【実施例】
【0036】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
<測定、評価>
実施例および比較例における各種測定、評価は、以下の方法によって行った。
【0038】
(充填剤強化プラスチックの曲げ弾性率)
表1に示すプラスチックまたは充填剤強化プラスチックについて、12.5mm×127mm×4mm厚の試験片を作製し、ISO 178:2001に準拠して試験片の曲げ弾性率を測定した。
【0039】
(めっき加工試験片の曲げ弾性率)
表1に示すプラスチックまたは充填剤強化プラスチックについて、12.5mm×127mm×1mm厚の試験片を作製し、表2に示す構成、目標合計厚さにて、めっき層を形成した後、ISO 178:2001に準拠してめっき加工試験片の曲げ弾性率を測定した。
【0040】
(めっき層の厚さ)
めっき層の厚さは、電解式膜厚計(電測社製、CT−2)を用いて、下記のように測定した。
めっき加工されたプラスチックシャーシを電解式膜厚計にセッティングした。まず、電気クロムめっきの厚さを測定するために、R−51電解液(電測社製)をガスケット内に注入し、電気クロムめっきの厚さを測定した。次いで、電気ニッケルめっきの厚さを測定するために、R−54電解液(電測社製)をガスケット内に注入し、電気ニッケルめっきの厚さを測定した。次いで、電気銅めっきの厚さを測定するために、R−44電解液(電測社製)をガスケット内に注入し、電気銅めっきの厚さを測定した。
【0041】
(ソリ)
めっき加工されたプラスチックシャーシを平滑な標準台に放置し、目視観察によってソリの有無を確認し、下記の基準にて評価した。
◎:ソリ無し。
○:若干ソリ発生。
△:ソリ発生。
×:大きなソリ発生。
【0042】
(寸法精度)
めっき加工されたプラスチックシャーシのボス部(内径φ4mm、肉厚1mm)に金属ナット(外径φ4mm)を圧入し、目視観察によってボス部のめっき層の割れの有無を確認し、下記の基準にて評価した。
◎:割れ発生無し。
○:一部に小さな割れ発生。
△:割れ発生。
×:プラスチック面まで割れ発生。
【0043】
(ヒートサイクル性)
めっき加工されたプラスチックシャーシについて、下記のヒートサイクル条件で試験し、目視観察によってめっき層の膨れの有無を確認し、下記の基準にて評価した。
○:膨れなし。
○△:接点部に微小クラック。
△:ゲート近傍に微小膨れ。
×:ゲート部より膨れ。
「ヒートサイクル条件」
−30℃×1時間→23℃×15分→80℃×1時間→23℃×1時間を1サイクルとして、5サイクルを1セットとし、3セット実施した。
【0044】
<プラスチック、充填剤強化プラスチック>
実施例および比較例にて用いたプラスチック、充填剤強化プラスチック(以下、材料と記す。)は、下記の通りである。
【0045】
【表1】
【0046】
表中の略号は、下記の意味を表す。
PC:ポリカーボネート、
ASA:アクリロニトリル−スチレン−アクリレート樹脂、
PPA:ポリフタルアミド、
MXD6:ナイロンMXD6、
PPE:ポリフェニレンエーテル、
GF:ガラス繊維、
CF:炭素繊維。
【0047】
<めっき加工>
実施例および比較例におけるめっき層の構成および合計の厚さを表2に示す。また、材料ごとのめっき加工の条件を、めっき加工1、2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
(めっき加工1)
対象となる材料:材料A〜E、H。
【0050】
無電解ニッケルめっき:
〔1〕脱脂(68℃ ×5分)、処理液:荏原ユージライ社製、ENILEX WE。
〔2〕水洗。
〔3〕プリエッチング(40℃×5分)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX PE−300A,B。
〔4〕水洗。
〔5〕エッチング(68℃ ×10分)、処理液:クロム酸400g/L、硫酸200cc/L。
〔6〕回収。
〔7〕水洗。
〔8〕中和(常温×1分)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX RD。
〔9〕水洗。
〔10〕特殊中和(常温×2分)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX NW。
〔11〕水洗。
〔12〕プリディップ(常温×1分)、処理液:35質量%塩酸100cc/L。
〔13〕触媒化処理(30℃×4分)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX CT−580。
〔14〕水洗。
〔15〕活性化処理(40℃×3分)、処理液:35質量%塩酸100cc/L。
〔16〕水洗。
〔17〕無電解ニッケルめっき(40℃×5分、目標厚さ0.5μm)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX NI−100。
〔18〕水洗。
【0051】
厚付け無電解ニッケルめっき:
〔1〕脱脂(68℃ ×5分)、処理液:荏原ユージライ社製、ENILEX WE。
〔2〕水洗。
〔3〕プリエッチング(40℃×5分)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX PE−300A,B。
