(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965483
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ホバリング航空機のロータ後流により航空機自体に発生される空力的負荷の効果についてのリアルタイムシミュレーションシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G09B 9/46 20060101AFI20160721BHJP
G09B 9/20 20060101ALI20160721BHJP
G09B 9/30 20060101ALI20160721BHJP
B64C 27/04 20060101ALN20160721BHJP
【FI】
G09B9/46
G09B9/20
G09B9/30
!B64C27/04
【請求項の数】23
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-520768(P2014-520768)
(86)(22)【出願日】2012年7月18日
(65)【公表番号】特表2014-523005(P2014-523005A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】IB2012053666
(87)【国際公開番号】WO2013011470
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】TO2011U000071
(32)【優先日】2011年7月18日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】591069248
【氏名又は名称】アグスタウェストランド ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビアンコ メンゴッティ,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】スコッチェラッティ,フランチェスコ
【審査官】
鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第2202710(EP,A1)
【文献】
米国特許第5860807(US,A)
【文献】
特開平5−11685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 9/46
G09B 9/20
G09B 9/30
B64C 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホバリング航空機(3)のロータ(2)の後流により前記航空機(3)自体に発生される空力的負荷の効果についてのリアルタイムシミュレーションシステム(1)であって、
パイロットのための操縦席(10)と、
前記パイロットからシミュレーション指令を受理して前記航空機(3)の飛行条件をシミュレーションすることができる前記航空機(3)の少なくとも一つのシミュレーション制御装置(11)と、
前記飛行条件のシミュレーション表示を生成することができ前記操縦席(10)から認知可能であるシミュレーション手段(13)と、
前記制御装置(11)を介して付与される前記指令と関連する第1信号を入力で受理して、前記シミュレーション空力的負荷と関連する前記シミュレーション手段(13)のための第2制御信号を生成および出力するように構成される処理ユニット(14)と、
を包含し、
前記処理ユニット(14)がさらに、
a)前記ロータ(2)のディスク円周の値と関連する半径(r)と、前記制御装置(11)を介して前記パイロットにより設定される前記ロータ(2)の推力(T)に比例する速度循環(Γ)とを持つ渦輪(30)を所与の期間(△τ)にシミュレーション流場で生成するステップと、
b)数個の制御点(A,B,C,D)を前記渦輪(30)と関連させるステップと、
c)前記渦輪(30)により、および/または前記シミュレーション流場に存在する他の渦輪(30)の少なくともいくつかにより前記制御点(A,B,C,D)で誘起される速度と、前記航空機(3)に対する前記空気の漸近速度(Vasin)とを計算するステップと、
d)前記制御点(A,B,C,D)で誘起される前記速度に従って前記渦輪(30)を移動するステップと、
e)前記移動ステップの後で前記渦輪(30)を更新するステップと、
f)前記シミュレーション流場に存在する前記渦輪(30)の前記制御点(A,B,C,D)で誘起される速度と、前記漸近速度(Vasin)とに基づいて、前記航空機(3)の少なくとも一つの関心点で誘起される前記速度を計算するステップと、
g)前記航空機(3)の前記関心点(5)で誘起される前記速度に基づいて前記第2制御信号を生成するステップと、
を包含するサイクルを実行するように構成されることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記サイクルがさらに、
h)所与の時間間隔が経過した後に前記シミュレーション流場から前記渦輪(30)を削除するステップ、を包含することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理ユニット(14)が、前記移動ステップd)の間に前記速度循環(Γ)を一定に維持するように構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理ユニット(14)が、前記移動ステップd)の間に前記渦輪(30)の前記円形状を維持するように構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記サイクルの、前記渦輪(30)を移動する前記ステップd)が、
