(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明は、例示のために特定の詳細な内容が含まれている。しかし、当業者であれば、以下に説明する詳細な内容に様々な変更を加えた場合であっても、本発明の範囲を超えないことは理解できるであろう。従って、以下に説明する本発明の例示的な実施形態は、権利を請求された発明に対して、一般性を失わせることなく、また、何ら限定をすることもなく、述べられたものである。
【0023】
図1は、本実施形態によるデジタルカメラ(例えば、デジタル一眼カメラシステム)の概略構成を示したブロック図である。ここに示した各構成要素は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子で実現することができ、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるものであるが、ここでは、これらの連携によって実現される機能ブロックとして示している。従って、これらの機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェアの組合せによって、様々な形式で実現できるということは、当業者には理解できるであろう。
【0024】
図1に示したデジタルカメラ7は、レンズユニット部2、固体撮像装置1、画像信号処理装置3、記録装置4、カメラ制御装置5、表示装置6から構成される。
【0025】
レンズユニット部2は、カメラ制御装置5によってズーム、フォーカス、絞りなどが駆動制御され、被写体像を固体撮像装置1に結像させる。
固体撮像装置1は、カメラ制御装置5によって駆動・制御され、レンズユニット部2を介して固体撮像装置1内に入射した被写体光を画像信号に変換するMOS型固体撮像装置である。なお、この固体撮像装置1に関する詳細な説明は、後述する。
【0026】
画像信号処理装置3は、固体撮像装置1から出力された画像信号に対して、信号の増幅、画像データへの変換および各種の補正、画像データの圧縮などの処理を行う。画像信号処理装置3は、各処理における画像データの一時記憶手段として図示しないメモリを利用する。
記録装置4は、半導体メモリなどの着脱可能な記録媒体であり、画像データの記録または読み出しを行う。
表示装置6は、固体撮像装置1に結像され、画像信号処理装置3によって処理された画像データ、または記録装置4から読み出された画像データに基づく画像を表示する液晶などの表示装置である。
カメラ制御装置5は、デジタルカメラ7の全体の制御を行う制御装置である。
【0027】
<第1の実施形態>
次に、デジタルカメラ7に搭載した第1の実施形態の固体撮像装置1について説明する。
図2は、本第1の実施形態による固体撮像装置1の概略構成を示したブロック図である。
図2において、固体撮像装置1は、固体撮像装置制御信号発生回路10、垂直読出し制御回路20、水平読出し制御回路30、複数の単位画素50で構成された画素アレイ部40、カラム信号処理回路60、出力アンプ80から構成される。なお、
図2に示した固体撮像装置1では、複数の単位画素50が、7行8列に2次元的に配置された画素アレイ部40の例を示している。
【0028】
固体撮像装置制御信号発生回路10は、垂直読出し制御回路20、水平読出し制御回路30、およびカラム信号処理回路60を制御する。
垂直読出し制御回路20は、固体撮像装置制御信号発生回路10からの制御に応じて、画素アレイ部40内のそれぞれの単位画素50を制御し、各単位画素50の画素信号を垂直信号線90に出力させる。垂直読出し制御回路20は、単位画素50を制御するための制御信号を、画素アレイ部40に備えた単位画素50の行毎に出力する。なお、この垂直読出し制御回路20による単位画素50の制御方法に関する詳細な説明は、後述する。
【0029】
画素アレイ部40内のそれぞれの単位画素50は、入射した被写体光を画素信号に変換し、垂直読出し制御回路20から入力された制御信号に応じて、入射した被写体光に応じた画素信号を、垂直信号線90に出力する。それぞれの単位画素50を構成する回路要素は、第1の基板および第2の基板上に配置され、単位画素50内で第1の基板と第2の基板とを接続している。なお、この単位画素50に関する詳細な説明は、後述する。
【0030】
カラム信号処理回路60は、画素アレイ部40の各列に配置され、固体撮像装置制御信号発生回路10からの制御に応じて、各列の単位画素50からそれぞれの垂直信号線90に出力された画素信号に対してノイズ抑圧などの回路処理を行う、例えば、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)や、信号増幅、AD変換などの処理回路である。カラム信号処理回路60は、水平読出し制御回路30からの制御に応じて、画素信号に対して処理を行った出力信号を、水平信号線70に出力する。
【0031】
水平読出し制御回路30は、各列に配置されたカラム信号処理回路60から出力される処理後の出力信号を、水平信号線70に順次読み出す。水平信号線70に読み出されたカラム信号処理回路60からの出力信号は、出力アンプ80を介して固体撮像装置1の外部に出力される。
【0032】
次に、本第1の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素50について説明する。
図3は、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素アレイ部40内の単位画素50の概略構成を示した回路図である。
図3には、1つの単位画素50を示している。単位画素50は、入射した被写体光を画素信号に変換し、垂直信号線90に出力する。単位画素50は、
図3に示したように、それぞれの単位画素50内の各回路要素を、第1の基板の画素部11と第2の基板の蓄積回路12とに分けて配置している。
【0033】
図3において、単位画素50は、第1の基板の画素部11に形成された光電変換部101Aおよび101Bと、画素共有トランジスタ102Aおよび102Bと、転送トランジスタ103Aおよび103Bと、画素リセットトランジスタ105Aおよび105Bと、第1の増幅トランジスタ106Aおよび106Bと、第2の基板の蓄積回路12に形成された選択トランジスタ107Aおよび107Bと、画素内サンプルホールドトランジスタ108Aおよび108Bと、画素内クランプトランジスタ109Aおよび109Bと、電荷蓄積部110Aおよび110Bと、第2の増幅トランジスタ111Aおよび111Bと、画素負荷トランジスタ112と、画素内クランプ容量113とから構成される。また、第1の基板の画素部11と第2の基板の蓄積回路12とは、基板間接続部13によって接続される。
【0034】
図3では、2つの光電変換部(光電変換部101Aおよび101B)が配置されている単位画素50の一例を示している。なお、
図3においては、単位画素50の各回路要素が対応する画素アレイ部40の行を、それぞれの回路要素の符号の最後に付与した「A」および「B」によって表している。より具体的には、各回路要素の符号の最後に付与した「A」および「B」の内、「A」は画素アレイ部40の奇数行に配置された回路要素を表し、「B」は画素アレイ部40の偶数行に配置された回路要素を表している。なお、以下の説明において、画素アレイ部40の行を特定しないで説明を行う場合には、「A」または「B」を示さずに、それぞれの回路要素の符号までを示して説明する。
【0035】
基板間接続部13は、第1の基板と第2の基板とを電気的に接続するための接続部である。基板間接続部13は、例えば、蒸着法、めっき法で作製されるバンプなどを用いる。なお、第1の基板と第2の基板との間に存在する空間には、接着剤などの絶縁部材を充填させてもよい。第1の基板と第2の基板とは、基板間接続部13を介して信号の送受信を行う。
図3に示した単位画素50では、第1の基板の画素部11内の画素共有トランジスタ102Aおよび102Bと、第2の基板の蓄積回路12内の画素負荷トランジスタ112および画素内クランプ容量113とが、基板間接続部13を介して接続されている。
【0036】
光電変換部101Aおよび101Bのそれぞれは、入射した光を光電変換して信号電荷を発生させ、光電変換信号として蓄積する。
【0037】
ノード容量FD1AおよびFD1Bのそれぞれは、第1の増幅トランジスタ106Aおよび106Bのそれぞれのゲート端子に接続されたノードに付随する容量であり、
図3に示した単位画素50の概略構成においては、キャパシタの記号で示す。
【0038】
転送トランジスタ103Aおよび103Bのそれぞれは、垂直読出し制御回路20から入力された、対応する制御信号φTX1AおよびφTX1Bに応じて、対応する光電変換部101Aおよび101Bに蓄積された光電変換信号を、対応する第1の増幅トランジスタ106Aおよび106Bのゲート端子にそれぞれ転送する。このとき、転送トランジスタ103Aおよび103Bのそれぞれによって転送された光電変換信号は、対応するノード容量FD1AおよびFD1Bのそれぞれに蓄積される。
【0039】
なお、上述した制御信号の信号名「制御信号φTX1A」および「制御信号φTX1B」の内、制御信号の名称「制御信号φTX1」の後の「A」および「B」の部分は、単位画素50の各回路要素の符号の最後に付与した「A」および「B」と同様に、対応する画素アレイ部40の行を表す部分である。
