特許第5965715号(P5965715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5965715超音波送受信装置、超音波送受信方法、および超音波送受信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965715
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】超音波送受信装置、超音波送受信方法、および超音波送受信プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/96 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   G01S15/96
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-102635(P2012-102635)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-231620(P2013-231620A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】御園生 哲史
(72)【発明者】
【氏名】ボラロ ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】大西 祐司
(72)【発明者】
【氏名】永井 正吾
(72)【発明者】
【氏名】長谷 堅信
(72)【発明者】
【氏名】山口 武治
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−275351(JP,A)
【文献】 特開2010−266280(JP,A)
【文献】 特開2008−190875(JP,A)
【文献】 特開2001−281329(JP,A)
【文献】 特開2012−225651(JP,A)
【文献】 特開平01−170885(JP,A)
【文献】 特開平01−131476(JP,A)
【文献】 特開昭61−070483(JP,A)
【文献】 特開昭58−021178(JP,A)
【文献】 特開2006−090920(JP,A)
【文献】 特開2012−026855(JP,A)
【文献】 米国特許第04644511(US,A)
【文献】 特開平03−134584(JP,A)
【文献】 特開平05−040179(JP,A)
【文献】 特開平11−052048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エコー画像を生成するためのエコー画像生成用超音波信号と、前記エコー画像に現れる物標の性質を示す付加情報を生成するための付加情報生成用超音波信号とを、送信する送信部と、
前記エコー画像生成用超音波信号のエコー信号と、前記付加情報生成用超音波信号のエコー信号を受信する受信部と、
前記エコー画像生成用超音波信号のエコー信号から前記エコー画像を生成するエコー画像生成部と、
前記付加情報生成用超音波信号のエコー信号から前記付加情報を生成する付加情報生成部と、を備え、
前記付加情報生成用超音波信号は、周波数の異なる複数の超音波信号を有し、
前記送信部は、
前記付加情報生成用超音波信号を構成する、周波数の異なる各超音波信号が、それぞれ、時間軸上で隣接する2つのエコー画像生成用超音波信号の間に挟まるように、前記エコー画像生成用超音波信号と前記付加情報生成用超音波信号とを送信し、
前記付加情報生成部は、
前記周波数の異なる複数の超音波信号のエコー信号を用いて前記付加情報を生成する、超音波送受信装置。
【請求項2】
請求項に記載の超音波送受信装置であって、
前記物標は、水中の魚群、単体魚、および海底を含み、
前記付加情報は、前記海底の底質を示す情報である、超音波送受信装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の超音波送受信装置であって、
前記エコー画像生成用超音波信号は、それぞれ周波数が異なる複数の超音波信号を1組としてなり、
前記付加情報生成部は、
時間軸上で連続する2組のエコー画像生成用超音波信号に跨がって隣り合う複数の超音波信号のエコー信号を用いて前記付加情報を生成する、超音波送受信装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の超音波送受信装置であって、
前記エコー画像生成用超音波信号は、第1パルス長からなる第1超音波信号及び第2超音波信号を含み、
前記付加情報生成用超音波信号は、第2パルス長からなる第3超音波信号及び第4超音波信号を含み、
前記エコー画像生成部は、前記第1超音波信号のエコー信号と前記第2超音波信号のエコー信号から前記エコー画像を生成し、
前記付加情報生成部は、前記第3超音波信号のエコー信号と前記第4超音波信号のエコー信号から前記付加情報を生成する、超音波送受信装置。
【請求項5】
請求項に記載の超音波送受信装置であって、
前記第1パルス長は前記第2パルス長より短い、超音波送受信装置。
【請求項6】
周波数が異なる複数の超音波信号を1組として、エコー画像を生成するためのエコー画像生成用超音波信号を送信する送信部と、
前記エコー画像生成用超音波信号を構成する各超音波信号のエコー信号を受信する受信部と、
前記各超音波信号のエコー信号から前記エコー画像を生成するエコー画像生成部と、
時間軸上で連続する2組のエコー画像生成用超音波信号に跨がって隣り合う複数の超音波信号のエコー信号、および各組における複数の超音波信号のエコー信号、を用いて、それぞれ、前記エコー画像に現れる物標の性質を示す付加情報を生成する付加情報生成部と、を備えた、超音波送受信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波送受信装置であって、
前記付加情報は、単体魚の魚体長を示す情報である、超音波送受信装置。
【請求項8】
エコー画像を生成するためのエコー画像生成用超音波信号と、前記エコー画像に現れる物標の性質を示す付加情報を生成するための付加情報生成用超音波信号とを、送信する送信工程と、
前記エコー画像生成用超音波信号のエコー信号と、前記付加情報生成用超音波信号のエコー信号を受信する受信工程と、
前記エコー画像生成用超音波信号のエコー信号から前記エコー画像を生成するエコー画像生成工程と、
前記付加情報生成用超音波信号のエコー信号から前記付加情報を生成する付加情報生成工程と、を備え、
前記付加情報生成用超音波信号は、周波数の異なる複数の超音波信号を有し、
前記送信工程では、
前記付加情報生成用超音波信号を構成する、周波数の異なる各超音波信号が、それぞれ、時間軸上で隣接する2つのエコー画像生成用超音波信号の間に挟まるように、前記エコー画像生成用超音波信号と前記付加情報生成用超音波信号とを送信し、
前記付加情報生成工程は、
前記周波数の異なる複数の超音波信号のエコー信号を用いて前記付加情報を生成する、超音波送受信方法。
【請求項9】
請求項に記載の超音波信号送受信方法であって、
前記物標は、水中の魚群、単体魚、および海底を含み、
前記付加情報は、前記海底の底質を示す情報である、超音波送受信方法。
【請求項10】
エコー画像を生成するためのエコー画像生成用超音波信号と、前記エコー画像に現れる物標の性質を示す付加情報を生成するための付加情報生成用超音波信号とを、送信する送信処理と、
前記エコー画像生成用超音波信号のエコー信号と、前記付加情報生成用超音波信号のエコー信号を受信する受信処理と、
前記エコー画像生成用超音波信号のエコー信号から前記エコー画像を生成するエコー画像生成処理と、
前記付加情報生成用超音波信号のエコー信号から前記付加情報を生成する付加情報生成処理と、をコンピュータに実行させる超音波送受信プログラムであって、
前記付加情報生成用超音波信号は、周波数の異なる複数の超音波信号を有し、
前記コンピュータは、
前記送信処理として、
前記付加情報生成用超音波信号を構成する、周波数の異なる各超音波信号が、それぞれ、時間軸上で隣接する2つのエコー画像生成用超音波信号の間に挟まるように、前記エコー画像生成用超音波信号と前記付加情報生成用超音波信号とを送信し、
前記付加情報生成処理として、
前記周波数の異なる複数の超音波信号のエコー信号を用いて前記付加情報を生成する、超音波送受信プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の超音波信号送受信プログラムであって、
前記コンピュータは、
前記物標は、水中の魚群、単体魚、および海底を含み、
前記付加情報は、前記海底の底質を示す情報である、超音波送受信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に超音波信号を送信し、魚群のエコーや海底のエコーを表示する表示データを生成するとともに、魚群や海底に対する付加情報を生成する超音波送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚群のみでなく海底も同時に表示し、さらに魚群や海底に対する付加情報を表示する超音波送受信装置が、例えば特許文献1に示すように、各種考案されている。特許文献1の水中探知装置では、1種類の超音波信号を送信し、そのエコー信号から、探知画像とともに、底質の判別を行っている。
【0003】
しかしながら、魚群と底質とでは、超音波信号の反射特性が異なり、特許文献1の構成および方法を用いた場合であって、例えば、魚群を正確に判別するように超音波信号を調整すれば底質を正確に判別できない。逆に、底質を正確に判別するように超音波信号を調整すれば、魚群を正確に検出することができなくなってしまう。
【0004】
このため、魚群探知用(エコー画像用)の超音波信号と底質判別用(付加情報用)の超音波信号とを異ならせて送信する超音波送受信装置も各種考案されている。さらには、魚群探知用の機能を向上させるとともに底質判別用の機能を向上させるため、魚群探知用の超音波信号を異なる二周波数で送信し、底質判別用の超音波信号を異なる二周波数で送信する超音波送受信装置もある。
【0005】
