特許第5965492号(P5965492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965492
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】部品供給ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   H05K13/02 C
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-538226(P2014-538226)
(86)(22)【出願日】2013年5月30日
(86)【国際出願番号】JP2013065027
(87)【国際公開番号】WO2014050209
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年3月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-218832(P2012-218832)
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】柳田 勉
(72)【発明者】
【氏名】大山 和義
(72)【発明者】
【氏名】千田 穣
(72)【発明者】
【氏名】冨田 悠貴
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−029260(JP,A)
【文献】 特開2008−098499(JP,A)
【文献】 特開2010−003714(JP,A)
【文献】 特開2012−009579(JP,A)
【文献】 特開平04−022196(JP,A)
【文献】 特開2012−038762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納テープの収納部内に収納された電子部品を、前記収納テープに形成された送り孔にその送り歯が嵌合しながらスプロケットの回転により間欠的に部品取出位置へ供給する部品供給ユニットにおいて、
前記収納テープの前記収納部を覆うカバーテープをこの収納テープの進行に伴って進行方向に沿って順次切断するカッターと、このカッターにより切断された前記カバーテープを前記収納テープの進行に伴って順次切り開くように案内する案内面とを備えたテープ処理ユニットを備え、前記カッターは前下がりに傾斜して刃が角状に形成された角状刃部を備えた刃部を備え、この刃部の先端部には、下端から上方に向かい次第に水平方向の幅が狭くなり上端で前記角状刃部に達する平坦部が形成されていることを特徴とする部品供給ユニット。
【請求項2】
収納テープの収納部内に収納された電子部品を、前記収納テープに形成された送り孔にその送り歯が嵌合しながらスプロケットの回転により間欠的に部品取出位置へ供給する部品供給ユニットにおいて、
前記収納テープの前記収納部を覆うカバーテープをこの収納テープの進行に伴って進行方向に沿って順次切断するカッターと、このカッターにより切断された前記カバーテープを前記収納テープの進行に伴って順次切り開くように案内する案内面とを備えたテープ処理ユニットを備え、前記カッターは前下がりに傾斜して刃が角状に形成された角状刃部を備えた刃部を備え、この刃部の先端部には、下端から上方に向かい前記角状刃部まで前記カバーテープを案内する平坦部が形成されており、
前記平坦部は、前記角状刃部の下端を頂点とする二等辺三角形であることを特徴とする部品供給ユニット。
【請求項3】
前記平坦部は前記角状刃部の下端を頂点とする二等辺三角形であることを特徴とする請求項1に記載の部品供給ユニット。
【請求項4】
前記刃部の先端部は、前記平坦部の先端の両端から前記収納テープの搬送方向と直交方向に延在するそれぞれの丸みを帯びた第1のR形状部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の部品供給ユニット。
【請求項5】
前記第1のR形状部及び前記平坦部の先端は、前記収納テープの搬送方向の垂直断面が丸みを帯びた第2のR形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の部品供給ユニット。
【請求項6】
前記平坦部の先端は、前記第1のR形状部と一体となって前記収納テープの搬送方向と水平方向に第3のR形状を有することを特徴とする請求項5に記載の部品供給ユニット。
【請求項7】
前記刃部は、前記平坦部の先端が所定の厚さ寸法を有し、且つ前記収納テープの搬送方向の直交方向に直線状を成し、前記平坦部の先端の両端から前記収納テープを搬送する下流方向に鋭角にC面取りされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の部品供給ユニット。
【請求項8】
前記平坦部の先端は、前記収納テープの搬送方向の垂直断面が丸みを帯びた第4のR形状を有していることを特徴とする請求項7に記載の部品供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納テープの収納部内に収納された電子部品を、前記収納テープの移動により部品取出位置へ供給する部品供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部品供給ユニットは、例えば特許文献1など開示されているように、部品取出位置に送られる電子部品の収納テープは、押える手段であるサプレッサにより上方から押えられ、収納テープの上下方向の動きを極力小さくし、安定した状態で電子部品が確実に取り出されるようにしていた。そして、新しい収納テープが部品供給ユニットに装填されるとき、テープ送り手段であるスプロケットの駆動により、収納テープは上流から下流に押され、部品供給ユニット内を送られる。サプレッサは、収納テープの上面を覆うカバーテープを切断する切断ユニットであるカッターを有し、カッターには、先端から後へ斜め上方向に刃部が形成されている。そして、送られて来たカバーテープが、カッターの刃部の下端(先端)より上方の位置にて切断が始まり、左右に切断され、左右両側に広げられ、露出した電子部品が取出口へ送られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−21693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、新しい収納テープの端面がカッターの先端に当たり、カバーテープが刃部により切断されるとき、カバーテープの切断開始位置が刃部の先端より上の位置から下がり、開始位置が刃部の先端になると刃部がカバーテープを突き破る虞があり、突き破ると、刃部の下面がカバーテープの上に、即ち、収納テープの上に乗り上げ、カバーテープの切断が行われなくなる虞があり、この結果、部品供給ユニットからの電子部品の供給が停止するという問題が発生する虞があった。