i)前記渦輪(30)の各々の現在制御点(A,B,C,D)の現在位置ベクトルP(t)を計算するステップと、
j)前記漸近速度(Vasin(t))を表すベクトルと前記制御点(A,B,C,D)の現在速度ベクトル(Vind(t))との和に等しい誘起速度ベクトル(V(t))を計算するステップと、
k)前記現在制御点(A,B,C,D)の更新後位置ベクトル(P(t+△t))を(P(t+△t))=P(t)+V(t)△tとして計算し、△tが更新時間間隔であるステップと、を包含することを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記サイクルを更新する前記ステップe)が、
l)前記現在制御点(A,B,C,D)の前記更新後位置ベクトル(P(t+△t))に基づいて更新される前記渦輪(30)の更新後中心(O(t+△t))を算出するステップと、
m)前記更新後中心(O(t+△t))と前記更新後位置ベクトル(P(t+△t))とに基づいて更新される前記渦輪(30)の更新後半径(r(t+△t))を算出するステップと、
n)前記更新後中心(O(t+△t))と前記更新後半径(r(t+△t))とに基づいて移動した前記渦輪(30)の前記更新後制御点(A,B,C,D)を再配置するステップと、を包含することを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理ユニット(14)がさらに、
o)移動後の前記渦輪(30)の前記更新後中心(O(t+△t))を前記更新後制御点の共通重心((A,B,C,D)(t+△t))として算出し、
p)前記更新後中心(O(t+△t))からの前記更新後制御点(A,B,C,D)の前記距離の平均より少ない前記更新後中心(O(t+△t))からの距離に、前記更新後制御点((A,B,C,D)(t+△t))を再配置する、ように構成されることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記期間(△τ)が前記積分ステップサイズ(△t)より大きいことを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ステップa)が、前記ロータ(2)の半径(R)に等しい前記半径(r)を持つ前記渦輪(30)を生成するステップを包含することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理ユニット(14)が、
q)前記航空機(3)が地表効果内であるシミュレーション飛行条件を表す信号を前記制御装置(11)から取得し、
r)前記渦輪(30)の各々に対して対称的であって前記地表に対して鏡像を成す仮想渦輪(30)を生成し、
s)前記仮想渦輪(30)の効果にも基づいて前記渦輪(30)の各々の前記制御点(A,B,C,D)で誘起される速度を計算する、
ように構成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記生成ステップa)が、前記ロータ(2)の前記半径(R)に等しい前記半径(r)を持つ前記渦輪(30)を生成する前記ステップを包含することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記シミュレーション手段(13)が、
前記操縦席(10)にシミュレーション空力的負荷を発生させることのできるアクチュエータ手段(15)、および/または、
前記操縦席(10)から視認可能なシミュレーション視覚的指示を生成することのできるディスプレイ手段(16)と、
を包含することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
ホバリング航空機(3)のロータ(2)の後流により前記航空機(3)自体に発生される空力的負荷の効果をリアルタイムでシミュレーションする、処理ユニット(14)によりサポートされる方法であって、
a)前記航空機(3)の飛行条件をシミュレーションするステップと、
b)パイロットのための操縦席(10)から認知可能である前記飛行条件のシミュレーション飛行表示を前記処理ユニット(14)によって生成するステップと、
を包含して、
d)前記ロータ(2)の前記ディスクの半径(R)と関連する半径(r)と、前記制御装置(11)を介して前記パイロットにより設定される前記ロータ(2)の前記推力(T)に比例する速度循環(Γ)とを持つ渦輪(30)を、シミュレーション流場で期間(△τ)に生成するステップと、
e)数個の制御点(A,B,C,D)を前記渦輪(30)と関連させるステップと、
f)前記渦輪(30)により、および/または前記シミュレーション流場に存在する他の渦輪(30)の少なくともいくつかにより前記制御点(A,B,C,D)に誘起される速度と、前記航空機(3)に対する前記空気の漸近速度とを計算するステップと、
g)前記制御点(A,B,C,D)で誘起される前記速度に従って前記渦輪(30)を移動するステップと、
h)前記移動ステップの後で前記渦輪(30)を更新するステップと、
i)前記シミュレーション流場に存在する前記渦輪(30)の前記制御点(A,B,C,D)で誘起される前記速度と、前記漸近速度とに基づいて、前記航空機の少なくとも一つの関心点(5)での誘起速度を計算するステップと、
j)前記航空機(3)の前記関心点(5)で誘起される前記速度に基づいて、前記シミュレーション飛行表示を生成するステップと、
