(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水平面に対して傾斜するように配置された支持部材を備える傾斜架台と、前記支持部材の上部に並設される複数の太陽電池モジュールとを備えて構成される太陽電池アレイであって、
前記傾斜架台を構成するフレーム要素において前記支持部材の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュールの相互間に位置する部分の鉛直上方投影域を覆う位置に、当該フレーム要素の鉛直上方投影域よりも大きな寸法を有し、かつ少なくとも前記フレーム要素の鉛直上方投影域外となる部分を含むように遮蔽部材を配設し、
前記遮蔽部材は、前記フレーム要素から離隔した位置において前記支持部材の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュールの下方側端面と、下方に位置する太陽電池モジュールの上方側端面との間に挟持されており、
前記遮蔽部材において前記フレーム要素の鉛直上方投影域外となる部分は、前記傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュールの互いに対向する端面と個々の底面との稜角部分にそれぞれ接触し、かつ各稜角部分よりも下方に突出する部分を有することを特徴とする太陽電池アレイ。
太陽電池モジュールは、それぞれが互いに平行となる一対の端面と一対の側面とを有して平面視が矩形状を成し、少なくとも一方の側面が前記フレーム要素の上方に位置するように配置されたものであり、
前記遮蔽部材は、前記太陽電池モジュールの側面から突出するように配設し、かつ上面を前記太陽電池モジュールの端面の中心方向に向かうに従って漸次低くなるように傾斜させたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池アレイ。
前記太陽電池モジュールの側面から突出した遮蔽部材には、前記支持部材の傾斜方向に沿って上方に延びる上方突出部を設け、この上方突出部と前記太陽電池モジュールの側面との間に水密性を確保したことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池アレイ。
側面を対向させて隣接する太陽電池モジュールの相互間において、個々の太陽電池モジュールの側面から突出する遮蔽部材を互いに押圧させたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の太陽電池アレイ。
前記傾斜架台のフレーム要素は、前記支持部材の傾斜方向に沿ってもっとも下方側に位置する端部が、もっとも下方に配置した太陽電池モジュールの下方稜角部分よりも内方側に退避するように配置したことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池アレイ。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る太陽電池アレイの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1及び
図2は、本発明の実施の形態1である太陽電池アレイを示したものである。ここで例示する太陽電池アレイは、臨海地区の埋め立て地等、広大な土地に設置して大規模な太陽光発電所を構築する場合に適用することを前提として構成したもので、複数の太陽電池モジュール10と傾斜架台20とを備えている。
【0031】
太陽電池モジュール10は、
図3〜
図5に示すように、保護ガラス11及びバックフィルム12の間に挟持された太陽電池セル13と、アルミニウムの押し出し材によって構成された枠体14とを備え、弾性緩衝材15を介して太陽電池セル13の周囲に枠体14を嵌め込んで構成したものである。枠体14は、長辺と短辺とを有した矩形の枠状を成すもので、長辺となる部分の底面14aにそれぞれ複数のボルト装着孔14eを有している。
【0032】
図1及び
図2に示すように、傾斜架台20は、太陽電池モジュール10の受光面(保護ガラス11の上面)を水平面に対して所定の傾斜角度に維持した状態で、枠体14を介して太陽電池モジュール10を支持するものであり、複数のフレーム要素によって構成してある。本実施の形態1の傾斜架台20は、互いに平行に配設した2対の梁部材(フレーム要素)21と、これら2対の梁部材21の上面に互いに平行かつ、個々の梁部材21に対して直交する方向に沿って配設した複数対の支持部材(フレーム要素)22とを備え、各対を成す支持部材22の上面が太陽電池モジュール10の支持面を構成している。対を成す梁部材21は、互いの間がつなぎ部材(フレーム要素)23によって連結してあり、さらに各つなぎ部材23の中央部に連結した支柱(フレーム要素)24a,24bを介して基礎Gに支持させてある。
図1からも明らかなように、つなぎ部材23に連結した支柱24a,24bは、互いに長さが異なり、水平面に対して太陽電池モジュール10の支持面に所望の傾斜角度、例えば、支持部材22の後端部(
図1において右側の端部)が水平面から10°立ち上がった状態を確保している。尚、以下においては、枠体14において支持部材22の長手方向に沿った面を側面といい、梁部材21の長手方向に沿った面を端面という。
【0033】
図1及び
図2に示すように、つなぎ部材23と支柱24a,24bとの間は、支持部材22の傾斜角度が変化する方向に回転可能となるように接続してある。この接続部分は、つなぎ部材23に傾斜方向に沿った長孔(図示せず)を設け、回転、かつ傾斜方向にスライド可能とすれば、地盤沈下等によって傾斜角度が変化した場合に生じる内部応力の発生を緩和することができる。また、傾斜架台20の剛性を向上させる等、必要に応じてつなぎ部材23と支柱24a,24bとの間に方杖(図示せず)を設けても良い。つなぎ部材23と梁部材21との接続には、L字型の連結金具25及び角U字ボルト26を適用している。連結金具25は、ボルトや溶接等の接合手段によってつなぎ部材23の側面に固定された第1固定部25aと、第1固定部25aから直角方向に屈曲した第2固定部25bとを有したもので、第2固定部25bの上下に設けた孔(図示せず)に角U字ボルト26を装着することにより第2固定部25bに梁部材21を支持している。
図6に示すように、梁部材21の上部には、支持部材22を設置する位置にブラインドナット27が配置してある。
【0034】
支持部材22としては、C形鋼材を適用し、その開断面が梁部材21に対向した状態で梁部材21に配設してあり、さらに、その上面から挿通した固定用ボルト28をブラインドナット27に螺合させることで梁部材21に取り付けてある。図には明示していないが、固定用ボルト28としては、半ネジのものを適用すると良い。すなわち、非ネジ部の長さが、
図6に示すように、支持部材22のフランジ寸法fと、梁部材21の上面からブラインドナット27のネジ部(図示せず)までの寸法gと、座金28aの厚さhとの合計とした半ネジの固定用ボルト28を適用すれば、ブライドナット27に完全に締めこんだ状態でも支持部材22を変形させる恐れがなくなり、傾斜架台20の組立作業性を向上させることができる。対を成す支持部材22の相互間隔は、太陽電池モジュール10の長辺よりも短い長さに設定してある。個々の支持部材22において太陽電池モジュール10を支持する部位には、ボルト挿通孔22a(
図8参照)が形成してある。
【0035】
支持部材22として適用したC形鋼材は、構造力学的観点からすれば、荷重が加わる方向と強軸方向とが一致するように用いるのが一般的である。つまり、支持部材22の上面に太陽電池モジュール10を支持する場合には、開断面を側方に向けた状態で支持部材22を梁部材21に取り付けるのが一般的となる。しかしながら、本実施の形態1では、雨水の排水性及び太陽電池モジュール10を支持させる際の作業性を優先し、敢えてC形鋼材を弱軸方向に向けて支持部材22に連結するようにしている。これにより、開断面が下方に向くため、支持部材22の内部に雨水が残留する事態を防止することができる。しかも、支持部材22の上壁下面に対して電動工具を挿入することが容易となり、太陽電池モジュール10を支持部材22の上面に支持し、固定用のボルト、ナットを締結する際の作業性を向上させることができる。また、梁部材21に対しては、支持部材22を弱軸方向に向けて連結しているが、この結果、水平方向が強軸方向となる。このため、水平ブレースを設けることなく所望の強度を確保することができるようになり、製造工数や製造コストを増大することなく傾斜架台20の耐震性を向上させることが可能となる。尚、風荷重に対しては、支持部材22が弱軸方向で荷重を受けることとなる。しかしながら、各支柱24a,24bに対して2本の梁部材21を設けるようにしているため、支持部材22の支持間隔が短くなり、支持部材22自身の断面性能(断面積、断面係数、断面二次モーメント等)を向上させることなく風荷重による変形を抑制することができる。
【0036】
これら傾斜架台20を鋼材によって構成する場合には、高い耐食性を確保するための耐食処理を施すことが好ましい。耐食処理としては、溶融亜鉛めっきを適用することができる。但し、めっき厚を大きくするには熱による歪みを防止するために鋼板の板厚を大きくせざるを得ず(例えばHDZ55の場合、6mmの板厚を有した鋼板が必要となる)、傾斜架台20の重量を増大する要因となる。従って、傾斜架台20の軽量化を図るため、支持部材22や梁部材21、つなぎ部材23等のフレーム要素としては、HDZ55と同等の耐食性を有した亜鉛やアルミニウムを主成分とするプレめっき鋼板成型品を用いることが好ましい。
【0037】
尚、
図1においては便宜上、2対の支持部材22のみを示しているが、同様の構成によって梁部材21の長手方向にさらに支持部材22を配設することができるのはいうまでもない。
【0038】
上記のように構成した傾斜架台20に対しては、枠体14を介して支持部材22の上面に太陽電池モジュール10を支持させる。具体的には、
図7に示すように、太陽電池モジュール10の長辺を二等分する中心線が、対を成す支持部材22の間の中心線に合致する姿勢で支持部材22の傾斜方向及び梁部材21の長手方向に沿って複数の太陽電池モジュール10を並設し、
図8に示すように、個々の枠体14の底面14aと支持部材22との間をモジュール固定ボルトB及びナットNで締結することによって太陽電池アレイが構成される。この場合、枠体14の底面14aから突出するようにボルト装着孔14eに予めロックナットLによってモジュール固定ボルトBを挿通させておけば、モジュール固定ボルトBの先端を支持部材22のボルト挿通孔22aに挿通させることで、支持部材22に対する太陽電池モジュール10の位置決めを行うことができるとともに、モジュール固定ボルトBを装着する手間が省略でき、太陽電池モジュール10を支持させる際の作業効率を向上させることが可能である。また、上述したように、支持部材22は、下面が開口したものであるため、その内部にインパクトレンチ等の工具を挿入してナットNを締結することも可能であり、さらなる作業効率の向上を図ることができる。尚、支持部材22と太陽電池モジュール10との間は、上述したように、互いの間にロックナットLやスペーサを介在させて間隔を開けても構わないし、支持部材22の上面に直接枠体14の底面14aを接触させても良い。支持部材22の傾斜方向に沿ってもっとも下方に支持させる太陽電池モジュール10は、
