(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の原点検出手段は、前記保持枠の前記第二の方向の移動に伴い、相対的にすれ違い移動を行う第2位置センサ及び第2検出板を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のミシン。
【背景技術】
【0002】
所定の縫いパターンに従って縫製を行うミシンは、
図13に示すように、基台(図示略)上において水平面上の一方向(X軸方向とする)にスライド可能に支持されたXステージ101と、Xステージ101上において水平面上でX軸方向に直交する方向(Y軸方向とする)にスライド可能に支持されたYステージ102と、Yステージ102に支持された布保持枠と、布保持枠(
図2の布保持枠4参照)に保持された被縫製物である布地に対して運針を行う縫製部(
図2の縫製部5参照)とを備えている。
上記Xステージ101はX軸モーターによりX軸方向に沿った移動位置決めが行われ、Yステージ102はY軸モーターによりY軸方向に沿った移動位置決めが行われる。布保持枠はYステージ102と一体となって移動動作を行い、X軸及びY軸モーターを駆動源として、X−Y座標系における任意の位置に位置決めされ、所定の縫いパターン上の各位置に針落ちが行われるように駆動制御が行われるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記ミシンは、布保持枠4に縫い針や中押さえ(
図2の縫い針7及び中押さえ8参照)との干渉を生じる突起物を搭載している場合がある。例えば、布保持枠に上方に突出した構造物(例えば、
図2のエアシリンダ9参照)を搭載している場合には、中押さえの半径とエアシリンダの外接円の半径との合計長さの半径の移動禁止領域Tが設定される(
図3参照)。そして、この移動禁止領域Tを回避するようにX軸モーターとY軸モーターの動作制御を行って相互の干渉を回避している。
【0004】
一方、X軸モーターとY軸モーターの制御装置は、ミシンの主電源が落とされるとその原点位置のデータが消去されるため、毎回の主電源投入時に原点検索動作を実行する必要がある。原点検索は、例えば、
図13に示すYステージ102上の基準点Kを原点Gの位置に位置決めすることにより行われる。このため、上記ミシン100には、原点GのX軸方向の位置とY軸方向の位置のそれぞれを検出する位置センサX0,Y0が装備されている。
かかる原点検索動作の実行時には、X軸モーターとY軸モーターの制御装置は、布保持枠の位置を認識することができないので、移動禁止領域Tを検出するための位置センサX1,Y1,Y2がさらに装備されている。
【0005】
上記位置センサX0とX1は受光素子であり、いずれも受光面をY軸方向に向けた状態でXステージ101上にX軸方向に沿って所定間隔で並んで配置されている。そして、基台側には、位置センサX0、X1に対向するようにX検出板108が設置されており、Xステージ101が移動を行うと、X検出板108と位置センサX0、X1との相対位置に応じて遮蔽状態と非遮蔽状態とが切り替わるようになっている。なお、全ての位置センサはいずれも、遮蔽状態で「1」を出力し、非遮蔽状態で「0」を出力する。
【0006】
図13において、Xステージ101は位置センサX1がX検出板108の左側のエッジ108aよりも左側までは移動することできないように可動範囲が制限されている。かかる前提において、位置センサX0の「0」と「1」とが切り替わる位置(位置センサX0が左側のエッジ108aと正対する位置)が布保持枠の原点GのX軸方向における位置となっている。
また、位置センサX0が「1」で位置センサX1が「0」を出力する範囲(位置センサX0がエッジ108bと正対する位置から位置センサX1がエッジ108bと正対する位置までの範囲)が移動禁止領域TのX軸方向における全範囲を示している。
【0007】
上記位置センサY0〜Y2も受光素子であり、いずれも受光面を上方に向けた状態でYステージ102上にX軸方向に沿って所定間隔で一列に並んで配置されている。そして、Xステージ101側には、位置センサY0、Y1、Y2に個々に対向する遮蔽部111,112,113を備えるY検出板110が設置されている。
Y検出板110は、Yステージ102が移動を行うと、Y検出板110のY軸方向の一端のエッジ111a,112a,113aをそれぞれの位置センサY0、Y1、Y2が通過することで、遮蔽状態と非遮蔽状態とが切り替わるようになっている。
【0008】
図13において、Yステージ102は位置センサY0〜Y2がY検出板110の下端部よりも下側までは移動することできないように可動範囲が制限されている。かかる前提において、位置センサY0の「0」と「1」とが切り替わる位置(位置センサY0がエッジ111aと正対する位置)が布保持枠の原点GのY軸方向における位置となっている。
また、位置センサY1が「1」で位置センサY2が「0」を出力する範囲(位置センサY1がエッジ112aと正対する位置から位置センサY2がエッジ113aと正対する位置までの範囲)が移動禁止領域TのY軸方向における全範囲を示している。
【0009】
そして、原点検索時には、まず、(1)位置センサX0が「1」で位置センサX1が「0」を出力しているか、(2)位置センサY1が「1」で位置センサY2が「0」を出力しているかの二点について判定を行う。
(1)の状態であって(2)の状態ではない場合には、布保持枠をY軸方向に移動すると移動禁止領域Tに進入する恐れがあるので、X軸方向に布保持枠を移動させて原点GのX方向における位置を検出し、その後にY軸方向に布保持枠を移動させて原点GのY方向における位置を検出し、原点Gへの布保持枠の位置決めを完了し、その後、縫製準備位置Hに布保持枠を移動させて終了する。
また、(2)の状態であって(1)の状態ではない場合には、布保持枠をX軸方向に移動すると移動禁止領域Tに進入する恐れがあるので、Y軸方向に布保持枠を移動させて原点GのY方向における位置を検出し、その後にX軸方向に布保持枠を移動させて原点GのX方向における位置を検出し、原点Gへの布保持枠の位置決めを完了し、その後、縫製準備位置Hに布保持枠を移動させて終了する。
