特許第5965742号(P5965742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965742
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/44 20060101AFI20160728BHJP
   B65D 83/60 20060101ALI20160728BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B65D83/44
   B65D83/60
   B05B9/04
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-144550(P2012-144550)
(22)【出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2014-8966(P2014-8966A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 茂雄
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−036922(JP,A)
【文献】 特表2006−515549(JP,A)
【文献】 実開昭63−158842(JP,U)
【文献】 実開昭49−149312(JP,U)
【文献】 特表2007−519578(JP,A)
【文献】 特開2006−150170(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02107012(EP,A1)
【文献】 米国特許第04671431(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/14−83/76
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されると共に該内容物の減少に伴い減容変形する内容器と、該内容器が内装されると共に、該内容器との間に加圧流体が導入される導入筒が形成された外容器と、を備える容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出器と、
前記導入筒を通じて、前記内容器と前記外容器との間に前記加圧流体を導入する導入体と、を備え、
前記導入体は、
前記導入筒が離脱自在に装着される装着筒が形成され、前記加圧流体が充填される加圧室を内部に有する充填容器と、
前記充填容器内に配置され、前記装着筒の内部及び前記加圧室にそれぞれ連通する連通筒と、
前記連通筒の内部を、前記装着筒の内部に連通して前記加圧流体を供給する供給室と、前記装着筒の内部に対する連通が遮断された密閉室と、に区画する仕切り部材と、
前記導入筒の着脱に伴って開閉して、前記装着筒の内部と前記供給室との連通及びその遮断を切り替える第1弁体と、を備え、
前記連通筒には、前記供給室と前記加圧室とを連通させる連通開口部が形成され、
前記仕切り部材内には、前記供給室及び前記密閉室の内圧差に応じて往復移動可能とされ、その移動に伴って前記連通開口部を開閉して前記供給室と前記加圧室との連通及びその遮断を切り替える第2弁体を備えた可動部材が配置され、
前記可動部材は、前記供給室の内圧が前記密閉室の内圧よりも低下した際に、前記連通開口部を開放するように前記第2弁体を作動させることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器において、
前記仕切り部材又は前記連通筒には、前記可動部材の移動をガイドするガイド部材が設けられていることを特徴とする吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の吐出容器として、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される容器本体と、容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出器と、容器本体の底部側の下方に設けられる基台と、容器本体の内周面に口部側の上方に向けて移動可能に摺接する可動壁部と、可動壁部を押し上げるための、内容物の減少に伴って噴射される高圧ガスが封入された容器(ガス缶)と、を備えたものが知られている。
【0003】