図8に示すように、枠体14の底面14aにおいて傾斜方向のもっとも下方となる稜角部分14d(以下、「下方稜角部分」ともいう)が、支持部材22のもっとも下方に位置する端部の上縁22bよりも前方(
図8において左方)に突出した位置となるように配設してある。
【0039】
ここで、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間、並びに梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間には、
図7に示すように、支持部材22に対して太陽電池モジュール10を支持させる際の施工性と、風荷重による変形時の干渉を考慮して、それぞれ隙間が確保してある。例えば、本実施の形態1では、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10については枠体14の端面相互間に5mmの隙間(以下、この隙間を「上下隙間X」という)が確保してあり、梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10については枠体14の側面14cの相互間に5mmの隙間(以下、この隙間を「左右隙間Y」という)が確保してある。このため、これらの上下隙間X及び左右隙間Yの下方に位置する支持部材22や梁部材21、つなぎ部材23等のフレーム要素は、その上面が外部に露出された状態となり、降雨の際には雨水に曝されることになる。
【0040】
このうち、梁部材21については、左右隙間Yを介して上面が露出されるため、太陽電池モジュール10の受光面からの落水はなく、接触するのは直接降った雨水だけである。従って、傾斜架台20に施した耐食処理によって十分に保護されることになり、耐久性に大きな影響を及ぼす恐れはない。
【0041】
しかしながら、支持部材22及びつなぎ部材23に関しては、上下隙間Xにおいて上面が露出するため、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水が落下し、太陽電池モジュール10の受光面に堆積していた鉄分を含む粒子や塩分が付着する恐れがある。
【0042】
このため、本実施の形態1の太陽電池アレイでは、
図7に示すように、上下隙間Xにおいて支持部材22及びつなぎ部材23(以下においては「フレーム要素22、23」という)の上面を覆う位置に遮蔽部材30を配設している。遮蔽部材30は、ゴムやスチレン等のように、弾性を有し、かつ遮水性を有する合成樹脂によってブロック状に成形したものである。この遮蔽部材30は、通常状態において上下隙間Xの幅よりも大きな寸法を有するように構成してあり、
図9の(a)〜(c)に示すように、個々の枠体14の端面相互間に圧密された状態で太陽電池モジュール10の相互間に介在している。また、遮蔽部材30は、
図10の(a)〜(l)に示すように、上下隙間Xに沿った寸法がフレーム要素22,23の上面よりも大きく設定してあり、その両端部がそれぞれフレーム要素22,23の側面から突出し、フレーム要素22,23の上面に対して鉛直上方への投影域外となる位置に達している。
【0043】
遮蔽部材30の横断面形状は、円形や多角形、U字状あるいはこれらの組み合せ等々、如何なるものであっても良いが、
図9の(a)〜(d)に示すように、少なくとも支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10に対してそれぞれの枠体14の底面14aから下方に突出している部分を有している必要がある。また、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の互いに対向する端面と個々の底面14aとの稜角部分14dにそれぞれ接触する必要がある。すなわち、遮蔽部材30において支持部材22の傾斜方向に沿って上方となる太陽電池モジュール10に対しては、上述した下方稜角部分14dに接触し、かつ遮蔽部材30において支持部材22の傾斜方向に沿って下方となる太陽電池モジュール10に対しては、枠体14の底面14aにおいてもっとも上方となる稜角部分14d(以下、「上方稜角部分」ともいう)に接触する必要がある。遮蔽部材30において枠体14の底面14aから下方に突出させる部分は、
図10の(a)〜(c)、(f)、(g)に示すように、その全体であっても良いが、
図10の(d)、(e)、(h)〜(l)に示すように、少なくともフレーム要素22,23の鉛直上方投影域外となる部分を、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接するそれぞれの枠体14の稜角部分14dに接触させ、かつそれぞれの底面14から下方に突出させる。いずれにおいても遮蔽部材30においてフレーム要素22,23の鉛直上方投影域外となる部分が、鉛直方向に沿って最下位となるように配設することが好ましい。遮蔽部材30の上面は、
図9の(a)に示すように、太陽電池モジュール10の枠体14に対してその上面から突出させても良いが、
図9の(b)〜(d)に示すように、遮蔽部材30の上面を枠体14の上面よりも低く設定すれば、傾斜方向に沿って隣接する枠体14との間に梁部材21の長手方向に沿った樋状の水路が構成されることとなる。従って、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水を、枠体14の端面相互間で受けることができる。これにより、遮蔽部材30の上面を枠体14の上面から突出させたものや枠体14の上面に一致させた場合に比べて、傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水が、そのまま下方に位置する太陽電池モジュール10の受光面に越流する現象を大幅に減らすことができる。
図10の(a)、(b)、(d)、(e)に示すように、遮蔽部材30の上面は、一様な高さを有するように構成しても良いが、
図10の(c)に示すように、直線状に傾斜させたり、
図10の(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)に示すように、円弧状とすることで、両端部が最も低くなるように構成すれば、枠体14の端面相互間で受止めた流下水の水捌け効果が高くなり、流下水が遮蔽部材30の上面で滞留する時間が短くなる。
【0044】
太陽電池モジュール10の枠体14と遮蔽部材30と間は、遮蔽部材30を枠体14の端面相互間に圧密させただけの状態で互いの間に所望の水密性を確保できれば、そのままでも良いが、粘着材料によって接着し、さらにはネジ等の機械的接合手段を併用することによって、より高い水密性を確保することが好ましい。また、太陽電池モジュール10の枠体14と遮蔽部材30との間にシーリング材を充填してさらに水密性を高めても構わない。尚、枠体14の端面と遮蔽部材30との間に確保する水密性は、遮蔽部材30においてフレーム要素22,23の鉛直上方投影域外となる部分が、鉛直方向に沿って最下位となるように配設した場合などは、少なくとも、支持部材22の傾斜方向に沿って下方に位置する太陽電池モジュール10との間にあれば良い。
【0045】
太陽電池モジュール10における枠体14の端面間に遮蔽部材30を介在させるタイミングは、太陽電池モジュール10をそれぞれ支持部材22に支持させた後でも良い。また、予め一方の太陽電池モジュール10の枠体14に遮蔽部材30を貼り付けておけば、その後、隣接する太陽電池モジュール10を支持部材22に支持させると同時に遮蔽部材30を相互間に圧密させることも可能である。この場合、手順としては、遮蔽部材30を貼り付けた太陽電池モジュール10を先に支持部材22に支持させても良いし、遮蔽部材30を貼り付けた太陽電池モジュール10を後から支持部材22に支持させても構わない。本発明者らが実際に試験を行ったところ、太陽電池モジュール10を傾斜下方側から設置した場合、隣接する太陽電池モジュール10によって押圧された遮蔽部材30が変形し、遮蔽部材30の下端が傾斜下方側に向いた状態となり、上下隙間Xで誘導された流下水の水切り効果がより高くなることを目視により確認できた。
【0046】
上記のように構成した太陽電池アレイによれば、上下隙間Xにおいてフレーム要素22,23の上面が遮蔽部材30によって覆われた状態にある。このため、降雨時に太陽電池モジュール10の受光面を通過してフレーム要素22,23に向かう流下水は、遮蔽部材30によって進路が変更され、遮蔽部材30の両端部から鉛直下方に落下することになる。具体的には、遮蔽部材30の上面が枠体14の上面から突出している場合には、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水の下方への進路が妨げられて両側に迂回し、遮蔽部材30の両端部を伝って鉛直下方に落下する。一方、遮蔽部材30の上面が枠体14の上面より低い場合には、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水が、一旦上下隙間Xに落下し、遮蔽部材30の長手方向に沿って側方に流れた後に両端部から鉛直下方に落下する。いずれにおいても流下水の排出部となる遮蔽部材30の両端位置は、それぞれフレーム要素22,23の側面から突出し、フレーム要素22,23の上面に対して鉛直上方への投影域外となる位置に達したものである。従って、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水がそのままフレーム要素22,23に接触する恐れはない。
【0047】
また、支持部材22の傾斜方向に沿ってもっとも下方に支持させた太陽電池モジュール10は、
図8に示すように、下側となる枠体14の下方稜角部分14dが支持部材22のもっとも下方に位置する上縁22bに対して突出した位置となるように配設してある。このため、もっとも下方に支持させた太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、傾斜方向の下方に位置する枠体14の下方稜角部分14dから鉛直下方に落下することになり、フレーム要素22,23の上面に至らない。
【0048】
さらに、遮蔽部材30において、少なくともフレーム要素22,23の鉛直上方投影域外となる部分が、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上方稜角部分14dに接触して上方稜角部分14dよりも下方に突出する部分と、下方稜角部分14dに接触して下方稜角部分14dよりも下方に突出する部分を有しているため、流下水が枠体14の端面や側面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝ってフレーム要素22,23の鉛直上方投影域に向う流下水は、フレーム要素22,23の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材30の突出した部分と接触し、上方稜角部分14dに至ることなく鉛直下方に落下することになる。
【0049】
これらの結果、傾斜架台20のフレーム要素22,23が太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水に曝される恐れがなくなり、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水を原因として傾斜架台20の耐久性が損なわれる事態を招来することがない。