また、下記の許文献1には、X方向に2個のセンサと、Y方向に2個のセンサを備え、合計4個のセンサにより障害領域を認識し、原点に至る移動経路を選択するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来のミシンにおいて原点検索を行う場合、
図13における移動禁止領域Tの四隅の格子領域Nは、干渉を生じないにも拘わらず移動禁止領域Tと認識される。
その結果、原点検索時に布保持枠が最初から何れかの領域Nに位置していると、制御装置はX軸方向にもY軸方向にも布保持枠を移動させることができなくなり、ミシンのオペレーターが手動で布保持枠を移動させなければならなくなるという問題があった。
また、上記原点検索を行うためには、位置センサが五つ必要となり、ミシンの生産コストを増加させるという問題があった。
【0012】
本発明は、生産コスト低減を図りつつ、原点検索を良好に行うことをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明は、
縫い針の上下動により縫い目を形成する縫製部と、
前記縫製部に同期して被縫製物を保持する保持枠を作業領域となる平面上で互いに直交する第一と第二の方向に沿って移動させることで任意の位置に縫い目を形成させる移動機構と、
前記縫い針の周囲で前記被縫製物を上方から押さえる中押さえと、
前記移動機構の動作制御を行う制御手段とを備え、
前記作業領域内に、前記保持枠の原点と、当該保持枠と前記縫い針又は中押さえとの干渉を生じる移動禁止領域とが定められたミシンにおいて、
前記原点の第一の方向における位置の検出を行う第一の原点検出手段と、第二の方向における位置検出を行う第二の原点検出手段とを備えると共に、
前記第一の原点検出手段は、前記保持枠の前記第一の方向の移動に伴い、相対的にすれ違い移動を行う位置センサ及び検出板を備え、
前記検出板は、
前記第一の方向について、前記移動禁止領域の中心と同位置となる境界エッジで隣接する第一の検出領域及び第一の非検出領域を備え、
当該第一の検出領域及び第一の非検出領域は、いずれも、前記移動禁止領域のX軸方向幅の二分の一より広い幅とし、
前記第一の非検出領域に対して、前記第一の検出領域とは反対側に位置する第二の検出領域及び第二の非検出領域をさらに備え、
当該第二の検出領域及び第二の非検出領域は、いずれも、前記第一の検出領域と第一の非検出領域のいずれよりも狭い幅とし、
前記第一の非検出領域とは反対側の前記第一の検出領域のエッジ位置と前記第一の検出領域とは反対側の前記第一の非検出領域のエッジ位置と前記第二の検出領域とは反対側の前記第二の非検出領域のエッジ位置とからなる三つのエッジ位置の内のいずれかを前記原点と一致する配置としたことを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、
縫い針の上下動により縫い目を形成する縫製部と、
前記縫製部に同期して被縫製物を保持する保持枠を作業領域となる平面上で互いに直交する第一と第二の方向に沿って移動させることで任意の位置に縫い目を形成させる移動機構と、
前記縫い針の周囲で前記被縫製物を上方から押さえる中押さえと、
前記移動機構の動作制御を行う制御手段とを備え、
前記作業領域内に、前記保持枠の原点と、当該保持枠と前記縫い針又は中押さえとの干渉を生じる移動禁止領域とが定められたミシンにおいて、
前記原点の第一の方向における位置の検出を行う第一の原点検出手段と、第二の方向における位置検出を行う第二の原点検出手段とを備えると共に、
前記第一の原点検出手段は、前記保持枠の前記第一の方向の移動に伴い、相対的にすれ違い移動を行う位置センサ及び検出板を備え、
前記検出板は、
前記第一の方向について、前記移動禁止領域の中心と同位置となる境界エッジで隣接する第一の検出領域及び第一の非検出領域を備え、
当該第一の検出領域及び第一の非検出領域は、いずれも、前記移動禁止領域のX軸方向幅の二分の一より広い幅とし、
前記第一の検出領域に対して、前記第一の非検出領域とは反対側に位置する第二の非検出領域及び第二の検出領域をさらに備え、
当該第二の検出領域及び第二の非検出領域は、いずれも、前記第一の検出領域と第一の非検出領域のいずれよりも狭い幅とし、
前記第一の非検出領域とは反対側の前記第一の検出領域のエッジ位置と前記第一の検出領域とは反対側の前記第一の非検出領域のエッジ位置と前記第二の非検出領域とは反対側の前記第二の検出領域のエッジ位置とからなる三つのエッジ位置のいずれかを前記原点と一致する配置としたことを特徴とするミシン。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、
前記制御手段は、
原点検索開始時に、前記位置センサが非検出状態を示した場合には、前記第一の方向に沿って、前記前記移動禁止領域の中心に対する前記第一の非検出領域側に向かって新たにエッジを検出するまで前記保持枠の移動を行い、前記位置センサが検出状態を示した場合には、前記第一の方向に沿って、前記移動禁止領域の中心に対する前記第一の検出領域側に向かって新たにエッジを検出するまで前記保持枠の移動を行う移動禁止領域離隔制御と、
前記移動禁止領域離隔制御により到達する前記三つのエッジ位置の中から、規定移動量での前記保持枠の移動により前記位置センサが示す検出状態の変化により、いずれのエッジ位置に到達していたかを特定するエッジ位置特定制御と、
前記エッジ位置特定制御後に、前記第二の原点検出手段により前記原点の第二の方向における位置検出を行う第二の方向位置検出制御とを実行することを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記第2の原点検出手段は、前記保持枠の前記第二の方向の移動に伴い、相対的にすれ違い移動を行う第2位置センサ及び第2検出板を備えることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記第二の検出領域及び前記第二の非検出領域を等しい幅に設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、第一の原点検出手段の検出板が、第一の方向について、移動禁止領域の中心と同位置となる境界エッジで隣接する第一の検出領域32及び第一の非検出領域33を備え、当該第一の検出領域及び第一の非検出領域は、いずれも、移動禁止領域のX軸方向幅の二分の一より広い幅としている。