図10は、従来の送受信概念を示す図である。従来の超音波送受信装置は、魚群探知用に第1超音波信号FM(H)Tx、第2超音波信号FM(L)Txを順次、連続して送信する。第1超音波信号FM(H)Txと、第2超音波信号FM(L)Txは、同じパルス長からなる。第1超音波信号FM(H)Txのパルスを形成する信号の周波数は、第2超音波信号FM(L)Txのパルスを形成する信号の周波数よりも高い。従来の超音波送受信装置は、これら連続する第1超音波信号FM(H)Tx、第2超音波信号FM(L)Txのエコー信号から高周波エコーデータと低周波エコーデータを生成し、エコー画像を得る。
【0006】
従来の超音波送受信装置は、底質判別用に第3超音波信号CW(H)、第4超音波信号CW(L)Txを順次、連続して送信する。第3超音波信号CW(H)Txと、第4超音波信号CW(L)Txは、同じパルス長からなる。第3超音波信号CW(H)Txのパルスを形成する信号の周波数は、第4超音波信号CW(L)Txのパルスを形成する信号の周波数よりも高い。従来の超音波送受信装置は、これら連続する第3超音波信号CW(HTx)、第4超音波信号CW(L)Txのエコー信号から付加情報を生成する。
【0007】
従来の超音波送受信装置は、第1超音波信号FM(H)Tx、第2超音波信号FM(L)Tx、第3超音波信号CW(H)Tx、第4超音波信号CW(L)Txを一組として、繰り返し送信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−52048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のエコー画像用と付加情報用にそれぞれ二周波数の超音波信号を用いる方法では、今回のエコー画像用の超音波信号の送信およびそのエコー信号の受信の期間と、次回のエコー画像用の超音波信号の送信およびそのエコー信号の受信の期間との間に、付加情報用の二種類の超音波信号の送信およびそれぞれのエコー信号の受信の期間が介在する。この場合、付加情報用の送受信期間Ti分、エコー画像用の送受信期間の間隔が長くなる。このため、エコー画像用の送信周期TEが長くなり、エコー画像の送り周期が遅くなってしまう。
【0010】
また、逆に、今回の付加情報用の超音波信号の送信およびその付加情報用の受信の期間と、次回の付加情報用の超音波信号の送信およびその付加情報用の受信の期間との間に、エコー画像用の二種類の超音波信号の送信およびそれぞれのエコー信号の受信の期間が介在する。この場合、エコー画像用の送受信期間分、付加情報用の送受信期間の間隔が長くなる。このため、付加情報の生成間隔が長くなってしまい、信頼性が劣化することもあり得る。
【0011】
本発明の目的は、付加情報の信頼性を殆ど劣化させることなく従来よりもエコー画像の更新速度を向上させたり、エコー画像の更新速度を遅くすることなく付加情報の生成間隔を短くしたり付加情報の信頼性を向上させたりすることができる超音波送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の超音波送受信装置は、送信部、受信部、第1情報生成部、第2情報生成部を備える。送信部は、少なくとも1種類の第1探知データ用超音波信号と、複数の第2探知データ用超音波信号とを送信する。受信部は、第1探知データ用超音波信号のエコー信号と、複数の第2探知データ用超音波信号のエコー信号を受信する。第1情報生成部は、第1探知データ用超音波信号のエコー信号から第1情報を生成する。第2情報生成部は、複数の第2探知データ用超音波信号のエコー信号から、第1情報に関連する第2情報を生成する。そして、送信部は、各種類の第2探知データ用超音波信号の送信期間の間に、第1探知データ用超音波信号の送信期間が挟まるように、第1探知データ用超音波信号と複数の第2探知データ用超音波信号とを送信する。第2情報生成部は、時間軸上において第1探知データ用超音波信号の送信期間を挟んで送信される複数の第2探知用超音波信号のエコー信号を用いて第2情報を生成する。
【0013】
この構成では、時間軸上で隣り合う第1探知データ用超音波信号の間に挿入する第2探知データ用超音波信号の種類を減らしても、各種類の第2探知データ用超音波信号を順に送信すれば、第1探知データ用超音波信号を挟んだ複数の第2探知データ用超音波信号から第2情報を生成することができる。これにより、第1情報の取得周期が長くなることを防止したり取得周期を短くしたりすることができ、且つ第2情報の信頼性の劣化を抑制したり信頼性を向上させることができる。
【0014】
また、この発明の超音波送受信装置では、第1情報生成部は、第1情報としてエコー画像を生成する。第2情報生成部は、第2情報としてエコー画像に現れる物標の性質を示す情報を生成する。
【0015】
この構成では、第1情報と第2情報との具体例を示している。そして、第1情報としてエコー画像を設定することで、エコー画像の更新周期が低下することを防止したり、更新周期を速くしたりすることができる。また、物標の性質を示す情報の信頼性の劣化を抑制したり信頼性を向上させたりすることができる。
【0016】
また、この発明の超音波送受信装置では、送信部は、各超音波信号を水中に送信する。第1情報は、水中の魚群、単体魚、および海底を含むエコー画像である。第2情報は海底の底質を示す情報である。
【0017】
この構成では、超音波送受信装置の具体的な適用例を示しており、底質判別機能付き魚群探知機等の水中探知装置に用いる場合を示している。
【0018】
また、この発明の超音波送受信装置では、第1探知データ用超音波信号は、それぞれ個別に送信される複数の超音波信号からなる。第2情報生成部は、第1探知データ用超音波信号を構成する時間軸上で隣り合う複数の超音波信号のエコー信号を用いて第3情報を生成する。
【0019】
この構成では、第1情報を得るための第1探知データ用超音波信号を構成する複数の超音波信号のエコー信号から第3情報を取得することができる。この際、第3情報は、第2探知データ用超音波信号を挟むかどうかに係わらず、隣り合う超音波信号同士を用いるため、第1情報よりも多い頻度で取得できる。
【0020】
また、この発明の超音波送受信装置は、送信部、受信部、第1情報生成部、第3情報生成部を備える。送信部は複数の超音波信号を一組として第1探知データ用超音波信号を送信する。受信部は、第1探知データ用超音波信号を構成する各超音波信号のエコー信号を受信する。第1情報生成部は、一組の第1探知データ用超音波信号を構成する各超音波信号のエコー信号から第1情報を生成する。第3情報生成部は、第1探知データ用超音波信号を構成する時間軸上で隣り合う複数の超音波信号のエコー信号を用いて第3情報を生成する。
【0021】
この構成でも、第1情報を得るための第1探知データ用超音波信号を構成する複数の超音波信号のエコー信号から第3情報を取得することができる。この際、第3情報は、組に関係なく、隣り合う超音波信号同士を用いるため、第1情報よりも多い頻度で取得できる。
【0022】
また、この発明の超音波送受信装置は、第3情報は単体魚の魚体長を示す情報である。この構成では、第3情報の具体例を示している。
【0023】
また、この発明の超音波送受信装置では、第1探知データ用超音波信号は、第1パルス長からなる第1超音波信号及び第2超音波信号を含む。第2探知データ用超音波信号は、第2パルス長からなる第3超音波信号及び第4超音波信号を含む。第1情報生成部は、第1超音波信号のエコー信号と第2超音波信号のエコー信号から第1情報を生成する。第2情報生成部は、第3超音波信号のエコー信号と第4超音波信号のエコー信号から第2情報を生成する。
【0024】
この構成では、第1探知データ用超音波信号および第2探知データ用超音波信号の具体的な構成例を示している。
【0025】
また、この発明の超音波送受信装置では、第1パルス長と第2パルス長とは異なる。この構成では、第1パルス長と第2パルス長との具体的な長さ関係を示している。このように、第1パルス長と第2パルス長とが異なることで、それぞれ第1情報と第2情報に適したパルス長に設定することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、付加情報の信頼性を殆ど劣化させることなく、従来よりもエコー画像の更新速度を向上させることができる。または、従来よりもエコー画像の更新速度を低下させることなく、付加情報の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波送受信装置10の構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る超音波送受信装置10の送受信概念を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態の機能を実現する処理フローの一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施形態に係る超音波送受信装置10Aの送受信概念を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る超音波送受信装置10Aの送受信概念を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態の機能を実現する処理フローの一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第3の実施形態に係る超音波送受信装置の送受信概念を示す図である。
図8】本発明の第4の実施形態に係る超音波送受信装置の送受信概念を示す図である。
図9】本発明の第5の実施形態に係る超音波送受信装置の送受信概念を示す図である。
図10】従来の送受信概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1の実施形態に係る超音波送受信装置、超音波送受信方法および超音波送受信プログラムについて、図を参照して説明する。なお、本実施形態では、底質判別機能付きの魚群探知機を例に説明するが、複数種類の超音波を送信し、そのエコー信号から探知処理やエコー画像の生成処理を行うような装置であれば、本願発明の構成を適用することができる。
【0029】
図1は本発明の第1実施形態に係る超音波送受信装置10の構成図である。超音波送受信装置10は、制御部20、送信部30、受信部40、表示器50、送受波器100を備える。
【0030】