【0050】
しかも、予め一方の太陽電池モジュール10に対して枠体14の端面に遮蔽部材30を貼り付けておけば、太陽電池モジュール10を支持部材22に順次支持させることで、遮蔽部材30の施工が同時に行われることになり、高所での作業が必要となることもなく、太陽電池アレイを設置する際の作業性に影響を与えることがない。
【0051】
(実施例1)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間、及び梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間にそれぞれ5mmの隙間を確保して支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材30について、
図9の(c)及び
図10の(b)を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。実施例1の太陽電池アレイは、太陽電池モジュール10の枠体14が45mmの高さを有し、支持部材22の上面が60mmの幅を有したものである。もっとも下方に支持させた太陽電池モジュール10の下側となる枠体14の下方稜角部分14dに対して支持部材22のもっとも下方に位置する端部は、5mm以上の間隔を確保して内方側に退避させてある。尚、実施例1においては、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上下隙間Xからは、支持部材22の上面のみが外部に露出されたものとして説明を行う。
【0052】
実施例1に適用する遮蔽部材30は、独立気泡によって発泡したEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)によって横断面が矩形状となるように成形したもので、支持部材22の傾斜方向に沿って下方に位置する太陽電池モジュール10の枠体14に予め取り付けてある。遮蔽部材30の寸法は、枠体14の高さ45mmに対して15mmの寸法を有し、支持部材22の幅60mmに対して120mmの寸法を有している。また、支持部材22の傾斜方向に沿った遮蔽部材30の寸法は、太陽電池モジュール10の相互隙間5mmに対して7mmに設定してあり、太陽電池モジュール10を並設した際に枠体14の端面相互間に圧密され、高い水密性を確保するようにしている。支持部材22のボルト挿通孔22aは、施工の便宜を図るため、その傾斜上方に向けた長孔とするとより良い。枠体14の端面に対する遮蔽部材30の取付位置は、遮蔽部材30の長手を二等分する中心線が支持部材22の幅を二等分する中心線に合致し、かつ支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対して枠体14の底面14aからそれぞれ下方に5mmだけ突出した位置である。下方への突出量は、遮蔽部材30の長手方向で全て同じ寸法である。これにより、太陽電池アレイを太陽電池モジュール10の側面側から見た場合、
図9の(c)に示すように、上下隙間Xには、遮蔽部材30の上部に、梁部材21の長手方向に沿った樋状の水路が構成され、かつ遮蔽部材30の下部に、支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対してそれぞれの枠体14の底面14aから突出した水切り部が構成される。
【0053】
この実施例1によれば、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、一旦上下隙間Xに落下し、遮蔽部材30の長手方向に沿って側方に流れた後に両端部から鉛直下方に落下することになり、支持部材22の上面に直接到達することはない。しかも、遮蔽部材30は、その下部の全長に渡る部位が上方稜角部分14d及び下方稜角部分14dに接触し、かつ支持部材22の傾斜方向に隣接する枠体14の底面14aからそれぞれ下方に突出した水切り部を構成している。遮蔽部材30の両端は、それぞれ支持部材22の鉛直上方投影域外に達している。このため、受光面を通過した流下水が枠体14の端面や側面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝って支持部材22の鉛直上方投影域に向う流下水は、支持部材22の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材30の両端部分と接触し、これを伝って鉛直下方に落下することになる。さらに、遮蔽部材30の端部から流下する水も、傾斜下方側の枠体14を水平方向に伝わることなく、水切り部で落水させることができる。従って、支持部材22に対して流下水が到達する事態を招来することはなく、太陽電池アレイの傾斜架台20に高い耐久性を確保することができるようになる。
【0054】
(実施例2)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間、及び梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間にそれぞれ5mmの隙間を確保して支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材30について、
図9の(a)及び
図10の(a)を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。尚、実施例2においては、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上下隙間Xからは、支持部材22の上面のみが外部に露出されたものとして説明を行う。
【0055】
実施例2に適用する遮蔽部材30は、独立気泡によって発泡したEPDMによって横断面が矩形状となるように成形したものである。遮蔽部材30の寸法は、枠体14の高さ45mmに対して60mmの寸法を有し、支持部材22の幅60mmに対して120mmの寸法を有している。支持部材22の傾斜方向に沿った遮蔽部材30の寸法は、太陽電池モジュール10の相互隙間5mmに対して7mmに設定してあり、太陽電池モジュール10を並設した際に枠体14の端面相互間に圧密され、高い水密性を確保するようにしている。支持部材22のボルト挿通孔22aは、施工の便宜を図るため、その傾斜上方に向けた長孔とするとより良い。枠体14の端面に対する遮蔽部材30の取付位置は、遮蔽部材30の長手を二等分する中心線が支持部材22の幅を二等分する中心線に合致し、かつ支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対して枠体14の底面14aからそれぞれ5mmだけ突出した位置である。下方への突出量は、遮蔽部材30の長手方向で全て同じ寸法である。これにより、太陽電池アレイを太陽電池モジュール10の側面側から見た場合、
図9の(a)に示すように、上下隙間Xには、遮蔽部材30の上部に、梁部材21の長手方向に沿って枠体14の上面から突出する上方突部が構成され、かつ遮蔽部材30の下部に、支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対してそれぞれの枠体14の底面14aから突出した水切り部が構成される。
【0056】
この実施例2によれば、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、遮蔽部材30の上方突部によって傾斜方向に沿った下方への進路が妨げられ、両側に迂回して遮蔽部材30の両端部を伝って鉛直下方に落下することになり、支持部材22の上面に直接到達することはない。しかも、遮蔽部材30は、その下部の全長に渡る部位が上方稜角部分14d及び下方稜角部分14dに接触し、かつ支持部材22の傾斜方向に隣接する枠体14の底面14aからそれぞれ下方に突出した水切り部を構成している。遮蔽部材30の両端は、それぞれ支持部材22の鉛直上方投影域外に達している。このため、受光面を通過した流下水が枠体14の端面や側面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝って支持部材22の鉛直上方投影域に向う流下水は、支持部材22の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材30の両端部分と接触し、これを伝って鉛直下方に落下することになる。さらに、遮蔽部材30の端部から流下する水も、傾斜下方側の枠体14を水平方向に伝わることなく、水切り部で落水させることができる。従って、支持部材22に対して流下水が到達する事態を招来することはなく、太陽電池アレイの傾斜架台20に高い耐久性を確保することができるようになる。
【0057】
(実施例3)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間、及び梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間にそれぞれ5mmの隙間を確保して支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材30について、
図9の(c)及び
図10の(e)を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。尚、実施例3においては、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上下隙間Xからは、支持部材22の上面のみが外部に露出されたものとして説明を行う。
【0058】
実施例3に適用する遮蔽部材30は、独立気泡によって発泡したEPDMによって横断面が矩形状となるように成形したものである。遮蔽部材30の長手方向に沿った両端部には、中央部よりも下方に突出した突部が形成してある。遮蔽部材30の寸法は、枠体14の高さ45mmに対して両端部の突出部分を含めて15mmの寸法を有し、支持部材22の幅60mmに対して120mmの寸法を有している。遮蔽部材30の下面に形成した突部の相互間には、支持部材22の幅60mmよりも大きな平坦部が確保してある。支持部材22の傾斜方向に沿った遮蔽部材30の寸法は、太陽電池モジュール10の相互隙間5mmに対して7mmに設定してあり、太陽電池モジュール10を並設した際に枠体14の端面相互間に圧密され、高い水密性を確保するようにしている。支持部材22のボルト挿通孔22aは、施工の便宜を図るため、その傾斜上方に向けた長孔とするとより良い。枠体14の端面に対する遮蔽部材30の取付位置は、遮蔽部材30の長手を二等分する中心線が支持部材22の幅を二等分する中心線に合致し、かつ支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対して枠体14の底面14aからそれぞれ遮蔽部材30の両端部が下方に5mmだけ突出した位置である。遮蔽部材30の中央部下面は、枠体14の底面14aよりも上方にある。これにより、太陽電池アレイを太陽電池モジュール10の側面側から見た場合、
図9の(c)に示すように、上下隙間Xには、遮蔽部材30の上部に、梁部材21の長手方向に沿った樋状の水路が構成され、かつ遮蔽部材30の両端下部に、支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対してそれぞれの枠体14の底面14aから突出した水切り部が構成される。