【0040】
第1の増幅トランジスタ106Aおよび106Bのそれぞれは、ゲート端子に転送された光電変換信号、すなわち、対応するノード容量FD1AおよびFD1Bのそれぞれに蓄積された光電変換信号に応じた信号電圧を出力する。
【0041】
画素リセットトランジスタ105Aおよび105Bのそれぞれは、垂直読出し制御回路20から入力された、対応する制御信号φRST1AおよびφRST1Bに応じて、単位画素50内の光電変換信号を、電源電圧VDにリセットする。
【0042】
画素共有トランジスタ102Aおよび102Bのそれぞれは、垂直読出し制御回路20から入力された、対応する制御信号φSEL1AおよびφSEL1Bに応じて、第1の増幅トランジスタ106Aまたは106Bのいずれか一方の第1の増幅トランジスタ106から出力される信号電圧を、共有信号線100を介して基板間接続部13に出力する。これにより、光電変換部101Aまたは101Bのいずれか一方の光電変換信号に応じた信号電圧が、基板間接続部13を介して、第2の基板の蓄積回路12に読み出される。
【0043】
画素負荷トランジスタ112は、垂直読出し制御回路20から入力された制御信号φBIASに応じて、信号電圧を出力している第1の増幅トランジスタ106Aまたは106Bのいずれか一方の第1の増幅トランジスタ106の負荷として動作する。画素負荷トランジスタ112は、信号電圧を出力している第1の増幅トランジスタ106を駆動するための電流を、第1の増幅トランジスタ106に供給する。
【0044】
画素内クランプ容量113は、第1の増幅トランジスタ106から出力される信号電圧を保持(蓄積)する容量である。
【0045】
画素内クランプトランジスタ109Aおよび109Bのそれぞれは、垂直読出し制御回路20から入力された、対応する制御信号φCLP2AおよびφCLP2Bに応じて、対応する電荷蓄積部110Aおよび110Bと、画素内クランプ容量113とを固定電位VREFにクランプする。これにより、対応する電荷蓄積部110および画素内クランプ容量113は、クランプされた固定電位VREFを保持する。
【0046】
画素内サンプルホールドトランジスタ108Aおよび108Bのそれぞれは、垂直読出し制御回路20から入力された、対応する制御信号φSHP2AおよびφSHP2Bに応じて、対応する電荷蓄積部110に信号を保持させる。
【0047】
電荷蓄積部110Aおよび110Bのそれぞれは、対応する画素内サンプルホールドトランジスタ108を介して入力された信号電圧(単位画素50内でノイズ除去処理された信号)を保持(蓄積)する容量である。
【0048】
単位画素50では、画素負荷トランジスタ112、画素内クランプトランジスタ109、画素内サンプルホールドトランジスタ108、電荷蓄積部110、および画素内クランプ容量113の構成によって、リーク電流(暗電流)に起因するノイズ除去処理を単位画素50内で行う。そして、電荷蓄積部110は、ノイズ除去処理された信号を保持(蓄積)する。なお、電荷蓄積部110としては、単位面積当たりのリーク電流(暗電流)が少ない容量であるMIM(Metal Insulator Metal)容量や、MOS(Metal Oxide Semiconductor)容量を使用することがより望ましい。これにより、ノイズに対する耐性が向上し、高品質な信号を得ることができる。
【0049】
第2の増幅トランジスタ111Aおよび111Bのそれぞれは、ゲート端子の電圧、すなわち、対応する電荷蓄積部110に蓄積されたノイズ除去処理された信号に応じた信号電圧を出力する。
【0050】
選択トランジスタ107Aおよび107Bのそれぞれは、垂直読出し制御回路20から入力された、対応する制御信号φSEL2AおよびφSEL2Bに応じて、第2の増幅トランジスタ111Aまたは111Bのいずれか一方の第2の増幅トランジスタ111から出力される信号電圧を、単位画素50が出力する画素信号として垂直信号線90に出力する。これにより、光電変換部101Aまたは101Bのいずれか一方の光電変換信号に応じた画素信号が、垂直信号線90に読み出される。
【0051】
このような構成によって単位画素50は、2つの光電変換部101のそれぞれが入射した光を光電変換した光電変換信号に応じたそれぞれの信号電圧を、画素共有トランジスタ102によって選択的に1つの基板間接続部13へ読み出し、ノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)を、それぞれの光電変換部101に対応した電荷蓄積部110に保持(蓄積)する。その後、単位画素50は、それぞれの電荷蓄積部110に蓄積されたノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)に応じた信号電圧を、画素信号として垂直信号線90に順次読み出しを行っている。
【0052】
なお、
図3に示した単位画素50では、2つの光電変換部(光電変換部101Aおよび101B)が、1つの単位画素50内に配置されている場合の一例を示したが、1つの単位画素の構成は、
図3に示した構成に
限定されるものではない。すなわち、1つの単位画素に、さらに多くの光電変換部および光電変換部に対応する回路要素を備えた構成にすることもできる。
【0053】
次に、本第1の実施形態の固体撮像装置1内の単位画素50の駆動タイミングについて説明する。
図4は、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素アレイ部40内の単位画素50を駆動するタイミングを示したタイミングチャートである。
図4に示したタイミングチャートは、全ての単位画素50を同時に露光し、各行の画素信号を垂直信号線90に順次出力する画素アレイ部40の動作において、垂直読出し制御回路20によって制御される1つの単位画素50のタイミングを示している。なお、単位画素50は、
図3に示したように、1つの単位画素50内に2つの光電変換部101Aおよび101Bが配置され、それぞれの光電変換部101に対応した2つの電荷蓄積部110Aおよび110Bを備えている。このため、
図4に示したタイミングチャートは、画素アレイ部40の2行分を連続して処理するタイミングを示している。
【0054】
まず、時刻t1において、画素アレイ部40内の全ての単位画素50をリセットする。より具体的には、時刻t1において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1AおよびφTX1Bと、制御信号φRST1AおよびφRST1Bとを、同時に“H”レベルにして、転送トランジスタ103Aおよび103Bと、画素リセットトランジスタ105Aおよび105Bとをオン状態にする。これにより、画素アレイ部40内の全ての単位画素50に配置された光電変換部101Aおよび101Bと、ノード容量FD1AおよびFD1Bとがリセットされる。
【0055】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1AおよびφTX1Bと、制御信号φRST1AおよびφRST1Bとを、同時に“L”レベルにして、画素アレイ部40内の全ての単位画素50のリセットを解除する。これにより、画素アレイ部40内の全ての単位画素50が同時に露光を開始する。すなわち、画素アレイ部40内の全ての単位画素50に配置された光電変換部101Aおよび101Bが、入射した光を光電変換した光電変換信号の蓄積を開始する。
【0056】
続いて、一定の期間が経過した後、すなわち、任意の露光時間が経過した後に、時刻t2から、画素アレイ部40内のそれぞれの単位画素50のリセットレベルの信号および光電変換信号の第2の基板の蓄積回路12への読み出しと、リセットレベルの信号と光電変換信号との差分をとるノイズ除去処理を行う。
【0057】
より具体的には、時刻t2において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φBIASを制御して、画素負荷トランジスタ112を第1の増幅トランジスタ106の負荷として動作させる。続いて、時刻t3において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φSEL1Aを“H”レベルにして、画素共有トランジスタ102Aをオン状態にし、第1の増幅トランジスタ106Aから出力される信号電圧を、共有信号線100および基板間接続部13を介して、第2の基板の蓄積回路12に出力する状態にする。
【0058】
また、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Aを“H”レベルにして、画素リセットトランジスタ105Aをオン状態にし、ノード容量FD1Aをリセットする。これにより、第1の増幅トランジスタ106Aから光電変換部101Aのリセットレベルの信号電圧が、共有信号線100および基板間接続部13を介して、画素内クランプ容量113に出力される。また、垂直読出し制御回路20は、制御信号φCLP2Aおよび制御信号φSHP2Aを“H”レベルにして、画素内クランプトランジスタ109Aおよび画素内サンプルホールドトランジスタ108Aをオン状態にし、電荷蓄積部110Aおよび画素内クランプ容量113をクランプする。