制御部20は、超音波送受信装置10の全体制御を行う。制御部20は、送信系の機能として、四種類の超音波信号(第1超音波信号FM(H)Tx、第2超音波信号FM(L)Tx、第3超音波信号CW(H)Tx、および第4超音波信号CW(L)Tx)を所定の順序で送信する制御を行う。送信制御信号は送信部30へ与えられる。なお、具体的な送信制御については後述する。第1超音波信号FM(H)Tx、第2超音波信号FM(L)Txが本発明の「第1探知データ用超音波信号」に相当し、第3超音波信号CW(H)Tx、第4超音波信号CW(L)Txが本発明の「第2探知データ用超音波信号」に相当する。
【0031】
送信部30は、送信制御信号に基づいて、第1超音波信号FM(H)Tx、第2超音波信号FM(L)Tx、第3超音波信号CW(H)Tx、および第4超音波信号CW(L)Txを生成する。第1超音波信号FM(H)Txと第2超音波信号FM(L)Txは同じ第1パルス長からなる。第1超音波信号FM(H)Txと第2超音波信号FM(L)Txは、パルス圧縮処理用に周波数変調された超音波信号である。第3超音波信号CW(H)Txと第4超音波信号CW(L)Txは同じ第2パルス長からなる。第3超音波信号CW(H)Txと第4超音波信号CW(L)Txは周波数変調されていない無変調の超音波信号である。第2パルス長は、第1パルス長と異なる。以下では、第1パルス長が第2パルス長よりも短い場合を例に説明する。なお、第1パルス長および第2パルス長は、探知レンジ等によって適宜設定されるものである。
【0032】
また、第1超音波信号FM(H)Txと第3超音波信号CW(H)Txは、同じ第1周波数の搬送波をパルス成形したものである。第2超音波信号FM(L)Txと第4超音波信号CW(L)Txは、同じ第2周波数の搬送波をパルス成形したものである。第1周波数は、第2周波数よりも高い。なお、第1周波数および第2周波数は、超音波の周波数帯内で適宜設定されるものである。例えば、第1周波数は200kHzに設定され、第2周波数は50kHzに設定される。
【0033】
各超音波信号は、送受波器100へ伝搬される。送受波器100は、例えば船舶の船底に取り付けられている。送受波器100は、船舶の鉛直下方向を指向性の中心方向とし所定の指向角を有するように、超音波信号を送信する。
【0034】
超音波信号は、水中の魚(または魚群)901や海底902に反射し、エコー信号として送受波器100で受信される。第1超音波信号FM(H)Txのエコー信号は、第1エコー信号FM(H)Rxであり、第2超音波信号FM(L)Txのエコー信号は、第2エコー信号FM(L)Rxである。第3超音波信号CW(H)Txのエコー信号は、第3エコー信号CW(H)Rxであり、第4超音波信号CW(L)Txのエコー信号は、第4エコー信号CW(L)Rxである。
【0035】
送受波器100は、各エコー信号を受信部40へ出力する。受信部40は、各エコー信号に対して所定の増幅処理を行うとともに、距離分解能に応じた時間間隔で各エコー信号をサンプリングして、距離方向(水深方向)に離散的にデータが並ぶエコーデータを生成する。各エコーデータは、制御部20の受信系回路に出力される。なお、説明を簡略且つ分かり易くするため、エコー信号を離散サンプリングしたエコーデータもエコー信号と同じ記号を付して説明する。
【0036】
制御部20は、受信系回路として、本発明の「第1情報生成部」に相当する画像生成部210、本発明の「第2情報生成部」に相当する付加情報生成部220を備える。
【0037】
画像生成部210は、順次入力される第1エコーデータFM(H)Rxから高周波エコー画像を生成する。画像生成部210は、順次入力される第2エコーデータFM(L)Rxから低周波エコーデータ画像を生成する。高周波エコー画像および低周波エコー画像は、縦軸が水深(距離方向)を示し、横軸が時間軸(PING)を示す。高周波エコー画像および低周波エコー画像は、新たなエコーデータが入力されると、横軸の一方端に当該新たなエコーデータが現れ、横軸の他方端の最も古いデータが消えるように、横方向へ各PINGのエコーデータが順次送られる画像として形成される。これらのエコー画像が本発明の「第1情報」に相当する。
【0038】
そして、この際、画像生成部210は、第1エコーデータFM(H)Rxおよび第2エコーデータFM(L)Rxに対して、既知のパルス圧縮を適用する。これにより、第1エコーデータFM(H)Rxおよび第2エコーデータFM(L)Rxのパルス幅は、後述の第3エコーデータCW(H)Rxおよび第4エコーデータCW(L)Rxのパルス長よりも短くなり、距離方向の分解能が向上し、距離分解能に優れたエコー画像を形成することができる。
【0039】
画像生成部210は、高周波エコー画像と低周波エコー画像を、表示器50へ出力する。なお、高周波エコー画像と低周波エコー画像の両方を出力してもよく、一方のみを出力してもよい。これらは、操作者の操作入力等によって設定することができる。
【0040】
付加情報生成部220は、時間軸上で隣り合う第3エコーデータCW(H)Rxと第4エコーデータCW(L)Rxとの組から、海底902の底質を判別する。付加情報生成部220は、海底反射エコーの周波数特性が底質(岩、礫、砂、泥等)によって異なることを利用して、底質判別を行う。この底質判別結果が本発明の「第2情報」に相当する。このように、パルス長が相対的に長い第3、第4超音波信号CW(H)Tx,CW(L)TxのエコーデータCW(H)Rx,CW(L)Rxを用いることで、底質を、より正確に判別することができる。
【0041】
付加情報生成部220は、底質判別結果を表示器50へ出力する。
【0042】
表示器50は、エコー画像と底質判別結果を所定の表示パターンで表示する。
【0043】
このような構成からなる超音波送受信装置10において、次のような送受信制御を行う。図2は、本発明の第1の実施形態に係る超音波送受信装置10の送受信概念を示す図である。図2では、第n期間から第n+2期間の送受信制御の様子を示しているが、実際には、このような送受信を繰り返し行いながら、上述のエコー画像の生成及び底質の判別を行っている。
【0044】
第n回目の送受信グループとして、第1超音波信号FM(H)Tx、第2超音波信号FM(L)Tx、第3超音波信号CW(H)Txによる送受信を行う。
【0045】
具体的には、第n回目の送受信期間の開始タイミングになると、第1超音波信号FM(H)Txを送信する。第1超音波信号FM(H)Txの送信後には、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)を設定する。この受信期間TP(FM(H)Rx)に得られた第1エコーデータFM(H)Rxによって、第n回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0046】
次に、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)が終了すると、第2超音波信号FM(L)Txを送信する。第2超音波信号FM(L)Txの送信後には、第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)を設定する。この受信期間TP(FM(L)Rx)に得られた第2エコーデータFM(L)Rxによって、第n回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0047】
これら受信期間TP(FM(H)Rx),TP(FM(L)Rx)は探知レンジによって設定される。
【0048】
次に、第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)が終了すると、第3超音波信号CW(H)Txを送信する。第3超音波信号CW(H)Txの送信後には、第3エコー信号CW(H)Rxの受信期間TP(CW(H)Rx)を設定する。第3エコーデータCW(H)Rxは、付加情報生成部220によって記憶される。
【0049】
次に、第3エコー信号CW(H)Rxの受信期間TP(CW(H)Rx)が終了すると、第n+1回目の送受信グループとして、第1超音波信号FM(H)Tx、第2超音波信号FM(L)Tx、第4超音波信号CW(L)Txによる送受信を行う。
【0050】
具体的には、第3エコー信号CW(H)Rxの受信期間TP(CW(H)Rx)が終了すると、第n+1回目の第1超音波信号FM(H)Txを送信する。第1超音波信号FM(H)Txの送信後には、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)を設定する。この受信期間TP(FM(H)Rx)に得られた第1エコーデータFM(H)Rxによって、第n+1回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0051】
次に、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)が終了すると、第2超音波信号FM(L)Txを送信する。第2超音波信号FM(L)Txの送信後には、第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)を設定する。この受信期間TP(FM(L)Rx)に得られた第2エコーデータFM(L)Rxによって、第n+1回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0052】
次に、第n+1回目の第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)が終了すると、第4超音波信号CW(L)Txを送信する。第4超音波信号CW(L)Txの送信後には、第4エコー信号CW(L)Rxの受信期間TP(CW(L)Rx)を設定する。第4エコーデータCW(L)Rxは、付加情報生成部220によって記憶される。付加情報生成部220は、第n回目の送受信グループで得られた第3エコーデータCW(H)Rxと第n+1回目の第4エコーデータCW(L)Rxとを組にして、第n回目の底質判別用データとして利用する。
【0053】
次に、第4エコー信号CW(L)Rxの受信期間TP(CW(L)Rx)が終了すると、第n+2回目の送受信グループとして、第n回目と同様に、第1超音波信号FM(H)Tx、第2超音波信号FM(L)Tx、第3超音波信号CW(H)Txによる送受信を行う。
【0054】
