特許第5965640号(P5965640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5965640(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩およびその結晶形態
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965640
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩およびその結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20160728BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20160728BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160728BHJP
   C07D 407/14 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   C07D401/12CSP
   A61K31/4709
   A61P35/00
   C07D407/14
【請求項の数】2
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2011-289220(P2011-289220)
(22)【出願日】2011年12月28日
(62)【分割の表示】特願2010-258729(P2010-258729)の分割
【原出願日】2008年10月16日
(65)【公開番号】特開2012-67131(P2012-67131A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2011年12月28日
【審判番号】不服2015-1836(P2015-1836/J1)
【審判請求日】2015年1月30日
(31)【優先権主張番号】61/124,796
(32)【優先日】2007年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】309040701
【氏名又は名称】ワイス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】キングホング ル
(72)【発明者】
【氏名】マンチング シェリー ク
(72)【発明者】
【氏名】ワーレン チェウ
(72)【発明者】
【氏名】グロリア ケイ. チェアル
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー エフ. ハドフィールド
(72)【発明者】
【氏名】マフムード ミルメフラビ
【合議体】
【審判長】 井上 雅博
【審判官】 中田 とし子
【審判官】 冨永 保
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/127207(WO,A1)
【文献】 新医薬品の規格及び試験方法の設定について,医薬審発第568号,2001年
【文献】 有機合成化学協会誌,2007年,65(9),p.907−913
【文献】 PHARM STAGE,2007年,6(10),p.20−25
【文献】 PHARM STAGE,2007年,6(10),p.48−53
【文献】 J.Med.Chem.,2005年,48(4),p.1107−1131
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAPLUS/STN
REGISTRY/STN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物塩の形態IIとして調製する方法であって、該方法は:
i)(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドと、マレイン酸とを水−アルコール溶液中で、0℃〜0℃の範囲の温度で混合する工程;
ii)0℃の温度に該溶液を冷却し、冷却された該溶液を0℃に2時間維持し、該マレイン酸塩を沈殿させる工程;
iii)冷却された該溶液を、少なくとも4時間にわたり室温(5℃)にまでさらに冷却し、さらに冷却された該溶液を室温(5℃)に少なくとも2時間維持する工程;および
iv)維持され、さらに冷却された該溶液をろ過して、結晶性の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物を得る工程、
を包含し、
得られた該結晶性の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の形態IIを含み、
得られた該結晶性の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の形態IIは、X線回折パターンにおいて以下の2θ角(±0.20°):6.53、8.43、10.16、12.19、12.47、13.01、15.17、16.76、17.95、19.86、21.11、21.88、23.22、23.78、25.69、26.17、27.06、27.58、28.26、28.73、および29.77におけるX線回折ピークを特徴とする方法。
【請求項2】
得られた前記結晶性の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の形態IIは、.5重量%〜.7重量%の水分含量を有する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリ
ノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブ
テンアミドのマレイン酸塩、その結晶形態、塩を調製する方法、関連する化合物、そのマ
レイン酸塩を含有する医薬組成物、およびそれらの使用方法に関する。(E)−N−{4
−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキ
シ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩は、
癌の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
3−シアノキノリンから誘導された化合物は、抗腫瘍活性を有することが示されており
、この活性は、これに限定されるものではないが、膵臓癌、黒色腫、リンパ癌、耳下腺腫
瘍、バレット食道、食道癌腫、頭頸部腫瘍、卵巣癌、乳癌、類表皮腫瘍、腎臓、膀胱、喉
頭、胃、および肺などの主要器官の癌、結腸ポリープ、および結腸直腸癌、ならびに前立
腺癌を含めた種々の癌の治療において、それらの化合物を化学療法剤として有用なものと
する可能性がある。3−シアノキノリンから誘導された化合物の例は、米国特許第600
2008号、第6432979号、および第6288082号に開示され、抗腫瘍活性を
有することが示されている。ある種の3−シアノキノリン化合物の限界の1つは、遊離塩
基形態で水溶性でないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その塩、水和物、および/または任意の多形としての特定の薬物の結晶形態はしばしば
、薬物の調製の容易さ、安定性、水溶性、貯蔵安定性、配合の容易さ、およびin vi
vo薬理の重要な決定要因の1つである。調製の容易さ、安定性、水溶性、および/また
は優れた薬物動態などのある種の側面が重要であるとみなされる場合、1つの結晶形態が
別の結晶形態より好ましい可能性がある。遊離塩基より高い水溶解度を有するが安定であ
る(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−
シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド
塩の結晶形態は、キナーゼ活性を選択的に阻害し、次いで細胞増殖および腫瘍形成を阻害
する置換3−シアノキノリン化合物の安定な結晶水溶性形態という、満たされていない要
求をかなえるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、無水物形態、一水和物形態、および無水物形態と一水和物形態の混合物(部
分水和物形態と称する)として単離され、特徴づけられた、(E)−N−{4−[3−ク
ロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キ
ノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の結晶形態を提供
する。本発明はまた、このマレイン酸塩およびその結晶形態を使用する方法、ならびにそ
れらを含有する医薬製剤に関する。
【0005】
本発明は、示差走査熱量測定(DSC)によって、溶融および分解が起こる、約196
〜204℃の範囲の開始温度を示すことを特徴とする、無水(E)−N−{4−[3−ク
ロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キ
ノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の単離された結晶
形態(形態I)を提供する。
【0006】
本発明はまた、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ
)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)
−2−ブテンアミドマレイン酸塩の単離された結晶形態(形態I)を提供し、このマレイ
ン酸塩は、X線回折パターンにおいて以下の2θ角(±0.20°):6.16、7.3
8、8.75、10.20、12.24、12.61、14.65、15.75、17.