【0005】
そこで本発明は、新しい収納テープを使い電子部品を供給するとき、カバーテープを確実に切断し、電子部品を確実に露出することができる部品供給ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、収納テープの収納部内に収納された電子部品を、前記収納テープに形成された送り孔にその送り歯が嵌合しながらスプロケットの回転により間欠的に部品取出位置へ供給する部品供給ユニットにおいて、
前記収納テープの前記収納部を覆うカバーテープをこの収納テープの進行に伴って進行方向に沿って順次切断するカッターと、このカッターにより切断された前記カバーテープを前記収納テープの進行に伴って順次切り開くように案内する案内面とを備えたテープ処理ユニットを備え、前記カッターは前下がりに傾斜して刃が角状に形成された角状刃部を備えた刃部を備え、この刃部の先端部には、下端から上方に向かい次第に水平方向の幅が狭くなり上端で前記角状刃部に達する平坦部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明は、収納テープの収納部内に収納された電子部品を、前記収納テープに形成された送り孔にその送り歯が嵌合しながらスプロケットの回転により間欠的に部品取出位置へ供給する部品供給ユニットにおいて、
前記収納テープの前記収納部を覆うカバーテープをこの収納テープの進行に伴って進行方向に沿って順次切断するカッターと、このカッターにより切断された前記カバーテープを前記収納テープの進行に伴って順次切り開くように案内する案内面とを備えたテープ処理ユニットを備え、前記カッターは前下がりに傾斜して刃が角状に形成された角状刃部を備えた刃部を備え、この刃部の先端部には、下端から上方に向かい前記角状刃部まで前記カバーテープを案内する平坦部が形成されており、前記平坦部は、前記角状刃部の下端を頂点とする二等辺三角形であることを特徴とする。

【0008】
更に、第3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の部品供給ユニットにおいて、前記平坦部は前記角状刃部の下端を頂点とする二等辺三角形であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、新しい収納テープを使い電子部品を供給するとき、カバーテープを確実に切断し、電子部品を確実に露出することができる部品供給ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電子部品装着装置の平面図である。
図2】収納テープの斜視図である。
図3図3)は大部品用の収納テープ、図3)は小部品用の収納テープを示す。
図4】部品供給ユニットの概略側面図である。
図5】部品供給ユニットの概略平面図である。
図6】型式「W8S」のテープ処理ユニットの平面図である。
図7図6の型式「W8S」のテープ処理ユニットを含めた部品供給ユニットのX−X断面図である。
図8図7のテープ入口近傍を拡大した図である。
図9図7のカッターの配置部分を拡大した図である。
図10図7のA位置から縦断面した図である。
図11図7のB位置から縦断面した図である。
図12図7のC位置から縦断面した図である。
図13図7のD位置から縦断面した図である。
図14図7のE位置から縦断面した図である。
図15図7のF位置から縦断面した図である。
図16】カッターの側面図である。
図17】カッターの正面図である。
図18】カッターの上面図である。
図19】カッターの底面図である。
図20】カッターの端縁が収納テープの端面に当たったときの説明の図である。
図21】カッターによりカバーテープが切断される状態の説明の図である。
図22】カッターの端縁が収納テープの端面のカバーテープとキャリアテープの境界の僅かに下の部分に当たったときの説明の図である。
図23】カッターの先端部の側面図である。
図24】操作パネルを示す図である。
図25】カッターの他の実施例の上面図である。
図26】カッターの他の実施例の側面図である。
図27】浮き上がって送られてきた収納テープをカッターから見た図である。
図28】浮き上がって送られてきた収納テープを部品供給ユニットの側面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、電子部品装着装置1の平面図である図1に基づいて、本発明の実施形態について説明する。先ず、電子部品装着装置1の装置本体2上の前部及び後部には部品供給装置3A、3B、3C、3Dが4つのブロックに分かれて複数並設されている。
【0012】
前記各部品供給装置3A、3B、3C、3Dは、取付台であるカート台のフィーダベース上に部品供給ユニット5を多数並設したものであり、部品供給側の先端部が基板としてのプリント基板Pの搬送路に臨むように前記装置本体2に連結具を介して着脱可能に配設され、カート台が正規に装置本体2に取り付けられるとカート台に搭載された部品供給ユニット5に電源が供給され、また連結具を解除して把手を引くと下面に設けられたキャスタにより移動できる構成である。
【0013】
なお、前記フィーダベースから部品供給ユニット5を抜こうとして、電源に接続されるコネクタ同士の接続を解除した場合には、この部品供給ユニット5への供給電源が遮断され、この遮断状態を後述する制御装置70がこれを検出することができ、また逆に前記フィーダベースに部品供給ユニット5を差し込んで取り付けて、前記コネクタ同士を接続すると、この部品供給ユニット5へ電源が供給され、この供給状態を後述する制御装置70がこれを検出することができる。
【0014】
各部品供給装置3A、3B、3C、3Dは、部品供給側の先端部が装着ヘッド6の部品取出し領域である部品吸着取出位置PUに臨むように配設されている。
【0015】
そして、手前側の部品供給装置3B、3Dと奥側の部品供給装置3A、3Cとの間には、基板としてのプリント基板Pを搬送する基板搬送装置8を構成する供給コンベア、第1位置決め部、中間コンベア、第2位置決め部及び排出コンベアが設けられている。
【0016】