具体的には、第n+2回目の送受信期間の開始タイミングになると、第1超音波信号FM(H)Txを送信する。第1超音波信号FM(H)Txの送信後には、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)を設定する。この受信期間TP(FM(H)Rx)に得られた第1エコーデータFM(H)Rxによって、第n+2回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0055】
次に、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)が終了すると、第2超音波信号FM(L)Txを送信する。第2超音波信号FM(L)Txの送信後には、第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)を設定する。この受信期間TP(FM(L)Rx)に得られた第2エコーデータFM(L)Rxによって、第n+2回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0056】
次に、第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)が終了すると、第3超音波信号CW(H)Txを送信する。第3超音波信号CW(H)Txの送信後には、第3エコー信号CW(H)Rxの受信期間TP(CW(H)Rx)を設定する。第3エコーデータCW(H)Rxは、付加情報生成部220によって記憶される。付加情報生成部220は、第n+1回目の第4エコーデータCW(L)Rxと第n+2回目の送受信グループで得られる第3エコーデータCW(H)Rxとを組にして、第n+1回目の底質判別用データとして利用する。
【0057】
以下、上述の送受信処理を繰り返し、送受信期間毎に、高周波エコー画像、低周波エコー画像、および底質判別用データを取得する。
【0058】
このように、本実施形態の構成及び処理を用いることで、エコー画像の生成するための各第1、第2超音波信号FM(H)Tx,FM(L)Txの送受信期間の間に、第3超音波信号CW(H)Txの送受信期間もしくは第4超音波信号CW(L)Txの送受信期間のいずれか一方(送信期間Ti<Ti(=2Ti))しか挟まらない。これにより、時間軸上で隣り合う第1、第2超音波信号FM(H)Tx,FM(L)Txの送受信期間の間隔TEが、従来の処理方法の間隔TEよりも短くなる。したがって、エコー画像の送り速度(更新速度)を高速化できる。
【0059】
また、本実施形態の構成及び処理を用いる場合、一回の送受信グループ内での底質判別用の超音波信号の送信回数は少なくなる。しかしながら、一回の送受信グループで得られる底質判別用の超音波信号のエコーデータを、前後の送受信グループで得られる底質判別用の超音波信号のエコーデータと組み合わせることで、各送受信グループに一組の底質判別用のエコーデータを得ることができる。
【0060】
ここで、各超音波信号は、送受波器100から送信される場合に所定の送信ビーム幅を有する。言い換えれば、各超音波信号は所定の送信ビーム角で広がりながら水中を伝搬する。この広がりながら伝搬する超音波信号が魚や海底に反射して、送受波器100で受信される。
【0061】
このため、船舶の走航速度が所定の速度範囲内であれば、時間軸上で隣り合う第3超音波信号CW(H)Txが当たる海底領域と第4超音波信号CW(L)Txが当たる海底領域とは部分的に重なる。言い換えれば、送信ビーム角に応じた走航速度範囲内で走行すれば、時間軸上で隣り合う第3超音波信号CW(H)Txが当たる海底領域と第4超音波信号CW(L)Txが当たる海底領域とは部分的に重なる。
【0062】
したがって、上述のように第3超音波信号と第4超音波信号とを、時間軸上で隣り合う異なる送受信グループでそれぞれ別に送信しても、同じ海底位置からの反射エコーを得られる。
【0063】
これにより、これらの第3エコーデータCW(H)Rxと第4エコーデータCW(L)Rxを組み合わせて得られる底質判別結果は、十分に信頼性の高いものとなる。このため、従来よりも底質判別用の超音波信号の送信回数が少なくなっても、従来と同等の底質判別結果を得ることができる。
【0064】
なお、上述の説明では、各機能部を区分して各制御処理を行う例を示したが、これらの制御処理をプログラム化しておき、予め記録媒体等に記憶しておき、コンピュータで実行するようにしてもよい。図3は、本発明の第1の実施形態の機能を実現する処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0065】
まず、第1超音波信号FM(H)Txを送信し(S101)、第1エコーデータFM(H)Rxを取得する(S102)。次に、第2超音波信号FM(L)Txを送信し(S103)、第2エコーデータFM(L)Rxを取得する(S104)。
【0066】
第1エコーデータFM(H)Rxから今回更新分の高周波エコー画像を生成する。第2エコーデータFM(L)Rxから今回更新分の低周波エコー画像を生成する(S105)。なお、第1超音波信号FM(H)Txと第2超音波信号FM(L)Txの送信順序は逆であってもよい。また、高周波エコー画像と低周波エコー画像を同時に更新する必要はなく、第1エコーデータFM(H)Rxが得られれば高周波エコー画像を更新し、第2エコーデータFM(L)Rxが得られれば低周波エコー画像を更新すればよい。
【0067】
前回の送受信グループで、第3超音波信号CW(H)Txを送信していれば(S106:Yes)、今回の送受信グループでは、第4超音波信号CW(L)Txを送信し(S107)、第4エコーデータCW(L)Rxを取得する(S108)。
【0068】
前回の送信グループで得られた第3エコーデータCW(H)Rxと、今回の送信グループで得られた第4エコーデータCW(L)Rxと、を組として、今回の底質判別用データとして利用する(S109)。
【0069】
前回の送受信グループで、第4超音波信号CW(L)Txを送信し、第3超音波信号CW(H)Txを送信していなければ(S106:No)、今回の送受信グループでは、第3超音波信号CW(H)Txを送信し(S110)、第3エコーデータCW(H)Rxを取得する(S111)。
【0070】
前回の送信グループで得られた第4エコーデータCW(L)Rxと、今回の送信グループで得られた第3エコーデータCW(H)Rxと、を組として、今回の底質判別用データとして利用する(S112)。
【0071】
そして、これらの処理フローを順次繰り返すことで、エコー画像を更新しながら、底質判別を行っていく。
【0072】
次に、第2の実施形態に係る超音波送受信装置、超音波送受信方法、および超音波送受信プログラムについて、図を参照して説明する。図4は本発明の第2の実施形態に係る超音波送受信装置10Aの構成図である。図5は本発明の第2の実施形態に係る超音波送受信装置10Aの送受信概念を示す図である。本実施形態の超音波送受信装置10Aは、第1の実施形態に示した超音波送受信装置10と同じ構成からなるが、第1、第2超音波信号FM(H)Tx,FM(L)Txを送信し、第3、第4超音波信号CW(H)Tx,CW(L)Txを送信しない。
【0073】
第n回目の送受信期間の開始タイミングになると、第1超音波信号FM(H)Txを送信する。第1超音波信号FM(H)Txの送信後には、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)を設定し、第1エコーデータFM(H)Rxを取得する。画像形成部210は、第n回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0074】
次に、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)が終了すると、第2超音波信号FM(L)Txを送信する。第2超音波信号FM(L)Txの送信後には、第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)を設定し、第2エコーデータFM(L)Rxを取得する。画像形成部210は、第n回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0075】
そして、付加情報生成部220Aは、第n回目の第1エコーデータFM(H)Rxと第2エコーデータFM(L)Rxとを用いて、単体魚検出および魚体長計測に利用する。そして、付加情報生成部220Aは、第n回目の魚体長情報(本発明の「第3情報」に相当する。)を取得する。また、付加情報生成部220Aが本発明の「第3情報生成部」に相当する。
【0076】
次に、第n回目の第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)が終了すると、第n+1回目の第1超音波信号FM(H)Txを送信する。第1超音波信号FM(H)Txの送信後には、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)を設定し、第1エコーデータFM(H)Rxを取得する。画像形成部210は、第n+1回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0077】
そして、付加情報生成部220Aは、第n回目(前回)の第2エコーデータFM(L)Rxと第n+1回目(今回)の第1エコーデータFM(H)Rxとを用いて、単体魚検出および魚体長計測に利用する。そして、付加情報生成部220Aは、第n+1回目の魚体長情報を生成する。
【0078】
次に、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)が終了すると、第2超音波信号FM(L)Txを送信する。第2超音波信号FM(L)Txの送信後には、第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)を設定し、第2エコーデータFM(L)Rxを取得する。画像形成部210は、第n+1回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0079】
そして、付加情報生成部220Aは、第n+1回目の第1エコーデータFM(H)Rxと第2エコーデータFM(L)Rxとを用いて、単体魚検出および魚体長計測に利用する。そして、付加情報生成部220Aは、第n+2回目の魚体長情報を生成する。
