(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の自動停止条件を満たした場合にエンジンを自動停止させ、前記エンジンが自動停止された状態で所定の再始動条件を満たした場合に前記エンジンを自動再始動させるアイドリングストップ制御、を実施する車両に適用される電源システムであって、
前記エンジンの出力に基づいて駆動される発電機(10)と、
前記発電機に接続された蓄電池(20)と、
前記蓄電池の充電量が下限値よりも低下した場合に前記発電機により発電を実施させ、前記車両の速度が所定速度を超えている場合に、前記車両の速度が前記所定速度を超えていない場合よりも前記下限値を高く設定する制御部(80)と、
を備えることを特徴とする車両の電源システム。
前記制御部は、前記エンジンが自動停止された状態において、前記エンジンが運転されている状態よりも前記下限値を低く設定する請求項1に記載の車両の電源システム。
前記制御部は、前記エンジンが運転されている状態において、前記エンジンが自動再始動されてから第1期間が経過していることを条件として、前記エンジンが自動停止された状態よりも前記下限値を高く設定する請求項2に記載の車両の電源システム。
前記制御部は、前記車両の速度が前記所定速度を超えている場合において、前記車両の速度が前記所定速度を超えてから第2期間が経過していることを条件として、前記車両の速度が前記所定速度を超えていない場合よりも前記下限値を高く設定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の電源システム。
前記制御部は、前記車両の速度が前記所定速度を超えていない場合において、前記車両の速度が前記所定速度よりも低下してから第3期間が経過していることを条件として、前記車両の速度が前記所定速度を超えている場合よりも前記下限値を低く設定する請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の電源システム。
前記制御部は、前記発電機により発電が実施されておらず、且つ前記蓄電池から放電される電流が所定電流を超えている場合に、前記蓄電池から放電される電流が前記所定電流を超えていない場合よりも前記下限値を高く設定する請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の電源システム。
前記蓄電池から放電される電流が前記所定電流を超えている場合の前記下限値は、前記車両の速度が所定速度を超えている場合の前記下限値よりも高く設定されている請求項6に記載の車両の電源システム。
前記制御部は、前記蓄電池の充電量が下限値よりも低下した場合に前記発電機により発電を実施させ、前記蓄電池の充電量が上限値よりも上昇した場合に前記発電機による発電を停止させ、
前記蓄電池から放電される電流が前記所定電流を超えている場合の前記下限値から前記上限値までの幅は、前記蓄電池から放電される電流が前記所定電流を超えていない場合の前記下限値から前記上限値までの幅よりも広く設定されている請求項6又は7に記載の車両の電源システム。
前記所定速度は、前記車両の速度が上昇する場合に、前記車両の速度が低下する場合よりも高く設定されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両の電源システム。
所定の自動停止条件を満たした場合にエンジンを自動停止させ、前記エンジンが自動停止された状態で所定の再始動条件を満たした場合に前記エンジンを自動再始動させるアイドリングストップ制御、を実施する車両に適用される電源システムであって、
前記エンジンの出力に基づいて駆動される発電機(10)と、
前記発電機に接続された蓄電池(20)と、
前記蓄電池の充電量が下限値よりも低下した場合に前記発電機により発電を実施させ、前記エンジンが自動停止された状態において、前記エンジンが運転されている状態よりも前記下限値を低く設定する制御部(80)と、
を備えることを特徴とする車両の電源システム。
前記制御部は、前記エンジンが運転されている状態において、前記エンジンが自動再始動されてから第1期間が経過していることを条件として、前記エンジンが自動停止された状態よりも前記下限値を高く設定する請求項10に記載の車両の電源システム。
前記制御部は、前記発電機により発電が実施されておらず、且つ前記蓄電池から放電される電流が所定電流を超えている場合に、前記蓄電池から放電される電流が前記所定電流を超えていない場合よりも前記下限値を高く設定する請求項10又は11に記載の車両の電源システム。
前記蓄電池から放電される電流が前記所定電流を超えている場合の前記下限値は、前記エンジンが運転されている状態の前記下限値よりも高く設定されている請求項12に記載の車両の電源システム。
前記制御部は、前記蓄電池の充電量が下限値よりも低下した場合に前記発電機により発電を実施させ、前記蓄電池の充電量が上限値よりも上昇した場合に前記発電機による発電を停止させ、
前記蓄電池から放電される電流が前記所定電流を超えている場合の前記下限値から前記上限値までの幅は、前記蓄電池から放電される電流が前記所定電流を超えていない場合の前記下限値から前記上限値までの幅よりも広く設定されている請求項12又は13に記載の車両の電源システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の電源システムは車両に搭載される車載電源システムであり、車両は、エンジン(内燃機関)を駆動源として走行するものである。エンジンの始動時にはスタータモータの駆動によりエンジンに初期回転が付与されるものとなっている。