【0059】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Aを“L”レベルにして、ノード容量FD1Aのリセットを解除し、制御信号φCLP2Aを“L”レベルにして、電荷蓄積部110Aのクランプを解除する。
【0060】
続いて、時刻t4において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1Aを“H”レベルにして、転送トランジスタ103Aをオン状態にし、光電変換部101Aに蓄積された光電変換信号を、第1の増幅トランジスタ106Aのゲート端子に転送する。このとき、転送トランジスタ103Aによって転送された光電変換信号は、ノード容量FD1Aに蓄積される。これにより、第1の増幅トランジスタ106Aから光電変換部101Aが発生した光電変換信号、すなわち、ノード容量FD1Aに蓄積された光電変換信号に応じた信号電圧が、共有信号線100および基板間接続部13を介して、画素内クランプ容量113に出力される。そして、画素内クランプ容量113は、光電変換部101Aのリセットレベルの信号電圧と、光電変換部101Aが発生した光電変換信号に応じた信号電圧との差分、すなわち、ノイズ除去処理された信号電圧を出力する。
【0061】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1Aを“L”レベルにして、光電変換部101Aが蓄積した光電変換信号の第1の増幅トランジスタ106Aのゲート端子への転送を停止し、時刻t5において、制御信号φSHP2Aを“L”レベルにして、電荷蓄積部110Aのサンプルホールドを停止する。これにより、電荷蓄積部110Aは、画素内クランプ容量113が出力しているノイズ除去処理された信号電圧を保持(蓄積)する。
【0062】
続いて、時刻t6において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φSEL1Aを“L”レベルにして、画素共有トランジスタ102Aをオフ状態にし、第1の増幅トランジスタ106Aを共有信号線100と切り離した状態にする。
【0063】
ここまでで、固体撮像装置1の全ての画素の内、半分の画素の光電変換部の光電変換信号、すなわち、画素アレイ部40内の全ての単位画素50に配置された光電変換部101の内、画素アレイ部40の奇数行に対応した光電変換部101Aの光電変換信号がノイズ除去処理されて、電荷蓄積部110Aに保持(蓄積)されることになる。単位画素50は、
図3に示したように、1つの単位画素50内に2つの光電変換部101Aおよび101Bが配置されている。従って、垂直読出し制御回路20は、引き続き、単位画素50に配置された光電変換部101Bの光電変換信号を、ノイズ除去処理して、電荷蓄積部110Bに保持(蓄積)させる。
【0064】
より具体的には、時刻t6において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φSEL1Bを“H”レベルにして、画素共有トランジスタ102Bをオン状態にし、第1の増幅トランジスタ106Bから出力される信号電圧を、共有信号線100および基板間接続部13を介して、第2の基板の蓄積回路12に出力する状態にする。
【0065】
また、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Bを“H”レベルにして、画素リセットトランジスタ105Bをオン状態にし、ノード容量FD1Bをリセットする。これにより、第1の増幅トランジスタ106Bから光電変換部101Bのリセットレベルの信号電圧が、共有信号線100および基板間接続部13を介して、画素内クランプ容量113に出力される。また、垂直読出し制御回路20は、制御信号φCLP2Bおよび制御信号φSHP2Bを“H”レベルにして、画素内クランプトランジスタ109Bおよび画素内サンプルホールドトランジスタ108Bをオン状態にし、電荷蓄積部110Bおよび画素内クランプ容量113をクランプする。
【0066】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Bを“L”レベルにして、ノード容量FD1Bのリセットを解除し、制御信号φCLP2Bを“L”レベルにして、電荷蓄積部110Bのクランプを解除する。
【0067】
続いて、時刻t7において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1Bを“H”レベルにして、転送トランジスタ103Bをオン状態にし、光電変換部101Bに蓄積された光電変換信号を、第1の増幅トランジスタ106Bのゲート端子に転送する。このとき、転送トランジスタ103Bによって転送された光電変換信号は、ノード容量FD1Bに蓄積される。これにより、第1の増幅トランジスタ106Bから光電変換部101Bが発生した光電変換信号、すなわち、ノード容量FD1Bに蓄積された光電変換信号に応じた信号電圧が、共有信号線100および基板間接続部13を介して、画素内クランプ容量113に出力される。そして、画素内クランプ容量113は、光電変換部101Bのリセットレベルの信号電圧と、光電変換部101Bが発生した光電変換信号に応じた信号電圧との差分、すなわち、ノイズ除去処理された信号電圧を出力する。
【0068】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1Bを“L”レベルにして、光電変換部101Bが蓄積した光電変換信号の第1の増幅トランジスタ106Bのゲート端子への転送を停止し、時刻t8において、制御信号φSHP2Bを“L”レベルにして、電荷蓄積部110Bのサンプルホールドを停止する。これにより、電荷蓄積部110Bは、画素内クランプ容量113が出力しているノイズ除去処理された信号電圧を保持(蓄積)する。
【0069】
続いて、時刻t9において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φSEL1Bを“L”レベルにして、画素共有トランジスタ102Bをオフ状態にし、第1の増幅トランジスタ106Bを共有信号線100と切り離した状態にする。その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φBIASを制御して、画素負荷トランジスタ112の第1の増幅トランジスタ106の負荷としての動作を停止させる。
【0070】
ここまでで、固体撮像装置1の全ての画素の内、残りの半分の画素の光電変換部の光電変換信号、すなわち、画素アレイ部40内の全ての単位画素50に配置された光電変換部101の内、画素アレイ部40の偶数行に対応した光電変換部101Bの光電変換信号がノイズ除去処理されて、電荷蓄積部110Bに保持(蓄積)されることになる。なお、単位画素50に、さらに多くの光電変換部101および光電変換部101に対応する回路要素を備えた構成である場合には、同様に、他の(残りの)光電変換部101の光電変換信号をノイズ除去処理した信号電圧の、対応する電荷蓄積部110への保持(蓄積)を、引き続き行う。
【0071】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φSEL2(本第1の実施形態においては、制御信号φSEL2AおよびφSEL2B)を1行ずつ順次制御して、電荷蓄積部110(本第1の実施形態においては、電荷蓄積部110Aおよび110B)に保持(蓄積)されたノイズ除去処理された信号電圧を、順次、垂直信号線90に出力させる。
【0072】
上記に述べたように、本第1の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素50では、全ての単位画素50に配置された光電変換部101の光電変換信号をノイズ除去処理して、電荷蓄積部110に保持(蓄積)し、ノイズ除去処理した信号電圧を、画素信号として順次、垂直信号線90に出力する。このとき、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、全ての単位画素50に配置された光電変換部101からの光電変換信号の読み出し動作(本第1の実施形態においては、奇数行と偶数行との2回の読み出し動作)を、瞬時に行っている。このため、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、光電変換信号を電荷蓄積部110に保持(蓄積)する際のタイミングを、従来のグローバルシャッタ機能を有する固体撮像装置と同等のタイミングにすることができる。すなわち、従来のグローバルシャッタ機能を有する固体撮像装置と同等の、光電変換信号の生成、蓄積の同時性を実現することができる。
【0073】
また、本第1の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素50では、第1の基板の画素部11に配置された光電変換部101の光電変換信号を、第2の基板の蓄積回路12でノイズ除去処理して、電荷蓄積部110に保持(蓄積)する。これにより、本第1の実施形態における単位画素50では、電荷蓄積部110に保持(蓄積)されたノイズ除去処理した信号電圧を画素信号として読み出すまでの待機期間中に、単位画素50に入射する光に起因するノイズが、画素部11から蓄積回路12に移動する現象を抑制することができる。このことにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、光に起因するノイズの影響による信号品質の劣化を抑えることができる。
