(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記位置情報を前記無線通信インターフェースから無線送信させるとき、前記無線通信インターフェースの信号出力強度を抑制する請求項1に記載の無線通信装置。
前記制御部はさらに、前記無線通信インターフェースが、他の無線通信装置から無線送信された位置情報の取得要求を受信した場合に、前記位置情報を前記無線通信インターフェースから無線送信させる請求項1に記載の無線通信装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、無線通信機能を具備したデジタルカメラは徐々に普及し始めているが、撮影機能及び性能が充実しており、カメラ愛好者が撮影行為及び写真の出来上がりに満足できるようなデジタルカメラへの無線通信機能の普及率は極めて低い。特許文献1の方法では、デジタルカメラがあらかじめ無線通信機能を有している必要があるため、無線通信機能を有していないデジタルカメラは位置情報を取得することができない。
【0008】
また、特許文献1の方法では、位置情報を取得する機器は、周辺の端末を探索し、検出した特定の端末に対して位置情報を要求し、位置情報の通信を行う必要があるため、位置情報取得に関わる処理が複雑である。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、画像データを出力可能なデジタルカメラ等の機器のハードウェア構成を変更することなく、画像データに位置情報を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、位置情報が付与されている画像データを他の機器から入力する有線インターフェースと、無線通信インターフェースと、前記有線インターフェースに入力された前記画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に前記画像データが記憶されたときに、記憶対象となった前記画像データから前記位置情報を抽出し、抽出した前記位置情報を前記無線通信インターフェースから他の無線通信装置に無線送信させる制御部と、を有する無線通信装置である。
【0011】
また、本発明の無線通信装置において、前記画像データにはさらに時刻情報が付与されており、前記制御部は、前記記憶部に前記画像データが記憶されたときに、記憶対象となった前記画像データから前記位置情報と前記時刻情報を抽出し、抽出した前記位置情報と前記時刻情報を前記無線通信インターフェースから無線送信させる。
【0012】
また、本発明の無線通信装置において、前記制御部は、前記位置情報を前記無線通信インターフェースから無線送信させるとき、前記無線通信インターフェースの信号出力強度を抑制する。
【0013】
また、本発明の無線通信装置において、前記制御部はさらに、前記無線通信インターフェースが、他の無線通信装置から無線送信された位置情報の取得要求を受信した場合に、前記位置情報を前記無線通信インターフェースから無線送信させる。
【0014】
また、本発明の無線通信装置において、前記画像データにはさらに時刻情報が付与されており、前記制御部はさらに、前記無線通信インターフェースが、他の無線通信装置から無線送信された、前記時刻情報を含む、位置情報の取得要求を受信した場合に、受信した前記時刻情報と、前記記憶部に記憶されている前記画像データに付与されている前記時刻情報とに基づいて前記画像データを選択し、選択した前記画像データに付与されている前記位置情報を前記無線通信インターフェースから無線送信させる。
【0019】
また、本発明は、上記の
無線通信装置を有するメモリ装置である。
【0020】
また、本発明は、位置情報が付与されている画像データを他の機器から入力する第1の有線インターフェースと、第1の無線通信インターフェースと、前記第1の有線インターフェースに入力された前記画像データを記憶する第1の記憶部と、前記第1の記憶部に前記画像データが記憶されたときに、記憶対象となった前記画像データから前記位置情報を抽出し、抽出した前記位置情報を前記第1の無線通信インターフェースから他の無線通信装置に無線送信させる第1の制御部と、を有する第1の無線通信装置と、画像データを他の機器から入力する第2の有線インターフェースと、前記第1の無線通信装置から前記位置情報を無線受信する第2の無線通信インターフェースと、前記第2の無線通信インターフェースが受信した前記位置情報、及び、前記第2の有線インターフェースに入力された前記画像データを記憶する第2の記憶部と、前記第2の記憶部に前記画像データが記憶されたときに、前記第2の記憶部に記憶されている前記位置情報のいずれかを、前記第2の記憶部に記憶された前記画像データに付与する第2の制御部と、を有する第2の無線通信装置と、を有する無線通信システムである。
【0021】
また、本発明は、位置情報が付与されている画像データを他の機器から有線インターフェースに入力するステップと、前記有線インターフェースに入力された前記画像データを記憶部に記憶させるステップと、前記記憶部に前記画像データが記憶されたときに、記憶対象となった前記画像データから前記位置情報を抽出し、抽出した前記位置情報を無線通信インターフェースから他の無線通信装置に無線送信するステップと、を有する無線通信方法である。
【0023】