このため、原点検索時に、第一の原点検出手段の位置センサが非検出状態を示した場合には、第一の方向に沿って、移動禁止領域の中心に対する第一の非検出領域側に向かって新たにエッジを検出するまで保持枠の移動を行う。また、位置センサが検出状態を示した場合には、第一の方向に沿って、移動禁止領域の中心に対する第一の検出領域側に向かって新たにエッジを検出するまで保持枠の移動を行う。これらの移動により、保持枠を第一の方向について移動禁止領域の外側に移動させることができる。
この場合、第二の方向について移動禁止領域に位置するか否かの判断を行うことなく、第一の方向について移動禁止領域から脱することができるので、第一の方向と第二の方向の双方について移動禁止領域に属すると判断されて移動不能となる状態を回避することが可能となる。
【0018】
そして、保持枠を第一の方向について移動禁止領域の外側まで移動させた後には、位置センサが三つのエッジのいずれかを検出する位置に到達するが、各検出領域及び非検出領域を固有の幅としているので、保持枠を規定移動量で移動させた時の位置センサの検出非検出の状態変化を監視することで、もとの位置センサがいずれのエッジを検出していたかを判別することが可能である。
従って、その後の位置センサの位置を把握することができるので、第一の方向について原点検索が可能となると共に、第一の方向について移動禁止領域を回避しながら第二の方向における原点位置の検索を行うことが可能となる。
つまり、第一の方向については、単一の位置センサのみにより原点検索を行うことができ、第二の方向については、移動禁止領域に属するか否かを判断するための位置センサを必要としないので、やはり、単一の位置センサのみにより原点検索を行うことができる。
従って、第一及び第二の方向の双方について原点検索を行うための位置センサの必要数を最小で二つにまで低減することが可能となる。
このため、位置センサの個体数を低減して生産コストの低減を図りつつ、動作不能状態を回避して良好な原点検索を行うことが可能なポケットセッターを提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[ミシン概略]
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
なお、図示上下方向をZ方向、上下方向と直交する水平一方向をX軸方向(左右方向)、Z方向とX方向の双方に直交する方向をY軸方向(前後方向)とする。
なお、上記X軸方向とY軸方向とは、それぞれ、後述する布保持枠4の作業領域となる水平面上で互いに直交する第一の方向と第二の方向とに相当する。
【0021】
図1は本発明を適用したミシンとしてのポケットセッター10の一実施形態の構成を示すもので、1は基台としてのテーブル、2は型板、3は折込み機、4は保持枠としての布保持枠、5は縫製部、6は操作表示部である。
【0022】
図示のように、ポケットセッター10は、テーブル1上面の作業板11に、図示しないポケットを載せる型板2と、その型板2上のポケットを折込んで図示しない身頃に位置合わせする折込み機3と、折り込まれたポケットと身頃を搬送する布保持枠4と、その布保持枠4により搬送されたポケットを身頃に縫製するミシンによる縫製部5と、操作表示部6と、全体を制御する制御手段としての制御装置90(
図6参照)とを備えている。
上記折込み機3及び布保持枠4は、周知のポケットセッターを同一構造であるため詳細な説明は省略する。
【0023】
上記縫製部5は、ミシンフレームとその内部に格納された針棒上下動機構及び釜機構等から主に構成されている。
ミシンフレームの下部に位置するベッド部は、作業板11の下側に格納されている。
上記針上下動機構は、ミシンモーター51(
図6参照)を駆動源として、縫い針7を保持する針棒をクランク機構により上下動させている。
釜機構もミシンモーター51から動力を得て、釜に回転を付与しており、一定の針落ち位置で縫い針との協働により被縫製物である布地に縫い目を形成する。
また、縫製部5は、
図2に示すように、縫い針7の近傍に中押さえ8を保持している。縫製部5は、ミシンモーター51を駆動源として縫い針7よりも小さいストロークで中押さえ8に上下動を付与する上下動機構も備えている。
【0024】
布保持枠(保持枠)4は、後述する移動機構20により図示しないアーム部を介して支持されている。そして、
図2に示すように、布保持枠4の上面部には、下降動作により布保持を行うためのエアシリンダ9が搭載されている。
布保持枠4のエアシリンダ9は上方に突出しているため、縫い針7や中押さえ8との干渉を生じうる。そこで、このポケットセッター10では、布保持枠4の作業領域であるX−Y座標系に干渉を生じ得る範囲として移動禁止領域Tが設定されている。
移動禁止領域Tは、
図3に示すように、中押え8の中心Oを基準として、略円形の中押さえ8の半径と矩形のエアシリンダ9の外接円の半径との合計長さの半径の円形の領域として設定される。そして、ポケットセッター10の制御装置90では、布保持枠4の移動動作において、上記移動禁止領域T内の進入を回避する制御が行われるようになっている。
【0025】
さらに、ポケットセッター10は、縫製部5の奥側であって作業板11の下側において、布保持枠4をX−Y平面の任意の位置に移動させる移動機構20を備えている。
この移動機構20は、
図4に示すように、テーブル1に設けられた図示しないリニアガイドよりX軸方向に沿ってスライド可能に支持されたXステージ21と、Xステージ21上において図示しないリニアガイドによりY軸方向に沿ってスライド可能に支持されたYステージ22と、X軸モーター23(
図6参照)を駆動源としてXステージ21に移動動作を付与する図示しないベルト機構と、Y軸モーター24(
図6参照)を駆動源としてYステージ22に移動動作を付与する図示しないベルト機構とを備えている。
上記Yステージ22は、図示しないアーム部を介して布保持枠4を支持しており、Yステージ22と布保持枠4は、X−Y平面内において一体的に移動動作を行う。
なお、各移動機構は、回転を直動に変換するボールネジ機構等の他の駆動機構を利用しても良い。