【0015】
図1に示すように、本電源システムは、オルタネータ10、鉛蓄電池20、リチウムイオン蓄電池30、各種の電気負荷41,42,43、MOSスイッチ50及びSMRスイッチ60を備えている。鉛蓄電池20、リチウムイオン蓄電池30及び電気負荷41〜43は、給電線15によりオルタネータ10(発電機)に対して並列に電気接続されている。この給電線15(接続線)により、上記の各電気要素について相互の給電経路が形成されている。
【0016】
鉛蓄電池20(蓄電池、第1蓄電池)は周知の汎用蓄電池である。これに対し、リチウムイオン蓄電池30(第2蓄電池)は、鉛蓄電池20に比べて充放電のエネルギ効率、出力密度、及びエネルギ密度の高い高密度蓄電池である。リチウムイオン蓄電池30は、複数の単電池を直列に接続してなる組電池により構成されている。なお、鉛蓄電池20の蓄電容量は、リチウムイオン蓄電池30の蓄電容量よりも大きく設定されている。
【0017】
MOSスイッチ50(接続スイッチ)は、MOSFETからなる半導体スイッチであり、オルタネータ10及び鉛蓄電池20と、リチウムイオン蓄電池30との間に設けられている。MOSスイッチ50は、オルタネータ10及び鉛蓄電池20に対するリチウムイオン蓄電池30の導通(オン)と遮断(オフ)とを切り替えるスイッチとして機能する。
【0018】
MOSスイッチ50のオン/オフは、ECU70(電子制御装置)により制御される。すなわち、MOSスイッチ50のオン作動(導通作動)とオフ作動(遮断作動)との切替は、ECU70により実施される。なお、ECU70は、CPUとメモリ(ROM、RAM)等からなる周知のマイクロコンピュータとして構成されている。
【0019】
また、SMRスイッチ60(蓄電池スイッチ)は、MOSスイッチ50と同様に、MOSFETからなる半導体スイッチにより構成されている。SMRスイッチ60は、給電線15においてMOSスイッチ50及び電気負荷43を接続する部分と、リチウムイオン蓄電池30との間に設けられている。SMRスイッチ60は、MOSスイッチ50及び電気負荷43に対するリチウムイオン蓄電池30の導通及び遮断を切り替えるスイッチとして機能する。
【0020】
SMRスイッチ60のオン作動(導通作動)とオフ作動(遮断作動)との切替はECU70により実施される。このSMRスイッチ60は非常時用の開閉手段でもあり、通常時には、ECU70からオン信号が常時出力されることでオン状態に保持される。そして、非常時に、オン信号の出力が停止されてSMRスイッチ60がオフ作動される。このSMRスイッチ60のオフ作動により、リチウムイオン蓄電池30の過充電及び過放電の回避が図られている。なお、SMRスイッチ60をノーマリオープン式の電磁リレーを用いて構成してもよい。この場合、ECU70が故障してSMRスイッチ60の作動を制御できなくなったとしても、SMRスイッチ60が自動的に開作動し、導通が遮断される。
【0021】
リチウムイオン蓄電池30と、スイッチ50,60と、ECU70とは筐体(収容ケース)に収容されることで一体化され、電池ユニットUとして構成されている。リチウムイオン蓄電池30には、リチウムイオン蓄電池30から流出又は流入する電流を測定する電流センサ、リチウムイオン蓄電池30の端子電圧を検出する電圧センサ、及びリチウムイオン蓄電池30の温度を検出する温度センサが取り付けられている。ECU70は、これらセンサの出力値に基づいて、リチウムイオン蓄電池30の出力電流、出力電圧、及び、温度を検出する。
【0022】
また、ECU70は、電池ユニット外のECU80(電子制御装置)に接続されている。ECU80には、車両の速度を検出する車速センサ91が接続されている。これらECU70,80は、CAN等の通信ネットワークにより接続されて相互に通信可能となっており、各ECU70,80に記憶される各種データが互いに共有できるものとなっている。なお、ECU80(制御部)は、CPUとメモリ(ROM、RAM)等からなる周知のマイクロコンピュータとして構成されている。
【0023】
電気負荷41〜43のうち電気負荷43は、MOSスイッチ50に対してリチウムイオン蓄電池30側に電気接続されている。電気負荷43は、供給される電力の電圧が概ね一定であるか、又は電圧変動が所定範囲内であり安定していることが要求される定電圧要求電気負荷である。電気負荷43への電力供給は、主にリチウムイオン蓄電池30が分担する。
【0024】
電気負荷43の具体例としてはナビゲーション装置やオーディオ装置が挙げられる。例えば、供給される電力の電圧が一定ではなく大きく変動している場合、或いは前記所定範囲を超えて大きく変動している場合には、電圧が瞬時的に最低動作電圧よりも低下して、ナビゲーション装置等の作動がリセットされる不具合が生じる。そこで、電気負荷43へ供給される電力は、電圧が最低動作電圧よりも低下することのない一定の値に安定していることが要求される。
【0025】
また、電気負荷41〜43のうち電気負荷41,42は、MOSスイッチ50に対して鉛蓄電池20の側に電気接続されている。電気負荷41は、エンジンを始動させるスタータモータであり、電気負荷42は、電気負荷43(定電圧要求電気負荷)及びスタータ41以外の一般的な電気負荷である。電気負荷42の具体例としてはヘッドライト、フロントウインドシールド等のワイパ、空調装置の送風ファン、リヤウインドシールドのデフロスタ用ヒータ等が挙げられる。また、電気負荷42は、パワーステアリングや、パワーウィンドウなどの所定の駆動条件が成立した場合に駆動する駆動負荷を含む。スタータ41及び電気負荷42への電力供給は、主に鉛蓄電池20が分担する。
