(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
座部と、背凭れ部と、これら座部および背凭れ部を幅方向両側から支持する脚部とを備え、前記背凭れ部の基部が前記脚部に枢支されて、前記背凭れ部の端部が上側に配置される使用位置と、前記背凭れ部の端部が前側に配置される倒伏位置との間で、前記背凭れ部が揺動可能な椅子において、
前記背凭れ部を前記使用位置から前記倒伏位置へ揺動させる際に、前記背凭れ部を揺動させる作動抵抗を弾性部材の弾性変形によって増加させる作動抵抗増加機構を備え、
前記作動抵抗増加機構は、
前記脚部および前記背凭れ部の何れか一方に設けられた突起部材と、
前記脚部および前記背凭れ部の何れか他方に設けられ、前記背凭れ部の揺動に伴って前記突起部材に対して相対回転可能であり、前記突起部材を外側から押圧可能な押圧曲面を有する押圧部材とを備え、
前記押圧部材の前記押圧曲面および前記突起部材の外面の少なくとも一方に弾性部材を備えることを特徴とする椅子。
前記押圧部材は、前記背凭れ部が前記使用位置にある場合に前記突起部材が当接する第一当接部と、前記背凭れ部が前記倒伏位置にある場合に前記突起部材が当接する第二当接部とを備え、前記第一当接部と前記第二当接部との間に、所定長さの前記押圧曲面を備える請求項1または2に記載の椅子。
前記押圧部材の前記押圧曲面は、前記倒伏位置に向かって前記弾性部材の弾性変形を漸次増加させるように、相対回転中心からの径方向寸法が変化する第一曲面を有する請求項1から3の何れか一項に記載の椅子。
【背景技術】
【0002】
講堂や劇場等で使用される椅子にあっては、例えば、ステージ下の収納空間へ収納する場合や、カメラやミキサー等の機材等を載置する場合などに、背凭れを前方に倒伏可能なものが知られている。このような講堂や劇場等で使用される椅子は、一般に、前後方向や左右方向に複数並べて設けられることが多い。
【0003】
特許文献1,2には、背凭れを前方に倒伏可能とする椅子について、背凭れ部と側板部との一方にロックピン、他方に引っ掛け部を設け、背凭れ部を上方へ持ち上げてロックピンを引っ掛け部から外し、前方へ揺動操作することによって、ピボット回りに背凭れ部が回動して座部上に倒れる機構が記載されている。
【0004】
特許文献3には、上記のように背凭れ部を座部上に倒せるものにおいて、着座者が誤って背凭れ部を倒さないように、引っ掛け部の側面からゴム状弾性体製のストッパー部材を突出させて、ロックピンを引っ掛け部から外す際に、ロックピンによってストッパー部材を弾性変形させることで、背凭れ部を上方へ持ち上げる際に抵抗となるようにした機構が記載されている。
【0005】
特許文献4には、左右脚柱の間に連結杵を設け、この連結杵と背凭れ部とを係脱可能にするロック手段を設け、背凭れ部を揺動操作する前に、ロック手段による係合を解除するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1から4に記載された椅子は、例えば、倒伏操作中に作業者の手が誤って背凭れ部から離れた場合、背凭れ部の自重によって前方へ勢い良く倒れてしまうという課題がある。
また、ガスダンパーなどの減衰機構を用いて、そのストロークエンドに向かって減衰力を増加させて背凭れ部が前方に倒れるほど、倒伏速度を低下させる方法も考えられるが、着座スペースと減衰機構の設置スペースとを両方共確保しようとした場合、椅子が大型化して、劇場などに設置可能な座席数が低下してしまう。また、減衰機構を設けた場合には、部品点数が増加して組立て工数が増加してしまうため、組立て作業者の負担が増加してしまう。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大型化するのを防止しつつ、部品点数を低減して組立て作業者の負担軽減を図り、さらには、背凭れ部の作動抵抗を増加させて背凭れ部が勢い良く前方へ倒伏するのを防止することができる椅子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用する。