【0074】
また、本第1の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素50では、第1の基板の画素部11に配置された光電変換部101の光電変換信号を、第2の基板の蓄積回路12に出力する際に、第1の増幅トランジスタ106によって光電変換信号を増幅して出力する。これにより、本第1の実施形態における単位画素50では、電荷蓄積部110で発生するリーク電流(暗電流)に起因するノイズを抑えることができる。加えて、本第1の実施形態における単位画素50では、第1の基板の画素部11に配置された第1の増幅トランジスタ106で増幅した光電変換信号を、画素アレイ部40の複数の行の単位でまとめている。そして、それぞれの第1の増幅トランジスタ106で増幅した光電変換信号を、順次選択して第2の基板の蓄積回路12に出力する。これにより、本第1の実施形態における単位画素50では、単位画素50内に配置する基板間接続部13や、画素内クランプ容量113の数を減らすことができる。このことにより、本第1の実施形態における単位画素50では、単位画素50内に配置する電荷蓄積部110の面積を大きくすることができ、さらに電荷蓄積部110で発生するリーク電流(暗電流)の影響を抑圧することができる。このことにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、電荷蓄積部で発生するリーク電流(暗電流)に起因するノイズの影響による信号品質の劣化を抑えることができる。
【0075】
また、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、第1の基板の画素部11と第2の基板の蓄積回路12とを接続する基板間接続部13の数を、画素アレイ部40の複数の行単位でまとめた行数分、少なくすることができるため、画素アレイ部40において隣り合う2つの基板間接続部13の接続ピッチを広げることができる。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、第1の基板と第2の基板とを接続する際の歩留まりの減少を抑圧することができる。また、それぞれの基板間接続部13の間の接続ピッチを広げることによって、基板間接続部13の大きさを大きくし、さらに歩留まりの劣化を抑圧することができる。
【0076】
なお、本第1の実施形態における単位画素50では、2つの光電変換部101の光電変換信号に応じたそれぞれの信号電圧を、画素共有トランジスタ102によって選択的に1つの基板間接続部13へ読み出し、ノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)を、それぞれの光電変換部101に対応した電荷蓄積部110に保持(蓄積)する。その後、単位画素50は、それぞれの電荷蓄積部110に蓄積されたノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)に応じた信号電圧を、画素信号として垂直信号線90に順次読み出しを行う場合の一例について説明した。しかし、1つの単位画素の構成は、2つの光電変換部101を備え、さらにそれぞれの光電変換部101に対応する回路要素を2つずつ備えた、本第1の実施形態における単位画素50の構成に
限定されるものではない。例えば、単位画素に配置する画素共有トランジスタを増やすことによって、N個の光電変換部の光電変換信号に応じたそれぞれの信号電圧を、選択的に1つの基板間接続部へ読み出し、ノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)を、それぞれの光電変換部に対応した電荷蓄積部に保持(蓄積)する構成にすることもできる。単位画素が上述のような構成である場合には、
図4に示した時刻t3〜時刻t6、または時刻t6〜時刻t9のような、光電変換部からの光電変換信号の読み出しと、ノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)の電荷蓄積部への保持(蓄積)の動作が、単位画素に配置した光電変換部の数、すなわち、N回必要となる。この場合、単位画素に配置した光電変換部の数Nが多くなり、光電変換部からの光電変換信号の読み出しと、ノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)の電荷蓄積部への保持(蓄積)の動作の回数が多くなると、光電変換信号の生成、蓄積の同時性が損なわれる可能性がある。しかし、光電変換部からの光電変換信号の読み出しと、ノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)の電荷蓄積部への保持(蓄積)の動作の回数が数回であれば、従来のグローバルシャッタ機能を有する固体撮像装置と同等の、光電変換信号の生成、蓄積の同時性を確保することができる。
【0077】
また、単位画素に配置する画素共有トランジスタを増やす、すなわち、単位画素50内に配置する基板間接続部13や画素内クランプ容量113を共有する数を増やすことによって、単位画素内に配置する電荷蓄積部の面積を大きくすることができ、さらに電荷蓄積部で発生するリーク電流(暗電流)の影響を抑圧することができる。
【0078】
なお、従来から、複数の光電変換部を1つの単位画素内に配置する通常の方法として、増幅トランジスタの手前の信号、すなわち、複数の増幅前の光電変換信号で1つの増幅トランジスタを共有する方法が、一般的に知られている。しかし、この方法によって1つの単位画素内に配置する光電変換部の数を増やすと、増幅トランジスタのゲート端子に接続されたノードに付随する容量(本第1の実施形態においては、ノード容量FD1AまたはFD1B)の容量が大きくなり、それぞれの光電変換部で発生した光電変換信号の電圧が低くなることによってノイズが増大し、信号品質が劣化してしまう。これは、電荷Qと容量Cと電圧Vとの関係(V=Q/C)によるものである。本第1の実施形態における単位画素50では、第1の増幅トランジスタ106で増幅した後の光電変換信号を、画素アレイ部40の複数の行の単位でまとめ、単位画素50内に配置する基板間接続部13や画素内クランプ容量113を、複数の光電変換部101および光電変換部101に対応する回路要素で共有している。このため、本第1の実施形態における単位画素50では、基板間接続部13や画素内クランプ容量113を共有する光電変換部101および光電変換部101に対応する回路要素の数を増やした場合でも、ノード容量FD1AやFD1Bの容量が大きくならず、信号品質が劣化しないという利点がある。
【0079】
<第2の実施形態>
次に、デジタルカメラ7に搭載した第2の実施形態の固体撮像装置について説明する。なお、本第2の実施形態の固体撮像装置は、画素アレイ部に備える単位画素の回路構成が、
図2に示した第1の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素50の回路構成と異なっている。この単位画素の回路構成の違いにより、本第2の実施形態の固体撮像装置に備えた垂直読出し制御回路による単位画素の制御方法が、第1の実施形態の固体撮像装置1内の垂直読出し制御回路20による単位画素の制御方法と異なる。本第2の実施形態の固体撮像装置のその他の構成要素は、第1の実施形態の固体撮像装置1と同様である。従って、本第2の実施形態の固体撮像装置の構成要素において、
図2に示した第1の実施形態の固体撮像装置1と同様の構成要素には、同一の符号を付加して詳細な説明は省略する。
【0080】
なお、以下の説明においては、本第2の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素を、「単位画素52」として説明する。また、本第2の実施形態の固体撮像装置に備えた垂直読出し制御回路については、制御方法が異なるのみであるため、第1の実施形態の固体撮像装置1と同様の「垂直読出し制御回路20」として説明する。なお、本第2の実施形態の固体撮像装置に備えた垂直読出し制御回路20による単位画素52の制御方法に関する詳細な説明は、後述する。
【0081】
図5は、本第2の実施形態の固体撮像装置1の画素アレイ部40内の単位画素52の概略構成を示した回路図である。単位画素52は、
図3に示した単位画素50と同様に、入射した被写体光を画素信号に変換し、垂直読出し制御回路20から入力された制御信号に応じて、入射した被写体光に応じた画素信号を、垂直信号線90に出力する。
図5には、1つの単位画素52を示している。なお、本第2の実施形態の固体撮像装置1においても、
図5に示したように、それぞれの単位画素52内の各回路要素を、第1の基板の画素部11と第2の基板の蓄積回路12とに分けて配置している。以下の説明においては、単位画素52の回路要素において、
図3に示した単位画素50の回路要素と同様の機能の回路要素には、同一の符号を付加して説明する。
【0082】
