(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベッド本体に取り付けられた荷重検出器によって、前記ベッド本体に加わる荷重の変化を検出し、前記ベッド本体の寝床面上における利用者の状態を検出する荷重検出機能付きベッドであって、
前記ベッド本体は、前記寝床面を形成する寝床面形成部と、前記ベッド本体を設置すべき設置面に接する脚部と、前記寝床面形成部が前記設置面の上方に位置するように、前記寝床面形成部と前記脚部との間を連結して前記寝床面形成部からの荷重を前記脚部に向けて伝達する連結支持部とを有する構成とされ、
前記荷重検出器は、前記ベッド本体に荷重が加わることで発生する歪みを計測するロードセルを有し、
前記ロードセルは、前記寝床面形成部の側から荷重が加えられる基体と、前記基体に取り付けられた歪センサとを有してなり、
前記基体は、荷重受け領域及び一対の支点受け領域を有する荷重受け梁部と、前記荷重受け梁部における異なる位置から突出する一対の作動腕部と、前記一対の作動腕部の先端側の部分同士を連結する連結部とを有し、かつ前記荷重受け梁部、前記一対の作動腕部および前記連結部が、全体として連続して中空部分を取り囲むように構成されており、
前記荷重受け領域は、前記一対の支点受け領域の中間において前記一対の支点受け領域を結ぶ直線を横断する基準面に相当する位置に形成され、かつ前記荷重受け領域は、前記基準面に沿った方向に加えられる荷重を受けるように構成され、
さらに、前記一対の作動腕部の一方は、前記荷重受け梁部における前記基準面に対して前記一対の支点受け領域のうちの一方が位置する側から突出するように、また前記一対の作動腕部の他方は、前記荷重受け梁部における前記基準面に対して前記一対の支点受け領域のうちの他方の前記支点受け領域が位置する側から突出するように形成されており、
また前記歪センサは、前記一対の作動腕部の少なくとも一方に取り付けられていて、前記一対の支点受け領域を支持した状態で前記荷重受け領域に前記基準面に沿った荷重を加えることによって、前記一対の作動腕部の少なくとも一方が弾性変形し、その弾性変形の歪を前記歪センサが検出するように構成され、
前記ベッド本体における前記寝床面形成部から前記連結支持部を経て前記脚部に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、前記寝床面形成部の側からの荷重を受けてその荷重を前記設置面側に伝達する部位に、前記ロードセルの前記基体が設けられていることを特徴とする荷重検出機能付きベッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、荷重センサを用いてベッド本体の荷重を検出する際に、ベッドの脚部に設けられたキャスターを、荷重センサのスロープ部の前側近傍まで移動し、このスロープ部上を通過させた後、荷重センサの荷重受け部上に載置しなければならず、非常に面倒である。
【0014】
一方、特許文献2に記載の発明では、例えばベッド本体が壁際に沿って設置された場合に、このベッド本体と壁との間に設置者が入り込むことができないため、荷重検出器をベッド本体と設置面との間の空所に配置することが非常に困難となる。
【0015】
一方、特許文献3に記載の発明では、ベッド本体に荷重検出器が予め組み込まれているものの、ベッド本体を荷重検出器に合わせた設計としなければならず、そのための新たな部品が必要となる。このため、荷重検出機能付きベッドとしては非常に高価なものとなってしまう。さらに、部品点数の増加により軽量化が困難となってしまう。
【0016】
また
図31に示したカンチレバー(片持梁)タイプの歪センサを用いた従来のロードセルをベッド本体に適用する場合、起歪体の一端をベッド本体の固定部位に固定して、その起歪体の他端に、起歪体の長さ方向に対して直角をなす方向に荷重Wを加えるため、起歪体の強度が低い場合には、過大な荷重によって起歪体が折損したり、繰り返し荷重によって起歪体が疲労破壊したりしやすい問題がある。とりわけ、荷重検出精度を高めるために、加えられる荷重による歪の発生量を大きくするべく、固定部位に対する支持位置(支点)と、荷重Wが加わる位置(力点)との間の距離、すなわち起歪体の実質長さを大きくすれば、起歪体が一層折損、破壊しやすくなってしまう。一方、このような過大荷重や繰り返し荷重による折損や破壊を防止するために起歪体の剛性を高めれば、荷重が加わった時の歪の発生が小さくなり、そのため荷重検出精度が低下してしまう。さらに、荷重Wが加えられる方向線に対して、起歪体の実質長さ分だけ支点位置が側方に偏っているため、狭い個所に設置することが困難であるという問題もある。そしてまた、片持ち梁方式であるところから、支点部分はベッド本体の固定位置にしっかりと取り付けておく必要があり、そのため、既存のベッド本体にロードセルを組み込むに当っては、ロードセル取り付けのために、ベッド本体に改めて加工を施さなければならないという問題もある。
【0017】
一方、
図32に示したような従来の両持ち梁方式のロードセルを適用した場合、起歪体の両端が支持されるため、
図31に示した片持ち梁方式のロードセルと比較すれば、過大な荷重による折損や疲労破壊の危険性は小さいが、その反面、片持ち梁方式よりも起歪体の変形が少なくなって、高精度での歪測定が困難となるおそれがある。また、荷重Wが加えられる方向線の両側に離れて支点が位置するため、片持ち梁方式よりも一層、狭い個所に設置することが困難となるという問題がある。
その他、ダイヤフラム方式の平板状ロードセルも、上記の両持ち梁方式と同様な問題がある。
【0018】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、部品点数の増加を抑制しつつ、ベッド本体に簡単かつ容易に荷重検出機能を付加することを可能とし、しかも耐久性も優れかつ荷重検出精度も高い荷重検出機能付きベッド、並びに、そのような荷重検出機能を既存のベッドに付加するため、ベッド本体に容易に組み込むことを可能とした荷重検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の基本的な態様(第1の態様)による荷重検出機能付きベッドは、
ベッド本体に取り付けられた荷重検出器によって、前記ベッド本体に加わる荷重の変化を検出し、前記ベッド本体の寝床面上における利用者の状態を検出する荷重検出機能付きベッドであって、
前記ベッド本体は、前記寝床面を形成する寝床面形成部と、
前記ベッド本体を設置すべき設置面に接する脚部と、前記寝床面形成部が前記設置面の上方に位置するように、
前記寝床面形成部と
前記脚部との間を連結して前記寝床面形成部からの荷重を
前記脚部に向けて伝達する連結支持部とを有する構成とされ、
前記荷重検出器は、前記ベッド本体に荷重が加わることで発生する歪みを計測するロードセルを有し、
前記ロードセルは、前記寝床面形成部の側から荷重が加えられる基体と、
前記基体に取り付けられた歪センサとを有してなり、
前記基体は、荷重受け領域及び一対の支点受け領域を有する荷重受け梁部と、
前記荷重受け梁部における異なる位置から突出する一対の作動腕部と、
前記一対の作動腕部の先端側の部分同士を連結する連結部とを有し、かつ
前記荷重受け梁部、
前記一対の作動腕部および
前記連結部が、全体として連続して中空部分を取り囲むように構成されており、
前記荷重受け領域は、前記一対の支点受け領域の中間において
前記一対の支点受け領域を結ぶ直線を横断する基準面に相当する位置に形成され、かつ
前記荷重受け領域は、前記基準面に沿った方向に加えられる荷重を受けるように構成され、
さらに、前記一対の作動腕部の一方は、
前記荷重受け梁部における前記基準面に対して前記一対の支点受け領域のうちの一方が位置する側から突出するように、また
前記一対の作動腕部の他方は、
前記荷重受け梁部における前記基準面に対して前記一対の支点受け領域のうちの他方の
前記支点受け領域が位置する側から突出するように形成されており、
また前記歪センサは、前記一対の作動腕部の少なくとも一方に取り付けられていて、前記一対の支点受け領域を支持した状態で
前記荷重受け領域に前記基準面に沿った荷重を加えることによって、前記一対の作動腕部の少なくとも一方が弾性変形し、その弾性変形の歪を前記歪センサが検出するように構成され、
前記ベッド本体における前記寝床面形成部から
前記連結支持部を経て
前記脚部に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、
前記寝床面形成部の側からの荷重を受けてその荷重を
前記設置面側に伝達する部位に、前記ロードセ
ルの
前記基体が設けられていることを特徴とするものである。
ここで、「一対の支点受け領域の中間」とは、一対の支点受け領域の間であればよく、一対の支点受け領域の中央に限定されない。
また、「基準面」は、一対の支点受け領域の間において、一対の支点受け領域を結ぶ直線が貫通するような向きで配置する仮想的な面であり、一対の支点受け領域を結ぶ直線に対して直交する向きで配置する場合に限定されない。
また、「荷重伝達経路」は換言すれば、寝床面形成部にかかった荷重を接地面に接する脚部に伝える構造部材、あるいは、寝床面形成部から脚部方向に伸びており、寝床面形成部にかかる荷重を支持する構造部材、あるいは、寝床面形成部にかかる荷重を脚部まで支える構造部材、である。
また、「中空部分」は、荷重受け梁部、一対の作動腕部および連結部等によって形成される中空の部分である。
【0020】
このような第1の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、そのロードセルの基体における支点受け領域をベッド本体の部材によって支持させれば、荷重受け梁部はいわゆる両持ち梁として機能する。そのため、荷重受け梁部の荷重受け領域に、基準面に沿って荷重が加えられれば、その部分を中心として荷重受け梁部に、基準面に沿って張り出す方向に湾曲状の微小撓み変形(弾性変形)が生じる。すなわちこの微小撓み変形は、荷重受け梁部における基準面に対して左右両側の部位(支点受け領域に近い部位)で、それぞれ基準面に直交する面に対してわずかに傾斜するように生じる。これに伴い、荷重受け梁部における基準面と支点受け領域との間の位置から突出する一対作動腕部には、その先端部間の距離を拡大させる方向に傾斜させる力が作用するが、一対の作動腕部の先端部側の部分の間は連結部によって拘束されているため、その力は、一対の作動腕部の長さ方向の中間部分の相互間の間隔を拡大させるように作用する。これによって、一対の作動腕部のうちの少なくとも一方は、その長さ方向の中間部が前記基準面から離隔する方向に張り出すように微小変形する。そのため、前記少なくとも一方の作動腕部における前記中空部分に向く側の面(基準面に向く面:内面)および前記中空部分に対して外側に向く側の面(基準面に対し外側に向く面:外面)に、歪(引張歪もしくは圧縮歪)が発生し、その歪が歪センサによって検出される。ここで、作動腕部の歪は、荷重受け梁部の歪によって生じるものであるから、結果的に荷重受け梁部の歪、ひいてはその荷重受け梁部に加わっている荷重(ベッド本体の荷重)が検出されたことになる。
【0021】
そして上記第1の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、ロードセル基体の作動腕部における荷重受け梁部から連結部までの長さを、荷重受け梁部の一対の支点受け領域の間の距離に対して適切に設定し、また作動腕部の剛性を適切に調整することによって、荷重が加わった際の荷重受け梁部の歪よりも、作動腕部の歪を大きくすることができる。すなわちその場合には、荷重受け梁部の歪が、作動腕部によって増幅されることになる。そしてその増幅された歪を歪センサが検出することによって、荷重受け梁部の歪を直接検出する場合と比較して、高精度で荷重を検出することができる。
【0022】