本発明に係る椅子は、座部と、背凭れ部と、これら座部および背凭れ部を幅方向両側から支持する脚部とを備え、前記背凭れ部の基部が前記脚部に枢支されて、前記背凭れ部の端部が上側に配置される使用位置と、前記背凭れ部の端部が前側に配置される倒伏位置との間で、前記背凭れ部が揺動可能な椅子において、前記背凭れ部を前記使用位置から前記倒伏位置へ揺動させる際に、前記背凭れ部を揺動させる作動抵抗を弾性部材の弾性変形によって増加させる作動抵抗増加機構を備え
、前記作動抵抗増加機構は、前記脚部および前記背凭れ部の何れか一方に設けられた突起部材と、前記脚部および前記背凭れ部の何れか他方に設けられ、前記背凭れ部の揺動に伴って前記突起部材に対して相対回転可能であり、前記突起部材を外側から押圧可能な押圧曲面を有する押圧部材とを備え、前記押圧部材の前記押圧曲面および前記突起部材の外面の少なくとも一方に弾性部材を備えることを特徴としている。
このように構成することで、弾性部材の弾性変形による単純な機構によって、背凭れ部を使用位置から倒伏位置へと揺動させる際の、作動抵抗を増加させることが可能となる。
すなわち、背凭れ部が使用位置から倒伏位置へと揺動する際に、突起部材に対して押圧部材が相対回転して、押圧部材の押圧曲面と突起部材とが接触し、押圧部材と突起部材とが相互に押圧される状態となる。そして、この押圧により突起部材の弾性部材が弾性変形して、この弾性部材の弾性変形の反力により背凭れ部の作動抵抗を増加させることができる。
【0009】
さらに、本発明に係る椅子は、上記椅子において、前記作動抵抗増加機構は、前記背凭れ部を前記使用位置から前記倒伏位置へと揺動させる揺動後期に、前記作動抵抗を増加させるようにしてもよい。
このように構成することで、重力加速度により背凭れ部の揺動速度が増加してしまう揺動後期に、背凭れ部の作動抵抗を増加することができるため、倒伏操作中に誤って背凭れ部から操作手を離してしまった場合であっても、揺動後期には背凭れ部の揺動速度を確実に低下させることができる。
【0011】
さらに、本発明に係る椅子は、上記椅子において、前記押圧部材は、前記背凭れ部が前記使用位置にある場合に前記突起部材が当接する第一当接部と、前記背凭れ部が前記倒伏位置にある場合に前記突起部材が当接する第二当接部とを備え、前記第一当接部と前記第二当接部との間に、所定長さの前記押圧曲面を備えるようにしてもよい
このように構成することで、突起部材が、第一当接部に当接している使用位置から第二当接部に当接する倒伏位置まで変位する際に、押圧曲面の長さに応じた揺動角度だけ、背凭れ部の作動抵抗を増加させることができる。
【0012】
さらに、本発明に係る椅子は、上記椅子において、前記押圧部材の前記押圧曲面が、前記倒伏位置に向かって前記弾性部材の弾性変形を漸次増加させるように、相対回転中心からの径方向寸法が変化する第一曲面を有するようにしてもよい。
このように構成することで、背凭れ部が倒れるにつれて徐々に作動抵抗を増加させて、意図しない背凭れ部の倒伏時に揺動速度を緩やかに減速させることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る椅子は、上記椅子において、前記押圧曲面は、前記背凭れ部を揺動させる枢軸を中心にした円弧状に形成される第二曲面を有するようにしてもよい。
このように構成することで、押圧曲面と突起部材とにより弾性部材を略一定に弾性変形させて、略一定の作動抵抗を得ることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る椅子は、上記椅子において、
前記押圧曲面は、前記背凭れ部を揺動させる枢軸を中心にした円弧状に形成される第二曲面を有し、前記第二曲面と前記第二当接部とは略垂直に配置され、前記突起部材が前記第二当接部に当接している状態のときに、前記第二曲面が前記突起部材を押圧するようにしてもよい。
このように構成することで、倒伏位置において、突起部が略垂直に配置された第二曲面と第二当接部との両方に接触した状態となり、第二当接部による倒伏方向への変位が規制されると共に第二曲面による突起部の押圧が維持されるため、とりわけ、背凭れ部を倒伏位置とした状態で椅子を移動させるような場合に、背凭れ部がガタつくのを防止できる。
【0015】
さらに、本発明に係る椅子は、上記椅子において、前記背凭れ部が前記使用位置のときに、前記背凭れ部と前記脚部とを係脱可能に固定する固定機構を有するようにしてもよい。