〔4〕水洗。
〔5〕エッチング(68℃ ×10分)、処理液:クロム酸400g/L、硫酸200cc/L。
〔6〕回収。
〔7〕水洗。
〔8〕中和(常温×1分)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX RD。
〔9〕水洗。
〔10〕特殊中和(常温×2分)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX NW。
〔11〕水洗。
〔12〕プリディップ(常温×1分)、処理液:35質量%塩酸100cc/L。
〔13〕触媒化処理(30℃×4分)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX CT−580。
〔14〕水洗。
〔15〕活性化処理(40℃×3分)、処理液:35質量%塩酸100cc/L。
〔16〕水洗。
〔17〕厚付け無電解ニッケルめっき(90℃×60分、目標厚さ20μmの場合)、処理液:荏原ユージライト社製、ENIPAC MM。
〔18〕水洗。
【0052】
電気めっき:
〔1〕硫酸銅めっき(25℃×4A/dm
2×20分、目標厚さ20μmの場合)、処理液:硫酸銅200g/L、硫酸60g/L、光沢剤 適量。
〔2〕光沢ニッケルめっき(55℃×3.5A/dm
2×30分、目標厚さ20μmの場合)、処理液:硫酸ニッケル300g/L、塩化ニッケル50g/L、ホウ酸40g/L、光沢剤 適量。
〔3〕クロムめっき(45℃×30A/dm
2×2分、目標厚さ0.5μm)、処理液:無水クロム酸200g/L、硫酸2g/L、添加剤 適量。
【0053】
(めっき加工2)
対象となる材料:材料F、G。
【0054】
無電解ニッケルめっき:
〔1〕脱脂(68℃ ×5分)、処理液:荏原ユージライ社製、ENILEX WE。
〔2〕水洗。
〔3〕エッチング(35℃×7分)、処理液:35質量%塩酸220cc/L、TNエッチャント200cc/L。
〔4〕ポストエッチング(25℃ ×2分)、処理液:35質量%塩酸60cc/L。
〔5〕水洗。
〔6〕触媒化処理(25℃×3分)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX CT−580。
〔7〕水洗。
〔8〕アクセレータ(40℃×3分)、処理液:98%硫酸50cc/L。
〔9〕水洗。
〔10〕ポストアクセレータ(40℃×2分)、処理液:水酸化ナトリウム20g/L。
〔11〕水洗。
〔12〕無電解ニッケルめっき(40℃×5分、目標厚さ0.5μm)、処理液:荏原ユージライト社製、ENILEX NI−100。
〔13〕水洗。
【0055】
電気めっき:
〔1〕硫酸銅めっき(25℃×4A/dm
2×20分、目標厚さ20μmの場合)、処理液:硫酸銅200g/L、硫酸60g/L、光沢剤 適量。
〔2〕光沢ニッケルめっき(55℃×3.5A/dm
2×30分、目標厚さ20μmの場合)、処理液:硫酸ニッケル300g/L、塩化ニッケル50g/L、ホウ酸40g/L、光沢剤 適量。
〔3〕クロムめっき(45℃×30A/dm
2×2分、目標厚さ0.5μm)、処理液:無水クロム酸200g/L、硫酸2g/L、添加剤 適量。
【0056】
〔
比較例
6〕
(充填剤強化プラスチックの曲げ弾性率)
射出成形機を用いて、材料Fを12.5mm×127mm×4mm厚の試験片に成形し
た。該試験片について曲げ弾性率の測定を行った。結果を表3に示す。
【0057】
(めっき加工試験片の曲げ弾性率)
射出成形機を用いて、材料Fを12.5mm×127mm×1mm厚の試験片に成形し、表2に示す構成、目標合計厚さaにて、めっき層を形成し、めっき加工試験片を得た。該めっき加工試験片について曲げ弾性率の測定を行った。結果を表3に示す。
【0058】
(めっき加工されたプラスチックシャーシ)
射出成形機を用いて、材料Fを80mm×125mm×1.5mm厚のプラスチックシャーシ本体(モバイル機器用内部シャーシ試験片)に成形し、表2に示す構成、目標合計厚さaにて、めっき層を形成し、めっき加工されたプラスチックシャーシを得た。該めっき加工されたプラスチックシャーシについてめっき層の厚さを測定し、ソリ、寸法精度およびヒートサイクル性を評価した。結果を表3に示す。
【0059】
〔実施例
5、9,10、12〜
21、比較例1〜
17〕
材料Fを表3、4に示す材料に変更し、めっき層の構成、目標合計厚さaを表3、4に
示す構成、目標合計厚さに変更した以外は、
比較例
6と同様にして試験片、めっき加工試
験片およびめっき加工されたプラスチックシャーシを得た。結果を表3、4に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
〔考察〕
実施例
5、9,10、12〜
21のめっき加工されたプラスチックシャーシは、曲げ弾性率が
30,200MPa以上の高い剛性が確保されている上に、ソリ、寸法精度、ヒートサイクル性等のめっき特性が優れている。
これに対し、めっき層が薄い比較例1〜3は、曲げ弾性率が25,000MPa以下で剛性が不十分であった。材料の剛性が4,000MPa未満の比較例4、5のめっき加工されたプラスチックシャーシは、曲げ弾性率が25,000MPa以上で剛性は確保されているが、めっき特性が大幅に劣る。