前記供給コンベアは上流より受けたプリント基板Pを第1位置決め部に搬送し、この各位置決め部で図示しない位置決め機構により位置決めされた基板P上に電子部品を装着した後、中間コンベアに搬送し、この中間コンベアより受けたプリント基板Pを第2位置決め部で位置決め機構により位置決めして電子部品を装着した後、排出コンベアに搬送され、その後下流側装置に搬送される。
【0017】
Y方向にY軸駆動モータ11によりガイドレール9に沿って移動する各ビーム10にはその長手方向、即ちX方向にX軸駆動モータ13により移動する装着ヘッド6が設けられ、この装着ヘッド6には複数本の部品取出具である吸着ノズル7が設けられる。そして、前記装着ヘッド6には前記吸着ノズル7を上下動させるための上下軸駆動モータ14が搭載され、また鉛直軸周りに回転させるためのθ軸駆動モータ15が搭載されている。従って、装着ヘッド6の吸着ノズル7はX方向及びY方向に移動可能であり、鉛直軸回りに回転可能で、かつ上下動可能となっている。
【0018】
4はプリント基板Pの位置認識のための基板認識カメラで、前記装着ヘッド6に固定されて、前記プリント基板Pに付された位置決めマークを撮像する。12は部品認識カメラで、電子部品が吸着ノズル7に対してどれだけ位置ずれして吸着保持されているかXY方向及び回転角度につき、位置認識するために電子部品を撮像する。
【0019】
収納テープCXの斜視図である図2に基づいて、収納テープCXについて説明する。この収納テープCXは、キャリアテープCaに所定間隔毎に形成された収納凹部Cb内に電子部品Dを収納して、前記収納凹部Cbを覆うようにカバーテープCcがキャリアテープCa上に接着されている。また、前記キャリアテープCaには所定間隔毎に送り孔Cdが形成されている。
【0020】
更に、図3に示すように、カバーテープCcの接着部Ce(収納凹部Cbの左右に、カバーテープCcを接着(融着)固定している部分)は、装填される電子部品のサイズによって、その位置が異なる。即ち、この図3)(図3の左部)及び()(図3の右部)に示す収納テープCXは、ともに8mm幅の紙テープのものであるが、図3)は大部品用の収納テープCXであって、前記収納凹部Cbも大きいので進行方向に沿って塗布された接着部Ceもより外側に位置し、また図3)は小部品用の収納テープCXであって、前記収納凹部Cbも小さいので接着部Ceもより内側に位置する。
【0021】
次に、前記部品供給ユニット5の概略側面図である図4及び前記部品供給ユニット5の概略平面図である図5に基づいて、フィーダベース上に並設される部品供給ユニット5の構成について簡単に説明する。先ず、部品供給ユニット5は、回転自在に装着した収納テープリールに巻回した状態の収納テープCXを案内通路を介して導入するテープ導入機構を備えている。
【0022】
このテープ導入機構は、テープ導入駆動源であってその出力軸16にギア18を備えた導入モータであるDCモータ17と、前記ギア18と噛み合うギア19が設けられた回転軸20の中間部に設けられたウォームギア21と噛み合うウォームホィール22を備えると共にテープ押さえ部材24に上方から押さえられた収納テープCXに形成した送り孔Cbにその外周部に形成されたテープ送り歯が噛み合ってこの収納テープCXを送る第1スプロケット23とから構成される。25は第1検出センサで、前記部品供給ユニット5内に導入された前記収納テープCXを検出するセンサである。
【0023】
27は第2スプロケットで、この第2スプロット27は後述するテープ処理ユニット28への収納テープCXの供給動作を担う。29は第3スプロケットで、テープ処理ユニット28に設けられたカッター30により収納テープCXのカバーテープCcを切り開くように前記収納テープCXを前進移動させるためのものである。
【0024】
以下、カッター30について、図16〜図19に基づいて詳細に説明する。
【0025】
カッター30の先端部には、刃部101が形成され、刃部101は、収納テープの送り方向の上流を先端として、先端から下流に向かい、先端の下部途中から斜め上に向かって形成されている。また、刃部101は、先端から次第に厚くなるように形成され、刃部101の先端部は、図23に破線112,113にて示した加工前の形状に対して上下それぞれC面取り加工されている。
【0026】
即ち、底面103には台形の底面C面取り加工面(以下。底面加工面という。)104が刃の先端に向かい上向に形成され、底面加工面104は図23に記載したように、底面の破線で示した延長線112をC面取りして形成された形状を呈している。また、先端部の上部には、平坦部の例である二等辺三角形の上部C面取り加工面(以下、上部加工面という。)105が刃の先端に向かい下向きに形成されている。即ち、図16等に図示した上部加工面105は平面でありそれより上側が鋭い刃が角状に形成された角状刃部102である。加工面105は図23に記載したように角状刃部102の破線で示した延長線113をC面取りして形成された形状を呈している。
【0027】
そして、カッター30の先端には、その長手方向(収納テープの送り方向)と直交する方向に水平であり僅かな寸法の106が形成されている。
【0028】
なお、端縁106の形状は、水平な鋭い刃の形状でもよいが、カッター長手方向の垂直断面が丸みを帯びた所謂R形状でもよく、このR径は小さくてもよい。
そして、図23に示したカッター30の先端部の上部加工面105と底面103の延長線との間の角度107が大きくなると、上部加工面105でカバーテープが切断されることなく持ち上げられるため、カバーテープと上部加工面との間に隙間が発生すると共に、キャリアテープも一緒に持ち上げられる。この隙間は、角度107が大きくなるに従い大きくなる。隙間が大きくなると、図21に示したキャリアテープCaが持ち上がり易くなり、端縁106がキャリアテープCaに刺さりキャリアテープCaの上部から下部へ進み、収納テープCXの移動が阻害される虞がある。また、角度107が小さくなると端縁106が欠け易くなるので、角度107は例えば25°程度の角度にすることが好ましい。
【0029】
なお、先端部にC面取り加工を施すのではなく、刃部101を備えたカッターを作成するときに、C面取り加工後の形状と同じ形状になるように、例えば図23に示したような側面の形状であり、底面加工面104及び上部加工面105と同様の各面を有したカッターに対して、上部を先細に削り刃部101を形成してもよい。
【0030】
32はサーボモータで、その出力軸33に設けられたプーリと回転軸34に設けられたプーリとの間にはベルト35が張架され、前記サーボモータ32が正転すると、出力軸33及びベルト35を介して回転軸34が回転する。