【0059】
この実施例3によれば、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、一旦上下隙間Xに落下し、遮蔽部材30の長手方向に沿って側方に流れた後に両端部から鉛直下方に落下することになり、支持部材22の上面に直接到達することはない。しかも、遮蔽部材30は、支持部材22の鉛直上方投影域外となる両端部が上方稜角部分14d及び下方稜角部分14dに接触し、かつ支持部材22の傾斜方向に隣接する枠体14の底面14aからそれぞれ下方に突出した水切り突部を構成している。このため、受光面を通過した流下水が枠体14の端面や側面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝って支持部材22の鉛直上方投影域に向う流下水は、支持部材22の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材30の両端部分と接触し、これを伝って鉛直下方に落下することになる。さらに、遮蔽部材30の端部から流下する水も、傾斜下方側の枠体14を水平方向に伝わることなく、水切り部で落水させることができる。従って、支持部材22に対して流下水が到達する事態を招来することはなく、太陽電池アレイの傾斜架台20に高い耐久性を確保することができるようになる。
【0060】
(実施例4)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間、及び梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間にそれぞれ10mmの隙間を確保して支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材30について、
図9の(d)及び
図10の(b)を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。尚、実施例4においては、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上下隙間Xからは、支持部材22の上面のみが外部に露出されたものとして説明を行う。
【0061】
実施例4に適用する遮蔽部材30は、ポリカーボネート製の薄板によって横断面がU字の樋状となるように成形したものである。遮蔽部材30の寸法は、枠体14の高さ45mmに対して20mmの寸法を有し、支持部材22の幅60mmに対して120mmの寸法を有している。支持部材22の傾斜方向に沿った寸法は、太陽電池モジュール10の相互隙間10mmと同じであり、両端面に厚さ0.5mmの両面テープ(図示せず)を貼り付けて接着性及び水密性を確保している。U字を成す遮蔽部材30の底の外径は、半径5mmである。枠体14の端面に対する遮蔽部材30の取付位置は、遮蔽部材30の長手を二等分する中心線が支持部材22の幅を二等分する中心線に合致し、かつ支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対してU字の最下端が枠体14の底面14aからそれぞれ突出した位置である。これにより、太陽電池アレイを太陽電池モジュール10の側面側から見た場合、
図9の(d)に示すように、上下隙間Xには、遮蔽部材30の上部に、梁部材21の長手方向に沿った樋状の水路が構成され、かつ遮蔽部材30の両端下部に、支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対してそれぞれの枠体14の底面14aから突出した水切り部が構成される。
【0062】
この実施例4によれば、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、一旦上下隙間Xに落下し、遮蔽部材30の長手方向に沿って側方に流れた後に両端部から鉛直下方に落下することになり、支持部材22の上面に直接到達することはない。しかも、遮蔽部材30は、支持部材22の鉛直上方投影域外となる両端部が上方稜角部分14d及び下方稜角部分14dに接触し、かつ支持部材22の傾斜方向に隣接する枠体14の底面14aからそれぞれ下方に突出した水切り突部を構成している。このため、両端部を伝って落下する流下水が遮蔽部材30の下面に至ることはない。従って、受光面を通過した流下水が枠体14の端面や側面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝って支持部材22の鉛直上方投影域に向う流下水は、支持部材22の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材30の両端部分と接触し、これを伝って鉛直下方に落下することになる。さらに、遮蔽部材30の端部から流下する水も、傾斜下方側の枠体14を水平方向に伝わることなく、水切り部で落水させることができる。従って、支持部材22に対して流下水が到達する事態を招来することはなく、太陽電池アレイの傾斜架台20に高い耐久性を確保することができるようになる。
【0063】
尚、遮蔽部材30の上端は、枠体14の上面よりも低く配置する必要はなく、同じ高さであっても構わない。さらに、遮蔽部材30の上端部を枠体14の上面から突出させ、これを折り曲げて枠体14の上面に被せても良い。
【0064】
(変形例)
実施の形態1の変形例としては、例えば、
図9の(b)に示すように、遮蔽部材30の横断面形状を矩形ではなく、円形状に構成しても構わない。また、
図10の(d)に示すように、遮蔽部材30の中央部を下面から肉抜きし、上面を枠体14の上面から突出させても良い。いずれの例であっても、遮蔽部材30において少なくとも支持部材22の鉛直上方投影域外となる部分が、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上方稜角部分14dに接触して上方稜角部分14dよりも下方に突出する部分と、下方稜角部分14dに接触して下方稜角部分14dよりも下方に突出する部分を有するのは必須である。
【0065】
上面を円弧状に形成した遮蔽部材30についても、
図10の(f)、(i)に示すように、上面を枠体14の上面より低い位置に配置しても良いし、
図10の(g)、(h)に示すように、その上面を枠体14の上面から突出させても構わない。尚、
図10の(h)及び(i)に示す例は、遮蔽部材30の中央部を下面から肉抜きし、それぞれ支持部材22の鉛直上方投影域外となる両端部を上方稜角部分14d及び下方稜角部分14dに接触させ、かつ支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10に対してそれぞれの枠体14の底面14aから突出させたものである。
【0066】
また、
図10の(j)〜(l)に示すように、遮蔽部材30の上面と下面とをそれぞれ上方に向けて凸となるように円弧状に形成し、その上面を枠体14の上面から突出させたり、枠体14の上面に一致させたり、枠体14の上面よりも低い位置に配置しても構わない。いずれの例であっても、遮蔽部材30において支持部材22の鉛直上方投影域外となる部分が、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上方稜角部分14dに接触して上方稜角部分14dよりも下方に突出する部分と、下方稜角部分14dに接触して下方稜角部分14dよりも下方に突出する部分を有するのは必須である。
【0067】
(実施の形態2)
図11〜
図13は、本発明の実施の形態2である太陽電池アレイを示したものである。ここで例示する太陽電池アレイは、実施の形態1と同様、臨海地区の埋め立て地等、広大な土地に設置して大規模な太陽光発電所を構築する場合に適用することを前提として構成したもので、実施の形態1とは遮蔽部材の構成のみが異なっている。尚、実施の形態2では、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上下隙間Xからは、支持部材22の上面のみが外部に露出されたものとして以下の説明を行う。
【0068】
実施の形態2の太陽電池アレイで適用する遮蔽部材130は、めっき鋼板、塗装鋼板、ステンレス、アルミニウム等の金属や、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレン、PET、ブチルゴム、EPDM等の合成樹脂等、遮水性を有した材料によって板状に成形したもので、
図11及び
図12に示すように、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間において個々の枠体14の底面14aの間に渡って配設することにより、各枠体14の底面14aから下方に突出し、かつ支持部材22の上面を覆っている。
図11及び
図13の(a)に示すように、遮蔽部材130は、太陽電池モジュール10の隙間に沿った寸法が支持部材22の上面よりも大きく設定してあり、その両端部がそれぞれ支持部材22の側面から突出し、支持部材22の上面に対して鉛直上方への投影域外となる位置に達している。枠体14の底面14aと遮蔽部材130との間は、粘着材料によって接着し、さらにはビスやクリップ等の接合手段を併用して機械的に接合しても良い。また、遮蔽部材130の端部を折り返した状態に成形し、この折り返し部分を枠体14の底面14aに係止させることで枠体14の底面14aと遮蔽部材130との間を連結しても良いし、接着や機械的接合を併用しても構わない。
図13の(a)に示すように、遮蔽部材130において梁部材21の長手方向に沿った両端部を下方に折り曲げたり、
図13の(b)に示すように、両端部が自重で垂れ下がった状態に設定すれば、それぞれの下端部が水切り部としてより確実に機能する。
【0069】
遮蔽部材130と支持部材22の上面との間は、隙間を確保した状態に維持しても良いし、
図14〜
図16の変形例に示すように、遮蔽部材130を支持部材22と太陽電池モジュール10の枠体14との間に挟持することにより、両者を接触させた状態に維持しても良い。遮蔽部材130を支持部材22と太陽電池モジュール10の枠体14との間に挟持する場合には、遮蔽部材130に予めモジュール固定ボルトBを挿通する孔130aを形成しておき、太陽電池モジュール10を取り付ける際にこの孔130aにモジュール固定ボルトBを挿通させれば、遮蔽部材130を太陽電池モジュール10と共締めすることができる。太陽電池モジュール10の枠体14と遮蔽部材130との間を接着する場合には、予め、先に施工する太陽電池モジュール10または支持部材22の上面に遮蔽部材130を接着させておけば、組み立てる際の作業性を向上させることができる。尚、枠体14の底面14aと遮蔽部材130との間に確保する水密性は、少なくとも、支持部材22の傾斜方向に沿って下方に位置する太陽電池モジュール10との間にあれば良いが、より水密性を高めるためには、遮蔽部材130の端部を支持部材22の上面から離隔する方向にわずかに屈曲した状態に成形し、この遮蔽部材130が平坦となるように太陽電池モジュール10を支持部材22の上面に支持させれば、遮蔽部材130の弾性復元力によって両者が圧接された状態に維持されることになり、互いの間の水密性を高めることができる。また、遮蔽部材130を合成ゴム系のシート等、弾性を有する材料として成形し、枠体14の底面14aと支持部材22との間に挟持させても、両者が圧接された状態に維持されることになり、互いの間の水密性を高めることができる。さらに、遮蔽部材130と枠体14の底面14aとの間に合成ゴム系のシートを介在させれば、遮蔽部材130や太陽電池モジュール10の枠体14に高い加工精度を要求せずとも、両者の間に高い水密性を確保することが可能となる。尚、その他、実施の形態1と同様の構成に関しては、同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0070】