33、18.64、19.99、20.66、21.32、22.30、23.18、2
4.10、24.69、25.49、26.09、26.54、27.52、28.62
、および29.43におけるX線回折(XRD)ピークを特徴とする。別の実施形態にお
いて、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ
]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテ
ンアミドマレイン酸塩の単離された結晶形態は、すべてのX線回折ピークがほぼ上に開示
した2θ角であるX線回折パターンを示す。
【0007】
本発明は、約50℃で水分損失を示し、一水和物としての化合物の重量に対して、約2
.5から2.7重量%の水分含量を特徴とする、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−
(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}
−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の単離された結晶形
態(形態II)を提供する。
【0008】
本発明はまた、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)ア
ニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2
−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の単離された結晶形態(形態II)を提供し、この
マレイン酸塩は、X線回折パターンにおいて以下の2θ角(±0.20°):6.53、
8.43、10.16、12.19、12.47、13.01、15.17、16.76
、17.95、19.86、21.11、21.88、23.22、23.78、25.
69、26.17、27.06、27.58、28.26、28.73、および29.7
7におけるXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、(E)−N−{4−[3
−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6
−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の単
離された結晶形態は、すべてのX線回折ピークがほぼ上に開示した2θ角であるX線回折
パターンを示す。
【0009】
本発明はまた、DSCによって、特に遷移温度約203.8℃において、溶融および分
解が起こる、196〜204℃の範囲の開始温度を示すことを特徴とする、(E)−N−
{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エ
トキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一
水和物の単離された結晶形態(形態II)を提供する。
【0010】
本発明は、化合物の重量に対して、約1.5重量%から約2.3重量%を含めた約0.
8から約2.4重量%の水分含量を特徴とする、部分水和(E)−N−{4−[3−クロ
ロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノ
リニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の単離された結晶形
態(形態III)を提供する。
【0011】
本発明は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリ
ノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブ
テンアミド(遊離塩基)をマレイン酸と混合し、その混合物を高温で水−アルコール溶液
に溶解することによって、マレイン酸塩を調製する方法を提供する。得られた溶液を冷却
し、冷却した溶液は(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)
アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−
2−ブテンアミドマレイン酸塩を含有する。
【0012】
本発明はまた、結晶一水和物の形態(形態II)で(E)−N−{4−[3−クロロ−
4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニ
ル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって
、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−
3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンア
ミドマレイン酸塩(形態I)を有機溶媒およびある量の水と混合するステップ、および混
合物から析出する結晶一水和物を濾過するステップを含む方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、結晶一水和物の形態(形態II)で(E)−N−{4−[3−クロロ−
4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニ
ル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって
、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−
3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンア
ミドマレイン酸塩(形態I)を有機溶媒と混合するステップ、有機溶媒にある量の水を含
む溶液を添加するステップ、および混合物から析出する結晶一水和物を濾過するステップ
を含む方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、結晶一水和物の形態(形態II)で(E)−N−{4−[3−クロロ−
4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニ
ル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって
、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−
3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンア
ミドマレイン酸塩(形態I)を有機溶媒およびある量の水と混合するステップ、および混
合物から析出する結晶一水和物を濾過するステップを含む方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、結晶一水和物の形態(形態II)で(E)−N−{4−[3−クロロ−
4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニ
ル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって
、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−
3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンア
ミドマレイン酸塩(形態I)をある量の水を含む有機溶媒と混合するステップ、および混
合物から析出する結晶一水和物を濾過するステップを含む方法を提供する。
【0016】
本発明はまた、結晶一水和物の形態(形態II)で(E)−N−{4−[3−クロロ−
4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニ
ル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって
、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−
3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンア
ミドマレイン酸塩(形態I)を数日の期間をかけてある量の水を含む有機溶媒と混合する
ステップ、および混合物から析出する結晶一水和物を濾過するステップを含む方法を提供
する。
【0017】
本発明はまた、無水物形態(形態I)で(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−
ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−
(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって、約12か
ら約48時間、30℃を超える温度で、一水和物(形態II)の(E)−N−{4−[3
−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6
−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を真空下で乾
燥するステップを含む方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)ア
ニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2
−ブテンアミドマレイン酸塩、および以下の構造を有する1種または複数の関連化合物を
含む医薬製剤を提供する。
【0019】
【化1】
【0020】
本発明はまた、治療有効量の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニル
メトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチル
アミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩および薬学的に許容できる担体を含む、HER
−2キナーゼ活性を阻害するための医薬組成物を提供する。医薬組成物はまた、上に記載
した1種または複数の関連化合物を含有することができる。マレイン酸塩は、無水物形態
、一水和物形態、およびこれらの形態の組合せであってよい。
【0021】
本発明はまた、治療有効量の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニル
メトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチル
アミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を対象に投与することによって、癌を予防、治
療、または抑制する方法を提供する。対象は、哺乳動物、より具体的にはヒトであってよ
い。マレイン酸塩は、無水物形態、一水和物形態、または部分水和物形態で投与すること
ができる。上に記載した1種または複数の関連化合物もこの方法の間に投与することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の2種の結晶形態、無水物形態Iおよび一水和物形態IIのXRDスキャンである。
図2】(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩、形態IおよびIIの動的蒸気吸着(DSV)等温プロットである。
図3】形態IおよびIIの示差走査熱量測定(DSC)プロットである。
図4】形態IおよびIIの熱重量分析(TGA)プロットである。
図5】形態Iを22日間、周囲温度で相対湿度75%に曝露した後の形態I、II、およびIII(部分水和物形態)のXRDスキャンである。
図6】形態Iの2つのバッチのXRDスキャンである。
図7】24時間、周囲温度20〜25℃で相対湿度50〜60%に曝露した前後の形態IIのXRDスキャンである。
図8】24時間、周囲温度20〜25℃で相対湿度50〜60%に曝露した前後の形態IのXRDスキャンである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−
シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド
は、上皮増殖因子受容体(EGFR)ファミリーのメンバーである、Her−2(別名E
rbB−2またはneu)キナーゼの不可逆的阻害剤である。EGFRファミリーのメン
バーは腫瘍形成に関与するとされており、ヒトにおいて腫瘍型の予後不良と関連づけられ
ている。遊離塩基の形態の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメト
キシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミ
ノ)−2−ブテンアミドの構造を以下に示す。
【0024】
【化2】
【0025】
遊離塩基の形態の化合物(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメト
キシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミ
ノ)−2−ブテンアミドは、米国特許第6288082号に記載されている。この化合物
は、生物薬剤分類体系(Biopharmaceutical Classificat
ion System)に基づいて、BCS Class IV化合物(低水溶解性およ
び低透過性)に分類される。この遊離塩基は水に低い溶解性を有し、約pH7で水溶解度
は約1μg/mLである。化合物がイオン化されるため、水溶解度はpHの低下に伴って
増大する。この化合物は胃腸のpHで水溶性であり、分解は律速ではない。改善された物
理化学的特性を有するこの化合物の形態が求められている。
【0026】
本発明は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリ
ノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブ
テンアミドの水溶性酸付加塩形態を提供する。遊離塩基化合物は、薬学的に適切な種々の
酸と塩を形成することができる。薬学的に適切な酸には、これに限定されるものではない
が、たとえば酢酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸
、およびp−トルエンスルホン酸が含まれる。表1に示したとおり、最適な医薬塩形態を
スクリーニングするために、それぞれの酸付加塩形態の物理化学的特性を評価した。
【0027】
【表1】
【0028】
9種の塩のうち、マレイン酸塩は有利な物理化学的特性を示した。マレイン酸塩は結晶
性であり、吸湿性が低かった。メシル酸塩は吸湿性であり、結晶性が低かった。トシル酸
塩は、主として高い分子量と安全性に関する懸念から、さらに魅力を欠いた。酢酸「塩」
は結晶のように見えたが、酢酸から調製されたこの生成物は実際には塩でないことがNM
Rによって明らかになった。酢酸から調製された生成物がアルカリ性のpHを生じ、水に
不溶性であるという事実から、この生成物が大いに遊離塩基の特性を保持していることが
確認された。
【0029】
表2に示したとおり、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキ
シ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ
)−2−ブテンアミドマレイン酸塩は結晶性であり、遊離塩基と比較して水に高い溶解性
を有する。
【0030】
【表2】
【0031】
ラットでの複数の前臨床試験から抽出したデータに関して、(E)−N−{4−[3−
クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−
キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドの全身曝露(SE)データの
比較を行った。これらのデータの分析は、ラットにおいて、用量範囲5から45mg/k
gで投与したとき、マレイン酸塩としての化合物の投与が、遊離塩基と比較してAUC(
濃度下面積)を2倍増大することを示した。遊離塩基としての化合物の全身アベイラビリ
ティは比較的低く(20%)、便に相当量の薬物が存在するのは吸収の不良に起因する可
能性がある。マレイン酸塩の溶解性の増大は、ラットにおいて化合物の吸収を亢進すると
考えられる。表3はラットで観察された血漿化合物平均AUCおよびCmaxデータを示
す。
【0032】
【表3】
【0033】
表4に示したとおり、マレイン酸塩は一貫して再現性良く、有益な物理化学的特性を示
した。
【0034】
【表4】
【0035】
不良な水溶解性を示すことに加えて、遊離塩基の形態の化合物(E)−N−{4−[3
−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6
−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドは、哺乳動物において胃の
嘔吐受容器と相互作用し、下痢を引き起こす。しかしながら、(E)−N−{4−[3−
クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−
キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩は、意外なこ
とに、そのような問題を軽減し、哺乳動物において嘔吐受容器相互作用を最小限に抑える
【0036】
マレイン酸塩は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)
アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−
2−ブテンアミド(遊離塩基)をマレイン酸と混合し、その混合物を高温で水−アルコー
ル溶液に溶解することによって調製される。得られた溶液を冷却し、冷却した溶液は(E
)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ
−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイ
ン酸塩を含有する。一実施形態によれば、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−
ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−
(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩は、スキーム1に記載したとおり、
水およびn−プロパノールの溶液中、マレイン酸と遊離塩基を混ぜ合わせることによって
調製される。
【0037】
【化3】
【0038】
遊離塩基とマレイン酸の反応は、約40℃から約60℃、好ましくは約40℃から約5
0℃の高温で起こる。水:n−プロパノールの比率は、たとえば約1:10から約1:5
の間で多様であってよく、水:n−プロパノールの最適な比率は、約1:9である。水−
アルコール溶液は、約5体積%から約20体積%の水、および約80体積%から約95体
積%のアルコールを含んでよい。アルコールは、n−プロパノールであってよい。一実施
形態において、水−アルコール溶液は、約10体積%の水、および約90体積%のn−プ
ロパノールを含む。溶媒溶液の体積は、約10から約12体積を含めて、約8から約25
体積であってよい。遊離塩基当量当たり、マレイン酸約1.0〜1.2当量、好ましくは
遊離塩基当量当たり、マレイン酸約1.03当量を用いる。
【0039】
得られたマレイン酸塩の溶液は、冷却に先立って濾過によって透明にすることができる
。冷却ステップは、溶液が、温度約39℃以下、より好ましくは約30℃以下を含めて、
温度約45℃以下に達するまで続けることができる。一実施形態において、ほぼ室温、好
ましくは約23℃から約25℃に冷却した後、溶液を濾過する。典型的に、マレイン酸塩
は温度が37℃以下に達すると、溶液から晶出を始める。溶液を室温で少なくとも12時
間、好ましくは約12から約15時間静置し、その後濾過し、洗浄して、結晶マレイン酸
塩生成物を回収する。得られた濾過ケークを、同じかまたは異なる水−アルコール溶液で
洗浄して、生成物を得ることができる。生成物を乾燥して、結晶(E)−N−{4−[3
−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6
−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を得ることが
できる。この時点で、回収され、単離されたマレイン酸塩生成物は、典型的に、マレイン
酸塩の一水和物の形態である。
【0040】
生成物を加熱しながら真空下で乾燥して、収率約70から約95%、好ましくは収率約
80から約95%で、マレイン酸塩の無水物形態(形態I)を製造することができる。こ
の生成物は通常、純度約98%より良好な純度であり、しばしば純度約99%より良好な
純度である。典型的に、乾燥工程は、マレイン酸塩の無水物形態をマレイン酸の一水和物
形態(形態II)に完全に変換させるために、約12から約48時間かけて行われる。乾
燥時間が短いと、一般に2種の結晶形態の混合物が生じる。乾燥工程は多くの場合、室温
を超える温度で行われる。一実施形態において、マレイン酸塩の乾燥は、約30℃を超え
る温度、好ましくは約40℃から約60℃で行われ、別の実施形態では約50℃で行われ
る。
【0041】
このマレイン酸塩は、当業者に公知であろう多くの極性溶媒に可溶性であるが、小容量
の溶媒が望ましい場合、しばしばジメチルスルホキシド(DMSO)が用いられる。DM
SO溶液を約45℃から約60℃に加熱して、さらに溶解度を高めることができる。無水
マレイン酸塩が溶解したところで、典型的には迅速に、水を添加することができ、結晶化
させて、濾過により結晶一水和物形態を得る。無水塩を溶媒、たとえばDMSOに溶解す
ることができ、この溶液に水ならびに有機溶媒、たとえばテトラヒドロフラン(THF)
、イソプロパノール(IPA)、n−プロパノール、アセトン、エタノール、メタノール
、およびアセトニトリルなどの水性溶液を添加することができる。一実施形態において、
用いられる有機溶媒はIPAであり、別の実施形態では、n−プロパノールであり、第3
の実施形態では、これら2種の有機溶媒の混合物が用いられる。水性溶液の水分含量は、
わずか5%であってよいが、約7.5%以上であってもよく、一実施形態では、約10%
から約15%である。次いで、得られた溶液を約24時間まで静置し、一実施形態では、
約12時間から約24時間静置し、結晶化を起こさせることができる。混合物を濾過して
、マレイン酸塩の結晶一水和物形態を得る。本発明の目的では、用語「有機溶媒および水
」は、たとえばテトラヒドロフラン(THF)、DMSO、メタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコール、またはアセトニトリルなどの有機溶媒および水の溶液であり、有
機溶媒が溶液の50体積%超を占める溶液を指す。
【0042】
本発明の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ
]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテ
ンアミドのマレイン酸塩は、3種の異なる結晶形態、無水物形態(形態I)、一水和物形
態(形態II)、および形態Iと形態IIの混合物を含む部分水和物形態(形態III)
で単離された。
【0043】
一実施形態によれば、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキ
シ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ
)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の無水物形態(形態I)は、(E)−N−{4−[3
−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6
−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドとマレイン酸の反応生成物
を乾燥することによって、結晶固体として得られる。乾燥には、空気乾燥、加熱、および
減圧乾燥が含まれる。別の実施形態において、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(
2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−
4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の無水物形態(形態I)は、(
E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シア
ノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレ
イン酸塩の一水和物形態(形態II)を乾燥することによって、結晶固体として得られる
【0044】
単離された無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)ア
ニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2
−ブテンアミドマレイン酸塩の結晶形態(形態I)は、示差走査熱量測定(DSC)によ
って、溶融および分解が起こる、約196〜204℃の範囲の開始温度を示すことを特徴
とする。
【0045】
この無水マレイン酸塩(形態I)は、X線回折パターンにおいて以下の2θ角(±0.
