(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記押圧支持部材に形成された上記押圧部の位置は、上記振動子の重心を通る仮想軸の回転モーメントが釣り合う位置であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一方に記載の振動装置。
上記支持部は、上記押圧部のバネ定数よりも250倍以上のバネ定数を有していることを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3のうちのいずれか一項に記載の振動装置。
上記押圧部と上記支持部は全体として額縁状の形状をしており、上記固定部は、当該額縁状の形状の一端部から所定角度傾いて延出する側壁部と当該側壁部から延出していて上記ホルダーにネジ固定または弾性固定されることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項に記載の振動装置。
上記固定部と上記ホルダーとの弾性固定は、当該固定部又は上記ホルダーの一方に設けられた凸状部と他方に設けられた凹状部とによってなされることを特徴とする請求項5記載の振動装置。
上記防塵部材と上記押圧部との間に、振動吸収性材料からなり当該押圧部の先端部を受ける弾性の受け部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に記載の振動装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、光電変換によって画像信号を得る撮像素子ユニットを備え、その撮像素子ユニットの塵埃除去を行う振動装置を有する画像機器であって、レンズ交換可能なデジタルカメラに適用した場合の例示である。
【0025】
図1〜
図18は、本発明の第1の実施形態の画像機器の構成を説明する図である。このうち、
図1は、本実施形態の画像機器(デジタルカメラ)において、主に電気的な構成を概略的に示すブロック構成図である。
図2は、
図1に示す画像機器(デジタルカメラ)において、振動装置を含む撮像素子ユニットの断面図である。なお、
図2は、
図3の[2]−[2]線に沿う断面を示している
。また、図2においては符号[2B]で示す部位を拡大した拡大図を合わせて示している。図3は、
図2の振動装置を含む撮像素子ユニットの正面図である。まず、
図1〜
図3を用いて本実施形態の画像機器であるデジタルカメラの概略構成を以下に説明する。
【0026】
なお、本実施形態においては、レンズ鏡筒における撮影光学系の光軸を符号Oで表す。そして、この光軸Oに沿う方向において、カメラの前面に対向する被写体のある側を前方というものとし、カメラの背面側に配置される撮像素子の受光面(結像面)のある側を後方というものとする。
【0027】
また、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0028】
まず、
図1を参照して本実施形態のデジタルカメラ全体の概略構成を説明する。
図1に示すように、デジタルカメラ10は、カメラ本体としてのボディユニット100と、アクセサリ装置の一つである交換レンズ鏡筒としてのレンズユニット200とによって構成されている。
【0029】
レンズユニット200は、ボディユニット100の前面に設けられた図示しないレンズマウントを介してボディユニット100に対して着脱自在に構成されるレンズ鏡筒である。レンズユニット200の制御は、自身が有するレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、"Lucom"と称する)201が行う。なお、ボディユニット100の制御は、ボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、"Bucom"と称する)101が行う。これらのLucom201とBucom101とは、ボディユニット100にレンズユニット200を装着した状態において通信コネクタ102を介して互いに通信可能に電気的に接続される。そして、Lucom201がBucom101に対し従属的に協働しながらカメラシステムとして稼動するように構成されている。
【0030】
レンズユニット200は、撮影光学系を構成する撮影レンズ202と絞り203を備える。撮影レンズ202は、レンズ駆動機構204内に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動される。絞り203は、絞り駆動機構205内に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動される。Lucom201は、Bucom101の指令に基づいてこれら各モータを制御する。
【0031】
ボディユニット100内には、以下のような構成部材が図示の如く配設されている。例えば、光軸O上にフォーカルプレーン式のシャッタ108が設けられている。また、シャッタ108の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッタチャージ機構112と、これら先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路113が設けられている。
【0032】
光軸O上には、上述の撮影レンズ202を通過した被写体像を光電変換するための撮像ユニット116が設けられている。撮像ユニット116は、画像形成素子としての撮像素子であるCCD117と、その前面に配設された光学ローパスフィルタ(LPF)118と、板状の防塵部材である防塵フィルタ119とをユニットとして一体化してなるものである。防塵フィルタ119の周縁部の片側には、例えば端部外周縁に沿って、防塵部材を振動させる加振部材である圧電素子120が取り付け配置されている。圧電素子120は、夫々2つの電極(171,172;
図4参照)を有しており、圧電素子120を駆動手段である防塵フィルタ制御回路121によって、防塵フィルタ119の寸法や材質によって定まる所定の周波数で振動させることで、防塵フィルタ119に所定の振動を発生させ、フィルタ表面に付着した塵埃を除去し得るように構成されている。
【0033】
また、撮像ユニット116に対しては、手ブレ補正用の防振ユニットが付加されている。なお、防塵フィルタ119は、全体として多角形状からなる透明薄板状部材によって形成される。本実施形態における防塵フィルタ119は、略四角形状に形成したものを例示している。
【0034】
手ブレ補正用の防振ユニットは、X軸ジャイロ160,Y軸ジャイロ161,防振制御回路162,X軸アクチュエータ163,Y軸アクチュエータ164,X枠165,Y枠166(後述するホルダ145が対応している),フレーム167,位置検出センサ168,アクチュエータ駆動回路169等を含んで構成される。なお、手振れ補正用防振ユニットの詳細な構成の説明は後述する。
【0035】
また、本実施形態のデジタルカメラ10におけるボディユニット100は、上記CCD117に接続したCCDインターフェース回路122と、表示装置である液晶モニタ123と、記憶領域として機能するSDRAM124と、FlashROM125と、上記液晶モニタ123,SDRAM124,FlashROM125,記録メディア127などを利用して画像処理する画像処理コントローラ126とを備え、電子撮像機能とともに電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
【0036】
上記電子撮像機能としては、CCD117で撮影された画像を動画として液晶モニタ123に同時に表示して、その表示を被写体観察用の画像ファインダとして用いるいわゆるスルー画表示機能や動画を記録する動画記録機能を持っている。なお、ファインダ機能を実現する手段としては、ほかに光学式のファインダユニット等を設けるようにしても良い。
【0037】
記録メディア127は、各種のメモリカードや外付けのHDD等の外部記録媒体であり、画像処理コントローラ126を介してボディユニット100のBucom101との間で通信可能に、且つボディユニット100に対して着脱可能に装着される。そして、この記録メディア127に対し、撮影動作によって得られた画像データが記録される。その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶するように構成され、例えばEEPROMからなる不揮発性メモリ128がBucom101からアクセス可能に設けられている。
【0038】
Bucom101には、デジタルカメラ10の動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD129及び動作表示用LED130と、カメラ操作SW131と、ストロボ132と、ストロボ132を駆動するストロボ制御回路133と、電源回路135とが接続されている。
【0039】
動作表示用LCD129あるいは動作表示用LED130には、防塵フィルタ制御回路121が動作している期間に防塵フィルタ119の振動動作を表示する表示部が設けられている。
【0040】
カメラ操作SW131は、例えばレリーズSW,モード変更SW,パワーSWなど、デジタルカメラ10を操作するために必要な複数の操作部材と、これらに連動する複数のスイッチ群からなる。
【0041】
電源回路135には、電源としての電池134が接続されている。そして、電源回路135は、電池134の電圧をデジタルカメラ10を構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する回路である。また、電源回路135は、外部電源から不図示の接続端子(ジャック)を介して電流が供給されたときの電圧変化を検知する電圧検出回路(図示せず)を有している。
【0042】
上述のように構成されたデジタルカメラ10の各構成部は、概略的には以下のように稼動する。まず、画像処理コントローラ126は、Bucom101の指令に従ってCCDインターフェース回路122を制御してCCD117から画像データを取り込む。この画像データは画像処理コントローラ126でビデオ信号に変換され、液晶モニタ123へと出力表示される。ユーザは、この液晶モニタ123に表示される画像によって、ファインダ画像あるいは撮影画像を確認できる。
【0043】
SDRAM124は、画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。また、SDRAM124に一時記憶された画像データは、Bucom101の制御下で画像処理コントローラ126によってJPEGデータ等(静止画像データの場合)あるいはMPEGデータ等(動画像データの場合)に変換された後、記録メディア127に保管される。