【0031】
従って、前記回転軸34が間欠回転すると、この回転軸34の中間部に設けられた各ウォームギア37、38と噛み合うウォームホィール39、40を備えた前記第2スプロケット27、第3スプロケット29がそれぞれ間欠回転することとなる。即ち、サプレッサ43により上方から押さえられた収納テープCXに形成した送り孔Cbに第2スプロケット27、第3スプロケット29の外周部に形成されたテープ送り歯が噛み合って、前記回転軸34が回転すると、第2スプロケット27及び第3スプロケット29が回転することとなり、収納テープCXを間欠的に送ることができる。
【0032】
44は第2検出センサで、導入された前記収納テープCXを検出するセンサである。そして、前記部品供給ユニット5への収納テープCXの装填時に、前記第1スプロケット23から第2スプロケット27の各テープ送り歯への収納テープCXの送り孔Cdの嵌合時(速度差による乗り継ぎ)の遊びロス、即ち直ぐには嵌らず滑りながら、やがて嵌合することに配慮し、収納テープCX先端位置の把握を確実に行うため、第2スプロケット27と第3スプロケット29との間に、第2検出センサ44を配置して、収納テープCXの先端検出をした際に減速するようにしてから停止するように制御する。
【0033】
なお、第1スプロケット23と第2スプロケット27との間隔は大きいため、収納テープCXの各送り孔Cdの累積されたピッチ誤差により両スプロケット23、27のテープ送り歯の嵌合動作に影響が出るため、第1スプロケット23の回転数は、第2スプロケット27の回転数よりやや遅い低速回転とする。更に、収納テープCXの送り位置精度に影響の出る送り孔Cdの変形を少なくするため、第1スプロケット23のテープ送り歯形状は丸歯状にした形状を採用して、送り孔Cdを初期状態のまま変形させずに、前方の第2スプロケット27、第3スプロケット29へ運べるようにした。
【0034】
また、第2スプロケット27と第3スプロケット29は極力近くに配置し、累積ピッチ誤差の影響が出ないスパンとすると共に、テープ処理シーケンスで必要な加減速コントロール、速度制御、トルク制御が担えるよう前述したようにサーボモータ32を採用すると共に同一駆動源による動作とした。
【0035】
次に、サプレッサ43及び小部品用の後述する型式「W8S」のテープ処理ユニット28について、図7乃至図15に基づいて説明する。部品供給ユニット5には収納テープCXを搬送する案内シュート50がユニット本体5Aに固定ボルト26により固定されている。この案内シュート50上を摺動して搬送される収納テープCXをこの案内シュート50に上方から常時押圧して収納テープCXの送り時に収納テープCXが上下に動かないようにし、第2スプロケット27及び第3スプロケット29のテープ送り歯から収納テープCXの送り孔Cdが抜けて外れないようにサプレッサ43が作用し、サプレッサ43の付勢力によりテープ処理ユニット28が上から収納テープCXを押圧する。
【0036】
なお、前記固定ボルト26による前記案内シュート50のユニット本体5Aへの固定は、テープ処理ユニット28の上面に開設された貫通孔41を介してか、又はサプレッサ43に開設された貫通孔42及び前記貫通孔41を介して工具を挿入して前記固定ボルト26の頭部を捻じ込むことにより行える。
【0037】
ここで、サプレッサ43について詳細に説明する。このサプレッサ43は断面が概ねコ字形状を呈しており、その上面43Aには取付用開口52が形成され、この取付用開口52内にテープ処理ユニット28の一部でありカッター30が取り付けられた下流側の部分(以下、下流部という。)28Aが下方から嵌り込んだ状態で取付けられる。
【0038】
この場合、取付用開口52を避けた前記サプレッサ43の上面43Aには位置決め用開口54及び取付孔55が2つずつ開設され、前記テープ処理ユニット28の上面に形成された各位置決め用凸部56を前記サプレッサ43の上面の各位置決め用開口54に嵌合して位置決めした状態で、位置決め用凸部56の近くに開設された各ビス孔57と各取付孔55が合致されて各固定ビス58が各取付孔55を貫通した状態で各ビス孔57に螺合して、サプレッサ43の上面の下にテープ処理ユニット28が着脱可能に取付けられる(図7図9及び図15参照)。
【0039】
また、サプレッサ43のテープの入口側部43Aは板状の案内片280を備え、案内片280のテープ入口側には、上方へ折れ曲がった折曲部281が形成され、この折曲部281から先端に向かい斜め上方に延び、収納テープCXを案内する折曲片282が形成されている。この折曲片282の下に収納テープの入り口283が形成されている。
【0040】
また、サプレッサ43の両側面43B、43C間には、サプレッサ43のテープ入口側(図7においては右側の部分)とテープ出口側(図7においては左側の部分)とには断面が円形の支持ピン601と支持ピン602が両側面43B、43Cを連結するように設けられている。これらの支持ピン601、602と前記案内シュート50の下面である水平面50Aに上方へ形成された収納凹部50Bとの間にはスプリング61、62が配設されている。これらのスプリング61、62の下方への付勢力により、サプレッサ43は下方へ付勢され、案内片280の下流側に設けられたテープ処理ユニット28を介して前記案内シュート50上の収納テープCXをこの案内シュート50に上方から常時押圧して、前記第2スプロケット27及び第3スプロケット29のテープ送り歯から収納テープCXの送り孔Cdが抜けないようにしている。
【0041】
入口側及び出口側の各支持ピン601、602は、それぞれユニット本体5Aの上面から下方に形成された入口側の凹部5aと、出口側の凹部5b内に配置されている。ここで、入口側の凹部5aの底91は平面に形成され、この底91に入口側の支持ピン601が支持されている。また、出口側の凹部5bの底92には、更に凹部93が形成されている。この凹部93の図7での水平方向(収納テープの送り方向)の寸法、即ち、支持ピン602が渡されている方向と直交する方向の寸法L1は、支持ピン602の直径の寸法より僅かに小さくなるように形成されている。この結果、図7に示したように、出口側の支持ピン602はその下部が凹部93内に入り込み、入口側の支持ピン601より低い位置(高さ)にあり、サプレッサ43は、入口側から出口側(上流側から下流側)に向かって(図7では、右から左に向かって)斜めに下がりに支持されている。ここで、テープ処理ユニット28はサプレッサ43に対して水平に取り付けられているので、サプレッサ43の傾きにより、テープ処理ユニット28は、入口側の高さが出口側より高く、入口側から出口側に向かって(図7では、右から左に向かって)斜めに下がるようにサプレッサ43に支持され、下面は入口側から出口側に向かって下方に傾斜している。
