(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965554
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ透明複合電極の製作方法
(51)【国際特許分類】
H01B 13/00 20060101AFI20160728BHJP
C01B 31/02 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
H01B13/00 503B
C01B31/02 101F
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-551963(P2015-551963)
(86)(22)【出願日】2013年12月14日
(65)【公表番号】特表2016-504738(P2016-504738A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】CN2013089463
(87)【国際公開番号】WO2014108015
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】201310012106.9
(32)【優先日】2013年1月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177893
【氏名又は名称】北京阿格蕾雅科技発展有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ハウ▼ 海燕
(72)【発明者】
【氏名】戴 雷
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
【審査官】
和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】
Feng C, Liu K, Wu J S, et al.,Flexible, Stretchable, Transparent Conducting Films Made from Superaligned Carbon Nanotubes,J. Adv. Funct. Mater.,WILEY InterScience,2010年 2月25日,Volume 20,Issue 6,p.885-p.891
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/00
C01B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子の透明基板と透明基板の表面に形成されるCNT複合薄膜とを含み、前記CNT複合薄膜がCNT薄膜及び導電性高分子膜によって構成されるカーボンナノチューブ透明複合電極の製作方法であって、
高分子の透明基板に超連続的に配列するカーボンナノチューブ薄膜を敷設する際に、Siシート上で成長させた超連続的に配列するカーボンナノチューブに対して辺縁から膜引き部材によって所定の幅のカーボンナノチューブ膜層を抜出すことにより所定区域を満たすように前記膜層を高分子の透明基板の表面に敷設し、レーザカット方法またはエタノール収縮方法を使用してカーボンナノチューブ薄膜を切断するステップ(1)と、
カーボンナノチューブ薄膜が敷設された基板を相対して回転する一対のローラの間に通過させ、1つまたは2つの前記ローラの表面に導電性高分子水溶液が塗布されることでカーボンナノチューブ薄膜の表面に1層の導電性高分子膜を粘着させるステップ(2)とを含むカーボンナノチューブ透明複合電極の製作方法。
【請求項2】
前記ローラの表面粗さRaが0.01〜0.02μmである請求項1に記載のカーボンナノチューブ透明複合電極の製作方法。
【請求項3】
前記ローラ間の挟持する隙間の最小距離が基板の厚さである請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ透明複合電極の製作方法。
【請求項4】
前記導電性高分子水溶液の粘度が1〜10×10−3Pa・sである請求項1〜3のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ透明複合電極の製作方法。
【請求項5】
前記導電性高分子水溶液の主要組成成分は、1)ポリアニリン、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン、ポリアセチレンまたは/及びポリピロール、2)助溶剤:ポリスチレンスルホン酸塩、カンファースルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸及びその塩、パルミチルスルホン酸及びその塩または/及びナフタレンスルホン酸及びその塩、3)改質助剤:プロパンジオール、ソルビトール、ジメチルスルホキシドまたは/及びN,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、4)残量が水である請求項1〜4のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ透明複合電極の製作方法。
【請求項6】
前記導電性高分子水溶液が1.8%のPEDOT:PSS水溶液であり、その具体的な組成は、
【表1】
である請求項5に記載のカーボンナノチューブ透明複合電極
の製作方法。
【請求項7】