この吐出容器では、ガス缶から高圧ガスを噴出して、容器本体に対して可動壁部を上方移動させることによって、該容器本体内の容積が縮小されるとともに内圧が高められ、この状態から吐出器を操作することによって、吐出口から内容物が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−036922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の吐出容器では、ガス缶から高圧ガスを噴出させることによって容器本体内を加圧しているため、ガス缶内の高圧ガスを消費した後にガス缶を交換する必要がある。そのため、消費者が個人的に再利用する場合には、その高圧ガスを再充填する方法等に改善の余地があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡便な構成で安全に再利用を行うことができる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る吐出容器は、内容物が収容されると共に該内容物の減少に伴い減容変形する内容器と、該内容器が内装されると共に、該内容器との間に加圧流体が導入される導入筒が形成された外容器と、を備える容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出器と、前記導入筒を通じて、前記内容器と前記外容器との間に前記加圧流体を導入する導入体と、を備え、前記導入体は、前記導入筒が離脱自在に装着される装着筒が形成され、前記加圧流体が充填される加圧室を内部に有する充填容器と、前記充填容器内に配置され、前記装着筒の内部及び前記加圧室にそれぞれ連通する連通筒と、前記連通筒の内部を、前記装着筒の内部に連通して前記加圧流体を供給する供給室と、前記装着筒の内部に対する連通が遮断された密閉室と、に区画する仕切り部材と、前記導入筒の着脱に伴って開閉して、前記装着筒の内部と前記供給室との連通及びその遮断を切り替える第1弁体と、を備え、前記連通筒には、前記供給室と前記加圧室とを連通させる連通開口部が形成され、前記仕切り部材内には、前記供給室及び前記密閉室の内圧差に応じて往復移動可能とされ、その移動に伴って前記連通開口部を開閉して前記供給室と前記加圧室との連通及びその遮断を切り替える第2弁体を備えた可動部材が配置され、前記可動部材は、前記供給室の内圧が前記密閉室の内圧よりも低下した際に、前記連通開口部を開放するように前記第2弁体を作動させることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る吐出容器によれば、容器本体の導入筒を導入体の装着筒に装着することで、容器本体と導入体とを一体的に組み合わせることができる。また、導入筒の装着によって、第1弁体が開き、装着筒を通じて導入筒の内部と供給室とが連通する。これにより、供給室内の加圧流体を、導入筒を通じて内容器と外容器との間に供給することができ、内容器を減容変形する方向に加圧して該内容器の内圧を正圧にできる。従って、吐出器を操作することで、内容物をスムーズに吐出することができる。
【0009】
ところで、内容物の吐出による内容器の減容変形によって供給室の内圧が低下し、密閉室の内圧よりも低くなると、可動部材が移動して連通開口部を開放するように第2弁体を作動させる。これにより、充填容器の加圧室内に充填されている加圧流体を、連通開口部を通じて供給室内に流入させることができ、低下した供給室の内圧を上昇させることができると同時に、内容器を引き続き減容変形する方向に加圧することができる。そのため、次回の内容物の吐出が可能となる。また、供給室の内圧の上昇によって可動部材が逆向きに移動し、第2弁体が連通開口部を通じた供給室と加圧室との連通を遮断する。
【0010】
このように、本発明によれば、加圧室内の加圧流体を供給室内に適宜補充させながら、加圧流体を供給室から内容器と外容器との間に供給できるので、内容器を減容変形する方向に常時加圧でき、内容物を確実に吐出させることができる。
また、装着筒から導入筒を離脱させ、導入体と容器本体とを分離させると、第1弁体が装着筒の内部と供給室との連通を遮断するので、供給室が装着筒を通じて外部に連通することが防止される。従って、加圧流体を消費した後、充填容器の加圧室内に加圧流体を再充填することができると共に、加圧流体を供給室内にも行き渡らせることができる。従って、導入体を交換することなく再利用することができ、特殊なガスを用いることなく、消費者が個人で、空気等の一般的な流体を加圧室に再充填することができ、安全で環境に配慮した吐出容器として使用することができる。
更に、第1弁体や第2弁体等の簡易な構成で導入体を構成できるので、構成の簡略化を図ることもできる。
【0011】
(2)上記本発明に係る吐出容器において、前記仕切り部材又は前記連通筒には、前記可動部材の移動をガイドするガイド部材が設けられていることが好ましい。