上記のように構成した太陽電池アレイによれば、支持部材22の上面が遮蔽部材130によって覆われた状態にある。このため、降雨時に太陽電池モジュール10の受光面を通過して支持部材22に向かう流下水は、遮蔽部材130によって進路が変更され、その両端部から鉛直下方に落下することになる。具体的には、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水が、一旦上下隙間Xに落下し、遮蔽部材130の長手方向に沿って側方に流れた後に両端部から鉛直下方に落下する。流下水が排出される遮蔽部材130の両端部は、それぞれ支持部材22の側面から突出し、支持部材22の上面に対して鉛直上方への投影域外に位置したものである。従って、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水がそのまま支持部材22に接触する恐れがない。
【0071】
さらに、遮蔽部材130において、少なくとも支持部材22の鉛直上方投影域外となる部分が、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上方稜角部分14dに接触して上方稜角部分14dよりも下方に突出する部分と、下方稜角部分14dに接触して下方稜角部分14dよりも下方に突出する部分を有しているため、流下水が枠体14の端面や側面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝って支持部材22の鉛直上方投影域に向う流下水は、支持部材22の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材130の突出した部分と接触し、これを伝って鉛直下方に落下することになる。また、遮蔽部材130の端部から流下する水も、傾斜下方側の枠体14を水平方向に伝わることなく、水切り部で落水させることができる。
【0072】
これらの結果、傾斜架台20の支持部材22が太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水に曝される恐れがなくなり、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水を原因として傾斜架台20の耐久性が損なわれる事態を招来することがない。
【0073】
しかも、太陽電池モジュール10を支持部材22の上面に支持させれば、板状に成形した遮蔽部材130の施工も同時に終了することになり、高所での作業が必要となることもなく、太陽電池アレイを設置する際の作業性に影響を与えることがない。
【0074】
(実施例5)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間、及び梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間にそれぞれ5mmの隙間を確保して支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材130について、
図11〜
図13の(a)を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。
【0075】
実施例5に適用する遮蔽部材130は、板厚1.2mmのめっき鋼板によって構成してある。遮蔽部材130の寸法は、支持部材22の幅60mmに対して120mmの寸法を有し、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の間の隙間5mmに対して100mmの寸法に形成してある。遮蔽部材130の取付位置は、遮蔽部材130の長手を二等分する中心線が支持部材22の幅を二等分する中心線に合致し、かつ支持部材22の傾斜方向に沿って下方に位置する太陽電池モジュール10の枠体14に対して底面14aとの対向長さが50mmとなる位置である。
【0076】
遮蔽部材130と枠体14の底面14aとの間には、ブチルゴム系の両面テープ(図示せず)を介在させ、対向する面の全面を接着した。ブチルゴム系の両面テープは、枠体14の底面14aと遮蔽部材130との間の水密部材を兼ねているので、梁部材21の長手方向に沿って遮蔽部材130の全体に切れ目無く配置した。これにより、太陽電池アレイを太陽電池モジュール10の側面側から見た場合、上下隙間Xには、遮蔽部材130の上部に梁部材21の長手方向に沿った樋状の水路が構成され、かつ遮蔽部材130の両端部において支持部材22の鉛直上方投影域外となる部分に、支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対してそれぞれの枠体14の底面14aから突出した水切り部が構成される。
【0077】
この実施例5によれば、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、一旦上下隙間Xに落下し、遮蔽部材130の長手方向に沿って側方に流れた後に両端部から鉛直下方に落下することになり、支持部材22の上面に直接到達することはない。しかも、遮蔽部材130は、支持部材22の鉛直上方投影域外となる両端部が枠体14の底面14aから下方に突出した水切り部を構成している。このため、受光面を通過した流下水が枠体14の端面や側面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝って支持部材22の鉛直上方投影域に向う流下水は、支持部材22の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材130の両端部分と接触し、これを伝って鉛直下方に落下することになる。さらに、遮蔽部材130の端部から流下する水も、傾斜下方側の枠体14を水平方向に伝わることなく、水切り部で落水させることができる。従って、支持部材22に対して流下水が到達する事態を招来することはなく、太陽電池アレイの傾斜架台20に高い耐久性を確保することができるようになる。
【0078】
(実施例6)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間、及び梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間にそれぞれ5mmの隙間を確保して支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材130について、
図11、
図12、
図13の(b)を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。
【0079】
実施例6に適用する遮蔽部材130は、両端部が自重で撓むように厚さ3mmのEPDMシートを用いた。外形寸法及び取付方法については、実施例5と同等であるが、
図13の(b)に示すように、両端からそれぞれ30mmの範囲については枠体14の底面14aに固定していない。
【0080】
この実施例6によれば、実施例5と同等の作用効果を奏するだけでなく、予め遮蔽部材130の両端部を折り曲げずとも、太陽電池モジュール10の枠体14に取り付ければ、自重によって両端部が下方に撓んで枠体14の底面14aから突出した状態となり、加工コストの低減を図ることができる。しかも、遮蔽部材130自身が弾性体であるため、太陽電池モジュール10の枠体14と支持部材22の上面との間に押圧した状態で挟持すれば、別途部品を要することなく両者の間の水密性を高めることができる。
【0081】
(実施例7)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間、及び梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間にそれぞれ10mmの隙間を確保して支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材130について、
図17を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。
【0082】
実施例7に適用する遮蔽部材130は、実施例5と同等の遮蔽部材130を適用したもので、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間となる部位が下方に向けて略U字状に突出した樋形状を成している。枠体14の底面14aからの遮蔽部材130の突出量は5mmである。遮蔽部材130において枠体14の底面14aに対向する平板部分は、ブチルゴム系の両面テープによって枠体14の底面14aに取り付けてある。
【0083】
この実施例7によれば、実施例5と同等の作用効果を奏するだけでなく、枠体14の底面14aよりも下方となる部位を流下水が通過して両端部から鉛直下方に落下するため、落下する際の流下水が支持部材22の上面に至る事態をより確実に防止することができる。
【0084】
(実施の形態3)
実施の形態1及び実施の形態2によれば、降雨時に太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水が、遮蔽材料の両端部から排水が行われることになるが、太陽電池モジュール10を設置した際の水平面からの傾斜角度が大きく設定されている場合、あるいは降雨量が大きい場合には、両端部からの排水能力だけでは追いつかず、支持部材22の傾斜方向に沿って下方に位置する太陽電池モジュール10の受光面に越流する場合があり得る。そこで、
図18〜
図20に示す実施の形態3では、遮蔽部材230に貫通孔231aや溝状の凹部231bを形成して流下水の下方への越流を抑制するようにしている。尚、実施の形態3では、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上下隙間Xからは、支持部材22の上面のみが外部に露出されたものとして以下の説明を行う。
【0085】
図18の(a)、(b)及び
図19の(a)、(b)に示す太陽電池アレイでは、遮蔽部材230の上面から下面に渡って貫通する貫通孔231aを設けるようにしている。貫通孔231aの大きさや数量はその想定する排水能力によって適切に設定すれば良い。但し、いずれの貫通孔231aについても下面の開口位置は支持部材22の上面に対して鉛直上方への投影域外にある必要がある。貫通孔231aの開口形状は、円形であっても多角形であっても構わない。このように遮蔽部材230に貫通孔231aを形成すれば、遮蔽部材230に落下した流下水が両端部に到達する以前においても貫通孔231aを通じて鉛直下方に落下することになり、下方に位置する太陽電池モジュール10への越流が抑制される。
【0086】
