(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965496
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
H01M 8/247 20160101AFI20160721BHJP
H01M 8/24 20160101ALI20160721BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20160721BHJP
【FI】
H01M8/24 T
H01M8/24 E
!H01M8/10
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-550643(P2014-550643)
(86)(22)【出願日】2012年12月15日
(65)【公表番号】特表2015-506558(P2015-506558A)
(43)【公表日】2015年3月2日
(86)【国際出願番号】EP2012005179
(87)【国際公開番号】WO2013104395
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2014年7月17日
(31)【優先権主張番号】102012000266.1
(32)【優先日】2012年1月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・ギュントハルト
(72)【発明者】
【氏名】ピウス・コーブラー
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ‐ミヒャエル・メクス
(72)【発明者】
【氏名】ホルゲル・シュタルク
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ヴェルナー
【審査官】
小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−175808(JP,A)
【文献】
特開2007−173169(JP,A)
【文献】
特開2006−073459(JP,A)
【文献】
特開2007−073509(JP,A)
【文献】
特開2011−210604(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0123882(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0086292(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/247
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の積層された燃料電池ユニット(2)と少なくとも1つのスタック終端要素(3)から形成される燃料電池スタック(1)であって、前記積層された燃料電池ユニット(2)と前記スタック終端要素(3)はクランプ装置(4)によって締め付けられ、少なくとも前記締め付けられた燃料電池ユニット(2)がハウジング(7)により取り囲まれた燃料電池スタック(1)において、
前記ハウジング(7)と前記少なくとも1つのスタック終端要素(3)の間に、前記クランプ装置(4)の収容のための凹所(6.2)を有する、前記少なくとも1つのスタック終端要素(3)の周囲を取り巻くシール(6)が配置され、前記クランプ装置(4)は少なくとも前記凹所(6.2)の領域において絶縁体(5)により前記燃料電池ユニット(2)から電気的に絶縁されることを特徴とする燃料電池スタック(1)。
【請求項2】
前記クランプ装置(4)に少なくとも部分的に絶縁体(5)が成形されることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池スタック(1)。
【請求項3】
前記絶縁体(5)と前記シール(6)との間に嵌め合い結合および/または力嵌め結合が形成されるように、前記絶縁体(5)が前記凹所(6.2)の領域において形成されることを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池スタック(1)。
【請求項4】
前記絶縁体(5)が部分的に、前記凹所(6.2)の領域において外側に隆起部(5.1)を有することを特徴とする、請求項2または3に記載の燃料電池スタック(1)。
【請求項5】
前記絶縁体(5)がゴム、発泡体、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタンおよび/または熱可塑性ポリマーから形成されることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の燃料電池スタック(1)。
【請求項6】
前記シール(6)がゴム、発泡体、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタンおよび/または熱可塑性ポリマーから形成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料電池スタック(1)。
【請求項7】
前記クランプ装置(4)が、前記積層された燃料電池ユニット(2)と前記スタック終端要素(3)を取り巻く少なくとも1つの締め付けバンド(4.1)を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料電池スタック(1)。
【請求項8】