また、本発明は、有線インターフェースと、無線通信インターフェースと、記憶部と、を有する無線通信装置のコンピュータに、位置情報が付与されている画像データを他の機器から前記有線インターフェースに入力するステップと、前記有線インターフェースに入力された前記画像データを前記記憶部に記憶させるステップと、前記記憶部に前記画像データが記憶されたときに、記憶対象となった前記画像データから前記位置情報を抽出し、抽出した前記位置情報を前記無線通信インターフェースから他の無線通信装置に無線送信するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、一方の無線通信装置において、位置情報が付与されている画像データが他の機器から入力され、その画像データが記憶されたときに、画像データから位置情報が抽出され、他の無線通信装置に無線送信される。また、他方の無線通信装置において、画像データが他の機器から入力され、その画像データが記憶されたときに、一方の無線通信装置から無線受信されて記憶された位置情報のいずれかがその画像データに付与される。このため、画像データを出力する機器のハードウェア構成を変更することなく、画像データに位置情報を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態の全体構成を示す構成図である。
【
図2】本発明の各実施形態で利用するデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の各実施形態で利用するメモリカードの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態におけるデジタルカメラが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施形態におけるメモリカードが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第1の実施形態におけるメモリカードが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第1の実施形態におけるメモリカードが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第1の実施形態におけるメモリカードが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の第1の実施形態における画像データに位置情報を付与する条件を示す参考図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態における画像データに位置情報を付与する条件を示す参考図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態において位置情報を共有する様子を示す参考図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態において位置情報を共有する様子を示す参考図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態において位置情報を共有する範囲を制限する様子を示す参考図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態におけるメモリカードが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第1の実施形態におけるメモリカードが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の第2の実施形態におけるメモリカードが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図17】本発明の第2の実施形態におけるメモリカードが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図18】本発明の第2の実施形態におけるメモリカードが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の変形例におけるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【
図20】本発明の変形例におけるデジタルカメラが有するデータ記録部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0028】
(実施形態の全体像)
図1は、本発明の実施形態の全体構成を示す。GPS受信機能を具備するデジタルカメラ101と、GPS受信機能を具備していないデジタルカメラ102とがある。デジタルカメラ101には無線通信機能を具備するメモリカード11が装着され、デジタルカメラ102にも同様に無線通信機能を具備するメモリカード12が装着される。
【0029】
メモリカード11、メモリカード12は無線通信機能によりお互いに無線通信することが可能であり、メモリカード11からメモリカード12へ、デジタルカメラ101がGPS受信機能で取得した位置情報が通知される。これらのメモリカード11、メモリカード12は、位置情報を共有するための無線通信システムを構成する。
【0030】
図2は各実施形態で利用するデジタルカメラの構成を示している。デジタルカメラ101とデジタルカメラ102は同一の構成を有しているため、代表してデジタルカメラ101の構成を説明する。
【0031】