図5において、単位画素52は、第1の基板の画素部11に形成された光電変換部101Aおよび101Bと、転送トランジスタ103Aおよび103Bと、画素リセットトランジスタ105Aおよび105Bと、第1の増幅トランジスタ106Aおよび106Bと、第2の基板の蓄積回路12に形成された選択トランジスタ107Aおよび107Bと、画素内サンプルホールドトランジスタ108Aおよび108Bと、画素内クランプトランジスタ109Aおよび109Bと、電荷蓄積部110Aおよび110Bと、第2の増幅トランジスタ111Aおよび111Bと、画素負荷トランジスタ112と、画素内クランプ容量113とから構成される。また、第1の基板の画素部11と第2の基板の蓄積回路12とは、基板間接続部13によって接続される。
【0083】
図5でも、
図3に示した単位画素50と同様に、2つの光電変換部(光電変換部101Aおよび101B)が配置されている単位画素52の一例を示している。なお、
図5においても、
図3に示した単位画素50と同様に、単位画素52の各回路要素が対応する画素アレイ部40の行を、それぞれの回路要素の符号の最後に付与した「A」(奇数行)および「B」(偶数行)によって表している。従って、以下の説明においては、
図3に示した単位画素50と同様に、画素アレイ部40の行を特定しないで説明を行う場合には、「A」または「B」を示さずに、それぞれの回路要素の符号までを示して説明する。
【0084】
図5に示した単位画素52と
図3に示した単位画素50との違いは、単位画素50に備えていた画素共有トランジスタ102Aおよび102Bをなくした点である。この違いによって、単位画素52では、第1の増幅トランジスタ106Aおよび106Bのそれぞれの出力端子(ソース端子)に接続されたノード(以下、「共有信号線200」という)を介して基板間接続部13と接続している。また、単位画素52では、画素リセットトランジスタ105Aおよび第1の増幅トランジスタ106Aのドレイン端子と、画素リセットトランジスタ105Bおよび第1の増幅トランジスタ106Bのドレイン端子とを、それぞれパルス制御することができるように、垂直読出し制御回路20から入力される制御信号φVDAおよびφVDBにそれぞれ接続している。これにより、画素リセットトランジスタ105Aおよび第1の増幅トランジスタ106Aと、画素リセットトランジスタ105Bおよび第1の増幅トランジスタ106Bとのバイアス電圧を、垂直読出し制御回路20によってそれぞれ制御することができるようになる。単位画素52のその他の構成要素は、
図3に示した単位画素50と同様である。
【0085】
画素リセットトランジスタ105Aおよび105Bのそれぞれは、垂直読出し制御回路20から入力された、対応する制御信号φRST1AおよびφRST1Bに応じて、単位画素50内の光電変換信号を、ドレイン端子に接続された、垂直読出し制御回路20からの対応する制御信号φVDAおよびφVDBに応じた電圧にリセットする。
【0086】
第1の増幅トランジスタ106Aおよび106Bのそれぞれは、ドレイン端子に接続された、垂直読出し制御回路20からの対応する制御信号φVDAおよびφVDBに応じた電圧に基づいて、ゲート端子に転送された光電変換信号、すなわち、ゲート端子に付随するノード容量FD1AおよびFD1Bのそれぞれに蓄積された光電変換信号を増幅した信号電圧を出力する。
【0087】
単位画素52では、垂直読出し制御回路20が制御信号φVDAおよびφVDBをそれぞれ制御することによって、第1の増幅トランジスタ106Aまたは106Bのいずれか一方の第1の増幅トランジスタ106から出力される信号電圧を、共有信号線200を介して基板間接続部13に出力する。すなわち、単位画素52では、
図3に示した単位画素50に配置された画素共有トランジスタ102Aおよび102Bの代わりに、垂直読出し制御回路20が制御信号φVDAおよびφVDBをそれぞれ制御することによって、奇数行の光電変換部101Aまたは偶数行の光電変換部101Bの光電変換信号の基板間接続部13への読み出しを、選択的に行っている。これにより、光電変換部101Aまたは101Bのいずれか一方の光電変換信号に応じた信号電圧が、基板間接続部13を介して、第2の基板の蓄積回路12に読み出される。
【0088】
このような構成によって単位画素52は、2つの光電変換部101のそれぞれが入射した光を光電変換した光電変換信号に応じたそれぞれの信号電圧を、垂直読出し制御回路20の制御によって選択的に1つの基板間接続部13へ読み出し、ノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)を、それぞれの光電変換部101に対応した電荷蓄積部110に保持(蓄積)する。その後、単位画素50は、それぞれの電荷蓄積部110に蓄積されたノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)に応じた信号電圧を、画素信号として垂直信号線90に順次読み出しを行っている。
【0089】
なお、
図5に示した単位画素52では、2つの光電変換部(光電変換部101Aおよび101B)が、1つの単位画素52内に配置されている場合の一例を示したが、1つの単位画素の構成は、
図3に示した単位画素50と同様に、
図5に示した構成に
限定されるものではない。すなわち、1つの単位画素に、さらに多くの光電変換部および光電変換部に対応する回路要素を備えた構成にすることもできる。
【0090】
次に、本第2の実施形態の固体撮像装置1内の単位画素52の駆動タイミングについて説明する。
図6は、本第2の実施形態の固体撮像装置1の画素アレイ部40内の単位画素52を駆動するタイミングを示したタイミングチャートである。
図6に示したタイミングチャートは、
図4に示した第1の実施形態の単位画素50の駆動タイミングと同様に、全ての単位画素52を同時に露光し、各行の画素信号を垂直信号線90に順次出力する画素アレイ部40の動作において、垂直読出し制御回路20によって制御される1つの単位画素52のタイミングを示している。なお、単位画素52は、
図5に示したように、1つの単位画素52内に2つの光電変換部101Aおよび101Bが配置され、それぞれの光電変換部101に対応した2つの電荷蓄積部110Aおよび110Bを備えている。このため、
図6に示したタイミングチャートは、
図4に示した第1の実施形態の単位画素50の駆動タイミングと同様に、画素アレイ部40の2行分を連続して処理するタイミングを示している。
【0091】
まず、時刻t1において、画素アレイ部40内の全ての単位画素52をリセットする。より具体的には、時刻t1において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φVDAおよびφVDBを制御して、画素リセットトランジスタ105Aおよび第1の増幅トランジスタ106Aのドレイン端子と、画素リセットトランジスタ105Bおよび第1の増幅トランジスタ106Bのドレイン端子とを、電源電圧VDのレベルにする。その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1AおよびφTX1Bと、制御信号φRST1AおよびφRST1Bとを、同時に“H”レベルにして、転送トランジスタ103Aおよび103Bと、画素リセットトランジスタ105Aおよび105Bとをオン状態にする。これにより、画素アレイ部40内の全ての単位画素52に配置された光電変換部101Aおよび101Bと、ノード容量FD1AおよびFD1Bとが電源電圧VDにリセットされる。
【0092】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1AおよびφTX1Bと、制御信号φRST1AおよびφRST1Bとを、同時に“L”レベルにして、画素アレイ部40内の全ての単位画素52のリセットを解除する。これにより、画素アレイ部40内の全ての単位画素52が同時に露光を開始する。すなわち、画素アレイ部40内の全ての単位画素52に配置された光電変換部101Aおよび101Bが、入射した光を光電変換した光電変換信号の蓄積を開始する。また、垂直読出し制御回路20は、制御信号φVDAおよびφVDBを制御して、画素リセットトランジスタ105Aおよび第1の増幅トランジスタ106Aのドレイン端子と、画素リセットトランジスタ105Bおよび第1の増幅トランジスタ106Bのドレイン端子との電圧レベルを、基準電圧GNDのレベルにする。
【0093】
続いて、一定の期間が経過した後、すなわち、任意の露光時間が経過した後に、時刻t2から、画素アレイ部40内のそれぞれの単位画素52のリセットレベルの信号および光電変換信号の第2の基板の蓄積回路12への読み出しと、リセットレベルの信号と光電変換信号との差分をとるノイズ除去処理を行う。
【0094】
より具体的には、時刻t2において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φVDAを制御して、画素リセットトランジスタ105Aおよび第1の増幅トランジスタ106Aのドレイン端子を、電源電圧VDのレベルにする。これにより、第1の増幅トランジスタ106Aから出力される信号電圧が、共有信号線200および基板間接続部13を介して、第2の基板の蓄積回路12に出力される状態になる。その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φBIASを制御して、画素負荷トランジスタ112を第1の増幅トランジスタ106の負荷として動作させる。
【0095】