【0044】
撮影レンズ202の焦点合わせは、撮影レンズ202の光軸O上における位置を順次変更しながら、その都度、CCD117によって撮像し、取得された撮像画像の最もコントラストの高い位置を、画像処理コントローラ126,Bucom101で演算し、通信コネクタ102を通してLucom201に伝達し、Lucom201が撮影レンズ202を位置制御することにより行われる。測光も撮像画像から検出された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
【0045】
次に、
図2及び
図3を参照してCCD117を含む撮像ユニット116の構成について以下に説明する。
【0046】
主に
図2に示すように、撮像ユニット116は、撮影光学系(撮影レンズ202;
図1参照)を透過し自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子としてのCCD117と、CCD117の光電変換面側の前面に配設され撮影光学系を透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除く光学LPF118と、この光学LPF118の前面側において所定間隔をあけて対向配置された防塵部材である防塵フィルタ119と、この防塵フィルタ119の周縁部に配設されて防塵フィルタ119に対して所定の振動を与えるための加振部材である圧電素子120等を備える。
【0047】
本実施形態のデジタルカメラ10においては、圧電素子120は、防塵フィルタ119の一つの辺に沿って1つ取り付けられた構成を例示しているが、この形態に限ることはなく、例えば防塵フィルタ119の対向する各辺、もしくは直交する各辺に沿って複数の圧電素子を配置するように構成してもよい。
【0048】
CCD117は、CCDチップ136と、固定板137と、固定板137上に配設されCCDチップ136を実装したフレキシブル基板138と、このフレキシブル基板138の両端から延出される接続部材139a,139bと、この接続部材139a,139bが接続されるコネクタ141a,141bを実装する主回路基板140と、CCDチップ117の前面側に所定間隔をあけて対向配置された保護ガラス142と、フレキシブル基板138上に固着され保護ガラス142の周縁部を支持するスペーサ143等によって構成される。尚、
図2には図示していないが、主回路基板140にはインターフェース回路122等の回路が設けられている。
【0049】
また、CCD117と光学LPF118との間には、弾性部材等からなるフィルタ受け部材144が配設されている。このフィルタ受け部材144は、CCD117の前面側周縁部で光電変換面の有効範囲を避ける位置に配設され、且つ、光学LPF118の背面側周縁部の近傍に当接して配置されている。これにより、フィルタ受け部材144は、CCD117と光学LPF118との間の気密性を保持する役目をしている。
【0050】
そして、CCD117と光学LPF118とは、その前面側及び周縁部をホルダ145によって覆われている。これにより、CCD117と光学LPF118は、ホルダ145によって外面に対して気密的に覆われる形態となっている。
【0051】
ホルダ145は、光軸O周りの略中央部分に矩形状の開口146(
図2参照)を有するように構成される。この開口146の防塵フィルタ119寄りの内周縁部には、断面が略L字形状に形成され後方に向けて広がる第1段部147a(
図2参照)と、この第1段部147aから断面が略L字形状に形成されさらに後方に向けて広がる第2段部147bとが形成されている。第1段部147aは光学LPF118を配置する空間を形成し、第2段部147bはCCD117を配置する空間を形成している。
【0052】
つまり、ホルダ145に対して、その後方側から開口146の側に向けて、光学LPF118及びCCD117を挿入することにより、それぞれが所定の部位に配設されるように構成している。そして、光学LPF118の前面側周縁部が第1段部147aに当接配置されることによって、両者間は略気密状態になる。さらに、光学LPF118は、第1段部147aによって光軸O方向への位置規制がなされると同時に、ホルダ145の内部から前面側に向けて抜け落ちてしまうことがないように配設される。
【0053】
一方、ホルダ145の開口146の周縁部には、防塵フィルタ119を光学LPF118の前面側に所定間隔をあけて保持するための防塵フィルタ受け部148が全周に亘って形成されている。この防塵フィルタ受け部148は、光軸O上においては、第1段部147aよりも前面側に寄った部位に、光軸Oに対して直交する平面を形成するように形成されている。そして、防塵フィルタ受け部148の内周側に形成される開口部分は、撮影光学系を透過してくる光束、即ち結像光線の通過エリア149(
図3参照)となる。
【0054】
防塵フィルタ受け部148の前面側の内周縁部には全周にわたって第3段部147cが形成されている。この第3段部147cの外周部には、ゴム等の軟質材料で形成された環状のシール156の内周部が嵌合され位置決めされている。シール156には、外側に向けて四角錐状に広がって先端が前方に向けて延出し、環状に形成されるリップ部が設けられている。このリップ部先端には、防塵フィルタ119の裏面側の所定部位が押圧接触している。これにより、光学LPF118の前面と防塵フィルタ119の裏面との間の空間が略密閉状態に維持される。つまり、上記シール156は、上記防塵部材(防塵フィルタ119)と上記ホルダ145との間の所定の空間を封止する封止部材として機能している。また、上記防塵部材(防塵フィルタ119)と上記ホルダ145とは、所定の間隔をもって配置されている。
【0055】
防塵フィルタ119の前面側には、撮影光を通過させるための開口部119bを有し、開口部119bの縁に沿って環状に形成された板状の弾性部材からなる押圧支持部材(以下、単に押圧部材という)151が、防塵フィルタ119の外周縁部を覆うように配設されている。本実施形態においては略四角形の額縁状環状に形成されているが、この板状の弾性部材からなる板状の弾性部材は、撮影光を通過させるための開口部119bと開口部119bの縁に沿って環状に形成された部分を有していれば、どんな形状であっても良い。即ち、円弧状であっても良いし、後述する
図10に示すような一部の直線部が形成された円弧状であっても良い。また、押圧部材151は、例えば、ステンレス、リン青銅、ベリリウム銅等の金属製の薄板を板金折り曲げ加工を施して形成される部品である。
【0056】
この押圧部材151は、防塵フィルタ119の外周縁部のうちの対向する二辺に対向配置される支持部151cと、この支持部151cの支持面に対して直交する方向に後方に向けて折り曲げられて形成される第1立ち曲げ部151eと、この第1立ち曲げ部151eの一部に形成される複数の固定部151d(本実施形態では四箇所;
図3参照)と、防塵フィルタ119の外周縁部のうちの対向する他の二辺に対向配置され該防塵フィルタ119を前面側から後方のシール156(封止部材)に向けて(即ち光軸O方向(Z方向)に)弾性的に押圧する押圧部である腕151bと、この腕151bを弾性的に支持する腕支持部151aと、この腕支持部151aの支持面に対して直交する方向に後方に向けて折り曲げられて形成される第2立ち曲げ部151fと、を有して形成される。
【0057】
支持部151cは、略四角形額縁状の四辺のうちの対向する二辺に形成されており、防塵フィルタ119の外周縁部のうちの対向する二辺に対し所定間隔をもって対向配置され、防塵フィルタ119と平行な面を形成している。そして、支持部151cは、防塵フィルタ119の外周縁部に沿う方向に長辺を有する略長方形状に形成されている。
【0058】
複数の固定部151dは、押圧部材151をホルダ145の防塵フィルタ受け部148の面に対して固定するために形成された部位である。そのために、複数の固定部151dは、押圧部材151の略四隅部近傍に配置され、上記第1立ち曲げ部151eの一部を外側に向けて折り曲げた形態で、ホルダ145の防塵フィルタ受け部148の面に沿って外側に向けて延出するように形成されている。そして、複数の固定部151dにはビス孔151hが穿設されている。これにより、押圧部材151は、固定部151dのビス孔151hを介して配設されるネジ150を用いて防塵フィルタ受け部148に対し固定支持される。なお、複数の固定部151dのうちの一部(本実施形態においては2つの固定部)には、防塵フィルタ受け部148から外部に向けて突設されている二本の位置決めピン145aが嵌合する孔部151xが形成されている。この二つの孔部151xのうち一方は丸孔に、他方は長孔となっている。つまり、押圧部材151が防塵フィルタ受け部148に対して固定支持される際に、防塵フィルタ受け部148の二本の位置決めピン145aが二つの孔部151xのそれぞれに嵌合することで、押圧部材151の位置決めがなされる。この場合、一方の孔部151xを長孔としているのは、部材製作上の寸法誤差(ピン位置や孔位置等)を吸収するための措置である。
【0059】
腕151bは、略四角形額縁状の四辺のうちの、互いに対向する2組の辺の一方の組に形成されている。そして、腕151bは、上記防塵部材の重心と上記加振部材の重心を通る仮想軸を挟んで互いに対称な位置で、かつ、防塵フィルタ119の外周縁部に配置されている。その位置は、上記防塵部材の重心を通る仮想軸の回転モーメントが釣り合う位置である。また、各腕151bは、防塵フィルタ119と平行面を形成する中央部分と、防塵フィルタ119の外周縁を弾性的に押圧する板バネ状の押圧部分とからなり、中央部分と押圧部分とは、防塵フィルタ119の外周縁に沿う方向に長辺を有する略長方形状に形成されている。板バネ状の押圧部分は、先端側が防塵フィルタ119の側へ折り曲げられていることにより防塵フィルタ119の外周縁を弾性的に押圧する。そして、この腕部151bの略中央部分から上記防塵フィルタ119の重心を通り上記仮想線と垂直な仮想線に沿って当該防塵フィルタ119の外側に向けて延出するように腕支持部151aが形成されている。したがって、押圧部材151を正面側から見た場合(
図3参照)の腕支持部151aと腕151bとによる形状は略T字形状となっている。そして、
