【実施例】
【0044】
以下、実施例に係
るガスセンサ、排ガス浄化装置について、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。
【0045】
(実施例1)
実施例1に係
るガスセンサ、排ガス浄化装置について、
図1〜
図5を用いて説明する。
図1〜図
4に示すように、本例の
ガスセンサ7において、ガスセンサ素子1Aは、酸化物イオン伝導性の固体電解質体2と、固体電解質体2の一方面に設けられ、被測定ガスを接触させるための被測定ガス側電極3と、固体電解質体2の他方面に設けられ、基準ガスを接触させるための基準ガス側電極4とを有している。
図3に示すように、少なくとも被測定ガス側電極3は、PtまたはPt合金(Pt等)5とBa化合物6とを含有しており、PtまたはPt合金(Pt等)5とBa化合物6とが直接接触している。
【0046】
以下、詳細に説明する
。ガスセンサ素子1Aは
、図4に示すガスセンサ
7に内蔵され、後述する
図5に示す自動車エンジンの排気系に設けられる排ガス浄化装置8に用いられる。
図1、
図2に示すように
、ガスセンサ素子1Aにおいて、固体電解質体2は、一方が閉塞されており、内部に大気を導入して基準ガス室100となる有底円筒状に形成されている(いわゆるコップ型)。固体電解質体3の外側面のうち、固体電解質体3の最先端から基端部側に向かって長さLの範囲が、被測定ガスの接触面とされる。本例
では、固体電解質体2は、ZrO
2セラミックスよりなる。
【0047】
被測定ガス側電極3は、固体電解質体2の外側面に設けられており、基準ガス側電極3は、基準ガス室100と対面する内側面に設けられている。また、被測定ガス側電極3、基準ガス側電極4には、ガスセンサ素子1Aに電圧を印加するため、電気的に導通したリード電極101、端子電極102がそれぞれ接続されている。
図1には、固体電解質体2の外側面において、被測定ガス側電極3に一端が接続するリード電極101と、リード電極101の他端に接続する端子電極102とが記載されている。また、
図2に示すように、被測定ガス側電極3の表面は、多孔質の保護層103で覆われている。この保護層103はアルミナを主成分としており、排ガス中の有害成分のトラップ効果を向上させる等の役割がある。
【0048】
図3に示すように、被測定ガス側電極3は、固体電解質体2に接するPt含有層31と、Pt含有層31に接するBa含有層32とを有している。つまり、被測定ガス側電極3は、固体電解質体2の一方面にPt含有層31、Ba含有層32がこの順に積層された電極構造を有している。Pt含有層31はPtまたはPt合金(Pt等)5より形成されており、Ba含有層32はBa化合物6より形成されている。Pt含有層31におけるPt等5と、Ba含有層42におけるBa化合物6とは、共に粒子状である。そして、Pt含有層31における被測定ガス側表面のPt等5と、Ba含有層32における基準ガス側表面のBa化合物6とが、少なくとも直接接触している。一方、基準ガス側電極4は、粒子状のPtまたはPt合金(Pt等)5より形成されており、Ba化合物6を含有していない。Ba化合物6は、BaSO
4、BaZrO
3、および、Baのスピネル型酸化物から選択される少なくとも1種である。
【0049】
図4に示すように、
本例のガスセンサ7は、ハウジング103と、ハウジング103に挿入されたガスセンサ素子1Aとを有する。ハウジング103の先端側には、ガスセンサ素子1Aの先端部を保護するための二重の被測定ガス側カバー104が設けられており、その内部は被測定ガス室105とされている。ハウジング103の基端側には、二重の大気側カバー106、107が設けられている。
【0050】
また、ガスセンサ素子1Aの基準ガス室100には、棒状のセラミック製のヒータ108が挿入配置されている。ヒータ108は、固体電解質体2の内側面と先端部で接触しており、さらに所望のクリアランスを確保した状態で挿入配置されている。大気側カバー106、107の基端側には、リード線109、110、111を挿入した弾性絶縁部材112が設けられている。リード線109、110によってガスセンサ素子1Aに電圧が印加され、ガスセンサ素子1Aのセンサ出力が外部へ取出される。また、リード線111は、ヒータ108に対し通電し、これを発熱させるためのものである。
【0051】
リード線109、110の先端側には、接続端子113、114が設けてられている。接続端子113、114により、ガスセンサ素子1Aに固定したターミナル115、116との電気的導通が確保される。なお、ターミナル115は、ガスセンサ素子1Aにおける端子電極102に対して接触固定されている。ターミナル116は、ガスセンサ素子1Aにおける端子電極(固体電解質体の内側面、不図示)に対して接触固定されている。
