特許第5965480号(P5965480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許59654802,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびフッ化水素酸を分離し回収する方法
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  • 特許5965480-2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびフッ化水素酸を分離し回収する方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965480
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびフッ化水素酸を分離し回収する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/42 20060101AFI20160721BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20160721BHJP
   C07C 17/20 20060101ALI20160721BHJP
   C01B 7/19 20060101ALI20160721BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160721BHJP
【FI】
   C07C17/42
   C07C21/18
   C07C17/20
   C01B7/19 C
   !C07B61/00 300
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-517880(P2014-517880)
(86)(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公表番号】特表2014-528912(P2014-528912A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】FR2012051327
(87)【国際公開番号】WO2013007906
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2014年2月27日
(31)【優先権主張番号】1156208
(32)【優先日】2011年7月8日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥール−ベール, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】コリエ, ベルトラン
【審査官】 中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−543787(JP,A)
【文献】 特表2011−513227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびHFを含む組成物から、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびHFを分離し、回収する方法において、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、フッ素化されていてもよいアルコール、フッ素化されていてもよいエーテル、ケトン、エステル、多価アルコール、およびフッ化水素化エーテルから選択される少なくとも1つの化合物(C1)の添加量の存在下で、前記組成物を冷却することにより、HFが豊富な上相ならびにHFO−1234yfおよび化合物C1が豊富な有機下相を得る工程を含むこと、及び冷却温度が、−5から35℃の間であることを特徴とする方法。
【請求項2】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン/HFのモル比が、0.5から2.5の間であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加えられる化合物C1の量が、HFO−1234yf/HFの混合物に対して5重量%から95重量%を表すことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
冷却工程が沈降分離によって実施される、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびHFを含む組成物が、3個の炭素原子を有し、少なくとも1個の塩素原子を含む、少なくとも1つの飽和または不飽和炭化水素化合物に対する、フッ素化触媒の存在下でのフッ化水素化反応から生じることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
3個の炭素原子を有する前記飽和または不飽和炭化水素化合物が、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
フッ化水素化工程から生じるストリームが、冷却工程の前に、HClを取り除く工程を経ることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
化合物C1が、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,2,3−テトラクロロ−1−フルオロプロパン、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、1,1,2,3−テトラクロロプロペンおよび2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンから選択されることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
化合物C1が、同一のまたは異なるRおよびR’がそれぞれ1から5個の炭素原子のアルキル基を表すアルコールROH、ケトンRCOR’、エステルRCOOR’、ならびに同一のまたは異なるRおよびR’がそれぞれ1から7個の炭素原子のアルキル基を表すエーテルROR’から選択されることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