前記締め付けバンド(4.1)がグラスファイバーまたはステンレス鋼から形成されることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池スタック(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのスタック終端要素(3)が前記ハウジング(7)の蓋を形成することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の燃料電池スタック(1)。
【請求項10】
2つのスタック終端要素(3)において、前記スタック終端要素(3)の一方が前記ハウジング(7)の蓋を形成し、前記スタック終端要素(3)の他方が前記ハウジング(7)の底を形成することを特徴とする、請求項9に記載の燃料電池スタック(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においてハウジングを備えた燃料電池システムについて記載されており、これは少なくとも第一の燃料電池スタックと、第一の燃料電池スタックの周囲に配置された第二の燃料電池スタックとを含み、これらを互いに押し付ける。これに加えて燃料電池システムは、完全にハウジングの周囲を取り巻く締め付けバンドを有している。さらにハウジングはハウジングに対して密閉されるカバー要素を備えてもよい。
【0003】
さらに特許文献1には、複数の燃料電池スタックから燃料電池装置を作成する間に燃料電池スタックを収容および保持するためのハウジングについて記載されており、これは終端要素、柔軟な側壁、および接続要素を含み、ここでハウジングは締め付けバンドによって固定されている。さらに燃料電池装置の作成方法が記載されており、これには容器内の燃料電池の積層、燃料電池の押し付け、燃料電池スタックを積層された配置において固定するための、および/または燃料電池スタックを少なくとも部分的に押し付けるための接続要素の配置が含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0104260号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、先行技術に対してより優れた燃料電池スタックを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は本発明に基づき、請求項1に記載の特徴を有する燃料電池スタックによって解決される。
本発明の有利な形態は下位の請求項の対象である。
【0007】
燃料電池スタックは複数の積層された燃料電池ユニットと少なくとも1つのスタック終端要素から形成される。積層された燃料電池ユニットとスタック終端要素は少なくとも1つのクランプ装置によって締め付け可能であり、締め付けられた燃料電池ユニットはハウジングにより取り囲まれる。本発明に基づき、ハウジングと少なくとも1つのスタック終端要素の間に、クランプ装置の収容のための凹所を有する、周囲を取り巻くシール、特にリップシールが配置され、クランプ装置は少なくとも凹所の領域において電気的に絶縁されている。
【0008】
例えばリップシールとして形成されたシールと電気的に絶縁されたクランプ装置は、有利な方法において密閉しながら相互に作用し、これによって燃料電池スタックとハウジングとの間の領域に湿気が入り込むことを防ぐ。
【0009】
燃料電池スタックの締め付けのためのクランプ装置とスタック終端要素のハウジングに対する密閉との組み合わせによって、さらに燃料電池スタックのための密閉システムを簡易かつ安価に作成することが可能になり、取り付けスペースを小さくすることができる。
【0010】
クランプ装置の電気的な絶縁のために、クランプ装置に対して絶縁体が成形され、例えば射出成形法等によって成形されると好ましい。絶縁体は特にハウジングの領域においてクランプ装置に対して成形されると好ましく、これによって隣接する燃料電池ユニットとの電気的な絶縁性が向上する。
【0011】
嵌め合い結合によるクランプ装置の収容のために凹所の形状および/または寸法が、クランプ装置に対して成形された絶縁体の外部の形状および/または寸法に対応し、これによって燃料電池スタックの組み立てが簡易な方法で可能となり、燃料電池スタックの稼働中の密閉効果が確保される。
【0012】
クランプ装置の絶縁体と特にリップシールとして形成されたスタック終端要素のシールとの間に嵌め合い結合および/または力嵌め結合が形成されるように、クランプ装置の絶縁体が凹所の領域において形成されると好ましく、これによってリップシール、およびこれとともにハウジングに密閉効果を与えるプレストレスが生み出されるように形成されると特に好ましい。プレストレスの強化のためにクランプ装置の絶縁体は部分的に、特に凹所の領域において隆起部を有する。
【0013】
クランプ装置の絶縁体とシールの密閉効果を最適化するために、これらはゴム、発泡体、熱可塑性ポリウレタン、ポリ塩化ビニルおよび/または熱可塑性ポリマーから形成される。これらの電気的絶縁性を有する材料は高い化学的耐久性、耐熱性、および高い腐食特性において優れている。
【0014】
ここでクランプ装置は、積層された燃料電池ユニットとスタック終端要素を取り巻く少なくとも1つのストリップ状または帯状の締め付けバンドを含む。この種の締め付けバンドは重量が非常に軽く、設置スペースが小さく、さらに簡易かつ安価に作成および取り付けができる。クランプ装置が複数の締め付けバンドを有すると特に好ましく、これによって燃料電池スタックの押し付けが有利な方法で最適化され、また燃料電池スタックとハウジングの間の密閉効果が向上する。
【0015】
締め付けバンドは、本発明の特に好ましい形態においては、グラスファイバーまたはステンレス鋼から形成されている。グラスファイバーとステンレス鋼による材料は耐食性と化学的耐久性を備え、特にグラスファイバー材料はこれに加えて高い引張係数を有する。
【0016】