【0052】
次に、本例の排ガス浄化装置8について説明する。
図5に示すように、排ガス浄化装置8は、排ガスを浄化するための触媒81と、ガスセンサ素子1Aを有するガスセンサ7とを含んでいる。そして、触媒81に使用される貴金属の総量は、5.0g/L以下とされている。なお、触媒81は三元触媒であり、ハニカム構造を有するセラミックス製の担体に担持された状態で排気経路に配置されている。
【0053】
排ガス浄化装置8は、具体的には、自動車エンジンEの排気系に設けられている。排ガス浄化装置8は、排ガスを浄化するための触媒81と、触媒81の上流側の排気管82に設けられた上流側の酸素センサ83と、触媒81の下流側の排気管84に設けられた下流側のガスセンサ7とを有している。なお、上記酸素センサ83は、A/Fセンサであり、自動車エンジンEから排出された排気濃度を触媒81の上流側にて測定するために配設されたものである。また、ガスセンサ7は、上述した構成を有している。そして、センサ出力値がある規定値を超えた場合または下回った場合に、センサ出力値が規定値に近づくようにその検出結果を自動車エンジンEの制御部85にフィードバックしている。以下、具体的な実験例を用いて、さらに詳細に説明する。
【0054】
(試料の作製)
図1に示す形状を有するZrO
2系セラミックスよりなるコップ型の固体電解質体を製作した。固体電解質体の厚みは0.1〜3mmである。次いで、固体電解質体の外側面に、ジベンジリデンPtをPt含有量で0.0002質量%含むペーストをパッド印刷により塗布し、印刷部を形成した。なお、印刷部の形状は、
図1に示した被測定ガス側電極、リード電極、端子電極と同形状である。次いで、この印刷部に対し、40℃で熱処理した後、Pt錯体を含むメッキ液を用いて50℃で無電解メッキを施した。これにより、固体電解質体の外側面に、Pt含有層、リード電極、端子電極を形成した。また、上記パッド印刷に代えてディスペンサーを用いた以外は同様にして、固体電解質体の内側面に、基準ガス側電極、リード電極、端子電極を形成した。なお、これらはいずれもPt粒子よりなり、厚みは1.5μm程度である。
【0055】
上記固体電解質体の外側面におけるPt含有層を、1.50wt%の硝酸バリウム水溶液中に浸漬し、真空ポンプで減圧しながら10分間保持した。その後、空気雰囲気中、1000℃にて1時間熱処理し、Baの酸化物(BaO、BaO
2)粒子をPt含有層の表面に析出させた。これにより、Baの酸化物(BaO、BaO
2)粒子よりなり、厚み1μm程度のBa含有層をPt層の表面に形成した。以上により、試料1のガスセンサ素子を得た。
【0056】
上記試料1と同様にして作製したガスセンサ素子を、SO
2:400ppm、O
2:3.2%、N
2:96.76%の気流中、500℃にて1時間熱処理し、Ba含有層におけるBaの酸化物(BaO、BaO
2)を硫酸塩化し、Baの硫酸塩(BaSO
4)粒子とした。これにより、Baの硫酸塩(BaSO
4)粒子よりなり、厚みが1μm程度であるのBa含有層をPt含有層の表面に形成した。以上により、試料2のガスセンサ素子を得た。
【0057】
上記試料1と同様にして作製したガスセンサ素子を、CO
2:10%、O
2:5%、N
2:85%の気流中、600℃にて1時間熱処理し、Ba含有層のBaの酸化物(BaO、BaO
2)を炭酸塩化し、Baの炭酸塩(BaCO
3)粒子とした。これにより、Baの炭酸塩(BaCO
3)粒子よりなり、厚みが1μm程度であるBa含有層をPt層の表面に形成した。以上により、試料3のガスセンサ素子を得た。
【0058】
上記試料1の作製において、上記硝酸バリウム水溶液に代えて、硝酸バリウムおよび硝酸ジルコニウムをモル比が1:1となるように溶かして調製した混合水溶液を用いた以外は同様にして、Baのペロブスカイト型酸化物(BaZrO
3)粒子をPt含有層の表面に析出させた。これにより、Baのペロブスカイト型酸化物(BaZrO
3)粒子よりなり、厚み1μm程度のBa含有層をPt含有層の表面に形成した。以上により、試料4のガスセンサ素子を得た。
【0059】
上記試料1の作製において、上記硫酸バリウム水溶液に代えて、硝酸バリウムおよび硝酸アルミニウムをモル比が1:2となるように溶かして調製した混合水溶液を用いた以外は同様にして、Baのスピネル型酸化物(BaAl
2O
4)粒子をPt含有層の表面に析出させた。これにより、Baのスピネル型酸化物(BaAl