【0012】
この場合には、可動部材の往復移動をガイドできるので、該可動部材をスムーズに移動させて、第2弁体の開閉動作をより微細且つ確実に行える。従って、内容物の吐出性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡便な構成で安全に再利用できる吐出容器とすることができる。特に、消費者が個人で安全且つ容易に再充填できるうえ、環境への配慮にも対応した吐出容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る吐出容器の半縦断面図である。
図2図1に示す状態から、容器本体と加圧装置とを分離させた状態における吐出容器の半縦断面図である。
図3図1に示す吐出器周辺を拡大した半縦断面図である。
図4図2に示す加圧装置の半縦断面図である。
図5図3に示す吐出器の押下ヘッドを押し下げた状態を示す半縦断面図である。
図6図1に示す加圧装置周辺を拡大した半縦断面図であって、可動部材が下方に移動した状態を示す図である。
図7図4に示す加圧装置の変形例を示す半縦断面図である。
図8図4に示す加圧装置の別の変形例を示す半縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る吐出容器の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
<吐出容器の構成>
【0016】
図1及び図2に示すように、吐出容器1は、図示しない内容物が収容されると共に該内容物の減少に伴い減容変形する可撓性に富む内容器2、及び該内容器2が内装される外容器3を有する容器本体4と、容器本体4の口部4aに装着され、内容物を吐出する吐出器5と、内容器2と外容器3との間に図示しない加圧流体を導入する加圧装置(導入体)6と、を備えている。
【0017】
なお、内容器2及び外容器3は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置された状態で配設されている。そして、この共通軸と同軸に吐出器5及び加圧装置6が配設されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向、上下方向に沿った容器本体4の口部4a側を上側、その反対側を下側という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
(容器本体)
容器本体4は、例えばプリフォームを二重(内外)に組み合わせてブロー成形することにより形成された二重容器であり、具体的には内容器2が外容器3に対して剥離可能に積層されている。但し、例えば、ブロー成形された外容器3内に内容器2のプリフォームを配置してブロー成形したり、内容器2と外容器3とを個別に形成した後に組み合わせたりした二重容器等であっても良い。また、ダイレクトブロー成形された積層剥離容器(内層が外層に対して剥離可能に積層されている)によって、容器本体4を形成することもできる。
【0019】
容器本体4の口部4aは、図3に示すように、内容器2の口部2aと外容器3の口部3aとが積層された構成とされている。この際、内容器2の口部2aの上端部には、径方向の外側に折り返された折り返し部2bが形成され、外容器3の口部3aの上端開口縁を上方側から塞いでいる。そのため、外容器3の口部3aは、内容器2によって閉塞されている。また、外容器3の口部3aには、径方向の外側に向けて突出する環状の係合突起10が形成されている。
【0020】
図2に示すように、外容器3の底部には、下方に向かって延びる導入筒11が形成されている。この導入筒11は、内容器2と外容器3との間に上記加圧装置6から加圧流体が導入される筒部材であり、下方に開口した下端部が該下端部以外の部分よりも小径とされている。また、導入筒11の外周面における上端部にはねじ部11aが形成されている。
【0021】
(吐出器)
上記吐出器5は、図3に示すように、容器本体4の口部4aに装着される装着キャップ20と、該装着キャップ20におけるシリンダ筒28内に挿入され、弾性部材21により上方付勢状態で下方移動可能に配設された吐出ステム22と、この吐出ステム22の上端部に設けられた押下ヘッド23と、を備えている。
【0022】
装着キャップ20は、容器本体4の口部4aに装着される周壁筒25と、容器本体4の口部4aに径方向の内側から嵌合されるシール筒26と、周壁筒25の上端部とシール筒26の上端部とを連設し、容器本体4の口部4aの上端開口縁上に当接する環状の第1フランジ部27と、容器本体4の口部4a内に配設された有底筒状の上記シリンダ筒28と、このシリンダ筒28の上端開口部とシール筒26の下端部とを連設する環状の第2フランジ部29と、を備えている。