ここで、上述のように作動腕部によって歪を増幅するために要する作動腕部の連結部までの長さは、作動腕部の材質や形状、断面積などに依存する作動腕部の剛性によって異なるから、一概には規定することはできないが、仮に作動腕部の剛性が荷重受け梁部と同等であると仮定すれば、作動腕部の前記長さが、荷重受け梁部の一対の支点受け領域の間の距離よりも大きければ、上記の歪増幅効果を発揮させることが可能と考えられる。但し、実際は、作動腕部を、その剛性が荷重受け梁部よりも低くなるように形状や断面積などを調整することによって、作動腕部の前記長さが、荷重受け梁部の一対の支点受け領域の間の距離よりも小さい場合でも、上記の歪増幅効果を発揮させることができる。さらに、作動腕部の前記長さを、荷重受け梁部の一対の支点受け領域の間の距離よりも大きくすると同時に、作動腕部の剛性が荷重受け梁部よりも低くなるように形状や断面積などを調整すれば、より一層上記の歪増幅効果を大きくして、より高精度に荷重を検出することが可能となる。
【0023】
なお作動腕部には、ベッド本体の荷重は直接的には加わらないため、その剛性を荷重受け梁部よりも格段に小さくしても、荷重印加に伴う破損や疲労破壊のおそれは少ない。したがって作動腕部の剛性を低くして歪増幅効果をより高めることが実際的に可能である。
【0024】
一方、荷重受け梁部については、ベッド本体の荷重を直接受ける部分ではあるが、本発明で使用するロードセルでは、荷重受け梁部に発生する歪を直接検出しないため、前述のように作動腕部による歪増幅効果が得られる場合は、ベッド本体の荷重による荷重受け梁部の歪量はわずかであっても構わない。したがって、荷重受け梁部それ自体の剛性を高めて、過大な荷重による荷重受け梁部の折損や繰り返し荷重による疲労破壊のおそれを少なくすることができる。
【0025】
また、上述のようにベッド本体の荷重による荷重受け梁部の歪量はわずかであっても構わないことから、高精度で検出するために荷重受け梁部の一対の支点受け領域の間の距離を大きくする必要がない。すなわち、荷重受け梁部の長さを小さくして、荷重の加わる方向に直交する面内での寸法を小さくすることが可能となる。その結果、ベッド本体における狭い個所にも荷重検出器を配置することが可能となる。
【0026】
さらに、荷重受け梁部は、一対の支点受け領域によって両持ち梁として支持されるため、要はその支点受け領域が、ベッド本体に固定された部材から外れてしまわないように支持されていれば良い。したがって支点受け領域においてベッド本体に固定された支持部材に堅固に固定する必要がなく、そのため荷重検出器を設置するに当たっては、ベッド本体の部材に固定するための加工や溶接を施したり、ボルト・ナットなどの緊結部材を用いたりする必要がなく、既存のベッド本体にも容易に設置することが可能となる。
【0027】
また本発明の第2の態様の荷重検出機能付きベッドは、前記第1の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記ロードセルにおける
前記荷重受け領域が、それぞれ
前記寝床面形成部からの荷重が導かれる荷重印加部材に接する面によって構成されていることを特徴とするものである。
【0028】
また本発明の第3の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第1又は第2のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記歪センサが
、少なくとも一方の
前記作動腕部における各面のうち、前記中空部分に対して外側に向く面と内側に向く面とのいずれか一方または双方の面に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0029】
ベッド本体の荷重によって荷重受け梁部が撓み変形し、それに伴って、一対の作動腕部間の間隔が拡大する方向に少なくとも一方の作動腕部が変形する際の歪は、その作動腕部における各面のうち、前記中空部分に対して外側の面及び内側の面に、引張歪もしくは圧縮歪として顕著かつ安定して現れるから、第3の態様で規定するように、作動腕部の外側の面及び内側の面のいずれか一方または双方の面に歪センサを取り付けておくことによって、作動腕部の歪を確実に検出することができる。
【0030】
また本発明の第4の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第3の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記一対の作動腕部のうちの一方の作動腕部は他方の作動腕部よりも剛性が小さくなるように作られており、かつ前記一方の作動腕部に前記歪センサが取り付けていることを特徴とするものである。
この第4の態様においては、ベッド本体の荷重が加えられて荷重受け梁部が撓み変形し、それに伴って作動腕部が変形する際には、剛性が小さい側の前記一方の作動腕部が、他方の作動腕部よりも大きく変形し、前記一方の作動腕部の歪量が他方の作動腕部の歪量よりも大きくなる。また場合によっては、実質的に前記一方の作動腕部のみが変形して、他方の作動腕部は変形が非常に小さく、大きな歪みは前記一方の作動腕部のみに生じる。いずれの場合も、荷重受け梁部の撓み変形に伴う作動腕部の変形が、一方の作動腕部に集中することになり、その結果、前記一方の作動腕部の歪量が、両作動腕部に均等に歪が生じる場合よりも大きくなる。そのため、その前記一方の作動腕部の側で歪を検出することによって、より高精度で荷重を検出することが可能となる。
【0031】
また本発明の第5の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第4の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記一対の作動腕部のうちの一方の作動腕部における、前記中空部分に向く内側及び/又は外側の面に凹部が形成されて、前記一方の作動腕部が弾性変形したときに、
前記一方の作動腕部における前記凹部に対応する部位の歪が増幅されるように構成されており、かつその個所に前記歪センサが取り付けられていることを特徴とするものである。
【0032】
この第5の態様においては、前記一方の作動腕部における凹部の位置では、その作動腕部の内外方向の幅が局部的に小さくなっているため、その部位では局部的に他の部位よりも剛性が小さく、そのため同じ荷重でもその部位の変形が大きくなり(歪が増幅され)、その部位の歪を検出することによって、より高精度で荷重を検出することが可能となる。
【0033】
また本発明の第6の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第4の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記一対の作動腕部のうちの一方の作動腕部における、前記中空部分に向く内側及び/又は外側の面に、2以上の
前記凹部が、
前記一方の作動腕部の長さ方向に間隔を置いて形成されて、
前記一方の作動腕部が弾性変形したときに、
前記一方の作動腕部におけ
る2以上の
前記凹部
の各々に対応する部位の歪が増幅されるように構成されており、
しかも前記歪センサが、1以上の歪検出素子によって構成されており、かつ
前記1以上の歪検出素子のうちのいずれか少なくとも一つは
、2以上の
前記凹部のうちの少なくとも一つの凹部に対応する部位に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0034】
この第6の態様においては、作動腕部の突出長さ方向に間隔を置いて、中空部分に向く内側の面に2以上の凹部が形成されているため、隣り合って二つの凹部を形成した部分については、メガネ型のロバーバル機構の片側半分と同様な形状となっている。そのため、荷重受け梁部7に荷重が加えられて前記作動腕部が変形する際には、メガネ型のロバーバル機構を設けた場合と同様に、各凹部のそれぞれの外側に対応する位置において歪を集中的に生じさせることができる。
【0035】
また本発明の第7の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第6の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記歪センサが、2以上の
前記歪検出素子によって構成されており、か
つ2以上の
前記歪検出素子のうちのいずれか少なくとも一つの歪検出素子は、隣り合う2以上の
前記凹部のうちの一方の凹部に対応する部位に、また他の少なくとも一つの
前記歪検出素子は、隣り合う2以上の
前記凹部のうちの他方の凹部に対応する部位に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0036】
このような第7の態様においては、前記第6の態様に関して述べたと同様に、一方の作動腕部の長さ方向に隣り合って二つの凹部を形成した部分が、メガネ型のロバーバル機構の片側半分と同様な形状となっているため、荷重受け梁部7に荷重が加えられて前記作動腕部が変形する際には、各凹部のそれぞれの外側に対応する位置において歪を集中的に生じさせることができる。そしてこの際に、隣り合う二つの凹部のうちの一方の凹部を形成した部分と、他方の凹部を形成した部分とで、引張歪/圧縮歪に関して逆方向の歪を発生させることができる。従って、作動腕部の同一面側において引張歪が発生する部位と圧縮歪が発生する部位とが近接している。そのため2以上の歪検出素子(例えば歪ゲージ)により構成される歪センサを用いた場合、引張歪が作用する歪検出素子と圧縮歪が作用する歪検出素子とを近接して配置することができ、したがって各歪検出素子間の配線や外部機器へのリード線の取り回しが容易となる。
【0037】
また本発明の第8の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第1〜第7のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記一対の作動腕部のうちの一方の作動腕部にロバーバル機構が形成されており、前記一方の作動腕部が弾性変形したときに、前記ロバーバル機構によって
前記一方の作動腕部の歪が増幅されるように構成され、かつ前記一方の作動腕部に
前記歪センサが取り付けられていることを特徴とするものである。
【0038】
また本発明の第9の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第1〜第8のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記ロードセルにおける
前記一対の支点受け領域が、それぞれ
前記ベッド本体における固定部位に接して支持される面によって構成されていることを特徴とするものである。
【0039】
さらに本発明の第10の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第1〜第8のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記ロードセルにおける
前記一対の支点受け領域が、それぞれ
前記ベッド本体における固定部位に嵌め込まれていることを特徴とするものである。
【0040】
さらに本発明の第11の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第1〜第8のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、前記ロードセルにおける
前記一対の支点受け領域が、それぞれ
前記ベッド本体における固定部位に
前記基体を支持させるための取り付け孔によっ
て構成されていることを特徴とするものである。
【0041】
