特許第5965784号(P5965784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965784
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】締付バンド
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/12 20060101AFI20160728BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20160728BHJP
   F16B 21/07 20060101ALI20160728BHJP
   G09F 3/14 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B65D63/12 B
   F16B2/08 S
   F16B21/07 Z
   G09F3/14 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-188742(P2012-188742)
(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-46926(P2014-46926A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243939
【氏名又は名称】名伸電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】溝口 大喜
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】黒井 哲生
(72)【発明者】
【氏名】後藤 辰也
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−138880(JP,A)
【文献】 特開2005−067720(JP,A)
【文献】 特開平09−315458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D61/00−63/18
F16B 2/08
F16B21/07
G09F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンド本体と、該バンド本体の一端に設けられ該バンド本体の他端を挿通する係合孔が開設されたブロック体とを備え、前記バンド本体に長手方向に沿って複数の列状突起を設けると共に、前記ブロック体の係合孔内に前記列状突起と逆抜け不能に係合する弾性係合部を設けた締付バンドにおいて、
前記バンド本体において前記列状突起が設けられている部分よりも先端側に形成された先端側平滑面部が前記ブロック体の係合孔に挿通され該先端側平滑面部の先端が該係合孔から突出した状態で該先端側平滑面部の一部と該ブロック体の弾性係合部が連接部により結合され、前記連接部は前記バンド本体の先端を引っ張ると切断されるようになっていることを特徴とする締付バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物を束ねるために用いたり、商品情報等を示したタグ板を商品に取り付けるために用いられる締付バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の締付バンドとして、細長状のバンド本体と、バンド本体の一端に設けられ該バンド本体の他端を挿通する係合孔が開設されたブロック体とを備え、バンド本体には長手方向に沿って鋸歯状の複数の列状突起が設けられていると共に、ブロック体の係合孔内には列状突起と逆抜け不能に係合する弾性係合部が設けられたものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、前記締付バンドは、バンド本体の一端をブロック体の係合孔に挿入し、係合孔から出てきたバンド本体の一端を引っ張って使用するが、この時、バンド本体の列状突起がバンド本体の弾性係合部に逆戻り不能に係合し、バンド本体が結束対象物を締め付けて束ねることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−314998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記締付バンドは、結束対象物を結束する度ごとに、バンド本体をいちいちブロック体の係合孔に挿通しなければならないという点できわめて面倒な作業を強いられていた。特に、この種の締付バンドは、バンド本体が細く、また、ブロック体の係合孔も小さいことから、そもそもバンド本体をブロック体の係合孔に挿通すること自体が面倒で、結束対象物の数が多い場合には、手間と時間が掛かり、作業能率がきわめて悪いという問題が指摘されていた。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決すべく、物を結束する作業において、バンド本体をブロック体の係合孔に挿通するという行為を不要とし、作業能率を向上させる締付バンドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明の締付バンドは、バンド本体と、該バンド本体の一端に設けられ該バンド本体の他端を挿通する係合孔が開設されたブロック体とを備え、前記バンド本体に長手方向に沿って複数の列状突起を設けると共に、前記ブロック体の係合孔内に前記列状突起と逆抜け不能に係合する弾性係合部を設けた締付バンドにおいて、前記バンド本体において前記列状突起が設けられている部分よりも先端側に形成された先端側平滑面部が前記ブロック体の係合孔に挿通され該先端側平滑面部の先端が該係合孔から突出した状態で該先端側平滑面部の一部と該ブロック体の弾性係合部が連接部により結合され、前記連接部は前記バンド本体の先端を引っ張ると切断されるようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る締付バンドは、予めバンド本体が係合孔に挿通され、その先端が係合孔から所定の長さ突出した状態にある。そのため、結束作業において、いちいちバンド本体の先端部をブロック体の係合孔に挿入しなければならないという面倒な作業を行う必要がない。また、連接部により接続されているバンド本体とブロック体の弾性係合部は、バンド本体の先端を引っ張ると切断されるようになっているので、結束対象物を簡単に結束することができる。すなわち、本願発明によれば、結束対象物を結束する際の作業能率を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る締付バンドの斜視図。