燃料電池スタックのスタック終端要素が、特に一方が開いたハウジングとして形成されたハウジングの蓋を形成すると特に好ましい。これにより、設置スペースと部品の必要が最適化される。スタック終端要素はこれによって複数の機能を満たし、積層された燃料電池ユニットの端面の境界としても、燃料電池スタックのカバー要素としても機能する。
【0017】
その代わりとして、または追加で、ハウジングは両面の開いたハウジングとして形成されており、燃料電池スタックは2つのスタック終端要素を含み、スタック終端要素の一方は蓋を形成し、スタック終端要素の他方は燃料電池スタックの底を形成する。
【0018】
本発明の実施例を下記に図を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ハウジングおよび境界スタック終端要素ならびに成形された絶縁体を備えたクランプ装置を有する、燃料電池スタックの一部分の概略的な斜視図である。
【
図2】クランプ装置を有さない、
図1の一部分の概略的な斜視図である。
【
図3】クランプ装置と絶縁体を有さない、
図1の一部分の概略的な斜視図である。
【
図4】成形された絶縁体を備えたクランプ装置の概略的な斜視図である。
【
図5】組み立てられた状態の燃料電池スタックの概略的な斜視図である。
【
図6】ハウジングを備えた
図5の燃料電池スタックの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
全ての図において、互いに対応する部分には同じ参照番号が付されている。
【0021】
図1〜3は複数の積層された燃料電池ユニット2と、部分的に絶縁体5で取り囲まれたクランプ装置4を備えた2つのスタック終端要素3を有する燃料電池スタック1の一部分の斜視図であり、ここで
図2は絶縁体5のみを備えクランプ装置4を備えない燃料電池スタック1を示し、
図3はクランプ装置4も絶縁体5も備えない燃料電池スタック1を示す。
図4は個々のクランプ装置4の斜視図であり、
図5は組み立てられた状態の燃料電池スタック1であり、
図6はハウジング7を備えた
図5の燃料電池スタック1であり、ここではハウジング7の取り付けを矢印で示している。
【0022】
燃料電池スタック1は、例えば固体電解質形燃料電池等の高温燃料電池ユニットとして、または、例えば固体高分子形燃料電池等の低温燃料電池ユニットとして形成された複数の積層された燃料電池ユニット2から構成され、固体高分子形燃料電池(PEMFC)の方が好ましい。
【0023】
積層された燃料電池ユニット2とスタック終端要素3は、クランプ装置4によって互いに締め付けられている。さらにクランプ装置4は
図5に示すように、複数の、特に3つのストリップ状または帯状の、下記に締め付けバンド4.1として示す締め付け要素を有し、これらは燃料電池ユニット2とスタック終端要素3の周囲をそれぞれ取り巻き、これらを互いに締め付け、スタック方向sに対して横方向に互いに間隔を置いている。このように形成された締め付けバンド4.1は重量が非常に軽く、設置スペースが小さく、さらに簡易かつ安価に作成および取り付けができる。さらにこのようなクランプ装置4の形成と配置によって、燃料電池スタック1への最適な力の作用が可能となる。
【0024】
図4に示すように、締め付けバンド4.1はスタック終端要素3のうちの1つ、特に下部エンドプレート3.2を取り囲んで伸びている。締め付けバンド4.1の末尾または末尾部分4.1.1はループ状またはかぎ形状に形成されるか、もしくはフック状のループまたはフック状のかぎを備えている。下部エンドプレート3.2に向かい合う上部のエンドプレート3.1は接続要素3.1.1を有し、これは締め付けバンド4.1のループ状またはかぎ形状の末尾部分4.1.1に対応して形成されているため、これらは互いに嵌め合い結合により、および/または力嵌め結合により接続される。
【0025】
接続要素3.1.1は可能な実施形態において別々に形成され、嵌め合い結合、材料結合および/または力嵌め結合によりスタック終端要素3と接続され、特にねじ止めされている。あるいは、接続要素3.1.1はスタック終端要素3に例えば成形によって一体化されてもよい。特に接続要素3.1.1とスタック終端要素3は、例えば形状部分のような一体化された構成部分を形成してもよい。接続要素3.1.1は、例えばスタック終端要素3の開口部へ突出するループ、または開口部へ突出するかぎとして形成される。
【0026】
締め付けバンド4.1の末尾部分4.1.1がかぎまたはループとして形成されることによって、締め付けバンド4.1を簡易な方法で、これに対応して形成されたスタック終端要素3の接続要素3.1.1から外すことができる。
【0027】
締め付けバンド4.1が燃料電池スタック1の締め付けのための引張力を、燃料電池スタック1を通して積層された燃料電池ユニット2とスタック終端要素3へ伝えるため、締め付けバンド4.1を用いてスタック終端要素3と燃料電池ユニット2は、燃料電池スタック1が組み合立てられた状態で互いに締め付けられる。
【0028】
積層された燃料電池ユニット2は、
図6に示すハウジング7で少なくとも部分的に取り囲まれていると好ましい。燃料電池スタック1の中に積層された燃料電池ユニット2が、全てハウジング7に取り囲まれていると好ましい(図示せず)。ハウジング7は両面が開いたハウジング7として形成され、取り付けられた状態において(ハウジング7の取り付けは
図6に矢印で示す)解放した端部がそれぞれスタック終端要素3の端部または上面に連結し、スタック終端要素3のうち1つが燃料電池スタック1の上側の面を上部エンドプレート3.1の形で収め、もう1つのスタック終端要素3が燃料電池スタック1の下側の端面を下部エンドプレート3.2の形で収める。