これらの第9〜第11の態様では、ロードセルの基体における一対の支点受け領域を支持するための好ましい構成について規定しているが、いずれの態様であっても、荷重受け梁部を両持ち支持させて、前述のように荷重検出を行なうことができる。なおここで、一対の支点受け領域は、既に述べたようにベッド本体の部材に堅固に固定する必要がないから、例えば第9の態様では、支点受け領域の面がベッド本体の部材上に接するように載置するだけで良い。また第10の態様において、支点受け領域をベッド本体の固定部位に嵌め込む際には、緊密に嵌め合わせる必要はない。さらに、第11の態様では、取り付け孔にベッド本体側のピン(軸)を挿通させるだけでよく、特に螺子止めなどを行なう必要はない。
但し、場合によっては、支点受け領域を、螺子止めあるいは溶接などによってベッド本体の部材にしっかりと固定することが許容されることはもちろんである。
【0042】
また本発明の第12の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第1〜第11のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記ロードセルの基体が、前記ベッド本体における
前記連結支持部の中間に介在されていることを特徴とするものである。
【0043】
また本発明の第13の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第12の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記連結支持部が、前記寝床面形成部を昇降させる昇降リンク機構を備え、前記ロードセルの基体が、前記昇降リンク機構に組み込まれていることを特徴とするものである。
【0044】
また本発明の第14の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第13の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記連結支持部が、前記昇降リンク機構のほか、前記設置面の上方に前記脚部を介して支持される下側フレームを備え、
前記昇降リンク機構は、前記寝床面形成部と下側アームとの間を連結するアームとして、少なくとも第1のアームと第2のアームとを有し、かつ前記第1のアームは、前記寝床面形成部の側に連結され、また前記第2のアームは
前記下側フレームの側に連結され、
前記寝床面形成部及び
前記下側アームの間に前記ロードセルの基体が介在されていることを特徴とするものである。
【0045】
また本発明の第15の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第14の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記寝床面形成部が、寝板と、
前記寝板を支持する上側フレームとを有してなり、
かつ前記昇降リンク機構は、前記上側フレームと
前記下側アームとの間を連結するアームとして、少なくとも
前記第1のアームと
前記第2のアームとを有し、かつ前記第1のアームは、前記上側フレームの側に連結され、また前記第2のアームは
前記下側フレームの側に連結され、
前記上側フレーム及び
前記下側アームの間に前記ロードセルの基体が介在されていることを特徴とするものである。
【0046】
また本発明の第16の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第15の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記上側アーム及び
前記下側アームのうちのいずれか一方のアームにおける前記ロードセルの基体が位置する側の端部に支軸が設けられ、前記基体における荷重受け部と荷重伝達部とのうちのいずれか一方に前記支軸を受ける軸受部が形成されていることを特徴とするものである。
【0047】
また本発明の第17の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第16の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記ロードセルの基体における前記荷重伝達部が、
前記上側アーム及び
前記下側アームのうちの他方のアームに取り付けられる取り付け部とされていることを特徴とするものである。
【0048】
また本発明の第18の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第17の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記他方のアームにおける
前記基体側の端部に中空筒部が形成されており、
前記中空筒部内に前記基体の
前記取り付け部が挿入されて、
前記取り付け部が前記中空筒部に固定されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0049】
また本発明の第19の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第1〜第11のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記ロードセルの基体が、前記寝床面形成部と前記連結支持部との間に介在されていることを特徴とするものである。
【0050】
また本発明の第20の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第1〜第11のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記ロードセルの基体が、前記連結支持部と
前記脚部との間に介在されていることを特徴とするものである。
【0051】
また本発明の第21の態様による荷重検出機能付きベッドは、前記第1〜第11のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記ロードセルの基体が、前記脚部に組み込まれていることを特徴とするものである。
【0052】
また本発明の第22の態様によるベッド用荷重検出器は、
寝床面を形成する寝床面形成部と、ベッド本体を設置すべき設置面に接する脚部と、前記寝床面形成部が前記設置面の上方に位置するように、
前記寝床面形成部と
前記脚部との間を連結して前記寝床面形成部からの荷重を
前記脚部に向けて伝達する連結支持部とを有してなる
前記ベッド本体に取り付けることによって、前記ベッド本体に加わる荷重の変化を測定し、前記ベッド本体の寝床面上における利用者の状態を検出するための荷重検出器において、
前記寝床面形成部の側からの荷重を受ける基体と、
前記基体の歪を検出するべく
前記基体に取り付けられた歪センサとを有するロードセルを備え、
前記基体は、荷重受け領域及び一対の支点受け領域を有する荷重受け梁部と、
前記荷重受け梁部における異なる位置から突出する一対の作動腕部と、
前記一対の作動腕部の先端側の部分同士を連結する連結部とを有し、かつ
前記荷重受け梁部、
前記一対の作動腕部および
前記連結部が、全体として連続して中空部分を取り囲むように構成されており、
前記荷重受け領域は、前記一対の支点受け領域の中間において
前記一対の支点受け領域を結ぶ直線を横断する基準面に相当する位置に形成され、かつ
前記荷重受け領域は、前記基準面に沿った方向に加えられる荷重を受けるように構成され
、
さらに、前記一対の作動腕部の一方は、
前記荷重受け梁部における前記基準面に対して前記一対の支点受け領域のうちの一方が位置する側から突出するように、また
前記一対の作動腕部の他方は、
前記荷重受け梁部における前記基準面に対して前記一対の支点受け領域のうちの他方の支点
受け領
域が位置する側から突出するように形成されており、
前記歪センサは、前記一対の作動腕部の少なくとも一方に取り付けられていて、前記一対の支点受け領域を支持した状態で
前記荷重受け領域に前記基準面に沿った荷重を加えることによって、前記一対の作動腕部の少なくとも一方が弾性変形し、
前記弾性変形の歪を前記歪センサが検出するように構成されており、
しかも前記ベッド本体における前記寝床面形成部から
前記連結支持部を経て
前記脚部に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、前記寝床面形成部の側からの荷重を受けて
前記荷重を設置面側に伝達する部位に、前記基体が
前記ベッド本体の部品と交換可能に取り付けられるように構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、部品点数の増加を抑制しつつ、簡便な構造によって荷重検出機能を付加することを可能とし、同時に荷重検出器の耐久性を確保しつつ高精度での荷重検出を可能とした荷重検出機能付きベッド、並びに、そのような荷重検出機能を既存のベッドに付加するため、ベッド本体に別途組み込むことを可能とした荷重検出器を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の荷重検出機能付きベッド及び荷重検出器の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す例は例示に過ぎず、本発明はこれらの例には限定されない。
【0056】
先ず、本発明の荷重検出機能付きベッドに使用される荷重検出器について、
図1〜
図21を参照して、その原理から具体的構成までを、順を追って説明する。
【0057】
図1および
図2は、本発明の荷重検出機能付きベッドに使用される荷重検出器の原理的な構成を示す図であり、また
図3はその荷重検出器の歪センサに用いられるホイートストンブリッジ回路を示し、さらに
図4は上記の原理的構成の荷重検出器の使用時の状況(荷重が加えられている状況)を、
図1に対応して示す図である。
【0058】
図1、
図2において、荷重検出器1は、検出すべき荷重が加えられる基体3と、その基体3に取り付けられた歪センサ5とによって構成されるロードセル2を具備している。
基体3の材質は、加えられる荷重によって弾性歪が生じ、しかもその荷重に耐え得る程度の強度を有する材料であれば特に限定されるものではなく、通常はアルミニウム合金あるいはステンレス鋼などの金属材料が用いられる。
基体3は、図示の例では、ある厚みTを有する厚板からなり、その厚み方向に対して直交する断面で見て、中央部分にほぼ長四角状の中空部分(窓部)17が形成されるように、全体として縦長の略長矩形状をなす形状とされている。但し基体3は、完全な長矩形ではなく、長矩形の短辺に相当する二辺(後述する荷重受け梁部7及び連結部9)のうち、上側の短辺(荷重受け梁部7)は、その両端部分が、長矩形の長辺に相当する二辺(後述する一対の作動腕部11A、11B)よりも左右に突出するように形成されている。なお、中空部分(窓部)17の位置は中央部分には限定されず、本発明の効果を発揮できる位置であれば、何ら制限はない。また、その形状は長四角状を含む矩形状には限定されず、本発明の効果を発揮できる形状であれば、何ら制限はなく、例えば、楕円や長円等の曲線を含む形状等でもよい。図に示した中空部分(窓部)17は、荷重受け梁部と、作動腕部と、連結部とによって囲まれた部分である。
基体3を構成する長矩形の二つの短辺のうちの上辺は、荷重受け梁部7とされており、その長さ方向の中央部の上面には、凹状に窪む部分(13)が形成されており、その窪み部分は、検出すべき荷重を受ける荷重受け領域13とされている。また、荷重受け梁部7の長さ方向の両端部分(左右に突出する両端部分)の下面には、水平な段差面(15A、15B)が形成され、その段差面が、その領域を支点として基体3を支持するための支点受け領域15A、15Bとされている。なお、荷重受け領域13は、特に窪みなどの形状を与えない平面的な領域であってもよい。