図3に示す正面側から見た場合にはこの略T字形状部が防塵フィルタ119と平行となるように、第2立ち曲げ部151fによって片持ち支持されている。つまり、腕支持部151aの先端部位に腕151bが一体に連設され、腕支持部151aの基端部位に第2立ち曲げ部151fが一体に連設された形態となっている。この構成によって、腕151bが防塵フィルタ119の周縁部の互いに対向する二辺を前面側から後方に向けて、即ち光軸Oに沿う方向(Z方向)に押圧するように形成されている。
【0060】
一方、防塵フィルタ119の裏面側、即ち光学LPF118に対向する側の面は、上記シール156を介して防塵フィルタ受け部148によって支持されている。このシール156は、弾性を有する素材によって形成されている。
【0061】
なお、押圧部材151の腕151bの両先端部位には、例えばゴムや樹脂等の振動減衰性のある弾性を有する板状の材料、即ち振動吸収性材料からなる弾性の受け部材152が設けられている。これにより、受け部材152は、押圧部材151と防塵フィルタ119との間に介在するようになっている。防塵フィルタ119の振動が押圧部材151に直接伝わると、押圧部材151に不要な振動が生じて防塵フィルタ119の振動を妨げたり、可聴音が発生したりすることがある。防塵フィルタ119と押圧部材115との間に振動吸収性のある樹脂材料やゴム材料のシートを挟み込むことで、振動が押圧部材115に伝わることを阻害している。
【0062】
また、押圧部材151の第1立ち曲げ部151eの内壁面には、上記受け部材152と同様の材料からなる支持部材154が配設されている。この支持部材154には、防塵フィルタ119の外周端面のうちの二端面が当接配置される。これにより、防塵フィルタ119のY方向の位置決めがなされている。
【0063】
一方、
図3に示すように、ホルダ145には、防塵フィルタ受け部148から前面に向けて突出するように形成される支持部155が設けられている。この支持部155は、押圧部材151の各腕支持部151aを挟むようにして、その両側にそれぞれ一対形成されている。そして、この支持部155の内壁面にも支持部材154が設けられており、この支持部材154に対して防塵フィルタ119の外周端面のうちの他の二端面が当接配置される。これにより、防塵フィルタ119のX方向の位置決めがなされている。この支持部材154もまた、ゴムや樹脂等の振動減性のある材料で形成されており、防塵フィルタ119の振動を阻害しないようにしている。
【0064】
本実施形態の構成においては、受け部材152の配設位置(即ち防塵フィルタ119の押圧位置)は、防塵フィルタ119に発生する振動の節位置(後述する)となるように設定する必要は無い。しかしながら、受け部材152の配置を、振動の節位置に設定すれば、押圧力を大きくしても防塵フィルタ119の振動を阻害することが無いので、振動振幅が大きく高効率な塵埃除去機構を構成することができる。
【0065】
また、上述したように、防塵フィルタ119の周縁部と防塵フィルタ受け部148との間には、環状のリップ部を有するシール156が介在し、リップ部が防塵フィルタ119に接触配置されている。これにより、シール156は、防塵フィルタ119を裏面側から支持するとともに、開口146を含む空間を気密状態としている。
【0066】
なお、上記環状リップ部が防塵フィルタ119を支持する位置は、防塵フィルタ119に発生する振動の節位置(後述する)に設定すると、押圧力を大きくしても防塵フィルタ119の振動をほとんど阻害することが無いので、振動振幅が大きく、高効率な塵埃除去機構を構成できることは勿論である。
【0067】
また、防塵フィルタ119の押圧力を2N(ニュートン)以下に設定することによって、振動の節位置を押圧部材151やシール156によって押圧支持しなくても、防塵フィルタ119の振動はほとんど阻害されないように構成できる。
【0068】
以上のような構成により、本実施形態のデジタルカメラ10における撮像ユニット116は、所望の大きさに形成されたホルダ145を備え、CCD117周りを気密構造とするように構成されている。
【0069】
一方、上記防塵フィルタ受け部148には、上記各受け部材152に対向する部位に、受け部材152と同様の素材からなる受け部材153が配置されている。この受け部材153は、防塵フィルタ119に対して押圧部材151の押圧方向の外力(光軸O方向(Z方向)であって前面から後方へ向かう外力)が加わって、防塵フィルタ119の平面位置が変位した場合に、当該防塵フィルタ119の裏面側を受ける部材として配設されている。
【0070】
さらに、押圧部材151の支持部151cは、防塵フィルタ119に反押圧方向の外力が加わって、防塵フィルタ119の平面位置が変位した場合に、当該防塵フィルタ119を受ける部材となる。
【0071】
支持部151cは、固定部151dの近傍に形成されているので、反押圧力方向の力は第1立ち曲げ部151eの内壁と防塵フィルタ119の外形とが接触する位置までの距離は非常に短く、防塵フィルタ119を支持する支持部151cの曲げ方向のバネ定数が非常に大きい。したがって、防塵フィルタ119が大きな反押圧方向の力を受けた場合でもその変位は非常に小さく抑えることができる。また、腕151bの最大変位量は防塵フィルタ119の前面と支持部151cの間隔にほぼ一致する所定の変位量となる。つまり、腕151bの剛性は小さく、バネ定数も小さくて変形し易いが、変位が所定の小さな値に抑えられるので、外力によって大きく変位して破損したり、防塵フィルタ119の保持が外れてしまうようなことは無い。しかも、支持部151cは、押圧部材151と一体に形成されており、かつ板状に形成されているために、押圧部材151の必要なスペースは、従来の防塵部材押圧機構とほとんど変わることが無い。
【0072】
ここで、
図3の押圧部材151を、ばね用リン青銅板,ばね用ベリリウム銅板,ばね用ステンレス板等の金属板や高い曲げ強度を持つ樹脂材料とし、その腕151bは、板厚t,ヤング率E,幅Wb,長さLb(展開長)とすると、腕151bのバネ定数kbは、
kb=1/4・(E・Wb・t
3)/Lb
3
で表される。
【0073】
他方、支持部151cを単純な片持ちはりと仮定し、片持ちはりの幅をWc,長さLc,板厚t,ヤング率Eとすると、同じくバネ定数kcは、
kc=1/4・(E・Wc・t
3)/Lc
3
となる。
【0074】
ここで、
図3に示す支持部151cは単純な片持ちはりではなく、上記の式の値より大きなバネ定数を持つが、簡単に説明するために片持ちはりと仮定し、最小のバネ定数としてkcを算出している。
【0075】
上記の2つの式で、仮にWb≒Wcとすれば、夫々のバネ定数kb,kcの比kc/kbは、
kc/kb=1/(Lc/Lb)
3
であり、夫々のはりの長さLb,Lcの比の3乗に反比例する。
【0076】
さらに、具体的にLb=5mm,Lc=0.5mmとすれば、バネ定数の比kc/kb=1000となり、腕151bのバネ定数の1000倍のバネ定数を支持部151cは持つことになる。剛性は所定の力に対する変形が小さければ高くなり、剛性の比はバネ定数と比例すると考えて良いので、支持部151cの剛性は腕151b剛性の1000倍となる。
【0077】
さらに、加振部材である圧電素子120の端部には、導電性パターンを有するフレキシブルプリント基板157が電気接続されている。このフレキシブルプリント基板157は、防塵フィルタ制御回路121からの所定の電気信号(後述する)を圧電素子120に入力するために設けられる。これにより、圧電素子120は、防塵フィルタ制御回路121の制御信号を受けて所定の振動を発生させる。フレキシブルプリント基板157は、樹脂と銅箔等で形成されており、柔軟性があることから圧電素子120の振動を減衰させることは少ないが、圧電素子120を振動振幅の小さいところ(後に述べる振動の節位置)に設けることで、振動の減衰をさらに抑えることができる。
【0078】
一方、本実施形態のデジタルカメラ10においては、以下に述べるような構成の手ブレ補正用の防振ユニット(以下、手ブレ補正機構という)を有している。この場合、圧電素子120はボディユニット100に対して相対的に移動する。したがって、防塵フィルタ制御回路121がボディユニット100と一体に設けられている場合には、防塵フィルタ制御回路121と圧電素子120との間を電気的に接続するフレキシブルプリント基板157は、手ブレ補正機構の動作に従って変形し、その位置が変位する。この場合、フレキシブルプリント基板157は柔軟性があり薄い素材で形成されているので、手ブレ補正機構の動作時の負荷を低減させたり小型化するのに有効である。さらに、本実施形態においてはフレキシブルプリント基板157をその端部の一箇所から引き出すような簡単な構成としている。このような構成は、手ブレ補正機構を有する画像機器(デジタルカメラ10)においては最適な構成である。
【0079】
なお、防塵フィルタ119の表面から離脱した塵埃は、後述するように、その振動の慣性力と重力の作用によって、ボディユニット100の底面側(下方)に落下する。そこで、本実施形態のデジタルカメラ10においては、
図5に示すように、防塵フィルタ119の下縁端119aの近傍に塵埃吸着部材159を配設してある。この塵埃吸着部材159は、例えば粘着材,粘着テープ等、粘着性部材を有する部材によって形成されていて、防塵フィルタ119が振動して、その表面より離脱し落下した塵埃を確実に吸着し保持することによって、それらの塵埃が再度、防塵フィルタ119の表面に付着しないようにするためのものである。そのために、
図5に示すように、押圧部材151には、その外周縁部のうち下端側の支持部151cの一部であって、下端側の二つの固定部151dに挟まれる領域に、支持部151cの外周縁部を光軸Oに沿う方向(Z方向)であって後方に向けた折り曲げ部151gが形成されている。そして、塵埃吸着部材159は、この折り曲げ部151gの内側面であって防塵フィルタ119の下縁端119a近傍の部位に
図5に示すような形態で貼着されている。
【0080】
次に、本実施形態のデジタルカメラ10における手ブレ補正機構について簡単に説明する。
図1の説明で上述したように、本実施形態のデジタルカメラ10における手ブレ補正機構は、X軸ジャイロ160,Y軸ジャイロ161,防振制御回路162,X軸アクチュエータ163,Y軸アクチュエータ164,X枠165,Y枠166(上記ホルダ145が対応している),フレーム167,位置検出センサ168,アクチュエータ駆動回路169等によって構成されている。
【0081】
X軸ジャイロ160は、デジタルカメラ10のX軸回りの手ブレの角速度を検出する。Y軸ジャイロ161は、デジタルカメラ10のY軸周りの手ブレの角速度を検出する。