【0023】
周壁筒25の内周面には、径方向の内側に向けて突出する環状の係合突起30が形成されており、容器本体4の口部4aに形成された係合突起10に下側から係合している。これら両係合突起10、30同士が互いに係合されることで、容器本体4の口部4aと装着キャップ20とはアンダーカット嵌合され、該口部4aと装着キャップ20との上下方向に沿う相対移動が規制されている。
また、容器本体4の口部4a及び装着キャップ20には、係合突起10、30の下側に、該口部4aと装着キャップ20との周方向に沿う相対移動を規制する規制部31が設けられている。
【0024】
シリンダ筒28は、上方から下方に向かうにしたがい段階的に縮径する有底筒状に形成されている。シリンダ筒28の底壁には、該シリンダ筒28の内部と内容器2の内部とを連通する連通孔32が形成されている。
第2フランジ部29には、環状の支持筒33が上方に向けて突設されている。この支持筒33は、シール筒26との間に隙間があくように該シール筒26よりも径方向の内側に位置しており、上端開口縁は第1フランジ部27の上面と略面一とされている。
【0025】
シリンダ筒28における上端開口部内にはリング状のシール部材35が配設されている。このシール部材35の外周縁部は、シリンダ筒28の上端開口部に連なり縮径した段部28a上に載置されていると共に、該段部28aとリング状の押さえ部材36とによって上下方向から挟持されている。
上記押さえ部材36は、中央部に吐出ステム22を貫通させる貫通孔36aが形成されており、シリンダ筒28の上端開口縁上に載置された状態で、支持筒33の内側に嵌合されている。これにより、上記段部28aと協働してシール部材35の外周縁部を確実に挟持し、シール部材35をシリンダ筒28に対して気密に接触させている。
【0026】
吐出ステム22は、筒状の周壁と底壁とにより上方に開口した有底筒状に形成されており、上述したように装着キャップ20におけるシリンダ筒28内に上下方向に移動可能に挿入されている。吐出ステム22における周壁の上下方向の中間部には、径方向の内側に環状に凹む環状溝22aが形成されている。そして、この環状溝22a内に、上記シール部材35の内周縁部が嵌合している。
なお、シール部材35の内周端部は、環状溝22a内において吐出ステム22に対して気密に接触している。
【0027】
また、シリンダ筒28内において、該シリンダ筒28の底壁と吐出ステム22との間には、弾性部材21が圧縮状態で配設されており、吐出ステム22を上方に付勢している。これらのことにより、吐出ステム22は、上方付勢状態で下方移動可能にシール部材35を介して装着キャップ20に支持されている。
【0028】
なお、吐出ステム22の周壁のうち環状溝22aが形成されている部分には、該周壁を径方向に貫通する貫通孔22bが周方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、これら複数の貫通孔22bは、図2の状態において、シール部材35の内周端縁に当接されることで閉塞されている。
【0029】
上記押下ヘッド23は、吐出ステム22の上端部に連結されるヘッド筒40と、該ヘッド筒40の上端部から径方向の外側に向けて突出して延びると共に、その先端部に吐出口42が形成されたノズル筒41と、を備えている。
ヘッド筒40は、二重筒状とされ、その内筒部分に吐出ステム22の上端部が嵌合している。このヘッド筒40の内筒部分の内部と吐出ステム22の内部とは、互いに連通している。また、ヘッド筒40の内筒部分の内部は、ノズル筒41の内部に形成された吐出路41aにも連通している。そして、この吐出路41aにおける径方向の外側部分が吐出口42とされている。
【0030】
上記のように構成された吐出器5には、カバーキャップ45が離脱自在に被せられている。このカバーキャップ45は、吐出器5を内部に収容可能な有頂筒状に形成されており、装着キャップ20の周壁筒25に離脱自在に嵌合されている。
【0031】
(加圧装置)
上記加圧装置6は、図1及び図2に示すように、容器本体4の下方に配置されており、該容器本体4を起立状態で下方から支持しながら、該容器本体4の導入筒11を通じて内容器2と外容器3との間に加圧流体を導入可能とされている。
加圧流体としては、例えば圧力が高められたガス等の気体や高圧水等の液体等が挙げられ、内容物の種類や用途等に応じて適宜選択して使用される。
【0032】
