポイントを利用している。図1を参照すると、MEMSデバイスのための従来の取付けシステム10は、間隔を隔てた複数の取付けアンカー14を使用して感知素子(図示せず)に結合されたプルーフマス12を備えており、取付けアンカー14の各々は、プルーフマス12の中心18から距離「d1」を隔てて配置された独自の中心16を有している。一例として、図では距離「d1」は、中心18および左下の取付けアンカー14に対する距離として示されている。プルーフマス12は、ねじりヒンジとして動作し、場合によってはたわみヒンジとして動作するネックダウン領域20を備えている。
【0003】
上記の構成の場合、ひずみは、場合によっては、以下、個々の取付けアンカー14の分離距離として参照される距離「d1」に正比例している。アセンブリ中、動作中および場合によっては他の時間に、MEMSデバイス中に誘導される熱タイプまたは他のタイプのひずみのために複数の取付けアンカー14が非対称配置になることがある。たとえば、すべてではないが取付けアンカー14のうちの1つがひずみによってわずかに変位することがある。この非対称変位は、場合によっては取付けアンカー14をプルーフマス12に取り付ける結合材料中のひずみによって生じる。また、この非対称変位によって生じるこのような非対称結合変化は、場合によってはねじりヒンジ20部分に出現し、そのために、わずかとはいえプルーフマス12の望ましくない回転変位の原因になり、かつ/または能動MEMS感知素子の誤った静的運動または動的運動の原因になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一般に、MEMSデバイスのための取付けシステムに関しており、詳細には、中央に配置された、MEMSセンサをプルーフマスに結合するように構成された単一の(たとえば1個または一片の)取付け部材に関している。本発明の目的は、MEMSデバイスの様々なコンポーネントのひずみ状態の変化、詳細にはプルーフマス、1つまたは複数の個々のアンカーポイント、およびプルーフマスと1つまたは複数のアンカー部材との間の界面として使用される結合材料のひずみ状態の変化に対する感度を最小にする方法で能動MEMS感知素子を支持することである。取付けシステムは、プルーフマス中に配置された分離切欠き部分を備えることができ、それにより、所望の量のひずみ分離、所望のシステム周波数、所望のシステム剛性または他のコンポーネント特性あるいはシステム特性を有利に達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、MEMSデバイスのねじりおよびたわみ懸垂を提供するための取付けシステムは、プルーフマスと、プルーフマス中に選択的に配置された複数の分離切欠き部分と、センサ基板に結合された第1の表面およびプルーフマスに結合された第2の表面を有するアンカー取付け部材とを備えており、アンカー取付け部材は、プルーフマスの中心線に対して中央に配置されている。
【0006】
本発明の他の態様では、MEMSデバイスのねじりおよびたわみ懸垂を提供するための取付けシステムは、プルーフマスと、プルーフマス中に選択的に配置された複数の分離切欠き部分と、センサ基板に結合された第1の部分およびプルーフマスに結合された第2の部分を有する一片のアンカー取付け部材とを備えている。
【0007】
本発明のさらに他の態様では、MEMSデバイスは、センサ素子と、プルーフマスと、プルーフマス中に選択的に配置された複数の分離切欠き部分と、センサ素子に結合された第1の表面およびプルーフマスに結合された第2の表面を有するアンカー取付け部材とを備えており、アンカー取付け部材は、プルーフマスの中心線に対して中央に配置されている。
【0008】
以下、本発明の好ましい実施形態および代替実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来技術による、プルーフマスを能動MEMS感知素子に取り付けるためのMEMSデバイスに利用される取付けシステムの平面図である。
図2】本発明の一実施形態による、プルーフマスを能動MEMS感知素子に取り付けるためのMEMSデバイスに利用される取付けシステムの平面図である。