20°):6.16、7.38、8.75、10.20、12.24、12.61、14
.65、15.75、17.33、18.64、19.99、20.66、21.32、
22.30、23.18、24.10、24.69、25.49、26.09、26.5
4、27.52、28.62、および29.43におけるX線回折(XRD)ピークを特
徴とする。別の実施形態において、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピ
リジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(
ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の単離された結晶形態(形態I)は、
すべてのX線回折ピークがほぼ上に開示した2θ角であるX線回折パターンを示す。
【0046】
一実施形態によれば、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキ
シ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ
)−2−ブテンアミドマレイン酸塩は、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2
−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4
−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)を有機溶媒およびある
量の水と混合し、混合物から析出する結晶一水和物を濾過することによって、結晶一水和
物の形態(形態II)で調製される。
【0047】
別の実施形態によれば、結晶一水和物形態(形態II)の(E)−N−{4−[3−ク
ロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キ
ノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩は、無水(E)−
N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7
−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸
塩(形態I)を有機溶媒と混合し、有機溶媒にある量の水を含む溶液を添加し、混合物か
ら析出する結晶一水和物を濾過することによって調製される。
【0048】
他の実施形態において、結晶一水和物形態(形態II)の(E)−N−{4−[3−ク
ロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キ
ノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩は、無水(E)−
N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7
−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸
塩(形態I)を数日の期間をかけてある量の水を含む有機溶媒と混合し、混合物から析出
する結晶一水和物を濾過することによって調製される。数日の期間は、適切には約1〜2
0日である。
【0049】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−
シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド
マレイン酸塩一水和物の単離された結晶形態(形態II)は、DSCによる測定で、約5
0℃で水分損失を示し、熱重量分析(TGA)による測定で、一水和物としての化合物の
重量に対して、約2.5から2.7重量%の水分含量を特徴とする。マレイン酸塩の一水
和物形態の水分含量は、カールフィッシャー滴定によっても測定した。
【0050】
一水和物の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリ
ノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブ
テンアミドマレイン酸塩(形態II)は、X線回折パターンにおいて以下の2θ角(±0
.20°):6.53、8.43、10.16、12.19、12.47、13.01、
15.17、16.76、17.95、19.86、21.11、21.88、23.2
2、23.78、25.69、26.17、27.06、27.58、28.26、28
.73、および29.77におけるX線回折ピーク(XRD)を特徴とする。別の実施形
態において、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリ
ノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブ
テンアミドマレイン酸塩一水和物の単離された結晶形態は、すべてのX線回折ピークがほ
ぼ上に開示した2θ角であるX線回折パターンを示す。
【0051】
本明細書では、単離されたという用語は、存在する結晶(E)−N−{4−[3−クロ
ロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノ
リニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の50%超が、形態
IおよびIIの1つであることを意味する。一実施形態において、存在する結晶(E)−
N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7
−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸
塩の少なくとも70%が、形態IおよびIIの1つである。第2の実施形態において、存
在するマレイン酸塩の少なくとも80%が、形態IおよびIIの1つである。第3の実施
形態において、存在するマレイン酸塩の少なくとも90%が、形態IおよびIIの1つで
ある。
【0052】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−
シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド
マレイン酸塩の2種の結晶形態は、別個の異なるXRDパターンおよびピークを示す。そ
れぞれのマレイン酸塩形態のXRDパターンは、その塩形態に特有である。形態Iおよび
IIのXRDパターンを、分析化学およびX線結晶学の当業者に公知の技法および装置を
用いて求めた。XRDパターンは粉末試料を用いて作製したが、XRDパターンは、2θ
角、面間隔d(d−spacing)、および/または相対ピーク強度で表わすことので
きる、一連の回折ピークからなる。XRDパターンを図1、5、6、7、および8に示す
図1、7、および8に示したX線データの収集パラメータは次のとおりであった。電圧
:40kV、電流:40.0mA、走査範囲5.00〜30.00°、Bruker D
8 Advance装置、走査幅0.01°、総走査時間30分、Vantec−1検出
器およびNiフィルタ使用。図5および6のX線データは次のとおり収集した。電圧:3
0kV、電流:15mA、走査範囲3〜40°、2.00°/分、Rigaku Min
iFlexベンチトップ型X線回折装置。
【0053】
2θ回折角および対応する面間隔d値は、XRDパターンに見出されるピークの位置を
説明する。面間隔d値は、ブラッグの方程式を用いて、観察された2θ角および銅Kα1
波長によって算出される。これらの数の変動は、異なる回折装置の使用、および試料調製
法によって生じる可能性がある。しかしながら、より多くの変動が相対ピーク強度に関し
て予期できる。したがって、種々の形態の同定は、観察された2θ角および面間隔dに基
づくべきであり、強度をあまり重要視すべきではない。本明細書に記載した、得られた形
態IおよびIIのXRDパターンはさらなるピークを含有できることを当業者は理解する
であろう。さらに、所与の形態に関してすべてのピークが観察されているかどうかは、そ
の形態の濃度レベルに大きく依存する可能性のあることを当業者は認識するであろう。図
1は、マレイン酸塩の2種の結晶形態、形態IおよびIIのXRDスキャンを例示する。