デジタルカメラ101は、入力部201、撮像部202、カメラ制御部203、GPS部204、表示部205、ホストI/F部206を具備している。入力部201は、写真撮影指示などユーザからの入力を受け付ける。撮像部202は、被写体を撮影して画像データ(写真データ)を生成する。カメラ制御部203はデジタルカメラ101の内部処理を制御する。GPS部204は、GPS衛星からGPS情報を受信し、デジタルカメラの現在の位置情報を算出する。表示部205は、撮影時のライブビュー映像や撮影結果の静止画像、あるいはユーザへ入力を促すメニューなどを表示する。ホストI/F部206は、画像データを記録するメモリカードとの通信インターフェースである。
【0032】
図3は、各実施形態で利用するメモリカードの構成を示している。メモリカード11とメモリカード12は同一の構成を有しているため、代表してメモリカード11の構成を説明する。
【0033】
メモリカード11は、判定部301、受信データ解析部302、保存データ解析部303、通信制御部304、システム制御部305、メモリ制御部306、メモリI/F部307、RF部308、送信データ生成部309、メモリ部310、DB部311を具備している。
【0034】
受信データ解析部302は、RF部308が受信したデータを解析し必要な情報を抽出する。保存データ解析部303は、メモリ部310に保存されている画像データを解析し、必要な情報を抽出する。判定部301は、受信データ解析部302から得られる情報と、保存データ解析部303から得られる情報とを比較し、メモリ部310に保存されている画像データに対して位置情報を付与するか否かを判定する。
【0035】
通信制御部304はRF部308の通信制御を行う。メモリ制御部306は、メモリ部310及びDB部311へのデータの保存と、メモリ部310及びDB部311からのデータの読み出しとを制御する。メモリI/F部307は、デジタルカメラ101のホストI/F部206と有線接続されてデータ通信を行い、デジタルカメラ101から画像データを入力する有線インターフェースである。RF部308は無線通信を行う無線通信インターフェースである。送信データ生成部309は、RF部308を介して送信する送信データを生成する。メモリ部310は、画像データを記録・保存する。DB部311は、位置情報と時刻情報を関連付けて保持するほか、画像データに位置情報を付与する条件やメモリカード内の各種設定値を保持する。システム制御部305はメモリカード11,12のシステム全体を制御する。
【0036】
メモリI/F部307は本発明における有線インターフェースに対応する。また、通信制御部304及びRF部308は本発明における無線通信インターフェースに対応する。メモリ部310及びDB部311は本発明における記憶部に対応する。また、判定部301、受信データ解析部302、保存データ解析部303、システム制御部305は本発明における制御部に対応する。
【0037】
メモリカード11,12の動作および機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体(メモリ部310)に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを、メモリカード11,12のコンピュータであるシステム制御部305に読み込ませ、実行させることにより、メモリカード11,12の機能が実現される。
【0038】
「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュメモリ等の可搬媒体、コンピュータに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0039】
また、上述したプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータから、伝送媒体を介して、あるいは伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように、情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上述したプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能を、コンピュータに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0040】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。第1の実施形態ではデジタルカメラ101が取得したGPS位置情報をメモリカード11が配信することによって位置情報を共有する方法を説明する。
【0041】
(送信側処理)
図4はデジタルカメラ101が行う処理を示している。デジタルカメラ101はGPS受信機能を具備しており、ここではGPS受信機能を内蔵したデジタルカメラの処理を示している。
【0042】
電源投入後、カメラ制御部203はGPS部204からの情報に基づいて位置情報を取得する(ステップS401,S402)。カメラ制御部203は、入力部201を介して写真撮影の指示を検出すると(ステップS403)、撮像部202に写真撮影を行わせる(ステップS404)。カメラ制御部203は、撮像部202から出力された画像データにEXIF(Exchangeable Image File Format)情報として位置情報と時刻情報(撮影時刻情報)を付与し(ステップS405)、位置情報と時刻情報が付与された画像データを、ホストI/F部206を介してメモリカード11へ書き込む(ステップS406)。デジタルカメラ101は、電源が投入されている限り、位置情報を取得し、写真撮影の度にその位置情報を画像データに付与し、メモリカード11へ書き込む。