ここで、遮蔽部材230の上面から貫通孔231aを通過する流下水は、その一部が鉛直下方に落下せずに遮蔽部材230の下面に回り込む恐れがある。このため、遮蔽部材230の下面には、貫通孔231aの周囲にガイド突起232を設けることが好ましい。ガイド突起232は、少なくとも貫通孔231aの下端開口部に対して支持部材22の傾斜方向に沿って下方となる周囲に設ければ良い。ガイド突起232は、
図18の(b)に示すように、貫通孔231aの周囲をバーリング加工することによって設けることができる。あるいはバリ状、針状、板状に突出させても良いし、
図19の(b)に示すように、半円状、V字状、コの字状に切り込みをいれて、下方に折り曲げても良い。錐状の工具で打ち抜いて、全体を下方に凸としてもよい。このように、遮蔽部材230の下面において貫通孔231aの周囲にガイド突起232を設ければ、流下水が遮蔽部材230の下面に回り込んだとしてもガイド突起232を伝って下方に案内され、そこから鉛直下方に落下することになり、流下水が支持部材22の上面に到達する事態を招来する恐れがない。
【0087】
図20に示す例では、遮蔽部材230の上面に傾斜方向に沿った溝状の凹部231bを設けるようにしている。この凹部231bは、例えば、平板状を成す遮蔽部材230を下向きに凸状に屈曲させることによって遮蔽部材230の上面に形成することができる。凹部231bの傾斜方向に沿った下端の開口位置は支持部材22の上面に対して鉛直上方への投影域外に設ける。このように遮蔽部材230に溝状の凹部231bを形成した場合にも、遮蔽部材230の上面に落下した流下水がその両端部に到達する以前において凹部231bにより傾斜に沿って下方に案内され、下端の開口から鉛直下方に落下することになり、下方に位置する太陽電池モジュール10への越流が抑制される。
【0088】
凹部231bの横断面形状は、半円状、逆三角形状、矩形状等々、任意である。凹部231bの断面積は、全長に渡って同じでも良いが、支持部材22の傾斜方向に沿って下方となる部分の断面積を大きく形成することが好ましく、上端部の横断面積がゼロ、つまり遮蔽部材230の上端においては開口しなくても良い。凹部231bが遮蔽部材230の上端に開口するものの場合には、この上端の開口から流下水が落下して遮蔽部材230の下面に回り込む場合があり得る。しかしながら、遮蔽部材230の下面には、凹部231bを形成することによって下方に突出するように形成されたガイド突条232が、支持部材22の傾斜方向に沿い、かつ支持部材22の上面に対して鉛直上方への投影域外となる位置に設けられている。従って、遮蔽部材230の下面に回り込んだ流下水は、ガイド突条232を伝って傾斜方向の下方に案内され、ガイド突条232から鉛直下方に落下することになり、支持部材22の上面に至る恐れはない。また、遮蔽部材230の下面から突出するガイド突条232は、周囲の枠体14を伝って遮蔽部材230に到達した流下水の行く手を遮るように機能するため、流下水が支持部材22の上面に到達する事態を有効に防止することができる。
【0089】
(実施例8)
実施例5の太陽電池アレイに対して遮蔽部材230に貫通孔231aを設けた実施例8について、
図19の(a)及び(b)を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。
【0090】
実施例8に適用する遮蔽部材230は、実施例5と同等の外形寸法を有したものを実施例5と同じ形態で支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間に取り付けてある。遮蔽部材230には、両端からそれぞれ15mmの位置、つまり支持部材22の側面から15mm離隔した位置を中心として貫通孔231aが設けてある。貫通孔231aは、長さ5mm、幅5mmのコの字状の切り込みを設けてこれを下方に折り曲げることによって形成したものである。折曲部分は、支持部材22の傾斜方向に沿って貫通孔231aの下方に位置しており、ガイド突起232として機能する。
【0091】
この実施例8によれば、実施例5と同様の作用効果を奏するだけでなく、遮蔽部材230の上面に落下した流下水を両端部に到達する以前に貫通孔231aを通じて鉛直下方に落下させることができ、下方に位置する太陽電池モジュール10への越流が抑制される。しかも、貫通孔231aを通過する際に流下水が遮蔽部材230の下面に回り込んだ場合にも、ガイド突起232を伝って傾斜方向の下方に案内され、傾斜下端に到達する間に鉛直下方に落下することになるため、流下水が支持部材22の上面に到達する事態を招来することもない。
【0092】
(実施例9)
実施例5の太陽電池アレイに対して遮蔽部材230に溝状の凹部231bを設けた実施例9について、
図20の(a)、(b)を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。
【0093】
実施例9に適用する遮蔽部材230は、実施例5と同等の外形寸法を有したものを実施例5と同じ形態で支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間に取り付けてある。遮蔽部材23には、両端からそれぞれ15mmの位置、つまり支持部材22の側面から15mm離隔した位置の上面に凹部231bが設けてある。凹部231bの横断面は、半径5mmで上方に開口する半円形状であり、全長に渡って一様に形成してある。遮蔽部材230の下面には、凹部231bを設けることによってガイド突条232が突出している。
【0094】
この実施例8によれば、実施例5と同様の作用効果を奏するだけでなく、遮蔽部材230の上面に落下した流下水を両端部に到達する以前に凹部231bによって傾斜方向の下方に案内し、その下端開口から鉛直下方に落下させることができる。従って、下方に位置する太陽電池モジュール10への流下水の越流が抑制される。しかも、凹部231bの上端開口から流下水が落下して遮蔽部材230の下面に回り込んだとしても、ガイド突条232を伝って傾斜方向の下方に案内され、ガイド突条232の下端から鉛直下方に落下することになり、支持部材22の上面に至る恐れはない。
【0095】
(実施の形態4)
図21に示す実施の形態4では、板状に成形した遮蔽部材330と太陽電池モジュール10の枠体14との間の水密性をより確実なものとするため、
図21の(a)、(b)、(c)、(g)、(h)に示すように、横断面がL字状に屈曲した遮蔽部材330を適用し、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の底面14aと、下方に位置する太陽電池モジュール10の上方側端面14bとの間に渡って遮蔽部材330を配設するようにしている。さらには、
図21の(d)、(e)、(f)に示すように、横断面が逆T字状となった遮蔽部材330を適用し、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の底面14aと、下方に位置する太陽電池モジュール10の上方側端面14b及び底面14aとの間に渡って遮蔽部材330を配設している。尚、その他、実施の形態1と同様の構成に関しては、同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。また、実施の形態4では、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の上下隙間Xからは、支持部材22の上面のみが外部に露出されたものとして以下の説明を行う。
【0096】
このように傾斜方向の下方に位置する太陽電池モジュール10に対して、枠体14の端面14bに遮蔽部材330を配設すれば、太陽電池モジュール10の受光面から遮蔽部材330の上面に落下した流下水が遮蔽部材330と太陽電池モジュール10の枠体14との接合部に接触することなく両端部に案内されることになる。従って、傾斜方向の下方に位置する太陽電池モジュール10の端面と遮蔽部材330との接合部から流下水が漏れる事態を招来する恐れがなくなる。
【0097】
また、
図21の(g)及び(h)に示すように、遮蔽部材330において上下隙間Xに位置する部分を枠体14の底面14aから下方に突出させれば、太陽電池モジュール10の受光面から遮蔽部材330の上面に落下した流下水の量が多い場合にも両端部から落下する際に枠体14に接触する事態を防止することができる。但し、遮蔽部材330を枠体14の底面14aから突出させるには、支持部材22の上面と太陽電池モジュール10の枠体14との間にスペーサを介在させる等して両者の間に隙間を確保する必要がある。
【0098】
(実施例10)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間、及び梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間にそれぞれ10mmの隙間を確保して支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材330について、
図21の(h)を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。
【0099】
実施例10に適用する遮蔽部材330は、板厚1.2mmのめっき鋼板によって横断面が略L字状を成すように構成してあり、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の底面14aと、下方に位置する太陽電池モジュール10の上方側端面14bとの間に渡って配設してある。この遮蔽部材330は、支持部材22の幅60mmに対して120mmの寸法を有し、遮蔽部材330の長手を二等分する中心線が支持部材22の幅を二等分する中心線に合致する位置に取り付けてある。具体的には、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10に対しては、45mmの対向長さを確保して枠体14の底面14aに遮蔽部材330が取り付けてある。遮蔽部材330において傾斜方向の上方に位置する枠体14の下方稜角部分14dから傾斜方向の下方に突出する部分は、下方に突出するに従って漸次枠体14の底面14aから離隔する方向に傾斜し、その最下端が枠体14の底面14aから5mm突出している。遮蔽部材330は、この最下端となる位置から上方に向けて屈曲し、傾斜方向に沿って下方に位置する太陽電池モジュール10の枠体14において上方側の端面14bに取り付けてある。遮蔽部材330の太陽電池モジュール10の枠体14との間は、それぞれの全面が厚さ2mmのブチルゴム系の両面テープによって接着してある。これにより、太陽電池アレイを太陽電池モジュール10の側面側から見た場合、上下隙間Xには、遮蔽部材330の上部に梁部材21の長手方向に沿った樋状の水路が構成される。この水路は、特に支持部材22の傾斜方向に沿って下方となる部分が鋭角に突出した断面となっている。
【0100】
この実施例10によれば、実施例5と同様の作用効果を奏するだけでなく、太陽電池モジュール10の受光面から遮蔽部材330の上面に落下した流下水が、遮蔽部材330と太陽電池モジュール10の枠体14との接合部に接触することなく両端部に案内されることになる。従って、傾斜方向の下方に位置する太陽電池モジュール10の端面と遮蔽部材330との接合部から流下水が漏れる事態を招来する恐れがなくなる。さらに、枠体14の底面14aよりも下方となる部位を流下水が通過して両端部から鉛直下方に落下するため、落下する際の流下水が支持部材22の上面に至る事態をより確実に防止することができる。