支点受け領域(段差面)15A、15Bは外部の固定された支持部材19A、19Bの上面に載置され、荷重受け領域13には例えば、垂直棒状の荷重印加部材21によって外部からの荷重が加えられる。
【0059】
一方、ロードセル2の基体3を構成する長矩形の長辺に相当する平行な2辺は、作動腕部11A、11Bとされている。この作動腕部11A、11Bは、本例では、荷重受け梁部7の長さ方向の中央位置(荷重受け領域13の中心)Oを基準として左右対称の位置から下方(すなわち荷重受け梁部7の長さ方向に対して直角の方向)に突出するように平行に形成され、その作動腕部11A、11Bの下端側の部分(
図1、
図2の例では最下端部)は、前記長矩形の下側の短辺(下辺)に相当する連結部9によって連結されている。
このようにして、基体3は、荷重受け梁部7と、一対の作動腕部11A、11Bと、連結部9とが、全体としてほぼ長四角状の中空部分(窓部)17を連続的に取り囲む構成となっている。
【0060】
そして前記作動腕部11A、11Bのいずれか一方または双方(図示の例では左側の作動腕部11Aのみ)における長さ方向の中央部近くの部位の外面側(中空部分17に対して外側を向く面)には、歪センサ5が貼着されている。この歪センサ5は、歪検出素子として、例えば歪によって電気抵抗が変化する4個の歪ゲージR1、R2、R3、R4を用い、その4個の歪ゲージ(歪検出素子)R1、R2、R3、R4を、例えば
図3に示すようなホイートストンブリッジ回路23に組んだ構成とすれば良い。なおこれらの歪ゲージR1〜R4のうち、R1およびR3は、作動腕部11Aの長さ方向のほぼ中央部もしくはそれより若干下方の位置に貼着され、残りのR2およびR4は、連結部9に近い位置に貼着されている。
【0061】
このような
図1〜
図3に示す原理的な構成のロードセル2の基体3においては、荷重受け梁部7の長さ方向の中央位置Oを通り、荷重受け梁部7の長さ方向に対して直交する面を基準面Pとすれば、荷重受け領域13(窪み部分)は、基準面Pを通り、一対の作動腕部11A、11Bの一方の作動腕部11Aは、荷重受け梁部7における基準面Pに対して前記一対の支点受け領域(段差面)15A、15Bのうちの一方の支点受け領域15Aが位置する側から基準面Pと平行に突出するように、また他方の作動腕部11Bは、荷重受け梁部7における基準面Pに対して他方の支点受け領域15Bが位置する側から基準面Pと平行に突出するように形成されていることになる。
【0062】
上述のような
図1、
図2に示す原理的な構成の荷重検出器1のロードセル2において、外部から荷重Wが加えられたときの状況を、
図4に示す。なおここで、基体3は、その荷重受け梁部7の長さ方向の両端部の下面側の支点受け領域(段差面)15A、15Bが、外部(本発明では後述するようにベッド本体の一部に相当する)の固定された支持部材19A、19Bの上面に載置されて、荷重受け梁部7の長さ方向が水平となるように、いわゆる両持ち梁の状態で支持されている。また外部からの荷重(本発明ではベッド本体における寝床面形成部からの荷重)Wは、例えば垂直棒状の荷重印加部材21によって、荷重受け梁部7の長さ方向の中央部上面の荷重受け領域13(窪み部分)に、鉛直に(したがって前記基準面Pに沿って)加えられるものとする。この垂直棒状の荷重印加部材21は、荷重伝達経路を構成する部材である。
【0063】
荷重印加部材21から荷重受け梁部7の中央付近の荷重受け領域13に鉛直方向に荷重Wが加えられれば、荷重受け梁部7は、その中央部分が下方に張り出す方向に微小撓み変形(弾性変形)が生じる。この微小撓み変形によって、荷重受け梁部7における基準面Pに対して左側の領域では、中央部寄りの部分が下がる方向にわずかに傾斜し、基準面Pに対して右側の領域では、同じく中央部寄りの部分が下がる方向にわずかに傾斜する。このような荷重受け梁部7の撓み変形に伴って、その荷重受け梁部7における基準面Pに対して左右の位置から下方に突出する一対の作動腕部11A、11Bは、その先端部(下端部)間の距離を拡大させようとする力が作用するが、左右の作動腕部11A、11Bの先端部(下端部)の間の距離は連結部9によって拘束されているため、作動腕部11A、11Bは、その長さ方向の中央部分が左右に張り出す方向に微小変形する。そのため、作動腕部11A、11Bにおける長さ方向の中央部付近の外面側(基準面Pに対して外側を向く面)に引張歪が発生し、その引張歪が歪センサ5の歪ゲージR1、R3に作用する。一方、作動腕部11A、11Bにおける連結部9に近い部分の外側には、圧縮歪が生じ、その圧縮歪が歪センサ5の歪ゲージR2、R4に作用する。したがって、例えば
図3に示すように歪ゲージR1〜R4によってホイートストンブリッジ回路23を組んでおけば、上記の作動腕部11Aの引張歪、圧縮歪による電位差が荷重信号として出力される。ここで、作動腕部11Aの歪は、荷重受け梁部7の歪によって生じるものであるから、結果的に荷重受け梁部7の歪、ひいてはその荷重受け梁部7に加わっている荷重が検出されたことになる。
上記弾性変形は、例えば、荷重受け梁部が両持ち梁として微小変形し、その荷重受け梁部の微小変形に伴って、前記一対の作動腕部の少なくとも一方が弾性変形するという態様で生じるものである。
【0064】
ここで、
図1に示しているように、作動腕部11A、11Bの長さ(荷重受け梁部7に続く個所から連結部9に続く個所までの寸法)Lを、荷重受け梁部7における一対の支点受け領域15A、15B間の距離L
0よりも充分に大きく設定するか、あるいは作動腕部11A、11Bについて、その断面積を荷重受け梁部7よりも小さくしたりあるいは形状に工夫を加えるなどの手法によって剛性が荷重受け梁部7よりも小さくなるように調整しておくか、さらにはこれらの寸法の調整と剛性の調整とを組み合わせておけば、作動腕部11A、11Bに生じる歪を、荷重受け梁部7それ自体に生じる歪よりも容易に大きくすることができる。そしてその場合には、荷重受け梁部7の歪を、作動腕部11Aによって増幅し、その増幅された歪を歪センサ5が検出することになる。したがって、ホイートストンブリッジ回路23の出力電圧も大きくなり、荷重受け梁部7に加わる荷重を高精度で検出することが可能となる。
【0065】
なお上述の説明では、歪センサ5を4個の歪ゲージR1、R2、R3、R4によって構成し、そのすべてを一方の作動腕部11Aの外側の面に貼着するものとしたが、場合によっては、その一部または全部を、作動腕部1Aの内側の面(中空部分17に向く面)に貼着しても良い。さらに、4個の歪ゲージR1、R2、R3、R4の一部を、一方の作動腕部11Aに、残りを他方の作動腕部11Bに貼着しても良い。
そしてまた、
図3に示すホイートストンブリッジ回路23の4個の抵抗体のうち、1〜3個のみを歪ゲージとして作動腕部11A、11Bのいずれか一方または双方に貼着し、残りの抵抗体をダミー抵抗(固定抵抗)としてもよいことはもちろんである。
【0066】
さらに、
図1〜
図4に示す例では、左右一対の作動腕部11A、11Bが、基準面Pと平行に突出するように形成されているものとして説明したが、作動腕部11A、11Bは、荷重受け梁部7から、基準面Pに対して傾斜する方向に突出するように形成されていてもよく、その場合の一例を
図5に示す。
図5の例では、作動腕部11A、11Bは、その長さ方向の先端側が相互に近接するように、基準面Pに対して角度θだけ傾斜しており、その近接した先端部分同士が連結部9によって連結されている。
このような構成であっても、
図1〜
図4に示した例と同様に、荷重受け梁部7の荷重受け領域13に加わる荷重Wによって荷重受け梁部7が撓み変形し、それに伴って、作動腕部11A、11Bが左右に張り出すように変形して、作動腕部11A、11Bの外面、内面に歪が発生するから、その歪を歪センサ5が検出することによって、加えられた荷重Wを測定することができる。
【0067】
なおまた、
図5では、作動腕部11A、11Bの長さ方向の先端側が相互に近接する方向に傾斜しているものとしたが、逆に作動腕部11A、11Bの長さ方向の先端側が相互に離隔するように基準面Pに対して傾斜していても良いことはもちろんである。さらに、作動腕部11A、11Bのうちの一方のみを基準面Pに対して傾斜させ、他方を基準面Pと平行となるように構成しても良い。
【0068】
さらに、
図1、
図2に示した例では、作動腕部11A、11Bの最下端部同士を連結部9によって連結した構成としているが、連結部9によって連結する部位は、要は作動腕部11A、11Bにおける歪センサ5の取り付け位置よりも先端側の個所であれば良い。したがって例えば
図6に示しているように、作動腕部11A、11Bの下端を連結部9よりも下方に延長させた構成としても良い。荷重測定対象の装置や設備などにおける荷重検出器の設置個所の形状や構造などによっては、このような形状とすることが有利となることもある。なおこの場合、
図6中の鎖線で示しているように、連結部9よりもさらに下方(作動腕部11A、11Bの最下端部)において、別の連結部9´により作動腕部11A、11Bを連結した構成としても良い。
【0069】
ここで、以上に示したロードセル2の各例では、左右一対の作動腕部11A、11Bが同等の剛性を有するものとして、荷重印加時に一対の作動腕部11A、11Bが同等に変形するように示している。
しかしながら、一対の作動腕部11A、11Bのうちの一方の作動腕部11Aのみで歪を検出する場合、各作動腕部11A、11Bの剛性を異ならしめ、実質的に一方の側の作動腕部11Aのみが変形して歪を生じるように構成することが望ましい。その場合の原理的な構成を、
図7、
図8に示す。
【0070】
図7、
図8において、一対の作動腕部11A、11Bのうち、右側(歪センサ5を設けない側)の作動腕部11Bは、例えば断面積を大きくするなどの手法により剛性を相対的に大きくして、荷重印加時に変形が生じにくいものとし、一方、左側(歪センサ5を設ける側)の作動腕部11Aは、例えば断面積を作動腕部11Bの断面積より小さくするなどの手法により剛性を相対的に小さくして、荷重印加時に変形が生じやすいものとしている。
このような構成とすれば、
図8に示しているように、荷重受け梁部7の荷重受け領域13に荷重が加わった時の荷重受け梁部7の撓み変形に伴い、一対の作動腕部11A、11Bのうちの、剛性が高い右側の作動腕部11Bは、変形しないかまたはその変形量がわずかとなり、これに対して剛性が低い左側の作動腕部11Aは、相対的に大きく変形(長さ方向の中央部が張り出すように変形)して、既に述べたと同様に、その作動腕部11Aに取り付けた歪センサ5(歪ゲージR1、R2、R3、R4)によって作動腕部11Aの歪、ひいては荷重が検出される。
【0071】
このような構成では、上述のように主として一方の作動腕部11Aのみが変形するため、
図1〜
図4に示した原理的構成の場合よりも、歪センサ5を設けた側の作動腕部11Aの歪量が大きくなり、その結果、荷重をより高精度で検出することが可能となる。
【0072】
なお、
図7に示したロードセル2の場合、荷重受け梁部7に鉛直方向に荷重Wを加えれば、一対の作動腕部11A、11Bのうち、剛性が小さい側(左側)の作動腕部11Aが
図8に示したように湾曲状に撓み変形するばかりでなく、剛性が大きい側(右側)の作動腕部11Bが、支点受け領域15Bを基準として、鉛直方向からわずかに反時計方向へ傾き(下端側が右方に移動するように傾き)、連結部9の位置もわずかに右方に移動するが、その傾き角度、移動量はごくわずかに過ぎず、そこで
図8ではその傾きおよび移動は無視して、特に図面上に表していない。
【0073】
以上、本発明の荷重検出機能付きベッドに使用される荷重検出器におけるロードセルの原理的な構成について説明したが、このような原理的構成を踏まえ、より具体化した荷重検出器のロードセルを、
図9〜
図13に示す。なお、
図9〜
図13において、
図1〜
図4に示した原理的構成と同じ部位については、これらの図と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0074】