前記ローラの内部には加熱部材が設けられる請求項1〜6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ透明複合電極の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明複合電極に関し、特にカーボンナノチューブ透明複合電極の製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル、OLEDパネル、タッチスクリーン、電子用紙、太陽電池等のディスプレイ部品には、透明電極が共に不可欠な部分である。従来の透明電極は、主に透過率及び抵抗率を性能要求として含み、透過率が80%以上、抵抗率が500Ω/sqm以下であることが要求される。但し、科学技術の発展及びニーズの増加に伴って、透明電極は、透過率及び抵抗率以外にも、さらにフレキシブル性、可撓性が要求されている。酸化インジウムスズ(ITO)でガラス基板にITO薄膜を形成することによって優れた光透過性及び導電性を表し、現在では、商業化されたITO電極が透明電極の応用分野において主導的な地位を占めている。しかしながら、透明電極の応用分野が多元化するのに伴って、透明電極のシート抵抗が低く、可視光範囲内に透過率を有し、フレキシブル性が良好で、大面積に精細塗布して膜を形成するプロセス等を簡単な操作で実現することが要求される。ITO薄膜の応用展開において技術上克服しにくい課題として、例えば、ITO電極を高温で製作するプロセス条件(蒸着法またはスパッタリング法)、破砕されやすく、シート抵抗を下げにくく、均一性が悪く、色が黄変し、青光が投射しにくい等の問題が存在する。さらに、ITO薄膜を融点が低いフレキシブル基板に適応させる場合、堆積できるのは低温下のみになり、製作されたITO導電性薄膜は抵抗率が高く、透明度が悪く、フレキシブル基板との付着力が悪く、湾曲する時に折れや裂けが生じやすくて、装置の失効を引き起こす。また、常用されている高分子のフレキシブル基板材料とITOとの熱膨張係数が相反するため、装置の稼動による熱でITO導電性薄膜が脱落して失効を引き起こす。さらに、ITO薄膜に使用されるインジウム資源が欠乏しているため、ITO薄膜の製作コストの高騰に至り、これも新型の透明導電電極材料を開発する推進力となっている。
【0003】
カーボンナノチューブは典型的な層状中空構造を特徴とするカーボン材料であり、カーボンナノチューブを構成するチューブ本体が炭素からなる六員環構造ユニットによって構成され、特殊な構造(径方向サイズがナノメートルスケール、軸方向サイズがマイクロメートルスケールである)を有する一次元量子材料で、チューブ壁は主に数層〜数十層の同軸円チューブから構成されている。層間は固定的距離、約0.34nmで維持され、直径が通常2〜20nmである。カーボンナノチューブにおける炭素原子のp電子が広範囲の非局在化π結合を形成し、共役効果が顕著であるため、カーボンナノチューブは特殊な電気学性質を有する。カーボンナノチューブの構造は、黒鉛のシート層構造と同様であるため、非常によい電気学性能を有する。カーボンナノチューブ材料は、その高い電子遷移率、低い抵抗率及び高い透明度によって、ITOの代わりになる透明電極であることが既に科学研究及び産業界で認められている。
【0004】
現在、カーボンナノチューブ透明電極を製作する方法の多くが、湿法製作と乾法製作に分けられる。
湿法合成は、主にカーボンナノチューブ粉末を溶液に均一に分散させて薄膜製作を行うことを指し、非特許文献1の真空ろ過転移法、非特許文献2のスプレー塗布法、非特許文献3の回転塗布法、非特許文献4の引き上げ法、非特許文献5のLB法、非特許文献6の電気泳動法等を含む。乾法製作は、非特許文献7のエアロゾル直接合成法、非特許文献8の超アレイ引き上げ法等を含む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Green A A, Hersam M C. Colored Semitransparent Conductive Coatings Consisting of Monodisperse Metallic Single -Walled Carbon Nanotubes[J]. Nano Lett., 2008, 8(5): 1417-1422.
【非特許文献2】Kang S J, Song Y, Yi Y, et al. Work-Function Engineering of Carbon Nanotube Transparent Conductive Films[J].Carbon, 2010, 48(2):520-524.
【非特許文献3】Meitl M A, Zhou Y X, Gaur A, et al. Solution Casting and Transfer Printing Single-Walled Carbon Nanotube Films [J]. Nano. Lett.,2004, 4(9):1643-1647.
【非特許文献4】Ng M H A, Hartadi L T, Tan H , et al. Efficient Coating of Transparent and Conductive Carbon Nanotube Thin Films on Plastic Substrates[J]. Nanotechnology, 2008, 19: 205703.
【非特許文献5】Li X L, Zhang L, Wang X R, et al. Langmuir-Blodgett Assembly of Densely Aligned Single-Walled Carbon Nanotubes from Bulk Materials[J]. J. Am. Chem. Soc., 2007, 129(16): 4890-4891.
【非特許文献6】Pei S F, Du J H, Zeng Y, et al. The Fabrication of a Carbon Nanotube Transparent Conductive Film by Electrophoretic Deposition and Hot-Pressing TRANSFER[J]. Nanotechnology, 2009, 20:235707.
【非特許文献7】Fraser I S, Motta M S, Schmidt R K, et al. Continuous Production of Flexible Carbon Nanotube-Based Transparent Conductive Films[J]. Sci. Technol. Adv. Mater., 2010, 11(4), 045004.