このように構成することで、背凭れ部の使用位置から倒伏位置側への意図しない揺動を防止することができるとともに、背凭れ部を使用位置から倒伏位置へと揺動させたい場合には、容易に固定状態を解除することができる。さらに、背凭れ部が使用位置とされ、利用者が着座して背凭れ部に寄りかかった場合に、背凭れ部へ加わる荷重を固定機構で受けることができるため、着座した利用者の荷重が突起部材にのみ加わる場合と比較して、突起部材へ加わる荷重を軽減して、突起部材の磨耗を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る椅子によれば、部品点数の増加を抑制しつつ背凭れ部を使用位置から倒伏位置へ揺動する際の作動抵抗を増加できるため、組立て作業者の負担軽減や大型化を抑制しつつ、背凭れ部が勢い良く前方へ倒伏するのを防止することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、この発明の実施形態における椅子について図面を参照して説明する。
図1は、この実施形態に係る椅子1を示している。この椅子1は、講堂や劇場などで使用される連結タイプの椅子であって、座部2と背凭れ部3とをそれぞれ備えている。また、椅子1は、座部2と背凭れ部3とを幅方向両側から支持する脚部4を備えている。これら脚部4は、フロアFにアンカボルト等によって固定可能とされ、脚部4の上部には、前後方向に延びる肘掛部4aが設けられている。この実施形態における脚部4は、上方に向かうほど前後方向にやや幅広に形成されている。
【0019】
座部2は、クッション部5と、クッション部5を支えるフレーム部6とを備え、利用者の着席時に後部となるフレーム部6における基部7側が、脚部4に対して揺動可能に枢支されている。より具体的には、座部2のフレーム部6は、脚部4の上下方向の略中央位置のやや後部に枢支され、座部2の基部7とは反対側の端部8が前側に配置される使用位置と、端部8が上側に跳ね上がった状態となる跳ね上がり位置(
図1中、左側の座部2参照)との間で揺動可能とされている。座部2は、使用位置においては、その上面であるクッション部5の座面9が略水平方向に延在される状態となる一方で、跳ね上がり位置においては、座面9がフロアFに対して略鉛直方向に延在される状態とされる。
【0020】
背凭れ部3は、背受けクッション部10と、この背受けクッション部10が取り付けられる略板状のベース部11とを備えている。このベース部11は、ブラケット12を介して脚部4に対して揺動可能に枢支されている。
【0021】
図6を併せて参照し、ブラケット12は、ベース部11の前面11a(
図1参照)にビス等を介して固定される略長方形板状の固定部13と、この固定部13の脚部4側すなわち、背凭れ部3の幅方向外側にて屈曲されて、脚部4の内側面に沿って前方に延びる略板状の前延部14とを備えている。一方で、脚部4の内側面4bには、椅子1の幅方向内側に向かって突設された枢軸15が設けられ、この枢軸15と対向する上記ブラケット12の前延部14には、枢軸15よりも僅かに大径な貫通孔16が形成されている。そして、貫通孔16には、枢軸15が没入されている。
【0022】
これにより、背凭れ部3は、
図2〜
図5に示すように、端部3aが上側に配置される使用位置(
図1参照)と、端部3aが前側に配置される倒伏位置(
図5参照)との間で揺動可能となっている。なお、ブラケット12は、ベース部11に背受けクッション部10が取り付けられた状態では、背受けクッション部10に覆われて外部に露出しないようになっている。
【0023】
図6に示すように、上述した椅子1には、背凭れ部3を使用位置から倒伏位置へ揺動させる際に、背凭れ部3を揺動させる作動抵抗を弾性部材の弾性変形によって増加させる作動抵抗増加機構20を有している。作動抵抗増加機構20は、脚部4の内側面4bから椅子1の幅方向内側に向かって突設された略円柱状の突起部材21と、該突起部材21を径方向外側から押圧可能な押圧部材である上記ブラケット12の前延部14とにより構成されている。
【0024】