図9〜
図13に示す荷重検出器1のロードセル2は、基本的には、
図1、
図2に示した例や
図7、
図8に示した例と同様に、荷重Wが加えられる基体3と歪センサ5(歪ゲージR1、R2、R3、R4)とによって構成されている。そして基体3は、荷重受け領域13及び一対の支点受け領域15A、15Bを有する荷重受け梁部7と、その荷重受け梁部7における左右の位置から突出する一対の作動腕部11A、11Bと、これらの作動腕部11A、11Bの先端側の部分同士を連結する連結部9とからなり、これら各部が全体として連続して中空部分17を取り囲む構成とされている。そして本例の場合、左右の作動腕部11A、11Bは、
図7、
図8に示した例に準じて、その剛性がアンバランスとなるように構成している。
【0075】
なお荷重を加えるための荷重印加部材21は、水平な軸線を有する軸部材で構成され、また、支持部材(
図1〜
図4の各例における符号19A、19B)は、本例では、垂直な軸線を有する中空な筒部材19とされており、その筒部材(支持部材)19における軸線を中心として対称な位置の端縁部が支持部19C、19Dとされている。なおこの中空な筒部材19は円筒であっても角筒であっても良い。そしてこの筒部材19の内側に、基体1の作動腕部11A、11Bが上方から挿入されるように構成されている。
【0076】
図9〜
図13に示す荷重検出器1のロードセル2において、基体3における荷重受け梁部7の荷重受け領域13には、垂直断面が円弧状に湾曲する軸受け部25が形成されており、この軸受け部25が前述の水平軸部材(荷重印加部材)21を受ける構成とされている。そしてその軸受け部25の左右両側から、上方に向けて突出する突辺部27A,27Bが連続一体に形成されて、その突辺部27A、27Bの間に前記水平軸部材(荷重印加部材)21が挿入されるように構成されている。
【0077】
さらに、既に述べたと同様に、荷重受け梁部7の中央位置Oを通りかつ荷重受け梁部7の長さ方向に対して直交する面を基準面Pとすれば、基体3の左側の部分(歪センサ5が位置する側の部分)のうち、上部は、前記基準面Pに対して直交する垂直面に沿って側方から切り込まれて、切り込み部29(
図10、
図12参照)が形成され、その切込み部29により二股状に分岐された形状とされている。具体的には、荷重受け梁部7における軸受け部25(荷重受け領域13)を含む左側の部分から、左右の作動腕部11A、11Bのうち左側の作動腕部11Aの長さ方向の中間までに渡って切り込み部29が形成されて、荷重受け梁部7における軸受け部25(荷重受け領域13)から一方の支点受け領域15Aの側の部分と、それに連続する一方の作動腕部11Aの中間位置までの部位とが、二股状に分岐されている。
【0078】
また作動腕部11Aには、
図9、
図13に示しているように、その上部から中間部分にかけての部分の外側面に傾斜面31が形成されて、上部から中間部にかけての部分においてその幅(厚み方向に対し直交する方向の幅)が狭くなるように作られ、さらに作動腕部11Aの内面側には、その作動腕部11Aの外面側に向かって窪む複数の凹部33A、33B、33Cが、作動腕部11Aの長さ方向(上下方向)に間隔を置いて形成されている。すなわち、作動腕部11Aにおける下端部(連結部9に続く部分)近くに第1の凹部33Aが形成され、その第1の凹部33Aよりも若干上方の位置に第2の凹部33Bが形成され、さらにそれよりも上方の位置(作動腕部11Aの長さ方向の中央よりも上方の位置)に第3の凹部33Cが形成されている。
そして、歪センサ5を構成する4個の歪ゲージR1、R2、R3、R4のうち、歪ゲージR1、R3は、第2の凹部33Bに対応する位置の外面に貼着され、歪ゲージR2、R4は、第1の凹部33Aに対応する位置の外面に貼着されている。
そしてこれらの歪ゲージR1、R2、R3、R4は、既に述べたと同様に、
図3に示したホイートストンブリッジ回路23に組まれている。
【0079】
図9〜
図13に示す荷重検出器1のロードセル2に荷重が加わった際の状況を
図14に示す。
図14において、作動腕部11A、11Bを中空な筒部材(支持部材)19の上端部に挿入して、荷重受け梁部7の両端部下面(段差面)の支点受け領域15A、15Bを、筒部材(支持部材)19の端縁(支持部19C、19D)に支持させ、軸受け部25に挿入されている水平軸部材(荷重印加部材)21から荷重Wが荷重受け領域13に加えられれば、荷重受け梁部7には、その中央部が下方にわずかに降下するような微小撓み変形が生じる。ここで、一対の作動腕部11A、11Bのうち、右側の作動腕部11Bは、切り込み部29が形成されておらず(
図10、
図13参照)、しかも凹部33A、33B、33Cも形成されていないため、左側の作動腕部11Aと比較して格段にその剛性が大きく、そのため、
図7、
図8に示した例と同様に、右側の作動腕部11Bは実質的に変形せず、もっぱら左側の作動腕部11Aのみが撓み変形する。すなわち、左方の作動腕部11Aのみが、左方(外方)に張り出すように変形する。しかも、この作動腕部11Aの内側に形成されている凹部33A、33Bによって、作動腕部11Aの撓み変形が局部的に助長されて、その助長された歪が歪センサ5によって効果的に検出される。
【0080】
すなわち、
図14に示しているように、作動腕部11Aの連結部9側の端部の第1の凹部33Aによって、その部分の作動腕部11Aの厚みが局部的に小さくなって剛性が小さくなっており、しかもその第1の凹部33Aの下側は連結部9によって拘束されているため、作動腕部11Aは、連結部9のごく近くの位置から外側に湾曲状に撓み変形する。そのため、第1の凹部33Aに対応する部位付近の外面に圧縮歪が集中的に生じ、その圧縮歪によって歪センサ5の歪ゲージR2(R4)に大きな抵抗変化が生じる。
さらに、第1の凹部33Aに近接してその上方に形成した第2の凹部33B付近でも、その部位の作動腕部11Aの厚みが局部的に小さくなって剛性が小さくなっており、その部位付近では、第1の凹部33A付近の弾性変形方向とは逆の方向に弾性変形し、その部位付近の外面に引張歪が集中的に発生する。そしてこの引張歪によって、歪センサ5の歪ゲージR1(R3)に大きな抵抗変化が生じる。
【0081】
ここで、
図14に示すロードセルは、メガネ型のロバーバル機構の半分を有するタイプのロバーバル機構を備えたものである。隣り合って第1の凹部33Aと第2の凹部33Bを形成した部分付近は、メガネ型のロバーバル機構における片側の形状と同様である。すなわち、従来技術の片持ち梁タイプとして示した
図22の荷重検出器における、メガネ型のロバーバル機構102を形成した起歪体100と、本実施形態における作動腕部11Aとを対比すれば明らかなように、第1の凹部33Aが、
図22のロバーバル機構102を構成する長孔103の一端の拡大孔部103Aに対応し、第2の凹部33Bが、長孔103の他端の拡大孔部103Bに対応する。そして作動腕部11Aが変形する際には、第1の凹部33Aを形成した部位付近と第2の凹部33Bを形成した部位付近に、メガネ型のロバーバル機構を形成した場合と同様な歪集中効果が得られ、しかも第1の凹部33A付近と第2の凹部33B付近とでは、逆方向の歪(変形)が生じるのである。
【0082】
このように、凹部33A、33Bを形成しておくことによって、歪ゲージR2(R4)の部位の圧縮歪、歪ゲージR1(R3)の部位の引張歪が、これらの凹部33A、33Bを形成していない場合と比較して格段に大きくなり、その結果前述のホイートストンブリッジ回路23から大きな出力を得ることができる。したがって、高精度で荷重を検出することが可能となり、わずかな荷重変動であってもそれを確実に把握することが可能となる。
しかもこのような構成では、圧縮歪を検出する歪ゲージR2(R4)と、引張歪を検出する歪ゲージR1(R3)とが近接して貼着されるため、これらの歪ゲージ間の配線や外部との間の入出力のためのリード線の取り回しも容易となる。
【0083】
なお本例において、第3の凹部33Cは、設計上の都合で形成したものであって、歪の増幅には直接関係しないから、作動腕部11Aには必ずしも形成しなくても良い。
【0084】
また本例においては、
図9、
図14に示しているように、作動腕部11A、11Bを、外部の固定された中空な筒部材(支持部材)19に挿入した際に、その筒部材19の内面19Eと作動腕部材11A、11Bの外面との間に空隙Gが生じるように、支点受け領域(段差面)15A、15Bの下側に第2の段差面15C、15Dを形成している。すなわち、作動腕部11A,11Bにおける筒部材(支持部材)19に挿入される部分について、それらの外面間の距離(
図9、
図14における作動腕部11Aの左側面と作動腕部11Bの右側面との間の最大距離)が、中空な筒部材(支持部材)19の内径よりも小さくなるように設定することによって、上記空隙Gが生じるように調整している。
このように、空隙Gが生じるように形状、寸法を調整しておくことによって、荷重が加わった時の作動腕部11Aの変形をその空隙G内で許容して、確実に歪を検出することが可能となる。
【0085】
またここで、本例においても、荷重受け梁部7に鉛直方向に荷重Wを加えれば、一対の作動腕部11A、11Bのうち、剛性が小さい側(左側)の作動腕部11Aが
図14に示したように撓み変形するばかりでなく、剛性が大きい側(右側)の作動腕部11Bが、支点受け領域15Bを基準として鉛直方向からわずかに反時計方向へ傾き(下端側が右方に移動するように傾き)、同時に連結部9の位置がわずかに右方に移動するが、その傾き角度、移動量はごくわずかに過ぎず、そこで
図14ではその傾きおよび移動は無視して、特に図面上に表していない。但し、前述のように右側の作動腕部11Bの側にも前記空隙Gが生じるように形状、寸法を調整しておくことにより、上記の傾き、移動を許容することができる。
【0086】
なおまた、本例の場合も、ホイートストンブリッジ回路23を構成する4個の抵抗体R1、R2、R3、R4のすべてを歪ゲージとする必要はなく、少なくとも一つを歪ゲージとして、作動腕部11Aにおける第1の凹部33A、第2の凹部33Bの少なくとも一方に対応する位置に貼着し、残りはダミー抵抗を用いても良いことはもちろんである。
【0087】
さらに、
図9〜
図13に示す例では、作動腕部11Aの外面に歪ゲージR1〜R4を貼着しているが、作動腕部11Aの内面側にも歪は発生し、特に第1の凹部33A、第2の凹部33Bの奥側の面(底面)には大きな歪が発生するから、場合によっては、歪ゲージR1〜R4のうちの一部または全部を、作動腕部11Aの内面側、特に凹部33A、33Bの一方または双方の底面に貼着しても、荷重を検出することができる。例えば歪ゲージR1、R3を第1の凹部33Aの底面に貼着し、歪ゲージR2、R4を第2の凹部33Bの底面に貼着しても良い。
【0088】
図15には、基体3の荷重受け梁部7における支点受け領域15A、15Bを支持するための構成を変更した実施形態を示す。
本例の場合、外部から荷重を加えるための荷重印加部材21は、
図9〜
図13に示した例と同様に、水平な軸線を有する軸部材で構成され、また、支持部材(
図1〜
図4の各例における符号19A、19B)も、
図9〜
図13に示した例と同様に、垂直な軸線を有する中空な筒部材19とされており、その筒部材(支持部材)19における軸線を中心として対称な位置の端部が支持部19C、19Dとされている。
そして荷重受け梁部7の両端近くの下面に凹溝41A、41Bが形成されており、これらの凹溝41A、41Bが、筒部材(支持部材)19の上端(支持部19C、19D)に嵌められるように構成されている。したがってこの場合、凹溝41A、41Bの内奥面が、支点受け領域15A、15Bに相当する。なおこの場合、凹溝41A、41Bは筒部材(支持部材)19の上端に緊密にはめ込まれる必要はなく、若干の遊びをもってはめ込まれても良い。その他の構成は、