【0080】
次に、第n+1回目の第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)が終了すると、第n+2回目の第1超音波信号FM(H)Txを送信する。第1超音波信号FM(H)Txの送信後には、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)を設定し、第1エコーデータFM(H)Rxを取得する。画像形成部210は、第n+2回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0081】
そして、付加情報生成部220Aは、第n+1回目(前回)の第2エコーデータFM(L)Rxと第n+2回目(今回)の第1エコーデータFM(H)Rxとを用いて、単体魚検出および魚体長計測に利用する。そして、付加情報生成部220Aは、第n+3回目の魚体長情報を生成する。
【0082】
次に、第1エコー信号FM(H)Rxの受信期間TP(FM(H)Rx)が終了すると、第2超音波信号FM(L)Txを送信する。第2超音波信号FM(L)Txの送信後には、第2エコー信号FM(L)Rxの受信期間TP(FM(L)Rx)を設定し、第2エコーデータFM(L)Rxを取得する。画像形成部210は、第n+2回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0083】
そして、付加情報生成部220Aは、第n+2回目の第1エコーデータFM(H)Rxと第2エコーデータFM(L)Rxとを用いて、単体魚検出および魚体長計測に利用する。そして、付加情報生成部220Aは、第n+4回目の魚体長情報を生成する。
【0084】
以下、同様の処理を繰り返す。このような構成及び処理を用いることで、エコー画像の送り周期よりも速い周期で魚体長情報を更新することができる。なお、ここでは、魚体長情報のみを示したが、エコー画像の形成用に用いられる超音波信号のエコーデータで得られる他の情報(魚群速度等)を生成してもよい。
【0085】
なお、この処理もプログラム化しておき、予め記録媒体等に記憶し、コンピュータで実行するようにしてもよい。図6は、本発明の第2の実施形態の機能を実現する処理フローの一例を示すフローチャートである。なお、図6は第n回目の処理フローを示すものであり、このフローは継続的に繰り返される。
【0086】
第n回の第1超音波信号FM(H)Txを送信し(S201)、第n回の第1エコーデータFM(H)Rxを取得する(S202)。予め記憶している第n−1回の第2エコーデータFM(L)Rxと、今回取得した第n回の第1エコーデータFM(H)Rxとから、魚体長情報を生成する(S203)。
【0087】
次に、第2超音波信号FM(L)Txを送信し(S204)、第2エコーデータFM(L)Rxを取得する(S205)。予め記憶している第n回の第1エコーデータFM(H)Rxと、今回取得した第n回の第2エコーデータFM(L)Rxとから、魚体長情報を生成する(S206)。
【0088】
第1エコーデータFM(H)Rxから今回更新分の高周波エコー画像を生成する。第2エコーデータFM(L)Rxから今回更新分の低周波エコー画像を生成する(S207)。
【0089】
次に、第3の実施形態に係る超音波送受信装置、超音波送受信方法、および超音波送受信プログラムについて、図を参照して説明する。図7は、本発明の第3の実施形態に係る超音波送受信装置の送受信概念を示す図である。なお、図では、繰り返し行われる送受信の途中の或タイミングを第1回目として、それ以降の所定期間についてのみ図示している。また、以下では、図7にあわせて、この第1回目からの所定期間の処理について説明する。
【0090】
本実施形態の超音波送受信装置では、第1の実施形態に示した超音波送受信装置に対して、第3超音波信号CW(H)Txと第4超音波信号CW(L)Txに対する第1、第2超音波信号FM(H)Tx,FM(L)Txの送信頻度をさらに高くしたものである。本実施形態の超音波送受信装置の基本的な構成は、図1に示した第1の実施形態と同様のものであり、処理が異なるものである。具体的には、次の処理を実行する。
【0091】
第1回目の第1超音波信号FM(H)Tx1の送信タイミングになると、第1回目の第1超音波信号FM(H)Tx1を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx1の送信後には、第1エコーデータFM(H)Rx1を取得する。画像形成部は、第1回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0092】
第1回目の第1エコー信号FM(H)Rx1の受信が終了すると、第1回目の第2超音波信号FM(L)Tx1を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx1の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx1を取得する。画像形成部は、第1回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0093】
第1回目の第2エコーデータFM(L)Rx1の受信が終了すると、第2回目の第1超音波信号FM(H)Tx2を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx2の送信後には、第1エコーデータFM(H)Rx2を取得する。画像形成部は、第2回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0094】
第2回目の第1エコー信号FM(H)Rx2の受信が終了すると、第2回目の第2超音波信号FM(L)Tx2を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx2の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx2を取得する。画像形成部は、第2回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0095】
第2回目の第2エコーデータFM(L)Rx2の受信が終了すると、第1回目の第3超音波信号CW(H)Tx1を送信する。第3超音波信号CW(H)Tx1の送信後には、第3エコーデータCW(H)Rx1を取得する。第3エコーデータCW(H)Rx1は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第3エコーデータCW(H)Rx1とこの直前の送受信グループで得られた第4エコーデータCW(L)Rx(図示せず)とを組にして、底質判別用データとして利用する(図示せず)。
【0096】
第1回目の第3エコー信号CW(H)Rx1の受信が終了すると、第3回目の第1超音波信号FM(H)Tx3を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx3の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx3を取得する。画像形成部は、第3回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0097】
第3回目の第1エコー信号FM(H)Rx3の受信が終了すると、第3回目の第2超音波信号FM(L)Tx3を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx3の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx3を取得する。画像形成部は、第3回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0098】
第3回目の第2エコーデータFM(L)Rx3の受信が終了すると、第4回目の第1超音波信号FM(H)Tx4を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx4の送信後には、第1エコーデータFM(H)Rx4を取得する。画像形成部は、第4回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0099】
第4回目の第1エコー信号FM(H)Rx4の受信が終了すると、第4回目の第2超音波信号FM(L)Tx4を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx4の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx4を取得する。画像形成部は、第4回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0100】
第4回目の第2エコーデータFM(L)Rx4の受信が終了すると、第1回目の第4超音波信号CW(L)Tx1を送信する。第4超音波信号CW(L)Tx1の送信後には、第4エコーデータCW(L)Rx1を取得する。第4エコーデータCW(L)Rx1は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第4エコーデータCW(L)Rx1とこの直前の送受信グループで得られた第3エコーデータCW(H)Rx1とを組にして、第1回目の底質判別用データとして利用する。
【0101】
第1回目の第4エコー信号CW(L)Rx1の受信が終了すると、第5回目の第1超音波信号FM(H)Tx5を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx5の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx5を取得する。画像形成部は、第5回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0102】
第5回目の第1エコー信号FM(H)Rx5の受信が終了すると、第5回目の第2超音波信号FM(L)Tx5を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx5の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx5を取得する。画像形成部は、第5回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0103】