【0026】
オルタネータ10は、エンジンのクランク軸(出力軸)の回転エネルギにより発電するものである。オルタネータ10の構成等は周知であるため、ここでは図示を省略し、簡単に説明する。オルタネータ10のロータがクランク軸により回転させられると、ロータコイルに流れる励磁電流に応じてステータコイルに交流電流が誘起され、整流器により直流電流に変換される。そして、ロータコイルに流れる励磁電流を、オルタネータ10のレギュレータにより調整することで、発電される直流電流の電圧を設定電圧Vregとなるよう調整する。レギュレータの動作は、ECU80により制御される。
【0027】
オルタネータ10で発電された電力は、各種電気負荷41〜43へ供給されるとともに、鉛蓄電池20及びリチウムイオン蓄電池30へ供給される。エンジンの駆動が停止してオルタネータ10で発電が実施されていない場合には、鉛蓄電池20及びリチウムイオン蓄電池30から電気負荷41〜43へ電力供給される。
【0028】
さらに、本実施形態では、車両の回生エネルギによりオルタネータ10を発電させて両蓄電池20,30に充電させる減速回生を行っている。この減速回生は、車両が減速状態であること、エンジンへの燃料噴射をカットしていること等の条件が成立した場合に実施される。
【0029】
ここで、両蓄電池20,30は並列接続されているため、オルタネータ10により充電を実施する際には、MOSスイッチ50をオン作動させていれば、端子電圧の低い側の蓄電池に対してオルタネータ10の起電流が流れ込むこととなる。一方、電気負荷42,43へ電力供給(放電)する際には、非発電時にMOSスイッチ50をオン作動させていれば、端子電圧の高い側の蓄電池から電気負荷へ放電がなされることとなる。
【0030】
ちなみに、回生充電時には、リチウムイオン蓄電池30の端子電圧が鉛蓄電池20の端子電圧よりも低くなる機会が多くなるようにして、鉛蓄電池20よりも優先してリチウムイオン蓄電池30に対する充電が実施されるようになっている。こうした設定は、両蓄電池20,30の開放電圧及び内部抵抗値を設定することで実現可能であり、開放電圧の設定は、リチウムイオン蓄電池30の正極活物質、負極活物質及び電解液を選定することで実現可能である。
【0031】
本実施形態の車両では、所定の自動停止条件を満たした場合にエンジンを自動停止させ、エンジンが自動停止された状態で所定の再始動条件を満たした場合にエンジンを自動再始動させるアイドリングストップ制御が実施される。このアイドリングストップ制御においてエンジンの自動停止時には、ECU70によりMOSスイッチ50がオフ(遮断)状態に操作される。また、エンジンの再始動時には、鉛蓄電池20とリチウムイオン蓄電池30とを電気的に切り離した状態で、鉛蓄電池20によりスタータ(電気負荷41)を駆動させるべく、ECU70によりMOSスイッチ50がオフ(遮断)状態に操作される。
【0032】
また、回生充電時以外の車両走行時において、ECU70により、MOSスイッチ50がオフ状態、SMRスイッチ60がオン状態に操作される。オルタネータ10及び鉛蓄電池20と電気負荷43との接続が遮断され、リチウムイオン蓄電池30と電気負荷43との接続が導通状態とされるため、リチウムイオン蓄電池30が単独で電気負荷43に対して電力供給がなされる。これにより、回生発電時には、リチウムイオン蓄電池30の端子電圧が鉛蓄電池20の端子電圧より低くなる機会が多くなるようにして、その発電電力をリチウムイオン蓄電池30に積極的に充電させることができる。リチウムイオン蓄電池30は、鉛蓄電池20と比べて、充放電時のエネルギ効率が高いため、電源システム全体としての充放電効率を向上させることができる。
【0033】
鉛蓄電池20には、鉛蓄電池20から流出又は流入する電流を検出する電流センサと、鉛蓄電池20の端子電圧を検出する電圧センサとが取り付けられている。これらセンサにより検出された検出値は、ECU80(バッテリシステム制御装置)に送信される。また、上述したように、ECU70は、リチウムイオン蓄電池30に取り付けられたセンサの出力値に基づいて、リチウムイオン蓄電池30の出力電流及び出力電圧を検出する。そして、各ECU70,80の各種データは互いに共有されている。
【0034】
ECU80は、上記電流センサ及び電圧センサにより取得した検出値に基づいて、鉛蓄電池20及びリチウムイオン蓄電池30のSOC(State of charge:満充電時の充電量に対する実際の充電量の割合(%))を算出する。ECU80は、鉛蓄電池20及びリチウムイオン蓄電池30のSOCが適正範囲となる(過充放電とならない)ように、オルタネータ10による発電を制御する。具体的には、ECU80により上記設定電圧Vregが調整されるとともに、ECU70によりMOSスイッチ50の作動が制御される。以降、鉛蓄電池20のSOCをPbSOC、リチウムイオン蓄電池30のSOCをLiSOCと称する。LiSOCの適正範囲は、35〜80%程度であり、PbSOCの適正範囲は88〜92%程度である。本実施形態では、
図2に示すようにPbSOCの適正範囲(下限値〜上限値)を各条件に応じて詳細に設定する。
【0035】