【0026】
上記X軸モーター23及びY軸モーター24は、いずれもステッピングモーターであり、布保持枠4の作業領域であるX−Y座標系内に予め定められた原点(保持枠の原点)Gを基準としてその動作が行われる。
制御装置(制御手段)90は、上記原点Gに対応するX軸モーター23及びY軸モーター24の原点位置を記憶して、これを基準とする動作指令をX軸モーター23及びY軸モーター24に出力する。しかしながら、X軸モーター23及びY軸モーター24の原点位置のデータは、ポケットセッター10の主電源を切ると消去されてしまうので、再び主電源を投入したときには、X軸モーター23及びY軸モーター24の原点検索を行わなければならない。
このため、移動機構20は、テーブル1とXステージ21との間に原点GのX軸方向(第一の方向)における位置を検出する第一の原点検出手段30を備え、Xステージ21とYステージ22との間にY軸方向(第二の方向)における位置を検出する第二の原点検出手段40とを備えている。
【0027】
[第二の原点検出手段]
図4において、Yステージ22上に基準点Kが定められており、原点検索時には、当該基準点KがX−Y座標内の原点Gに位置に合致するように検索動作が行われる。また、
図4に示した移動禁止領域Tは、基準点Kが当該図示の範囲に入ると、エアシリンダ9と中押さえ8とが干渉を生じる範囲を示している。
【0028】
第二の原点検出手段40は、主に、Xステージ21に搭載された位置センサ(第2位置センサ)Y10と、Yステージ22に固定支持されたY検出板(第2検出板)41とから構成される。
上記位置センサY10は受光素子であり、受光面を上方に向けた状態でXステージ21上に設置されている。そして、Yステージ22側には、位置センサY10に対向するようにY検出板41が設置されており、Yステージ22(布保持枠4)がY軸方向に沿って移動を行うと、Y検出板41と位置センサY10との相対的にすれ違い移動を行って遮蔽状態と非遮蔽状態とが切り替わるようになっている。また、X検出板31は、下記のように、位置センサX10の受光面を遮蔽しない第一、第二の非検出領域33,35(切欠け部)を備えるが、Y検出板(第2検出板)41は、受光面を遮蔽しない切欠け部を有しない。
なお、位置センサY10及び後述する位置センサX10は遮蔽状態で「1」を出力し、非遮蔽状態で「0」を出力する。
【0029】
Y検出板41のY軸方向一端部側のエッジ411は、Y軸方向について基準点Kと位置が一致している。また、位置センサY10は、Y軸方向について原点Gと位置が一致している。
従って、Yステージ22がY軸方向に移動して、位置センサY10がY検出板41のエッジ411を検出することにより(「1」→「0」の切り替わり又は「0」→「1」の切り替わり)、原点GのY軸方向位置を検出することが可能となっている。
なお、Yステージ22は、可動範囲の物理的限界により、Y検出板41のもう一方のエッジ412が位置センサY10の位置まで移動することができないようになっている。
【0030】
[第一の原点検出手段]
第一の原点検出手段30は、主に、Xステージ21に搭載された位置センサX10と、テーブル1に固定支持されたX検出板(検出板)31とから構成される。
上記位置センサX10は受光素子であり、受光面を上方に向けた状態でXステージ21上に設置されている。そして、テーブル1側には、位置センサX10に対向するようにX検出板31が設置されており、Xステージ21(布保持枠4)がX軸方向に沿って移動を行うと、X検出板31と位置センサX10との相対的にすれ違い移動を行って遮蔽状態と非遮蔽状態とが切り替わるようになっている。
また、位置センサX10は、X軸方向について基準点Kと位置が一致している。
【0031】
次に、X検出板(検出板)31について
図4及び
図5に基づいて詳細に説明する。
X検出板31のX軸方向一端部側のエッジOは、X軸方向について原点Gと位置が一致している。なお、Xステージ21は、可動範囲の物理的限界により、位置センサX10がX検出板31のもう一方のエッジEの位置まで移動することができないようになっている。
【0032】
X検出板31は、X軸方向について位置センサX10と同位置となった場合に、位置センサX10の受光面を遮蔽する第一〜第三の検出領域32,34,36と、遮蔽しない第一、第二の非検出領域33,35とを備え、X軸の+方向に向かって第一の検出領域32,第一の非検出領域33,第二の検出領域34,第二の非検出領域35,第三の検出領域36と順番に並んで配置されている。また、第一の検出領域32よりもX軸−方向側は、位置センサX10の可動範囲だがX検出板31の全長からは外れている。ここでは、便宜的に第一の検出領域32よりもX軸−方向側の領域を「第三の非検出領域37」として説明する。
【0033】
そして、第一の検出領域32のX軸の−方向側の端部に位置するエッジOは前述したようにX軸方向について原点Gと一致し、第一の検出領域32のX軸の+方向側(図示左方向)の端部に位置するエッジAはX軸方向について移動禁止領域Tの中心と一致している。
さらに、第一の検出領域32のX軸方向幅はX軸モーター23のuステップ分の動作量(以下、幅uとする)と等しい幅に設定され、第一の非検出領域33のX軸方向幅はX軸モーター23のmステップ分の動作量(以下、幅mとする)と等しい幅に設定されている。これらの幅u,mは、いずれも、移動禁止領域TのX軸方向幅の二分の一より大きな幅となっている(m>(移動禁止領域TのX軸方向幅)/2)。つまり、第一の検出領域32のX軸−方向側のエッジOと第一の非検出領域33のX軸+方向側のエッジBは、いずれも移動禁止領域Tの外側となるようになっている。
さらに、第二の検出領域34と第二の非検出領域35のX軸方向幅はX軸モーター23のnステップ分の動作量(以下、幅nとする)と等しい幅に設定されている。この幅nは第一の検出領域32の幅uと第一の非検出領域33の幅mのいずれよりも小さい幅となっている(n<u且つn<m)。
また、第三の検出領域36は、その、X軸+方向側のエッジEの位置が、位置センサX10の可動範囲のX軸+方向側の端部位置よりもX軸+方向側となる幅に設定されている。つまり、エッジEは位置センサX10の検出範囲外であって検出されることがないように設定されている。