【0101】
(変形例)
実施の形態4の変形例としては、例えば、
図21の(g)に示すように、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10に対して、止水部材331を介して遮蔽部材330を枠体14の底面14aに取り付けるようにしても良い。この変形例においては、遮蔽部材330を単に横断面がL字状を成すように構成した場合にも、枠体14の底面14aよりも下方となる部位を流下水が通過して両端部から鉛直下方に落下するため、落下する際の流下水が支持部材22の上面に至る事態をより確実に防止することができる。
【0102】
(実施の形態5)
図22及び
図23は、本発明の実施の形態5である太陽電池アレイを示したものである。ここで例示する太陽電池アレイは、実施の形態1と同様、臨海地区の埋め立て地等、広大な土地に設置して大規模な太陽光発電所を構築する場合に適用することを前提として構成したもので、実施の形態1とは傾斜架台20に対して太陽電池モジュール10を支持させる際の姿勢及び遮蔽部材の構成が異なっている。尚、以下の説明において実施の形態1と同様の構成に関しては、同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0103】
実施の形態5は、実施の形態1と同様の構成を有した傾斜架台20及び太陽電池モジュール10を適用するものであるが、枠体14の長辺が支持部材22に沿った姿勢で個々の太陽電池モジュール10が傾斜架台20の支持部材22に支持させてある。このため、支持部材22の断面性能は、実施の形態1よりも大きく設定してある。太陽電池モジュール10を支持部材22に支持させる場合には、実施の形態1と同様に、枠体14の底面14aと支持部材22との間をモジュール固定ボルトB及びナットNで締結する方法を適用しても良いし、幅方向に延伸した接合金物を介して締結する方法を適用することも可能である。傾斜架台20の支持部材22は、互いの間に太陽電池モジュール10の短辺よりもわずかに大きな間隔を確保して配置してある。これにより、梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10は、個々の長辺となる枠体14の側面14cが支持部材22の上方において互いに対向した状態に配置される。
【0104】
ここで、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間、並びに梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間には、実施の形態1と同様に、支持部材22に対して太陽電池モジュール10を支持させる際の施工性と、風荷重による変形時の干渉を考慮して、それぞれ隙間が確保してある。本実施の形態5では、支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10については枠体14の端面相互間に5mmの上下隙間Xが確保してあり、梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10については枠体14の側面14cの相互間に40mmの左右隙間Yが確保してある。このため、これらの隙間X,Yの下方に位置する支持部材22は、その上面が外部に露出された状態となり、降雨の際には雨水に曝されることになる。このうち、支持部材22において上下隙間Xに位置する部位には、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水の落下位置に配置されるため、太陽電池モジュール10の受光面に堆積していた鉄分を含む粒子や塩分が付着する恐れがある。また、上下隙間Xと左右隙間Yとの交差部分(以下、単に「交差隙間部分XY」という)においても、上述した流下水が支持部材22の上面に落下する場合があり得る。
【0105】
このため、本実施の形態5の太陽電池アレイでは、実施の形態1と同様に、上下隙間Xにおいて支持部材22の上面を覆う位置に遮蔽部材430を配設している。但し、上下隙間Xに単純に遮蔽部材430を配設したのでは、太陽電池モジュール10の受光面から遮蔽部材430に落下した流下水が、交差隙間部分XYに落下して支持部材22の上面に至る恐れがある。そこで、実施の形態5では、
図23の(a)、(b)に示すように、太陽電池モジュール10の端面の中心方向に向かうに従って漸次低くなるように遮蔽部材430の上面を傾斜させるようにしている。遮蔽部材430において交差隙間部分XYに近接する部分は、枠体14の側面14cから突出させてある。枠体14の側面14cから遮蔽部材430を突出させる寸法は、太陽電池モジュール10を設置した際の傾斜角度や想定される降雨量に基づき、上下隙間Xから交差隙間部分XYへ流下水が落下しないように設定すれば良い。
【0106】
図24に示すように、遮蔽部材430は、上下隙間Xから左右隙間Yに向けて、枠体14の側面14cの傾斜上方側に向かって延長させるとより良い。このとき、遮蔽部材430の断面形状は、
図25の(a)に示すように、梁部材21の長手方向(図中の左右方向)に沿って少なくとも左右隙間Y側が枠体14の側面14c側よりも低くならないように構成する。このように構成することで、左右隙間Y側で作用する表面張力が大きくなるため、水は遮蔽部材430の上面を通り、交差隙間部XYを経て、上下隙間X側に誘導されて落水されることになる。望ましくは、
図25の(b)に示すように、遮蔽部材430において左右隙間Yに位置する部分の上端部は、枠体14の上面から上方に突出させることがより好ましい。こうすれば、太陽電池モジュール10の受光面を通過する流下水が、枠体14の側面14c側から落下しようとする事態が妨げられて上下隙間Xに落下し、支持部材22の上面に至る恐れがなくなる。遮蔽部材430において上下隙間Xに位置する部分の上面は、
図26の(a)に示すように、枠体14の上面から上方に突出させても良いが、
図26の(b)〜(d)に示すように、太陽電池モジュール10の端面の中心方向に向かうに従って漸次低くなるように傾斜させても良い。
【0107】
交差隙間部分XYを挟んで隣接する遮蔽部材430は、
図27や
図28の(b)に示すように、これらを連続した一体ものとして構成しても良いし、
図28の(a)に示すように、互いに接合して隙間を埋めるようにしても良い。これらのように隣接する遮蔽部材430を連続させれば、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水が、交差隙間部分XYを通過して傾斜方向の下方に位置する左右隙間Yから支持部材22の上面に落下する事態を確実に防止することができる。
【0108】
また、金属板、合成樹脂板、ゴムシート等の板状体を遮蔽部材として適用し、傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10に対して、枠体14の底面14aの間に渡って配置する場合には、交差隙間部分XYに延長させる。その傾斜下方に位置する左右隙間Xについては、別途止水措置を設ける。傾斜上方及び交差隙間部分XY側の端部については、隣接する遮蔽部材を連続させたり、止水措置を設けることで落水を防止する。
図21に示した遮蔽部材330のように、横断面がL字状に屈曲させたり、横断面が逆T字状となった板状体を遮蔽部材とすれば、傾斜下方の左右隙間Xが塞ぐことができてより好ましい。
【0109】
(実施例11)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間に5mm、梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間に40mmの隙間を確保し、かつ枠体14の長辺が支持部材22に沿った姿勢で支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材430について、
図22及び
図23を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。尚、この太陽電池アレイでは、上述したように、梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10が、個々の長辺となる枠体14の側面14cを支持部材22の上方において互いに対向させた状態で配置されている。このため、図には明示していないが、支持部材22の断面性能は、実施の形態1よりも大きく設定してある。太陽電池モジュール10を取り付ける部分には厚さ2.3mm、短辺50mm、長辺120mmの鋼板製の取付け金物を長辺が梁部材21と平行となるように設けてある。この取付け金物には、中央部に支持部材22との間を固定するためのボルト孔が設けられ、両端に太陽電池モジュール10を固定するためのボルト孔が設けられている。
【0110】
実施例11に適用する遮蔽部材430は、独立気泡によって発泡したEPDMによって横断面が矩形状となるように成形したもので、個々の上下隙間Xにおいて対向する枠体14の端面の間に圧密した状態で介在させてある。遮蔽部材430は、交差隙間部分XYに向けて上面が漸次高くなるように傾斜しており、そのまま枠体14の側面14cから突出している。遮蔽部材430の最下端部は、支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対してそれぞれの枠体14の底面14aから5mm突出し、水切り部を構成している。
【0111】
この実施例11によれば、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、一旦上下隙間Xに落下し、遮蔽部材430の上面の傾斜に従って側方に流れた後に上下隙間Xに位置する端部から鉛直下方に落下する。流下水が落下する遮蔽部材430の端部は、支持部材22の上面に対して鉛直上方への投影域外となる部位に位置している。従って、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水が支持部材22の上面に直接到達することはない。しかも、遮蔽部材430は、支持部材22の鉛直上方投影域外となる端部が枠体14の底面14aから下方に突出した水切り部を構成している。このため、受光面を通過した流下水が枠体14の端面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝って支持部材22の鉛直上方投影域に向う流下水は、支持部材22の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材430の端部と接触し、これを伝って鉛直下方に落下することになる。さらに、遮蔽部材430の端部から流下する水も、傾斜下方側の枠体14を水平方向に伝わることなく、水切り部で落水させることができる。従って、支持部材22に対して流下水が到達する事態を招来することはなく、太陽電池アレイの傾斜架台20に高い耐久性を確保することができるようになる。
【0112】
(実施例12)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間に5mm、梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間に40mmの隙間を確保し、かつ枠体14の長辺が支持部材22に沿った姿勢で支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材430について、