【0042】
従って、案内片280の折曲部281より下流側の部分の下面284及びテープ処理ユニット28の下面285は、上流側から下流側に向かって下方へ傾斜している。この結果、案内片280の折曲部281より下流側の部分の下面284及びテープ処理ユニット28の下面と、収納テープCXが送られるシュート50の上面であり収納テープCXが載り支持されるテープ支持面500との上下方向の間隔L2は、収納テープCXの厚さより大きく、間隔L2は、テープ処理ユニット28の傾きにより、上流側から下流側に向かい次第に小さくなる。更に、間隔L2は、カッター30より僅かに上流側の位置で収納テープCXの上流側で収納テープCXの厚さと等しいか厚さより僅かに小さくなり、その位置より下流側では、収納テープCXは、その先頭端面111がカッター30の端縁106の位置より下流に進みカッター30がキャリアテープCaに乗り上げる状態になるまでテープ処理ユニット28により上方から押えられる。
【0043】
更に、カッター30及び部品取出口65の下方には、マグネット95が設けられている。96は、マグネット95の支持部材であり、この支持部材は、導電性の部材、例えば銅板を折れ曲げて形成したもので、弾性を有している。支持部材96は中央のマグネット取り付け部97と、取り付け部97の前後から斜め下方に延びた支脚98と、上流側の支持脚98の下端から水平に延び、シュート50にビスで固定された固定部99とを備え、マグネット96は、取り付け部98の下面に例えば接着剤により貼り付けられている。
【0044】
そして、シュート50のほぼ中央に位置した収納テープCXの収納凹部Cbは支持部材96により支持され、支持部材96の弾性により上方へ付勢され、また、少なくともカッター30より例えば僅かに上流側の位置からカッター30の下方に至る位置では、上方からテープ処理ユニット28の下面或いはカッター30の下面により押さえられている。部品取出開口65及びこの位置より上流側での位置での電子部品の暴れを押さえることができる。
【0045】
なお、前記固定ビス58の前記ビス孔57への螺合を解除して、この固定ビス58を取付孔55から抜いて、前記スプリング61の付勢力に抗して前記サプレッサ43を上方へ押し上げると、前記取付用開口52から前記テープ処理ユニット28上面の凸部が外れることとなり、前記サプレッサ43の前方から前記テープ処理ユニット28を引き出しながら取り外すことができる。
【0046】
また、前記テープ処理ユニット28には開口63が開設され、供給された収納テープCXのカバーテープCcを進行方向に沿って、その進行に伴って順次切り開くカッター30を前記開口63を介して見ることができる(図6図11参照)。そして、この収納テープCXの進行に伴ってカバーテープCcは順次切り開かれるが(図11及び図12)、切り開かれたらその開口端部が最高高さ地点となるように上方へ押し開くように案内する案内面64が進行方向に向かって左右にそれぞれ形成されている(図13参照)。
【0047】
更に、前記テープ処理ユニット28のカッター30より下流側の下流部28Bには、電子部品Dより大きな平面積を有する部品取出開口65が開設され(図6及び図14参照)、前記案内面64に沿って収納凹部Cb内に収納された電子部品Dの幅よりも広く開かれた部品吸着取出位置PUにおいて、装着ヘッド6に設けられた吸着ノズル7が前記部品取出開口65を介して前記収納凹部Cb内の電子部品Dを吸着して取出すことができる。
【0048】
但し、この前記部品取出開口65が形成された部分には、前記各案内面64は形成できないが、前記部品取出開口65より下流側の先には再び左右に案内面64が形成され(図6参照)、やがてこの案内面64は形成されない(図14参照)。
【0049】
なお、前記テープ処理ユニット28の下流部28Bには、種別判別用の情報識別部66が設けられ、この情報識別部66は電子部品装着装置1の作業者識別用の情報識別部67と、電子部品装着装置1の情報識別部68とから構成される。作業者識別用の情報識別部67は作業者が目視して前記テープ処理ユニット28の種類が識別できるように、その型式、例えば「W8S」などが刻印されている。また、電子部品装着装置1の情報識別部68は、4個のドットを用いた二値化情報(ビット)で、即ち黒丸の印字が0〜15までの前記テープ処理ユニット28の種別(種類)が識別できるように付されている。
【0050】
なお、前述したように、前記情報識別部68は4個のドットを用いた二値化情報(ビット)であったが、直接文字認識できるものや、バーコード情報(一次元又は二次元)を貼付したり、或いはメモリタグ、ミューチップなどの記録媒体を埋め込んでもよい。これらの媒体を使用する場合は、前記テープ処理ユニット28の型式情報の他に、ユニークな管理コードも情報に加えて、個々の管理も可能にすることができる。
【0051】
なお、前記テープ処理ユニット28の例えば型式「W8S」は、対象電子部品の範囲が「0402〜0603」で、この電子部品のX方向の寸法が0.40〜0.60mmで、Y方向の寸法が0.20〜0.30mmであり、型式「W8M」は、対象電子部品の範囲が「1005〜1608」で、この電子部品のX方向の寸法が0.61〜1.60mmで、Y方向の寸法が0.31〜3.40mmであり、型式「W8L」は、対象電子部品の範囲が「1608〜2012」で、この電子部品のX方向の寸法が1.61〜2.10mmで、Y方向の寸法が0.31〜3.40mmであり、型式「W8LL」は、対象電子部品の範囲が「2012〜3225」で、この電子部品のX方向の寸法が2.11〜4.30mmで、Y方向の寸法が0.31〜3.40mmである。即ち、例えば型式「W8S」は、電子部品のX方向の寸法が0.40〜0.60mmの範囲内で、Y方向の寸法が0.20〜0.30mmの範囲内の電子部品を扱うことができることを意味する。
【0052】
なお、図4図5に示すように、前記部品供給ユニット5の杷手46の上面には操作パネル78が設けられ、この操作パネル78には部品供給ユニット5の配置番号(レーン番号)を選択するためのレーン番号選択ボタン78Aと、このレーン番号選択ボタン78Aの左部押圧毎に1ずつレーン番号を増加させて表示すると共に右部押圧毎に1ずつレーン番号を減少させて表示する表示部78Bと、送りボタン78Cと戻りボタン78D、ローディングボタン78Eとが設けられている(図24参照)。
