(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の組成物は、フッ素含有ケイ素化合物(A)と、重合性官能基(b)を有するケイ素化合物(B)と、重合性官能基(b)に対して重合性(又は反応性)を有する官能基(c)を有するフルオレン化合物(C)とを含んでいる。そして、このような組成物は、後述するように、傾斜膜(傾斜構造膜、傾斜構造)を形成するための組成物として有用である。
【0028】
[フッ素含有ケイ素化合物(A)]
フッ素含有ケイ素化合物(A)(フッ素化合物、ケイ素化合物(A)、化合物(A)などということがある)は、フッ素原子を有するケイ素化合物であれば特に限定されないが、通常、フッ素原子含有重縮合性ケイ素化合物(フッ素含有加水分解縮合性ケイ素化合物)、例えば、ケイ素原子に直接結合したフッ素原子含有基および重縮合性基[又は加水分解縮合性基、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子(塩素原子など)、ヒドロキシル基など]をそれぞれ少なくとも1つ有する化合物であればよい。
【0029】
このようなケイ素化合物(A)は、代表的には、フッ素原子を有するアルコキシシラン(例えば、下記式(A1)で表される化合物)又はその加水分解物(又は部分加水分解物)で構成されていてもよい。
【0030】
X
1−Si(OR
1)
a(R
2)
3−a (A1)
[式中、X
1は、フッ素含有基、R
1は、炭化水素基、アルコキシシリル基又はポリ(アルコキシシリル)基であり、R
2は、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は炭化水素基を示す。aは1〜3の整数、cは0又は1を示す。]
上記式(A1)において、フッ素含有基X
1としては、フッ素原子、フッ素原子が置換した炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基など)が挙げられ、代表的にはフルオロアルキル基(フッ化アルキル基、フッ素原子が置換したアルキル基)であってもよい。
【0031】
フルオロアルキル基としては、例えば、下記式(a)で表される基などが挙げられる。
【0032】
C
xF
2x+1−(C
yH
2y)
z− (a)
(式中、xおよびyはそれぞれ1以上の整数、zは0又は1を示す)
上記式(a)において、xは1以上の整数であればよく、例えば、1〜30(例えば、1〜25)、好ましくは1〜20(例えば、1〜18)、さらに好ましくは1〜15(例えば、1〜12)、特に1〜10(例えば、1〜8)程度であってもよく、通常1〜6(例えば、2〜6、好ましくは2〜4程度)であってもよい。
【0033】
なお、C
xF
2x+1で表される基(パーフルオロアルキル基)は、直鎖状(直鎖状パーフルオロアルキル基)、分岐鎖状(分岐鎖状パーフルオロアルキル基)のいずれであってもよく、特に、直鎖状であってもよい。
【0034】
また、式(a)において、yとしては、例えば、1〜30(例えば、1〜20)、好ましくは1〜15(例えば、1〜10)、さらに好ましくは1〜8(例えば、1〜6)、特に1〜5(例えば、1〜4)程度であってもよく、通常1〜3(例えば、2〜3)程度であってもよい。
【0035】
式(a)において、zは0又は1であればよく、特に1であってもよい。
【0036】
代表的なフルオロアルキル基(又は式(a)で表される基)としては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基(CF
3CH
2CH
2−)、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基(パーフルオロブチルエチル基、CF
3(CF
2)
3CH
2CH
2−)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル基(パーフルオロヘキシルエチル基、CF
3(CF
2)
5CH
2CH
2−)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロオクチル基(パーフルオロオクチルエチル基、CF
3(CF
2)
7CH
2CH
2−)、パーフルオロデシルエチル基(CF
3(CF
2)
9CH
2CH
2−)、パーフルオロドデシルエチル基(CF
3(CF
2)
11CH
2CH
2−)などのパーフルオロアルキル−アルキル基(例えば、パーフルオロC
1−20アルキル−C
1−10アルキル基、好ましくはパーフルオロC
1−12アルキル−C
1−8アルキル基、さらに好ましくはパーフルオロC
1−8アルキル−C
1−6アルキル基、特にパーフルオロC
1−6アルキル−C
1−4アルキル基、特に好ましくはパーフルオロC
1−4アルキル−C
2−3アルキル基)であってもよい。
【0037】
式(A1)の基R
1及びR
4において、炭化水素基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのC
1−6アルキル基、好ましくはC
1−4アルキル基、さらに好ましくはC
1−2アルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基などのC
6−10アリール基、好ましくはC
6−8アリール基)などが例示でき、特にアルキル基(C
1−4アルキル基、特にC
1−2アルキル基など)であってもよい。
【0038】
また、アルコキシシリル基としては、例えば、トリアルコキシシリル基(例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリC
1−6アルコキシシリル基、好ましくはトリC
1−4アルコキシシリル基、さらに好ましくはトリC
1−2アルコキシシリル基)などが含まれる。さらに、ポリ(アルコキシシリル)基としては、シロキサン結合(>SiO−)を少なくとも1つ有するアルコキシシリル基、例えば、(R)
3SiO−[Si(R)
2O]n−[式中、Rはアルキル基(前記例示のアルキル基など)、nは1以上の整数(例えば、1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4)を示す]で表される基、例えば、トリアルコキシシロキシジアルコキシシリル基(例えば、トリメトキシシロキシジメトキシシリル基などのトリC
1−4アルコキシシロキシ−ジC
1−4アルコキシシリル基)などが挙げられる。
【0039】
式(A1)において、好ましい基OR
1の置換数aは、2〜3、さらに好ましくは3である。なお、置換数aが複数である場合、複数の基R
1は、同一又は異なっていてもよい。
【0040】
式(A1)の基R
2において、ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示できる。また、基R
2において、炭化水素基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのC
1−8アルキル基、好ましくはC
1−6アルキル基、さらに好ましくはC
1−4アルキル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基などのC
2−6アルケニル基、好ましくはC
2−4アルケニル基、さらに好ましくはC
2−3アルケニル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC
5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC
6−15アリール基、好ましくはC
6−10アリール基、さらに好ましくはC
6−8アリール基)などが挙げられる。これらのうち、好ましい炭化水素基(置換基を有していてもよい炭化水素基)には、アルキル基(C
1−6アルキル基など)、アリール基(C
6−10アリール基など)などが含まれ、特にアルキル基が好ましい。
【0041】
具体的なケイ素化合物(A)としては、例えば、フルオロアルキルトリアルコキシシラン{例えば、パーフルオロアルキル−アルキルトリアルコキシシラン[例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(CF
3CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチルトリメトキシシラン(CF
3CF
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)、パーフルオロプロピルエチルトリメトキシシラン(CF
3(CF
2)
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)、パーフルオロブチルエチルトリメトキシシラン(CF
3(CF
2)
3CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)、パーフルオロペンチルエチルトリメトキシシラン(CF
3(CF
2)
4CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)、パーフルオロヘキシルエチルメトキシシラン(CF
3(CF
2)
5CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)、パーフルオロヘプチルエチルメトキシシラン(CF
3(CF
2)
6CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン(CF
3(CF
2)
7CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)、パーフルオロノニルエチルトリメトキシシラン(CF
3(CF
2)
8CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)、これらに対応するトリエトキシシランやトリプロポキシシランなどのパーフルオロC
1−12アルキル−C
1−8アルキルトリC
1−6アルコキシシラン、好ましくはパーフルオロC
1−8アルキル−C
1−6アルキルトリC
1−4アルコキシシラン、さらに好ましくはパーフルオロC
1−6アルキル−C
1−4アルキルトリC
1−2アルコキシシランなど]など}、フルオロアルキルジアルコキシシラン{例えば、フルオロアルキル−アルキルジアルコキシシラン[例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル−メチルジメトキシシラン(CF
3CH
2CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2)、パーフルオロブチルエチル−メチルジメトキシシラン(CF
3(CF
2)
3CH
2CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2)、これらに対応するジエトキシシランやジプロポキシシランなどの(パーフルオロC
1−12アルキル−C
1−8アルキル)−C
1−8アルキルジC
1−6アルコキシシラン、好ましくは(パーフルオロC
1−8アルキル−C
1−6アルキル)−C
1−6アルキルジC