また、第三の非検出領域37は、第一の検出領域32よりもX軸−方向側であって、位置センサX10の可動範囲全体を対象とする。従って、第三の非検出領域37については、その幅について設定はされていないものとする。
【0034】
そして、Xステージ21がX軸方向に移動して、位置センサX10がX検出板31の各エッジO,A〜Eとすれ違う際に出力が「1」→「0」又は「0」→「1」に切り替わることで、各エッジO,A〜Eを検出することが可能となっている。
【0035】
[ミシンの制御系]
ポケットセッター10は、
図6に示すように、上述した各部、各部材の動作を制御するための動作制御手段としての制御装置90を備えている。そして、制御装置90は、各種の制御プログラム、縫製パターンデータを記憶し、実行するCPU91を備えている。
また、CPU91は、インターフェイス51bを介して、ミシンモーター51を駆動するミシンモーター駆動回路51aに接続され、ミシンモーター51の回転を制御する。また、このミシンモーター51はエンコーダー52が併設されている。
さらに、CPU91は、インターフェイス23b及びインターフェイス24bを介して、X軸モーター23及びY軸モーター24をそれぞれ駆動するX軸モーター駆動回路23a及びY軸モーター駆動回路24aが接続され、布保持枠4のX軸方向及びY軸方向の動作を制御する。
さらに、CPU91は、インターフェイス92、93を介して位置センサX10及びY10が接続され、それぞれのセンサX10,Y10からセンサ出力「1」、「0」が入力される。
【0036】
制御装置90は、縫製作業の際には、ポケットを身頃に縫い付けるための縫製パターンデータに基づいてX軸モーター23及びY軸モーター24の動作を制御し、所定のパターンに沿った運針を実行する。
また、主電源投入の際には、X軸モーター23及びY軸モーター24の制御を可能とするために、原点Gの位置検索のための制御を実行する。
【0037】
[原点検索:移動禁止領域離隔制御]
前述したX検出板31とこれによる原点検索制御の原理内容について説明する。まず、原点検索の最初に行われる移動禁止領域離隔制御について説明する。
原点検索の開始時には、制御装置90は、位置センサX10が「1」か「0」かを判定する。「0」(非検出状態)であれば位置センサX10は、第一〜三の非検出領域33,35,37の何れかに位置し、「1」(検出状態)であれば位置センサX10は、第一〜三の検出領域32,34,36の何れかに位置することを意味する。だたし、現段階では、いずれの領域に位置するかを特定することはできない。
【0038】
この時、中押さえ8とエアシリンダ9との干渉の発生が最も懸念されるのは、位置センサX10が移動禁止領域Tに最も近接する第一の検出領域32又は第一の非検出領域33に位置する場合である。
従って、位置センサX10の出力が「0」(非検出状態)の場合には、X軸モーター23を移動禁止領域Tに対する第一の非検出領域33側(X軸+方向側)に動作させる(
図5(A)矢印t11参照)。
また、位置センサX10の出力が「1」(検出状態)の場合には、X軸モーター23を移動禁止領域Tに対する第一の検出領域33側(X軸−方向側)に動作させる(
図5(B)矢印t12参照)。
また、いずれの方向に移動を行った場合でも、新たにエッジが検出された時点で動作を停止させる。
【0039】
これらにより、位置センサX10が第一の非検出領域33に位置する場合には移動禁止領域Tから離間する方向に布保持枠4を移動させ、同様に、位置センサX10が第一の検出領域32に位置する場合には移動禁止領域Tから離間する方向に布保持枠4を移動させることができる。
例えば、
図4に示すように、移動禁止領域Tに外接する矩形の領域であって当該移動禁止領域Tの外側の四つの角の領域N1〜N4の何れかに基準点Kが位置していたとしても、N1,N2の領域であればX軸+方向に基準点Kが移動し、N3,N4の領域であればX軸−方向に基準点Kが移動する。つまり、従来には原点検索動作不能となるような領域N1〜N4に基準点Kが位置する場合でも、良好且つ円滑に原点検索動作を継続することが可能である。
【0040】
上記移動禁止領域離隔制御により、センサ位置が第一の検出領域32又は第一の非検出領域33であれば、センサ位置をその領域の外縁部(エッジO又はエッジB)まで移動させることができ、その後はY軸方向に布保持枠4を移動させても干渉は生じない。
また、センサ位置が第二の検出領域34の場合にはエッジBに、第二の非検出領域35の場合にはエッジDに、第三の検出領域36の場合にはエッジDに、第三の非検出領域37の場合にはエッジOに移動し、これらの場合も同様に、その後はY軸方向に布保持枠4を移動させても干渉は生じない。
【0041】
[原点検索:エッジ位置特定制御]
上記移動禁止領域離隔制御が実行されると、位置センサX10は、上述したように、エッジOの位置とエッジBの位置とエッジDの位置とからなる三つのエッジ位置の何れかに到達する。
この時点では、まだ、上記三つのエッジO,B,Dのいずれの位置であるかを特定することができない。従って、上記各検出領域又は非検出領域32〜36の幅に応じた規定移動量で布保持枠4を移動させることにより、現在のエッジ位置に応じて位置センサX10はその検出状態に変化を生じるので、これによりもとのエッジ位置を特定することが可能である。
【0042】
例えば、第二の検出領域34の幅nを若干超える規定移動量(例えば、n+2パルス)でX軸+方向に移動を行う(
図5(A)及び
図5(B)矢印t2参照)。この時、移動禁止領域離隔制御の実行直後にエッジBに位置センサX10が位置していた場合には、位置センサX10は第二の非検出領域35に到達して、その出力は「1」から「0」に切り替わる。つまり、エッジBと特定することができる。
【0043】
また、位置センサX10の検出が「1」のままであれば、エッジO又はDに位置していたことになる。これらを選別するために、移動禁止領域離隔制御の実行直後の位置に戻すために移動量n+2と第二の非検出領域35の幅nを若干超える移動量n+2の合計を規定移動量としてX軸−方向に向かって移動を行う(
図5(A)及び