図24を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。尚、この太陽電池アレイでは、上述したように、梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10が、個々の長辺となる枠体14の側面14cを支持部材22の上方において互いに対向させた状態で配置されている。このため、図には明示していないが、支持部材22の断面性能は、実施の形態1よりも大きく設定してある。太陽電池モジュール10を取り付ける部分には厚さ2.3mm、短辺50mm、長辺120mmの鋼板製の取付け金物を長辺が梁部材21と平行となるように設けてある。この取付け金物には、中央部に支持部材22との間を固定するためのボルト孔が設けられ、両端に太陽電池モジュール10を固定するためのボルト孔が設けられている。
【0113】
実施例12に適用する遮蔽部材430は、独立気泡によって発泡したEPDMによって横断面が矩形状となるように成形したもので、個々の上下隙間Xにおいて対向する枠体14の端面の間に圧密した状態で介在させてある。遮蔽部材430は、交差隙間部分XYに向けて上面が漸次高くなるように傾斜しており、そのまま枠体14の側面14cから突出し、傾斜方向に沿って上方に屈曲することにより枠体14の側面14cに貼り付けられた状態にある。屈曲して枠体14の側面14cに貼り付けた遮蔽部材430の貼り上げ長さは50mmである。枠体14の側面14cに貼り付けた遮蔽部材430の上面は、水平面に対して支持部材22と同じ向きに傾斜していれば良いが、遮蔽部材430の断面形状は、左右隙間Y側が枠体14の側面14c側よりも低くならないように貼り付けている。遮蔽部材430の最下端部は、支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対してそれぞれの枠体14の底面14aから5mm突出し、水切り部を構成している。
【0114】
この実施例12によれば、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、一旦上下隙間Xに落下し、遮蔽部材430の上面の傾斜に従って側方に流れた後に上下隙間Xに位置する端部から鉛直下方に落下する。また、受光面の下方部から枠体14の側面14cを伝って筋状に流下した若干量の流下水は、遮蔽部材430において枠体14の側面14cに貼り付けた部分の上面に至り、その貼り付け形状により左右隙間Yに落水することなく、そこから傾斜方向に沿って下方に案内され、その後、上下隙間Xに位置する遮蔽部材430の上面を案内されて端部から鉛直下方に落下する。流下水が落下する遮蔽部材430の端部は、支持部材22の上面に対して鉛直上方への投影域外となる部位に位置している。従って、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水が支持部材22の上面に直接到達することはない。しかも、遮蔽部材430は、支持部材22の鉛直上方投影域外となる端部が枠体14の底面14aから下方に突出した水切り部を構成している。このため、受光面を通過した流下水が枠体14の端面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝って支持部材22の鉛直上方投影域に向う流下水は、支持部材22の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材430の端部と接触し、これを伝って鉛直下方に落下することになる。さらに、遮蔽部材430の端部から流下する水も、傾斜下方側の枠体14を水平方向に伝わることなく、水切り部で落水させることができる。従って、支持部材22に対して流下水が到達する事態を招来することはなく、太陽電池アレイの傾斜架台20に高い耐久性を確保することができるようになる。
【0115】
(実施例13)
支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間に5mm、梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10の相互間に40mmの隙間を確保し、かつ枠体14の長辺が支持部材22に沿った姿勢で支持部材22に複数の太陽電池モジュール10を並設した太陽電池アレイを適用対象とし、この太陽電池アレイに適用する遮蔽部材430について、
図27を参照しながら具体的な寸法を例示して説明する。尚、この太陽電池アレイでは、上述したように、梁部材21の長手方向に沿って隣接する太陽電池モジュール10が、個々の長辺となる枠体14の側面14cを支持部材22の上方において互いに対向させた状態で配置されている。このため、図には明示していないが、支持部材22の断面性能は、実施の形態1よりも大きく設定してある。太陽電池モジュール10を取り付ける部分には厚さ2.3mm、短辺50mm、長辺120mmの鋼板製の取付け金物を長辺が梁部材21と平行となるように設けてある。この取付け金物には、中央部に支持部材22との間を固定するためのボルト孔が設けられ、両端に太陽電池モジュール10を固定するためのボルト孔が設けられている。
【0116】
実施例13に適用する遮蔽部材430は、独立気泡によって発泡したEPDMによって横断面が矩形状となるように成形したもので、交差隙間部分XYを挟んで隣接する2つの上下隙間Xの間に渡って連続するように配置してある。この遮蔽部材430は、中央部分が交差隙間部分XYにおいて両端よりも10mm高くなっている。両端の最下端部は、支持部材22の傾斜方向に隣接する太陽電池モジュール10に対してそれぞれの枠体14の底面14aから5mm突出し、水切り部を構成している。図には明示していないが、実施例5〜実施例9に適用する遮蔽部材130,230,330を本実施例と同様に配設することも可能である。その場合には、交差隙間部分XYから傾斜方向に沿って下方に位置する左右隙間Yに至る部分を、止水材を配設することによって流下水が通過しないように閉塞する。尚、実施例4及び実施例10の遮蔽部材30,330を用いる場合には、当該部分を閉塞する必要はない。
【0117】
この実施例13によれば、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、一旦上下隙間Xに落下し、遮蔽部材430の上面の傾斜に従って側方に流れた後に上下隙間Xに位置する両端部から鉛直下方に落下する。流下水が落下する遮蔽部材430の両端部は、支持部材22の上面に対して鉛直上方への投影域外となる部位に位置している。従って、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水が支持部材22の上面に直接到達することはない。しかも、遮蔽部材430は、支持部材22の鉛直上方投影域外となる両端部が枠体14の底面14aから下方に突出した水切り部を構成している。このため、受光面を通過した流下水が枠体14の端面や側面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝って支持部材22の鉛直上方投影域に向う流下水は、支持部材22の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材430の両端部分と接触し、これを伝って鉛直下方に落下することになる。さらに、遮蔽部材430の端部から流下する水も、傾斜下方側の枠体14を水平方向に伝わることなく、水切り部で落水させることができる。従って、支持部材22に対して流下水が到達する事態を招来することはなく、太陽電池アレイの傾斜架台20に高い耐久性を確保することができるようになる。
【0118】
(実施例14)
この実施例14では、実施例12で適用した遮蔽部材430の高さを枠体14の高さよりも大きく形成し、
図26の(a)及び
図28に示すように、枠体14の上面及び下面から遮蔽部材430を突出させる構成とした。遮蔽部材430の枠体14からの突出量は、上下いずれも5mmである。
図26の(b)、(c)に示すように、上下隙間Xに位置する部分を傾斜させても良いし、
図26の(d)に示すように、上下隙間Xに位置する遮蔽部材430の下端が枠体14の底面14aより下方に突出していれば、遮蔽部材430のその他の部分は底面14aよりも下方に突出している必要はない。また、
図28の(a)に示すように、隣接する遮蔽部材430を接合し、あるいは
図28の(b)に示すように、連続した一体ものとして構成し、平面視において逆T字形状とした。遮蔽部材430において支持部材22の傾斜方向に沿って隣接する枠体14の端面の間及び枠体14の側面14cの間に位置する部分は、それぞれ圧密された状態にある。
【0119】
この実施例14によれば、支持部材22の傾斜方向に沿って上方に位置する太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、上下隙間Xにおいて枠体14の上面から突出する遮蔽部材430の上端部によって下方への進路が妨げられるとともに、受光面の下方部において枠体14の側面14cから落下しようとする流下水についても、左右隙間Yにおいて枠体14の上面から突出する遮蔽部材430の上端部によってその進路が妨げられる。結局、太陽電池モジュール10の受光面を通過した流下水は、支持部材22の上面から離隔した部位において枠体14から鉛直下方に落下することになり、支持部材22の上面に直接到達することはない。しかも、遮蔽部材430は、支持部材22の鉛直上方投影域外となる端部が枠体14の底面14aから下方に突出した水切り部を構成している。このため、受光面を通過した流下水が枠体14の端面を伝って筋状に流下し、枠体14の下方稜角部分14dに到達した場合にも、この下方稜角部分14dを伝って支持部材22の鉛直上方投影域に向う流下水は、支持部材22の鉛直上方投影域に到達する以前に遮蔽部材430の端部と接触し、これを伝って鉛直下方に落下することになる。さらに、遮蔽部材430の端部から流下する水も、傾斜下方側の枠体14を水平方向に伝わることなく、水切り部で落水させることができる。従って、支持部材22に対して流下水が到達する事態を招来することはなく、太陽電池アレイの傾斜架台20に高い耐久性を確保することができるようになる。
【0120】
尚、上述した実施の形態1〜実施の形態5の各実施例において具体的に示した数値は、あくまでも例示を目的とするものであり、本願発明を何ら限定するものではない。
【0121】
また、上述した実施の形態1〜実施の形態5では、傾斜架台20を構成するフレーム要素としても具体的な形状を示しているが、あくまでも例示のためであって、具体的に示したものに限定されない。すなわち、傾斜架台を構成するフレーム要素としては、チャンネル材、アングル材、角形鋼管等、如何なる断面形状のものであっても良いし、組み立てる場合の断面方向も任意である。具体的には、実施の形態1〜実施の形態5では、支持部材22としてC形鋼材を適用し、これを開断面が下方となる向きで梁部材21に取り付けているが、開断面が側方となる向きで梁部材21に取り付けても構わない。こうすれば、風荷重に対して、支持部材22が強軸方向で荷重を受けることとなる。