2O
4)粒子よりなり、厚み1μm程度のBa含有層をPt含有層の表面に形成した。以上により、試料5のガスセンサ素子を得た。なお、試料1、試料3のガスセンサ素子は、参考試料のガスセンサ素子である。
【0060】
上記試料1の作製において、固体電解質体の外表面に形成したPt含有層の表面にBa含有層を形成しなかった以外は同様にして、比較試料のガスセンサ素子を作製した。
【0061】
(空気過剰率対センサ出力の特性)
各試料のガスセンサ素子における固体電解質体の内部に加熱用のヒータを取り付け、各評価用ガスセンサを構成した。次いで、各評価用ガスセンサにおけるヒータを、ガスセンサ素子の表面温度が600℃となるように加熱した。この加熱したガスセンサ素子の被測定ガス側電極に対し、N
2とC
3H
8とを、N
2:3000cc/min、C
3H
8:12cc/minという条件にて、ともに流量を固定して供給した。なお、各評価用ガスセンサ素子の基準ガス側電極は、大気解放し、空気を供給した。次いで、各評価用ガスセンサ素子に対し、N
2、C
3H
8およびO
2よりなる混合ガスの空気過剰率λが以下のように変化するよう制御してO
2を供給した。すなわち、リッチ領域(λ=0.4)からリーン領域(λ=1.4)に0.5λずつガス組成が変化するように、O
2の流量を24cc/minから徐々に増加させた。その後、リーン領域(λ=1.4)に空気過剰率λが到達した後、今度は反対に、リーン領域(λ=1.4)からリッチ領域(λ=0.4)に0.5λずつガス組成が変化するように、O
2の流量を徐々に減少させた。そして、その際における、基準ガス側電極と被測定ガス側電極の起電力(V)を連続的に測定した。その測定結果を
図6、
図7に示す。
【0062】
試料1〜試料5のガスセンサ素子の被測定ガス側電極は、
図3に示すように、Pt含有層の外側表面における粒子状のPtと、Ba含有層の内側表面における粒子状のBa化合物とが直接接触している。そのため、
図6、
図7に示すように、各ガスセンサ素子のλ曲線は、リッチ側のセンサ出力が大きく低下することなく、かつ、リッチ側にてセンサ出力が急峻に変化する形状を呈する。これは以下の原理によるものと推察される。
【0063】
すなわち、Ba化合物は、Ptを酸化された状態で安定化する作用を有している。Ba化合物の添加によって酸化された状態で安定化したPtは、金属状態のPtと比較して、パラフィン系炭化水素であるC
3H
8に対する酸化性能を適度に低下させる。そのため、リッチ雰囲気であるにも関わらず、被測定ガス側電極上にてO
2が余り、この余ったO
2を検出することによってセンサ出力が低下する。すなわち、センサ出力が1.0V付近から0.0V付近に急激に変化するλ点が、空気過剰率λ=1よりもリッチ側の領域にシフトする。その一方、リッチ雰囲気においては、上記酸化された状態で安定化したPtが、金属状態のPtへ戻る還元反応が進行する。そのため、Ptが本来有する、C
3H
8に対する酸化性能を発揮するようになる。以上により、試料1〜試料5のガスセンサ素子のλ曲線は、上記形状を呈することができたものと推察される。
【0064】
このように、試料1〜試料5のガスセンサ素子は、リッチ側のセンサ出力を、比較試料のガスセンサ素子とほぼ同等に維持したまま、λ点をリッチ側へシフトさせることができるといえる。
【0065】
さらに、上記実験において、C
3H
8に代えて、CO、H
2を供給した結果を
図8、
図9に示す。なお、評価用ガスセンサには、試料5のガスセンサ素子を有するガスセンサと、比較試料のガスセンサ素子を有するガスセンサとを用いた。
【0066】
本評価において、CO供給時の条件は次のようにした。すなわち、600℃に加熱したガスセンサ素子の被測定ガス側電極に対し、N
2とCOとを、N
2:3000cc/min、CO:60cc/minという条件にて、ともに流量を固定して供給した。なお、各評価用ガスセンサ素子の基準ガス側電極は、大気解放し、空気を供給した。次いで、各評価用ガスセンサ素子に対し、N
2、COおよびO
2よりなる混合ガスの空気過剰率λが以下のように変化するよう制御してO
2を供給した。すなわち、リッチ領域(λ=0.6)からリーン領域(λ=1.4)に0.5λずつガス組成が変化するように、O
2の流量を18cc/minから徐々に増加させた。
【0067】
また、本評価において、H
2供給時の条件は次のようにした。すなわち、600℃に加熱したガスセンサ素子の被測定ガス側電極に対し、N
2とH
2とを、N
2:3000cc/min、H