なお、本実施形態では、容器本体4の底部側にサポート筒46が取り付けられており、加圧装置6は該サポート筒46を介して容器本体4をより安定に支持している。
このサポート筒46は、容器本体4の底部形状に合わせて椀状に形成された支持壁部47と、この支持壁部47の径方向外縁から下方に延びる周壁部48と、を備えている。支持壁部47の中央部には、容器本体4の導入筒11を挿通させる挿通口部47aが形成されている。この挿通口部47aは、導入筒11の上端部に径方向の外側から嵌合している。これにより、サポート筒46は、容器本体4に対して一体的に組み合わせ可能とされている。
【0033】
上記周壁部48は、容器本体4の直径と同径とされた円筒状に形成されており、下端開口縁が導入筒11の下端部と略面一とされるように下方に突出している。これにより、起立状態の容器本体4をサポート筒46に一体的に組み合わせたまま、例えば台上等に安定に載置することが可能とされている。
【0034】
加圧装置6は、図4に示すように、容器本体4の導入筒11が離脱自在に装着される装着筒51が形成され、加圧流体が再充填可能に充填される加圧室R1を内部に有する充填容器50と、この充填容器50に内部に配置されるように取り付けられ、装着筒51の内部及び加圧室R1にそれぞれ連通する連通筒52と、を備えている。
【0035】
充填容器50は、有底筒状の容器本体53と、該容器本体53の上端開口部を塞ぐ蓋体54と、を備えている。
蓋体54は、容器本体53の周壁部における上端部に対して径方向の外側から嵌合する円筒状の周壁筒55と、この周壁筒55の上端部に連設された天壁部56と、を備えている。周壁筒55の外周面には、径方向の内側に凹み、且つ上方に開口する環状の周溝55aが形成されている。なお、この周溝55aに、上記サポート筒46における周壁部48の下端部が嵌合される(図1参照)。
【0036】
天壁部56の中央部には、上方に向けて上記装着筒51が突設されている。この装着筒51の内周面には、容器本体4の導入筒11に形成されたねじ部11aが螺着されるねじ部51aが形成されている。なお、装着筒51の内部は連通筒52の内部に連通している。また、天壁部56には、下方に向けて連通筒52に内嵌される支持筒57が突設されている。この支持筒57は、装着筒51よりも拡径した円筒状に形成されている。そして、この支持筒57よりも径方向の内側には、第1弁体60を支持する弁体筒58が配設されている。
【0037】
この弁体筒58は、上端開口部から下端開口部に向かうにしたがって漸次縮径する断面テーパ状に形成された筒体であり、上端部が装着筒51の内周面におけるねじ部51aより下方の位置に接続されている。
【0038】
上記第1弁体60は、弁体筒58に対して径方向の内側から嵌合される筒状部61と、該筒状部61の下端部に連設された平面視円形の弁本体62と、で可撓性に富む有底筒状に形成され、弁体筒58の下端開口部を開閉可能に塞いでいる。
筒状部61の上端部は、径方向の外側に向けて折り返されており、弁体筒58における上端開口縁上に当接している。また、弁本体62は弁体筒58の下端開口縁に当接しており、第1弁体60は上下方向で弁体筒58を挟持するように配置されている。これにより、第1弁体60は弁体筒58からの脱落が防止されている。
【0039】
弁本体62が弁体筒58の下端開口縁に当接していることにより、弁本体62の下端開口部をシールしている。この弁本体62は、装着筒51に対して容器本体4の導入筒11を装着させた際、該導入筒11によって下向きに押圧される位置に配置されている(図6参照)。
弁本体62の中央部には、径方向に延びる複数のスリット63が互いに交差するように形成されている。例えば、2つのスリット63が直交するように交差して、平面視で十字状に配置されるように形成されている。これにより、弁本体62の中央部は、導入筒11によって下向きに押圧された際、下方に向けて例えば撓み変形することが可能とされており、これによって弁体筒58の下端開口部が開放可能とされている。
なお、上記スリット63は一文字状等、その形態は限定されない。
【0040】
つまり、第1弁体60は、導入筒11の着脱に伴って開閉し、装着筒51の内部と連通筒52の内部との連通及びその遮断を切り替える弁体として機能する。
【0041】
上記連通筒52は、蓋体54の支持筒57に対して径方向の外側から嵌合する筒状の外壁部65と、該外壁部65の下端開口部に連設された底壁部66と、外壁部65の上端開口部から径方向の外側に向けて突出した環状のフランジ部67と、で有底筒状に形成されている。