続いて、時刻t3において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Aを“H”レベルにして、画素リセットトランジスタ105Aをオン状態にし、ノード容量FD1Aをリセットする。これにより、第1の増幅トランジスタ106Aから光電変換部101Aのリセットレベルの信号電圧が、共有信号線200および基板間接続部13を介して、画素内クランプ容量113に出力される。また、垂直読出し制御回路20は、制御信号φCLP2Aおよび制御信号φSHP2Aを“H”レベルにして、画素内クランプトランジスタ109Aおよび画素内サンプルホールドトランジスタ108Aをオン状態にし、電荷蓄積部110Aおよび画素内クランプ容量113をクランプする。
【0096】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Aを“L”レベルにして、ノード容量FD1Aのリセットを解除し、制御信号φCLP2Aを“L”レベルにして、電荷蓄積部110Aのクランプを解除する。
【0097】
続いて、時刻t4において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1Aを“H”レベルにして、転送トランジスタ103Aをオン状態にし、光電変換部101Aに蓄積された光電変換信号を、第1の増幅トランジスタ106Aのゲート端子に転送する。このとき、転送トランジスタ103Aによって転送された光電変換信号は、ノード容量FD1Aに蓄積される。これにより、第1の増幅トランジスタ106Aから光電変換部101Aが発生した光電変換信号、すなわち、ノード容量FD1Aに蓄積された光電変換信号に応じた信号電圧が、共有信号線200および基板間接続部13を介して、画素内クランプ容量113に出力される。そして、画素内クランプ容量113は、光電変換部101Aのリセットレベルの信号電圧と、光電変換部101Aが発生した光電変換信号に応じた信号電圧との差分、すなわち、ノイズ除去処理された信号電圧を出力する。
【0098】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1Aを“L”レベルにして、光電変換部101Aが蓄積した光電変換信号の第1の増幅トランジスタ106Aのゲート端子への転送を停止し、時刻t5において、制御信号φSHP2Aを“L”レベルにして、電荷蓄積部110Aのサンプルホールドを停止する。これにより、電荷蓄積部110Aは、画素内クランプ容量113が出力しているノイズ除去処理された信号電圧を保持(蓄積)する。
【0099】
続いて、時刻t6において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φVDAを制御して、画素リセットトランジスタ105Aおよび第1の増幅トランジスタ106Aのドレイン端子を、基準電圧GNDのレベルにする。そして、時刻t7において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Aを“H”レベルにして、画素リセットトランジスタ105Aをオン状態にする。これにより、ノード容量FD1Aに蓄積されている光電変換部101Aが発生した光電変換信号の電位、すなわち、すでに画素内クランプ容量113に出力した後のノード容量FD1Aに残っている電位が、基準電圧GNDのレベルにクリアされ、第1の増幅トランジスタ106Aのゲート端子の電位が低いレベルになる。これにより、第1の増幅トランジスタ106Aから光電変換部101Aが発生した光電変換信号に応じた信号電圧が出力されなくなり、第1の増幅トランジスタ106Aを共有信号線200と切り離した状態になる。その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Aを“L”レベルにする。
【0100】
ここまでで、固体撮像装置1の全ての画素の内、半分の画素の光電変換部の光電変換信号、すなわち、画素アレイ部40内の全ての単位画素52に配置された光電変換部101の内、画素アレイ部40の奇数行に対応した光電変換部101Aの光電変換信号がノイズ除去処理されて、電荷蓄積部110Aに保持(蓄積)されることになる。単位画素52は、
図5に示したように、1つの単位画素52内に2つの光電変換部101Aおよび101Bが配置されている。従って、垂直読出し制御回路20は、引き続き、単位画素52に配置された光電変換部101Bの光電変換信号を、ノイズ除去処理して、電荷蓄積部110Bに保持(蓄積)させる。
【0101】
より具体的には、時刻t8において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φVDBを制御して、画素リセットトランジスタ105Bおよび第1の増幅トランジスタ106Bのドレイン端子を、電源電圧VDのレベルにする。これにより、第1の増幅トランジスタ106Bから出力される信号電圧が、共有信号線200および基板間接続部13を介して、第2の基板の蓄積回路12に出力される状態になる。
【0102】
続いて、時刻t9において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Bを“H”レベルにして、画素リセットトランジスタ105Bをオン状態にし、ノード容量FD1Bをリセットする。これにより、第1の増幅トランジスタ106Bから光電変換部101Bのリセットレベルの信号電圧が、共有信号線200および基板間接続部13を介して、画素内クランプ容量113に出力される。また、垂直読出し制御回路20は、制御信号φCLP2Bおよび制御信号φSHP2Bを“H”レベルにして、画素内クランプトランジスタ109Bおよび画素内サンプルホールドトランジスタ108Bをオン状態にし、電荷蓄積部110Bおよび画素内クランプ容量113をクランプする。
【0103】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Bを“L”レベルにして、ノード容量FD1Bのリセットを解除し、制御信号φCLP2Bを“L”レベルにして、電荷蓄積部110Bのクランプを解除する。
【0104】
続いて、時刻t10において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1Bを“H”レベルにして、転送トランジスタ103Bをオン状態にし、光電変換部101Bに蓄積された光電変換信号を、第1の増幅トランジスタ106Bのゲート端子に転送する。このとき、転送トランジスタ103Bによって転送された光電変換信号は、ノード容量FD1Aに蓄積される。これにより、第1の増幅トランジスタ106Bから光電変換部101Bが発生した光電変換信号、すなわち、ノード容量FD1Bに蓄積された光電変換信号に応じた信号電圧が、共有信号線200および基板間接続部13を介して、画素内クランプ容量113に出力される。そして、画素内クランプ容量113は、光電変換部101Bのリセットレベルの信号電圧と、光電変換部101Bが発生した光電変換信号に応じた信号電圧との差分、すなわち、ノイズ除去処理された信号電圧を出力する。
【0105】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φTX1Bを“L”レベルにして、光電変換部101Bが蓄積した光電変換信号の第1の増幅トランジスタ106Bのゲート端子への転送を停止し、時刻t11において、制御信号φSHP2Bを“L”レベルにして、電荷蓄積部110Bのサンプルホールドを停止する。これにより、電荷蓄積部110Bは、画素内クランプ容量113が出力しているノイズ除去処理された信号電圧を保持(蓄積)する。
【0106】
続いて、時刻t12において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φVDBを制御して、画素リセットトランジスタ105Bおよび第1の増幅トランジスタ106Bのドレイン端子を、基準電圧GNDのレベルにする。そして、時刻t13において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Bを“H”レベルにして、画素リセットトランジスタ105Bをオン状態にする。これにより、ノード容量FD1Bに蓄積されている光電変換部101Bが発生した光電変換信号の電位、すなわち、すでに画素内クランプ容量113に出力した後のノード容量FD1Bに残っている電位が、基準電圧GNDのレベルにクリアされ、第1の増幅トランジスタ106Bのゲート端子の電位が低いレベルになる。これにより、第1の増幅トランジスタ106Bから光電変換部101Bが発生した光電変換信号に応じた信号電圧が出力されなくなり、第1の増幅トランジスタ106Bを共有信号線200と切り離した状態になる。その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φRST1Bを“L”レベルにする。
【0107】
続いて、時刻t14において、垂直読出し制御回路20は、制御信号φBIASを制御して、画素負荷トランジスタ112の第1の増幅トランジスタ106の負荷としての動作を停止させる。
【0108】