【0053】
従って、前記部品供給ユニット5を前述したフィーダベース上から取り外したり、取り付けたりする際に、表示部78Bを見ながら部品供給ユニット5の配置番号(レーン番号)をレーン番号選択ボタン78Aの押圧操作に基づいて選択(変更)することができる。
【0054】
次に、部品供給ユニット5に収納テープCXを装填する動作について、説明する。先ず、テープ押さえ部材24を外して収納テープCX先端部を前記案内通路上に載置して、第1スプロケット23のテープ送り歯を収納テープCXの送り孔Cbに嵌合させた後に、テープ押さえ部材24をセットする。
【0055】
そして、作業者は操作パネル78のローディングボタン78Eを押圧操作すると、制御装置79は前記第1検出センサ25及び第2検出センサ44が収納テープCXを検出していなければ、DCモータ17をタイマー45による所定時間だけ駆動させるように制御し、収納テープCXは第1スプロケット23の回転により部品供給ユニット5内の下流(奥方)へ順次移動される。
【0056】
そして、この移動に伴い、タイマー45による所定時間を計時したら前記DCモータ17の駆動を停止し、第1検出センサ25が収納テープCXの先端を検出したら、前記DCモータ17及びサーボモータ32の駆動を開始させる。
【0057】
先ず、先端の部分が第1検出センサ25に達して検出されている収納テープCXは、DCモータ17の駆動による第1スプロケット23の回転により下流へ押し込まれるように次第に移動し、テープ処理ユニット28の入り口283に達する。入り口283には、テープ処理ユニット28に折曲片282が形成されているので、入り口283に達した収納テープCXが斜め上方へ向かっても折曲片282に案内され、折曲片282の下方にスムーズに入り込み下流へ移動する。このとき、テープ処理ユニット28は上流(入り口)から下流に向かい下方に傾斜し、折曲部281より下流の部分の下面284と、収納テープCXが送られるシュート50の上面であり収納テープCXが載り支持されるテープ支持面500との上下方向の間隔L2は、収納テープCXの高さより大きいので、収納テープCXはテープ処理ユニット28より下の空間をスムーズに下流へ移動する。
【0058】
テープ処理ユニット28は上述したように、下流に向かい下方へ傾斜しているので、収納テープCXの下流への移動に伴い、収納テープCXの先端部の上面CXaとテープ処理ユニット28の下面28aとの隙間(間隔)は次第に少なくなり、例えば、図7に示した案内片280の位置とカッター30の位置との間の上流部28Aの図7に示した位置(例えば、カッター30の先端より僅か(数ミリ)に上流側(入り口283側)の位置)Gで間隔L2は収納テープCXの厚さとほぼ等しくなる。更に、位置Gより下流側のカッター30の位置では、カッター30の下面とシュート50のテープ支持面500との上下方向の間隔L2は、僅かずつ小さくなる。
【0059】
この結果、入り口283から入り込み、下流へ移動し、折曲部281を通過して第1スプロケット23の回転により上流側から押された収納テープCXは、テープ処理ユニット28の下方を図7に矢印120で示したように、下流側へスムーズに移動することができる。更に、収納テープCXの先端が上述した位置Gに到達した後も、シュート50のテープ支持面500との上下方向の間隔L2は、僅かずつ小さくなり、収納テープCXとテープ処理ユニット28の下面及び支持面500との摩擦は次第に大きくなり、急激に大きくなることを回避できるので、収納テープCXは、上流側から押され、更に、下流へスムーズに移動することができる。この結果、収納テープCXが薄い収納テープであった場合でも、収納テープCXがカッター30に到達する前に、移動する際の抵抗で変形して移動できなくなることを回避することもできる。
【0060】
そして、第1スプロケット23、第2スプロケット27及び第3スプロケット29により収納テープCXが下流である前方へ移動させられる。
【0061】
そして、予め設定された送り量に従い、移動動作を継続し、この移動中に第2検出センサ44が収納テープCXの先端を検出したら、制御装置79はDCモータ17の駆動を停止させ、サーボモータ32を強制的に減速させながら停止させる。なお、この場合、前述の予め設定された送り量がなされたにもかかわらず、第2検出センサ44が収納テープCX先端を検出できない場合には、制御装置79はDCモータ17及びサーボモータ32を異常停止させるように制御する。
【0062】
続いて、サーボモータ32によって前述した減速してから停止する際の収納テープCXのオーバーラン量を鑑みて、最小ピッチ送りによる逆転動作を収納テープCXの先端が第2検出センサ44が検知しなくなるまで繰り返し、収納テープCXの先端位置を確定する。即ち、サーボモータ32の最少ピッチの逆転動作及び停止動作を繰り返すことにより収納テープCXの先端位置を確定する。
【0063】
なお、第1スプロケット23はワンウェイクラッチを備えていて逆転はしないが、戻し量が微小であること、第1スプロケット23の歯高が低いことにより第2スプロケット27の送り歯に嵌合した収納テープCXはサーボモータ32の推力で後方へ滑り出される。
【0064】
そして、所定量の1回送り動作で収納テープCXの先端部をカッター30の刃の直前位置まで高速で送りこむようにサーボモータ32の駆動を制御する。即ち、収納テープCXの先端位置の確定により、カッター30の刃の直前位置まで設計寸法に従い、収納テープCXを高速で送り込む。
【0065】
そして、カバーテープCcをカッタ−30により切り開くゾーンへ収納テープCXの先端が移動し、カバーテープCcの切断分割を行う。このときの動作について、図20図22に基づいて説明する。
【0066】
図20に示すように、収納テープCXが矢印方向Hに送られると、カッター30の刃先端(最先端部)が、収納テープCXの先頭端面111に突き当たる。
【0067】