同図に示すように、車両の速度が所定速度を超えている場合(条件1)に、PbSOCの下限値D1を89.8%とし、上限値U1を90.2%とする。車両の速度が所定速度を超えていない場合(条件2)に、PbSOCの下限値D2を89.2%とし、上限値U2を89.6%とする。すなわち、車両の速度が所定速度を超えている場合に、車両の速度が同所定速度を超えていない場合よりも、PbSOCの下限値を高く設定する。さらに、条件1でのPbSOCの下限値D1を、条件2でのPbSOCの上限値U2よりも高く設定する。条件1でのPbSOCの下限値D1と上限値U1との幅を、条件2でのPbSOCの下限値D2と上限値U2との幅に等しく設定する。上記所定速度として、車両の走行が継続される可能性が高いことを判定することのできる速度、換言すればエンジンが自動停止される可能性が低いことを判定することのできる速度、例えば時速50kmを採用することができる。
【0036】
また、条件1,2を満たすか否かにかかわらず、鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えている場合(条件3)に、PbSOCの下限値D3を90.5%とし、上限値U3を91.0%とする。さらに、条件3でのPbSOCの下限値D3を、条件1,2でのPbSOCの上限値U1,U2よりも高く設定する。すなわち、鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えている場合に、鉛蓄電池20から放電される電流が同所定電流を超えていない場合よりも、PbSOCの下限値を高く設定する。条件3でのPbSOCの下限値D3と上限値U3との幅を、条件3を満たさない場合のPbSOCの下限値と上限値との幅よりも広く設定する。また、条件3でのPbSOCの下限値D3と上限値U3との幅を、条件1(2)でのPbSOCの下限値D1(D2)と上限値U1(D2)との幅よりも広く設定する。上記所定電流は、鉛蓄電池20の充電量が速く減少することを判定することのできる電流に設定されている。
【0037】
次に、
図3を参照して、上記PbSOCの上下限値に基づいて鉛蓄電池20の充電量を維持する制御の処理手順を説明する。なお、この一連の処理は、上記ECU80により所定の周期をもって繰り返し実行される。
【0038】
まず、鉛蓄電池20から放電される電流が、所定電流を超えているか否か判定する(S11)。具体的には、オルタネータ10により発電が実施されていない状態において、鉛蓄電池20の電流センサの検出値に基づいて、鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えているか否か判定する。この判定において、鉛蓄電池20から放電される電流が、所定電流を超えていると判定した場合には(S11:YES)、PbSOCの上下限値を上記条件3での上限値U3及び下限値D3に設定する。
【0039】
一方、S11の判定において、鉛蓄電池20から放電される電流が、所定電流を超えていないと判定した場合には(S11:NO)、車両の速度が所定車速を超えているか否か判定する(S13)。具体的には、車速センサ91の検出値に基づいて、車両の速度が所定車速を超えているか否か判定する。この所定速度は、車両の速度が上昇する場合(加速時)に、車両の速度が低下する場合(減速時)よりも高く設定されており、いわゆるヒステリシスが設けられている。
【0040】
S13の判定において、車両の速度が所定車速を超えていると判定した場合には(S13:YES)、車両の速度が所定車速を超えてから期間T2が経過しているか否か判定する(S14)。この期間T2(第2期間)は、車両の速度が再び所定速度よりも低下する可能性が低いことを判定することのできる期間に設定されている。この判定において、車両の速度が所定車速を超えてから期間T2が経過していると判定した場合には(S14:YES)、PbSOCの上下限値を上記条件1での上限値U1及び下限値D1に設定する(S15)。すなわち、車両の速度が所定速度を超えている場合において、車両の速度が所定速度を超えてから期間T2が経過していることを条件として、車両の速度が所定速度を超えていない場合よりもPbSOCの下限値を高く設定する。
【0041】
一方、S14の判定において、車両の速度が所定車速を超えてから期間T2が経過していないと判定した場合には(S14:NO)、PbSOCの上下限値を現在の設定のままで維持する。なお、この一連の処理を開始する前の初期設定では、PbSOCの上下限値は、上記条件1での上限値U1及び下限値D1に設定されている。
【0042】
また、S13の判定において、車両の速度が所定車速を超えていないと判定した場合には(S13:NO)、車両の速度が所定車速よりも低下してから期間T3が経過しているか否か判定する(S16)。この期間T3(第3期間)は、車両の速度が再び所定速度を超える可能性が低いことを判定することのできる期間に設定されている。この判定において、車両の速度が所定車速よりも低下してから期間T3が経過していると判定した場合には(S16:YES)、PbSOCの上下限値を上記条件2での上限値U2及び下限値D2に設定する(S17)。すなわち、車両の速度が所定速度を超えていない場合において、車両の速度が所定速度よりも低下してから期間T3が経過していることを条件として、車両の速度が所定速度を超えている場合よりもPbSOCの下限値を低く設定する。
【0043】
そして、PbSOCの上下限値を条件1〜3のいずれかでの上下限値に設定した後(S12、S15、S17)、その上下限値に基づいてPbSOCが適正範囲となるように、オルタネータ10による発電を制御する。具体的には、鉛蓄電池20の充電量が下限値よりも低下した場合にオルタネータ10により発電を実施させ、鉛蓄電池20の充電量が上限値よりも上昇した場合にオルタネータ10による発電を停止させる。その後、この一連の処理を一旦終了する(END)。