化合物C1が、フッ化水素化工程でHFと反応した化合物と同じであることを特徴とする、請求項5ないし8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
冷却工程の後のHFが濃縮された部分が、フッ化水素化工程にリサイクルされることを特徴とする、請求項5ないし10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペンが、冷却工程の後の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンが濃縮された有機部分から分離されることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記有機部分が、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの分離の後に、冷却工程および/または反応工程にリサイクルされることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法であって、(i)1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンが、フッ素化触媒の存在下で、気相でHFと反応して、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、その中間体、HClおよび過剰なHFを含むストリームを得る少なくとも1つの反応工程と;(ii)工程(i)から出るストリームからHClを取り除く工程と;(iii)請求項1ないし4のいずれか一項に記載されるように1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの添加状態で冷却して、HFが豊富な上相、および2,3,3,3−テトラフルオロプロペンが豊富であって1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを含む有機下相を得る工程と;(iv)2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを下相から分離し、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを冷却工程(iii)および/または反応工程(i)に任意選択によりリサイクルする工程と;(v)2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを精製する工程と;(vi)HFが豊富な上相を工程(i)に任意選択によりリサイクルすることを含む方法。
【請求項15】
HClを取り除く工程の前に、HFを蒸留する工程を含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびフッ化水素酸を含む組成物を分離し、このようにして分離した2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびフッ化水素酸を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝熱流体をどのように選択するかは、一方では、該流体の熱力学的特性によって決められ、他方では、さらなる制約によって決められる。したがって、特に重要な基準は、検討中の流体の環境に対する影響力の基準である。
【0003】
大気のオゾン層を破壊する物質によって生じる問題がモントリオールで議論され、そこでの条約議定書は、クロロフルオロカーボン(CFCs)の生産と使用の削減を課す合図となった。この条約議定書は、CFCsを放棄すること求め、規制をハイドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)を含む他の生成物へと広げた修正案の主題を形成した。
【0004】
冷凍空調産業は、これらの冷媒の代替品に、綿密に投資を行った。ハイドロフルオロカーボン(HFCs)が市場に出されたのはこのためである。
【0005】
自動車産業では、多くの国で販売される車の空調システムは、クロロフルオロカーボン(CFC−12)を含む冷媒から、オゾン層への害がより少ないハイドロフルオロカーボン(1,1,1,2−テトラフルオロエタン:HFC−134a)の冷媒へと移行した。しかし、京都議定書によって設定された目標の見地からすると、HFC−134a(GWP=1430)は、高い発熱量を有しているとみなされている。冷媒の温室効果への寄与は、GWP(地球温暖化係数)という基準によって定量化されるが、これは、二酸化炭素に対して基準値1を当てることにより、その発熱量を要約している。
【0006】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)は、その低いGWPにより、自動車空調におけるHFC−134aの有力な代替候補とみなされている。
【0007】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、一般的に、塩素化またはフッ化/塩素化炭化水素化合物を、化学量論量より多いフッ化水素酸の存在下で反応させることによって調製される(WO2008/054781;WO2008/040969)。したがって、この反応の最終ストリームは、HFO−1234yfだけではなく、少なからずの量のHFも含む。
【0008】
文献WO2011/059078は、フッ化水素化反応の終わりに混合物からHFO−1234yfを回収することを提供しており、回収は前記混合物を冷却することにより、HFの濃縮された上相およびHFO−1234yfの濃縮された下相を得た後、下相の共沸蒸留を行うことによってなされる。
【0009】
この文献は、HFO−1234yfの精製だけに関している。実際は、HFの濃縮された上相部は大量のHFO−1234yfを含むことが判明している。したがって、不必要にHFO−1234yfをリサイクルせずにフッ化水素化反応で再使用するためにHFを回収することが望ましいならば、この上相部もまた処理すべきである。