【0082】
防振制御回路162は、X軸ジャイロ160,Y軸ジャイロ161からの角速度信号に基いて手ブレ補償量を演算する。ここで、光軸Oに沿う方向をZ軸方向とした場合、光軸Oに直交するXY平面内においてZ軸にそれぞれ直交する二軸をX軸方向(第1の方向),Y軸方向(第2の方向)とする。防振制御回路162は、算出した手ブレ補償量データに基いて、CCD117をXY平面内においてX軸方向及びY軸方向のそれぞれに所定量だけ移動させて、像ブレを補償する。
【0083】
X軸アクチュエータ163は、アクチュエータ駆動回路169からの駆動信号を受けてCCD117をX軸方向に駆動する駆動源である。Y軸アクチュエータ164は、アクチュエータ駆動回路169からの駆動信号を受けてCCD117をY軸方向に駆動する駆動源である。X軸アクチュエータ163及びY軸アクチュエータ164は、電磁回転モータとネジ送り機構等を組み合わせたものや、ボイスコイルモータを用いた直進電磁モータや、直進圧電モータ等が用いられる。
【0084】
そして、X枠165と、CCD117を搭載したY枠166(ホルダ145)とが、フレーム167に対して移動する移動対象物として構成されている。
【0085】
位置検出センサ168は、X枠165及びY枠166(ホルダ145)の位置を検出するセンサ部材である。
【0086】
防振制御回路162は、位置検出センサ168の位置情報や、位置情報を微分した速度情報を用いて、CCD117を搭載したY枠166をブレ補正のための移動制御すると共に、変位移動可能な範囲を超えてX軸アクチュエータ163及びY軸アクチュエータ164を駆動しないようにアクチュエータ駆動回路169を制御する。
【0087】
次に、本実施形態のデジタルカメラ10における振動装置(塵埃除去機構)について
図4〜
図12を用いてさらに詳しく説明する。
図4は、本実施形態のデジタルカメラにおける振動装置(塵埃除去機構)の主要構成部(振動子)を取り出して示す要部拡大分解斜視図である。
図5は、本実施形態のデジタルカメラの振動装置における塵埃吸着部材の配置を示す要部拡大断面図である。なお、
図5は、
図3の[5]−[5]線に沿う断面を示している。
図6は、本実施形態のデジタルカメラの振動装置における防塵部材押圧機構の主要部を拡大して示す要部拡大断面図である。なお、
図6は、防塵フィルタに対して反押圧方向に外力が加わった状態を示し、
図2の一部(
図2の矢印[6]で示す近傍)を拡大して示している。
図7は、防塵フィルタに発生する振動の様子(振動モード1)を説明する図であって、防塵フィルタの正面図(A),[B]−[B]線に沿う縦断面図(B),[C]−[C]線に沿う横断面図(C)をそれぞれ示している。
図8は、振動装置における防塵フィルタの振動の発生の概念を説明する図であって、防塵フィルタの正面図(A),[B]−[B]線に沿う縦断面図(B),[C]−[C]線に沿う横断面図(C)をそれぞれ示している。
図9は、振動装置における防塵フィルタに発生する振動の様子(振動モード3)を説明するための図であって、
図8で示す振動とは異なる振動の場合を示している。
図10は、振動装置における防塵フィルタの異なる形態と、その場合の防塵部材押圧機構を示す図である。
図11は、振動装置における防塵フィルタのさらに異なる形態を示す図である。
図12は、振動装置における防塵フィルタに発生する定在波を説明するための概念図であって、
図7の縦断面図(B)に相当する図である。
【0088】
防塵フィルタ119は、ある対称軸に対して対称な辺を少なくとも一つ持ち、全体として多角形の板状(本実施形態は四角形状としている)を成し、少なくとも最大の振動振幅が得られる位置から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部を構成して形成されている。尚、防塵フィルタ119は、全体として円形を成し、その円の一部を直線状にカットして一辺を持つD形状であっても良いし、四角形の両辺を円弧状に形成し、上下二辺を持つ形状としたものでも構わない。そして、上述した取り付け手段(ホルダ145,押圧部材151等)によって、この防塵フィルタ119の透明部が光学LPF118の前面側に所定の間隔をもって対向配置されている。
【0089】
また、防塵フィルタ119の一方の面(本実施形態では裏面側)の上側外周縁部近傍には、防塵フィルタ119に対して振動を与えるための加振部材である圧電素子120が、例えば接着剤による貼着等の手段により固設されている。防塵フィルタ119に圧電素子120を配設することで振動子170が形成される(
図4参照)。この振動子170は、圧電素子120に所定の周波電圧を印加すると共振振動し、
図7に示すような屈曲振動を大きな振幅で発生させる。
【0090】
図4に示すように、圧電素子120には、信号電極171と、該信号電極171に対向した裏面に設けられ、側面を通して上記信号電極171のある側の面に引き回された信号電極172とが形成されている。そして、信号電極171と信号電極172とには、上記フレキシブルプリント基板157が電気的に夫々接続されている。このフレキシブルプリント基板157は、防塵フィルタ制御回路121に接続されている。この構成により、防塵フィルタ制御回路121は、フレキシブルプリント基板157を介して上記信号電極171,172に対して所定周期を有する駆動電圧を印加して、防塵フィルタ119に
図7に示す2次元の定在波屈曲振動(振動モード1とする)を発生させることができる。
【0091】
図7に示す屈曲振動は定在波振動を示しており、
図7(A)に示すメッシュ状のエリア173は、振動の節エリア(振動振幅の小さいエリア)を示している。このメッシュ状のエリア173は、防塵フィルタ119の重心を通る仮想線に対して略対称となっている。
【0092】
なお、
図7において、符号119aは防塵フィルタ119の重心を示す。符号120aは圧電素子120の重心を示す。符号149は結像光線の通過エリアを示す。符号173は節エリア(振動振幅の小さいエリア)を示す(上述)。符号174は振動振幅の山の稜線を示す。符号175は中心振動領域を示す。符号175aは中心振動領域の重心を示す。符号180は支持エリアを示す。符号181で示す2点破線はシール156の接触部を示す。
【0093】
振動速度が大きい場合、
図7(A)に示すように節エリア173の間隔が小さいと、節エリア173には大きな面内振動が発生し、節エリア173にある塵埃には面内振動方向に大きな慣性力が発生する(後述する
図12の質点Y2の動きを参照。節を中心にY2とY2'の間を円弧振動する)。塵埃の付着面に沿った力が作用するように防塵フィルタ119面を重力に対して平行になる方向に傾けると、慣性力と重力が作用して節エリア173に付着した塵埃も除去することができる。
【0094】
また、
図7(A)での白色のエリアは、振動振幅が大きなエリアを示しており、この白色エリアに付着した塵埃は、振動により与えられる慣性力により除去される。振動の節エリア173に付着した塵埃は、節エリア173に振幅をもつ別の振動モードで加振することによっても除去することができる。
【0095】
図7に示す屈曲の振動モード1は、X方向の屈曲振動と、Y方向の屈曲振動との合成で形成される。この合成の基本状態の様子を
図8に示す。
図8に示すように、この例では、2つの圧電素子120,121を防塵フィルタ119の中心軸Xを対称として配置した振動子170としている。この振動子170をスポンジ等の振動減衰の殆どない部材の上に置いて自由振動させたとする。この場合、
図8に示すような格子状の節エリア173が発生する振動が簡単に得られる(上記特許文献2参照)。その場合に、X方向に波長λxの定在波屈曲振動が発生し、且つY方向に波長λyの定在波屈曲振動が発生する。
図8は、その両方の定在波(λx,λy)が合成されている状態を示している。
【0096】
ここで、
図8(A)において、符号Oで示す点を座標x=0,y=0の原点とすると、同図における任意の点P(x,y)のZ方向(XY平面に直交する方向)の振動Z(x,y)は、振幅A(ここでは一定値とするが実際には振動モードや圧電素子に入力される電力により変わる),振動モードに対応した固有振動の次数m、n(0を含む正の整数),任意の位相角γ,とすると、次の(1)式で表される。即ち、
Z(x,y)=A・Wmn(x,y)・cos(γ)
+A・Wnm(x,y)・sin(γ) …(1)
但し、
Wmn(x,y)=sin(nπ・x+π/2)・sin(mπ・y+π/2)
Wnm(x,y)=sin(mπ・x+π/2)・sin(nπ・y+π/2)
である。
【0097】
ここで、例えば、位相角γ=0とすると、上記(1)式は、
Z(x,y)=A・Wmn(x,y)
=A・sin(n・π・x/λx+π/2)
・sin(m・π・y/λy+π/2)
となり、ここで、λx=λy=λ=1とすると(屈曲の波長を単位長さとしてx,yを表記)、
Z(x,y)=A・Wmn(x,y)
=A・sin(n・π・x+π/2)
・sin(m・π・y+π/2)
となる。
【0098】
図8は、m=nの場合の振動モードを示し(X方向、Y方向の振動の次数と波長が同じなので防塵フィルタ119の形状は正方形になる)、X方向,Y方向に等間隔で振動の山,節,谷が現れ、碁盤目状に振動の節エリア173が現れている(従来の振動モード)。また、m=0,n=1の場合の振動モードでは、Y方向に平行な辺(辺LB)に対して、平行な山,節,谷が出来る振動になる。以上の碁盤目状あるいは辺に平行な振動モードではX方向,Y方向の振動が独立に現れるだけで、碁盤目状の振動のX方向とY方向の交点においても振動が合成されて振動振幅が大きくなることがない。
【0099】
ここで、防塵フィルタ119の形状を僅かに長方形にすると、本実施形態の構成例のように圧電素子を1つの辺に沿って配置しても、振動振幅が非常に大きくなる振動モードとなる(最大振幅は従来の円形の防塵フィルタと同じレベル)。このとき、
図7に示す振動モード1となり、防塵フィルタ119が矩形であるにも関わらず、光軸中心に対して、振動振幅の山の稜線174が閉曲線を構成し、X方向の辺からの反射波と、Y方向の辺からの反射波を効率良く合成して定在波が作られる。
【0100】
また、
図9は、
図7の防塵フィルタ119の加振用周波数を変えることにより発生する別の振動モード(振動モード3とする)を示しており、辺の中心を囲む振動振幅の山の稜線174が形成される振動モードである。
【0101】