1−4アルコキシシラン、さらに好ましくは(パーフルオロC
1−6アルキル−C
1−4アルキル)−C
1−4アルキルジC
1−2アルコキシシランなど]など}、フルオロアルキルモノアルコキシシラン{例えば、フルオロアルキル−ジアルキルモノアルコキシシラン[例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル−ジメチルメトキシシラン(CF
3CH
2CH
2Si(CH
3)
2(OCH
3))、パーフルオロブチルエチル−ジメチルメトキシシラン(CF
3(CF
2)
3CH
2CH
2Si(CH
3)
2(OCH
3))、これらに対応するモノエトキシシランやモノプロポキシシランなどの(パーフルオロC
1−12アルキル−C
1−8アルキル)−ジC
1−8アルキルモノC
1−6アルコキシシラン、好ましくは(パーフルオロC
1−8アルキル−C
1−6アルキル)−ジC
1−6アルキルモノC
1−4アルコキシシラン、さらに好ましくは(パーフルオロC
1−6アルキル−C
1−4アルキル)−ジC
1−4アルキルモノC
1−2アルコキシシランなど]など}などのフルオロアルキルアルコキシシラン;これらに対応するフルオロアルキルハロシラン、例えば、フルオロアルキルトリハロシラン{例えば、パーフルオロアルキル−アルキルトリハロシラン[例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン(CF
3CH
2CH
2SiCl
3)、パーフルオロブチルエチルトリクロロシラン(CF
3(CF
2)
3CH
2CH
2SiCl
3)などのパーフルオロC
1−12アルキル−C
1−8アルキルトリハロシランなど]など}、フルオロアルキルジハロシラン{例えば、フルオロアルキル−アルキルジハロシラン[例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル−メチルジクロロシラン(CF
3CH
2CH
2Si(CH
3)Cl
2)、パーフルオロブチルエチル−メチルジクロロシラン(CF
3(CF
2)
3CH
2CH
2Si(CH
3)Cl
2)などの(パーフルオロC
1−12アルキル−C
1−8アルキル)−C
1−8アルキルジハロシランなど]など}、フルオロアルキルモノハロシラン{例えば、フルオロアルキル−ジアルキルモノハロシラン[例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル−ジメチルクロロシラン(CF
3CH
2CH
2Si(CH
3)
2Cl)、パーフルオロブチルエチル−ジメチルクロロシラン(CF
3(CF
2)
3CH
2CH
2Si(CH
3)
2Cl)などの(パーフルオロC
1−12アルキル−C
1−8アルキル)−ジC
1−8アルキルモノハロシランなど]など}などのフルオロアルキルハロシランなどが含まれる。
【0042】
これらの中でも、フルオロアルキルアルコキシシラン(例えば、パーフルオロC
1−8アルキル−C
1−6アルキルモノ乃至トリC
1−4アルコキシシランなど)などのフルオロアルキルアルコキシシラン(特に、フルオロアルキルトリアルコキシシラン)が好ましい。
【0043】
ケイ素化合物(A)は、前記例示のケイ素化合物(例えば、フルオロアルキルアルコキシシラン、フルオロアルキルハロシランなど)の加水分解物(部分加水分解物)であってもよい。このような加水分解物は、ケイ素化合物を加水分解することにより得られ、ケイ素化合物のケイ素原子に直接結合したアルコキシ基やハロゲン原子がヒドロキシル基(シラノール基)に置換した化合物や、加水分解(縮合)によりオリゴマー化した化合物(オリゴマー)などが含まれる。
【0044】
なお、オリゴマー(部分重縮合物、部分加水分解縮合物)において、重合度又は縮合の程度(部分縮合)は特に限定されないが、例えば、ケイ素原子換算の数平均重合度が1.5〜25(例えば、2〜22)、好ましくは2〜20(例えば、2.5〜18)、さらに好ましくは3〜15程度であってもよい。なお、重合度が大きすぎると、溶媒溶解性が低下するなど、取扱性を損なう虞がある。オリゴマーの構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状などのいずれであってもよい。
【0045】
なお、オリゴマーは、市販品を用いてもよく、慣用の方法(加水分解縮合)で合成したものを用いてもよい。すなわち、オリゴマーは、フッ素原子を有するアルコキシシランなどを加水分解(部分加水分解)することにより得たものを使用することもできる。
【0046】
加水分解(又はオリゴマー化)において、使用する水の量は、重合時間や使用するアルコキシシランなどの種類などに応じて適宜選択できるが、例えば、フッ素原子を有するアルコキシシランなど1モルに対して、1モル以上であればよく、例えば、1〜2モル、好ましくは1.1〜1.5モル程度であってもよい。水の量が少なすぎると、十分な加水分解が進行せず、水の添加量が多すぎると、重縮合が進行しすぎ、目的の組成物を効率よく形成できなくなる虞がある。
【0047】
加水分解は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、例えば、炭化水素類(例えば、ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピルなどの酢酸エステル)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどのアルカノール類;エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのポリオール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−α−モノメチルエーテル、プロピレングリコール−α−モノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−α−アセテートなどのグリコール誘導体など)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0048】
なお、加水分解反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、慣用の触媒、例えば、酸触媒(塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの鉱酸;蟻酸、酢酸などの有機酸)、塩基触媒(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物、アンモニアなどの無機塩基;アミン類などの有機塩基)が用いられる。触媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。触媒の使用量は、特に制限されず、前記例示のケイ素化合物(例えば、フルオロアルキルアルコキシシランなど)1モルに対して、0.001〜0.5モル当量、好ましくは0.002〜0.1モル当量程度であってもよい。なお、触媒は、水溶液として用いることもできる。このような場合、水溶液中の触媒の濃度は、例えば、0.005〜5モル濃度程度であってもよい。
【0049】
加水分解において、反応時間および反応温度は、極端な重縮合が進行しない(高分子量化しない)範囲で適宜選択でき、特に限定されない。反応時間は、例えば、10分〜2時間、好ましくは15分〜1時間程度であってもよく、反応温度は、0〜50℃程度であってもよい。
【0050】
(フッ素非含有ケイ素化合物との重縮合物)
ケイ素化合物(A)は、前記ケイ素化合物(前記例示のケイ素化合物、フルオロアルキルアルコキシシラン、フルオロアルキルハロシラン又はその加水分解物)で構成されていればよく、このようなケイ素化合物と他のケイ素化合物(フッ素を含有しない加水分解縮合性ケイ素化合物など)とが部分的に縮合した重縮合物(部分加水分解縮合物)の形態で組成物を構成していてもよい。このようなフッ素を含有しないケイ素化合物と組み合わせることで、効率よく傾斜構造を形成でき、また、フッ素の含量を容易に調整することもできる。
【0051】
フッ素を含有しないケイ素化合物(フッ素非含有ケイ素化合物)としては、フッ素非含有重縮合性ケイ素化合物(フッ素非含有加水分解縮合性ケイ素化合物、例えば、フッ素原子を有しないアルコキシシラン(又はフッ素非含有アルコキシシラン、例えば、下記式(A2)で表される化合物)又はその加水分解物などが挙げられる。
【0052】
Si(OR
1)
d(R
2)
4−d (A2)
(式中、dは1〜4の整数を示し、R
1およびR
2は前記と同じ。)
上記式(A2)において、好ましい基OR
1の置換数dは、2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に4である。置換数dが複数である場合、複数の基R
1は、同一又は異なっていてもよい。なお、式(A2)において、R
1およびR
2は、前記式(A1)の場合と好ましい態様を含めて同様である。
【0053】
なお、フッ素を含有しないケイ素化合物(フッ素非含有アルコキシシランなど)は、官能基(後述の官能基(b)および(c))を有していてもよいが、通常、有していていなくてもよい。
【0054】
代表的なフッ素非含有ケイ素化合物としては、例えば、ジアルコキシシラン[例えば、ジアルキルジアルコキシシラン(例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどのジC
1−4アルキルジC
1−4アルコキシシランなど)、ジアリールジアルコキシシラン(例えば、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジC
6−10アリールジC
1−4アルコキシシランなど)など]、トリアルコキシシラン[例えば、アルキルトリアルコキシシラン(例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシランなどのC
1−4アルキルトリC
1−4アルコキシシランなど)、アリールトリアルコキシシラン(例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシランなどのC
6−10アリールトリC
1−4アルコキシシランなど)など]、テトラアルコキシシラン[例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラC
1−4アルコキシシラン;テトラフェノキシシランなどのテトラC
6−10アリールオキシシランなど]などのアルコキシシラン(フッ素非含有アルコキシシラン);これらに対応するハロシラン、例えば、テトラハロシラン(テトラクロロシランなど)などのハロシラン;これらの加水分解物(部分加水分解物)などが挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0055】
加水分解物は、フッ素非含有ケイ素化合物を加水分解することにより得られ、フッ素非含有ケイ素化合物のケイ素原子に直接結合したアルコキシ基やハロゲン原子がヒドロキシル基(シラノール基)に置換した化合物や、加水分解(縮合)によりオリゴマー化した化合物(オリゴマー)などが含まれる。
【0056】