図5(B)矢印t3参照)。この時、移動禁止領域離隔制御の実行直後にエッジDに位置センサX10が位置していた場合には、位置センサX10は第二の検出領域34に到達して、その出力は「0」から「1」に切り替わる。つまり、エッジDと特定することができる。
また、位置センサX10の検出が「0」のままであれば、エッジOに位置していたことが分かる。
このように、エッジ位置特定制御により布保持枠4を規定移動量で移動することにより、移動禁止領域離隔制御の実行直後のセンサ位置を特定することが可能である。また、これに伴い、エッジ位置特定制御の実行直後の位置(現在位置)も特定することが可能である。即ち、移動禁止領域離隔制御の実行直後のセンサ位置がエッジBであればエッジCに到達し、移動禁止領域離隔制御の実行直後のセンサ位置がエッジDであればエッジCに到達し、移動禁止領域離隔制御の実行直後のセンサ位置がエッジOであれば当該エッジOからX軸−方向にn+2パルス分移動した位置に到達する。
【0044】
[原点検索:第二の方向位置検出制御]
エッジ位置特定制御によりエッジ位置及び現在位置が特定されると、制御装置90は、第二の原点検出手段40により原点GのY軸方向における位置検出を行う第二の方向位置検出制御を実行する。即ち、位置センサY10によりY検出板41のエッジ411を検索する。具体的には、位置センサY10が「1」の場合にはY軸+方向にY軸モーター24を駆動し、「0」となった時点で停止して、原点GのY軸方向における位置に基準点を位置決めする。
また、位置センサY10が「0」の場合にはY軸−方向にY軸モーター24を駆動し、「1」となった後に、Y軸モーター24をY軸−方向に切り替え、「0」となった時点で停止して、原点GのY軸方向における位置に基準点Kを位置決めする。このように、原点に位置決めする場合のY軸モーター24の移動方向の均一化を図っている。
【0045】
[原点検索:第一の方向位置検出制御]
第二の方向位置検出制御により、原点のY軸方向における位置への位置決めが完了した時点では、X軸方向について基準点KはエッジC又はエッジOからX軸−方向にn+2パルス分移動した位置にあるので、制御装置90は、X軸モーター23を制御して、原点GにおけるX軸方向における位置への位置決めを行う第一の方向位置検出制御を実行する。
例えば、現在位置がエッジOからX軸−方向にn+2パルス分移動した位置の場合には、X軸+方向側にX軸モーター23を1パルスずつに駆動して、位置センサX10により「1」が検出されると停止して、原点GのX軸方向における位置に基準点Kを位置決めする。
また、現在位置がエッジCの場合には、エッジCからエッジOまでの距離(n+m+u)より短い距離(例えば、m+u)だけX軸−方向側にX軸モーター23を駆動する。そして、センサ出力が「0」となった後に、X軸モーター23をX軸+方向に切り替え、「1」となった時点で停止して、原点GのX軸方向における位置に基準点Kを位置決めする。このように、原点に位置決めする場合のX軸モーター23の移動方向の均一化を図っている。
なお、この第一の方向位置検出制御は、第二の方向位置検出制御の次に行う場合に限らず、エッジ位置特定制御の次に行っても良い。
【0046】
[原点検索制御の動作説明]
以下、この原点検索制御を
図7のフローチャート並びに
図4及び
図5に基づいて説明する。
主電源が投入されると、制御装置90は、まず、位置センサX10の出力が「0」か否かを判定する(ステップS1)。
そして、「0」の場合には、X軸モーター23をX軸+方向に1パルスずつ駆動して(ステップS3:
図5矢印t11)、位置センサX10の出力が「1」となるまで1パルスずつの駆動を継続する(ステップS5)。
また、当初の位置センサX10の出力が「1」の場合には、X軸モーター23をX軸−方向に1パルスずつ駆動して(ステップS7:
図5矢印t12)、センサ出力が「1」となるまで1パルスずつの駆動を継続する(ステップS9)。
そして、ステップS5又はステップS9を経て、センサ位置はエッジO,B,Dの何れかに到達する(ステップS11)。
なお、このステップS1〜S11までが前述した移動禁止領域離隔制御に該当する。
【0047】
次に、X軸モーター23をX軸+方向に(n+2)パルス分駆動して(ステップS13:
図5矢印t2)、位置センサX10の出力が「1」か否かを判定する(ステップS15)。
その結果、位置センサX10の出力が「1」であれば、ステップS11の時点でのセンサ位置はエッジO又はDであることが分かる(ステップS17)。
さらに、X軸モーター23をX軸−方向に2・(n+2)パルス分駆動して(ステップS19:
図5矢印t3)、位置センサX10の出力が「0」か否かを判定する(ステップS21)。
そして、位置センサX10の出力が「0」であれば、ステップS11の時点でのセンサ位置はエッジOであることが特定される(ステップS23)。
また、位置センサX10の出力が「1」であれば、ステップS11の時点でのセンサ位置はエッジDであることが特定される(ステップS25)。
また、ステップS15において、位置センサX10の出力が「0」であれば、ステップS11の時点でのセンサ位置はエッジBであることが特定される(ステップS27)。
なお、このステップS13〜S27までが前述したエッジ位置特定制御に該当する。
【0048】
ステップS11の時点でのセンサ位置がエッジOであることが特定された場合には、第二の方向位置検出制御に移行する(ステップS29)。
図8のフローチャートは、第二の方向位置検出制御のサブルーチンを示している。
図示のように、第二の方向位置検出制御では、制御装置90は、まず、位置センサY10の出力が「0」か否かを判定する(ステップS51)。
そして、「0」の場合には、Y軸モーター24をY軸−方向に1パルスずつ駆動して(ステップS53)、位置センサY10の出力が「1」となるまで1パルスずつの駆動を継続する(ステップS55)。
そして、位置センサY10の出力が「1」となったところで、Y軸モーター24を停止し、原点GのY軸方向における位置に基準点Kを位置決めする。
【0049】