図9〜
図13に示した例と同様である。
【0089】
また
図16は、基体3の荷重受け梁部7における支点受け領域15A、15Bを支持するための構成を変更したさらに別の例を示す。
本例の場合、外部から荷重を加えるための荷重印加部材21は、
図9〜
図13に示した例と同様に、水平な軸線を有する軸部材で構成されている。そして荷重受け梁部7の両端近くには、その荷重受け梁部7を貫通する取り付け孔43A、43Bが形成されている。このような荷重検出器の基体3を支持する場合、前記取り付け孔43A、43Bに、ピン状の部材45A、45Bを挿通させて、そのピン状部材45A、45Bを外部(本発明ではベッド本体内)の任意の支持部材19に固定または係止させれば良い。このような構成においては、取り付け孔43A、43Bが支点受け領域15A、15Bに相当する。
【0090】
さらに
図9〜
図13に示す例では、荷重印加部材21として水平軸部材を適用するため、荷重受け梁部7の荷重受け領域13に軸受け部25を形成し、かつその両側に突辺部27A、27Bを形成しているが、荷重印加部材21の形状によっては、荷重受け領域13は、
図1〜
図3に示した原理的構成と同様に、単なる窪み13Aを形成しただけでもよく、その場合の例を
図17に示す。さらに、荷重印加部材21の形状によっては、荷重受け領域13は、特に窪みなどの形状を与えない平面的な領域であっても良い。
【0091】
なお、荷重受け梁部7における荷重受け領域13と支点受け領域15A、15Bとの関係(力点と支点の関係)は、あくまで相対的なものであり、実際にロードセル2を使用するに当たっては、これらの関係を逆転して使用することも可能である。すなわち、
図18に示しているように、基体3の上下を逆転して配置し、荷重受け梁部7の荷重受け領域13で基体を支持し、支点受け領域15A、15Bにおいて、上方からの荷重Wを受けるように使用することも可能である。
【0092】
さらに、前述の説明では、基体3を基準面Pが垂直方向に沿うように(したがって作動腕部11A、11Bの長さ方向が垂直となるように)配置して、鉛直方向に加えられる荷重Wを受け、それを検出することとしているが、場合によっては前記基準面Pが鉛直方向(荷重Wの方向)に対して90度未満の所定角度αだけ傾斜するように設置して使用することもできる。その場合の使用例を
図19に示す。
この場合、上方からの荷重Wは、基準面Pに対して角度αだけ傾斜する方向に加えられることになるが、その荷重Wによる鉛直方向の力Fの分力として、基準面Pに沿う方向の力Fpが存在するため、既に述べたと同様に荷重受け梁部7を撓み変形させ、それに伴う作動腕部11Aの変形による歪を検出することにより、荷重Wを検出することができる。
【0093】
図20には、本発明の荷重検出機能付きベッドに使用される荷重検出器1におけるロードセル2の別の具体的な例を示す。なお
図20に示すロードセル2の基体3は、一対の作動腕部11A、11Bのうち、一方(歪センサ取り付け側)の作動腕部11A以外の部分の構成は、
図9〜
図13に示した例と同様であり、そこで作動腕部11A以外の構成については、説明を省略する。
【0094】
図20において、作動腕部11Aにおける連結部9に近い位置には、表裏貫通する長孔35が、作動腕部11Aの長さ方向に沿って形成されている。その長孔35の両端は、その径が拡大された拡大孔部37A、37Bとされ、これによって長孔35を取り囲む部分が、いわゆるメガネ型のロバーバル機構39となっている。そして作動腕部11Aの外面におけるロバーバル機構39に対応する位置に、歪センサ5として歪ゲージR1、R2、R3、R4(
図20ではR1、R2のみを示す)が貼着されている。より具体的には、歪ゲージR1(R3)は、作動腕部11Aの外面における一方の拡大孔部37Aに対応する位置に、また歪ゲージR2(R4)は、作動腕部11Aの外面における他方の拡大孔部37Bに対応する位置に貼着されている。
【0095】
図20に示されるロードセル2の使用時の状況、特に荷重が加えられた際の状況を
図21に示す。
この場合も、
図9〜
図13の例について
図14に示したと同様に、作動腕部11A、11Bを中空な筒部材(支持部材)19の上端部に挿入して、荷重受け梁部7の支点受け領域15A、15Bを、筒部材(支持部材)19の端縁(支持部19C、19D)に支持させる。その状態で、軸受け部25に挿入されている水平軸部材(荷重印加部材)21から荷重Wが荷重受け領域13に加えられれば、荷重受け梁部7には、その中央部が下方にわずかに降下するように微小撓み変形が生じる。ここで、一対の作動腕部11A、11Bのうち、右側の作動腕部11Bは、切り込み部が形成されていないため、左側の作動腕部11Aと比較してその剛性が高く、そのため右側の作動腕部11Bは実質的に変形せず、もっぱら左側の作動腕部11Aのみが撓み変形する。すなわち、左方の作動腕部11Aが、左方(外方)に張り出すように変形する。しかも、この作動腕部11Aに形成されているロバーバル機構39(長孔35)の両端の拡大孔部37A、37Bによって、それに対応する部位の変形が助長されて、その助長された歪が歪センサ5の各歪ゲージR1〜R4によって効果的に検出される。
【0096】
なお、以上のロードセル2の各例において、基体3は、厚板圧延材、鍛造材あるいは鋳造材などから機械加工によってその全体形状を削りだした一体物、あるいは押し出し加工による一体物など、全体が一体に連続した材料で構成することが望ましいが、場合によっては、一部を分割して、溶接や螺子止めなどによって組み立てた結合構造体であっても良い。例えば連結部9は、撓み変形に関係しない部分であるから、その連結部9だけ別体に作って、その両端を作動腕部11A、11Bの下端側の部分に結合した構造としてもよい。
【0097】
以上のような荷重検出器を用いた本発明の荷重検出機能付きベッドについて、
図22〜
図30を参照して以下に説明する。
【0098】
図22は、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド201の一例を示す側面図である。
この荷重検出機能付きベッド201は、例えば床面などの設置面B上に設置されたベッド本体201Aを備え、このベッド本体201Aに取り付けられた荷重検出器1のロードセル2によって、ベット本体201Aに加わる荷重の変化を検出し、このベッド本体201Aの寝床面T上における利用者Hの状態を検出する機能を備えたものである。
【0099】
なお、以下の説明において、
図22に示すベッド本体201Aの設置面B及び寝床面Tは、水平面(重力方向に対して直交する面)とし、このベッド本体201Aの寝床面T上に利用者Hが仰臥姿勢で就寝している状態において、利用者Hの頭側を「ベッド本体201Aの前側」、利用者Hの足側を「ベッド本体201Aの後側」、利用者Hの右側を「ベッド本体201Aの右側」、利用者Hの左側を「ベッド本体201Aの左側」とする。
【0100】
具体的には、ベッド本体201Aは、寝床面Tを形成する寝床面形成部100と、ベッド本体201Aを設置すべき設置面Bに接する脚部204と、寝床面形成部100が設置面Bの上方に位置するように、寝床面形成部100と脚部204との間を連結して寝床面形成部100からの荷重を脚部204に向けて伝達する連結支持部102とを概略備えた構成とされている。
ここで、
図22に示す例では、寝床面形成部100は、寝板202と、寝板202を支持する上側フレーム203とによって構成されている。また連結支持部102は、下側フレーム205と、上側フレーム203および下側フレーム205の間を連結しながら寝板202を上側フレーム203とともに昇降させる昇降リンク機構206とを備えている。
【0101】
寝板202は、利用者Hが就寝するのに十分な長さ及び幅を有する矩形状の平板からなる。
ベッド本体201Aは、この寝板202の上に例えばマットや敷き布団等を敷設した状態で、この上に利用者Hが在床することが可能となっている。(なお、
図22においては、寝板202の上面(寝床面T)に利用者Hが直接横臥した状態を図示している。)
【0102】
上側フレーム203は、寝板202の長さ方向(ベッド本体201Aの長手方向)に延びる左右一対のパイプフレーム203aと、寝板202の幅方向(ベッド本体201Aの短手方向)に延びる前後一対のパイプフレーム203bとが全体として枠状に連結されると共に、寝板202の幅方向(ベッド本体201Aの短手方向)に延びるパイプフレーム203cが、寝板202の長さ方向(ベッド本体201Aの長手方向)に複数並んだ状態で、左右一対のパイプフレーム203aと連結された構造(フレーム構造)を有している。
【0103】
そして、上記寝板202は、これら複数のパイプフレーム203cの上に固定した状態で取り付けられている。また、上側フレーム203を構成する前後一対のパイプフレーム203bには、それぞれ鉛直上向きに立設した状態で頭板207a及び足板207bが取り付けられている。
【0104】
脚部204は、互いに対称な位置関係にあるベッド本体201Aの4隅(前左側、前右側、後左側、後右側)に4つ配置されている。また、これら4つの脚部204には、それぞれ重量物であるベッド本体201Aの移動を容易にするためのキャスター機構208が設けられている。なお、このキャスター機構208の構成については特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することが可能である。
【0105】
下側フレーム205は、ベッド本体201Aの長手方向に延びる左右一対のパイプフレーム205aと、ベッド本体201Aの短手方向に延びる前後一対のパイプフレーム205bとが全体として枠状に連結された構造(フレーム構造)を有している。そして、上記脚部204(キャスター機構208)は、上記下側フレーム205を構成する左右一対のパイプフレーム205aの両端部にそれぞれ設けられている。
【0106】
前述の連結支持部102における昇降リンク機構206は、ベッド本体201Aの前側と後側とに一対並んで配置されている。また、これら前側及び後側の昇降リンク機構206は、その取付位置が異なる以外は基本的に同じ構造を有している。さらに、これら前側及び後側の昇降リンク機構206は、それぞれベッド本体201Aの右側と左側との間で左右対称な構造を有している。
【0107】
したがって、前側及び後側の昇降リンク機構206については、例えば
図23(a),(b)に示すように、必要に応じてこれらをまとめて説明するものとする。
【0108】
なお、
図23(a)は、この昇降リンク機構206により上記寝板202が図示しない上側フレームとともに下降した状態を示すベッド本体201Aの要部側面図である。一方、
図23(b)は、この昇降リンク機構206により上記寝板202が図示しない上側フレームとともに上昇した状態を示すベッド本体201Aの要部側面図である。
【0109】
具体的には、この昇降リンク機構206は、
図23(a),(b)に示すように、上側フレーム203と下側フレーム205との間で互いに連結された第1〜第3の連結アーム209a,209b,209cを左右一対で有している。
【0110】
このうち、第1の連結アーム209aは、その下端部が上記下側フレーム205を構成する前後一対のパイプフレーム205bに固定した状態で取り付けられている。なおこの第1の連結アーム209aは、少なくとも上端部側(下側フレーム205から遠い側)に、中空筒部103が形成されている。一方、第2の連結アーム209bは、その下端部が第1の連結アーム209aの上端部と第1のヒンジ部210aを介して回動自在に取り付けられている。一方、第3の連結アーム209cは、その下端部が第2の連結アーム209bの上端部と第2のヒンジ部210bを介して回動自在に取り付けられている。
【0111】