【0044】
次に、
図4を参照して、
図3の充電量維持制御の作用を説明する。
図4は、車両の速度とPbSOCの上下限値との関係を示すタイムチャートである。なお、PbSOCの下限値と上限値との間、すなわちPbSOCの適正範囲をハッチングで示している。
【0045】
同図に示すように、はじめ車両の速度が所定速度(加速時)よりも高い状態において、PbSOCの上下限値は条件1での上限値U1及び下限値D1に設定されている。車両の速度が低下して、時刻t11において車両の速度が所定速度(減速時)よりも低下したとしても、PbSOCの上下限値は上限値U1及び下限値D1に維持される。そして、時刻t12において、車両の速度が所定速度(減速時)よりも低下してから期間T3が経過すると、PbSOCの上下限値が条件2での上限値U2及び下限値D2に設定される。このため、車両の速度が再び所定速度(加速時)を超える可能性が高い間は、PbSOCの上下限値は条件1での上限値U1及び下限値D1に維持される。そして、エンジンが自動停止される可能性が高くなった時点で、PbSOCの上下限値が条件2での上限値U2及び下限値D2に設定される。
【0046】
その後、車両の速度が上昇して、時刻t13において車両の速度が所定速度(加速時)を超えたとしても、PbSOCの上下限値は条件2での上限値U2及び下限値D2に維持される。そして、時刻t14において、車両の速度が所定速度(加速時)を超えてから期間T2が経過すると、PbSOCの上下限値が条件1での上限値U1及び下限値D1に設定される。このため、車両の速度が再び所定速度(減速時)よりも低下する可能性が高い間は、PbSOCの上下限値は条件2での上限値U2及び下限値D2に維持される。そして、車両の走行が継続される可能性が高くなった時点で、PbSOCの上下限値が条件1での上限値U1及び下限値D1に設定される。
【0047】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0048】
・車両の速度が所定速度を超えている場合(条件1)には、車両の速度が所定速度を超えていない場合(条件2)よりもPbSOCの下限値が高く設定される。このため、車両の速度が所定速度を超えており、車両の走行が継続される可能性が高い場合には、車両の速度が所定速度を超えていない場合よりも鉛蓄電池20の充電量が多く確保される。これに対して、車両の速度が所定速度を超えておらず、エンジンが自動停止される可能性が高い場合には、車両の速度が所定速度を超えている場合よりも鉛蓄電池20の充電量が少なくなるまで、オルタネータ10による発電が実施されない。したがって、車両の走行が継続される可能性が高い場合に充電量を多く確保しておき、エンジンが自動停止される可能性が高い場合に、より放電を許可することができる。その結果、アイドリングストップ制御を効果的に実施することができる。
【0049】
・車両の速度が所定速度を超えている場合(条件1)であっても、車両の速度が所定速度(加速時)を超えてから期間T2が経過していない場合には、車両の速度が所定速度を超えていない場合(条件2)よりもPbSOCの下限値を高く設定することが行われない。このため、車両の速度が所定速度(加速時)を超えてから期間T2が経過しておらず、車両の速度が再び所定速度(減速時)よりも低下する可能性が高い場合には、オルタネータ10による発電が抑制される。そして、車両の速度が所定速度を超えている場合において、車両の速度が所定速度(加速時)を超えてから第2期間が経過している場合に、条件2よりもPbSOCの下限値が高く設定される。このため、車両の走行が継続される可能性がより高い場合に、鉛蓄電池20の充電量を多く確保することができる。その結果、アイドリングストップ制御をより効果的に実施することができる。
【0050】
・車両の速度が所定速度を超えていない場合(条件2)であっても、車両の速度が所定速度(減速時)よりも低下してから期間T3が経過していない場合には、車両の速度が所定速度を超えている場合(条件1)よりもPbSOCの下限値を低く設定することが行われない。このため、車両の速度が所定速度(減速時)よりも低下してから期間T3が経過しておらず、車両の速度が再び所定速度(加速時)を超える可能性が高い場合には、鉛蓄電池20の充電量が多く確保される。そして、車両の速度が所定速度を超えていない場合において、車両の速度が所定速度(減速時)よりも低下してから期間T3が経過している場合に、条件1よりもPbSOCの下限値が低く設定される。このため、エンジンが自動停止される可能性がより高い場合に、オルタネータ10による発電を抑制することができる。その結果、アイドリングストップ制御をより効果的に実施することができる。
【0051】
・オルタネータ10により発電が実施されておらず、且つ鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えている場合(条件3)には、鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えていない場合よりもPbSOCの下限値D3が高く設定される。このため、鉛蓄電池20の充電量が速く減少する場合には、鉛蓄電池20の充電量を多く確保しておくことができる。
【0052】
・鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えている場合(条件3)のPbSOCの下限値D3は、車両の速度が所定速度を超えている場合(条件1)のPbSOCの下限値D1よりも高く設定されている。したがって、鉛蓄電池20の充電量が速く減少する場合は、車両の走行が継続される可能性が高い場合よりも充電量を多く確保しておき、エンジンが自動停止される可能性が高い場合にオルタネータ10による発電を抑制することができる。その結果、アイドリングストップ制御をより効果的に実施することができる。
【0053】
・鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えている場合(条件3)の下限値D3から上限値U3までの幅は、鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えていない場合の下限値から上限値までの幅よりも広く設定されている。したがって、鉛蓄電池20の充電量が速く減少する場合は、充電量が下限値D3よりも低下した場合に充電量の増加量が多くされ、鉛蓄電池20の充電量がすぐに再び下限値D3よりも低下することを抑制することができる。
【0054】
・所定速度は、車両の速度が上昇する場合(加速時)に、車両の速度が低下する場合(減速時)よりも高く設定されているため、車両の速度が変動したとしてもPbSOCの上下限値が頻繁に変更されることを抑制することができる。
【0055】
・電源システムは、オルタネータ10及び鉛蓄電池20に接続されたリチウムイオン蓄電池30を備えている。このため、鉛蓄電池20からリチウムイオン蓄電池30へ放電されることにより、PbSOCが下限値よりも低下し易くなる。したがって、車両の走行が継続される可能性が高い場合に充電量を多く確保しておき、エンジンが自動停止される可能性が高い場合にオルタネータ10による発電を抑制する利点が大きい。
【0056】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、
図3に示す充電量維持制御を、
図6に示す充電量維持制御に変更している。その他の点については、第1実施形態と同一であるため、同一の部材については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0057】
本実施形態では、
図5に示すように、PbSOCの適正範囲を各条件に応じて詳細に設定する。同図に示すように、エンジンが運転されている状態(条件4)において、PbSOCの上下限値を上述した条件1と同じ上限値U1及び下限値D1とする。エンジンが自動停止された状態(条件5)において、PbSOCの上下限値を上述した条件2と同じ上限値U2及び下限値D2とする。すなわち、エンジンが自動停止された状態において、エンジンが運転されている状態よりもPbSOCの下限値を低く設定する。
【0058】
また、条件4,5を満たすか否かにかかわらず、鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えている場合(条件3)に、PbSOCの上下限値を上述した条件3と同じ上限値U3及び下限値D3とする。これら上限値U1,U2,U3と下限値D1,D2,D3との関係は、第1実施形態と同一である。
【0059】
次に、
図6を参照して、上記PbSOCの上下限値に基づいて鉛蓄電池20の充電量を維持する制御の処理手順を説明する。ここで、
図3と同一の処理については、同一のステップ番号を付すことにより説明を省略する。なお、この一連の処理は、上記ECU80により所定の周期をもって繰り返し実行される。
【0060】
S11の判定において、鉛蓄電池20から放電される電流が、所定電流を超えていないと判定した場合には(S11:NO)、エンジンが運転されている状態であるか否か判定する(S23)。この判定において、エンジンが運転されている状態であると判定した場合には(S23:YES)、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過しているか否か判定する(S24)。この期間T1(第1期間)は、車両の走行が継続される可能性が高いことを判定することのできる期間に設定されている。
【0061】
S24の判定において、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過していると判定した場合には(S24:YES)、PbSOCの上下限値を上記条件4での上限値U1及び下限値D1に設定する(S25)。すなわち、エンジンが運転されている状態において、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過していることを条件として、エンジンが自動停止された状態よりもPbSOCの下限値を高く設定する。
【0062】
一方、S24の判定において、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過していないと判定した場合には(S24:NO)、PbSOCの上下限値を現在の設定のままで維持する。なお、この一連の処理を開始する前の初期設定では、PbSOCの上下限値は、上記条件4での上限値U1及び下限値D1に設定されている。
【0063】
また、S23の判定において、エンジンが運転されている状態でない、すなわちエンジンが自動停止された状態であると判定した場合には(S23:NO)、PbSOCの上下限値を上記条件5での上限値U2及び下限値D2に設定する(S26)。
【0064】