外壁部65には、該外壁部65を径方向の外側から囲繞し、且つフランジ部67に下方から当接する環状のパッキン68が取り付けられている。これらフランジ部67及びパッキン68は、容器本体53における周壁部の上端開口縁と、蓋体54の天壁部56との間で挟持されている。
これにより、連通筒52は蓋体54から下方に突出し、容器本体53内に収容されるように充填容器50に取り付けられている。また、上記パッキン68によって加圧室R1内は気密に封止されている。
【0042】
連通筒52の底壁部66には、中央部に該連通筒52の内部と加圧室R1とを連通させる連通開口部69が形成されていると共に、この連通開口部69よりも径方向の外側に位置する部分に複数の充填孔70が周方向に間隔をあけて形成されている。
【0043】
また、連通開口部69には、弁部材71が嵌め込まれている。この弁部材71は、連通開口部69内に挿入されると共に、その上端部が連通筒52の内部にて径方向の外側に突出して、連通開口部69の開口周縁部に係止されたリング状の芯体72と、この芯体72の下端部から径方向の外側に突出し、上記充填孔70を開閉可能に塞ぐ環状の開閉弁73と、を備えている。
【0044】
開閉弁73における外周端部は、複数の充填孔70よりも径方向の外側にて底壁部66の下面に対して全周に亘って当接しており、これにより充填孔70を塞いでいる。また、この開閉弁73の外周端部は、底壁部66から離間する下方に向けて変形(例えば、撓み変形、反転変形等)可能とされている。
本実施形態の開閉弁73は、加圧流体の充填時、充填孔70を通じた連通筒52の内部から加圧室R1への加圧流体への流入を許容し、且つその逆の加圧流体の流れを阻止する逆止弁として機能する。
【0045】
連通筒52の内部には、内部空間を、第1弁体60を通じて装着筒51の内部に連通し、導入筒11内に加圧流体を供給する供給室R2と、装着筒51の内部に対する連通が遮断された密閉室R3と、に区画する仕切り部材80が取り付けられている。
仕切り部材80は、連通筒52の底壁部66と蓋体54の天壁部56との間で挟持された筒状の固定部材とされている。
また、仕切り部材80の内部には、上下方向に往復移動可能とされた可動部材82が配置されている。この可動部材82は、その上下移動に伴って上記芯体72の開口部72aを開閉(即ち、連通開口部69を開閉)する第2弁体83を備えている。
【0046】
仕切り部材80は、連通筒52の外壁部65の内側に配設された有頂筒状の第1仕切り筒85と、この第1仕切り筒85の天板部から上方に向けて突設され、蓋体54の支持筒57の内側に配設された第2仕切り筒86と、を備えている。
第1仕切り筒85の下端開口縁が連通筒52の底壁部66に当接し、且つ、第2仕切り筒86の上端開口縁が蓋体54の天壁部56に当接していることで、仕切り部材80は連通筒52と蓋体54との間に固定される。
【0047】
第1仕切り筒85と連通筒52の外壁部65との間には、隙間M1が形成されている。第1仕切り筒85の下端部には、該第1仕切り筒85を径方向に貫通する貫通溝85aが周方向に間隔を開けて複数形成されている。また、第2仕切り筒86と蓋体54の支持筒57との間には、上記隙間M1に連通する隙間M2が形成されている。第2仕切り筒86の上端部には、該第2仕切り筒86を径方向に貫通する貫通溝86aが周方向に間隔を開けて複数形成されている。上記隙間M及び隙間M2は、例えば第1仕切り筒85及び第2仕切り筒86の外面に突設された縦リブによって形成されている。
【0048】
上記可動部材82は、第1仕切り筒85の内側に配設され、外周面が該第1仕切り筒85の内周面に摺接した摺動筒90と、この摺動筒90の中央部から下方に向けて突出し、上記弁部材71における芯体72の開口部72aに挿通された軸体91と、を備えている。
【0049】
そして、摺動筒90と第1仕切り筒85の天板部との間に形成された空間が、上記密閉室R3として機能する。特に、摺動筒90の外周面には、環状のシールリング92が取り付けられており、摺動筒90の外周面と第1仕切り筒85の内周面との間を気密に封止して、密閉室R3内の密閉性を確実なものとしている。
また、摺動筒90と連通筒52の底壁部66との間に形成された空間M3と、貫通溝85aを通じてこの空間M3に連通する上記隙間M1と、この隙間M1に連通する隙間M2と、第2仕切り筒86、第1仕切り筒85の天板部及び第1弁体60で形成され、貫通溝86aを通じて上記隙間M2に連通する空間M4とが、上記供給室R2として機能する。
【0050】
可動部材82は、密閉室R3及び供給室R2の内圧差に応じて上下方向に往復移動する。また、可動部材82の軸体91は、弁部材71よりも下方に突出して加圧室R1内に達している。そして、この軸体91の下端部に上記第2弁体83が取り付けられている。