【0010】
さらに、文献WO2008/008519は、実施例5で、−40℃の温度で、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンの異性体を用いて、液/液抽出によりHFO−1234yfとHFの共沸組成物を分離することを記載している。抽出のために用いられる化合物は、非常に毒性が強い。
【発明の概要】
【0011】
本出願人の会社は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびHFを含む組成物を分離し、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンだけではなくHFをも回収する方法を今や開発した。この方法は、従来技術の欠点を示さない。
【0012】
したがって、本発明の第1の主題は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびHFを含む組成物から、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびHFを分離し、回収する方法において、HFの濃縮された上相、ならびにHFO−1234yfおよび化合物C1の濃縮された下相を得るために、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、フッ素化されていてもよいアルコール、フッ素化されていてもよいエーテル、ケトン、エステル、多価アルコール、およびフッ化水素化エーテルから選択される少なくとも1つの化合物(C1)の添加量の存在下で、前記組成物を冷却する(沈降分離する)工程を含むことを特徴とする方法である。
【0013】
少なくとも1つの化合物C1の存在下で冷却するこの工程により、ごく少量のHFO−1234yfでHFがより豊富になる上相を得ることができ、この相は、全く精製工程なしに用いることができる。このようにして回収されたHFは、フッ化水素化反応の工程に直接リサイクルすることができる。
【0014】
有機下相は、化合物C1、HFO−1234yf、および場合によっては有機不純物を含む。この有機相は、化合物C1とHFO−1234yfとを分離するために蒸留工程を経ることができる。化合物C1を、HFO−1234yfの形成をもたらす冷却工程および/または反応工程にリサイクルすることができる。
【0015】
分離される組成物のHFO−1234yf/HFのモル比は、好ましくは0.5から2.5の間であり、有利には1.1から2.1の間である。
【0016】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、分離される組成物中に、好ましくはHFに対して共沸量またはほぼ共沸量で存在する。
【0017】
有利には、分離される組成物は、フッ化水素化または脱フッ化水素化工程から生じる。
【0018】
冷却工程で組成物に加えられる化合物C1は、好ましくは3個の炭素原子を含むハイドロハロカーボンである。特に1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240aa)、および1,1,1,2,2−ペンタクロロプロパン(HCC−240ab)である、ペンタクロロプロパン;特に1,1,2,3−テトラクロロ−1−フルオロプロパン(HCFC−241db)であるテトラクロロフルオロプロパン;トリクロロジフルオロプロパン;特に1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(HCFC−243db)であるジクロロトリフルオロプロパン;特に2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(HCFC−244bb)であるクロロテトラフルオロプロパン;特に1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)および1,1,1,2−テトラクロロプロペン(HCO−1230xf)であるテトラクロロプロペン;および特に2−クロロ−3,3,3,−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)であるクロロトリフルオロプロペンを特に挙げることができる。
【0019】
好ましくは、加えられる化合物は、HFと反応してHFO−1234yfを生じる化合物と同じであるかまたは加えられる化合物はHFO−1234yfがその結果製造されるフッ化水素化反応中での中間体である。
【0020】
例えば、HCC−240dbに対するフッ化水素化反応によってHFO−1234yfが調製される場合、化合物C1は好ましくはHCC−240dbまたはHCFO−1233xfである。
【0021】
同様に、HFO−1233xfに対するフッ化水素化反応によってHFO−1234yfが調製される場合、化合物C1は好ましくはHFO−1233xfである。
【0022】
HFO−1230xaに対するフッ化水素化反応によってHFO−1234yfが調製される場合、化合物C1は好ましくはHFO−1230xaまたはHCFO−1233xfである。
【0023】
化合物C1が、HFと反応してHFO−1234yfを生じる化合物と異なる場合、好ましい化合物C1は、フッ素化されていてもよいアルコール、フッ素化されていてもよいエーテル、ケトン、エステル、多価アルコール、およびフッ化水素化エーテルから選択される。
【0024】
アルコールとして、1から5個の炭素原子のアルキル基を有するものを特に挙げることができる。該アルコールはまたフッ素化されていてもよく、好ましいフッ素化アルコールは1から3個の炭素原子のアルキル基から選択される。
【0025】
同一のまたは異なるRおよびR’がそれぞれ1から5個の炭素原子のアルキル基を表す式RCOR’のケトンは、好適であり得る。
【0026】
同一のまたは異なるRおよびR’がそれぞれ1から5個の炭素原子のアルキル基を表す式RCOOR’のエステルは、好適であり得る。
【0027】
同一のまたは異なるRおよびR’がそれぞれ1から7個の炭素原子のアルキル基を表す式ROR’のエーテルは、好適であり得る。
【0028】
エーテルは、部分的にまたは完全にフッ素化され得る。エーテルが部分的にフッ素化された場合、それらのエーテルはフッ化水素化エーテルを意味する。