図7において、振動子170の防塵フィルタ119は、30.5mm(X方向:LA)×31.5mm(Y方向:LB)×0.65mm(厚さ)の板ガラスである。また、圧電素子120は、21mm(X方向)×3mm(Y方向)×0.8mm(厚さ)のチタン酸ジルコン酸鉛のセラミックで作られている。そして、圧電素子120は、該防塵フィルタ119の裏面側の所定の位置、即ち防塵フィルタ119の上側外周縁部近傍において、防塵フィルタ119のY軸中心に対して左右対称となる位置に、エポキシ系の接着剤で接着固定されている。このとき、
図7で示す振動モードの共振周波数は78kHz付近であり、防塵フィルタ119の中央位置に、この四角形の防塵フィルタ119が内接する大きさの円形状に防塵フィルタを形成した場合と略匹敵する最も大きな振動速度,振動振幅が得られる。
【0102】
図10は、振動子170及び押圧部材151の変形例を示している。この変形例の防塵フィルタ119は、円板状の一部が切り欠かれて一つの辺Dを形成している。
即ち、Y方向の対称軸に対して対称な一辺Dを持ち、全体が略D形状の防塵フィルタ119を形成している。圧電素子120は、この一辺Dに平行に、且つ該一辺Dの中点Y1を含む軸線(即ちY方向の対称軸Y)に対して対称となるように、防塵フィルタ119の面上に固定配置されている。
【0103】
防塵フィルタ119の形状を、
図10に示す形状で形成すると、防塵フィルタ119の中心(=重心と考えて良い)に対する形状の対称性が高くなり、
図7に示す振動状態がより作り易くなる。これに加えて、防塵フィルタの形状は、円形状とする場合よりも小型になることは勿論である。
【0104】
さらに、圧電素子120を一辺Dに平行に配置することで、切り欠きの発生で生ずる振動に対する非対称性は、剛性を上げることでより対称なものとすることができ、求める振動状態をより形成し易くなる。なおここで、
図10での短辺、長辺は、図に示すごとく、一辺は防塵フィルタ119の上記一辺に沿い、それに対向する辺は上記一辺と平行で、防塵フィルタ119と面積が等しくなる仮想矩形176(
図10の二点鎖線で示す矩形)の一辺とし、その一辺に直交する辺は、同じく防塵フィルタ119と面積が等しくなる仮想矩形176の辺とする。
【0105】
一方、押圧部材151は、防塵フィルタ119の外形に沿うように本体部151iが筒状に形成され、本体部151iの内周側に延びる複数の腕支持部151aの端部から防塵フィルタ119の外周に沿って腕151bが延び、腕151bの端部で受け部材152を介して防塵フィルタ119を押圧支持している。また、押圧部材151の本体部151iの外周側には、複数の固定部151dが延出されて、ネジ等でホルダ145に固定されている。さらに、腕151bが外力により所定量変位すると、本体部151iの内周側に延出された複数の支持部151cによって支持されることになる。
【0106】
弾性材料から形成された押圧部材151の腕151bのバネ定数よりも、支持部151cのバネ定数がより大きく、腕151bの過度な変形や永久変形を防止する機能を支持部151cが持つことは勿論であり、想定される外力に対しても充分な剛性を支持部151cは備えている。
【0107】
一方の腕151bは、防塵フィルタ119の押圧力を2N(ニュートン)以下にするために、より小さい剛性となっている。また、防塵フィルタ119のX方向,Y方向の位置決めは、防塵フィルタ119と押圧部材151の支持部151cの間に配置され、支持部151cに設置された複数の支持部材154によってなされている。
【0108】
そして、防塵フィルタ119とホルダ145との間には、シール156が介在している。これにより、シール156は、防塵フィルタ119を裏面側から支持すると共に、防塵フィルタ119とホルダ145との間の空間を塵埃が当該空間内に入り込まないレベルの気密状態としている。
【0109】
図11は、振動子170の別の変形例を示している。この別の変形例においては、防塵フィルタ119は、円板状に対し対称に切り欠きを入れることで平行な二辺を形成している。即ち、Y方向の対称軸Yに対して対称な辺を2つ持つ防塵フィルタ119としている。この場合、圧電素子120は、辺近傍ではなく、円周を形成する部分に円弧状の素子を配置している。
【0110】
このような形態にすると、圧電素子120が効率的に配置されることになるので、より小型の振動子170を形成できる。なおここで、
図11での短辺、長辺は、図に示すごとく、1辺及びそれに対向する辺は防塵フィルタ119の2つ辺に沿い、防塵フィルタ119と面積が等しくなる仮想矩形175の長辺、短辺とする。この防塵フィルタ119の形態でも、
図10に示した形態の押圧部材151と同様なものを適用でき、本発明の防塵フィルタ119の防塵部材押圧機構を実現できる。
【0111】
次に、
図12を用いて塵埃の除去について詳しく説明する。
図12の矢印177で示す方向に分極された圧電素子120に所定の周波電圧が印加された場合は、振動子170は、ある時点t0で
図12の実線に示す状態となる。
【0112】
振動子170表面の任意の位置yにある質点Y1の任意の時刻tでのZ方向の振動zは、振動の角速度ω,Z方向の振幅A,Y=2πy/λ(λ:屈曲振動の波長)として、下記の(2)式の通りに表される。
【0113】
z=Asin(Y)・cos(ωt) …(2)
この(2)式は、
図7に示す定在波振動を表す。即ち、y=s・λ/2の時(ここで、sは整数)にY=sπとなり、sin(Y)は零になる。従って、時間に関係なくZ方向の振動振幅が零になる節178をλ/2ごとに持つことになり、これは定在波振動である。
図12において破線で示す状態は、時間t0の状態に対して振動が逆相となる状態、即ちt=kπ/ωでの状態を示す(ここで、kは奇数)。
【0114】
防塵フィルタ119上の点Y1の振動は、屈曲定在波の振動の腹179の位置になるので、振動振幅はAとなり、Z方向の点Y1の位置z(Y1)は、
z(Y1)=Acos(ωt) …(3)
となる。
【0115】
Y1の振動速度Vz(Y1)は、振動の周波数をfとすると、ω=2πfであるので、上記(3)式を時間で微分して、
Vz(Y1)=d(z(Y1))/dt
=−2πf・Asin(ωt) …(4)
となる。
【0116】
Y1の振動加速度αz(Y1)は、上記(3)式をさらに時間で微分して、
αz(Y1)=d(Vz(Y1))/dt
=−4π
2f
2・Acos(ωt) …(5)
となり、Y1に付着している塵埃79は、上記(5)式の加速度を受けることとなる。この時、塵埃79の受ける慣性力Fkは、塵埃79の質量をMとして、
Fk=αz(Y1)・M
=−4π
2f
2・Acos(ωt)・M …(6)
となる。
【0117】
上記(6)式から、慣性力Fkは周波数fを上げると大きくなるので効果的なことが判るが、その時の振動振幅Aが小さいと、いくら周波数を上げたからと言って、慣性力を上げることは出来ない。一般的には、加振の振動エネルギーを発生させる圧電素子120の大きさを一定とすると、所定の振動エネルギーしか発生することができない。従って、同じ形態の振動モードで周波数を上げると振動振幅Aは周波数fの2乗に逆比例し、共振周波数を上げて高次の共振モードにすると、振動振幅は低下し、振動速度が上がらず、振動加速度も上がらない。むしろ、周波数が高くなると、理想的に共振させることが難しく、振動エネルギー損失が大きくなり、振動加速度は下がる。
【0118】
即ち、単に共振モードで振動を発生させることでは大きな振幅を持つモードにはならず、塵埃除去の効果が著しく悪化してしまう。また、
図12の防塵フィルタ119の保持では、振動の節を支持すれば良いが、振動の腹を支持してしまうと、発生している振動を阻害し、振動加速度を著しく低下させ、結果として塵埃の除去性能を低下させてしまうことになる。本実施形態では、防塵フィルタ119の外周部に沿うように片持ちはり状の腕151bを形成することにより押圧力を2N以下とし、例え振動の腹部分を支持しても、振動を阻害することが殆ど無いように構成している。
【0119】
具体的には、例えば後述する
図19,
図20,
図21(後述の第2の実施形態)に示すような額縁状のゴム材料からなるシール156によって防塵フィルタ119の裏面を受け、圧電素子120に印加する電圧の周波数を変え、
図7に示す振動モード1,
図9に示す振動モード3及び防塵フィルタ119の1つの辺に平行な節をもつ振動モード2をそれぞれ発生させて、防塵フィルタ119外周部の振動の節ではない位置を所定の力量で押圧するように構成する。そして、その時の防塵フィルタ119の中央部の最大振動速度Vを計測し、防塵フィルタ119への押圧力を零とした場合(但し、防塵フィルタ119の重量はかかる)の防塵フィルタ119の中央部の最大振動速度Vmax1との比V/Vmax1を示すと、
図23のようになる。
【0120】
押圧力を2N以下にすると振動モード1と振動モード3では、V/Vmax1は70%以上となり、押圧力を零とした場合に対して振動速度の低下は30%以下となった。この押圧による振動速度の低下率は、円板状の防塵フィルタの円環状の振動の節を押圧した場合と比較して、同等以下になっている。振動の節は、振幅方向(
図12のZ方向)の振動はしないが、
図12に示すように節の回りに円弧振動をしており、本発明の防塵部材押圧機構であれば、押圧力を極限まで小さくすることが可能で、振動の節回りの振動の阻害も最小にすることが可能となり、大きな振動速度を得ることができる。さらに、押圧力を1N程度にすれば、
図23から、ほとんど押圧力が零の場合と変わらない振動速度が実現可能であり、最大の塵埃除去効果をもつ振動装置を実現できる。
【0121】
押圧力の最低設定値Fminは、振動子170の質量m,重力加速度g(ここで重力加速度は1G=9.8m/s
2)とした場合に、振動子170が振動装置の姿勢を変えただけで変位するのを防止するために、Fmin>g・mであり、より具体的にはFmin=2・g・mであり、先に述べた形状、材質の防塵フィルタ119はm=2g程度以下なので、0.04N程度以上となる。部材や組立てのバラツキを考慮すると、10倍程度の安全係数をかけて、押圧力の最低設定値Fminは、0.4N程度に設定するのが望ましい。一方、外力Fは、装置の落下等を仮定すると数百G程度の加速度が加わる場合が想定され、具体的に500Gとした場合、外力F=9.8Nとなる。押圧力を0.4Nとした場合は、外力は押圧力の24.5倍になり、従来の押圧部材では、大きく変位して簡単に塑性変形をしてしまう。しかし、本発明の押圧部材151は支持部151cを持ち、その剛性は押圧力を発生する腕151bの剛性の1000倍以上(ばね定数も1000倍以上)程度を持っているので、腕151bが所定量変形した後、支持部151cは、腕151bの所定量変形に要する力Δfを引いた外力F'=F−Δfを受け、変位量Z1だけ変位する。ここで、支持部151cのばね定数k1、所定の押圧力F1のときの腕151bの変位量をZ2、腕151bのばね定数k2とすると、F'=Z1・k1、F1=Z2・k2であり、Z1/Z2=F'/F1・k2/k1となる。k1/k2=1000とし、仮にF'=9.8N、F1=0.4Nとすると、Z1/Z2=1/41となり、支持部151cの変位量は腕151bの変位量の1/41となり、大きな応力を受けることもなく、なおかつ、押圧部材151の必要なスペースは、従来の防塵部材押圧機構の必要なスペースとほとんど変わることがない。実用的には、Z1/Z2=1/10程度に設定すれば良く、この場合には支持部151cの剛性(ばね定数)は腕151bの250倍程度(もしくはそれ以上)に設定すれば良い。