結晶無水マレイン酸塩形態、形態Iを下に示し、マレイン酸塩の結晶一水和物形態、形態
IIを下に示す。
【0054】
マレイン酸塩の2種の結晶形態の相対安定性および吸湿性を、動的蒸気吸着(DVS)
によって詳細に研究した。マレイン酸塩の無水物形態は容易に水を吸収し、マレイン酸塩
の結晶一水和物形態に変換される。図2に要約したとおり、乾燥するかまたは相対湿度が
低下すると、マレイン酸塩の結晶一水和物形態は、マレイン酸塩の無水物形態に変換され
る。図2は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリ
ノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブ
テンアミドマレイン酸塩形態Iが、相対湿度(RH)40%超、特にRH60%以上で湿
分を得ることを示す動的蒸気吸着等温プロットである。図2はまた、形態IIがRH20
%以下、特にRH10%以下で水分を失うことを示している。DVSは、以下の条件で行
った。RHは0%、30%、52.5%、75%、および90%に設定し、2回の全サイ
クルで試料をそれぞれのRHに3時間曝露した。
【0055】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−
シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド
マレイン酸塩の2種の結晶形態は、別個の異なるDSCトレースを示す。マレイン酸塩の
形態Iおよび形態II両方のDSCプロットを図3に要約する。マレイン酸塩の形態Iは
、遷移温度202.49℃を示唆する、1つの吸熱ピークを示す。マレイン酸塩の形態I
Iは2つの吸熱ピークを示し、幅広い吸熱は水分損失に相当する55℃の開始温度を有し
、第2の吸熱は遷移温度202.81℃を示唆する。遷移温度は、溶融および分解が起こ
る、約196〜204℃の範囲で観察される。DSCデータ、遷移温度、および熱流量は
、以下のパラメータ、50mL/分(N)ガスパージ、走査範囲40から240℃、走
査速度10℃/分で、TA Instrument Model Q1000を用いて収
集した。純粋な結晶性固体は、その物質が状態を変える、この場合は固体が液体に遷移す
る温度である、特徴的な遷移温度を有する。固体と液体との間の遷移は、純粋な物質の小
さい試料では非常に鋭いため、遷移温度は0.1℃まで測定できる。遷移温度より高い温
度に固体を加熱するのは困難であり、純粋な固体は非常に小さい温度範囲で遷移する傾向
があるため、遷移温度はしばしば化合物の同定を助けるために用いられる。固体の遷移温
度の測定は、その物質の純度に関する情報も提供できる。純粋な結晶性固体は非常に狭い
温度範囲で遷移するが、混合物は広い温度範囲にわたって遷移する。混合物はまた、純粋
な固体の遷移温度より低い温度で遷移する傾向がある。
【0056】
マレイン酸塩の一水和物および無水物形態のTGAデータを図4に要約する。マレイン
酸塩の形態IIは、TGAによる測定で、一水和物としての化合物の重量に対して、約2
.5から2.7重量%の水分含量を特徴とする。TGAデータは、TA Instrum
ent ModelQを用いて収集した。30〜220℃の間で加熱速度10℃/分を用
い、TGAチャンバは40mL/分の窒素流下であった。
【0057】
XRDから観察されるように、マレイン酸塩の第3の結晶形態が観察され、部分水和物
(形態III)と称される。部分水和物は、マレイン酸塩の形態Iと形態IIの混合物で
ある。部分水和(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニ
リノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−
ブテンアミドマレイン酸塩(形態III)は、化合物の重量に対して、約1.5重量%か
ら約2.3重量%を含めた約0.8から約2.4重量%の水分含量を特徴とする。
【0058】
図5は、マレイン酸塩の無水物形態を22日間、周囲温度20〜25℃で相対湿度75
%に曝露した後の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)ア
ニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2
−ブテンアミドマレイン酸塩の無水物形態I、一水和物形態II、および部分水和物形態
IIIそれぞれのXRDスキャンを含む。
【0059】
図6は、形態Iの結晶(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキ
シ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ
)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の2つのバッチのXRDスキャンである。マレイン酸
塩の無水物形態は24時間にわたって周囲温度20〜25℃で水を吸収し、マレイン酸塩
の一水和物形態に部分的に変換される。マレイン酸塩の一水和物形態は、24時間周囲温
度20〜25℃で比較的安定である。図7は、24時間、周囲温度20〜25℃で相対湿
度50〜60%に曝露した前後の形態IIの結晶(E)−N−{4−[3−クロロ−4−
(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}
−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩のXRDスキャンを例示する
ものである。マレイン酸塩の一水和物形態を高温(>50℃)または減圧下での加熱に曝
露することによって、水分損失およびマレイン酸塩の無水物形態に戻る完全な変換が促進
される。
【0060】
無水物形態の形態Iは、一水和物形態の形態IIに容易に変換される。図8に示したと
おり、形態Iは、経時的に温度20〜25℃および相対湿度(RH)50〜60%で水を
吸収し、部分的に一水和物に変換され得る。図8は、24時間、室温20〜25℃で相対
湿度50〜60%に曝露する前(下部スキャン)および曝露した後(上部スキャン)の形
態Iの結晶(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ
]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテ
ンアミドマレイン酸塩のXRDスキャンである。水和物のピークが上部スキャンに出現し
、結晶がこれらの条件下で水を吸収することを示唆している。
【0061】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−
シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド
のマレイン酸塩の両方の形態の安定性を40℃および75%RHで密封および開放容器に
おいて評価した。これらの条件下で6カ月間、形態Iおよび形態IIは両方とも安定なま
まであった。開放容器では、マレイン酸塩の無水物形態は急速に1モルの水を吸収して、
マレイン酸塩の一水和物形態を形成した。密封容器の試料は乾燥したままであった。HP
LC純度分析は、6カ月までの間、開放および密封容器の両方において、分解生成物の著
しい増加のないことを示唆した。データを表5に要約する。
【0062】
【表5】
【0063】
マレイン酸塩のどの結晶形態が得られるか判定するために、種々の溶媒においてマレイ
ン酸による遊離塩基の反応晶析を行った。表6は、様々な操作条件でのn−プロパノール
と水の混合物中の晶析工程の結果を例示する。すべての実験で湿潤ケークはマレイン酸塩
の一水和物形態を含有し、これは乾燥後にマレイン酸塩の無水物形態に変換される。
【0064】
【表6】
【0065】
表7は、種々の溶媒における遊離塩基とマレイン酸の反応晶析の結果を示すものであり
、すべての実験でマレイン酸塩の無水物形態が生じた。
【0066】
【表7】
【0067】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−
シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド
マレイン酸塩を明らかに溶解する1つの溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)である