突起部材21は、枢軸15の下方のやや前方に配置され、椅子1の幅方向を向く略円柱状の軸部22と、この軸部22の外周に取り付けられたゴム等の弾性材からなる略円管状の弾性部材23とを備えている。弾性部材23の内径は、軸部22の外径よりも僅かに大径に形成されており、軸部22の周方向に回転自在な状態で取り付けられている。ここで、軸部22と弾性部材23との間には、グリス等の潤滑剤を塗布することが好まく、また、軸部22には、弾性部材23の上下方向への変位を防止するフランジ部(図示せず)を設けるのが好ましい。なお、
図6中、符号「O」は、軸部22の軸線を示している。
【0025】
背凭れ部3が使用位置のときに前側となる前延部14の縁部24には、上下方向の下部に、固定部13の固定面と略平行に形成された第一当接部26が形成されている。この第一当接部26の上側には凹状の曲面29を介して、固定部13から離間する方向に延びる傾斜面30が連続的に形成されている。さらに、この傾斜面30の上側には、枢軸15から離間する方向に凸となる弧状の押圧曲面25が連なって形成されおり、この押圧曲面25の上側には、凹状の曲面31を介して上記傾斜面30と同方向に傾斜する平面を有した第二当接部27が連なって形成されている。つまり、第一当接部26と第二当接部27との間に、押圧曲面25が形成されている。
【0026】
上記前延部14は、背凭れ部3の揺動に伴って、背凭れ部3と共に枢軸15回りに回動され、固定側である脚部4に突設された突起部材21に対して相対回転する。
そして、押圧曲面25の弧の長さは、背凭れ部3の揺動角度の全範囲のうち、背凭れ部3の作動抵抗を増加させる揺動後期である角度θ1の範囲に対応する所定長さに設定されている。
【0027】
図7,
図8を併せて参照し、背凭れ部3が使用位置にある場合、突起部材21は、第一当接部26(
図6参照)に当接した状態となり、背凭れ部3が後方へ揺動するのを規制する。一方で、背凭れ部3が倒伏位置にある場合、第二当接部27(
図8参照)に突起部材21が当接した状態となり、背凭れ部3が前方へ揺動するのを規制する。
【0028】
上述した曲面29および傾斜面30は、枢軸15を回転中心として相対回転する突起部材21の回動軌跡(
図6中、中心軌跡を一点鎖線で示す)のうち、最も径方向内側の回動軌跡(
図6中、二点鎖線で示す)よりも径方向内側に配置されている。即ち、背凭れ部3が使用位置(
図6参照)から倒伏位置(
図8参照)まで揺動される間に、これら曲面29および傾斜面30と突起部材21とは接触しない。
【0029】
押圧曲面25は、枢軸中心a1からの距離が傾斜面30側から漸次長くなるように変化して形成される第一曲面25aと、この第一曲面25aよりも第二当接部27側で枢軸中心a1から半径rの円弧状に形成される第二曲面25bとを備えている。枢軸中心a1からの距離が漸次長くなるように第一曲面25aが形成されることで、倒伏位置に向かって弾性部材23の弾性変形が漸次増加するようになっている。
【0030】
第二曲面25bは、上述した曲面31に連なって形成されており、曲面31と交わる直前の第二曲面25bと第二当接部27とは、略垂直に配置されている。また、上記曲面31は、突起部材21よりも曲率半径が小さく設定されている。これにより、突起部材21が第二当接部27に当接しているときには、同時に第二曲面25にも接触した状態となる。
【0031】
押圧曲面25は、第一当接部26から所定角度θ2の位置から第二当接部27側に形成され、上記内側回動軌跡よりも径方向外側に形成されている。第二曲面25bは、上記径方向内側の回動軌跡よりも、所望の弾性部材23の弾性変形量に応じた所定半径r1だけ径方向外側に形成されている。この所定半径r1が大きくなるほど背凭れ部3を揺動させる際の作動抵抗が増大する。
【0032】
ここで、上述した椅子1には、2つの脚部4の後部間に亘って、略水平方向に延びる補強部材(図示せず)が設けられている。背凭れ部3が使用位置にある場合に背凭れ部3の揺動を規制するべく、上記補強部材と背凭れ部3の基部3b(
図5参照)とには、これら背凭れ部3の基部3bと補強部材とを係脱可能に固定する固定機構(図示せず)が設けられている。なお、固定機構としては、特開2009−240336号公報に記載された係脱機構などを適用することができる。この固定機構を設けることで、使用位置から倒伏位置側への背凭れ部3の意図しない揺動を防止することができるとともに、背凭れ部3を使用位置から倒伏位置へと揺動させたい場合には、容易に固定状態を解除することができる。また、背凭れ部3が使用位置とされ、利用者が着座して背凭れ部3に寄りかかった場合に、背凭れ部3へ加わる荷重を上記固定機構で受けることができるため、着座した利用者の荷重が突起部材21にのみ加わる場合と比較して、突起部材21へ加わる荷重を軽減して突起部材21の磨耗を防止することが可能となる。