なお、オリゴマー(部分重縮合物、部分加水分解縮合物)において、重合度又は縮合の程度(部分縮合)は特に限定されないが、例えば、ケイ素原子換算の数平均重合度が、2〜30、好ましくは3〜20、さらに好ましくは4〜15(例えば、8〜15)程度であってもよい。
【0057】
オリゴマーは、慣用の方法(例えば、アルコキシシランの加水分解と同様の方法)で合成したものを用いてもよく、市販品[例えば、コルコート社製のメチルシリケート51、エチルシリケート40、HAS−1、HAS−6、HAS−10;日本曹達社製のアトロンなど]を用いてもよい。
【0058】
前記ケイ素化合物(フルオロアルキルアルコキシシラン又はその加水分解物など)とフッ素非含有重縮合性ケイ素化合物との重縮合物において、重合の程度は、十分な重縮合性(加水分解縮合性)を担保できる範囲であれば特に制限されないが、例えば、ケイ素原子換算の数平均重合度は、2〜150(例えば、4〜120)、好ましくは5〜100(例えば、8〜80)、さらに好ましくは10〜70程度であってもよい。
【0059】
また、重縮合物において、前記ケイ素化合物(フルオロアルキルアルコキシシラン又はその加水分解物など)とフッ素非含有加水分解縮合性ケイ素化合物(フッ素非含有アルコキシシラン又はその加水分解物)との割合は、ケイ素原子換算で、例えば、前者/後者(モル比)=1/0.1〜1/1000(例えば、1/0.5〜1/500)程度の範囲から選択でき、1/1〜1/100(例えば、1/1.5〜1/70)、好ましくは1/2〜1/60(例えば、1/3〜1/50)、さらに好ましくは1/4〜1/40(例えば、1/5〜1/30)、特に1/7〜1/20(例えば、1/8〜1/15)程度であってもよい。
【0060】
なお、ケイ素化合物とフッ素非含有重縮合性ケイ素化合物との重縮合(部分加水分解縮合)物もまた、慣用の方法を利用して合成できる。このような重縮合反応において、これらの使用割合は、前記加水分解と同様の範囲から選択できる。
【0061】
また、重縮合において、水の割合は、原料として用いるケイ素化合物やフッ素非含有ケイ素化合物の重合度などに応じて、十分な重縮合性(加水分解縮合性)を担保できる範囲で適宜選択できる。具体的には、ケイ素化合物(フルオロアルキルアルコキシシラン又はその加水分解物など)(ケイ素原子換算)1モルに対して、水0.8〜2モル、好ましくは1〜1.5モル、さらに好ましくは1.1〜1.4モル程度であってもよい。
【0062】
なお、重縮合反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、前記例示の溶媒などが挙げられる。溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、溶媒中で行う場合、固形分濃度(ケイ素化合物およびフッ素非含有ケイ素化合物の総量の濃度)は、例えば、1〜60重量%程度であってもよい。また、重縮合反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、前記例示の触媒を挙げることができる。触媒の使用量は、特に制限されず、ケイ素化合物(フルオロアルキルアルコキシシラン又はその加水分解物など)(ケイ素原子換算)(ケイ素原子換算)1モルに対して、0.001〜0.5モル当量、好ましくは0.002〜0.1モル当量程度であってもよい。なお、触媒は、水溶液として用いることもできる。このような場合、水溶液中の触媒の濃度は、例えば、0.005〜5モル濃度程度であってもよい。
【0063】
重縮合において、反応時間および反応温度は、極端に加水分解縮合が進行しない範囲で適宜選択でき、特に限定されない。反応時間は、例えば、1分〜24時間、好ましくは15分〜6時間程度であってもよく、反応温度は0〜80℃程度であってもよい。なお、反応は段階的に昇温又は降温させて行ってもよい。
【0064】
なお、前記ケイ素化合物(フルオロアルキルアルコキシシランの加水分解物など)とフッ素非含有ケイ素化合物とは、重縮合物を形成することなく、それぞれ独立した成分として、組成物を構成してもよい。すなわち、本発明の組成物は、前記ケイ素化合物(フルオロアルキルアルコキシシランの加水分解物など)とフッ素非含有ケイ素化合物とを含んでいてもよい。このような場合、これらの成分の割合などは、前記と同様の範囲から選択できる。なお、このような場合、前記ケイ素化合物およびフッ素非含有ケイ素化合物は、傾斜膜の形成過程の適当な段階で重縮合する。
【0065】
好ましい態様では、ケイ素化合物(A)は、フルオロアルキル基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物{例えば、フルオロアルキルアルコキシシラン[例えば、フルオロアルキルモノ乃至トリアルコキシシラン(例えば、パーフルオロC
1−8アルキル−C
1−6アルキルモノ乃至トリC
1−4アルコキシシランなど)など]又はその加水分解物(部分加水分解物)}で構成されている。特に、炭素数が6以下のフルオロアルキルアルコキシシラン[例えば、パーフルオロC
1−4アルキル−C
1−2アルキルモノ乃至トリC
1−4アルコキシシランなど]は、環境上の観点からも好ましい。
【0066】
また、好ましいケイ素化合物(A)には、フルオロアルキル基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物{例えば、フルオロアルキルアルコキシシラン[例えば、フルオロアルキルモノ乃至トリアルコキシシラン(例えば、パーフルオロC
1−8アルキル−C
1−6アルキルモノ乃至トリC
1−4アルコキシシランなど)など]又はその加水分解物(部分加水分解物)}と、フッ素非含有アルコキシシラン又はその加水分解物[例えば、テトラアルコキシシラン又はその加水分解物]との重縮合物も含まれる。
【0067】
ケイ素化合物(A)において、ケイ素原子とフッ素原子との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/0.01〜1/100(例えば、1/0.03〜1/50)、好ましくは1/0.05〜1/30(例えば、1/0.1〜1/20)、さらに好ましくは1/0.3〜1/15(例えば、1/0.5〜1/10)、特に1/0.7〜1/8(例えば、1/1〜1/5)程度であってもよい。
【0068】
[重合性官能基(b)を有するケイ素化合物(B)]
ケイ素化合物(B)(化合物(B)などということがある)は、重合性官能基(b)を有するケイ素化合物であれば特に限定されないが、通常、ケイ素原子に直接結合した重合性官能基(b)を含む基(重合性官能基(b)含有基)および重縮合性基[又は加水分解縮合性基、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子(塩素原子など)、ヒドロキシル基など]をそれぞれ少なくとも1つ有する化合物であればよい。
【0069】
重合性官能基(b)としては、例えば、シアノ基、イソシアネート基、ウレイド基、エポキシ基、ラジカル重合性基(又は重合性不飽和結合含有基)などが挙げられるが、代表的な官能基(b)は重合性基である。
【0070】
ラジカル重合性基としては、例えば、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基などのC
2−6アルケニル基;スチリル基などの置換ビニル基)、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0071】
なお、ケイ素化合物(B)は、通常、フッ素原子を有していない場合が多い。
【0072】
ケイ素化合物(B)は、代表的には、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(例えば、下記式(B1)で表される化合物)又はその加水分解物(部分加水分解物、部分加水分解縮合物)で構成されていてもよい。
【0073】
X
2−(A)
c−Si(OR
1)
a(R
10)
3−a (B1)
(式中、X
2はラジカル重合性基、Aは連結基、cは0又は1、R
10はR
2又は基−[(R
3O)
b−R
4](式中、R
3は、アルキレン基であり、R
4は炭化水素基であり、bは1以上の整数を示す)を示し、R
1、R
2、およびaは前記と同じ。)
上記式(B1)において、ラジカル重合性基としては、前記例示の基、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられ、好ましい重合性基は、(メタ)アクリロイルオキシ基である。
【0074】
また、式(B1)において、連結基Aとしては、二価の炭化水素基[例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基などのC
1−10アルキレン基、好ましくはC
1−6アルキレン基、さらに好ましくはC
2−4アルキレン基など)、シクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基などのC
5−8シクロアルキレン基など)、アリーレン基(例えば、フェニレン基などのC
6−10アリーレン基など)など]、オキシアルキレン基[例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基(オキシトリメチレン基)、オキシブチレン基などのオキシC
1−10アルキレン基、好ましくはオキシC
1−6アルキレン基、さらに好ましくはオキシC
2−4アルキレン基など]、イミノ基(−NH−)、イミノアルキレン基(イミノメチレン基、イミノエチレン基、イミノトリメチレン基などのイミノC
1−10アルキレン基、好ましくはイミノC
1−6アルキレン基、さらに好ましくはイミノC
2−4アルキレン基など)、オキシアルキレンイミノアルキレン基(例えば、オキシトリメチレンイミノトリメチレン基などのオキシC
2−6アルキレン−イミノ−C
2−6アルキレン基、好ましくはオキシC
2−4アルキレン−イミノ−C
2−4アルキレン基など)などが挙げられる。好ましい連結基は、アルキレン基である。連結基の数cは、0又は1であればよく、連結基の種類などに応じて適宜選択できる。重合性基が(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、通常、cは1である場合が多い。
【0075】
さらに、式(B1)の基−O−[(R
3O)
b−R
4]において、基R
3で表されるアルキレン基としては、例えば、C
2−4アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基など)などが例示でき、特に、C
2−3アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基)が好ましい。アルキレンオキシ(R
3O)単位の付加数bは、1以上であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜2、さらに好ましくは1であってもよい。R
4としては、前記例示の炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基などのC
1−4アルキル基)など]が挙げられる。好ましい基−O−[(R
3O)
b−R