。DMSOとイソプロパノールまたはt−ブチルメチルエーテル(tBME)との混合物
中で、冷却、非溶媒、および蒸発晶析を行った。この手法は多くの例で溶質の分解をもた
らした。表8および9に要約したとおり、非溶媒晶析および蒸発晶析は新しい結晶形態を
生じなかった。
【0068】
【表8】
【0069】
【表9】
【0070】
一実施形態によれば、無水物形態Iを一水和物形態IIに変換する1つの方法は、たと
えばTHF、イソプロパノール(IPA)、n−プロパノール、アセトン、エタノール、
メタノール、およびアセトニトリルなどの有機溶媒と水の溶液に溶解することによるもの
であり、存在する水は約5体積%から約20体積%であるが、典型的には存在する水は約
10体積%から約15体積%である。この溶液を加熱して、マレイン酸塩の溶解度を高め
ることができ、一実施形態において、溶液を約45℃以上に加熱し、他の実施形態におい
ては、溶液を約60℃に加熱する。次いで、溶液を数時間静置して結晶化させ、その後、
結晶を濾過して、一水和物形態IIを得る(表6参照)。一実施形態において、溶液を約
12から約24時間静置し、その後、濾過する。
【0071】
別の実施形態によれば、表10に要約した安定性試験に示したとおり、水を含有する有
機溶媒に形態Iをリスラリーし、その溶液を数日間室温に曝露することによって、形態I
を形態IIに変換する。図8から明らかなように、無水物形態Iは容易に湿分を吸収する
ため、この変換は1%までの水を吸収した無水溶媒でも起こる。一実施形態において、リ
スラリーを約14日間放置する。
【0072】
【表10】
【0073】
本発明はまた、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)ア
ニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2
−ブテンアミドの遊離塩基もしくはマレイン酸塩、または本発明の方法に関連する化合物
に関する。1種または複数のこれらの関連化合物は、本発明の工程において冷却溶液に見
出すことができる。これらの化合物はマレイン酸塩から分離されないことがあるため、マ
レイン酸塩で調製された医薬製剤は1種または複数のこれらの化合物を含有する可能性が
ある。
【0074】
マレイン酸塩の製剤を調製し、6カ月間40℃/75%RHの安定性チャンバ、および
1カ月間56℃のオーブンに貯蔵した。試験のため試料を定期的に抜き出した。試料を5
0/50体積/体積のアセトニトリル/水に約0.5mg/mLの濃度で溶解した。6カ
月時点での分解生成物および不純物(本明細書では関連化合物と称する)を同定するため
に、LC/MS法を用いて、溶液を直接検定した。LC/MSによって検出された関連化
合物の構造を表11に示す。特に、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジ
ニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメ
チルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩に関連する分解生成物の量は、本発明の生
成方法によって低減する。
【0075】
【表11】
【0076】
これらの関連化合物の名称は以下のとおりである。
2−({4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−
7−エトキシ−6−キノリニル}アミノ)−2−オキソ酢酸;
−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−
7−エトキシ−6−キノリニル}−エタンジアミド;
6−アミノ−4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−7−エト
キシ−3−キノリンカルボニトリル;
4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−7−エトキシ−6−(
2−ヒドロキシ−5−オキソピロリジニル)−3−キノリンカルボニトリル;
N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7
−エトキシ−6−キノリニル}−3,4−ビス(ジメチルアミノ)ブタンアミド;
N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7
−エトキシ−6−キノリニル}−1−メチル−2,3−ジオキソ−4−ピペリジンカルボ
キサミド;
N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7
−エトキシ−6−キノリニル}アセトアミド;
(E)−4−({4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−
シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}アミノ)−N,N,N−トリメチル−4−オキ
ソ−2−ブテン−1−アミニウム
−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−
7−エトキシ−6−キノリニル}−N,N−ジメチルエタンジアミド;
4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エト
キシ−6−キノリニルホルムアミド;および、
4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−7−エトキシ−6−[
(1−メチル−2−ピロリジニリデン)アミノ]−3−キノリンカルボニトリル。
【0077】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、治療有効量の(E)−N−{4−[3−クロロ−
4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニ
ル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を対象に投与することに
よって、炎症または癌を予防、治療、または抑制するのに有用である。対象は、哺乳動物
、より具体的にはヒトであってよい。マレイン酸塩は、無水物形態、一水和物形態、また
は部分水和物形態で投与することができる。上に記載した1種または複数の関連化合物も
この方法の間に投与することができる。
【0078】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、癌の治療に関係する、HER−2キナーゼ活性を
阻害するための医薬組成物の調製に有用である。この製剤は、治療有効量の(E)−N−
{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エ
トキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩、
および薬学的に許容できる担体を含有する。医薬組成物は、無水物形態、一水和物形態、
または部分水和物形態で投与することができる。上に記載した1種または複数の関連化合
物もこの方法の間に投与することができる。
【0079】
本発明の医薬組成物および製剤は、乳癌、卵巣癌、類表皮腫瘍、結腸癌、前立腺癌、腎
臓癌、膀胱癌、喉頭癌、食道癌、胃癌、および肺癌の1つまたは複数の治療に有用である
可能性がある。一実施形態によれば、マレイン酸塩は、特に乳癌および/または卵巣癌の
治療に有用である。
【0080】
本発明のマレイン酸塩形態を含む医薬組成物および製剤は、経口によって、または病変
内、腹腔内、筋内、もしくは静脈内注射;注入;リポソーム媒介送達;局所、鼻腔、肛門
、膣内、舌下、尿道、経皮、髄腔内、眼内、もしくは耳内送達によって投与することがで
きる。本発明の化合物を投与する一様式は単位用量形態である。適切な単位用量形態には
、錠剤、カプセル剤、およびサシェまたはバイアル中の粉剤が含まれる。本発明の結晶化
合物は経口で投与できる。そのような化合物は、1日1から6回、より一般的には1日1
から4回投与することができる。有効量は当業者に公知であろう。有効量はまた、化合物
の形態、投与様式、および治療される状態の重症度によって決まる可能性がある。当業者
は、実験的活性試験を通常のように行って、生物検定において化合物の生物活性を求め、
それによって投与する用量を決定することができる。しかしながら、一般に満足できる結