【0043】
図5はメモリカード11,12が行う処理を示している。
図5に示す処理は、電源投入後に最初の撮影が行われてメモリカード11,12に画像データが保存されるときに行われる。
【0044】
メモリ制御部306は、メモリI/F部307に画像データが入力され、入力された画像データをメモリ部310に記録すると、保存データ解析部303にデータの解析を指示する。保存データ解析部303は、メモリ部310に記録された画像データのEXIF情報を解析し、解析結果をシステム制御部305に通知する。システム制御部305は、解析結果に基づいて画像データに位置情報が付与されているか否かを判定する(ステップS501)。画像データに位置情報が付与されている場合、システム制御部305は、メモリカード11,12が、GPS受信機能を有するデジタルカメラに装着されていると判定する(ステップS502)。また、画像データに位置情報が付与されていない場合、システム制御部305は、メモリカード11,12が、GPS受信機能を有していない一般的なデジタルカメラに装着されていると判定する(ステップS503)。
【0045】
図6は、GPS受信機能を有するデジタルカメラ101に装着されているメモリカード11が行う処理を示している。メモリ制御部306は、メモリI/F部307に画像データが入力された場合(ステップS601)、入力された画像データをメモリ部310に記録し、保存データ解析部303にデータの解析を指示する。保存データ解析部303は、メモリ部310に記録された画像データのEXIF情報を解析し、画像データに付与されている時刻情報と位置情報を抽出する(S602)。抽出された時刻情報と位置情報はシステム制御部305を介して送信データ生成部309へ出力される。続いて、送信データ生成部309は、時刻情報と位置情報を含む通知パケットを生成する(ステップS603)。システム制御部305は、通信制御部304及びRF部308を介して通知パケットのブロードキャスト配信を行う(ステップS604)。通知パケットのブロードキャスト配信後、メモリカード11は画像データの入力待ちとなる。
【0046】
(受信側処理)
図7は、GPS受信機能を有していないデジタルカメラ102に装着されたメモリカード12が行う処理を示している。まず、システム制御部305は、他のメモリカード11から通知パケットが受信されているか否かを判定する(ステップS701)。通知パケットが受信されている場合、受信データ解析部302は、通知パケットに含まれる情報を解析し、位置情報と、その位置情報に関連付けられている時刻情報(デジタルカメラ101の撮影時刻)とを抽出し、抽出結果をシステム制御部305に通知する(ステップS702)。システム制御部305は、通知パケットに位置情報が含まれており、位置情報が抽出できた場合(ステップS703)、メモリ制御部306を介して、その位置情報を時刻情報と共にDB部311に保持する(ステップS704)。位置情報と時刻情報の保存後、メモリカード12は通知パケットの受信待ちとなる。
【0047】
図8は、デジタルカメラ102が撮影を行い、メモリカード12に画像データを書き込んだときにメモリカード12が行う処理を示している。
図8に示す処理は、
図7で示した処理と並行して行われる。
【0048】
メモリ制御部306は、メモリI/F部307に画像データが入力された場合(ステップS801)、入力された画像データをメモリ部310に記録し、保存データ解析部303にデータの解析を指示する。保存データ解析部303は、メモリ部310に記録された画像データのEXIF情報を解析し、画像データに位置情報が付与されているか否かを判定する(ステップS802)。画像データに位置情報が付与されている場合、その画像データに対する処理が終了し、メモリカード11は画像データの入力待ちとなる。
【0049】
また、画像データに位置情報が付与されていない場合、保存データ解析部303は、画像データに付与されている時刻情報を抽出し、判定部301へ出力する。また、システム制御部305は、メモリ制御部306を介して、DB部311から、位置情報に関連付けられている時刻情報と、画像データに位置情報を付与する条件の情報とを読み出し、判定部301へ出力する。判定部301は、画像データから抽出された時刻情報と、DB部311から読み出した時刻情報とを比較する(ステップS803)。さらに、判定部301は、比較結果に基づいて、両方の時刻情報の差が、画像データに位置情報を付与する条件の範囲内であるか否かを判定し、判定結果をシステム制御部305に通知する(ステップS804)。
【0050】
両方の時刻情報の差が付与条件の範囲内でなかった場合、その画像データに対する処理が終了し、メモリカード11は画像データの入力待ちとなる。また、両方の時刻情報の差が付与条件の範囲内であった場合、システム制御部305は、メモリ制御部306を介して、メモリ部310に記録された画像データのEXIF情報に、DB部311から読み出した時刻情報と関連付けられている位置情報を付与する(ステップS805)。続いて、メモリカード11は画像データの入力待ちとなる。
【0051】
画像データに位置情報を付与する条件とは、位置情報を付与する時刻差分の許容範囲のことである。例えば