【0029】
フッ化水素化エーテルとして、沸点が0から250℃の間であるもの、有利には20℃から200℃の間であるもの、より有利には20℃から150℃の間のものが好ましい。
【0030】
2,2,2−トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(HFE−245mf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエチルメチルエーテル(HFE−245mc)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(HFE−245pc)、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル(HFE−356mec)または1,1,1,2,2,2−ヘキサフルオロジエチルメチルエーテル(HFE−356mff)を特に挙げることができる。
【0031】
ヘプタフルオロプロピルメチルエーテル(HFE−7000)、ノナフルオロブチルメチルエーテル/ノナフルオロイソブチルメチルエーテル(HFE−7100)、ノナフルオロブチルエチルエーテル(HFE−7200)、デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(HFE−7300)、2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデカフルオロヘキサン(HFE−7500)およびパーフルオロイソブチルエチルエーテルおよびパーフルオロブチルエチルエーテル(20〜80重量%)の混合物(HFE−8200)などのフッ化水素化エーテルが有利であり得る。
【0032】
nが1から3の間で、RおよびR’が同一かまたは異なっており、それぞれ水素原子または1から5個の炭素原子のアルキル基を表すエチレングリコールRO(CHCHO)R’などの多価アルコールは好適であり得る。
【0033】
加えられる化合物C1の量は、HFO−1234yf/HFの混合物に対して5から95重量%を表すことができ、好ましくはHFO−1234yf/HFの混合物に対して10から80重量%を表すことができる。
【0034】
分離される組成物は、好ましくは−20から40℃の間の温度に冷却され、有利には−5から35℃の間の温度に冷却される。冷却温度は、加えられる化合物C1の性質と量の双方によって決まる。したがって、少量のHCC−240dbを加える場合には、冷却工程の温度は、好ましくは0℃近くであるが、より多量に加えられたその化合物C1の存在下では、冷却工程の温度は、周囲温度(すなわち、25℃)に達し得る。
【0035】
この冷却工程が行われる圧力は、0から40バールの間であり、好ましくは0.3から25バールの間であり、有利には反応工程の圧力に近い圧力である。
【0036】
HFO−1234yfおよびHFに加えて、分離される組成物は、HCFC−243db、HCFO−1233xf、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233zd)および3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243z)などの有機不純物を含み得る。
【0037】
これらの不純物は、一般的には、反応工程から生じる副産物である。
【0038】
本発明の別の主題は、HFO−1234yfを精製する方法である。冷却工程の後、HFO−1234yfは、有機相の化合物C1から、例えば蒸留によって分離される。化合物C1は、続いて冷却工程および/または、化合物C1が反応工程の反応物または中間体である場合には、反応工程にリサイクルされることができ、その結果HFO−1234yfが形成される。
【0039】
こうして分離されたHFO−1234yfは、不純物と場合によっては微量のHFを取り除くために、続いて精製工程を経ることができる。
【0040】
こうして、HFO−1234yfが、C1を含む有機相の蒸留によって分離される場合、蒸留塔から生じる主としてHFO−1234yfを含むガス流出物は、水を含む洗浄塔、次いで水酸化ナトリウム溶液を含む洗浄塔の中で洗浄することにより、微量の酸までも取り除くことができる。酸を含まないHFO−1234yfは、続いて乾燥、圧縮、液化、最後にいくつかの蒸留塔を用いて精製することができ、前工程から生じた軽質または重質不純物を取り除くことが可能になる。
【0041】
本発明による(沈降分離される)冷却工程の利点は、一部には、HFの回収を最大にし、有機相中に存在するHFの量を最小にすることであり、このことはHFを含む流出物の量が最小になることに反映されている。それはまたHFが濃縮された相における反応工程でリサイクルされるHFO−1234yfの量を最小にする利点をも示している。さらに、この沈降分離は、周囲温度で実施することができるため、非常に低い温度まで混合物を冷却し、冷蔵ユニットを使用することを避けることが可能となり、エネルギーの点から一定の利点を示す。
【0042】
さらに、本発明の主題は、HFO−1234yfを製造する方法であって、(i)3個の炭素原子を有し、少なくとも1個の塩素原子を含む飽和または不飽和炭化水素化合物が、フッ素化触媒の存在下でHFと反応する少なくとも1つの工程と、(ii)(i)の工程中に共に生成したHClを取り除く工程と、(iii)本発明の第1の主題に従って冷却する工程と、(iv)(iii)で得られた有機相のHFO−1234yfを精製する少なくとも1つの工程とを含む方法である。
【0043】
好ましくは、3個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素化合物は、HCC−240db、HCFO−1233xfおよびHCO−1230xaから選択される。
【0044】
HFとの反応の工程は、好ましくは気相において行われる。
【0045】