第5回目の第2エコーデータFM(L)Rx5の受信が終了すると、第6回目の第1超音波信号FM(H)Tx6を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx6の送信後には、第1エコーデータFM(H)Rx6を取得する。画像形成部は、第6回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0104】
第6回目の第1エコー信号FM(H)Rx6の受信が終了すると、第6回目の第2超音波信号FM(L)Tx6を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx6の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx6を取得する。画像形成部は、第6回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0105】
第6回目の第2エコーデータFM(L)Rx6の受信が終了すると、第2回目の第3超音波信号CW(H)Tx2を送信する。第3超音波信号CW(H)Tx2の送信後には、第3エコーデータCW(H)Rx2を取得する。第3エコーデータCW(H)Rx2は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第3エコーデータCW(H)Rx2とこの直前の送受信グループで得られた第4エコーデータCW(L)Rx1とを組にして、第2回目の底質判別用データとして利用する。
【0106】
第2回目の第3エコー信号CW(H)Rx2の受信が終了すると、第7回目の第1超音波信号FM(H)Tx7を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx7の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx7を取得する。画像形成部は、第7回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0107】
第7回目の第1エコー信号FM(H)Rx7の受信が終了すると、第7回目の第2超音波信号FM(L)Tx7を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx7の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx7を取得する。画像形成部は、第7回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0108】
第7回目の第2エコーデータFM(L)Rx7の受信が終了すると、第8回目の第1超音波信号FM(H)Tx8を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx8の送信後には、第1エコーデータFM(H)Rx8を取得する。画像形成部は、第8回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0109】
第8回目の第1エコー信号FM(H)Rx8の受信が終了すると、第8回目の第2超音波信号FM(L)Tx8を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx8の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx8を取得する。画像形成部は、第8回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0110】
第8回目の第2エコーデータFM(L)Rx8の受信が終了すると、第2回目の第4超音波信号CW(L)Tx2を送信する。第4超音波信号CW(L)Tx2の送信後には、第4エコーデータCW(L)Rx2を取得する。第4エコーデータCW(L)Rx2は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第4エコーデータCW(L)Rx2とこの直前の送受信グループで得られた第3エコーデータCW(H)Rx2とを組にして、第3回目の底質判別用データとして利用する。
【0111】
以下、同様の処理を繰り返す。このような構成及び処理を用いることで、エコー画像の送り周期をさらに速くすることができる。
【0112】
次に、第4の実施形態に係る超音波送受信装置、超音波送受信方法、および超音波送受信プログラムについて、図を参照して説明する。図8は、本発明の第4の実施形態に係る超音波送受信装置の送受信概念を示す図である。なお、図では、繰り返し行われる送受信の途中の或タイミングを第1回目として、それ以降の所定期間についてのみ図示している。また、以下では、図8にあわせて、この第1回目からの所定期間の処理について説明する。
【0113】
本実施形態の超音波送受信装置では、第1の実施形態に示した超音波送受信装置に対して、第3超音波信号CW(H)Txと第4超音波信号CW(L)Txに加えて、第5超音波信号CW(M)Txの送信およびこれにより第5エコーデータCW(M)Rxの取得を行う。本実施形態の超音波送受信装置は、第3エコーデータCW(H)Rx、第4エコーデータCW(L)Rx、および第5エコーデータCW(M)Rxによって、底質判別を行う。本実施形態の超音波送受信装置の基本的な構成は、図1に示した第1の実施形態と同様のものであり、処理が異なるものである。具体的には、次の処理を実行する。
【0114】
第1回目の第1超音波信号FM(H)Tx1の送信タイミングになると、第1回目の第1超音波信号FM(H)Tx1を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx1の送信後には、第1エコーデータFM(H)Rx1を取得する。画像形成部は、第1回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0115】
第1回目の第1エコー信号FM(H)Rx1の受信が終了すると、第1回目の第2超音波信号FM(L)Tx1を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx1の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx1を取得する。画像形成部は、第1回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0116】
第1回目の第2エコーデータFM(L)Rx1の受信が終了すると、第1回目の第3超音波信号CW(H)Tx1を送信する。第3超音波信号CW(H)Tx1の送信後には、第3エコーデータCW(H)Rx1を取得する。第3エコーデータCW(H)Rx1は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第3エコーデータCW(H)Rx1と、この直前の2つの送受信グループで得られた第4エコーデータCW(L)Rx(図示せず)および第5エコーデータCW(M)Rx(図示せず)とを組にして、第1回の底質判別用データとして利用する。
【0117】
第1回目の第3エコー信号CW(H)Rx1の受信が終了すると、第2回目の第1超音波信号FM(H)Tx2を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx2の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx2を取得する。画像形成部は、第2回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0118】
第2回目の第1エコー信号FM(H)Rx2の受信が終了すると、第2回目の第2超音波信号FM(L)Tx2を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx2の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx2を取得する。画像形成部は、第2回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0119】
第2回目の第2エコーデータFM(L)Rx2の受信が終了すると、第1回目の第4超音波信号CW(L)Tx1を送信する。第4超音波信号CW(L)Tx1の送信後には、第4エコーデータCW(L)Rx1を取得する。第4エコーデータCW(L)Rx1は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第4エコーデータCW(L)Rx1と、この直前の2つの送受信グループで得られた第3エコーデータCW(H)Rx1および第5エコーデータCW(M)Rxとを組にして、第2回の底質判別用データとして利用する。
【0120】
第1回目の第4エコー信号CW(L)Rx1の受信が終了すると、第3回目の第1超音波信号FM(H)Tx3を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx3の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx3を取得する。画像形成部は、第3回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0121】
第3回目の第1エコー信号FM(H)Rx3の受信が終了すると、第3回目の第2超音波信号FM(L)Tx3を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx3の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx3を取得する。画像形成部は、第3回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0122】