を包含するサイクルを実行するように前記処理ユニット(14)を構成するステップc)を包含することを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記サイクルが、所与の時間間隔が経過した後で前記シミュレーション流場から前記渦輪(30)を削除するステップk)を包含することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記移動ステップg)が、前記速度循環(Γ)を一定に維持するステップl)を包含することを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記移動ステップg)が、前記移動ステップの間に前記渦輪(30)の円形状を維持するステップm)を包含することを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記サイクルの、前記渦輪(30)を移動する前記ステップg)が、
n)前記渦輪(30)の各々の前記現在制御点(A,B,C,D)の現在位置ベクトルP(t)を計算するステップと、
o)前記流場の前記他の渦輪(30)からの前記制御点(A,B,C,D)での現在誘起速度ベクトル(Vind(t))と、漸近速度ベクトル(Vasin(t))との和に等しい現在速度ベクトル(V(t))を計算するステップと、
p)前記現在制御点(A,B,C,D)の更新後位置ベクトル(P(t+△t))を(P(t+△t))=P(t)+V(t)△tとして計算し、△tが更新時間間隔である、ステップと、
を包含することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記更新ステップh)が、
q)前記現在制御点(A,B,C,D)の前記更新後位置ベクトル(P(t+△t))に基づいて前記更新後渦輪(30)の更新後中心(O(t+△t))を算出するステップと、
r)前記更新後中心(O(t+△t))と前記更新後位置ベクトル(P(t+△t))とに基づいて前記渦輪(30)の更新後半径(r(t+△t))を算出するステップと、
s)前記更新後中心(O(t+△t))と前記更新後半径(r(t+△t))とに基づいて移動された前記渦輪(30)の前記更新後制御点((A,B,C、D)(t+△t))を再配置するステップと、
を包含することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記更新ステップh)が、
t)前記移動渦輪(30)の前記更新後中心(O(t+△t))を前記更新後制御点(A,B,C,D)の共通重心として算出するステップと、
u)前記更新後中心(O(t+△t))からの前記制御点の距離の平均より少ない前記更新後中心(O(t+△t))からの距離に、前記更新後制御点(A,B,C,D)を再配置するステップと、
を包含することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
v)地表効果内の飛行条件を表す信号を前記制御装置(11)から取得するステップと、
w)前記渦輪(30)の各々に対して対称的であるとともに前記地表に対して鏡像を成す仮想渦輪(30)を生成するステップと、
z)前記仮想渦輪にも基づいて、前記渦輪(30)の各々の前記制御点(A,B,C,D)で誘起される速度を計算するステップと、
を包含することを特徴とする、請求項13から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記生成ステップa)が、前記ロータ(2)の半径(R)に等しい前記半径(r)を持つ前記渦輪(30)を生成するステップを包含することを特徴とする、請求項13から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ステップj)が、前記パイロットが座っている操縦席(10)にシミュレーション空力的負荷を発生させる、および/または前記操縦席(10)から視認可能であるシミュレーション視覚的指示をディスプレイするステップを包含することを特徴とする、請求項13から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
処理ユニット(14)のメモリにロード可能であるとともに、実行時には請求項13から22のいずれか一項に記載の方法のステップを実施することが可能である情報技術製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホバリング航空機、特にヘリコプターまたはコンバーティプレインのロータ後流により航空機自体に発生される空力的負荷の効果についてのリアルタイムシミュレーションシステムに関する。
【0002】
本発明はまた、ホバリング航空機のロータ後流により航空機自体に発生される空力的負荷の効果をリアルタイムでシミュレーションする、処理ユニットによりサポートされる方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
航空機分野では、
訓練を受けるパイロットのための操縦席と、
操縦を行ってシミュレーション飛行条件を設定するためパイロットによって操作され得る複数の制御部と、
パイロットによって監視可能であって、例えばシミュレーション視界を変化させることにより、またシミュレーション飛行計器の示度を通して飛行のシミュレーション視覚的表示をパイロットに提供することのできるグラフィカルインタフェース、例えばスクリーンと、
制御部を介してパイロットによりシミュレーションされる操縦および飛行条件によって決定されるシミュレーション空力的負荷を操縦席に印加することのできる複数のアクチュエータと、
を基本的に包含する飛行シミュレーションシステムが周知である。シミュレーションシステムはまた、
操縦と関連する指令とシミュレーション飛行条件とを入力として受理し、
上記指令から得られるシミュレーション空力的負荷の値を計算し、
シミュレーション飛行およびシミュレーション空力的負荷の両方の視覚的表示を更新するようにグラフィカルインタフェースおよびアクチュエータのための一連の制御信号を生成する、
ように構成される処理ユニットも包含する。
【0004】