【0033】
なお、上述した実施形態の椅子1においては、フロアFにアンカボルト等によって固定可能な脚部4を備える一例を説明したが、この構成に限られず、例えば、講堂や劇場等のステージ下に設けられた収納空間への収納を容易に行えるように、脚部に対して移動不能状態と移動可能状態とが切替可能なキャスタを設けるようにしてもよい。この種のキャスタの一例としては、例えば、実開平3−25643号公報に記載されたキャスタが挙げられる。また、移動不能状態と移動可能状態とが切替可能なキャスタを備えつつ、アンカボルト等によって固定可能な脚部を備えるようにしてもよい。
【0034】
次に、上述した椅子1における背凭れ部3の倒伏操作時の作用について図面を参照しながら説明する。
まず、
図1に示すように、背凭れ部3が使用位置にある状態で、上述した係脱機構による背凭れ部3と脚部4との固定を解除する。
次に、
図2に示すように、背凭れ部3の端部3aを前方側に押して、背凭れ部3の倒伏位置側への揺動を開始する。この際、突起部材21は、ブラケット12の前延部14に接触していないため、背凭れ部3を揺動させる際の作動抵抗は、枢軸15と貫通孔16との摺動による抵抗分と略同一となり、自重により揺動可能な程度の小さな作動抵抗となっている。
【0035】
そして、
図3に示すように、更に背凭れ部3を倒伏位置側へ揺動させると、使用位置から倒伏位置までの全揺動範囲のうち、中間位置よりも後半(後期)で、突起部材21が押圧曲面25に当接する。
【0036】
次いで、
図4に示すように、背凭れ部3を更に倒伏位置側へ揺動させると、押圧曲面25が突起部材21の外周の弾性部材23を押圧する(
図7参照)。そして、押圧曲面25に押圧された突起部材21は、押圧された部分の弾性部材23が圧縮変形(弾性変形)し、この圧縮変形された弾性部材23が回転しながら押圧曲面25上を倣うように移動する。このように弾性部材23が弾性的に圧縮変形することで、押圧曲面25および突起部材21に対して、互いに離間する方向の圧縮反力が作用して、軸部22と弾性部材23との間の摺動抵抗が増加し、背凭れ部3を揺動操作させる際の上記作動抵抗が増加する。
【0037】
更に、
図5のように、水平位置よりも端部3aが下方となる位置まで背凭れ部3を揺動させると、突起部材21が第二当接部27に突き当たり(
図8参照)、それ以上端部3aが下方を向く方向への背凭れ部3の揺動が規制される。ここで、突起部材21は、突起部材21が第二当接部27に突き当たっている状態において、押圧曲面25に押圧された状態を維持しており、背凭れ部3の作動抵抗が増加した状態となっている。なお、背凭れ部3が使用位置から倒伏位置まで揺動する場合について説明したが、倒伏位置から使用位置まで揺動する場合については揺動方向が反対方向になるだけであるため詳細説明を省略する。
【0038】
したがって、上述した実施形態の椅子1によれば、弾性部材23の弾性変形を利用した単純な機構によって、背凭れ部3を使用位置から倒伏位置へと揺動させる際の作動抵抗を増加させることが可能となる。そのため、大型化するのを抑制しつつ、部品点数を低減して組立て作業者の負担軽減を図り、さらには、背凭れ部3の作動抵抗を増加させて背凭れ部3が勢い良く前方へ倒伏するのを防止することが可能となる。
【0039】
さらに、重力加速度により揺動速度が増加してしまう背凭れ部3の揺動後期に、背凭れ部3の作動抵抗を増加することができるため、倒伏操作中に誤って背凭れ部3から操作手を離してしまった場合であっても、揺動後期には背凭れ部の揺動速度を確実に低下させることができ、その結果、背凭れ部3が勢い良く前方へ倒伏するのを防止することができる。その一方で、重力加速度による揺動速度の増加が比較的小さい揺動前期においては、傾斜面30が突起部材21の回動軌跡よりも径方向内側に配置されて、ブラケット12と突起部材21とが接触しないため、作動抵抗を増加させずに通常速度で背凭れ部3を揺動させることができる。その結果、揺動前期において背凭れ部3を素早く揺動させることができ、背凭れ部3の倒伏作業に係る作業効率が損なわれるのを防止できる。とりわけ、講堂や劇場など所定空間内に多数の椅子1が配設されている場合、背凭れ3の倒伏作業に係る作業時間の大幅な短縮化を図ることが可能となる。