図9に示すように、DB部311に保持されている時刻情報が時刻D901を示し、メモリ部310に書き込まれた画像データに付与されている時刻情報が時刻D902を示している場合、2つの時刻の差分は3分である。位置情報を付与する許容範囲が±30分に設定されていれば、時刻差分が許容範囲内であるので、DB部311に保持されている位置情報が、メモリ部310に書き込まれた画像データに付与される。
【0052】
また、
図10に示すように、DB部311に保持されている時刻情報が示す時刻D1001と、メモリ部310に書き込まれた画像データに付与されている時刻情報が示す時刻D1002との差分が1時間8分であれば、2つの時刻の差分は許容範囲である±30分に収まっていないため、画像データに位置情報は付与されない。この許容範囲(±30分)の情報は工場出荷時にDB部311に記録されている。但し、この工場出荷時の設定は、メモリカード11,12をパソコンなど外部機器に接続し、外部機器上で、メモリカードの設定値を変更可能なアプリケーションを利用して変更することを制限するものではない。
【0053】
(複数の相手から位置情報を取得するパターン)
図11を用いて、複数の機器から位置情報を取得する場合について説明する。
図11では、GPS受信機能を具備するデジタルカメラ103と、デジタルカメラ103に装着されたメモリカード13とが追加されている。
図6を用いて説明したように、メモリカード11,13は、画像データが書き込まれる度に位置情報を含む通知パケットをブロードキャスト送信し、メモリカード12はその通知パケットを受信する。
図11に示す例では、メモリカード12は複数のメモリカード11,13から通知パケットを受信する度にDB部311の情報を更新する。
【0054】
(複数の相手と位置情報を共有するパターン)
図12を用いて、複数の機器が同一の機器から位置情報を取得する場合について説明する。
図12では、GPS受信機能を具備するデジタルカメラ104と、デジタルカメラ104に装着されたメモリカード14とが追加されている。
図6を用いて説明したように、メモリカード11が通知パケットをブロードキャスト送信するため、メモリカード12,14は同じように通知パケットを受け取ることができ、
図7、
図8に示した処理を実行し、画像データに位置情報を付与する。
【0055】
(通信範囲の制限)
例えば無線LANを使用した場合、一般的な無線機器では半径約30mの範囲内で通信が可能であることが多い。これは、本実施形態において、半径約30mの範囲内で位置情報を共有することを意味しており、最大30mの誤差が発生する。従って、位置情報を共有する場合に限って通信範囲を狭めることによって、共有する位置情報の精度をより高めることができる。
図13を用いてその方法について説明する。
【0056】
図13はデジタルカメラ101に装着されたメモリカード11の通信範囲を示している。無線通信には指向性が無いため、通信範囲は、デジタルカメラ101及びメモリカード11を中心に円を描くような形になる。通常の通信モードであれば、例えば通信可能範囲1301が通信範囲となる。また、位置情報を共有するための通信を行う際、メモリカード11のシステム制御部305は、通信制御部304を介してRF部308の無線出力(信号出力強度)を下げることにより、通信可能範囲1301よりも狭い通信可能範囲1302に存在する機器に対してのみ、位置情報を含む通知パケットを送信する。
【0057】
図14、
図15は送信出力の制御方法を示している。
図14、
図15に示す処理は、メモリカード11のメモリI/F部307に画像データが入力され、メモリ部310に画像データが書き込まれたときに行われる。
図14は、あらかじめメモリカード11に対して、外部アプリケーション等を利用して位置情報共有モードの設定を行った場合にメモリカード11が行う処理を示している。システム制御部305は、DB部311に保持されている位置情報共有モードフラグを確認し、動作モードが位置情報共有モードになっていれば、通信制御部304により無線出力を抑えたモードに切り替え、通信を開始する(ステップS1401,S1402)。一方、システム制御部305は、動作モードが位置情報共有モードになっていなければ、無線出力を通常モードにして通信を開始する(ステップS1401,S1403)。
【0058】
図15は別の方法によりメモリカード11が行う処理を示している。システム制御部305は、メモリ部310に書き込まれた画像データに位置情報が含まれていれば、通信制御部304により無線出力を抑えたモードで通信を開始する(ステップS1501,S1502)。一方、システム制御部305は、メモリ部310に書き込まれたデータに位置情報が含まれていなければ、無線出力を通常モードにして通信を開始する(ステップS1501,S1503)。
【0059】
上述したように、本実施形態によれば、メモリカード11において、位置情報が付与されている画像データがデジタルカメラ101から入力され、その画像データがメモリ部310に保存されたときに、画像データから位置情報が抽出され、他のメモリカードに無線送信される。また、メモリカード12において、画像データがデジタルカメラ102から入力され、その画像データがメモリ部310に保存されたときに、メモリカード11から無線受信されてDB部311に保持された位置情報のいずれかがその画像データに付与される。このため、無線通信機能を有していないデジタルカメラ102のハードウェア構成を変更することなく、デジタルカメラ102が撮影した画像データに位置情報を付与することができる。また、メモリカード12がメモリカード11を探索して位置情報を要求しなくても、メモリカード11が位置情報をブロードキャストすることによって、メモリカード12は位置情報の取得が可能となるので、位置情報取得に関わる処理を簡易にすることができる。