【0122】
一方、防塵フィルタ119が矩形であるにも関わらず、
図7に示す振動モード1では、振動振幅の山の稜線174が光軸中心に対して閉曲線を構成する。また、
図9に示す振動モード3では、振動振幅の山の稜線174が辺の中心を取り囲む曲線を構成し、X方向の辺からの反射波と、Y方向の辺からの反射波を効率良く合成して定在波を作っている。
【0123】
ここで、
図7の振動モード1の中央部の最大振動速度が全ての振動モードの中で最も大きくVmax1となる。また、
図9の振動モード3は、振動モード1に対して中央部の最大振動速度は70%を超える程度に低下する。さらに、振動モード2では、中央部の最大振動速度は振動モード1の中央部の最大振動速度の40%以下程度になっており、最も振動速度は低いものになるが、押圧力を1N程度にすると、殆ど押圧力を零にした場合と同様な振動速度が得られ、本発明の防塵部材押圧機構は充分な効果を発揮する。
【0124】
一方、振動モード1の場合は、押圧力2N付近では押圧力に対して振動速度の変化が大きいが、押圧力を1N程度にすると、ほぼVmax1の振動速度が確保され、押圧力のバラツキに対して振動速度の変化も無くなり、安定した防塵部材押圧機構が実現できる。また、振動モード1で、押圧力を2N程度に設定しても、本発明の防塵部材押圧機構では、防塵フィルタ119の外周に沿って長い片持ちはり状の腕151bが形成可能で、腕151bのバネ定数を小さくすることが可能であり、腕151bの変位に対して押圧力の変化は小さくなり、部品や組立てのバラツキに対して、押圧力の変動を小さくすることができる。
【0125】
この合成定在波を効率良く作るためには、防塵フィルタ119の形状寸法が大きく寄与しており、防塵フィルタ119の長辺の長さに対する短辺の長さの比である縦横比(短辺/長辺)を1にする即ち正方形にするよりも、縦横比を1より小さく設定した方が、圧電素子120が1つしか配置されているにも関わらず、防塵フィルタ119の中央位置のZ方向の振動速度が最も大きな領域になる。実際には、防塵フィルタ119の縦横比(短辺/長辺)は、0.9以上、1未満とすることが好ましい。
【0126】
このように振動振幅の山の稜線174が光軸中心に対して閉曲線を構成する振動や辺の中心を取り囲む曲線を構成する振動では、防塵フィルタ119が円板状の形状の場合に発生する同心円状の振動の振幅と同等の振動速度が発生できる。単に、辺に平行な振動振幅を発生する振動モードでは、
図7の振動モード1の数分の1から10分の1程度の振動加速度しか得ることが出来ない。
【0127】
また、振動振幅の山の稜線174が閉曲線を構成する振動や辺の中心を取り囲む曲線を構成する振動では、振動子170の中心が最も振動速度が大きく、周辺の閉曲線又は取り囲む曲線ほど振動振幅は小さくなる。これによって、画像の中心ほど塵埃除去の能力が高くなり、振動子170の中心を光軸Oに合わせることにより、中心の画質が高いところほど塵埃79が写り込まなくなると言った利点もある。
【0128】
さらに、結像光線通過エリア149内の振動振幅の小さいエリアである節エリア173は圧電素子120に与える駆動周波数を変えることで異なる振動モード(具体的には
図23の振動モード1と振動モード3等)で共振させることにより、節177位置を変化させて塵埃79を除去できることは勿論である。
【0129】
次に、
図7,
図9の4隅にある支持エリア180は、振動振幅が殆ど無いエリアとなるため、この部分をZ方向に押圧し、ゴム等の振動減衰性のある受け部材153を介して防塵フィルタ119を支持すれば、振動の減衰があまり発生せず、確実な押圧ができる。つまり、ゴム等の受け部材153は、防塵フィルタ119の面内方向の振動を許容するので、面内方向の振動も殆ど減衰させることが無い。当然、100G程度の外力が加わった場合でも、防塵フィルタ119を受けられることは言うまでも無い。ここに示した受け部材153の構成では、数十Nの外力を受ける構成を作ることは容易である。
【0130】
一方、防塵フィルタ119を受けるシール156は、振動振幅があるエリアにも設けなければならないが、本実施形態の振動モードでは、周辺の振動振幅の山ほど振動振幅が小さいので、防塵フィルタ119の周辺部をリップ形状で受けることにより、屈曲振動振幅方向には力が強く作用せず、元々の振動振幅も小さいため、シール156による振動の減衰は極めて少なくすることができる。本実施形態では、
図5,
図8に示すように、振動振幅の小さいエリアである節エリア173にシール接触部181が多く接触するように構成しているので、さらに振動減衰は小さい。さらに、シール156のリップ形状はZ方向にバネ性をもつが、そのバネ定数を小さくすることが可能で、Z方向の変位に対して、押圧力の変動を小さくでき、安定した押圧力を確保できる。また、外力が加わった場合でも、防塵フィルタ119と支持部151cの間隔は小さく、リップ部のバネ性によりシール156はZ方向に変位し、防塵フィルタ119と光学LPF118の間の空間の密閉性が保たれる。
【0131】
また、圧電素子120を振動させる上記所定の周波数は、振動子170を構成する防塵フィルタ119の形状寸法、材質や支持の状態によって決まるものであるが、通常、温度は振動子170の弾性係数に影響し、その固有振動数を変化させる要因の1つとなっている。そのため、運用時にその温度を計測して、その固有振動数の変化を考慮するのが好ましい。この場合、温度測定回路(不図示)に接続された温度センサ(不図示)がデジタルカメラ10内に設けられており、温度センサの計測温度から予め決められた振動子170の振動周波数の補正値を不揮発性メモリ128に記憶させ、計測温度と補正値をBucom101に読み込み、駆動周波数を演算して防塵フィルタ制御回路121の駆動周波数とすることによって、温度変化に対しても効率の良い振動を発生することができる。
【0132】
次に、本実施形態におけるデジタルカメラ10の防塵フィルタ制御回路121について、以下に説明する。
図13は、デジタルカメラ10のボディユニット100における防塵フィルタ制御回路121の構成を概略的に示す回路図である。
図14は、
図13の防塵フィルタ制御回路121における各構成部材から出力される各信号形態を示すタイムチャートである。
【0133】
防塵フィルタ制御回路121は、
図13に示す如くの回路構成を有し、その各部において、
図14のタイムチャートで表わす波形の信号(Sig1〜Sig4)が生成され、それらの信号に基づいて次のように制御される。
【0134】
防塵フィルタ制御回路121は、
図13に例示の如く、N進カウンタ182,1/2分周回路183,インバータ184,複数のMOSトランジスタQ00,Q01,Q02,トランス185,抵抗R00から構成されている。
【0135】
上記トランス185の1次側に接続されたMOSトランジスタQ01及びMOSトランジスタQ02のON/OFF切替え動作によって、そのトランス185の2次側に所定周期の信号(Sig4)が発生するように構成されており、この所定周期の信号に基づき圧電素子120を駆動させ、防塵フィルタ119を固着した振動子170に共振定在波を発生させるようになっている。
【0136】
Bucom101は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwCont及びIOポートD_NCntと、このBucom101内部に存在するクロックジェネレータ186を介して防塵フィルタ制御回路121を次のように制御する。
【0137】
クロックジェネレータ186は、圧電素子120へ印加する信号周波数より充分に早い周波数でパルス信号(基本クロック信号)をN進カウンタ182へ出力する。この出力信号が、
図14中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig1である。そしてこの基本クロック信号はN進カウンタ182へ入力される。
【0138】
N進カウンタ182は、当該パルス信号をカウントし所定の値"N"に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。即ち、基本クロック信号を1/Nに分周することになる。この出力信号が、
図14中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig2である。
【0139】
この分周されたパルス信号はHighとLowのデューティ比が1:1ではない。そこで、1/2分周回路183を通してデューティ比を1:1へ変換する。尚、この変換されたパルス信号は、
図14中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig3に対応する。
【0140】
この変換されたパルス信号のHigh状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタQ01がONする。一方、MOSトランジスタQ02へはインバータ184を経由してこのパルス信号が印加される。従って、パルス信号のLow状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタQ02がONする。トランス185の1次側に接続されたMOSトランジスタQ01とMOSトランジスタQ02が交互にONすると、2次側には
図14中の信号Sig4の如き周期の信号が発生する。
【0141】
トランス185の巻き線比は、電源回路135のユニットの出力電圧と圧電素子120の駆動に必要な電圧とから決定される。尚、抵抗R00はトランス185に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。
【0142】