ロータ後流と航空機との相互作用は、ロータプレインと胴体と空力的制御翼面とにおける局所流速に影響して、様々な飛行段階の間に航空機が受ける空力的負荷の変化を発生させることも、周知である。
【0005】
ロータ後流と航空機との相互作用をシミュレーションするため、
所与の操縦および飛行条件と関連する航空機への空力的負荷を実験的に測定することと、所与の操縦および飛行条件と関連するこれらの空力的負荷を処理ユニットで記憶することと、は周知である。
【0006】
この技術によれば、視覚的表示とシミュレーション空力的負荷の両方が、制御手段を通してパイロットによりシミュレーションされるものとほぼ同じ操縦および飛行条件についてユニットに記憶されたものと類似するように、処理ユニットがグラフィカルインタフェースおよびアクチュエータを制御する。
【0007】
視覚的表示とシミュレーション空力的負荷の両方が制御部を通してパイロットによりシミュレーションされるものと近似的にしか類似していない操縦および飛行条件と関連するものであるため、空力的飛行負荷のシミュレーションにおいて必然的に近似的である飛行テストを多数実施する必要があるので、上述した技術は特に費用がかかる。
【0008】
別の技術によれば、処理ユニットは、ロータの後流の作用の数理モデルを計算するように構成される。処理ユニットは、パイロットによりシミュレーションされる指令と記憶されたその数理モデルとに基づいて、シミュレーション空力的負荷を操縦席に発生させる。
【0009】
数理モデルの第一の例は、「固定後流」モデルとして文献で知られているモデルを代表とする。これらのモデルは、処理ユニットにとって計算が特に単純である。
【0010】
このようにして、処理ユニットは、パイロットにより付与されるシミュレーション指令と実質的に同時に、視覚的表示および/またはシミュレーション飛行負荷をパイロットの操縦席で生成することができる。
【0011】
換言すると、シミュレーションシステムは、ロータ後流により航空機に発生される飛行負荷を本質的にリアルタイムでシミュレーションできるのである。
【0012】
しかし、「固定後流」モデルの単純性のため、シミュレーション飛行負荷は近似的であって、結果的に実際の飛行負荷を充分に表現していない。ゆえに、シミュレーション装置のシミュレーション性能が低下することになる。
【0013】
例えば計算による流体力学から、ロータ後流についての非常に精密な数理モデルが周知であるが、これらはきわめて複雑であり、そのため処理ユニットでのかなりの処理時間を必要とするだろう。
【0014】
ゆえに、これらの非常に精密な数理モデルを使用しても、飛行シミュレータで必要とされるように、ロータ後流により航空機に発生される飛行負荷をリアルタイムで効果的にシミュレーションすることはできないだろう。
【0015】
ロータ後流と航空機との相互作用と関連するシミュレーション空力的負荷を実質的にリアルタイムに、また高い精密度で発生させることのできる、ホバリング可能な航空機の飛行シミュレーションシステムを有するという、同分野で認識された必要性が存在する。
【0016】
航空機飛行シミュレーションシステムは、例えば特許文献1および特許文献2から周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】ロシア特許第RU2367026号明細書
【特許文献2】英国特許第GB802213号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、上記の要件が単純かつ安価な手法で満たされるようにする、ホバリング航空機のロータ後流により航空機自体に発生される空力的負荷についてのリアルタイムシミュレーションシステムの実現である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
ホバリング航空機のロータ後流により航空機自体に発生される空力的負荷の効果についてのリアルタイムシミュレーションシステムであって、
パイロットのための操縦席と、
パイロットからシミュレーション指令を受理して航空機の飛行条件をシミュレーションすることのできる、航空機の少なくとも一つのシミュレーション制御装置と、
操縦席から認知可能である、飛行条件のシミュレーション操縦表示を生成することのできるシミュレーション手段と、
制御装置を介して付与される指令と関連する第1信号を入力として受理して、シミュレーション空力的負荷と関連するシミュレーション手段のための第2制御信号を生成および出力するように構成される処理ユニットと、
を包含して、
処理ユニットがさらに、
ロータのディスク円周の値と関連する半径と、制御装置を介してパイロットにより設定されるロータの推力に比例する速度循環とを持つ渦輪を、所与の周期性でミュレーション流場に生成するステップと、
数個の制御点を渦輪と関連させるステップと、
この渦輪により、および/またはシミュレーション流場に存在する他の渦輪の少なくともいくつかにより制御点に誘起される速度と、航空機に対する空気の漸近速度とを計算するステップと、
制御点に誘起される速度に従って渦輪を移動するステップと、
移動ステップの後で渦輪を更新するステップと、
シミュレーション流場に存在する渦輪の制御点で誘起される速度と、漸近速度とに基づいて、航空機の少なくとも一つの関心点で誘起される速度を計算するステップと、
航空機の関心点で誘起される速度に基づいて第2制御信号を生成するステップと、
を包含するサイクルを実行するように構成されることを特徴とする、
リアルタイムシミュレーションシステム、に関するものである限り、本発明によって上記目的が達成される。
【0020】
本発明はまた、ホバリング航空機のロータ後流により航空機自体に発生される空力的負荷の効果をリアルタイムでシミュレーションする、処理ユニットによりサポートされる方法であって、
航空機の飛行条件をシミュレーションするステップと、