また、ステップS51において、位置センサY10の出力が「1」の場合には、Y軸モーター24をY軸+方向に1パルスずつ駆動して(ステップS57)、位置センサY10の出力が「0」となるまで1パルスずつの駆動を継続する(ステップS59)。また、位置センサY10の出力が「0」の場合には、Y軸モーター24をY軸−方向に切り換えて1パルスずつ駆動する(ステップS61)。そして、位置センサY10の出力が「1」となったところで、Y軸モーター24を停止し、原点GのY軸方向における位置に基準点Kを位置決めする。
【0050】
上記第二の方向位置検出制御が終わると、制御装置90は、第一の方向位置検出制御に移行する。即ち、位置センサX10の現在位置は、エッジOからX軸−方向に距離n+2の位置にあるので、X軸モーター23をX軸+方向に1パルスずつ駆動して(ステップS31)、位置センサX10の出力が「1」となるまで1パルスずつの駆動を継続する(ステップS33)。そして、位置センサX10の出力が「1」になった場合には、X軸モーター23を停止し、原点GのX軸方向における位置に基準点Kを位置決めする。これにより、基準点KはX軸方向とY軸方向の双方について原点Gに一致した状態となる。
【0051】
また、ステップS11の時点でのセンサ位置がエッジD又はエッジBであることが特定された場合には、第二の方向位置検出制御に移行する(ステップS35)。
第二の方向位置検出制御は、ステップS29の場合と同一である(
図8参照)。
上記第二の方向位置検出制御が終わると、制御装置90は、第一の方向位置検出制御に移行する。即ち、位置センサX10の現在位置は、エッジC(厳密にはエッジCからX軸−方向に2パルスの位置にある)なので、X軸モーター23をX軸−方向に(m+u)パルス駆動する(ステップS37)。その後、X軸モーター23を1パルスずつの駆動に切り替え(ステップS39)、位置センサX10の出力が「0」となるまで1パルスずつの駆動を継続する(ステップS41)。
そして、位置センサX10の出力が「0」になった場合には、X軸モーター23をX軸+方向に切り換えて1パルスずつ駆動する(ステップS43)。さらに、位置センサX10の出力が「1」となったところで(ステップS45)、X軸モーター23を停止し、原点GのX軸方向における位置に基準点Kを位置決めする。これにより、基準点KはX軸方向とY軸方向の双方について原点Gに一致した状態となる。
そして、これにより、原点検索制御が完了する。
【0052】
[実施形態の技術的効果]
上記ポケットセッター10では、
縫い針の上下動により縫い目を形成する縫製部5と、
縫製部に同期して被縫製物を保持する保持枠4を作業領域となる平面上で互いに直交する第一の方向(X軸方向)と第二の方向(Y軸方向)に沿って移動させることで任意の位置に縫い目を形成させる移動機構20と、
縫い針の周囲で被縫製物を上方から押さえる中押さえ8と、
移動機構の動作制御を行う制御手段90とを備え、
作業領域内に、保持枠の原点Gと、当該保持枠と縫い針又は中押さえとの干渉を生じる移動禁止領域とが定められたミシンにおいて、
原点Gの第一の方向における位置の検出を行う第一の原点検出手段30と、第二の方向における位置検出を行う第二の原点検出手段40とを備えると共に、
第一の原点検出手段は、保持枠の第一の方向の移動に伴い、相対的にすれ違い移動を行う位置センサX10及び検出板31を備えている。
そして、第一の原点検出手段30のX検出板31(検出板)が、X軸方向(第一の方向)について、移動禁止領域Tの中心と同位置となる境界エッジAで隣接する第一の検出領域32及び第一の非検出領域32を備え、当該第一の検出領域32及び第一の非検出領域33は、いずれも、移動禁止領域TのX軸方向幅の二分の一より広い幅m又はuとしている。
さらに、X検出板31は、第一の非検出領域33に対して、第一の検出領域32とは反対側(X軸+方向側)に位置する第二の検出領域34及び第二の非検出領域35をさらに備え、当該第二の検出領域34及び第二の非検出領域35は、いずれも、第一の検出領域32と第一の非検出領域33のいずれよりも狭い幅nとし、第一の非検出領域33とは反対側(X軸−方向側)の第一の検出領域32のエッジ位置Oが原点Gと一致する配置としている。
【0053】
このため、原点検索時に、前述した移動禁止領域離隔制御を行うことにより、布保持枠4をX軸方向について移動禁止領域Tの外側に移動させることができる。
また、この時、Y軸方向における位置検索を行うことなく移動禁止領域Tから離隔する方向に布保持枠4の移動が行われるので、X軸方向及びY軸方向の双方について移動禁止領域Tと判断されて、動作不能となる事態を回避することが可能である。
さらに、移動禁止領域離隔制御を行うことにより、位置センサX10をエッジO,B,Dの何れかの位置する状態とすることができる。
そして、この状態で、前述したエッジ位置特定制御を行うことで、単一の位置センサX10の出力のみから、移動禁止領域離隔制御の直後の位置センサX10の位置を識別することが可能である。
また、同時にエッジ位置特定制御実行後の位置センサX10の現在位置が判明するので、その後のX軸方向及びY軸方向における原点検索が可能となり、干渉の発生を回避して原点検索を行うことが可能となる。
このように、X軸方向については、位置センサX10の一つのみにより原点GのX軸方向における位置に位置決めすることができ、これに伴い、Y軸方向については、移動禁止領域Tとの干渉を生じる位置を検出するためのセンサを不要とすることが可能となる。
従って、X軸方向及びY軸方向の双方について原点検索を行うための位置センサの必要数を最小で二つにまで低減することが可能となる。
このため、位置センサの個体数を低減して生産コストの低減を図りつつ、動作不能状態を回避して良好な原点検索を行うことが可能なポケットセッターを提供することが可能である。
【0054】
[検出板の他の例(1)]
原点Gに対してX軸−方向に移動した場合に干渉を生じる場合(原点Gに対してX軸−方向側に移動禁止領域Tが存在する場合)には、
図9に示すように、X検出板31をY軸回りに反転した形状としたX検出板31Aを使用することも可能である。その場合、前述した矢印t11,t12,t2,t3及び
図7のステップS31,S37,S39,S43の動作はX軸方向について全てその向きを反転して行う必要がある。
また、位置センサX10がこのX検出板31AのエッジEよりもX軸−方向に移動しないようにXステージ21の可動範囲を設定することが望ましい。
なお、