圧電素子120を駆動するに際しては、MOSトランジスタQ00がON状態にあり、且つ、電源回路135からトランス185のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。そして、この場合において、MOSトランジスタQ00のON/OFF制御は、Bucom101のIOポートP_PwContを介して行われるようになっている。N進カウンタ182の設定値"N"は、Bucom101のIOポートD_NCntから設定でき、よってBucom101は、設定値"N"を適宜に制御することで、圧電素子120の駆動周波数を任意に変更可能である。
【0143】
このとき、次の(7)式によって周波数は算出可能である。即ち、
fdrv=fpls/2N …(7)
但し、NはN進カウンタ182への設定値,fplsはクロックジェネレータ186の出力パルスの周波数,fdrvは圧電素子120に印加される信号の周波数である。
【0144】
尚、この(7)式に基づいた演算は、Bucom101のCPU(制御手段)で行われる。
【0145】
次ぎに、Bucom101が行なう制御について、
図15及び
図16を参照しながら以下に説明する。
図15には、本実施形態のデジタルカメラ10の動作制御を示すフローチャートであり、Bucom101が行なうカメラシーケンス(メインルーチン)の手順を例示している。
【0146】
Bucom101で稼動可能な
図15に示すフローチャートに係わる制御プログラムは、デジタルカメラ10のボディユニット100の電源SW(不図示)がオン(ON)操作されると、その稼動を開始する。
【0147】
最初に、当該デジタルカメラ10を起動するための処理が実行される(ステップS101)。即ち、電源回路135を制御して当該デジタルカメラ10を構成する各回路ユニットへ電力を供給する。また、各回路の初期設定を行なう。
【0148】
次に、後述するサブルーチン「加振動作」をコールすることで、防塵フィルタ119を振動させる(ステップS102)。
【0149】
続くステップS103からステップS124までは、周期的に実行されるステップ群である。即ち、まず、当該デジタルカメラ10に対するアクセサリの着脱を検出する(ステップS103)。これは、例えば、アクセサリの1つであるレンズユニット200が、ボディユニット100に装着されたことを検出する。その着脱検出動作は、Lucom201と通信を行なうことでレンズユニット200の着脱状態を調べる。
【0150】
もし、所定のアクセサリがボディユニット100に装着されたことが検出されたならば(ステップS104)、サブルーチン「加振動作」をコールすることで、防塵フィルタ119を振動させる(ステップS105)。
【0151】
このように、カメラ本体であるボディユニット100にアクセサリの特にレンズユニット200が装着されていない期間には、特に各レンズや防塵フィルタ119等に塵埃が付着する可能性が高いので、上述の如くレンズユニット200の装着を検出したタイミングで塵埃を払う動作を実行することは有効である。また、レンズ交換時にボディユニット100内部に外気が循環し塵埃が進入して付着する可能性が高いので、このレンズ交換時に塵埃除去することは有意義である。そして、撮影直前とみなし、ステップS106へ移行する。
【0152】
一方、上記ステップS104で、レンズユニット200がボディユニット100から外された状態であることを検出した場合は、そのまま次のステップS106へ移行する。
【0153】
そして、ステップS106では、当該デジタルカメラ10が有する所定の操作スイッチの状態検出が行なわれる。
【0154】
ステップS106の後に通常は、撮像された画像を液晶モニタ123に表示し、ファインダの機能となるいわゆるスルー画表示を行なうが、このフローチャートでは省略している。当然、この時にはシャッタ108は全開した状態であり、画像が撮像され、その撮像画像をもとに後述する露出制御がなされる。
【0155】
ここで、レリーズSWを成す1st.レリーズSW(不図示)が操作されたか否かを、当該SWのオン(ON)/オフ(OFF)状態で判定する(ステップS107)。その状態を読み出し、もし1st.レリーズSWが所定時間以上オン(ON)操作されない場合には、電源SWの状態を判別する(ステップS108)。そして、電源SWがオン(ON)されていれば上記ステップS103に戻り、オフ(OFF)されていれば終了処理(スリープ等)となる。
【0156】
一方、上記ステップS107にて1st.レリーズSWがオン(ON)操作されたと判別した場合には、画像処理コントローラ126からの撮像画像から被写体の輝度情報を入手し、この情報から撮像ユニット116の露光時間(Tv値)とレンズユニット200の絞り設定値(Av値)を算出し、適正な露光量になるように露出制御がなされる(ステップS109)。
【0157】
その後、同じく撮像画像のコントラストを検出する(ステップS110)。そして、その検出されたコントラストが許可された範囲内にあるか否かを判定し(ステップS111)、否の場合は撮影レンズ202の駆動制御を行って(ステップS112)、上記ステップS103へ戻る。
【0158】
一方、許可された範囲内にコントラストが在る場合は、サブルーチン「加振動作」をコールして防塵フィルタ119の振動を開始させる(ステップS113)。
【0159】
さらに、レリーズSWを成す2nd.レリーズSW(不図示)がオン(ON)操作されたか否かを判定する(ステップS114)。この2nd.レリーズSWがオン(ON)状態のときは、続くステップS115へ移行して所定の撮影動作(詳細後述)を開始するが、オフ(OFF)状態のときは上記ステップS108へ移行する。
【0160】
尚、撮像動作中では、通常の如く、露出の為に予め設定された秒時(露出秒時)に対応した時間の電子撮像動作を制御する。
【0161】
上記撮影動作として、ステップS115からステップS121までは、所定の順序にて被写体の撮像が行われる。まず、Lucom201へAv値を送信して、絞り203の駆動を指令する(ステップS115)。そして、シャッタ108は先幕を閉(CLOSE)にした状態にした後、シャッタ108の先幕走行を開始させて開(OPEN)制御し(ステップS117)、画像処理コントローラ126に対して「撮像動作」の実行を指令する(ステップS118)。Tv値で示された時間だけのCCD117への露光(撮像)が終了すると、シャッタ108の後幕走行を開始させて閉(CLOSE)制御する(ステップS119)。そして、露光が終了したらシャッタ108のチャージ動作を行なう(ステップS120)。シャッタ108がチャージされた状態では、シャッタ108は全開の状態にセットされる。
【0162】
その後、Lucom201に対して絞り203をスルー画表示において適正露光となる所定の位置へ制御するように指令して(ステップS121)、一連の撮像動作を終了する。
【0163】
続いて、記録メディア127がボディユニット100に装着されているか否かを検出し(ステップS122)、否の場合は、警告表示をする(ステップS123)。そして再び上記ステップS103へ移行して、同様な一連の処理を繰り返す。
【0164】
一方、記録メディア127が装着されていれば、画像処理コントローラ126に対し撮影した画像データを記録メディア127へ記録するように指令する(ステップS124)。その画像データの記録動作が終了すると、再び、上記ステップS103へ移行して、同様な一連の処理を繰り返す。以上は、静止画撮影の動作を説明したが、動画撮影の動作についても同様な動作となるのでここでは説明を省略する。
【0165】
以下、詳しい振動形態の発生について、上述した3つのステップ(S102,S105,S113)でコールされる「加振動作」サブルーチンの制御手順を
図16に基づき説明する。尚、この「振動形態」とは、加振部材である圧電素子120によって引き起こされる振動の形態である。
【0166】
図16は、上記サブルーチン「加振動作」の動作手順を表わすフローチャートを示す図である。この加振動作において、加振部材へ連続的に供給される共振周波数の波形を表わすグラフが
図17に示されている。
【0167】
図16のサブルーチン「加振動作」は、防塵フィルタ119の塵埃除去の為にだけの加振動作を目的とするルーチンであるので、振動周波数f0は、その防塵フィルタ119の共振周波数付近の所定の周波数に設定されている。例えば
図7の振動モードの場合は、78kHzである。
【0168】
まず、防塵フィルタ119を振動させるための駆動時間(Toscf0)と駆動周波数(共振周波数:Noscf0)に関するデータを、不揮発性メモリ128の所定領域に記憶されている中から読み出す(ステップS200)。
【0169】
次に、Bucom101のIOポートD_NCntから、駆動周波数Noscf0を、防塵フィルタ制御回路121のN進カウンタ182へ出力する(ステップS201)。
【0170】
続くステップS202〜ステップS204では、次のように塵埃除去動作が行なわれる。塵埃除去のために制御フラグP_PwContを「Hi」に設定すると(ステップS202)、圧電素子120は所定の駆動周波数(Noscf0)で防塵フィルタ119を加振し、防塵フィルタ119面に付着した塵埃79を振り払う。この塵埃除去動作で防塵フィルタ119面に付着した塵埃79が振り払われる。
【0171】
所定駆動時間(Toscf0)、防塵フィルタ119を振動させた状態で待機し(ステップS203)、その所定駆動時間(Toscf0)経過後、制御フラグP_PwContをLowに設定することで、塵埃除去動作を停止させる(ステップS204)。そして、コールされたステップの次のステップへリターンする。
【0172】
このサブルーチンで適用される振動周波数f0(共振周波数(Noscf0))と駆動時間(Toscf0)は、
図17にグラフで表わした如くの波形を示す。即ち、一定の振動(f0=78kHz)が、塵埃除去に充分な時間(Toscf0)だけ続く連続的な波形となる。つまり、この振動形態が発生するように、加振部材に供給する駆動周波数を調整して制御するものである。
【0173】
図18は、本発明の第1の実施形態の変形例の動作を示し、デジタルカメラにおけるBucomが行なうカメラシーケンス(メインルーチン)においてコールされるサブルーチン「加振動作」の異なる動作手順を表わすフローチャートを示す図である。
【0174】
これは、上記第1の実施形態における
図16に示すサブルーチン「加振動作」の動作の一部を変更したものであり、防塵フィルタ119の動作が上記第1の実施形態(
図16)と異なる。
【0175】