パイロットのための操縦席から認知可能である飛行条件のシミュレーション飛行表示を処理ユニットによって生成するステップと、
を包含し、
ロータのディスク半径と関連する半径と、制御装置を介してパイロットにより設定されるロータの推力に比例する速度循環とを持つ渦輪を、或る周期性でシミュレーション流場に生成するステップと、
数個の制御点を渦輪と関連させるステップと、
この渦輪により、および/またはシミュレーション流場に存在する他の渦輪の少なくともいくつかにより制御点に誘起される速度と、航空機に対する空気の漸近速度とを計算するステップと、
制御点で誘起される速度に従って渦輪を移動するステップと、
移動ステップの後に渦輪を更新するステップと、
シミュレーション流場に存在する渦輪の制御点で誘起される速度と、漸近速度とに基づいて、航空機の少なくとも一つの関心点で誘起される速度を計算するステップと、
航空機で誘起される速度に基づいてシミュレーション飛行表示を生成するステップと、
を包含するサイクルを実行するように処理ユニットを構成するステップを包含することを特徴とする方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明のより良い理解のため、純粋に非限定的な例として、また添付図面を参照して、好適な実施形態が以下で説明される。
【
図1】本発明に従って製作される、ホバリング可能な航空機のための飛行シミュレーションシステムを概略的に示す。
【
図6】
図3から5の渦輪を更新するステップを示す。
【
図7】地表効果内(IGE)ホバリングおよび地表効果外(OGE)ホバリングの条件に関して、シミュレーションでの渦輪の数の変動についてロータ後流と航空機との相互作用をシミュレーションするため本発明によるシステムに利用される時間逆数曲線を、様々なシミュレーション飛行条件について示す。
【
図8】地表効果内の飛行条件をシミュレーションするため本発明によるシステムに利用されるシミュレーション方式を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、参照番号1は、ホバリング航空機のロータ2の後流により航空機自体に発生される空力的負荷についてのリアルタイムシミュレーションシステムを指している。
【0023】
シミュレーションシステム1は、具体的には、パイロット訓練システムである。
【0024】
具体的には、航空機はホバリングが可能であり、ヘリコプターまたはコンバーティプレインであるとよい。
【0025】
図2に図示された事例において、航空機はヘリコプター3であり、胴体4と、胴体4の上部から突出するロータ2と、例えばテイルロータ6を非限定的な代表とする複数の制御翼面5とを基本的に包含する。
【0026】
システム1は基本的に、
訓練を受けるパイロットのための操縦席10と、
操縦およびシミュレーション飛行条件を表す指令を与えるためパイロットにより操作され得る、例えばジョイスティックまたはコントロールスティックなどの複数のシミュレーション制御装置11と、
パイロットに視認可能であるとともに、シミュレーション飛行についての視覚的表示をパイロットに提供することのできるグラフィカルインタフェース12、例えばスクリーンと、
操縦席10から認知可能な、飛行のシミュレーション表示を作成することのできる複数のシミュレーション装置13と、
を包含する。
【0027】
より詳しく述べると、シミュレーション装置13は、
制御装置11を介してパイロットによりシミュレーションされる操縦および飛行条件によって決定されるシミュレーション空力的負荷を操縦席10へ印加することのできる複数のアクチュエータ15と、
飛行のシミュレーション視覚的表示をグラフィカルインタフェース12にディスプレイすることのできるディスプレイ装置16と、
を包含する。このシミュレーション視覚的表示は、制御装置11を介してパイロットによりシミュレーションされる操縦および飛行条件によって決定される。
【0028】
特に、シミュレーショングラフィカル表示は、パイロットの視界のシミュレーションとして、またグラフィカルインタフェース12にディスプレイされるそれぞれの飛行計器に提供される一連のシミュレーション飛行示度として得られる。
【0029】
詳細に述べると、処理ユニット4は、パイロットにより制御装置11に付与される指令を入力で受理するとともに、操縦席10に発生されるシミュレーション空力的負荷と関連するシミュレーション装置13のための制御信号を生成および出力するように構成される。
【0030】
処理ユニット14は、例えばロータ2の幾何学的特徴など、ロータ2に関する重要データと、例えばヘリコプター3の制御翼面5の揚力および抵抗係数など、ヘリコプター3に関する重要データとが記憶される記憶ユニット17を包含する。
【0031】
処理ユニット14は、ヘリコプター3と、流場の別の関心点とにロータ2の後流により発生される空力的負荷をリアルタイムでシミュレーションするように構成される。
【0032】
この目的のため、処理ユニット14は、この説明において以下では渦輪30と呼ばれる複数の環状渦特異点としてロータ2の後流をリアルタイムでシミュレーションするように構成される。このため、処理ユニット14は、渦輪30により誘起される流速場について正確な分析的解法が周知であるという事実を利用する。
【0033】
処理ユニット14が周期的に、
ロータ2のディスク円周の値と関連する半径rと、制御装置11を介してパイロットにより設定されるロータ2の推力Tに比例する速度循環とを持つ渦輪30を、所与の期間Δτにシミュレーション流場で生成し、
数個の制御点A,B,C,Dを渦輪30と関連させ、
渦輪30により、および/またはシミュレーション流場に存在する他の渦輪30の少なくともいくつかにより制御点で誘起される速度と、ヘリコプター3に対する空気の漸近速度Vasinとを計算し、