4]には、例えば、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基などのC
1−4アルコキシC
2−4アルコキシ基(特に、C
1−2アルコキシエトキシ基)などが含まれる。
【0076】
なお、R
10において、R
2としては、前記式(A1)の場合と同様の基が挙げられる。また、式(B1)において、R
1、およびaは前記式(A1)の場合と好ましい態様を含めて同じである。
【0077】
具体的なケイ素化合物(B)としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシラン[例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリプロポキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリC
1−4アルコキシシラン、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルキルトリC
1−4アルコキシシラン、さらに好ましくは(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルキルトリC
1−2アルコキシシランなど]、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリ(アルコキシアルコキシ)シラン[例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリ(C
1−4アルコキシC
2−4アルコキシ)シラン、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルキルトリ(C
1−4アルコキシC
2−4アルコキシ)シラン、さらに好ましくは(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルキルトリ(C
1−2アルコキシC
2−4アルコキシ)シランなど]、(メタ)アクリロイルオキシアルキルアミノアルキルトリアルコキシシラン[例えば、N−(3−(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキルアミノアルキルトリC
1−4アルコキシシラン、好ましくは[(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルキル]アミノC
2−4アルキルトリC
1−4アルコキシシランなど]、さらに好ましくは[(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルキル]アミノC
2−4アルキルトリC
1−2アルコキシシランなど]など}などの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するトリアルコキシシラン;(メタ)アクリロイルオキシアルキルジアルコキシシラン[例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルキルC
1−4アルキルジC
1−4アルコキシシランなど]などの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するジアルコキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン;これらに対応するアルケニル基を有するアルコキシシラン、例えば、アルケニル基を有するトリアルコキシシラン{例えば、アルケニルトリアルコキシシラン[例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ(t−ブトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどのC
2−4アルケニルトリC
1−4アルコキシシラン]、アルケニルトリ(アルコキシアルコキシ)シラン[例えば、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シランなどのC
2−4アルケニルトリ(C
1−4アルコキシC
2−4アルコキシ)シラン]など}、アルケニル基を有するジアルコキシシラン[例えば、アルケニルアルキルジアルコキシシラン(例えば、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルジエトキシメチルシランなどのC
2−4アルケニルC
1−4アルキルジC
1−4アルコキシシラン)、ジアルケニルジアルコキシシラン(例えば、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシランなどのジC
2−4アルケニルジC
1−4アルコキシシラン)など]など;これらに対応するハロシランが含まれる。
【0078】
これらの中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン、特に、(メタ)アクリロイルオキシアルキルモノ乃至トリアルコキシシラン(例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルモノ乃至トリC
1−4アルコキシシランなど)などの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノ乃至トリアルコキシシラン(特に、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するトリアルコキシシラン)が好ましい。
【0079】
ケイ素化合物(B)は、前記例示のケイ素化合物(例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシランなど)の加水分解物(部分加水分解物)であってもよい。このような加水分解物は、ケイ素化合物を加水分解することにより得られ、ケイ素化合物のケイ素原子に直接結合したアルコキシ基やハロゲン原子がヒドロキシル基(シラノール基)に置換した化合物や、加水分解(縮合)によりオリゴマー化した化合物(オリゴマー)などが含まれる。
【0080】
なお、オリゴマー(部分重縮合物、部分加水分解縮合物)において、重合度又は縮合の程度(部分縮合)は特に限定されないが、例えば、ケイ素原子換算の数平均重合度が、1.5〜25(例えば、2〜22)、好ましくは2〜20(例えば、2.5〜18)、さらに好ましくは3〜15程度であってもよい。なお、重合度が大きすぎると、溶媒溶解性が低下するなど、取扱性を損なう虞がある。オリゴマーの構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状などのいずれであってもよい。
【0081】
なお、オリゴマーは、市販品を用いてもよく、慣用の方法(加水分解縮合)で合成したものを用いてもよい。すなわち、オリゴマーは、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシランなどを部分加水分解縮合することにより得たものを使用することもできる。
【0082】
なお、加水分解反応において、水の量、溶媒の種類、反応条件などは、前記ケイ素化合物(A)の場合と同様である。
【0083】
(官能基非含有ケイ素化合物との重縮合物)
ケイ素化合物(B)は、前記ケイ素化合物(前記例示のケイ素化合物、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物で構成されていればよく、このようなケイ素化合物と他のケイ素化合物(官能基を含有しないケイ素化合物など)とが部分的に縮合した重縮合物(部分加水分解縮合物)の形態で組成物を構成していてもよい。このような官能基を含有しないケイ素化合物と組み合わせることで、効率よく傾斜構造を形成でき、また、官能基の含量を容易に調整することもできる。
【0084】
なお、官能基を有しないケイ素化合物(官能基非含有ケイ素化合物)は、通常、フッ素原子を有しない場合が多い。
【0085】
官能基(およびフッ素)をケイ素化合物(官能基非含有加水分解縮合性ケイ素化合物)としては、特に限定されないが、官能基を有しない重縮合性ケイ素化合物(加水分解縮合性ケイ素化合物)、例えば、前記ケイ素化合物(A)の項で例示の化合物[例えば、前記式(A2)で表される化合物(テトラアルコキシシランなど)又はその加水分解物など]が挙げられる。このような官能基(およびフッ素)を含有しない重縮合性ケイ素化合物は、好ましい態様を含めて前記と同様である。
【0086】
前記ケイ素化合物((メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物など)と官能基非含有ケイ素化合物(テトラアルコキシシラン又はその加水分解物など)との部分重縮合物において、重合の程度は、十分な加水分解縮合性を担保できる範囲であれば特に制限されないが、例えば、ケイ素原子換算の数平均重合度は、2〜150(例えば、4〜120)、好ましくは5〜100(例えば、8〜80)、さらに好ましくは10〜70程度であってもよい。
【0087】
また、重縮合物において、前記ケイ素化合物((メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物など)と官能基非含有ケイ素化合物(官能基非含有アルコキシシラン又はその加水分解物など)との割合は、ケイ素原子換算で、例えば、前者/後者(モル比)=1/0.1〜1/1000(例えば、1/0.5〜1/500)程度の範囲から選択でき、1/1〜1/100(例えば、1/1.5〜1/70)、好ましくは1/2〜1/60(例えば、1/3〜1/50)、さらに好ましくは1/4〜1/40(例えば、1/5〜1/30)、特に1/7〜1/20(例えば、1/8〜1/15)程度であってもよい。
【0088】
なお、前記ケイ素化合物と官能基非含有ケイ素化合物との重縮合(部分加水分解縮合)物もまた、慣用の方法を利用して合成できる。このような重縮合(加水分解縮合反応)において、これらの使用割合は、前記と同様の範囲から選択できる。
【0089】
また、重縮合において、水の割合は、原料として用いるケイ素化合物や官能基非含有ケイ素化合物の重合度などに応じて、極端に加水分解縮合を進行させない範囲で適宜選択できる。具体的には、ケイ素化合物((メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物など)(ケイ素原子換算)1モルに対して、水0.8〜2モル(例えば、0.9〜1.8モル)、好ましくは1〜1.5モル、さらに好ましくは1.1〜1.4モル程度であってもよい。
【0090】
なお、重縮合反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、前記例示の溶媒などが挙げられる。溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、溶媒中で行う場合、固形分濃度(ケイ素化合物および官能基非含有ケイ素化合物の総量の濃度)は、例えば、1〜60重量%程度であってもよい。また、重縮合反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、前記例示の触媒を挙げることができる。触媒の使用量は、特に制限されず、ケイ素化合物(ケイ素原子換算)1モルに対して、0.001〜0.5モル当量、好ましくは0.002〜0.1モル当量程度であってもよい。なお、触媒は、水溶液として用いることもできる。このような場合、水溶液中の触媒の濃度は、例えば、0.005〜5モル濃度程度であってもよい。