即ち、上記第1の実施形態では、防塵フィルタ119の駆動周波数はf0と言う固定値にして定在波が発生する形態としているが、本変形例においては、駆動周波数を順次変更して加えることで、厳密に駆動周波数を制御しなくても、共振周波数を含む、振動振幅の大きな振動を発生するようにしたものである。
【0176】
また、防塵フィルタ119の形状寸法や材質が製造バラツキで変化した場合に、共振周波数が大きく変化するために、製品ごとに正確に共振周波数を設定して圧電素子120を駆動する必要がある(共振周波数ではない周波数で駆動すると振動速度がさらに下がる)。この変形例のような周波数制御方法を適用すれば、非常に簡単な制御回路で、共振周波数での駆動が可能となり、製造バラツキによる共振周波数のバラツキがあったとしても適正な制御が可能となる。
【0177】
以下、
図18をもとに、この変形例の周波数制御方法を説明する。
まず、防塵フィルタ119を振動させるための駆動時間(Toscf0)と、駆動開始周波数(Noscfs)と、周波数変移量(Δf)と、駆動終了周波数(Noscfe)とに関するデータを不揮発性メモリ128の所定領域に記憶されている中から読み出す(ステップS211)。
【0178】
次に、駆動周波数(Noscf)に駆動開始周波数(Noscfs)を設定する(ステップS212)。また、Bucom101のIOポートD_NCntから、駆動周波数(Noscf)を、防塵フィルタ制御回路121のN進カウンタ182へ出力する(ステップS213)。
【0179】
続くステップS214以降では、次のように塵埃除去動作が行なわれる。即ち、塵埃除去動作を開始させ実行する。
まず、塵埃除去のために制御フラグP_PwContを「Hi」に設定すると(ステップS214)、圧電素子120は所定の駆動周波数(Noscf)で防塵フィルタ119を加振し、防塵フィルタ119に振動振幅の小さな定在波振動を生じさせる。防塵フィルタ119面に付着した塵埃79(
図12参照)は振動振幅が小さいと除去することができない。駆動時間(Toscf0)の間、この振動は継続される(ステップS215)。
【0180】
次に、駆動周波数(Noscf)が駆動終了周波数(Noscfe)であるかを比較判定し(ステップS216)、一致していなければ(NOの判定)、駆動周波数(Noscf)に周波数変移量(Δf)を加算して、再び駆動周波数(Noscf)に設定し(ステップS217)、上記ステップS213の動作から上記ステップS215までの動作を繰り返す。
【0181】
一方、上記ステップS216で駆動周波数(Noscf)が駆動終了周波数(Noscfe)に一致したとき(YESの場合)には、P_PwContをLowに設定し(ステップS218)、圧電素子120の加振動作が終了して、一連の「加振動作」が終了する。
【0182】
上述のように周波数を変更していった場合に、定在波振動の振幅が増大していく。そこで、定在波の共振周波数を通過するように駆動開始周波数(Noscfs)と周波数変移量(Δf)と駆動終了周波数(Noscfe)を設定すれば、防塵フィルタ119に振動振幅の小さな定在波振動がまず発生し、次第に定在波振動の振幅が増大していき、共振振動になった後、定在波振動振幅が小さくなるといった制御をすることができる。そして、所定以上の振動振幅(振動速度)があれば塵埃79は除去することが出来るので、ある所定の周波数範囲にわたって塵埃79を除去することが可能であり、共振時の振動振幅が大きいことからその周波数範囲も当然広くなる。
【0183】
また、駆動開始周波数(Noscfs)と駆動終了周波数(Noscfe)の間をある程度広くとれば、振動子170の温度や製造バラツキによる共振周波数の変化を吸収することが可能で、極めて簡単な回路構成で確実に防塵フィルタ119に付着した塵埃79を振り払うことが可能となる。さらに、共振周波数が接近した複数の振動モードがある場合は、それらの複数の振動モードを含んだ駆動周波数範囲を設定することで、制御時間の短縮や、制御の簡単化が可能である。
【0184】
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、板状の防塵フィルタ119を押圧する押圧部材151を、押圧力が低く剛性の低いもの、即ち、振動の損失を少なくする程度の押圧力を発生させる弾性を有する押圧部である腕151bと、この腕151bに比べて剛性の高い支持部151cとを設けて構成している。この構成によって、押圧部材151によって防塵フィルタ119を押圧支持するのに際して、通常の低負荷状態の場合には、防塵フィルタ119に発生する振動の損失を極めて少なくすることが可能である。また、外力が加わって防塵フィルタ119から押圧部材151に対して強い負荷がかかった場合には、押圧部材151に設けた剛性の高い支持部151cにおいて防塵フィルタ119を支持し、外力を受け止めるようにしたので、常に塵埃除去能力が高く、外力にも強い小型の塵埃除去機構を構成することができる。
【0185】
支持部151cの剛性を、弾性の腕151bの剛性に比べて少なくとも略250倍程度高くなるように設定したので、弾性の腕151bの力が小さく、支持部151c付近が振動腹の部分となっても、防塵フィルタ119を押さえることが可能である。
【0186】
また、弾性の腕151bで防塵フィルタ119を押圧するので、構成が簡単で組立て性の良い小型の塵埃除去機構を備えた振動装置を提供することができる。
【0187】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の振動装置について、
図19〜
図22を用いて以下に説明する。
本実施形態の振動装置の構成は、基本的には上記第1の実施形態の振動装置と略同様であり、この第2の実施形態においては、防塵フィルタ119の防塵部材押圧機構の構成が異なる。したがって、以下の説明においては、上記第1の実施形態とは異なる構成のみを詳述し、第1の実施形態と同様の構成については、同じ符号を附してその説明は省略する。
【0188】
図19,
図20,
図21,
図22は、本発明の第2の実施形態の振動装置の主要部分を示す図である。このうち
図19は振動装置の主要部分の正面図である。
図20は
図19の左側面図である。
図21は
図19の右側面図である。
図22は、押圧部材151に外力が加わった場合において、押圧部材151に加わる力を説明する概念図であって、支持部の作用を説明する部分断面図である。
【0189】
第2の実施形態の振動装置においては、主に押圧部材151Aのホルダ145Aへの取り付け構造が上記第1の実施形態とは異なる。上記第1の実施形態では、
図3を用いて説明したように、押圧部材151の外周側に延出された複数の固定部151dをネジ150を用いてホルダ145に固定していた。
【0190】
これに対し、本実施形態では、押圧部材151Aは、光軸O方向(Z方向)に延びる固定部151Adに複数の切り欠き151Ajを設け、切り欠き151Ajに対応した位置に設けたホルダ145Aの突起145Abを係合している。なお、腕支持部151a,腕151b,支持部151cについては、上記第1の実施形態と略同様の形態なので、ここでは説明を省略する。
【0191】
押圧部材151Aがホルダ145Aに取り付けられた状態では、押圧部材151Aは、
図22に示すように、腕151bが発生する押圧力FbをZ方向に受けることで保持されているだけなのでY方向には簡単にずれる。従って、押圧部材151Aを取り付けた後、係合した切り欠き151Ajと突起145Abの部分を接着固定するのが良い。当然、固定部151Adをネジ等でホルダ145Aに固定しても良い。
【0192】
第2の実施形態の振動装置に外力Fが加わった場合には、
図22に示すように、外力FによるモーメントMが発生する。ここで、モーメントM=XL・Fであり、XLは、外力Fと押圧部材151Aの固定部151Adまでの距離である。即ち、XLは支持部151cと防塵フィルタ119の接触点からの距離であり、大きな外力Fを支持可能なように構成している。より具体的には、上記第1の実施形態で説明したようにXL=0.5mmとし、外力が49NとするとモーメントM=24.5mm・Nとなる。このモーメントMが加わると、第2の実施形態の場合、切り欠き151Ajは突起145Abにより深く係る方向の力が発生し、切り欠き151Ajが突起145Abから外れることを防止している。また、切り欠きをホルダ145Aに設け、突起を押圧部材151Aに設けても良いことは勿論である。
【0193】
このように構成された上記第2の実施形態においても、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0194】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。
【0195】
例えば、上記の加振部材による塵埃除去機構の他に、空気流によって防塵フィルタ119の塵埃79を除去する方式、あるいはワイパーにより防塵フィルタ119の塵埃79を除去するような機構を組み合わせて用いても良い。
【0196】
また、上述した実施形態では、ファインダは液晶モニタを利用したものとなっているが、一眼レフ式の光学ファインダをもつカメラでも勿論良い。
【0197】
さらに、上述した実施形態では、撮像素子はCCDであったが、CMOS等の他の撮像素子であっても構わない。
【0198】
また、加振する対象は、例示の防塵フィルタ119に限らず、光路上に在り光の透過性をもった部材等(例えばカバーガラスやハーフミラーなど)であっても良い。但しその部材は、振動によって、その表面に付着していた塵埃79を振り払う。また、振動に係わる周波数や駆動時間、加振部材の設置位置などはその部材に対応した値に設定する。
【0199】
さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0200】
また、上述の各実施形態で説明した各処理シーケンスは、その性質に反しない限り、手順の変更を許容し得る。したがって、上述の処理シーケンスに対して、例えば各処理ステップの実行順序を変更したり、複数の処理ステップを同時に実行させたり、一連の処理シーケンスを実行する毎に、各処理ステップの順序が異なるようにしてもよい。
【0201】
なお、本発明を適用する画像機器としては、例示した撮像装置(デジタルカメラ)に限らず、塵埃除去機能を必要とする装置であれば良く、必要に応じて変形実施することで実用化され得る。より具体的には、例えば液晶等の表示素子を用いた画像投影装置における表示素子と光源の間、あるいは表示素子と投影レンズとの間に、本発明の塵埃除去機構を設けても良い。