図20は、カッター30の刃先端の端縁106がカバーテープCcとキャリアテープCaの略境界部分110に突き当たった状態を示す。図20の状態から収納テープCXが矢印方向Hへ更に移動すると、移動に伴い、端縁106がカバーテープCcとキャリアテープCaとの略境界部分110を上下に分け、底面加工面104がキャリアテープCaの端面角部に当接し、カッター30はキャリアテープCaの上面に乗り上がる。カッター30がキャリアテープCaの上面に乗り上がると、端縁106と底面103との高さの差の分カッター30が上昇し、それに伴い、テープ処理ユニット28も上昇し、この結果、テープ処理ユニット28でのカッター30より上流側の部分の下面と、収納テープCXとの間には、僅かな間隔が形成される。また、カッター30より下流側のテープ処理ユニット28の下流部28Bの部品取出口65の周囲では、テープ処理ユニット28の傾斜により下流部28Bの下面とキャリアテープCaとの間隔はほとんど無く、キャリアテープCaはテープ処理ユニット28により上方から押えられている。また、下流部28Bの下流側の部分には下面が窪んだ段差部28Dが形成され、この段差部28Dの下面と移動してきた収納テープとの間には間隔が形成されてる。この結果、部品取出口65を通過した収納テープCXはテープ処理ユニット28に押圧されることが無く、スムーズに下流へ移動する。
【0068】
また、カッター30に達した収納テープCXのカバーテープCcが切断されずに上部加工面105の上を斜め上に移動し、テープ図21の状態となる。
【0069】
即ち、カッター30は、サプレッサ43と共にバネにより下方に押し付けられているので、この押し付け力に抗しながら上昇し、キャリアテープCaの上面に乗り上がる。このとき、カバーテープCcの送り方向Hと直交する幅方向の中央部に、端縁106が当接するが、端縁106は水平方向に僅かな寸法を有して直線状であるので、端縁106がカバーテープCcを突き破り切断することを回避することができる。この結果、端縁106及び上部加工面105がカバーテープCcを押し上げながら収納テープCXに対して相対的に進む。そして、カバーテープCcの図21における左側端部は少なくとも上部加工面105上では切断されることなく、上部加工面105上端より更に上昇し、ある程度角状刃部102の上部に達すると切断される。
【0070】
図21のカバーテープCcは、切断されずにカッターの刃部101の上に残っている状態を示し、この部分より左側では切断されるため図21には図示していない。即ち、カバーテープCcは、部品収納部13を挟んだ両側がキャリアテープCaに接着されているので、カッター刃部101により持ちあげられた高さが増す毎に張力が増加する。カバーテープCcの所定以上の張力がカッター刃部101に掛る部分が、カッター刃部101により切断され分割される。
【0071】
図20は、カッター30の先端の端縁106の高さがカバーテープCcとキャリアテープCaの境界であり、この境界で端縁106が収納テープCXの先頭端面11に当たる場合であるが、収納テープCXの種類により、カバーテープCcの厚さは異なることがある。カッター30は、上述したように下方に押し付けられているテープ処理ユニット28に取り付けられており、上流から移動してきた収納テープCXの端縁106がカッター30に当接するまでは、カッターが当接する位置(カッターの刃先)より上流側で収納テープCXはテープ処理ユニット28により下方に押さえられ、収納テープCXとテープ処理ユニット28との隙間はほとんど無い。このため、カッター30と収納テープCXの上面の高さは常に一定の位置関係に保たれる。
【0072】
こうして、例えば、図20のように、カッター30の刃の端縁106は、収納テープCXの先頭端面11の同じ高さ位置に突き当たる。従って、カバーテープCcが図20より薄い場合には、図22に示したように、カバーテープCcとキャリアテープCaの境界部分(層間)110より僅かに下の位置で、カッター刃部101の端縁106がキャリアテープCaの端面に当たることとなる。
【0073】
この場合、キャリアテープCaはある程度剛性があり、カバーテープCcは剛性が無いため、収納テープCXの矢印H方向への移動により底面加工面104がキャリアテープCaの角部付近内部に押し当ることにより、カッター30は下方への力より大きい上方への力を受ける。従って、カッター30は、刃部101の端縁106がキャリアテープCaを上方に削りつつ底面103がキャリアテープCaの上面に乗る位置まで上昇する。
【0074】
また、収納テープCXが、電子部品の収納部が下方へ突出して形成されキャリアテープの収納部がカバーテープにより覆われたエンボステープの場合にも同様に、収納テープの下流方向への移動によりカッターの底面加工面がキャリアテープの角部付近内部に押し当ることで、カッターは下方への力より大きい上方への力を受ける。従って、カッター30は、刃部101の端縁106がキャリアテープCaを上方に削りつつ、或いは下方に撓ませながら、底面103がキャリアテープCaの上面に乗る位置まで上昇する。
【0075】
この上昇過程で、キャリアテープCaより上方で上部加工面105(もしくは更に角状刃部102)は、図21に示すように、カバーテープCcを持ち上げるが、収納テープCXの移動に伴い角状刃部102は上述と同様にカバーテープCcを切断する。この時、カッター30及びテープ処理ユニット28は、バネ61、62による下方への押し付け力に抗して上昇しているので、位置決め装置35による収納テープCXの押圧は少し弱まるが、代わりにキャリアテープCaをカッター30の底面103が押さえるので、全体として収納テープの押さえが弱まることはない。
【0076】
このように、底面加工面104が形成されているので、カバーテープCcの厚さにある程度のばらつきがあっても、キャリアテープCaの端面の途中にカッター刃部101の端縁106が突き刺さったままになり、カバーテープCcを座屈させてカバーテープCcを切断できない状態になったり、刃先端が欠けてしまったりすることを防止できる。
【0077】
また、カッター30の刃先である端縁106が、カバーテープCcとキャリアテープCaの境界より少し上の位置で収納テープCXの先頭端面11に当たる場合であっても、カバーテープCcの端面の下側で当たるのであれば、カバーテープCcは上方に逃げ、その下に刃先端が入り込むことができる。従って、底面加工面104を有するカッター30の端縁106が収納テープCXに当たる位置が、これらのばらつき許容範囲の略中央の高さ位置となるように、カッター30をテープ処理ユニット28に設けることが望ましい。
【0078】
更に、収納テープCXでは、図20図22に示したように、先頭の収納凹部Cbには電子部品Dを収納しないようにすることが好ましい。
【0079】
このようにすることにより、カッター30の端縁106が収納テープCXの先頭端面111に突き当たり、端面からカバーテープCcとキャリアテープCaの間に入り込み、切り開いていくとき、特に、カッター30が境界部分110より下の部分に当たった場合にも、カッター30が電子部品に当たることを確実に回避でき、カッター30が電子部品に当たり、収納テープの移動が停止して電子品の供給異常が起こることを回避することができる。