【0091】
重縮合において、反応時間および反応温度は、極端に重縮合が進行しない範囲で適宜選択でき、特に限定されない。反応時間は、例えば、1分〜24時間、好ましくは15分〜6時間程度であってもよく、反応温度は0〜80℃程度であってもよい。なお、反応は段階的に昇温又は降温させて行ってもよい。
【0092】
なお、前記ケイ素化合物((メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物など)と官能基非含有ケイ素化合物(テトラアルコキシシラン又はその加水分解物など)とは、重縮合物を形成することなく、それぞれ独立した成分として、組成物を構成してもよい。すなわち、本発明の組成物は、前記ケイ素化合物((メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物など)と官能非含有ケイ素化合物とを含んでいてもよい。このような場合、これらの成分の割合などは、前記と同様の範囲から選択できる。なお、前記ケイ素化合物およびフッ素非含有ケイ素化合物は、傾斜膜の形成過程の適当な段階で重縮合する。
【0093】
好ましい態様では、ケイ素化合物(B)は、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物{例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルアルコキシシラン[例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルモノ乃至トリアルコキシシラン(例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルモノ乃至トリC
1−4アルコキシシランなど)など]又はその加水分解物(部分加水分解物)}で構成されている。
【0094】
また、好ましいケイ素化合物(B)には、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物{例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルアルコキシシラン[例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルモノ乃至トリアルコキシシラン(例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルモノ乃至トリC
1−4アルコキシシランなど)など]又はその加水分解物(部分加水分解物)}と、官能基非含有アルコキシシラン又はその加水分解物[例えば、テトラアルコキシシラン又はその加水分解物]との部分重縮合物(部分加水分解縮合物)も含まれる。
【0095】
ケイ素化合物(B)において、ケイ素原子と官能基(b)との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/0.001〜1/2(例えば、1/0.003〜1/1.5)、好ましくは1/0.005〜1/1(例えば、1/0.01〜1/1)、さらに好ましくは1/0.02〜1/0.8(例えば、1/0.03〜1/0.7)、特に1/0.04〜1/0.5(例えば、1/0.05〜1/0.3)程度であってもよい。
【0096】
[フルオレン化合物(C)]
フルオレン化合物(C)は、重合性官能基(c)を有する。このような官能基(c)は、重合性官能基(b)に対して重合性(又は反応性)の基(詳細には、官能基(b)と反応して結合形成可能な基)であればよく、前記官能基(b)と同様の官能基が挙げられる。
【0097】
好ましい官能基(c)は、官能基(b)と同様に、ラジカル重合性基が挙げられる。重合性基としては、例えば、前記官能基(b)の項で例示のラジカル重合性基が挙げられ、特に、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、官能基(b)がラジカル重合性基である場合、通常、官能基(c)もラジカル重合性基である。
【0098】
また、フルオレン化合物(C)において、官能基(c)の数は、例えば、1個以上(例えば、1〜8個、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは2〜4個)であってもよい。好ましいフルオレン化合物(C)には、2個以上(例えば、2〜6個、好ましくは2〜4個、特に2個)の官能基(c)(例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基)を有するフルオレン化合物が含まれる。
【0099】
フルオレン化合物(C)は、官能基(c)とともに、フルオレン骨格を有している。すなわち、フルオレン化合物(C)は、官能基(c)又は官能基(c)を含む基がフルオレン骨格に結合(又は置換)した化合物である。
【0100】
このようなフルオレン骨格としては、フルオレン(9位に置換基がないフルオレン骨格)、9−置換フルオレン(例えば、9−アルキルフルオレン、9−モノアリールフルオレン、9,9−ビスアリールフルオレンなどの9位に炭化水素基を有するフルオレンなど)などが挙げられる。代表的なフルオレン骨格は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格である。なお、フルオレン骨格は、フルオレンやフルオレンの9位に置換する置換基に、置換基を有していてもよい。
【0101】
フルオレン骨格に対する官能基(又は官能基を含む基)の置換位置(結合位置)は、特に限定されず、フルオレン骨格そのものであってもよく、フルオレンの9位に位置する置換基に結合していてもよい。
【0102】
代表的なフルオレン化合物(C)には、2以上の重合性基(特に(メタ)アクリロイルオキシ基)を有する9,9−ビスアリールフルオレン類、例えば、下記式(C1)で表される化合物などが含まれる。
【0104】
(式中、環Zは芳香族炭化水素環、R
11は置換基を示し、R
12はアルキレン基を示し、R
13は水素原子又はメチル基を示し、R
14は置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0以上の整数、pは1以上の整数である。)
上記式(C1)において、環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式アレーン(又は縮合多環式芳香族炭化水素)環などが挙げられる。縮合多環式アレーン(又は縮合多環式芳香族炭化水素)環としては、例えば、縮合二環式アレーン環(例えば、インデン環、ナフタレン環などのC
8−20縮合二環式アレーン環、好ましくはC
10−16縮合二環式アレーン環)、縮合三環式アレーン環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環など)などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特にナフタレン環が好ましい。なお、2つの環Zは、同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
【0105】
代表的な環Zは、ベンゼン環、ナフタレン環であり、特に高耐熱性、高屈折率などの観点からは、環Zはナフタレン環であってもよい。
【0106】
前記式(C1)において、基R
11としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC
6−10アリール基)など]などの非反応性置換基が挙げられ、特に、アルキル基などである場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC
1−12アルキル基(例えば、C
1−8アルキル基、特にメチル基などのC
1−4アルキル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基R
11は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基R
11は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基R
11の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
【0107】
前記式(C1)において、基R
12で表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC
2−6アルキレン基、好ましくはC
2−4アルキレン基、さらに好ましくはC
2−3アルキレン基が挙げられる。なお、mが2以上であるとき、アルキレン基は異なるアルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一のアルキレン基で構成されていてもよい。また、2つの環Zにおいて、基R
12は同一であっても、異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
【0108】
オキシアルキレン基(OR
12)の数(付加モル数)mは、0〜15(例えば、0〜12)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜10(例えば、0〜8)、好ましくは0〜6(例えば、1〜6)、さらに好ましくは0〜4(例えば、1〜4)であってもよい。特に、mは、1以上(例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1)であってもよい。なお、置換数mは、異なる環Zにおいて、同一であっても、異なっていてもよい。また、2つの環Zにおいて、オキシアルキレン基の合計(m×2)は、0〜30(例えば、2〜24)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜16(例えば、2〜14)、好ましくは0〜12(例えば、2〜10)、さらに好ましくは0〜8(例えば、0〜6)、特に0〜4(例えば、2〜4)であってもよい。
【0109】
前記式(C1)において、基R
12を含む基((メタ)アクリロイル基含有基などということがある)の置換数pは、1以上であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1であってもよい。なお、置換数pは、それぞれの環Zにおいて、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。なお、(メタ)アクリロイル基含有基の置換位置は、特に限定されず、環Zの適当な置換位置に置換していればよい。例えば、(メタ)アクリロイル基含有基は、環Zがベンゼン環であるとき、ベンゼン環の2〜6位の適当な位置(特に、少なくとも4位)に置換していてもよく、環Zが縮合多環式炭化水素環であるとき、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環(例えば、ナフタレン環の5位、6位など)に少なくとも置換していてもよい。