果は、体重1kg当たり約0.5mgから約1000mgの範囲で毎日投与したとき、本
発明の化合物によって得ることができるが、通常、有効投与量は1日当たり約1mg/k
gから約300mg/kgである。
【0081】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、充填剤、崩壊剤、結合剤、滑剤、香味剤、着色添
加剤、および担体などの通常の賦形剤と共に製剤化することができる。担体は、希釈剤、
エアロゾル、局所担体、水性溶液、非水性溶液、または固体であってよい。担体は、ポリ
マーまたは練り歯磨き(toothpaste)であってよい。本発明の担体は、リン酸
緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、水、エマルション、たとえば油/水エマルション、またはトリ
グリセリドエマルションなど、種々の湿潤剤、錠剤、被覆錠剤、およびカプセルなどの薬
学的に許容できる任意の標準的な担体を包含する。
【0082】
経口または局所投与される場合、本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、種々の担体で対
象に提供することができる。典型的に、そのような担体は、デンプン、ミルク、砂糖、あ
る種の粘土、ゼラチン、ステアリン酸、タルク、植物性油脂、ゴム、またはグリコールな
どの賦形剤を含有する。特定の担体は、典型的には所望の送達方法に基づいて選択され、
たとえば、静脈内または全身送達には、リン酸緩衝溶液(PBS)を用いることができ、
局所送達には、植物脂、クリーム、軟膏(salve)、軟膏(ointment)、ま
たはゲルを用いることができる。
【0083】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、新生物の治療、抑制、または予防に有用である適
切な希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、補助剤、および/または担体と共に送達するこ
とができる。そのような組成物は、液体、または凍結乾燥、もしくは他の方法で乾燥させ
た製剤であり、種々のpHおよびイオン強度の緩衝剤内容物の希釈剤(たとえば、Tri
s−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、表面への吸収を防ぐためのアルブミンまたはゼラチン
などの添加剤、界面活性剤(たとえば、TWEEN(商標)20、TWEEN(商標)8
0、PLURONIC(商標)F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(たとえば、グリセロール
、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(たとえば、アスコルビン酸、メタ重硫酸ナト
リウム)、保存剤(たとえば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、増量物
質または張度調整剤(たとえば、ラクトース、マンニトール)、ポリエチレングリコール
などのポリマー共有結合、金属イオンとの錯体形成、またはヒドロゲルもしくはリポソー
ムの粒状調剤、ミクロエマルション、ミセル、単層もしくは多層ベシクル、赤血球ゴース
ト、もしくはスフェロブラスト(spheroblast)中もしくは上への化合物の取
り込みを含む。そのような組成物は、化合物または組成物の物理的状態、可溶性、安定性
、in vivo放出速度、およびin vivoクリアランス速度に影響を及ぼすであ
ろう。組成物の選択は化合物の物理的および化学的特性に依存するであろう。
【0084】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、ある期間にわたる化合物の持続放出を可能にする
カプセルによって、局所送達することもできる。制御または持続放出組成物には、脂肪親
和性デポー(たとえば、脂肪酸、ロウ、油)中の製剤が含まれる。
【0085】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態はまた、癌を罹患している患者の利益となる他の活性
化合物、たとえば化学療法剤もしくは抗生物質と共に、または放射線治療と併せて投与す
ることができる。これらの活性化合物は、本発明の化合物と同時にまたは逐次的に投与で
きる。本発明の化合物はまた、同じ剤形に他の活性化合物を含むように製剤化することも
でき、たとえば、両方を1つの丸剤、錠剤、またはカプセル剤に含有させることができる
。本発明の化合物を組み合わせて用いることのできる活性化合物のいくつかの可能な種類
は、タキソールおよびビンブラスチンなどの有糸分裂阻害剤、シスプラチンおよびシクロ
ホスファミドなどのアルキル化剤、5−フルオロウラシルおよびヒドロキシウレアなどの
代謝拮抗剤、アドリアマイシンおよびブレオマイシンなどのDNAインターカレータ、エ
トポシドおよびカンプトテシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、アンジオスタチンなどの
抗血管新生剤、ならびにタモキシフェンなどの抗エストロゲンである。
【0086】
本発明を以下の特定の実施例と併せてより詳細に記載するが、これらの実施例は本発明
の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者は、工程パラメータおよび
装置に応じて、例示した工程のステップを再配列する、組み合わせる、修正する、または
削除することができるであろう。
【実施例】
【0087】
(実施例1)
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シ
アノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマ
レイン酸塩、形態IIの調製
粗(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3
−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミ
ド遊離塩基(0.100kg、0.159モル)を、USP精製水のn−プロパノール中
10%溶液(0.082kg、0.10L)で洗い流し、続いて水:n−プロパノール溶
液(0.74kg、0.90L)を添加する。マレイン酸(0.0191kg、0.16
4モル)を添加し、混合物を10%水:n−プロパノール(0.082kg、0.10L
)で洗い流す。混合物を急速に50〜60℃に加熱し、溶液が得られるまで最低限15分
間保持する。50〜60℃に予め加熱した0.2Mmフィルタカートリッジを通して、熱
溶液を透明にし、45〜55℃に予め加熱した2L多口フラスコに濾液を集める。45〜
55℃に予め加熱した10%水:n−プロパノール(0.082kg、0.10L)を通
してフィルタカートリッジを洗い流す。溶液を少なくとも1時間かけて40℃に冷却し、
その温度で12時間保持し、その後、最低限4時間かけて室温(25℃)に冷却し、その
温度で少なくとも2時間保持する。混合物を直径12.5cmのブフナー漏斗で5分間濾
過し、その後、予め濾過した10%水:n−プロパノール溶液(2×0.12kg、2×
0.15L)で洗い流し、洗浄する。ケークをせき止め、滴下が本質的に停止するまで、
約1時間、吸引を持続する。
【0088】
(実施例2)
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シ
アノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマ
レイン酸塩、形態Iの調製
実施例1の生成物(形態II)を乾燥して(50℃、10mmHg、24時間)、強度
80.8%(遊離塩基)、17.4%(マレイン酸)、総不純物1.06%、最大単一不
純物0.38%で、94.4g(収率88%)の結晶無水(E)−N−{4−[3−クロ
ロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノ
リニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)(収率8
8%)を得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8