また、昇降リンク機構206は、前側及び後側の第3の連結アーム209cの間を連結する左右一対の第4の連結アーム209dを有している。そして、この第4の連結アーム209dには、前側及び後側の第3の連結アーム209cの上端部がそれぞれ第3のヒンジ部210cを介して回動自在に取り付けられている。
【0112】
また、昇降リンク機構206は、上記寝板202を図示しない上側フレームとともに昇降駆動するためのアクチュエータ(駆動機構)211を有している。このアクチュエータ211は、電動によりシリンダ211aからピストン211bを前後方向に移動(伸縮)させるものである。このうち、シリンダ211aは、上記上側フレーム205(
図23(a),(b)において図示せず。)に固定した状態で取り付けられている。一方、ピストン211bは、その先端部が第4の連結アーム209dと第4のヒンジ部210dを介して回動自在に取り付けられている。なお、このアクチュエータ211は、上記ベッド本体201Aの左右の一方側のみに設けられている。
【0113】
そして、この昇降リンク機構206では、
図23(a)に示すように、上記寝板202が図示しない上側フレームとともに下降した状態から、アクチュエータ211の駆動によりピストン211bが前方に移動する(伸びる)ことによって、第1〜第4の連結アーム209a〜209dが互いに協働しながら、
図23(b)に示すように、上記寝板202が図示しない上側フレームとともに上昇した状態となる。逆に、
図23(b)に示すように、上記寝板202が図示しない上側フレームとともに上昇した状態から、アクチュエータ211の駆動によりピストン211bが後方に移動する(縮む)ことによって、第1〜第4の連結アーム209a〜209dが互いに協働しながら、
図23(a)に示すように、上記寝板202が図示しない上側フレームとともに下降した状態となる。これにより、上記寝板202を図示しない上側フレームとともに昇降動作させながら、上記寝板202の高さを調整することが可能となっている。
【0114】
荷重検出器1は、
図22に示しているように、上記ベッド本体201Aに荷重が加わることで発生する歪みを計測する既に述べたようなロードセル2を有するものであり、さらに本実施形態においては、
図22に示しているように、ロードセル2の他に、ロードセル2から出力された荷重信号に基づいて、上記ベッド本体201Aの寝床面T上における利用者Hの状態を演算する演算部252と、演算部252で演算した結果を遠隔に送信する送信部253と、送信部253から送信された信号を受信する受信部254とを概略備えている。
【0115】
なお、ロードセル2と演算部252との間、及び、演算部252と送信部253との間は、それぞれ配線255a,255bによって電気的に接続されている。一方、送信部253と受信部254との間は、無線(電波)によって送受信が可能となっている。
【0116】
ところで、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド1は、寝床面形成部100から連結支持部102を経て脚部204に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、寝床面形成部側100からの荷重を受けてその荷重を設置面B側に伝達する部位にロードセル2が組み込まれてなるものである。
そして特に
図22の例の場合、上記の荷重伝達経路のうち、連結支持部102の昇降リンク機構206にロードセル2が組み込まれている。そこでここでは、先ず、上述のように昇降リンク機構206にロードセル2が組み込まれている場合について、さらに詳細に説明する。
【0117】
具体的には、ロードセル2は、
図23(a),(b)に示すように、上記昇降リンク機構206を構成する第1〜第4のヒンジ部210a〜210dのうち、互いに対称な位置関係にある4隅(前左側、前右側、後左側、後右側)に配置された第1のヒンジ部210aに各々(計4つ)取り付けられている。これら4つのロードセル2は、その取付位置が異なる以外は基本的に同じ構造を有しているものであり、ここでは、例えば
図9〜
図13に示したロードセル2が用いられているものとする。
【0118】
なお、
図24(a)は、ロードセル2が組み込まれた昇降リンク機構206の要部を拡大した側面図である。一方、
図24(b)は、ロードセル2が組み込まれた昇降リンク機構206の要部を拡大した正面図である。
【0119】
具体的には、第1のヒンジ部210aは、
図24(a),(b)に示すように、上記第1の連結アーム(一方の連結アーム)209aに設けられたガイドスリット(軸受)212に、上記第2の連結アーム(他方の連結アーム)209bに設けられたピン(支軸)213が係合された状態で軸支されることによって、上記第1の連結アーム209aに対して上記第2の連結アーム209bが回動自在に支持された構造を有している。ここで上記のピン(支軸)213は、
図9〜
図13における水平軸部材(荷重印加部材)21に相当する。
【0120】
ロードセル2は、基本的には、寝床面形成部100の側からの荷重により歪を発生する基体3と、その基体の歪を検出するべく基体に取り付けられた歪センサ5とからなるものである。そして基体3は、既に述べたように、荷重受け梁部7と、作動腕部11A,11Bと、連結部9とを有してなるものであり、荷重受け梁部7には軸受け部25が形成されている。そして基体3は、第1の連結アーム209aの中空筒部103内に挿入されている。
【0121】
そして、ロードセル2では、ベッド本体201Aに荷重が加わった際に、鉛直下向きの荷重Wが荷重受け梁部7に加わることによって、既に述べたように作動腕部11Aに増幅された歪みが生じることになる。このとき、歪みセンサ5が作動腕部11Aに生じた歪みの大きさに応じた抵抗の変化を検出し、その歪みの大きさに応じた荷重信号を出力する。これにより、上記ベッド本体201Aに加わる荷重の変化を検出することが可能となっている。
【0122】
なお、この荷重検出器1では、上記ベッド本体201Aの四隅(前左側、前右側、後左側、後右側)に配置された4つのロードセル2によって、それぞれ上記ベッド本体201Aの四隅に加わる荷重の変化を検出する。そして、これら4つのロードセル2が検出した荷重信号を上記演算部252へと出力する。
【0123】
演算部252は、ROMやRAM、その他のメモリ、CPU等を有するコンピュータからなり、上記ベッド本体201Aの寝床面T上における利用者Hの状態を演算するのに必要なプログラム、数値等が予め格納されている。
【0124】
そして、この演算部252では、上記4つのロードセル2から出力された荷重信号に基づいて、上記ベッド本体201Aの寝床面T上における利用者Hの状態を演算し、その演算結果を送信部253に出力する。
【0125】
例えば、この演算部252では、上記4つのロードセル2から出力された荷重信号から、これら4つのロードセル2に加わる荷重の合計値が予め記憶された閾値よりも大きい場合には、利用者Hが上記ベッド本体201Aの寝床面T上に在床している判断して、その演算結果を送信部253に出力する。
【0126】
なお、この演算部252では、このような利用者Hの入床(就寝)・離床(起床)以外にも、例えば、上記ベッド本体201Aの寝床面T上における利用者Hの重心位置(在床位置)から、利用者Hの離床を予知する演算等を行うことも可能である。さらに、利用者Hの体動(例:寝返り等)や姿勢(例:仰臥、伏臥、横臥等)などを演算により検出することも可能である。
【0127】
送信部253は、上記ベッド本体201Aに取り付けられた送信機であり、上記演算部252で演算した結果を遠隔にある受信部254へと送信する。一方、受信部254では、送信部253から送信された信号を受信する受信機であり、送信部253からの信号を受信することによって、利用者Hの状態(在床状況)を遠隔から監視することが可能となる。
【0128】
また、受信部254側では、上記ロードセル2が検出した検出結果や、上記演算部252による演算結果を、例えば、図示を省略するモニタに表示したり、プリンタに出力したりすることも可能である。
【0129】
また、上記演算部252による演算結果から、例えば利用者Hの状態を、必要に応じてその旨を監視者に告知するようにしてもよい。告知方法については、特に限定されるものではなく、例えば、図示を省略するスピーカから警報を発したり、モニタに表示を行ったりすることが可能である。
【0130】
以上のような構造を有する荷重検出機能付きベッドは、例えば、医療施設(例:病院、診療所等)や介護施設、養護施設などにおいて好適に用いられる。
【0131】
本発明では、このような荷重検出機能付きベッド201を使用することで、例えば、入床(就寝)や、離床(起床)、在床位置、体動(例:寝返り等)、姿勢(例:仰臥、伏臥、横臥等)など、利用者Hの状態(在床状況)を遠隔から監視することが可能となる。また、このような荷重検出機能付きベッド201を使用することで、誰かに監視されているという利用者Hの精神的な負担や、深夜・早朝に限らず利用者Hを常時監視しなければならないという監視者の肉体的・精神的負担を軽減することが可能となる。
【0132】
なお、このような荷重検出機能付きベッド201は、上述した施設に限定して使用されるものではなく、例えば、宿泊施設(例:ホテル、旅館等)、一般家庭(例:自宅介護等)などにおいても利用可能である。すなわち、この荷重検出機能付きベッド201の利用形態については、特に限定されるものではない。
【0133】
また、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド201の荷重検出機能を利用した応用例としては、例えば、「床ずれ防止機能」を挙げることができる。具体的には、一定時間(例えば2時間)以上、重心位置がある一定の円より外に移動していない場合、又は、各ロードセル2の荷重変化が一定(例えば1kg)以上変化していない場合に、利用者Hに床ずれが生じる可能性があると判断して、監視者に通知するといった機能を付加することが可能である。
【0134】
また、別の応用例として「照明制御機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体201Aの寝床面T上における利用者Hの重心位置や、重心の移動量、重心の移動速度等を計測することによって、入床又は離床したときに、照明を点灯又は消灯させるといった機能を付加することが可能である。
【0135】
また、別の応用例として「体重管理機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体201Aの寝床面T上における利用者Hの体重を定期的に(例えば毎日定刻時に)計測することによって、利用者Hの体重管理を行うといった機能を付加することが可能である。
【0136】
また、別の応用例として「空調管理機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体201Aの寝床面T上における利用者Hの体動(寝返り等)を検出することによって、利用者Hの睡眠深度を計測し、利用者の状態に応じて空調を管理するといった機能を付加することが可能である。
【0137】
また、別の応用例として「透析時の体重モニタ機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体201Aの寝床面T上における利用者Hの体重を計測することによって、透析の開始と終了とを検出するといった機能を付加することが可能である。
【0138】
このように、本発明では、上述した機能に限らず、上記荷重検出機能付きベッド201の荷重検出機能を利用することで、様々な機能を付加することが可能である。
【0139】
また、本発明は、荷重検出器1がベッド本体201Aに予め組み込まれた荷重検出機能付きベッドであってもよく、あるいは荷重検出器1をベッド本体201Aに別途組み込むことによって、既存のベッドに荷重検出機能を付加したものであってもよい。