制御点A,B,C,Dで誘起される速度に従って渦輪30を移動し、
移動ステップの後に渦輪30を更新し、
流場に存在する渦輪30の制御点A,B,C,Dで誘起される速度と漸近速度Vasinとに基づいて、所定の関心点、例えばヘリコプター3の表面5で誘起される速度を計算し、
ヘリコプター3の表面5で誘起される速度に基づいて、シミュレーション装置13のための制御信号を生成する、
ように構成されると、有利である。
【0034】
処理ユニット14はさらに、所与の時間間隔が経過した後に流場から渦輪30を削除するように構成される。
【0035】
換言すると、処理ユニット14は、ロータ2のディスクのシミュレーション流場において一連の渦輪30を放出して、漸近速度Vasintと先に放出された他の渦輪30のみに影響される状態で各渦輪30をシミュレーション流場で自由に移動させることにより、ロータ2の後流をシミュレーションする。
【0036】
具体的には、漸近速度Vasintの語は、空気が後流により妨害されないと考えられるように、ロータ2の後流から充分に長い距離でのヘリコプター3に対する空気の見かけの速度を意図するものである。
【0037】
処理ユニット14は、シミュレーション流場に存在する他のすべての渦輪30および/または風の効果および/または漸近速度Vasintに基づいて各渦区分30の制御点A,B,C,Dの速度を計算するように構成されることが好ましい。
【0038】
より詳細に述べると、処理ユニット14は、渦輪30の移動ステップの間に循環Γの値を一定に保つように構成される。
【0039】
処理ユニット14はさらに、移動の間に各渦輪30に円形状を保たせる(
図6)ように構成される。
【0040】
処理ユニット14が実行するように構成される作業サイクルが、シミュレーションされるシミュレーション流場での渦輪30の放出から始めて、以下で説明される。
【0041】
より詳しく述べると、シミュレーション流場は、検討対象である渦輪30より前に生成されてまだ削除されていない他の渦輪30と、検討対象の渦輪30の後で生成される他の渦輪30とを包含する。
【0042】
詳細に述べると、処理ユニット14は、制御点A,B,C,D(
図4乃至6)を放出の瞬間の各渦輪30に関連させるように構成されている。
【0043】
加えて、生成の瞬間には、ロータ2のディスクと一体的であってロータ2の軸を中心とする基準系の相互に垂直なxおよびy軸(
図4)の上に制御点A,B,C,Dが配置される。基準系はまた、ロータ2のディスクに、そしてxおよびy軸に直交するz軸も包含する。
【0044】
xおよびy軸上での点A,B,C,Dの位置は、0.2と0.9の間で可変であって図の事例では0.8未満であることが好ましいロータ2の半径の増倍係数ε
rを介して、パラメータ表示される。
【0045】
ロータ2のディスクと一体的である基準系x,y,zの4個の制御点の位置は、以下の通りであり、
A=(Rε
r;0;H
hub); B=(0;Rε
r;H
hub);
C=(−Rε
r;0;H
hub); D=(0;−Rε
r;H
hub)
さらなる明瞭化のため、
図4に図形表示されている。具体的には、H
HUBはz軸上のロータ2のハブの位置に対応する。
【0046】
右側三要素(
図5)を有するように、三つの情報、すなわち、中心の位置O、その半径r、そして最後に3個のベルソル、つまり輪の平面に垂直で下向きのt3と制御点Bへ向かうt1と結果的に制御点Cへ向かうt2とによって、渦輪30が明確に決定される。
【0047】
生成の瞬間に、半径rはロータ2の半径の値Rを取り、中心はロータ2のハブの中心に位置し、ベルソルt1,t2,t3は軸x,y,zと一致する。
【0048】
この時点で、処理ユニット14は、
後で記される関係式(1)に従って、制御点A,B,C,Dでの放出直後の渦輪30の自己誘起速度を計算し、
完全に類似した手順を使用して、シミュレーション流場にも存在する他の渦輪30の制御点A,B,C,Dで誘起される速度を計算する、
ように構成される。
【0049】
渦輪30の制御点A,B,C,Dの各々で誘起される速度が判明すると、処理ユニット14は流場で渦輪30を移動する。
【0050】
この目的のため、処理ユニット14は、各渦輪30の3個のベルソルt1(t),t2(t),t3(t)を介して、中心の位置O(t)と半径r(t)と傾角とを、積分ステップサイズ△tで算出する(
図6)ように構成されている。
【0051】
より詳しく述べると、以下の式、つまり
P(t+△t)=P(t)+V(t)△t;
V(t)=Vind(t)+Vasin(t)
に従い、処理ユニット14は、制御点A,B,C,Dの現在位置P(t)とベクトルV(t)とに基づいて、次の瞬間t+△tでの渦輪30の点A,B,C,Dの更新後位置ベクトルP(t+△t)を計算する。
【0052】
詳細に述べると、ベクトルV(t)は、渦輪30の点A,B,C,Dで誘起される速度成分を含有するベクトルVind(t)と、制御点A,B,C,Dの各々での漸近速度Vasin(t)の成分Vasin(t)との和に等しい。
【0053】
換言すると、ベクトルP(t+△t)とP(t)とV(t)とは12の列を有し、制御点A,B,C,Dの位置座標および速度と関連する3個のスカラー値による4組を各々が包含する。
【0054】
制御点A,B,C,Dの新たな位置P(t+△t)が算出されると、時間間隔△tの後で、処理ユニット14は渦輪30を更新する。
【0055】
特に、渦輪30を更新するため、処理ユニット14は、渦輪30と一体的な新しい基準系の中心O(t+△t)および半径r(t+△t)と、ベルソルt1(t+△t)、t2(t+△t)、およびt3(t+△t)について、渦輪30の新たな位置を導出する。
【0056】