【0060】
また、メモリカード11が、画像データに付与されている時刻情報を抽出し位置情報と共に無線送信することによって、いつ、どこで撮影が行われたのかを受信側のメモリカードに通知することができる。また、メモリカード12が、メモリカード11から受信した時刻情報と位置情報をDB部311に保持し、画像データがメモリ部310に保存されたときに、画像データに付与されている時刻情報と、DB部311に保持されている時刻情報とに基づいて、DB部311に保持されている位置情報のいずれかを選択し、画像データに付与することによって、撮影時刻に最も適した位置情報を画像データに付与することができる。
【0061】
また、メモリカード11が位置情報を無線送信するときに無線出力を抑えることによって、位置情報を共有する範囲を絞ることができ、画像データに付与される位置情報の精度を向上させることができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では、GPS受信機能を有していないデジタルカメラ102に装着されたメモリカード12がメモリカード11にGPS位置情報を要求することによって位置情報を取得する方法を説明する。
【0063】
(送信側処理)
図16は、GPS受信機能を有するデジタルカメラ101に装着されているメモリカード11が行う処理を示している。メモリ制御部306は、メモリI/F部307に画像データが入力された場合(ステップS1601)、入力された画像データをメモリ部310に記録し、保存データ解析部303にデータの解析を指示する。保存データ解析部303は、メモリ部310に記録された画像データのEXIF情報を解析し、画像データに付与されている時刻情報と位置情報を抽出する(ステップS1602)。抽出された時刻情報と位置情報はシステム制御部305に通知される。システム制御部305は、メモリ制御部306を介して、時刻情報及び位置情報を画像データのファイル名と関連付けてDB部311に保存する(ステップS1603)。
【0064】
図16に示す処理と並行して、
図17に示す処理が行われる。
図17は、メモリカード12からの要求に応じてメモリカード11が位置情報を通知する処理を示している。まず、システム制御部305は、他のメモリカードから、位置情報の取得を要求する要求パケットが受信されているか否かを判定する(ステップS1701)。通知パケットが受信されている場合、受信データ解析部302は、通知パケットに含まれる情報を解析し、時刻情報を抽出し、抽出結果をシステム制御部305に通知する(ステップS1702)。システム制御部305は、メモリ制御部306を介してDB部311から時刻情報と位置情報の組合せを読み出し、要求パケットから抽出された時刻情報と、DB部311から読み出した時刻情報とを比較し、条件に適合するか否かを判定する(ステップS1703)。
【0065】
DB部311から読み出した時刻情報の中に、条件に適合するものがなかった場合、受信した要求パケットに対する処理が終了し、メモリカード11は要求パケットの入力待ちとなる。また、DB部311から読み出した時刻情報の中に、条件に適合するものがあった場合、システム制御部305は、条件に適合する1以上の時刻情報を送信データ生成部309へ出力する。要求パケットから抽出された時刻情報と、DB部311から読み出した時刻情報との差が所定の時間以内である場合に、条件に適合することになる。条件に適合する時刻情報の判定方法については、
図9、
図10に示した内容と同様である。また、システム制御部305は、メモリ制御部306を介して、条件に適合した時刻情報と関連付けられている位置情報をDB部311から読み出し、送信データ生成部309へ出力する。
【0066】
続いて、送信データ生成部309は、位置情報を含む通知パケットを生成する(ステップS1704)。システム制御部305は、通信制御部304及びRF部308を介して、要求パケットの送信元のメモリカード12へ通知パケットを無線送信する(ステップS1705)。通知パケットの送信後、メモリカード11は画像データの入力待ちとなる。
【0067】
(受信側処理)
GPS受信機能を有していないデジタルカメラ102に装着されたメモリカード12では、デジタルカメラ102で撮影が行われて画像データがメモリカード12に書き込まれる処理とは独立に、
図18、
図19に示す処理が行われる。
図18は、メモリカード12がメモリカード11へ位置情報を要求する処理を示している。DB部311では、位置情報が付与されてメモリ部310に保存されている画像データのファイル名と、画像データに位置情報を付与する処理を行ったか否かを示すフラグとを関連付けた管理情報が保存されている。まず、システム制御部305は、メモリ制御部306を介して管理情報を読み出し、全ての画像データについて、位置情報を付与する処理を行ったか否かを判定する(ステップS1801)。
【0068】