【非特許文献8】Feng C, Liu K, Wu J S, et al. Flexible, Stretchable, Transparent Conducting Films Made from Superaligned Carbon Nanotubes [J]. Adv. Funct. Mater., 2010, 20(6):885-891.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
湿法で製作されたカーボンナノチューブ透明電極は、カーボンナノチューブの分散が不均一になるといった問題があり、製作された電極が局部的な欠陥によって電極の失効を引き起こす。このため、現在の研究は実験室研究のみに制限され、大面積応用については非常に大きな技術的チャレンジが必要である。
【0007】
乾法−エアロゾル直接合成法によるカーボンナノチューブ透明電極のプロセスは、気相堆積炉で生成されたカーボンナノチューブエアロゾルを透明重合帯体に放った後、柱状から平坦な膜状に崩す。この方法で製作されたカーボンナノチューブ透明電極の形状及び品質は、反応過程における複数の要因、例えば化学気相堆積炉の温度、水素のキャリアガスの流速、フレキシブル基板の周回速度等に影響される。堆積膜の幅が反応炉の出口の直径に制限されることによって、カーボンナノチューブ透明電極を大面積で製作することも制限される。
【0008】
超アレイ引き上げ法は、カーボンナノチューブの伸展性を利用し、カーボンナノチューブを無限の長い薄膜に延伸させることができる。超連続的に配列するカーボンナノチューブアレイがアニール処理された後、CNTのアレイ方向が垂直から水平に変更される。延伸する時に、それをフレキシブル基板と延伸膜との間に置き、2つのローラによってそれを押圧する。超アレイ引き上げ法は、湿法合成法と比べ、プロセスが簡単で、CNT利用率が高く、費用が低く、膜形成の品質が高く、工業化の量産に用いることができる。但し、カーボンナノチューブとフレキシブル基板との結合は、機械押圧法によってフレキシブル基板の表面に付着させるだけであり、そのプロセス操作過程はカーボンナノチューブ膜層の不堅牢によって電極の品質に制限を与える。さらに、このプロセス方法は、同一の基板に複数回の操作を行うことが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は新型のカーボンナノチューブ透明複合電極の製作方法を開示する。本発明は超連続的に配列するカーボンナノチューブ薄膜[Feng C, Liu K, Wu J S, et al. Flexible, Stretchable, Transparent Conducting Films Made from Superaligned Carbon Nanotubes [J]. Adv. Funct. Mater., 2010, 20(6):885-891.]を導電基板とし、導電性高分子をキャリアとして1層または複数層の層状構造を形成する。形成されたCNT透明複合電極薄膜は優れた導電性を表し、室温条件下で機械押圧プロセスを使用して、大面積にカーボンナノチューブ透明複合電極を製作することができる。このCNT透明複合電極は、フレキシブルOLEDディスプレイ部品、太陽電池、液晶ディスプレイ、タッチスクリーンパネル等の部品に応用することができる。
【0010】
カーボンナノチューブ透明複合電極は、高分子の透明基板と透明基板の表面に形成されるCNT複合薄膜とを含み、このCNT複合薄膜がCNT薄膜及び導電性高分子膜によって構成され、その製作方法は、高分子の透明基板に超連続的に配列するカーボンナノチューブ薄膜を敷設する際に、Siシート上で成長させた超連続的に配列するカーボンナノチューブに対して辺縁から膜引き部材によって所定の幅のカーボンナノチューブ膜層を抜出すことにより所定区域を満たすようにその膜層を高分子の透明基板の表面に敷設し、レーザカット方法またはエタノール収縮方法を使用してカーボンナノチューブ薄膜を切断するステップ(1)と、カーボンナノチューブ薄膜が敷設された基板を相対して回転する1対のローラの間に通過させ、1つまたは2つのローラの表面に導電性高分子水溶液が塗布されることでカーボンナノチューブ薄膜の表面に1層の導電性高分子膜を粘着させるステップ(2)とを含む。
【0011】
ローラの表面粗さRaが0.02〜0.01μmである。
【0012】
ローラ間の挟持する隙間の最小距離が基板の厚さである。
【0013】
導電性高分子水溶液の粘度が1〜10×10
−3Pa・sである。
【0014】
導電性高分子水溶液の主要組成成分は、1)ポリアニリン、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン、ポリアセチレンまたは/及びポリピロール、2)助溶剤:ポリスチレンスルホン酸塩、カンファースルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸及びその塩、パルミチルスルホン酸及びその塩または/及びナフタレンスルホン酸及びその塩、3)改質助剤:プロパンジオール、ソルビトール、ジメチルスルホキシドまたは/及びN,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、4)残量が水である。
【0015】
導電性高分子水溶液が1.8%のPEDOT:PSS水溶液であり、その具体的な組成は、
【表1】
【0016】