第3回目の第2エコーデータFM(L)Rx3の受信が終了すると、第1回目の第5超音波信号CW(M)Tx1を送信する。第5超音波信号CW(M)Tx1の送信後には、第5エコーデータCW(M)Rx1を取得する。第5エコーデータCW(M)Rx1は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第5エコーデータCW(M)Rx1と、この直前の2つの送受信グループで得られた第3エコーデータCW(H)Rx1および第4エコーデータCW(L)Rx1とを組にして、第3回の底質判別用データとして利用する。
【0123】
第1回目の第5エコー信号CW(M)Rx1の受信が終了すると、第4回目の第1超音波信号FM(H)Tx4を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx4の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx4を取得する。画像形成部は、第4回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0124】
第4回目の第1エコー信号FM(H)Rx4の受信が終了すると、第4回目の第2超音波信号FM(L)Tx4を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx4の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx4を取得する。画像形成部は、第4回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0125】
第4回目の第2エコーデータFM(L)Rx4の受信が終了すると、第2回目の第3超音波信号CW(H)Rx2を取得する。第3エコーデータCW(H)Rx2は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第3エコーデータCW(H)Rx2と、この直前の2つの送受信グループで得られた第4エコーデータCW(L)Rx1および第5エコーデータCW(M)Rx1とを組にして、第4回の底質判別用データとして利用する。
【0126】
第2回目の第3エコー信号CW(H)Rx2の受信が終了すると、第5回目の第1超音波信号FM(H)Tx5を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx5の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx5を取得する。画像形成部は、第5回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0127】
第5回目の第1エコー信号FM(H)Rx5の受信が終了すると、第5回目の第2超音波信号FM(L)Tx5を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx5の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx5を取得する。画像形成部は、第5回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0128】
第5回目の第2エコーデータFM(L)Rx5の受信が終了すると、第2回目の第4超音波信号CW(L)Rx2を取得する。第4エコーデータCW(L)Rx2は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第4エコーデータCW(L)Rx2と、この直前の2つの送受信グループで得られた第5エコーデータCW(M)Rx1および第3エコーデータCW(H)Rx2とを組にして、第5回の底質判別用データとして利用する。
【0129】
第2回目の第4エコー信号CW(L)Rx2の受信が終了すると、第6回目の第1超音波信号FM(H)Tx6を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx6の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx6を取得する。画像形成部は、第6回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0130】
第6回目の第1エコー信号FM(H)Rx6の受信が終了すると、第6回目の第2超音波信号FM(L)Tx6を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx6の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx6を取得する。画像形成部は、第6回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0131】
第6回目の第2エコーデータFM(L)Rx6の受信が終了すると、第2回目の第5超音波信号CW(M)Tx2を送信する。第5超音波信号CW(M)Tx2の送信後には、第5エコーデータCW(M)Rx2を取得する。第5エコーデータCW(M)Rx2は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第5エコーデータCW(M)Rx2と、この直前の2つの送受信グループで得られた第3エコーデータCW(H)Rx2および第4エコーデータCW(L)Rx2とを組にして、第6回の底質判別用データとして利用する。
【0132】
以下、同様の処理を繰り返す。このような構成及び処理を用いることで、エコー画像の送り周期をさらに速くすることができる。
【0133】
このような構成および処理を用いることで、底質判別のエコーデータが三種類であっても、エコー画像の更新速度を低下させることなく、信頼性の劣化していない底質判別結果を得ることができる。
【0134】
なお、本実施形態(第4の実施形態)に対して、上述の第3の実施形態の処理を組み合わせることもできる。具体的には、第1組の第1超音波信号FM(H)Tx1と第2超音波信号FM(L)Tx1、第2組の第1超音波信号FM(H)Tx2と第2超音波信号FM(L)Tx2を順次送信し、その後に第3超音波信号CW(H)Tx1を送信する。
【0135】
第3超音波信号(H)Tx1の送信後に、第3組の第1超音波信号FM(H)Tx3と第2超音波信号FM(L)Tx3、第4組の第1超音波信号FM(H)Tx4と第2超音波信号FM(L)Tx4を順次送信し、その後に第4超音波信号CW(L)Tx1を送信する。
【0136】
第4超音波信号(L)Tx1の送信後に、第5組の第1超音波信号FM(H)Tx5と第2超音波信号FM(L)Tx5、第6組の第1超音波信号FM(H)Tx6と第2超音波信号FM(L)Tx6を順次送信し、その後に第5超音波信号CW(M)Tx1を送信する。
【0137】
以下、同様の処理を繰り返す。このような構成及び処理を用いても、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0138】
次に、第5の実施形態に係る超音波送受信装置、超音波送受信方法、および超音波送受信プログラムについて、図を参照して説明する。図9は、本発明の第5の実施形態に係る超音波送受信装置の送受信概念を示す図である。なお、図では、繰り返し行われる送受信の途中の或タイミングを第1回目として、それ以降の所定期間についてのみ図示している。また、以下では、図7にあわせて、この第1回目からの所定期間の処理について説明する。本実施形態の超音波送受信装置の基本的な構成は、図1に示した第1の実施形態と同様のものであり、処理が異なるものである。具体的には、次の処理を実行する。
【0139】
第1回目の第1超音波信号FM(H)Tx1の送信タイミングになると、第1回目の第1超音波信号FM(H)Tx1を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx1の送信後には、第1エコーデータFM(H)Rx1を取得する。画像形成部は、第1回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0140】
第1回目の第1エコー信号FM(H)Rx1の受信が終了すると、第1回目の第2超音波信号FM(L)Tx1を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx1の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx1を取得する。画像形成部は、第1回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0141】
第1回目の第2エコーデータFM(L)Rx1の受信が終了すると、第1回目の第3超音波信号CW(H)Tx1を送信する。第3超音波信号CW(H)Tx1の送信後には、第3エコーデータCW(H)Rx1を取得する。第3エコーデータCW(H)Rx1は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第3エコーデータCW(H)Rx1と、この直前の送受信グループで得られた第4エコーデータCW(L)Rx(図示せず)とを組にして、底質判別用データとして利用する。
【0142】
第1回目の第3エコーデータCW(H)Rx1の受信が終了すると、第1回目の第4超音波信号CW(L)Tx1を送信する。第4超音波信号CW(L)Tx1の送信後には、第4エコーデータCW(L)Rx1を取得する。第4エコーデータCW(L)Rx1は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第4エコーデータCW(L)Rx1と、この直前に得られた第3エコーデータCW(L)Rx1とを組にして、第1回の底質判別用データとして利用する。
【0143】
第1回目の第4エコー信号CW(L)Rx1の受信が終了すると、第2回目の第1超音波信号FM(H)Tx2を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx2の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx2を取得する。画像形成部は、第2回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0144】