ここまでで、固体撮像装置1の全ての画素の内、残りの半分の画素の光電変換部の光電変換信号、すなわち、画素アレイ部40内の全ての単位画素52に配置された光電変換部101の内、画素アレイ部40の偶数行に対応した光電変換部101Bの光電変換信号がノイズ除去処理されて、電荷蓄積部110Bに保持(蓄積)されることになる。なお、単位画素52に、さらに多くの光電変換部101および光電変換部101に対応する回路要素を備えた構成である場合には、同様に、他の(残りの)光電変換部101の光電変換信号をノイズ除去処理した信号電圧の、対応する電荷蓄積部110への保持(蓄積)を、引き続き行う。
【0109】
その後、垂直読出し制御回路20は、制御信号φSEL2(本第2の実施形態においては、制御信号φSEL2AおよびφSEL2B)を1行ずつ順次制御して、電荷蓄積部110(本第2の実施形態においては、電荷蓄積部110Aおよび110B)に保持(蓄積)されたノイズ除去処理された信号電圧を、順次、垂直信号線90に出力させる。
【0110】
上記に述べたように、本第2の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素52でも、第1の実施形態における単位画素50と同様に、全ての単位画素52に配置された光電変換部101の光電変換信号をノイズ除去処理して、電荷蓄積部110に保持(蓄積)し、ノイズ除去処理した信号電圧を、画素信号として順次、垂直信号線90に出力することができる。また、本第2の実施形態の固体撮像装置1でも、第1の実施形態の固体撮像装置1と同様に、全ての単位画素52に配置された光電変換部101からの光電変換信号の読み出し動作(本第2の実施形態においては、奇数行と偶数行との2回の読み出し動作)を、瞬時に行っている。これにより、本第2の実施形態の固体撮像装置1でも、第1の実施形態の固体撮像装置1と同様の効果を得ることができる。
【0111】
さらに、本第2の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素52では、第1の実施形態における単位画素50に備えていた画素共有トランジスタ102Aおよび102Bをなくしている。すなわち、単位画素52に備える回路要素の数を、単位画素50に備える回路要素の数よりも減らしている。これにより、本第2の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素52では、単位画素52内に配置する光電変換部101の面積を、第1の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素50よりも大きくすることができる。このことにより、本第2の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素52では、出力する画素信号の信号品質を、第1の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素50よりも、さらに向上させることができる。
【0112】
なお、本第2の実施形態における単位画素52でも、第1の実施形態における単位画素50と同様に、2つの光電変換部101を備え、さらにそれぞれの光電変換部101に対応する回路要素を2つずつ備えた構成の一例について説明した。しかし、1つの単位画素の構成は、本第2の実施形態における単位画素52の構成に
限定されるものではなく、第1の実施形態における単位画素50と同様に、さらに多くの光電変換部と、それぞれの光電変換部に対応する回路要素とを備え、それぞれの第1の増幅トランジスタが共有信号線200を共有する構成にすることもできる。この場合においても、本第2の実施形態の固体撮像装置1は、
図6に示した時刻t2〜時刻t7、または時刻t8〜時刻t13のような、光電変換部からの光電変換信号の読み出しと、ノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)の電荷蓄積部への保持(蓄積)の動作を、単位画素に配置した光電変換部の数分行うことによって、第1の実施形態の固体撮像装置1と同様の効果を得ることができる。
【0113】
上記に述べたように、本発明を実施するための形態によれば、固体撮像装置の画素アレイ部内のそれぞれの単位画素を、第1の基板と第2の基板とに分けて形成することによって、固体撮像装置のチップ面積の増大を避けることができる。
【0114】
また、本発明を実施するための形態による固体撮像装置のそれぞれの単位画素では、第1の基板に配置した光電変換部の光電変換信号をノイズ除去処理して、第2の基板に配置した電荷蓄積部に保持(蓄積)し、ノイズ除去処理した信号電圧を、画素信号として出力する。これにより、それぞれの単位画素では、電荷蓄積部に保持(蓄積)されたノイズ除去処理した信号電圧を画素信号として読み出すまでの待機期間中に、単位画素に入射する光に起因するノイズの影響を抑制することができる。このことにより、本発明を実施するための形態の固体撮像装置では、光に起因するノイズの影響による信号品質の劣化を抑えることができる。
【0115】
また、本発明を実施するための形態による固体撮像装置のそれぞれの単位画素では、光電変換部および光電変換部に対応する回路要素を複数配置し、第1の基板に配置された光電変換部の光電変換信号を、第2の基板に出力する際に、光電変換信号を増幅して出力する。これにより、それぞれの単位画素では、第2の基板に配置された電荷蓄積部で発生するリーク電流(暗電流)に起因するノイズを抑えることができる。さらに、それぞれの単位画素では、第1の基板から第2の基板に増幅した光電変換信号を出力する信号線を、画素アレイ部の複数の行の単位でまとめ、増幅した光電変換信号を、順次選択して第2の基板に出力する。これにより、それぞれの単位画素では、単位画素内に配置する基板間接続部や画素内クランプ容量の数を減らすことができ、第2の基板に配置する電荷蓄積部の面積を大きくすることによって、第2の基板に配置された電荷蓄積部で発生するリーク電流(暗電流)の影響をさらに抑圧することができる。このことにより、本発明を実施するための形態の固体撮像装置では、電荷蓄積部で発生するリーク電流(暗電流)に起因するノイズの影響による信号品質の劣化を抑えることができる。
【0116】
また、本発明を実施するための形態によれば、固体撮像装置の画素アレイ部内のそれぞれの単位画素において、第1の基板から増幅した光電変換信号を順次選択して第2の基板に出力する際に、第1の基板に配置されたそれぞれの光電変換部からの光電変換信号の読み出し動作を、瞬時に行っている。これにより、本発明を実施するための形態の固体撮像装置では、それぞれの単位画素で、読み出した光電変換信号を第2の基板に配置された電荷蓄積部に保持(蓄積)する際のタイミングを、従来のグローバルシャッタ機能を有する固体撮像装置と同等のタイミングにすることができる。これにより、本発明を実施するための形態の固体撮像装置でも、従来のグローバルシャッタ機能を有する固体撮像装置と同等の、光電変換信号の生成、蓄積の同時性を実現することができる。
【0117】
また、本発明を実施するための形態によれば、固体撮像装置の画素アレイ部内のそれぞれの単位画素において、第1の基板から第2の基板に増幅した光電変換信号を出力する信号線を、画素アレイ部の複数の行の単位でまとめているため、第1の基板と第2の基板とを接続する基板間接続部の数を、行単位でまとめた行数分、少なくすることができる。
これにより、本発明を実施するための形態の固体撮像装置では、画素アレイ部において隣り合う2つの基板間接続部の接続ピッチを広げることができ、第1の基板と第2の基板とを接続する際の歩留まりの減少を抑圧することができる。また、それぞれの基板間接続部の間の接続ピッチを広げることによって、基板間接続部の大きさを大きくし、さらに歩留まりの劣化を抑圧することができる。
【0118】
なお、本発明における具体的な構成は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更をすることができる。例えば、上述した、従来から一般的に知られている、複数の光電変換部を1つの単位画素内に配置する通常の方法に加えて、本発明の考え方を適用することもできる。
【0119】
<第3の実施形態>
ここで、従来から一般的に知られている複数の光電変換部を1つの単位画素内に配置する通常の方法に、本発明の考え方を適用した固体撮像装置の一例について説明する。本第3の実施形態の固体撮像装置における単位画素は、複数の増幅前の光電変換信号で1つの増幅トランジスタを共有する従来の方法で1つの単位画素内に複数の光電変換部を配置し、さらに、第1の基板から第2の基板に出力する信号線を画素アレイ部の複数の行の単位でまとめる第1の実施形態の考え方を適用したものである。
【0120】
上述したように、本第3の実施形態の固体撮像装置は、画素アレイ部に備える単位画素の回路構成が、
図2に示した第1の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素50の回路構成と異なっている。この単位画素の回路構成の違いにより、本第3の実施形態の固体撮像装置に備えた垂直読出し制御回路による単位画素の制御方法が、第1の実施形態の固体撮像装置1内の垂直読出し制御回路20による単位画素の制御方法と異なる。しかし、本第3の実施形態の固体撮像装置に備えた垂直読出し制御回路における制御方法は、従来の制御方法と、第1の実施形態の固体撮像装置1に備えた垂直読出し制御回路20による制御方法とを合わせることによって容易に理解することができるため、詳細な説明は省略する。