全ての画像データについて、位置情報を付与する処理が行われている場合、処理はステップS1801に戻る。また、位置情報を付与する処理が行われていない画像データがある場合、保存データ解析部303は、メモリ部310に保存されている、その画像データのEXIF情報を解析し、画像データに付与されている時刻情報を抽出する(ステップS1802)。抽出された時刻情報は、システム制御部305を介して送信データ生成部309へ出力される。
【0069】
送信データ生成部309は、時刻情報を含む要求パケットを生成する(ステップS1803)。システム制御部305は、通信制御部304及びRF部308を介して、メモリカード11へ要求パケットを無線送信する(ステップS1804)。続いて、システム制御部305は、要求パケットの送信後の所定時間以内に通知パケットを受信したか否かを判定する(ステップS1805)。
【0070】
所定時間以内に通知パケットが受信されなかった場合、処理はステップS1801に戻る。また、所定時間以内に通知パケットが受信された場合、受信データ解析部302は、通知パケットに含まれる情報を解析し、時刻情報を抽出し、システム制御部305へ出力する。システム制御部305は、通知パケットから抽出された時刻情報と、ステップS1802で抽出した時刻情報とを比較し、通知パケットから抽出された時刻情報のうち、ステップS1802で抽出した時刻情報に最も近い時刻情報を選択し、メモリ制御部306を介して、選択した時刻情報に関連付けられている位置情報をDB部311から読み出し、メモリ制御部306を介して、メモリ部310に記録された画像データのEXIF情報に位置情報を付与する(ステップS1806)。
【0071】
続いて、システム制御部305は、メモリ制御部306を介して、位置情報を付与した画像データの管理情報に含まれるフラグを処理済に更新する(ステップS1807)。続いて、処理はステップS1801に戻る。
【0072】
上述したように、本実施形態によれば、メモリカード12からメモリカード11へ位置情報が要求されたときにメモリカード11からメモリカード12へ位置情報が無線送信され、メモリカード12において、無線受信された位置情報が画像データに付与される。このため、無線通信機能を有していないデジタルカメラ102のハードウェア構成を変更することなく、デジタルカメラ102が撮影した画像データに位置情報を付与することができる。また、メモリカード12は、能動的に位置情報を取得することができる。
【0073】
また、メモリカード12からメモリカード11へ送信される取得要求に、位置情報を付与する対象の画像データに付与されている時刻情報が含まれており、メモリカード11において、DB部311に保存されている位置情報のうち、取得要求に含まれる時刻情報に近い時刻情報と関連付けられている位置情報がメモリカード12へ無線送信される。さらに、メモリカード12において、無線受信された位置情報が画像データに付与される。このため、メモリカード12は、自身の現在位置と同じ位置である可能性が高い位置情報を取得することができる。
【0074】
メモリカード11,12が、第1の実施形態の機能と、第2の実施形態の機能との両方を具備していてもよい。この場合、メモリカード11は、
図6、
図16、
図17に示す処理を並行して行い、メモリカード12は、
図7、
図8、
図18に示す処理を並行して行う。これにより、例えば、デジタルカメラ102が撮影を行い、メモリカード12に画像データが記録された際に、条件に適合する時刻情報がDB部311に保持されておらず、
図8の処理では画像データに位置情報を付与できなくても、
図18の処理によりメモリカード11から位置情報を取得して画像データに付与することができる。また、メモリカード12では、
図7のステップS701でメモリカード11からブロードキャストされた通知パケットを受信することによってメモリカード11を認識するので、
図18のステップS1804では他のメモリカードを探索することなくメモリカード11へ要求パケットを送信することができる。
【0075】
(別のシステム構成)
上記の実施形態ではメモリカードという形態について説明してきたが、位置情報の共有を実現する機能をデジタルカメラに内蔵しても良い。
図19、
図20は、上述したメモリカード11,12の機能を内蔵したデジタルカメラ101の構成を示している。デジタルカメラ101とデジタルカメラ102は同一の構成を有しているため、代表してデジタルカメラ101の構成を説明する。
【0076】
デジタルカメラ101は、
図2におけるホストI/F部206の代わりにデータ記録部1801を有している。データ記録部1801は、判定部301、受信データ解析部302、保存データ解析部303、通信制御部304、メモリ制御部306、RF部308、送信データ生成部309、メモリ部310、DB部311を具備している。
図20において、判定部301、通信制御部304、メモリ制御部306、送信データ生成部309はカメラ制御部203と接続されている。また、
図3におけるシステム制御部305の機能はカメラ制御部203が有している。
【0077】
無線通信モジュール(通信制御部304、RF部308に対応)と、メモリモジュール(メモリ制御部306、メモリ部310に対応)とを有するデジタルカメラに対して、メモリカード11,12と同様の機能を実現するプログラムを読み込ませて実行させることにより、デジタルカメラのハードウェア構成を変更しなくても、データ記録部1801を有するデジタルカメラを構成することができる。
【0078】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。