本発明の好ましい実施形態によれば、HFO−1234yfを製造する方法は、(i)HCC−240dbが、フッ素化触媒の存在下で、気相でHFと反応して、HFO−1234yf、例えばHCFO−1233xfであるその中間体、HClおよび過剰なHFを含むストリームを生成する少なくとも1つの反応工程;(ii)工程(i)から出るストリームに由来するHClを取り除く工程;(iii)好ましくはHCC−240dbまたはHCFO−1233xfである追加の化合物C1の存在下で冷却して、HFが凝縮された上相およびHFO−1234yfが凝縮され化合物C1を含む下相を生成する工程;(iv)HFO−1234yfを化合物C1から分離し、任意選択により化合物C1を冷却工程(iii)または工程(i)にリサイクルする工程;(v)HFO−1234yfを精製する工程;および(vi)任意選択によりHFが豊富な上相を工程(i)にリサイクルする工程を含む。
【0046】
反応工程で用いられる多大に過剰なHFの存在下で、本発明によるHFO−1234yfの製造方法は、HClを取り除く工程の前に、反応工程にリサイクルすることができるHFの一部を回収するための蒸留する工程を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の好ましい実施形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
任意選択により予め加熱されているHCC−240db(1)およびHF(2)は、フッ素化触媒を含有し300から450℃の間の温度に保たれている反応器(101)に導入される。HCl、HF、HFO−1234yf、HCFO−1233xfおよびHFC−245cbを含む、反応器の出口のストリーム(102)を、HF(103)を蒸留する第1の塔へ送り、塔頂にHCl、HFO−1234yf、HFおよびHFC−245cbを含むストリーム(104)を生成し、塔底にHF、HCFO−1233xfおよびHFC−245cbを含むストリーム(105)を生成する。
【0049】
ストリーム(104)を第2の蒸留塔(106)に送り、頂部にHClを生成し、底部にHF、HFO−1234yfおよびHFC−245cbを含むストリーム(107)を生成する。
【0050】
ストリーム(105)は反応器(101)でリサイクルされる。
【0051】
−5から35℃の間の温度に保たれたデカンター(108)に、ストリーム(107)およびHCC−240dbを含むストリーム(110)を供給する。
【0052】
デカンターの下相(109)は、HFO−1234yfおよびHCC−240dbを含んでいるが、蒸留塔(112)へ送られ、頂部で基本的にHFO−1234yfを含むストリーム(113)、および底部で基本的にHCC−240dbを含むストリーム(110)を生成する。
【0053】
ストリーム(110)は、反応器(101)および/またはデカンター(108)でリサイクルされる。
【0054】
HFが濃縮された、デカンターの上相(111)は、反応器(101)でリサイクルされる。
【0055】
ストリーム(113)は洗浄塔(114)へ送られ、頂部で、酸を全く含まないストリーム(115)を生成する。
【0056】
ストリーム(115)は、最終的に精製工程(116)へ送られ、純粋なHFO−1234yfを生成する。
【0057】
実験部分
40モル%のHFおよび60モル%のHFO−1234yf(すなわち、89.5重量%)を含有する液体組成物を、15℃を僅かに上回る温度の気圧まで冷却する。沈降分離は全く無い。
【0058】
15℃未満の温度では、92重量%を上回るHFO−1234yfを含む有機下相が得られ、HFを71重量%のみ含む上相が得られる。
【0059】
−30℃では、上相はHFを78重量%のみおよび22重量%のHFO−1234yfを含有し、HFO−1234yfの量は多いままである。有機下相は、98.5重量%のHFO−1234yfおよび1.5重量%のHFを含有する。したがって、沈降分離の効率は、低い温度でも並程度である。
【実施例1】
【0060】
32.6重量%のHFO−1234yf、3.9重量%のHF(HFO−1234yf/HFモル比=1.48)、および63.5重量%のHCC−240dbを含有する液体組成物を冷却する。
【0061】
20℃の冷却温度で、0.2重量%のHFを含む有機下相を得て、88重量%のHFおよび10重量%のHFO−1234yfを含む上相を得る。
【0062】
0℃の冷却温度で、0.1重量%のHFを含む有機下相を得て、89重量%のHFおよび9重量%のHFO−1234yfを含む上相を得る。
【実施例2】
【0063】
36.5重量%のHFO−1234yf、4.3重量%のHF(HFO−1234yf/HFモル比=1.5)、および59.2重量%のHCC−1230xaを含有する液体組成物を冷却する。
【0064】
20℃の冷却温度で、0.2重量%のHFを含む有機下相を得て、86重量%のHFおよび11重量%のHFO−1234yfを含む上相を得る。
【0065】
0℃の冷却温度で、0.15重量%のHFを含む有機下相を得て、87重量%のHFおよび11重量%のHFO−1234yfを含む上相を得る。
【実施例3】
【0066】
38.1重量%のHFO−1234yf、4.5重量%のHF、および57.4重量%のHCFC−243dbを含有する液体組成物を冷却する。
【0067】
20℃の冷却温度で、0.1重量%のHFを含む有機下相を得て、85重量%のHFおよび9重量%のHFO−1234yfを含む上相を得る。
【0068】
−20℃の冷却温度で、0.1重量%未満のHFを含む有機下相を得て、88重量%のHFおよび9重量%のHFO−1234yfを含む上相を得る。
【実施例4】
【0069】
43.6重量%のHFO−1234yf、5.2重量%のHF、および51.2重量%のHCFC−1233xfを含有する液体組成物を冷却する。
【0070】
0℃の冷却温度で、2重量%のHFを含む有機下相を得て、77重量%のHFおよび11重量%のHFO−1234yfを含む上相を得る。
【実施例5】
【0071】
40.4重量%のHFO−1234yf、4.8重量%のHF、および54.8重量%のHCFC−244bbを含有する液体組成物を冷却する。
【0072】
20℃の冷却温度で、1.5重量%のHFを含む有機下相を得て、82重量%のHFおよび10重量%のHFO−1234yfを含む上相を得る。
【0073】
0℃の冷却温度で、1重量%のHFを含む有機下相を得て、84重量%のHFおよび9重量%のHFO−1234yfを含む上相を得る。
図1