【0110】
環Zに置換する置換基R
14としては、通常、非反応性置換基、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC
1−12アルキル基、好ましくはC
1−8アルキル基、さらに好ましくはC
1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC
5−8シクロアルキル基、好ましくはC
5−6シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC
6−14アリール基、好ましくはC
6−10アリール基、さらに好ましくはC
6−8アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC
6−10アリール−C
1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC
1−8アルコキシ基、好ましくはC
1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC
5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC
6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC
6−10アリール−C
1−4アルキルオキシ基)などの基−OR
15[式中、R
15は炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基などのC
1−8アルキルチオ基、好ましくはC
1−6アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基などのC
5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(チオフェノキシ基などのC
6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC
6−10アリール−C
1−4アルキルチオ基)などの基−SR
15(式中、R
15は前記と同じ。);アシル基(アセチル基などのC
1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC
1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
【0111】
好ましい基R
14としては、例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C
1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C
5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C
6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C
6−8アリール−C
1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C
1−4アルコキシ基など)などが挙げられる。特に、R
14は、アルキル基[C
1−4アルキル基(特にメチル基)など]、アリール基[例えば、C
6−10アリール基(特にフェニル基)など]などであるのが好ましい。
【0112】
なお、同一の環Zにおいて、nが複数(2以上)である場合、基R
14は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、2つの環Zにおいて、基R
14は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、好ましい置換数nは、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0〜8、好ましくは0〜4(例えば、0〜3)、さらに好ましくは0〜2であってもよい。なお、異なる環Zにおいて、置換数nは、互いに同一又は異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
【0113】
代表的なフルオレン化合物(又は前記式(C1)で表される化合物)には、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン類、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類が含まれる。
【0114】
9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキル−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC
1−4アルキル−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC
6−8アリール−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(ポリ(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[3,4−ジ((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ジ又はトリ(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン類(前記式(C1)において環Zがベンゼン環、mが0である化合物);9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシナフチル)]フルオレン、9,9−ビス[1−(5−(メタ)アクリロイルオキシナフチル)]フルオレンなど]などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシナフチル)フルオレン類(前記式(C1)において環Zがナフタレン環、mが0である化合物)などが挙げられる。
【0115】
9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類としては、前記9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン類に対応し、式(C1)においてmが1以上である化合物、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシジアルコキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなど]などの9,9−ビス{[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルコキシ)C
2−4アルコキシ]フェニル}フルオレン)、9,9−ビス(アルキル−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC
1−4アルキル(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC
6−8アリール(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス[ジ又はトリ((メタ)アクリロイルオキシアルコキシ)フェニル]フルオレン[例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ又はトリ((メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン]などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(C1)において環Zがベンゼン環、mが1以上である化合物);9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアルコキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど]などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類(前記式(C1)において環Zがナフタレン環、mが1以上である化合物)などが挙げられる。
【0116】
フルオレン化合物(C)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0117】
[各成分の割合]
本発明の組成物において、ケイ素化合物(A)とケイ素化合物(B)との割合は、例えば、ケイ素原子換算で、ケイ素化合物(A)1モルに対して、ケイ素化合物(B)0.01〜100モル(例えば、0.03〜70モル)、好ましくは0.05〜50モル(例えば、0.07〜30モル)、さらに好ましくは0.1〜10モル(例えば、0.2〜8モル)、特に0.3〜7モル(例えば、0.5〜5モル)程度であってもよい。
【0118】
また、ケイ素化合物(A)とフルオレン化合物(C)との割合は、例えば、ケイ素原子換算で、ケイ素化合物(A)1モルに対して、フルオレン化合物(C)0.01〜100モル(例えば、0.03〜70モル)、好ましくは0.05〜50モル(例えば、0.07〜30モル)、さらに好ましくは0.1〜10モル(例えば、0.15〜8モル)、特に0.2〜5モル(例えば、0.3〜3モル)程度であってもよい。
【0119】
さらに、ケイ素化合物(B)とフルオレン化合物(C)との割合は、例えば、ケイ素原子換算で、ケイ素化合物(B)1モルに対して、フルオレン化合物(C)0.01〜100モル(例えば、0.03〜70モル)、好ましくは0.05〜50モル(例えば、0.07〜30モル)、さらに好ましくは0.1〜10モル(例えば、0.2〜8モル)、特に0.3〜7モル(例えば、0.5〜5モル)程度であってもよい。
【0120】
なお、ケイ素化合物(B)とフルオレン化合物(C)との割合は、例えば、ケイ素化合物(B)中の官能基(b)1モルに対して、フルオレン化合物(C)中の官能基(c)0.01〜100モル(例えば、0.03〜70モル)、好ましくは0.05〜50モル(例えば、0.07〜30モル)、さらに好ましくは0.1〜10モル(例えば、0.15〜8モル)、特に0.2〜5モル(例えば、0.3〜3モル)程度となる割合であってもよい。
【0121】
本発明の組成物において、ケイ素化合物(A)の割合は、ケイ素化合物(A)に含まれるフッ素(フッ素原子)換算で、組成物中に含まれるケイ素原子1モルに対して、0.01〜20モル(例えば、0.03〜15モル)程度の範囲から選択でき、例えば、0.05〜10モル(例えば、0.07〜8モル)、好ましくは0.1〜5モル(例えば、0.15〜3モル)、さらに好ましくは0.2〜2モル(例えば、0.25〜1.5モル)程度であってもよく、通常0.1〜10モル(例えば、0.15〜5モル)程度であってもよい。
【0122】