【0040】
さらに、背凭れ部3が使用位置から倒伏位置へと揺動する際に、突起部材21に対して前延部14が相対回転して、前延部14の押圧曲面25と突起部材21とが接触し、押圧曲面25と突起部材21とが相互に押圧される状態となる。そして、この押圧により突起部材21の外面に設けられた弾性部材23が弾性変形して、この弾性部材23の弾性変形の反力により突起部材21と押圧曲面25との摩擦力が増加するため、背凭れ部3の作動抵抗を増加させることができる。
【0041】
さらに、突起部材21が、第一当接部26に当接している使用位置から第二当接部27に当接する倒伏位置まで変位する際に、押圧曲面25の長さに応じた揺動角度だけ、背凭れ部3の作動抵抗を増加させることができる。
【0042】
さらに、揺動後期ほど弾性部材23の弾性変形を増加させるように、枢軸中心a1である相対回転中心からの径方向寸法が変化する第一曲面25aを有することで、背凭れ部3の作動抵抗を徐々に増加させて、揺動速度を緩やかに減速させることができるため、揺動減速が急減速することにより背凭れ部3への付加が増加するのを防止することができる。
【0043】
さらに、押圧曲面25が、背凭れ部3を揺動させる枢軸中心a1から半径rの円弧状に形成される第二曲面25bを有することで、第二曲面25bに突起部材21が接触している間、略一定の押圧力で弾性部材23を弾性変形させることができるため、略一定の作動抵抗を付与して、揺動操作する際に背凭れ部3が勢い良く倒れ込むのを防止しつつ、揺動操作時の操作フィーリングを向上できる。
【0044】
さらに、倒伏位置において、突起部材21が略垂直に配置された第二曲面25bと第二当接部27との両方に接触した状態となり、第二当接部27による倒伏方向への変位が規制されると同時に第二曲面25bによる突起部材21の押圧が維持されるため、とりわけ、背凭れ部3を倒伏位置とした状態で椅子1を移動させるような場合には、背凭れ部3がガタつくのを防止できる。
【0045】
さらに、枢軸15に係合されるブラケット12の前延部14を有効利用して、背凭れ部3の作動抵抗を増加させることができるため、部品点数の増加を抑制できる。また、前延部14が脚部4の内側面に沿う略板状に形成されているため、背凭れ部3の作動抵抗を増加させる機構を追加しつつ、椅子1の幅方向寸法が増加するのを抑制することが可能となる。
【0046】
なお、この発明は上述した実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した実施形態における椅子1の場合、突起部材21を脚部4に設けて、前延部14を備えるブラケット12を背凭れ部3に設ける場合を一例に説明したが、この構成に限られず、例えば、
図9に示すように、突起部材21を有するブラケット12を背凭れ部3に設けて、前延部14を備える押圧部材を脚部4に設けるようにしてもよい。なお、
図9においては、突起部材21と前延部14との配置が上述した実施形態と異なるだけであるため、上述した実施形態と同一部分に同一符号を付している。
【0047】
さらに、上述した実施形態の椅子1においては、突起部材21の外面に弾性部材23を設ける場合について説明したが、例えば、押圧曲面25の外面に弾性部材23を設けるようにしてもよい。また、突起部材21および押圧曲面25の外面に限られず、軸部22の軸部に弾性部材を設けて、当該軸部が枢軸15の径方向に弾性的に撓むにようにして、この撓みの反力によって突起部材21と押圧曲面25とが相互に押圧されるようにしてもよい。
【0048】
また、突起部材21の軸部22に弾性部材23を回転自在に装着する場合について説明したが、軸部22に対して弾性部材23を固定して回転不能に取り付けるようにしてもよい。さらに、弾性部材23を軸部22に回転不能に取り付けた場合、軸部22を回転自在に取り付けるようにしてもよい。この場合も、弾性部材23が押圧曲面25に押圧されて背凭れ部3の作動抵抗が増加することとなる。