図5のX検出板31とこの
図9のX検出板31とは、いずれも請求項1の構成要件を具現化したものである。また、以下の他の例同様、エッジAは、移動禁止領域Tの中心と一致している。
【0055】
[検出板の他の例(2)]
図5に示すX検出板31は、第二の検出領域34と第二の非検出領域35とが、第一の検出領域32とは反対側で第一の非検出領域33に隣接する配置としている。これに対して、
図10に示すように、第二の検出領域34と第二の非検出領域35とが、第一の非検出領域33とは反対側で第一の検出領域32に隣接する配置とするX検出板31Bを使用することも可能である。
【0056】
この場合、
図10に示すように、各エッジの並び順がX軸+方向に向かう順番でエッジB,C,O,A,D,Eに変更される。
これに伴い、原点検索制御は
図11のフローチャートに変更する必要がある。
図7のフローチャートからの変更点についてのみ説明するものとする。なお、
図8のフローチャートについては変更の必要はない。
【0057】
図7のステップS21の処理を、
図11のステップS21Bに変更する。即ち、位置センサX10の出力が「1」となるか否かを判定し、「1」となる場合にステップS23に進み、「0」となる場合にステップS25に進める処理に変更する。
【0058】
ステップS29とステップS31との間に、ステップS301BとステップS302Bの処理を挿入する。
即ち、X軸モーター23をX軸+方向に1パルスずつ駆動して(ステップS301B)、位置センサX10の出力が「0」となるまで1パルスずつの駆動を継続する(ステップS302B)。
そして、位置センサX10の出力が「0」となった後に、再び、X軸モーター23をX軸+方向に1パルスずつ駆動して(ステップS31)、位置センサX10の出力が「1」となった場合にX軸モーター23を停止し、原点GのX軸方向における位置に基準点Kを位置決めする。
【0059】
図7のステップS37の処理を、
図11のステップS37Bに変更する。即ちX軸モーター23をX軸−方向にmパルス駆動して、エッジDとエッジAとの間の位置からエッジAとエッジOとの間の領域に移動させる。
【0060】
図7ではステップS27からステップS35に処理が進められるが、
図11に示すように、ステップS27から新たなステップS281B〜S283Bに処理が進められるように変更する。
即ち、ステップS281Bでは
図8の第二の方向位置検出制御が行われ、その後、第一の方向位置検出制御に移行する。
この第一の方向位置検出制御では、X軸モーター23をX軸+方向に1パルスずつ駆動する(ステップS282B)。さらに、位置センサX10の出力が「1」となったところで(ステップS283B)、X軸モーター23を停止し、原点GのX軸方向における位置に基準点Kを位置決めする。これにより、基準点KはX軸方向とY軸方向の双方について原点Gに一致した状態となり、原点検索制御が完了する。
【0061】
なお、
図10のX検出板31Bは、請求項2の構成要件を具現化したものである。
【0062】
[検出板の他の例(3)]
原点Gに対してX軸−方向に移動した場合に干渉を生じる場合(原点Gに対してX軸−方向側に移動禁止領域Tが存在する場合)には、
図12に示すように、
図10のX検出板31BをY軸回りに反転した形状としたX検出板31Cを使用することも可能である。その場合、前述した矢印t11,t12,t2,t3及び
図12のステップS301B,S31,S37B,S39,S43,S282Bの動作はX軸方向について全てその向きを反転して行う必要がある。
また、位置センサX10がこのX検出板31CのエッジEよりもX軸−方向に移動しないようにXステージ21の可動範囲を設定することが望ましい。
なお、
図12のX検出板31Cは、請求項2の構成要件を具現化したものである。
すなわち、第一の検出領域32に対して、第一の非検出領域33とは反対側に位置する第二の非検出領域35及び第二の検出領域34備えたものである。
【0063】
[その他]
(1)なお、第一の原点検出手段30のX検出板31の構造を第二の原点検出手段40のY検出板41の構造に適用し、第二の原点検出手段40のY検出板41の構造を第一の原点検出手段30のX検出板31の構造に適用して、相互の構造を入れ替えても良い。
その場合、第一の原点検出手段30及びX軸モーター23に対する制御を第二の原点検出手段40及びY軸モーター24に対して行い、第二の原点検出手段40及びY軸モーター24に対する制御を第一の原点検出手段30及びX軸モーター23に対して行うことにより、全く同じ効果を得ることが可能である。
【0064】
(2)また、上記の例ではエッジOが原点GとX軸方向について一致する配置としているが、原点Gと移動禁止領域Tの位置関係に応じて、他のエッジB又はDを原点Gと一致させ留ようにX検出板31を取り付けても良い。
【0065】
(3)また、X検出板に31において、第一の検出領域32と第一の非検出領域33とは異なる幅としているが、いずれも移動禁止領域Tの二分の一の幅よりも大きければ幅を同一としても良い。
また、第二の検出領域34と第二の非検出領域35とはいずれも同一幅としているが、いずれも、第一の検出領域32の幅と第一の非検出領域33の幅の両方よりも小さい幅であれば幅が互いに同一でなくとも良い。
【0066】
(4)また、第一の原点検出手段30において、X検出板31をXステージ21に固定装備し、位置センサX10をテーブル1に固定装備しても良い。
また同様に、第二の原点検出手段40において、Y検出板41をXステージ21に固定装備し、位置センサY10をYステージ22に固定装備しても良い。
【0067】
また、上記(1)〜(4)についてはX検出板31A〜31Cの全てについても同様に言えることである。
【0068】
(5)また、本発明を具現化した本実施形態の適用対象として、移動禁止領域Tは円形である場合に限られない。例えば、布保持枠4側で干渉を生じるエアシリンダ等の突起物が矩形であり、その周囲で円形の中押さえ8が干渉を生じ得る場合には、移動禁止領域Tの形状は厳密には、角を円弧とする矩形状となる。このように、正確に移動禁止領域Tが円形とはならない場合には、当該移動禁止領域Tの図形の重心位置を中心として、X検出板のエッジとの位置を合わせれば良い。