また、本発明の組成物において、ケイ素化合物(B)の割合は、ケイ素化合物(B)に含まれる官能基(b)換算で、組成物中に含まれるケイ素原子1モルに対して、0.001〜3モル(例えば、0.003〜2モル)程度の範囲から選択でき、例えば、0.005〜1.5モル(例えば、0.007〜1.2モル)、好ましくは0.01〜1モル(例えば、0.015〜0.8モル)、さらに好ましくは0.02〜0.5モル(例えば、0.025〜0.3モル)程度であってもよく、通常0.01〜0.5モル(例えば、0.02〜0.3モル)程度であってもよい。
【0123】
さらに、本発明の組成物において、フルオレン化合物(C)の割合は、組成物中に含まれるケイ素原子1モルに対して、0.001〜100モル(例えば、0.003〜50モル)、好ましくは0.01〜10モル(例えば、0.03〜8モル)、さらに好ましくは0.05〜5モル(例えば、0.07〜4モル)、特に0.1〜3モル(例えば、0.15〜2モル)程度であってもよく、通常0.05〜3モル(例えば、0.1〜2モル)程度であってもよい。
【0124】
[他の成分]
本発明の組成物は、さらに、他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、官能基(b)と官能基(c)との組み合わせに応じて、これらの反応を促進するための成分(例えば、重合開始剤、硬化剤、増感剤など)、加水分解縮合反応を促進するための触媒(前記例示の酸触媒、塩基触媒の他、光酸発生剤など)などの他、慣用の添加剤[例えば、顔料、着色剤、増粘剤、増感剤、消泡剤、レベリング剤、塗布性改良剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、光安定剤など)、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性剤、充填剤、帯電防止剤、硬化剤など]などが挙げられる。これらの他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0125】
特に、官能基(b)および官能基(c)が重合性基である場合、重合開始剤を好適に使用してもよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤[例えば、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類[ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイドなど)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイドなど)など]、過酸エステル類[過酢酸t−ブチル、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過カルボン酸アルキルエステルなど]、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物;アゾニトリル化合物[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など]、アゾアミド化合物{2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}など}、アゾアミジン化合物{2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩など}、アゾアルカン化合物[2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)など]、オキシム骨格を有するアゾ化合物[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)など]などのアゾ化合物など]、光重合開始剤[又は光ラジカル開始剤、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など)、アセトフェノン類(アセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど)、アミノアセトフェノン類{2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1など}、アントラキノン類(アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなど)、(チオ)キサントン類(チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなど)、ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど)、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノンなど)、安息香酸エステル類(o−ベンゾイル安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなど)、スルフィド類(ベンジルジフェニルサルファイド)、アシルフォスフィンオキサイド類、カンファーキノン類など]などが例示できる。これらの重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。特に、光照射により官能基(b)と官能基(c)とを反応させる場合には、少なくとも光重合開始剤を好適に使用してもよい。
【0126】
なお、重合開始剤の割合は、特に限定されないが、ケイ素化合物(B)およびフルオレン化合物(C)の総量100重量部に対して、例えば、0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜8重量部、さらに好ましくは0.03〜5重量部程度であってもよい。
【0127】
また、官能基(b)および(c)が重合性基である場合、光酸発生剤を好適に含んでいてもよい。このような場合、光照射により、発生した酸により加水分解縮合が促進されるとともに、官能基(b)と官能基(c)との反応(重合反応)を促進でき、効率よく硬化物を得やすい。
【0128】
光酸発生剤としては、光の作用により酸を発生する化合物(成分)であれば特に限定されず、慣用の化合物を用いることができ、例えば、オニウム塩、メタロセン錯体などを好適に使用できる。オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩などが例示でき、これらの対イオンとしては、CF
3SO
3−、BF
4−、PF
6−、AsF
6−およびSbF
6−などのアニオンが用いられる。
【0129】
代表的な光酸発生剤としては、スルホニウム塩{例えば、トリアリールスルホニウム塩[トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのトリフェニルスルホニウム塩など]、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)など}、ジアゾニウム塩(4−クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなど)、ヨードニウム塩{例えば、ビス(アルキルアリール)ヨードニウム塩[例えば、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのビス(アルキルフェニル)ヨードニウム塩など]、アルコキシカルボニルアルコキシ−トリアルキルアリールヨードニウム塩[例えば、4−[(1−エトキシカルボニル−エトキシ)フェニル]−(2,4,6−トリメチルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなど]、ビス(アルコキシアリール)ヨードニウム塩[例えば、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのビス(アルコキシフェニル)ヨードニウム塩など]など}、ホスホニウム塩(ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネートなど)、セレニウム塩(トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェートなど)、メタロセン錯体[例えば、(η
5又はη
6−イソプロピルベンゼン)(η
5−シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートなど]などが挙げられる。光酸発生剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0130】
光酸発生剤の割合は、特に限定されないが、例えば、ケイ素化合物(A)およびケイ素化合物(B)の総量100重量部に対して、例えば、0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜8重量部、さらに好ましくは0.03〜5重量部程度であってもよい。
【0131】
また、本発明の組成物は、溶媒を含んでいてもよい。このような溶媒を含む組成物は、例えば、基材上に塗膜を形成するためのコーティング液として好適に用いることができる。このような塗布液を構成する溶媒としては、特に限定されず、慣用の溶媒、例えば、前記例示の溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。なお、溶媒は、ケイ素化合物(A)やケイ素化合物(B)を合成時に使用したものをそのまま用いてもよい。なお、溶媒の割合は、塗布液の粘度などに応じて適宜調整できるが、例えば、固形分濃度で0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜70重量%、さらに好ましくは1〜60重量%程度となる割合であってもよい。
【0132】
本発明の組成物は、慣用の方法、例えば、ケイ素化合物(A)と、ケイ素化合物(B)と、フルオレン化合物(C)と、必要に応じて他の成分とを混合することにより調製できる。なお、前記のように、フッ素非含有加水分解縮合性ケイ素化合物や官能基非含有加水分解縮合性ケイ素化合物は、部分加水分解縮合に供することなく、独立して組成物を構成することができる。このような場合、フッ素非含有加水分解縮合性ケイ素化合物や官能基非含有加水分解縮合性ケイ素化合物は、別途他の成分として混合することにより、組成物を調製できる。
【0133】
[組成物の用途および傾斜膜]
本発明の組成物は、フッ素およびフルオレン骨格を含んでおり、撥水性や優れた光学的特性(高屈折率、高透明性など)を有する成形体(膜など)を形成できる。
【0134】
特に、本発明の組成物は、傾斜構造(傾斜組成)を形成できるため、傾斜膜を形成するための組成物として有用である。このような傾斜膜は、傾斜組成(濃度勾配又は濃度偏在を有する組成)を有しており、通常、フッ素原子を有するケイ素化合物(A)に由来し、主にフッ素原子を含む部分(層又は相)と、ケイ素化合物(B)に由来し、主にフッ素原子を含まないケイ素(SiO
2)の部分(層又は相)と、フルオレン化合物(C)に由来し、主にフルオレン骨格を含む部分(層又は相)とで構成された傾斜構造とを、この順に有している。そのため、このような傾斜膜は、撥水性を有する部分と、低屈折率の部分と、高屈折率(および低複屈折)などの特性を有する部分とを有しており、反射膜などとして好適に利用できる。なお、傾斜構造の形成は、慣用の分析方法(IR測定など)により確認できる。