【0029】
上部エンドプレート3.1がハウジング7の蓋を形成し、下部エンドプレート3.2がハウジング7の底を形成すると特に好ましい。もしくは、ハウジング7は一方が開いたハウジング7として形成されてもよく、この開いた端部はスタック終端要素3の1つによって収められる。
【0030】
少なくとも1つのスタック終端要素3が、プラスチック射出成形方法において金属・樹脂の合成部品として一体成形で作成されると好ましい。
【0031】
金属・樹脂の合成部品としてのスタック終端要素3の形成により、2つの異なる材料の特徴の組み合わせが可能となる。金属部分によって引張力を広範囲に燃料電池ユニットへ伝達でき、車体等の軸受構造への接続ポイントが実現可能となる。さらに、金属部分は材料の形態および温度安定性にも非常に優れている。金属材料として、ここではスチール等の金属合金も適している。
【0032】
金属部分へ成形された補強部分によって、燃料電池スタック1の環境に対する電気的絶縁が実現できる。さらに補強部分によって、燃料電池スタック1のハウジング7との接触面、燃料電池スタック1の外または中への気体または液体媒体の供給および排出、および媒体の電気的な絶縁と腐食防止のための隔離の両方が実現できる。これにより補強部分は金属部分を最適化する。プラスチックもしくは有機ポリマーとしては特に熱可塑性材料が適している。
【0033】
ハウジング7と上部エンドプレート3.1との間に、周囲をめぐるシール6が配置されており、特に成形されている。ここに示すある可能な実施形態では、周囲をめぐるシール6はリップシール6.1として実施されている。あるいは、シールはリングシールとして形成されてもよい。
【0034】
これによって上部エンドプレート3.1は好ましい方法でハウジング7に対して密閉される。下部エンドプレート3.2とハウジング2の間に別のリップシール6.1が配置されていると特に好ましく、これによって下部エンドプレート3.2がハウジング7に対して密閉される。
【0035】
リップシール6.1は電気的に絶縁性の材料、特に合成ゴム、例えばエチレンプロピレンジエンモノマー、ニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリル酸ゴム、パーフルオロゴム、ポリクロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ポリエステルウレタンゴム、ブチルゴム、または天然ゴムもしくは多孔質ゴム、発泡体、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性ポリウレタン等から作成されることが好ましい。これらの電気的に絶縁性の材料は化学的耐久性と耐熱性と高い腐食特性において優れている。
【0036】
リップシール6.1はこの実施例において締め付けバンド4.1の収容のための凹所6.2を有しており、この凹所はハウジング7によって燃料電池ユニット2の領域において囲まれ、リップシール6.1の領域で外部に配置される。
【0037】
締め付けバンド4.1はさらに、少なくともそれぞれリップシール6.1の凹所6.2の領域において、成形された絶縁体5を有する。絶縁体5が、
図4と5に示すように、燃料電池ユニット2に接している締め付けバンド4.1の領域上に伸びていると好ましく、これによって絶縁体に隣接する燃料電池ユニット2の電気的絶縁性が向上する。
【0038】
凹所6.2は絶縁体5の形状および/または外寸に対応する形状もしくは寸法を有すると好ましく、こうして絶縁体5が嵌め合い結合および/または力嵌め結合によって凹所6.2に配置され、これによってリップシール6.1とハウジング7に対するプレストレスと、これとともに密閉効果がもたらされると特に好ましい。プレストレスの強化のために絶縁体5は凹所6.2の領域に、
図1,2,4,5および6に示す隆起部5.1を備える。
【0039】
絶縁体5はリップシール6.1と同じ材料、またはリップシール6.1のための既述のような他の材料から形成されると好ましい。絶縁体5は射出成形法によって締め付けバンド4.1上に取り付けられると好ましい。ここに示す実施例では、絶縁体5が締め付けバンド4.1を規定の領域に完全に包囲している。
【0040】
さらに、締め付けバンド4.1が少なくともハウジング2とリップシール6.1をスタック方向sへ延びる方向に沿って取り巻くように配置されているため、締め付けバンド4.1のために2つの向かい合う凹所6.2を備えている。別の構成または追加的な構成においては、ハウジング2と、例えば下部エンドプレート3.2のようなスタック終端要素3のもう一方との間に配置されたリップシール6.1は、これに応じた凹所6.2を締め付けバンド4.1の収容のために有している。
【0041】
絶縁体5とリップシール6.1は有利な方法においては密閉しながら相互に作用し、スタック終端要素3とハウジング7との間の領域に湿気が入り込むことを防ぐ。燃料電池スタック1の締め付けのためのクランプ装置4と密閉の組み合わせによって、結合プロセスが不要であり、また取り付けスペースが少なくなるため、さらに燃料電池スタック1のための密閉システムを簡易かつ安価に作成することが可能になる。
【0042】
その上、密閉システムは燃料電池スタック1のスタックの高さに関わらず使用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 燃料電池スタック
2 燃料電池ユニット
3 スタック終端要素
3.1 上部エンドプレート
3.1.1 接続要素
3.2 下部エンドプレート
4 締め付け装置
4.1 締め付けバンド
4.1.1 末尾部分
5 絶縁体
5.1 隆起部
6 シール
6.1 リップシール
6.2 凹所
7 ハウジング
s スタック方向