図3図2の取付けシステムの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2および3は、例示の実施形態による単一の(たとえば1個または一片の)取付けアンカー104を使用して固定された基板(図示せず)に結合されたプルーフマス(すなわち感知素子)102を有するMEMSデバイスのための取付けシステム100を示したものである。多数の第1の分離切欠き部分106をその上に対称に配置することができ、それによりプルーフマス102に対する所望の量の剛性を達成することができ、詳細には、ねじりヒンジとたわみヒンジの両方の動作をさせることができる、取付けアンカー104から互いに逆方向に展開している一対のヒンジ108に対する所望の量の剛性を達成することができる。一実施形態では、一対の第2の分離切欠き部分110を取付けアンカー104に隣接して配置することができる。
【0011】
例示の実施形態では、単一の取付けアンカー104は、中心114を取り囲んでいる連続する周囲または周辺112を備えている。距離「d2」は、中心114から周辺112の最も遠い部分までの距離として定義されている。単一の取付けアンカー104は、正方形、長方形、円形、楕円形またはいくつかの他のタイプのプロファイルなどの様々な領域プロファイルを有することができる。したがって、たとえば周辺112が円形である場合、距離「d2」は同じ距離になる。いずれの場合においても、距離「d2」すなわち分離距離は、図1に示されている、背景技術の節で既に説明した従来の取付けと比較すると著しく短くなっている。さらに、単一の取付けアンカー104は、プルーフマス102の上に中心線に対して中央に配置されており、したがって有利にはアンカーマウント変化を明確に示すことができ、あるいはこのアンカーマウント変化をこれらのヒンジ108対の間ではるかに均一に分散させることができる。
【0012】
一例として、この取付けアンカー104の位置および構造によれば、アンカー結合部分または周辺112部分における非対称のひずみまたは位置ずれによってヒンジ108が不均一にたわむ可能性、あるいはヒンジ108の剛性が不均一になる可能性を小さくすることができる。たとえば、個々のヒンジ108の剛性が互いにもう一方のヒンジ108に対して変化するため、ヒンジ108を介して伝達される負荷の量も場合によっては同じく変化し、したがってプルーフマスの運動特性が非理想的な運動特性になる。これは、同じくこの取付けアンカー104の位置および構造に基づいて小さくすることができ、あるいは防止することができる非対称負荷経路と呼ぶことができる。
【0013】
分離切欠き部分106、110は、アンカー104部分またはその近傍におけるひずみの能力、つまりたわみ108延いてはプルーフマス102に回転またはたわみを付与する能力を制限するためにヒンジ108の近傍に対称に配置することができる。分離切欠き部分106、110は、基板とプルーフマス102の間の所望の量のひずみ分離を提供するべく、様々なパターンを使用してスケール化し、かつ、最適化することができる。分離切欠き部分106、110は、プルーフマスの厚さを完全に貫いて展開させることができ、あるいはプルーフマスの厚さの一部分のみを貫いて展開させることができる。
【0014】
一実施形態では、取付けアンカー104は、反応性イオン・エッチング・プロセスを使用して、エピタキシャルケイ素元素(たとえばプルーフマス102)中に超微小機械加工し、次に、単一の取付けアンカー104に適用される陽極接合技法を使用してガラス基板(図示せず)に取り付けることができる。ケイ素元素への電気信号は、ガラス基板上に配置されている金属化トレースを介して、単一の取付けアンカー104を通してプルーフマス102に接続されている。ガラス基板上に配置されている他の金属化トレースを介してコンデンサ板(図示せず)に追加電気信号を分配することも可能であり、これらのコンデンサ板は、ケイ素元素の下方に配置することができ、あるいはMEMSデバイスが適切に動作するように配置することができる。
【0015】
以上、本発明の一実施形態について図に示し、かつ、説明したが、上で指摘したように、本発明の精神および範囲を逸脱することなく多くの変更を加えることができる。したがって本発明の範囲は、一実施形態の開示によっては制限されない。本発明は、一実施形態の開示によってではなく、以下の特許請求の範囲の参照によってのみ決定されるものとする。
【0016】
その排他的な特性または特権が特許請求される本発明の実施形態は、特許請求の範囲に定義されている。
【符号の説明】
【0017】
10、100 取付けシステム
12、102 プルーフマス(感知素子)
14、104 取付けアンカー
16、114 取付けアンカーの中心
18 プルーフマスの中心
20 ネックダウン領域(ねじりヒンジ)
106、110 分離切欠き部分
108 ヒンジ(たわみ)
112 周囲または周辺
図1
図2
図3