【0080】
そして、収納テープCXの先端から2番目であり、電子部品が収納されている収納凹部Cbの位置を、部品吸着取出位置PUに頭出しするためのピッチ送り動作を所定回数行う。この場合、先の収納テープCXの先端位置確定の位置からの累計送り量(第2スプロケット27のテープ送り歯の送り孔Cdへの嵌合によるサーボモータ32の駆動管理量)に従い、送りピッチに従っての収納凹部Cbの位置を部品吸着取出位置PUに運び込むための所定送り動作を実施する。
【0081】
この収納凹部Cbの位置の自動合わせは、収納テープCX先端の送り孔Cd基準に従った切断位置を元に、テーピング規格に則った収納凹部Cbの位置関係より、送り量をコントロールして行う。
【0082】
なお、上述した本発明の実施形態では、テープ処理ユニット28は、入口側(上流側)の高さが出口側(下流側)より高く、入口側から出口側に向かって(図7における右から左に向かって)斜めに下がるようにサプレッサ43に支持されているが、例えば、サプレッサ43を水平に支持し、このサプレッサ43にテープ処理ユニットを水平に支持し、テープ処理ユニットをその厚さが入口側から下流側に向かい次第に厚くなるように形成してもよい。即ち、上流側でのテープ処理ユニット28の下面と水平なシュート上面500との間隔が収納テープCXの厚さより大きく、テープ処理ユニット28の下面が入口側から出口側に向かって斜めに下がり、シュート上面500に対してテープ処理ユニット28の下面は斜めである。シュート上面500、即ち収納テープCXの載置面は上流から下流までほぼ水平な面である。このため、サプレッサ43及びテープ処理ユニット28を斜めにしなくともテープ処理ユニット28の下面とシュート上面500との間隔が入口側から出口側に向かって次第に小さくなり、カッター30より入口側で収納テープCXとの間隔がほぼゼロになるようにテープ処理ユニット28の下面を形成してもよい。また、サプレッサ43の上流側の部分である案内片280も水平に支持され、案内片280の下面が入口側から出口側に向かって次第に小さくなるように、上流側から下流側に案内片280の厚さを次第に厚くなるようにしてもよい。
【0083】
次に、カッターの他の実施例30Aを図25乃至図28を用いて説明する。カッター30以外は、上述した実施形態と同様である。図25図26は、先の実施例であるカッター30の上面図である図18に示す破線円部分の拡大図を示す図25は、図18と同様にカッター30Aの上面図を、図26はその側面図を示す。また、図25図26において、破線は先の実施例の部101の形状を示し、先の実施例と同じ構造であるならば同じ符号を付し、異なる構造であるならば同じ符号に添え字Aを付している。
【0084】
他の実施例の先の実施例と異なる点は、図25図26及びその符号からも分かるように、カッター30Aの端縁106Aと、部101Aである。先の実施例の部101の先端部の端縁106、即ち上部加工面(平坦部)105の先端は、僅かな所定の厚さ寸法を有し、且つ収納テープCXの搬送方向の直交方向に直線状を成しているのに対し、他の実施例の部101Aの先端部は、段落[0028]で記したように、カッター長手方向、即ち収納テープCXの搬送方向の垂直断面が丸みを帯びた所謂R形状(第2のR形状、第4のR形状)を有している。例えば、R0.03mm程度以上のR面取りが施される。
また、先の実施例のカッター30の部101は、上部加工面(平坦部)105の先端の両端から収納テープCXを搬送する下流方向に鋭角にC面取りされているのに対し、他の実施例では、部101Aの先端部は、端縁106Aの先端、即ち上部加工面(平坦部)105の先端の両端から収納テープCXの搬送方向と直交方向にそれぞれ延在する丸み帯びた所謂R形状部(第1のR形状)101Acを有する。この丸み形状にするため、例えば図25で示す平面視でR0.02mm程度の以上のR面取りが施される。
【0085】
他の実施例では、次の効果を奏する。
カッター30Aに送られてくる収納テープCXには、カバーテープCcがある幅を持って浮き上がって送られてくる場合がある。図27図28はその一例を示し、図27は、浮き上がって送られてきた収納テープCXをカッターから見た図であり、図28は、その状態を部品供給ユニットの側面側から見た図である。
浮き上がる原因として、収納テープCXの収納テープリールにおける巻回が第1に挙げられる。巻回されている収納テープCXが収納テープリールから送り出され、部品供給ユニット5に挿入されると、姿勢が円弧状態から直線状態に変わることによる。その浮き上がる確率は、収納テープリールに巻回半径が小さい状態にある収納テープCX程高い。
その他の原因としては、操作員が収納テープCXを扱っているときに収納テープCXに急激な曲げを与えてしまう場合が考えられる。
【0086】
このような浮き上がりが発生時に、他の実施例では、部101AのR形状部101Ac及び丸み形状の端縁106Aが、カバーテープCcの浮き上がった部分を突き破ることなくカバーテープCcをキャリアテープCaから離間することができる。なお、カバーテープCcは0.05mmから0.07mm程度の厚さで、その材質は例えばポリプロピレンやポリアミド等の樹脂がある。
特に、部101AのR形状部101Acの効果が大きい。従って、かならずしも端縁106AはR形状を有していなくてもよい。
また、端縁106Aは、収納テープCXの搬送方向の直交方向にある幅を有する直線状を成していたが、収納テープCXの搬送方向の水平方向にも、丸み形状部101Acの丸み形状と一体となった丸み形状(第3のR形状)を有してもよい。さらに、C面取りされた上部加工面105の外周の稜線部も丸み形状に面取りしてもよい。
【0087】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0088】
1:電子部品装着装置 5:部品供給ユニット
28:テープ処理ユニット 30、30A:カッター
43:サプレッサ 101、101A:刃部
101Ac:部の先端部の端縁の両側から水平方向に延在する丸み形状部
102:角状刃部 104:底面C面取り加工面(底面加工面)
105:上部C面取り加工面(上部加工面:平坦部)
106、106A:カッター及び部の端縁
図1
図2
図3
図4
図5
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