そして、PbSOCの上下限値を条件3〜5のいずれかでの上下限値に設定した後(S12、S25、S26)、その上下限値に基づいてPbSOCが適正範囲となるように、オルタネータ10による発電を制御する。具体的には、鉛蓄電池20の充電量が下限値よりも低下した場合にオルタネータ10により発電を実施させ、鉛蓄電池20の充電量が上限値よりも上昇した場合にオルタネータ10による発電を停止させる。その後、この一連の処理を一旦終了する(END)。
【0065】
次に、
図7を参照して、
図6の充電量維持制御の作用を説明する。
図7は、車両の速度とPbSOCの上下限値との関係を示すタイムチャートである。
【0066】
同図に示すように、はじめエンジンが運転されている状態において、PbSOCの上下限値は条件4での上限値U1及び下限値D1に設定されている。車両の速度が低下して、時刻t21においてエンジンが自動停止されると、PbSOCの上下限値が条件5での上限値U2及び下限値D2に設定される。このため、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過するまでは、PbSOCがより少ない状態までオルタネータ10による発電が実施されないようになる。
【0067】
その後、時刻t22においてエンジンが自動再始動されたとしても、PbSOCの上下限値は条件5での上限値U2及び下限値D2に維持される。そして、時刻t23において、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過すると、PbSOCの上下限値が条件4での上限値U1及び下限値D1に設定される。このため、エンジンが再び自動停止される可能性が高い間は、PbSOCの上下限値は条件5での上限値U2及び下限値D2に維持される。そして、車両の走行が継続される可能性が高くなった時点で、PbSOCの上下限値が条件4での上限値U1及び下限値D1に設定される。
【0068】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、第1実施形態と同一の利点については省略する。
【0069】
・エンジンが自動停止された状態(条件5)では、エンジンが運転されている状態(条件4)よりもPbSOCの下限値が低く設定される。このため、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過するまでは、エンジンが運転されている状態よりも鉛蓄電池20の充電量が少なくなるまで、オルタネータ10による発電が実施されない。したがって、エンジンが実際に自動停止された状態において、より放電を許可ことができる。その結果、アイドリングストップ制御を効果的に実施することができる。
【0070】
・エンジンが運転されている状態であっても、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過していない場合には、エンジンが自動停止された状態(条件5)よりもPbSOCの下限値を高く設定することが行われない。このため、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過しておらず、エンジンが再び自動停止される可能性が高い場合には、より放電を許可する。そして、エンジンが運転されている状態(条件4)において、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過している場合に、条件5よりもPbSOCの下限値が高く設定される。このため、車両の走行が継続される可能性がより高い場合に、蓄電池の充電量を多く確保することができる。その結果、アイドリングストップ制御をより効果的に実施することができる。
【0071】
・鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えている場合(条件3)のPbSOCの下限値D3は、エンジンが運転されている状態(条件4)のPbSOCの下限値D1よりも高く設定されている。したがって、鉛蓄電池20の充電量が速く減少する場合は、エンジンが運転されている状態よりも充電量を多く確保しておき、エンジンが自動停止される可能性が高い場合にオルタネータ10による発電を抑制することができる。その結果、アイドリングストップ制御をより効果的に実施することができる。
【0072】
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
【0073】
・第1実施形態では、鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えている場合(条件3)のPbSOCの下限値D3を、車両の速度が所定速度を超えている場合(条件1)のPbSOCの下限値D1よりも高く設定した。しかしながら、条件3でのPbSOCの下限値D3を条件1でのPbSOCの下限値D1と等しく設定したり、条件3でのPbSOCの下限値D3を条件1でのPbSOCの下限値D1よりも低く設定したりすることもできる。
【0074】
・第2実施形態では、鉛蓄電池20から放電される電流が所定電流を超えている場合(条件3)のPbSOCの下限値D3を、エンジンが運転されている状態(条件4)のPbSOCの下限値D1よりも高く設定した。しかしながら、条件3でのPbSOCの下限値D3を条件4でのPbSOCの下限値D1と等しく設定したり、条件3でのPbSOCの下限値D3を条件4でのPbSOCの下限値D1よりも低く設定したりすることもできる。
【0075】
・PbSOCの下限値として、条件2でのPbSOCの下限値D2よりも高い下限値を採用することもできる。
【0076】