第2弁体83は、有底筒状に形成され、軸体91の下端部に下方から被さるように嵌合固定されている。そして、第2弁体83は、上端開口部から径方向の外側に向けて突出する環状のフランジ弁83aを有しており、このフランジ弁83aが摺動筒90の上下移動に伴って、弁部材71における開閉弁73の内周端部に対して当接又は離間可能とされている。
【0051】
つまり、第2弁体83は、摺動筒90の上下移動に伴って芯体72の開口部72aを開閉して、供給室R2と加圧室R1との連通及びその遮断を切り替えている。なお、供給室R2の内圧が密閉室R3の内圧よりも低下した場合に、可動部材82が密閉室R3の内圧に付勢されて下方移動し、第2弁体83のフランジ弁83aが開閉弁73から離間することで、芯体72の開口部72aが開放される。
【0052】
<吐出容器の作用>
次に、上記のように構成された吐出容器1を利用して、内容物を吐出する場合について説明する。
はじめに、吐出操作の前に図1に示すように、容器本体4の導入筒11を加圧装置6の装着筒51に螺着することで、容器本体4と加圧装置6とを一体的に組み合わせることができる。この際、サポート筒46における周壁部48の下端部が、加圧装置6の蓋体54に形成された周溝55aに嵌合される。これにより、容器本体4は、安定に起立した状態で支持される。
【0053】
なお、初期状態では、図4に示すように、加圧装置6における加圧室R1内、及び供給室R2内には加圧流体が充填されており、第1弁体60及び第2弁体83は閉状態とされている。そして、導入筒11を装着筒51に螺着すると、図1に示すように、該導入筒11の下端部が第1弁体60における弁本体62の中央部を下向きに押圧する。これにより、弁本体62の中央部が下方に向けて撓み変形し、スリット63を通じて弁体筒58の下端開口部が開放されるので、装着筒51を通じて導入筒11の内部と供給室R2とが連通し、導入筒11を通じて供給室R2内の加圧流体を内容器2と外容器3との間に供給することができる。よって、内容器2が減容変形する方向に加圧され、内容器2の内圧が正圧となる。
【0054】
従って、カバーキャップ45を取り外した後、吐出器5を操作することで、吐出口42から内容物をスムーズに吐出することができる。
具体的には、図5に示すように、装着キャップ20に対して押下ヘッド23を下側に押し込むと、弾性部材21が弾性変形させられると共に吐出ステム22が押し下げられて、シール部材35の内周端部が下方に撓み変形する。これにより、吐出ステム22の貫通孔22bに対するシール部材35のシールが解除され、該貫通孔22bを通じて、吐出ステム22の内部と装着キャップ20のシリンダ筒28内とが連通する。
従って、内容器2内の内容物が連通孔32及び貫通孔22bを通じて吐出ステム22の内部に流れると共に、さらに吐出ステム22の内部から吐出口42まで流れ、該吐出口42から外部へ吐出される。
【0055】
ところで、内容物が吐出されると、内容器2が外容器3から離脱するように減容変形(図1参照)するので、この減容変形によって供給室R2の内圧が徐々に低下する。そして、供給室R2の内圧が密閉室R3の内圧よりも低下すると、図6に示すように、可動部材82が下方に移動して、第2弁体83のフランジ弁83aを弁部材71の開閉弁73から離間させ、弁部材71における芯体72の開口部72aを開放させる。
【0056】
これにより、加圧室R1内に充填されている加圧流体を、上記開口部72aを通じて供給室R2内に流入させることができ、低下した供給室R2の内圧を上昇させることができると同時に、内容器2を引き続き減容変形する方向に加圧することができる。そのため、次回の内容物の吐出に備えることができる。
また、供給室R2の内圧の上昇に伴って可動部材82が上方移動するので、図1に示すように、第2弁体83のフランジ弁83aが弁部材71の開閉弁73に再び当接し、弁部材71における芯体72の開口部72aを閉じることで供給室R2と加圧室R1との連通を遮断する。
【0057】
このように、本発明によれば、加圧室R1内の加圧流体を供給室R2内に適宜補充させながら、加圧流体を供給室R2から内容器2と外容器3との間に供給できるので、内容器2を減容変形する方向に常時加圧でき、内容物を確実に吐出させることができる。
【0058】
また、装着筒51から導入筒11を離脱させ、加圧装置6と容器本体4とを分離させると、図4に示すように、第1弁体60が装着筒51の内部と供給室R2との連通を遮断するので、供給室R2が装着筒51を通じて外部に連通することが防止される。従って、加圧流体を消費した後、充填容器50の加圧室R1内に加圧流体を再充填することができると共に、加圧流体を供給室R2内にも行き渡らせることができる。