【0140】
すなわち、本発明を適用した荷重検出機能付きベッドは、ベッド本体201Aに予め取り付けられた又は別途取り付けた荷重検出器1によりベッド本体201Aに加わる荷重の変化を測定することで、ベッド本体201Aの寝床面T上における利用者Hの状態を検出することが可能となっている。
【0141】
また、本発明では、本発明を適用した荷重検出器1をベッド本体201Aに取り付けることによって、部品点数の増加を抑制しつつ、簡便な構造によって荷重検出機能をベッドに付加することが可能となっている。
【0142】
具体的には、本発明を適用した荷重検出器1において、上記ロードセル2は、既存のベッドが備える上記第1の連結アーム209aの第1のヒンジ部210を構成する部品(上記ガイドスリット212が形成された軸受部材)と交換可能な荷重検出用部品を構成している。
このため、上記ロードセル2を構成する基体3は、その軸受部25が軸受部材のそれと同じ取付構造を有している。
【0143】
したがって、本発明では、上記ベッド本体201Aの四隅(前左側、前右側、後左側、後右側)に配置された4つの軸受部材と、上記ロードセル2とを交換するだけで、上記ベッド本体201Aに荷重検出器1を容易に組み込むことが可能である。
【0144】
これにより、既存のベッドに安価に荷重検出機能を付加することが可能である。また、ロードセル2に故障等が生じた場合でも容易に交換が可能である。さらに、既存のベッドとの違いが少ないため、利用者Hに違和感なくベッドを利用してもらうことが可能である。
【0145】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0146】
例えば、上記荷重検出機能付きベッド201では、昇降リンク機構206を構成する第1のヒンジ部210aに上記ロードセル2が組み込まれた構成となっているが、このような構成に限らず、例えば、昇降リンク機構206を構成する第2のヒンジ部210bや第3のヒンジ部210cに上記ロードセル2を組み込まれた構成とすることも可能である。
【0147】
また、上記ベッド本体201Aについては、寝板202の上に予めマット等が敷設されたものであってもよい。また、上記寝板202は、その長さ方向(ベッド本体201Aの長手方向)において分割された構造を有して、利用者Hの上半身側や足側の一部が起き上がるといったリクライニング機能を有するものであってもよい。さらに、上記上側フレーム203及び下側フレーム205については、上述したフレーム構造に限定されるものではなく、様々なフレーム構造を採用することが可能である。
【0148】
また、上記荷重検出器1では、上述したロードセル2と演算部252との間、及び、演算部252と送信部253との間を配線255a,255bによって電気的に接続した構成に限らず、無線により電気的に接続した構成とすることも可能である。一方、送信部253と受信部254との間の通信方法としては、上述した無線通信網を用いる場合に限らず、有線通信網を用いてもよい。さらに、上記荷重検出器1では、上記演算部252と上記送信部253とを一体に形成することも可能である。
【0149】
さらに前述の実施形態では、昇降リンク機構206における第1の連結アーム209aが、下側フレーム205に対して傾斜するように、下側フレーム205の前後一対のパイプフレーム205bに固定されている(
図24(a)参照)が、第1の連結アーム209aは、下側フレーム205に対して垂直となるように固定されていても良い。その場合の状況を、
図24(a)に準じて
図25に示す。
【0150】
図25に示しているように、昇降リンク機構206の第1の連結アーム209aが垂直である場合にも、ロードセル2をその全体が垂直方向に沿うように連結アーム209aの中空筒部に挿入し、かつ第2の連結アーム(他方の連結アーム)209bに設けられたピン(支軸)213を軸受部25によって受けることによって、前記同様に荷重を検出することができる。
【0151】
また前述の各実施形態では、ロードセル2は、その荷重受け部7が上方に、連結部9が下方に位置するようにベッド本体に組み込むものとしているが、荷重受け部と荷重伝達部との関係は相対的なものであり、上下を逆転してベッド本体に組み込んでも良いことはもちろんである。その場合の例を
図26に示す。
【0152】
図26において、昇降リンク機構206の第1の連結アーム209aの上端部と第2の連結アーム209bの下端部との間が第1のヒンジ部210aを介して回動自在に取り付けられており、その第1のヒンジ部210aのピン(支軸)213は、下方の第1の連結アーム209aの側に設けられている。そしてこのピン213にロードセル2における基体3の軸受け部25が係合され、ロードセル2における基体3の連結部9は、上方の第2の連結アーム209b内に挿入されている。この場合、ベッド本体の荷重は基体3の支点受け領域15a、15bに加わることになるが、その場合でも作動腕部11Aの歪によって荷重を検出することができる。
【0153】
さらに前述の各実施形態では、上側フレーム203と下側フレーム205との間の連結支持部102に、昇降リンク機構206を設けた構成としているが、昇降リンク機構206を連結支持部102に設けない場合にも本発明を適用することができる。その一例を、
図27、
図28に示す。
【0154】
図27、
図28に示す実施形態では、上側フレーム203と下側フレーム205との間を、連結支持部102としての例えば中空パイプ状の複数本(通常は4本)の垂直な支柱102Aによって連結した構成として、各支柱102Aの上端と上側フレーム203との間にロードセル2を介在させている。すなわち、ロードセル2の基体3の作動腕部11A,11B、連結部9の部分を、中空パイプ状支柱102Aの上端部分に挿入し、その基体3の荷重受け梁部7の平坦な上面が、上側フレーム203の下面に固定された受け座部材106から鉛直下方に突出する軸棒部(荷重印加部材)106Aの先端面(下面)に接するように配置している。このようにロードセル2を配置した場合でも、上側フレーム203から加わる荷重を検出することができる。
【0155】
また昇降リンク機構206を連結支持部102に設けない場合の他の例を、
図29、
図30に示す。
【0156】
図29、
図30に示す実施形態では、
図27、
図28に示した実施形態と同様に、上側フレーム203と下側フレーム205との間を、連結支持部102としての例えば中空パイプ状の複数本(通常は4本)の垂直な支柱102Aによって連結した構成としているが、この場合は、各支柱102Aの下端と下側フレーム205との間にロードセル2を介在させている。すなわち、ロードセル2の基体3の作動腕部11A,11B,連結部9の部分を、中空パイプ状支柱102Aの下端部分に挿入し、その基体3の荷重受け梁部7の下面に、下側フレーム205の上面に固定された受け座部材108から垂直上方に突出する軸棒部(荷重印加部材)108Aの先端面(上面)が接するように配置している。このようにロードセル2を配置した場合でも、上側フレーム203から支柱102Aを介して加わる荷重を検出することができる。
【0157】
なお、
図27、
図28に示す実施形態、及び
図29、
図30に示す実施形態は、いずれも上側フレーム203と下側フレーム205との間の連結支持部102に昇降リンク機構を設けない場合の例として説明したが、連結支持部102に昇降リンク機構を設けた場合においても、
図27、
図28に示す実施形態に倣って、上側フレーム203と連結支持部102との間(例えば上側フレーム203と昇降リンク機構との間)にロードセル2を介在させることができる。また同様に、連結支持部102に昇降リンク機構を設けた場合でも、
図29、
図30に示す実施形態に倣って、連結支持部102と下側フレーム205との間(例えば昇降リンク機構と下側フレーム205との間)にロードセル2を介在させることができる。
【0158】
さらに、
図27、
図28に示す実施形態、あるいは
図29、
図30に示す実施形態のように上側フレーム203と下側フレーム205との間の連結支持部102に昇降リンク機構を設けない場合において、その連結支持部102を構成する各支柱102Aの中間部分にロードセル2を介在させることもできる。
【0159】
なお昇降リンク機構6を設けない場合(例えば
図27、
図28に示す実施形態参照)、下側フレーム205をも省略してしまうことがあり、この場合は、各支柱102Aの下端に、脚部204としてのキャスター機構208を直接設けることがある。このような構成のベッド本体においても、
図27、
図28に示す実施形態に倣って、上側フレーム203と各支柱102Aとの間にロードセル2を介在させたりすれば良い。
【0160】
以上のように、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド1は、寝床面形成部(前述の各実施形態では寝板202と上側フレーム203とによって構成されるもの)100から連結支持部(昇降リンク機構206もしくは下側フレーム205の有無は問わない)102を経て脚部204に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、寝床面形成部100側からの荷重を受けてその荷重を設置面B側に伝達する部位にロードセル2が組み込まれていればよい。従ってロードセル2は、寝床面形成部100と連結支持部102との間、あるいは連結支持部102の中間、あるいは連結支持部102と脚部4との間、さらには脚部204の部分、のいずれに介在させても良い。
【0161】
なお、前述の各実施形態では、ベッド本体201Aにおける寝床面Tを形成する寝床面形成部100が、寝板202と、寝板202を支持する上側フレーム203とによって構成されているものとしたが、場合によっては寝床面形成部100が、上側フレーム203のないもの、すなわち寝板202のみからなるものとなっていることもある。このような場合にも本発明を適用し得ることはもちろんである。例えば、寝板202と、それを支持するための連結支持部(例えば支柱102A)との間にロードセル2を介在させても良い。
【0162】
また、前記同様に寝床面形成部100が、上側フレーム203のないもの、すなわち寝板202のみからなるものとなっている場合において、寝板202を支持するための連結支持部102に昇降リンク機構206を設けて、寝板202を直接昇降させるようにした構成のベッド本体もあり、このような場合にも本発明を適用し得ることはもちろんである。
【0163】
さらに、寝床面形成部100が上側フレーム203を備えていても、上側フレーム203が単なる囲いとして機能するだけで、昇降リンク機構206が、直接寝板202を昇降させる構成としたベッド本体もあり、このような場合は、上側フレーム203は荷重を実質的に支持しないから、上側フレーム203は、寝床面形成部100から連結支持部102を経て脚部204に至る荷重伝達経路からは外れる。そしてその場合は、寝板202から連結支持部102を経て脚部204に至る荷重伝達経路のいずれかの個所にロードセル2を介在させればよい。
【0164】
なおまた、以上の説明では、寝床面形成部100を昇降させるための機構として、リンク機構を適用したものとしているが、場合によってはリンク機構を用いない昇降機構、例えば手動あるいは電動の回転螺子方式(スクリュー方式)、ジャッキ方式などの昇降機構を用いることもあり、そのようなリンク機構以外の昇降機構を有するベッド本体にも本発明を適用し得ることはもちろんである。
【0165】
さらに、前述の各実施形態では、ロードセルの歪センサとして、歪により電気抵抗が変化する歪ゲージを用いているが、歪センサは、要はロードセルの作動腕部の歪を検出できるものであればよく、例えば、導電性エラストマーセンサ素子や、光学式歪センサ素子、電歪デバイスセンサ素子、圧電デバイスセンサ素子、磁歪デバイスセンサ素子などを用いることもできる。