第2回目の第1エコー信号FM(H)Rx2の受信が終了すると、第2回目の第2超音波信号FM(L)Tx2を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx2の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx2を取得する。画像形成部は、第2回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0145】
第2回目の第2エコーデータFM(L)Rx2の受信が終了すると、第2回目の第3超音波信号CW(H)Tx2を送信する。第3超音波信号CW(H)Tx2の送信後には、第3エコーデータCW(H)Rx2を取得する。第3エコーデータCW(H)Rx2は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第3エコーデータCW(H)Rx2と、この直前の送受信グループで得られた第4エコーデータCW(L)Rx1とを組にして、第2回の底質判別用データとして利用する。
【0146】
第2回目の第3エコーデータCW(H)Rx2の受信が終了すると、第2回目の第4超音波信号CW(L)Tx2を送信する。第4超音波信号CW(L)Tx2の送信後には、第4エコーデータCW(L)Rx2を取得する。第4エコーデータCW(L)Rx2は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第4エコーデータCW(L)Rx2と、この直前に得られた第3エコーデータCW(L)Rx2とを組にして、第3回の底質判別用データとして利用する。
【0147】
第2回目の第4エコー信号CW(L)Rx2の受信が終了すると、第3回目の第1超音波信号FM(H)Tx3を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx3の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx3を取得する。画像形成部は、第3回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0148】
第3回目の第1エコー信号FM(H)Rx3の受信が終了すると、第3回目の第2超音波信号FM(L)Tx3を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx3の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx3を取得する。画像形成部は、第3回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0149】
第3回目の第2エコーデータFM(L)Rx3の受信が終了すると、第3回目の第3超音波信号CW(H)Tx3を送信する。第3超音波信号CW(H)Tx3の送信後には、第3エコーデータCW(H)Rx3を取得する。第3エコーデータCW(H)Rx3は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第3エコーデータCW(H)Rx3と、この直前の送受信グループで得られた第4エコーデータCW(L)Rx2とを組にして、第4回の底質判別用データとして利用する。
【0150】
第3回目の第3エコーデータCW(H)Rx3の受信が終了すると、第3回目の第4超音波信号CW(L)Tx3を送信する。第4超音波信号CW(L)Tx3の送信後には、第4エコーデータCW(L)Rx3を取得する。第4エコーデータCW(L)Rx3は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第4エコーデータCW(L)Rx3と、この直前に得られた第3エコーデータCW(L)Rx3とを組にして、第5回の底質判別用データとして利用する。
【0151】
第3回目の第4エコー信号CW(L)Rx3の受信が終了すると、第4回目の第1超音波信号FM(H)Tx4を送信する。第1超音波信号FM(H)Tx4の送信後には、第1エコー信号FM(H)Rx4を取得する。画像形成部は、第4回目のPINGの高周波エコー画像の更新データを生成する。
【0152】
第4回目の第1エコー信号FM(H)Rx4の受信が終了すると、第4回目の第2超音波信号FM(L)Tx4を送信する。第2超音波信号FM(L)Tx4の送信後には、第2エコーデータFM(L)Rx4を取得する。画像形成部は、第4回目のPINGの低周波エコー画像の更新データを生成する。
【0153】
第4回目の第2エコーデータFM(L)Rx4の受信が終了すると、第4回目の第3超音波信号CW(H)Tx4を送信する。第3超音波信号CW(H)Tx4の送信後には、第3エコーデータCW(H)Rx4を取得する。第3エコーデータCW(H)Rx4は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第3エコーデータCW(H)Rx4と、この直前の送受信グループで得られた第4エコーデータCW(L)Rx3とを組にして、第6回の底質判別用データとして利用する。
【0154】
第4回目の第3エコーデータCW(H)Rx4の受信が終了すると、第4回目の第4超音波信号CW(L)Tx4を送信する。第4超音波信号CW(L)Tx4の送信後には、第4エコーデータCW(L)Rx4を取得する。第4エコーデータCW(L)Rx4は、付加情報生成部によって記憶される。付加情報生成部は、今回得られた第4エコーデータCW(L)Rx4と、この直前に得られた第3エコーデータCW(L)Rx4とを組にして、第7回の底質判別用データとして利用する。
【0155】
以下、同様の処理を繰り返す。このような構成及び処理を用いることで、従来よりもエコー画像の更新速度を低下させることなく、底質判別結果の取得頻度を向上させることができる。これにより、底質判別結果の信頼性を高くすることができる。
【0156】
本実施形態(第5の実施形態)に対して、上述の第4の実施形態のように、三種類の底質判別用の超音波信号(第3超音波信号CW(H)Tx、第4超音波信号CW(L)Tx、第5超音波信号CW(M)Tx)を用いる処理を組み合わせることもできる。
【0157】
なお、上述の説明では、底質判別用の超音波信号の種類を2種類または3種類とする例を示したが、他の複数種類(4種類以上)にすることもできる。また、エコー画像用の超音波の種類を2種類とする例を示したが、1種類や3種類以上にすることもできる。
【0158】
また、同じ目的に利用する超音波信号同士は、送信順序が逆であっても良い。例えば、第1超音波信号FM(H)Txと第2超音波信号FM(L)Txの送信順序は逆であってもよい。また、高周波エコー画像と低周波エコー画像を同時に更新する必要はなく、第1エコーデータFM(H)Rxが得られれば高周波エコー画像を更新し、第2エコーデータFM(L)Rxが得られれば低周波エコー画像を更新すればよい。また、魚体長情報の生成と高周波エコー画像及び低周波エコー画像の生成順は、逆であってもよい。同様に、第3超音波信号CW(H)Txと第4超音波信号FM(L)Txの送信順序は逆であってもよく、第3超音波信号CW(H)Tx、第4超音波信号FM(L)Tx、第5超音波信号CW(M)Txの送信順序もこの限りではない。
【0159】
また、上述の第2の実施形態の説明では、エコー画像形成用の第1、第2超音波信号FM(H)Tx,FM(L)Txを繰り返し送信する場合を示したが、底質判別用の第3、第4超音波信号CW(H)Tx,CW(L)Txを繰り返し送信する場合にも、第2の実施形態に示した構成及び処理を適用することができる。
【0160】
また、上述の第1の実施形態の説明では、時間軸上で隣り合う二組の第1、第2超音波信号FM(H)Tx,FM(L)Txの間に、第3超音波信号CW(H)Txもしくは第4超音波信号CW(L)Txを送信する例を示した。しかしながら、底質判別等の付加情報の更新周期に重点を置く場合には、第3超音波信号CW(H)Txと第4超音波信号CW(L)Txとを組にし、時間軸上で隣り合う二組の第3、第4超音波信号CW(H)Tx,CW(L)Txの間に、第1超音波信号FM(H)Txもしくは第2超音波信号FM(L)Txを送信するようにしてもよい。これは、他の実施形態にも適用することができる。
【0161】
また、第2の実施形態に示した魚体長情報の生成方法を、第1の実施形態に示した時間軸上で隣り合う二組の第1、第2超音波信号FM(H)Tx,FM(L)Txのエコー信号FM(H)Rx,FM(L)Rxに適用してもよい。これにより、エコー画像の更新速度を速くしながら、複数の付加情報(底質判別情報、魚体長情報)を得ることができる。
【0162】
また、上述の説明では、第3超音波信号CW(H)Txと第4超音波信号CW(L)Txは、搬送波周波数が異なるだけの違いであったが、パルス長を異ならせてもよい。これにより、さらに精度良く底質判別を行うことができる。同様に、第3超音波信号CW(H)Txと第4超音波信号CW(L)Txと第5超音波信号CW(M)Txで、搬送波周波数とパルス長を異ならせてもよい。
【0163】
また、上述の説明では、各超音波信号を順次送信する例を示したが、2種類の周波数の超音波信号を同時に送信できる構成を備えることで、時間軸上で隣り合う2種類の超音波信号を同時に送信してもよい。例えば、第1の実施形態の例であれば、第1超音波信号FM(H)Txと第2超音波信号FM(L)Txとを同時送信した後、第3超音波信号CW(H)Txと第1超音波信号FM(H)Txを同時送信する。次に、第2超音波信号FM(L)Txと第4超音波信号CW(L)Txを同時送信する。
【0164】
また、上述の説明では、エコー画像に対する付加情報の生成として底質判別、魚体長判別を行う例に説明したが、エコー画像に対する他の付加情報の生成として、例えば魚種判別等を行う場合にも適用することができる。
【0165】
また、上述の説明では、エコー画像用の超音波信号として周波数変調された超音波信号を用いる例を示したが、無変調信号を用いてもよい。
【符号の説明】
【0166】
10,10A:超音波送受信装置、
20:制御部、
30:送信部、
40:受信部、
50:表示器、
100:送受波器、
210:画像生成部、
220,220A:付加情報生成部、
901:魚、902:海底
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10