ローラ内部には加熱部品が設けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明はカーボンナノチューブ(CNT)薄膜によって透明導電複合電極を製作する方法を開示する。CNT透明薄膜電極は、高分子の透明基板と透明基板の表面に形成されたCNT複合薄膜とを含み、そのうち、CNT導電性薄膜がCNT薄膜及び導電性高分子膜によって構成される。本発明は、基板との付着力が良好であるカーボンナノチューブアレイ薄膜と液相の導電性高分子とを用いて機械押圧することで1つのCNT複合薄膜を形成する。CNT透明複合電極は、優れた導電性を表し、室温条件下で機械押圧の湿法プロセスを行うことで透明のCNT複合電極を製作することができる。高分子導電膜が溶液の状態でカーボンナノチューブ薄膜の表面に粘着され、高分子導電膜とカーボンナノチューブ延伸膜と基板との間には良好な結合力が生じるため、複数層のプロセス操作に適する。本発明により形成された膜は、1層または複数層の複合薄膜である。CNT膜層は本来比較的薄く、単層CNT膜層の厚さが数nm〜数十nmであるため、膜層が敷設される過程において局所的に破壊される可能性があるが、複数層に敷設することでCNT導電層の平面または三次元の導電性を保証することができる。このプロセス方法は製作コストが安価であり、大面積の透明電極を製作することができる。このCNT透明電極は、光透過性及び導電性が要求される各種類の装置、例えばフレキシブル有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、太陽電池、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP)、画像センサ、タッチスクリーンパネル等に応用することができる。
【0018】
CNT透明複合電極は、光透過性及び導電性が要求される各種類の装置、例えばフレキシブル有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、太陽電池、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP)、画像センサ、タッチスクリーンパネル等の電極材料に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】Siシートにおいてカーボンナノチューブ薄膜の製作を示す図である。
【
図2】透明基板におけるカーボンナノチューブ薄膜の概略図である。
【
図3】カーボンナノチューブ高分子複合薄膜の製作概略図である。
【
図4】カーボンナノチューブ高分子複合薄膜の概略図である。
【
図5】多層カーボンナノチューブ高分子複合薄膜の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
カーボンナノチューブ透明複合電極を製作する主要技術は2つの部分に分けられる。(1)カーボンナノチューブ薄膜と基板との間の付着がカーボンナノチューブ薄膜2の表面と透明基板1との間の表面分子間力によって結合される。具体的な膜形成の概略図は
図1に示される。カーボンナノチューブ薄膜2と透明基板1との間の付着力を保証するために、
図2に示されるような形状のカーボンナノチューブ薄膜2をエタノール噴霧の環境内に平坦に置いて収縮させることができる。膜を一回引張った後に形成されたカーボンナノチューブ薄膜2がエタノールの蒸気環境において、自ら収縮して安定な線状のカーボンナノチューブ束により構成された構造に形成されることができる。エタノール分子がその表面に吸着して、その表面極性を修飾することができ、同時に、カーボンナノチューブ薄膜2と透明基板1との結合力も増強し、得られたカーボンナノチューブ薄膜2が輸送環境及び放置過程において容易に破壊されることを無くすことができる。
図2に示されるカーボンナノチューブ薄膜が敷設された透明基板4を相対して回転する一対のローラ5に通過させる。ローラ5の表面粗さRaが0.02〜0.01μmで、ローラ5間の挟持する隙間の最小距離が透明基板1の厚さであることが要求される。ローラ5の表面に粘度が1
−10×10
−3Pa・sである高分子水溶液を塗布し、高分子体の粘度を確保するように、必要に応じてある程度の加熱部材を添加することによってローラ温度に対する制御を実現してもよい。ローラ5の上方から出た基板の表面には、カーボンナノチューブを有する導電性高分子複合薄膜3が形成される。
図3が複合薄膜3の製作概略図で、形成された薄膜構造が
図4に示される。ニーズに応じて、
図4におけるカーボンナノチューブ高分子薄膜にもう一回カーボンナノチューブ膜を敷設した後に導電性高分子層を粘着することができ、さらに複数回で操作することができる。
【0021】
導電性高分子水溶液の成分は、1)ポリアニリン、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン、ポリアセチレンまたは/及びポリピロール、2)助溶剤:ポリスチレンスルホン酸塩、カンファースルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸及びその塩、パルミチルスルホン酸及びその塩または/及びナフタレンスルホン酸及びその塩、3)改質助剤:プロパンジオール、ソルビトール、ジメチルスルホキシドまたは/及びN,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、4)残量が水である。
【0022】
製作方法は、全ての成分を割合に基づいて所定の溶剤に溶解し、その濃度は水または相応する溶剤を添加することによって調整できる。
例えば、導電性高分子水溶液が1.8%のPEDOT:PSS水溶液であり、
【表2】
【0023】
カーボンナノチューブ透明複合電極の製作は、高分子透明基板1に超連続的に配列するカーボンナノチューブ薄膜2を敷設する際に、Siシート6上で成長させた超連続的に配列するカーボンナノチューブに対してその辺縁から膜引き部材7によって所定の幅のカーボンナノチューブ膜層を抜出すことにより所定区域を満たすようにその膜層を高分子透明基板1の表面に並べて敷設し、レーザカット方法またはエタノール収縮方法を使用してカーボンナノチューブ薄膜を切断するステップ(1)と、カーボンナノチューブ薄膜が敷設された基板4を相対して回転する一対のローラ(導電性高分子水溶液がローラに塗布される)5の間に通過させ、カーボンナノチューブ薄膜2の表面に1層の導電性高分子膜を粘着させるステップ(2)とを含む。
【符号の説明】
【0024】
1 透明基板、2 カーボンナノチューブ薄膜、3 カーボンナノチューブ複合薄膜、4 カーボンナノチューブ薄膜が敷設される透明基板、5 ローラ、6 Siシート、7 膜引き部材。