特に、時間t+△tで算出される量は更新後の渦輪30を指すのに対して、時間tで算出される量は変位した同じ渦輪30であるがまだ更新されるものを指すのである。
【0057】
すなわち、処理ユニット14は、更新後渦輪30の更新後中心O(t+△t)の位置を、時間tでの制御点A,B,C,Dの位置の共通重心として算出するように構成されている。
【0058】
処理ユニット14はまた、時間t+△tでの半径r(t+△t)を
【数1】
のように算出し、
OA(t+△t)、OB(t+△t)、OC(t+△t)、およびOD(t+△t)は、時間t+△tでの更新後中心O(t+△t)と制御点A,B,C,Dとの間の距離であり、ε
rは、上で指定されたパラメータである。
【0059】
処理ユニット14はこうして、渦輪30を更新するステップを完了する。
【0060】
この時点で、処理ユニット14は、更新後中心O(t+△t)からr(t+△t)ε
rの距離で更新後渦輪30に更新後制御点A,B,C,Dを再配置する。
【0061】
処理ユニット14は、所与の時間間隔が経過した後で渦輪30を削除するように構成されている。
【0062】
最後に、処理ユニット14は、表面5上の点など関心のある流場の点での速度を、関係式(1)により流場に存在する渦輪30の点A,B,C,Dで誘起される速度と、ヘリコプター3に対する空気の漸近速度Vasinとの複合効果として計算するように構成されている。
【0063】
表面5の点で誘起される速度が判明すると、処理ユニット14は、記憶ユニット17に記憶されるヘリコプター3の空力データを使用して、結果的に表面5に生じる空力的負荷を算出するように構成されている。
【0064】
最終的に、処理ユニット14は、表面5の点での加速度をこの表面5の同じ点に存在する空力的負荷によって算出する。
【0065】
これらの加速度は、アクチュエータ15のためとディスプレイ装置16のための制御信号として使用される。
【0066】
パイロットが制御装置11を介して、地表効果内の飛行操縦をシミュレーションすることを要求する事例において、処理ユニット14は、
各渦輪30に対して対称的で地表に対して鏡像を成す仮想の渦輪30を生成し、
仮想の渦輪の効果にも基づいて各渦輪30の制御点A,B,C,Dで誘起される速度を計算する、
ように構成されている。
【0067】
このようにして、システム1は、ロータ2への力と等しいが反対の力が加えられ、ロータ2自体と対称的であって地表に対して鏡像を成す位置に設けられる仮想のロータの存在をシミュレーションする(
図8)。
【0068】
これによって、システム1は、地表効果内の飛行操縦という条件において、ロータ2により発生される流管は無限に延在することはなく地表に衝突するという事実を、有効にシミュレーションすることができる。
【0069】
以下では、各渦輪30の制御点A,B,C,Dで各渦輪30により誘起される流速場(
図3)を処理ユニット14がどのように計算するかが説明される。
【0070】
より精密に述べると、処理ユニット14は、ビオ・サバールの法則に基づいて、座標r
n,θ′の渦輪30の第i区分dsにより座標r
m,θ′の一般点Qで誘起される誘起速度d
Viの極小値を、閉形式で導出するように構成されている。
【数2】
【0071】
前出の関係式において、分析された長さdsの渦区分のベルソルはtと記され、渦輪30に対する一般点Qの位置ベクトルはZと記されている。これらの量は以下に記すように定義される。
【数3】
【0072】
処理ユニット14はさらに、上記の関係式を使用して、以下の積分(1)をθ′=0およびθ′=2пの間で実施することにより、軸方向速度成分u
mnと径方向速度成分v
mnとを算出するように構成されている。
【数4】
x
nおよびx
mは、渦輪30の第i′区分(
図3では点nと表記)と点Qとの座標である。他の量は
図2に見られるものである。
【0073】
これらの関係式は、以下の積分式(1)に従って第1および第2の種類の楕円積分を使用することにより積分可能である。
【数5】
K(k)およびE(k)は、後で算出について説明される第1および第2の種類の完全楕円積分である。
Γは、渦輪30上での速度ベクトルの循環の値である。
vおよびwは、無次元の軸方向および径方向座標である。
【数6】
【0074】
処理ユニット14は、具体的には、式
【数7】
に従って、放出の瞬間での循環Γの値を算出するように構成されている。
Tは、制御装置11を介してパイロットにより設定されるロータ2の推力の瞬間値である。
V
tipは、制御装置11を介してパイロットにより設定されるロータ2の先端速度である。
Sは、記憶ユニット17に記憶されるロータ2の面積である。
ρは、記憶ユニット17に記憶される空気密度である。
σは、ロータ剛率、つまり、ブレードに占有されるロータ2の表面部分を表す、記憶ユニット17に記憶されるパラメータである。
k
Γは、図示された事例では1.2に等しい、記憶ユニット17に記憶される補正係数である。
kpは、渦輪30がブレードの通過のたびに放出されるわけではないが、渦輪30の充分に密集した分布を後流内に保証するように周期性を伴うことを考慮に入れるために導入される係数である。
【0075】
図の事例では、
【数8】
Rは、ロータ2の半径である。
Vasinは、漸近速度である。
【0076】
積分式(1)は特異である。具体的には、v=0かつw=1である時、つまり渦輪30のエッジでは、点Pでの誘起速度の軸方向および径方向成分u
mnおよびv
mnは特異であり、点Pでの誘起速度の径方向成分v
mnは、w=0、つまり渦輪30の軸上に位置する点でも特異である。
【0077】
これらの特異性問題を解決するため、処理ユニット14は、非特異化コアをw=1に近接して設けるように構成され、点Pでの誘起速度の軸方向および径方向成分u
mnおよびv
mnは、w−εおよびw+εの速度値の間で直線的に変化すると考えられる。
【0078】