【0136】
傾斜膜は、基板(又は基材)に、本発明の組成物をコーティング(塗布)し、硬化処理することにより得ることができる。具体的には、傾斜膜(硬化膜)は、組成物をコーティング(塗布)し、ケイ素化合物(B)(又はその官能基(b))とフルオレン化合物(C)(又はその官能基(c))とを重合又は反応させることにより得ることができる。なお、ケイ素化合物(A)及び/又はケイ素化合物(B)が、重縮合物(部分加水分解縮合物)である場合、さらに重縮合(又は加水分解縮合)反応が進行することで、傾斜膜が形成される。
【0137】
基板(基材)の材質は、用途に応じて選択され、例えば、半導体(シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、炭化シリコンなど)、金属(アルミニウム、銅など)、セラミック(酸化ジルコニウム、酸化チタンなど)、透明無機材料(ガラス、石英、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなど)、透明樹脂(ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリスチレンなど)などが用いられる。なお、基板の種類にもよるが、通常、基板側に主にフルオレン骨格を含む部分(層又は相)が形成され、表面側に主にフッ素原子を含む部分(層又は相)が形成される。
【0138】
コーティング(塗布)方法としては、特に限定されず、例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、フローコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、スリット法などを挙げることができる。
【0139】
塗膜の厚みは、傾斜膜の用途によって応じて、適宜選択でき、例えば、0.01μm〜10mm、好ましくは0.05〜100μm、さらに好ましくは0.1〜50μm程度であってもよい。
【0140】
ケイ素化合物(A)とケイ素化合物(B)との重縮合又は加水分解縮合反応(ゾル−ゲル反応)は、水の存在下で、進行する。通常、このような加水分解縮合反応は、塗布とともに空気中の水分により進行するが、必要に応じて、塗布液に水を添加してもよい。なお、塗膜は、空気中の水分によるゾルゲル反応を効率よく進行させるため、10〜90%、好ましくは30〜60%程度の相対湿度下で放置してもよい。
【0141】
また、ケイ素化合物(B)とフルオレン化合物(C)との反応(硬化)は、官能基(b)と官能基(c)との種類によって、適宜選択できる。例えば、官能基(b)と官能基(c)が重合性基である場合、ケイ素化合物(B)とフルオレン化合物(C)とを重合(重合処理)させることにより、硬化できる。代表的には、官能基(b)としてラジカル重合性基を有するケイ素化合物(B)と、官能基(c)として重合性基を有するフルオレン化合物(C)とを組み合わせ、光照射により硬化してもよい。
【0142】
照射又は露光する光は、例えば、ガンマー線、X線、紫外線、可視光線などであってもよく、通常、可視光又は紫外線、特に紫外線である場合が多い。光の波長は、例えば、150〜800nm、好ましくは150〜600nm、さらに好ましくは200〜400nm(特に300〜400nm)程度である。照射光量は、塗膜の厚みにより適宜選択できる。光源としては、露光する光線の種類に応じて選択でき、例えば、紫外線の場合は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、重水素ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなど)などを用いることができる。このような光照射により、前記組成物の硬化(および重合)反応が進行する。
【0143】
塗膜(又は被膜)は、加熱(加熱処理)すると、硬化又は架橋反応(ゾル−ゲル反応および重合反応など)が促進され、高度の三次元架橋が起こり、より一層高硬度の硬化物(硬化塗膜)を得ることができる。塗膜の加熱は、通常、光照射後、又は光照射とともに行われ、通常、光照射後(アフターキュア)に行われる場合が多い。加熱温度は、例えば、60〜250℃、好ましくは100〜200℃程度であってもよい。加熱時間は、例えば、5秒以上(例えば、10秒〜5時間程度)、1分〜4時間、好ましくは10分〜3時間程度であってもよく、通常、20分〜2.5時間(例えば、30分〜2時間)程度であってもよい。
【0144】
上記のようにして本発明の傾斜膜が得られる。傾斜膜は、前記のように傾斜構造を有しており、通常、表面に撥水性を有する部分を有している。このような傾斜膜(傾斜膜表面)の水に対する接触角は、例えば、90〜150°、好ましくは90〜130°、さらに好ましくは90〜120°程度であってもよい。
【実施例】
【0145】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0146】
(合成例1)
ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン[信越化学(株)製、C
4F
9(CH
2)
2Si(OCH
3)
3]1.33g(0.0036モル)を11.9gのエタノールに溶かした後、0.1M塩酸80mgを加え、室温で30分撹拌した。さらに、テトラエトキシシランのオリゴマーを含むエタノール溶液(コルコート社製、HAS−6、平均10量体、シリカ(SiO
2)換算濃度18重量%)12g(0.0036モル)に加え、16時間室温で撹拌した後、60℃で1時間加熱撹拌し、反応液を得た。
【0147】
得られた反応液について、
29Si−NMRスペクトルを測定したところ、出発原料であるノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン由来の−53.4ppmのピークが消失し、高磁場シフト(−54.4、−61.5、−63.7ppm)していることが観察された。また、−100〜−115ppmの範囲にアルコキシシリル基由来のピークが観察された。以上より、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシランとHAS−6とが重縮合し、フッ素(フッ化アルキル基)含有アルコキシシラン重縮合物が得られていることを確認した。
【0148】
(合成例2)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.89g(0.0036モル)を8.1gのエタノールに溶かした後、0.1M塩酸80mgを加え、室温で30分撹拌した。得られた反応液をテトラエトキシシランのオリゴマーを含むエタノール溶液(コルコート社製、HAS−6、平均10量体、シリカ(SiO
2)換算濃度18重量%)12g(0.0036モル)に加え、16時間室温で撹拌した後、60℃で1時間加熱撹拌し、反応液を得た。
【0149】
得られた反応液について、
29Si−NMRスペクトルを測定したところ、出発原料であるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン由来の−50.9ppmのピークが消失し、高磁場シフト(−59.9、−61.5、−64〜−70ppm)していることが観察された。また、−100〜−115ppmの範囲にアルコキシシリル基由来のピークが観察された。以上より、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとHAS−6とが重縮合し、メタクリル基含有アルコキシシラン重縮合物が得られていることを確認した。
【0150】
(合成例3)
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンを10重量%の割合で含むテトラヒドロフラン溶液を調製した。
【0151】
(実施例1)
合成例1で得られた反応液1重量部と、合成例2で得られた反応液1重量部と、合成例3で得られたテトラヒドロフラン溶液5重量部とを混合し、混合液[ノナフルオロヘキシルトリメトキシシランの加水分解物とHAS−6との重縮合物と、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物とHAS−6との重縮合物と、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンとを、1/1/0.5(モル比)の割合で含む混合物(重縮合物についてはケイ素原子換算)であり、Si原子1モルに対して、F原子0.4モル、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン中のメタクリロイルオキシ基0.06モル、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン0.28モルを含む。]を得た。得られた混合液は、無色透明な溶液(均質溶液)を形成していた。
【0152】
(実施例2)
シリカガラス基板上に、実施例1で得られた混合液に固形分に対し0.5重量%のダロキュア1173(チバスペシャルティケミカルズ製)を添加後、スピンコート法(6000rpmx10秒)によりコーティングした後、120℃で30分乾燥し、膜(厚み1μm)を形成した。さらに、形成した膜に、メタルハライドランプを用いて30秒間光照射し、無色透明の硬化膜を得た。
【0153】
得られた硬化膜の水に対する接触角を測定したところ、100°であり、高い撥水性を有する膜(撥水膜)が形成されていることを確認した。
【0154】
(実施例3)
シリカガラス基板上に、実施例1で得られた混合液をキャスト法によりコーティングした後、80℃で30分乾燥し、膜(厚み30μm)を得た。さらに、形成した膜に、メタルハライドランプを用いて30秒間光照射し、硬化膜を得た。
【0155】
得られた膜を基板から剥離し、表面側及び基板側からIRスペクトルの測定を行った。表面側からの測定では、フルオロアルキル基に特徴的な吸収ピークが観測されたが、メタクリロキシ基に帰属される吸収ピークは微量観察されるのみであった。一方、基板側からの測定では、メタクリロキシ基及びフルオレン骨格に帰属される吸収ピークが明確に観察されたが、フルオロアルキル基の吸収ピークは観察されなかった。
【0156】
以上のことより、表面から基板側に向けて、フルオロアルキル基とフルオレン骨格が傾斜的に組成変動する膜が形成されたことが確認された。
【0157】
(実施例4)
合成例3で得られたテトラヒドロフラン溶液を4重量部に変更した以外は実施例1〜3同様に合成・評価を行ったところ、無色透明な膜が得られ、接触角は103°であった。また、IR測定では、表面側からの測定では、フルオロアルキル基に特徴的な吸収ピークが観測されたが、メタクリロキシ基に帰属される吸収ピークは微量観察されるのみであった。一方、基板側からの測定では、メタクリロキシ基及びフルオレン骨格に帰属される吸収ピークが明確に観察されたが、フルオロアルキル基の吸収ピークは観察されなかった。
【0158】
(比較例1)
実施例1で得られた混合液に代えて、合成例3で得られたテトラヒドロフラン溶液を使用した以外は、実施例2と同様に硬化膜を得、接触角を測定したところ80°であり、高い撥水性が得られなかった。