【0121】
また、本第3の実施形態の固体撮像装置のその他の構成要素は、第1の実施形態の固体撮像装置1と同様である。従って、本第3の実施形態の固体撮像装置の構成要素において、
図2に示した第1の実施形態の固体撮像装置1と同様の構成要素には、同一の符号を付加して詳細な説明は省略する。なお、以下の説明においては、本第3の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素を、「単位画素53」として説明する。
【0122】
図7は、本第3の実施形態の固体撮像装置1の画素アレイ部40内の単位画素53の概略構成を示した回路図である。単位画素53は、
図3に示した単位画素50と同様に、入射した被写体光を画素信号に変換し、垂直読出し制御回路20から入力された制御信号に応じて、入射した被写体光に応じた画素信号を、垂直信号線90に出力する。
図7には、1つの単位画素53を示している。なお、本第3の実施形態の固体撮像装置1においても、
図7に示したように、それぞれの単位画素53内の各回路要素を、第1の基板の画素部11と第2の基板の蓄積回路12とに分けて配置している。以下の説明においては、単位画素53の回路要素において、
図3に示した単位画素50の回路要素と同様の機能の回路要素には、同一の符号を付加して説明する。
【0123】
図7において、単位画素53は、第1の基板の画素部11に形成された光電変換部101A〜101Dと、画素共有トランジスタ102ABおよび102CDと、転送トランジスタ103A〜103Dと、画素リセットトランジスタ105ABおよび105CDと、第1の増幅トランジスタ106ABおよび106CDと、第2の基板の蓄積回路12に形成された選択トランジスタ107A〜107Dと、画素内サンプルホールドトランジスタ108A〜108Dと、画素内クランプトランジスタ109A〜109Dと、電荷蓄積部110A〜110Dと、第2の増幅トランジスタ111A〜111Dと、画素負荷トランジスタ112と、画素内クランプ容量113とから構成される。また、第1の基板の画素部11と第2の基板の蓄積回路12とは、基板間接続部13によって接続される。
【0124】
図7では、4つの光電変換部(光電変換部101A〜101D)が配置されている単位画素53の一例を示している。なお、
図7においては、単位画素53の各回路要素が対応する画素アレイ部40の行を、それぞれの回路要素の符号の数字に続いて付与した「A」〜「D」によって表している。より具体的には、各回路要素の符号の数字に続いて付与した「A」〜「D」の内、「A」は画素アレイ部40の1行目に配置された回路要素を表し、「B」は画素アレイ部40の2行目に配置された回路要素を表し、「C」は画素アレイ部40の3行目に配置された回路要素を表し、「D」は画素アレイ部40の4行目に配置された回路要素を表している。また、各回路要素の符号の数字に続いて付与した「A」〜「D」の内、2つが付与されている回路要素は、画素アレイ部40の2行分に対応していることを表している。なお、以下の説明において、画素アレイ部40の行を特定しないで説明を行う場合には、「A」〜「D」を示さずに、それぞれの回路要素の符号の数字までを示して説明する。
【0125】
単位画素53では、光電変換部101Aと101Bとで、第1の増幅トランジスタ106ABを共有し、光電変換部101Cと101Dとで、第1の増幅トランジスタ106CDを共有している。すなわち、第1の増幅トランジスタ106ABは、ゲート端子に転送された光電変換部101Aまたは101Bの光電変換信号に応じた信号電圧を出力し、第1の増幅トランジスタ106CDは、ゲート端子に転送された光電変換部101Cまたは101Dの光電変換信号に応じた信号電圧を出力する。なお、この構成が、従来から一般的に知られている、複数の光電変換部を1つの単位画素内に配置する通常の方法による構成である。
【0126】
また、単位画素53では、画素共有トランジスタ102ABと102CDとで、共有信号線100および基板間接続部13を共有している。すなわち、画素共有トランジスタ102ABおよび102CDのそれぞれが、垂直読出し制御回路20から入力された、対応する制御信号φSEL1ABおよびφSEL1CDに応じて、第1の増幅トランジスタ106ABまたは106CDのいずれか一方の第1の増幅トランジスタ106から出力される信号電圧を、共有信号線100を介して基板間接続部13に出力する。なお、この構成は、第1の基板から第2の基板に出力する信号線を画素アレイ部の複数の行の単位でまとめる第1の実施形態の考え方を適用した構成である。
【0127】
このような構成によって単位画素53では、4つの光電変換部101A〜101Dのそれぞれが入射した光を光電変換した光電変換信号に応じたそれぞれの信号電圧を、画素共有トランジスタ102ABおよび102CDによって選択的に1つの基板間接続部13へ読み出す。そして、単位画素53は、ノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)を、光電変換部101A〜101Dのそれぞれに対応した電荷蓄積部110A〜110Dに保持(蓄積)する。その後、単位画素53は、それぞれの電荷蓄積部110に蓄積されたノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理した信号)に応じた信号電圧を、画素信号として垂直信号線90に順次読み出す。
【0128】
上記に述べたように、本第3の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素53でも、第1の実施形態における単位画素50と同様に、全ての単位画素52に配置された光電変換部101の光電変換信号をノイズ除去処理して、電荷蓄積部110に保持(蓄積)し、ノイズ除去処理した信号電圧を、画素信号として順次、垂直信号線90に出力することができる。
【0129】
また、本第3の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素52では、従来から一般的に知られている通常の方法で1つの増幅トランジスタを複数の増幅前の光電変換信号で共有することによって、単位画素53に備える回路要素の数を、第1の実施形態における単位画素50に備える回路要素の数よりも減らしている。これにより、本第3の実施形態における単位画素53では、単位画素53内に配置する光電変換部101の面積を、第1の実施形態における単位画素50よりも大きくすることができる。このことにより、本第3の実施形態の固体撮像装置1内の画素アレイ部40に備えた単位画素53では、出力する画素信号の信号品質を、第1の実施形態における単位画素50よりも、さらに向上させることができる。
【0130】
なお、
図7に示した単位画素53では、1つの単位画素内に複数の光電変換部を配置する従来の方法に、第1の実施形態の考え方を適用した構成の一例を示したが、第1の実施形態の考え方の代わりに、第2の実施形態の考え方を適用した構成にすることもできる。
【0131】
なお、1つの単位画素内に複数の光電変換部を配置する従来の方法に、第1の実施形態の考え方または第2の実施形態の考え方を適用する場合、従来の方法で1つの増幅トランジスタを共有する光電変換部の数は、増幅トランジスタのゲート端子に接続されたノードに付随する容量(
図7においては、ノード容量FD1ABまたはFD1CD)の容量が大きくなりすぎない数にすることが望ましい。これは、増幅トランジスタのゲート端子に接続されたノードに付随する容量が大きくなることによって、それぞれの光電変換部で発生した光電変換信号の電圧が低くなり、ノイズが増大して信号品質が劣化してしまうことを避けるためである。なお、従来の方法で1つの増幅トランジスタを共有する光電変換部の数は、一般的に2つ〜4つであることが望ましく、それ以上の光電変換部を1つの単位画素に配置する場合には、
図7に示した単位画素53のように、増幅トランジスタで増幅した後の光電変換信号を共有する構成であることが望ましい。
【0132】
また、本発明における回路構成および駆動方法の具体的な構成は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更をすることができる。例えば、単位画素の回路要素や駆動方法が変わったことにより、固体撮像装置または単位画素の構成要素や回路構成が変更された場合や、垂直読出し制御回路による単位画素の制御方法が変更された場合でも、変更された駆動方法や制御方法に応じて、本発明の考え方を適用し、それぞれの構成要素を第1の基板と第2の基板とに適切に分けて配置することができる。
【0133】
また、単位画素の行方向および列方向の配置は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において単位画素を配置する行方向および列方向の数を変更することができる。
【0134】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【0135】
また、本発明の実施形態に係る固体撮像装置は、2枚の基板が接続部により接続されていてもよいし、3枚以上の基板が接続部で接続されていてもよい。3枚以上の基板が接続部で接続される固体撮像装置の場合、そのうちの2枚が請求項に係る第1の基板と第2の基板に相当する。