2:120cc/minという条件にて、ともに流量を固定して供給した。なお、各評価用ガスセンサ素子の基準ガス側電極は、大気解放し、空気を供給した。次いで、各評価用ガスセンサ素子に対し、N
2、H
2およびO
2よりなる混合ガスの空気過剰率λが以下のように変化するよう制御してO
2を供給した。すなわち、リッチ領域(λ=0.5)からリーン領域(λ=2.0)に0.5λずつガス組成が変化するように、O
2の流量を30cc/minから徐々に増加させた。
【0068】
図7に示すように、Ba化合物の添加は、パラフィン系炭化水素に対する酸化反応の抑制に効果がある。これに対し、
図8(CO供給時)、
図9(H
2供給時)に示すように、他のガスについては、Ba化合物の添加の有無によらずλ曲線はほぼ一致している。つまり、Ba化合物の添加は、他のガスの酸化反応にほとんど影響を与えることがないといえる。
【0069】
よって、上記ガスセンサ素子
を有するガスセンサによれば、制御に使用できるセンサ出力範囲が広くなり、NOxの低減に有用なリッチ側の空気過剰率を精度よく検出することができる。
【0070】
さらに、試料1〜試料5の結果を比較すると、以下のことがわかる。すなわち、試料1のガスセンサ素子は、被測定ガス電極にBaの単純酸化物を用いている。そのため、試料1のガスセンサ素子は、酸素が不足するリッチ領域、酸素が過剰なリーン領域において、酸素分圧に依存してBaの状態が変化し、Ptの酸化状態に及ぼす影響が変化する。それ故、
図6に示すように、試料1のガスセンサ素子は、リッチ領域からリーン領域にスイープしながらセンサ出力を評価した場合と、逆に、リーン領域からリッチ領域にスイープしながらセンサ出力を評価した場合とを比較すると、λ曲線にヒステリシスが生じてλ点がずれる傾向があることがわかる。
【0071】
これに対し、試料2〜試料4のガスセンサ素子は、被測定ガス電極にそれぞれ、BaSO
4、BaCO
3、BaZrO
3、BaAl
2O
4を用いている。そのため、
図6、
図7に示すように、試料2〜試料4のガスセンサ素子は、酸素分圧によらずにBaの状態を安定化させることができる。それ故、リッチ領域、リーン領域のいずれの雰囲気中であっても、Baの状態変化が抑制され、Ptの酸化状態に及ぼす影響を低減することができる。その結果、上記λ曲線におけるヒステリシス幅が低減される。特に、BaSO
4を用いた試料2のガスセンサ素子は、その効果が大きく、λ曲線にほとんどヒステリシスが生じないことがわかる。したがって、この場合には、ガス組成だけに依存して一定の空気過剰率を出力することが可能になる。
【0072】
次に、被測定ガス側電極の表面におけるPt原子数に対するBa原子数の比(Ba/Pt値)と0.55Vにおけるλ点のリッチ側へシフト量との関係を調査した。なお、Ba/Pt値は、XPSによる分析装置(ESCALAB250、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)を用いて、被測定ガス側電極の表面を分析することにより求めた。なお、X線源としてはAlのKα線を使用した。また、シフト量の基準点は、比較試料1のλ点である。
【0073】
その結果を
図10に示す。
図10によれば、Ba/Pt値が0.2以上になると、λ点のリッチ側へのシフト量が急激に大きくなることがわかる。これは、Ba/Pt値が0.2以上になると、BaがPtの電子状態に寄与しやすくなるためであると考えられる。
【0074】
次に、担体に担持される貴金属の総重量が種々異なる三元触媒と、試料2のガスセンサ素子を有するガスセンサまたは比較試料のガスセンサ素子を有するガスセンサとを組み合わせた排ガス浄化装置を有する車両を用いて、US06モードを走行した際のNOx排出量を計測し、1マイルあたりの排出重量として算出した。
【0075】
その結果を
図11に示す。
図11によれば、排ガス浄化装置における三元触媒の下流側のガスセンサとして、本例のガスセンサを用いた場合、上記貴金属の総量によらずに全体的にNOx排出量を低減することができるといえる。そしてさらに、上記貴金属の総量が5.0g/L以下になると、NOx排出量の低減効果が大きくなり、特に、3.0g/L以下では、より効果的にNOx排出量を低減できることが確認された。
【0076】
(実施例2)
実施例2に係る
ガスセンサ7が有するガスセンサ素子1Aは、
図12に示すように、被測定ガス側電極3が、Pt等5中にBa化合物6が分散されている構成を有する点で、実施例1に
示されるガスセンサ素子
1Aと異なっている。具体的には、実施例2
では、ガスセンサ素子1Aの被測定ガス側電極3は、粒子状のPt等5の周囲に粒子状のBa化合物6が配置され、Pt等5とBa化合物6とが直接接触している。そして、実施例2に係るガスセンサ7は、