従って、加圧装置6を交換することなく再利用することができ、例えば特殊なガスを用いることなく、消費者が個人で、空気等の一般的な流体を加圧室に再充填することができる。そのため、安全で環境に配慮した吐出容器1として使用することができる。
また、本実施形態では、第1弁体60や第2弁体83等の簡易な構成で加圧装置6を構成できるので、構成の簡略化を図ることができる。
【0059】
なお、本実施形態の加圧装置6では、加圧流体を再充填する際、図示しない供給具を装着筒51に装着することで充填作業を行える。この場合、第1弁体60における弁本体62の中央部を下向きに押圧して、供給具と供給室R2とを連通させる。そして、この状態で供給具から加圧流体を供給する。すると、加圧流体は、供給室R2を流れた後、充填孔70を通じて弁部材71における開閉弁73を下方に変形させながら加圧室R1内に流入する。これにより、効率良く加圧流体の充填作業を行うことができる。
【0060】
なお、充填前では、供給室R2の内圧低下により可動部材82が下方移動しており、第2弁体83のフランジ弁83aが弁部材71の開閉弁73から離間して芯体72の開口部72aが開放されているが、加圧室R1内及び供給室R2内に加圧流体が再充填されて、加圧室R1及び供給室R2の内圧が上昇すると、該内圧によって可動部材82が上方移動する。これにより、第2弁体83のフランジ弁83aが弁部材71の開閉弁73に当接して、芯体72の開口部72aを塞ぐ。また、加圧室R1の内圧上昇によって開閉弁73が復元変形して、充填孔70を塞ぐ。これにより、再充填が完了し、加圧装置6を再利用することができる。
【0061】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0062】
例えば、容器本体4の導入筒11を装着筒51に対して螺着させたが、離脱可能に装着されれば良く、嵌合固定でも構わない。また、吐出器5は、容器本体4の口部4aに装着される構成としたが、この場合に限定されるものではなく、容器本体4の口部4aに対して他の部材を介して間接的に取り外し可能に装着される等の構成とされていても良い。
また、吐出器5は、例えば内容物をスプレー状や泡状に噴出させる構成とされていても良い。
【0063】
また、上記実施形態において、図7に示すように、仕切り部材80に可動部材82の移動をガイドするガイド部材100を設けても構わない。
この場合、ガイド部材100は、第1仕切り筒85の天板部の中央部から下方に向けて突出する円柱状に形成されており、容器軸Oに沿って可動部材82における軸体91の内部に挿入されている。これにより、ガイド部材100を利用して、可動部材82の上下移動をガイドすることができ、がたつき等を発生させることなく可動部材82をスムーズに移動させて、第2弁体83の開閉動作をより微細且つ確実に行える。従って、内容物の吐出性をさらに向上させることができる。
【0064】
また、上記実施形態において、加圧室R1内に加圧流体を充填させるための充填口を、充填容器50の容器本体53又は蓋体54に形成しても構わない。
例えば、図8に示すように、蓋体54の天壁部56に充填口101を形成し、該充填口101を開閉自在に塞ぐ充填用弁体102をパッキン68に設けても構わない。この場合には、充填口101を通じて、加圧室R1内に加圧流体を直接充填することができるので、上記実施形態における充填孔70や弁部材71が不要である。従って、さらなる構成の簡略化を図ることができる。
【0065】
また、この場合、弁部材71が不要であるので、連通筒52の底壁部66に可動部材82の上下移動をガイドするガイド筒103(ガイド部材)を設けることが可能である。このガイド筒103は、連通開口部69の開口周縁に沿って、連通筒52の底壁部66から上方に向けて突設されている。この場合であっても、がたつき等を発生させることなく可動部材82をスムーズに移動させることが可能である。また、連通開口部69を気密に封止する環状のシール部材104を第2弁体83に取り付けることが好ましい。
【符号の説明】
【0066】
R1…加圧室
R2…供給室
R3…密閉室
1…吐出容器
2…内容器
3…外容器
4…容器本体
4a…容器本体の口部
5…吐出器
6…加圧装置(導入体)
11…導入筒
50…充填容器
51…装着筒
52…連通筒
60…第1弁体
69…連通開口部
80…仕切り部材
82…可動部材
83…第2弁体
100…ガイド部材
103…ガイド筒(ガイド部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8