好ましくは、ε=0.05wである。0.05の値は、物理現象に従って輪のエッジでの過剰に険しい速度勾配を回避するように選択された。
【0079】
v=0での径方向成分v
mnの特異性に関して、処理ユニット14は、半径ε=0.05rの非特異化コアを設けるようにも構成されている。
【0080】
径方向成分v
mnも特異であるがw→0のようにゼロとなる傾向があることに注目することは重要である。この事例では、処理ユニット14は任意の小さな非特異化コアを使用するように構成され、10
−8を使用するように選択されている。
【0081】
処理ユニット14は、式
【数9】
に従ってパラメータK(k)およびE(k)を計算するようにも構成される。
この目的のため、記憶ユニット17は、パラメータkが変化した際に値K(k)およびE(k)を計算するためメモリに記憶される普遍的に有効なテーブルを有する。
【0082】
これらのテーブルの有効性の限界は、積分が特異であるφ(k)→90°の時である。処理ユニット14は、φ(k)=90°の近くで以下の漸近式を適用するように構成される。
【数10】
処理ユニット14は、必要なφ(k)値を得るためこれらのテーブルを線形補間するように構成されることが好ましい。
【0083】
特に、処理ユニットに記憶されるテーブルは、Ф(i)=0°→Ф(i)=89.5°から0.5°のステップで規則的に作成される。このようにして、分析されたものに最も近いが係数は小さい値のテーブル内の位置が、
i=floor(φ(k)/Ф(N)・(N−1)+1)
としてはっきりと確認され、N=180はテーブルの最大指数であり、φ(k)は分析対象の値であり、Ф(i)はテーブル値である。高い係数値では、補間線を引くための第2点は、単純に次の位置(i+1)の値であり、関数floor(..)が元に戻ると、この値の直下の整数がこれに置き換わる。
【0084】
処理ユニット14はさらに、値△τが値△tより大きく、図の事例ではk
p/4に等しいように構成される。
【0085】
具体的には、処理ユニット14は、渦輪30と一体的な基準系で上記のサイクルを実行するように構成され、その結果、メモリに記憶され、地表と一体的な慣性基準系を各渦輪30と一体的な基準系t
1,t
2,t
3に変換するのに適した一連の回転行列を有する。
【0086】
さらに、実行時に上記のサイクルを実施することが可能であるソフトウェアプログラムが、処理ユニット14のメモリにロードされる。
【0087】
使用時に、パイロットは、制御装置11を介してシミュレーション指令を付与することによりシミュレーション飛行操縦を実行する。これらのシミュレーション指令は、或る飛行条件、例えばロータ2の推力Tの値と、飛行操縦、例えば地表効果内での飛行操縦またはホバリング操縦をシミュレーションするものである。
【0088】
記憶ユニット17に記憶されたデータと制御装置11に付与されるシミュレーション指令とに基づいて、処理ユニット14は上述のサイクルを実行し、その実行のために構成されている。
【0089】
換言すると、処理ユニット14は、上述のサイクルに従って、ロータ2の後流とヘリコプター3、特にヘリコプター3の表面5との相互作用による空力的負荷をシミュレーションする。
【0090】
処理ユニット14はまた、表面5への上述の空力的負荷により発生される加速度も算出する。
【0091】
このサイクルの終わりに、処理ユニット14は、シミュレーション空力的負荷に、結果的にパイロットによりシミュレーションされる飛行指令に対応する、アクチュエータ15のためとディスプレイ装置16のための制御信号を発生させる。
【0092】
本発明により具体化されたシステム1および方法の検討から、これにより達成される利点は明白である。
【0093】
具体的には、システム1は、本明細書の導入部に記載されたシステムよりも高い正確度で、またテスト飛行の実行を必要とせずに、ロータ2の後流とヘリコプター3との相互作用により発生される空力的負荷のシミュレーションを可能にする。
【0094】
特に、20と30の間の範囲でいくつかの渦輪30を生成することにより、ロータ2の後流とヘリコプター3との相互作用に関連する空力的負荷が充分に現実的な手法でシミュレーションされることを出願人は確認した。
【0095】
図7に示されているように、20と30の間の範囲の数個の渦輪の生成は、地表効果内(IGE)条件でのホバリングと地表効果外(OGE)条件でのホバリングの両方に関して、アクチュエータ15のための制御信号のリアルタイム生成と適合する処理ユニット用の算出時間t
cpuを必要とする。
【0096】
加えて、システム1は、多数の飛行条件、例えば、ホバリング、前進飛行、側方飛行、地表効果内飛行、自動回転、上昇、および降下の操縦を精密にリアルタイムでシミュレーションすることを可能にする。
【0097】
最後に、システム1は、例えば地表の点など、ヘリコプター3から距離があっても、流場の所望の点でロータ2の後流から生じる速度のシミュレーションを可能にする。
【0098】
最終的に、請求項の保護範囲を逸脱せずに、ここに説明されるシステム1および方法に変形および変更が行われてもよいことは明白である。
【0099】
具体的には、例えば渦輪30の半径の2倍に等しい閾値より長い距離で、シミュレーション流場に存在する他の渦輪30の各渦輪30への効果を無視するように処理ユニット14が構成されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 リアルタイムシミュレーションシステム
2 ロータ
3 ホバリング航空機
4 胴体
5 制御翼面
6 テイルロータ
10 操縦席
11 シミュレーション制御装置
12 グラフィカルインタフェース
13 シミュレーション手段
14 処理ユニット
15 アクチュエータ
16 ディスプレイ装置
17 記憶ユニット
30 渦輪