このガスセンサ素子1Aを有している。その他の構成は実施例1と同様である。このように、Pt等5とBa化合物6とが直接接触しておれば、被測定ガス側電極3中にBa化合物6が一部存在する場合であっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0077】
(実施例3)
実施例3に係る
ガスセンサ7が有するガスセンサ素子1Aは、
図13に示すように、被測定ガス側電極3のみならず、基準ガス側電極4も、Pt等5とBa化合物6とが直接接触した構成を有している点で、実施例1に
示されるガスセンサ素子1Aと異なっている。具体的には、実施例3
では、ガスセンサ素子1Aの基準ガス側電極4は、固体電解質体2に接するPt含有層41と、Pt含有層41に接するBa含有層42とを有している。そして、実施例3に係るガスセンサ7は、
このガスセンサ素子1Aを有している。その他の構成は実施例1と同様である。本例の構成によっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0078】
(実施例4)
実施例4に係る
ガスセンサ7が有するガスセンサ素子1Aは、
図14に示すように、被測定ガス側電極3が、Pt等5中にBa化合物6が分散されている構成を有する点、基準ガス側電極4が、Pt等5中にBa化合物6が分散されている構成を有する点で、実施例1に
示されるガスセンサ素子1Aと異なっている。具体的には、実施例4
では、ガスセンサ素子1Aの被測定ガス側電極3は、粒子状のPt等5の周囲に粒子状のBa化合物6が配置され、Pt等5とBa化合物6とが直接接触している。また、基準ガス側電極4は、粒子状のPt等5の周囲に粒子状のBa化合物6が配置され、Pt等5とBa化合物6とが直接接触している。そして、実施例4に係るガスセンサ7は、
このガスセンサ素子1Aを有している。その他の構成は実施例1と同様である。この場合も、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0079】
(実施例5)
実施例5に係る
ガスセンサ7が有するガスセンサ素子1Aは、
図15に示すように、基準ガス側電極4が、Pt等5中にBa化合物6が分散されている構成を有する点で、実施例1に
示されるガスセンサ素子1Aと異なっている。具体的には、実施例5
では、ガスセンサ素子1Aの基準ガス側電極4は、粒子状のPt等5の周囲に粒子状のBa化合物6が配置され、Pt等5とBa化合物6とが直接接触している。そして、実施例5に係るガスセンサ7は、
このガスセンサ素子1Aを有している。その他の構成は実施例1と同様である。この場合も、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0080】
(実施例6)
実施例6に係る
ガスセンサ7が有するガスセンサ素子1Aは、
図16に示すように、被測定ガス側電極3が、Pt等5中にBa化合物6が分散されている構成を有する点、基準ガス側電極4が、固体電解質体2に接するPt含有層41と、Pt含有層41に接するBa含有層42とを有する点で、実施例1に
示されるガスセンサ素子1Aと異なっている。そして、実施例6に係るガスセンサ7は、
このガスセンサ素子1Aを有している。その他の構成は実施例1と同様である。本例の構成によっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0081】
(実施例7)
実施例1〜実施例6では、コップ型のガスセンサ素子1A、このガスセンサ素子1Aを有するガスセンサ7について説明した。これらに対し、
図17に示すように、積層型のガスセンサ素子1Bであっても、少なくとも被測定ガス側電極3の構成を実施例1と同様の電極構造とすることによって、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、実施例7
に係るガスセンサ7が有するガスセンサ素子1Bは、平板型の固体電解質体2の一方面に設けられた被測定ガス側電極3と、平板型の固体電解質体2の他方面に設けられた基準ガス側電極4とを有している。また、基準ガス室117を構成するスペーサ118の背面に一体的に発熱体119を内蔵したヒータ120が設けられている。また、被測定ガス側電極3の表面には、二層構造の第1、第2保護層121、122が設けられている。
【0082】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。