・第1実施形態では、車両の速度が上昇する場合(加速時)に、車両の速度が低下する場合(減速時)よりも所定速度を高く設定したが、加速時と減速時とで所定速度を同一に設定することもできる。
【0077】
この場合、
図8に示すように、はじめ車両の速度が所定速度よりも高い状態において、PbSOCの上下限値は条件1での上限値U1及び下限値D1に設定されている。車両の速度が低下して、時刻t31において車両の速度が所定速度よりも低下したとしても、PbSOCの上下限値は上限値U1及び下限値D1に維持される。そして、時刻t32において、車両の速度が所定速度よりも低下してから期間T3が経過すると、PbSOCの上下限値が条件2での上限値U2及び下限値D2に設定される。このため、車両の速度が再び所定速度を超える可能性が高い間は、PbSOCの上下限値は条件1での上限値U1及び下限値D1に維持される。そして、エンジンが自動停止される可能性が高くなった時点で、PbSOCの上下限値が条件2での上限値U2及び下限値D2に設定される。
【0078】
その後、車両の速度が上昇して、時刻t33において車両の速度が所定速度を超えたとしても、PbSOCの上下限値は条件2での上限値U2及び下限値D2に維持される。そして、時刻t34において、車両の速度が所定速度を超えてから期間T2が経過すると、PbSOCの上下限値が条件1での上限値U1及び下限値D1に設定される。このため、車両の速度が再び所定速度よりも低下する可能性が高い間は、PbSOCの上下限値は条件2での上限値U2及び下限値D2に維持される。そして、車両の走行が継続される可能性が高くなった時点で、PbSOCの上下限値が条件1での上限値U1及び下限値D1に設定される。
【0079】
こうした構成によれば、車両の加速時と減速時とで所定速度を変更する必要がないため、処理を簡素化することができる。この場合であっても、車両の速度が所定速度よりも低下してから期間T3が経過すること、及び車両の速度が所定速度を超えてから期間T2が経過することを、PbSOCの上下限値を変更する条件としている。したがって、車両の速度が変動したとしても、PbSOCの上下限値が頻繁に変更されることを抑制することができる。
【0080】
・さらに、PbSOCの上下限値を変更するに際して、上記期間T3及び上記期間T2が経過することの条件を省略することもできる。この場合、
図9に示すように、はじめ車両の速度が所定速度よりも高い状態において、PbSOCの上下限値は条件1での上限値U1及び下限値D1に設定されている。車両の速度が低下して、時刻t41において車両の速度が所定速度よりも低下すると、PbSOCの上下限値が条件2での上限値U2及び下限値D2に設定される。その後、車両の速度が上昇して、時刻t42において車両の速度が所定速度を超えると、PbSOCの上下限値が条件1での上限値U1及び下限値D1に設定される。この場合であっても、車両の走行が継続される可能性が高い場合に鉛蓄電池20の充電量を多く確保しておき、エンジンが自動停止される可能性が高い場合に発電機による発電を抑制することはできる。
【0081】
・第2実施形態では、エンジンが運転されている状態であっても、エンジンが自動再始動されてから期間T1が経過していない場合には、エンジンが自動停止された状態(条件5)よりもPbSOCの下限値を高く設定することを行わないようにした。しかしながら、PbSOCの上下限値を変更するに際して、上記期間T1が経過することの条件を省略することもできる。
【0082】
この場合、
図10に示すように、はじめエンジンが運転されている状態において、PbSOCの上下限値は条件4での上限値U1及び下限値D1に設定されている。車両の速度が低下して、時刻t51においてエンジンが自動停止されると、PbSOCの上下限値が条件5での上限値U2及び下限値D2に設定される。その後、時刻t52においてエンジンが自動再始動されると、PbSOCの上下限値が条件4での上限値U1及び下限値D1に設定される。この場合であっても、エンジンが実際に自動停止された状態において、オルタネータ10による発電を抑制することはできる。
【0083】
・条件1でのPbSOCの上下限値を、条件4でのPbSOCの上下限値と等しくしたが、条件1でのPbSOCの上限値U1及び下限値D1と、条件4でのPbSOCの上限値U4及び下限値D4と異ならせることもできる。また、条件2でのPbSOCの上下限値を、条件5でのPbSOCの上下限値と等しくしたが、条件2でのPbSOCの上限値U2及び下限値D2と、条件5でのPbSOCの上限値U5及び下限値D5と異ならせることもできる。
【0084】
・第1及び第2実施形態を組み合わせて実施することもできる。すなわち、
図3のS13〜18の処理、及び
図6のS23〜26の処理を共に実行してもよい。特に、車両の速度が0になる前にエンジンの自動停止を行う車両では、第1及び第2実施形態の双方の利点を有することができる。
【0085】
・第1及び第2実施形態では、鉛蓄電池20及びリチウムイオン蓄電池30を備える電源システムを採用したが、
図11に示すように、リチウムイオン蓄電池30を備えない電源システムを採用することもできる。こうした構成であっても、鉛蓄電池20の充電量が下限値よりも低下した場合にオルタネータ10により発電を実施させ、車両の速度が所定速度を超えている場合に、車両の速度が所定速度を超えていない場合よりもPbSOCの下限値を高く設定すればよい。また、エンジンが自動停止された状態において、エンジンが運転されている状態よりもPbSOCの下限値を低く設定すればよい。その結果、アイドリングストップ制御を効果的に実施することができる。