図2】本発明に係る締付バンドの平面図。
図3】(イ)は図2のX−X線拡大断面図、(ロ)は図2のY−Y線拡大断面図、(ハ)はブロック体部位の拡大平面断面図。
図4】蟹の足に取り付ける状態を示す締付バンドの一部断面平面図。
図5】(イ)は蟹の足に取り付けた状態を示す締付バンドの一部断面平面図、(ロ)は同ブロック体部位の拡大平面断面図。
図6】本発明に係る締付バンドを取り付けた蟹の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る締付バンドの実施の形態を図面に基づき説明する。本発明に係る締付バンドは、例えば、複数本の棒状の物を一度に束ねる際に使用したり、あるいは蟹類、海老類、亀甲類や果物などの商品に産地やブランド名といった商品情報を示したタグ板を取り付けるために用いるものである。図1は、本発明に係る締付バンドの斜視図、図2は、本発明に係る締付バンドの平面図である。
【0011】
締付バンドAは、例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の弾力性のある合成樹脂材により成型されており、全体の長さが170mmに設定されている。そして、締付バンドAは、細長状のバンド本体1と、該バンド本体1の一端である基端側に設けられ該バンド本体1の他端である先端が挿通されているブロック体2と、該ブロック体2の上面から上方へ突出させて設けたタグ板3とから概略構成されている。なお、この実施の形態で説明する締付バンド1は、蟹の足に装着して使用するもので、タグ板3には、蟹の産地名Mが表示されている。
【0012】
バンド本体1の先端側、具体的には、最先端部から約10mmの部分は、指先で摘み易いように扁平な平坦部4aが形成されていて、さらにその平坦部4aより奥の約50mmの部分は、外周面全体が凹凸のない平滑面になっている直線丸棒状の先端側平滑面部4bbとされている。他方、バンド本体1の基端側、具体的には、基端から約40mmの部分は、同じく外周面全体が平滑面になっている太径の基端側平滑面部5とされている。そして、バンド本体1の先端側平滑面部4bと基端側平滑面部5との間には、長手方向に沿って該バンド本体1の中心軸線に対し直交する面における断面積が該バンド本体1の先端側に進むに従い漸次小さくなる円錐体形状の列状突起6が数珠状に多数列設されている。また、各列状突起6の断面積が小さい先端部には短柱状の細径部7が一体に連接され、該細径部7を介して隣り合う列状突起6,6が連なるようになっている。
【0013】
なお、この実施の形態のタグ板3には蟹の産地名Mが表示されている例を示したが、併せて水揚げされた漁港名、水揚げされた日などのデータを記憶したICチップ(図示せず。)を内蔵するようにしても良い。このように、ICチップを用いたならば、仮に、第三者が産地名Mを偽装した蟹を市場に混入させたとしても、容易にその偽装を発見することができる。
【0014】
ブロック体2は、図3に示すように略立方体形状に形成されており、その外周壁の一側(図中下側)にバンド本体1の基端側平滑面部5が一体に設けられ、反対の他側(図中上側)にタグ板3が設けられている。また、基端側平滑面部5とタグ板3とを含んだ面に対し直交する方向に沿って係合孔8が貫設され、該係合孔8は、一方側が引込口10、他方側が引出口11となっている。さらに、係合孔8内の引出口11側には、3つの片から構成された弾性係合部12が形成されている。なお、この実施の形態では、弾性係合部12が3つ片によって構成された例を示したが、必ずしも複数の片で構成する必要はなく、また、複数の片で構成する場合でも、片の数は任意に選択可能である。
【0015】
前記弾性係合部12は、図3に示すように、引込口10側が幅広く、引出口11側が幅狭になっている。具体的には、弾性係合部12は、内径が引出口11側に進むに従い漸次小さくなり、先端部が係合孔8の中心軸線O側によるような略円錐体形状に形成されている。また、弾性係合部12を構成する各片は、外周面13aと内周面13bとの間が所定の厚みをもって形成されている。さらに、弾性係合部12を構成する片の先端外周面には、前端係合面14が形成されており、この前端係合面14は、先端に進むに従い係合孔8の中心軸線O側に近づく傾斜面になっていて、この傾斜は、中心軸線Oに対する外周面13aや内周面13bの傾斜角度よりも大きくなっている。
【0016】
なお、本実施の形態の締付バンドAは、バンド本体1の先端、すなわち、バンド本体1の先端側平滑面部4bが予めブロック体2の係合孔8に入っている状態にあり、先端側平滑面部4bの先端が係合孔8の引出口11から所定の長さ突出している。そのため、バンド本体1がリング状になっている。そして、この状態において、バンド本体1の先端側の一部がブロック体2の内部で結合されている。具体的には、図3(ハ)に示すように、ブロック体2の係合孔8内に位置しているバンド本体1の先端側平滑面部4bの一部と弾性係合部12の各片の先端部分が互いに連接部16によって結合されている。このように本実施の形態では、バンド本体1の弾性係合部12の各片の先端部分だけを先端側平滑面部4bに結合させているので、バンド本体1を引っ張ることで簡単に連接部16が切断されるようになっている。なお、本実施の形態では、バンド本体1の先端側平滑面部4bと弾性係合部12のすべての片を結合させた例を示したが、バンド本体1の先端側平滑面部4bを弾性係合部12の一部の片とだけ結合させることも勿論可能である。また、例えば、弾性係合部を片によって構成するのではなく、筒状に形成したような場合、筒状の弾性係合部の先端全体に結合させたり、あるいは、バンド本体1の先端側平滑面部4bを筒状の弾性係合部の一部と結合させることも可能である。もっとも、前者の場合、バンド本体1を引っ張った際に連接部が簡単に切断されるように連接部を薄肉にしておくことが好ましい。
【0017】
ちなみに、本実施形態に係る締付バンドAは、バンド本体1の先端側平滑面部4bが予めブロック体2の係合孔8の引出口11から所定の長さ突出し、且つバンド本体1の先端側の一部がブロック体2の内部で結合された状態のものを複数の金型を使用して一体に成型している。もっとも、他の方法で形成することも可能である。例えば、バンド本体1の先端側平滑面部4bがブロック体2の係合孔8に入っていない状態のものを成型し、後からバンド本体1をブロック体2の係合孔8に挿入し、バンド本体1の先端がブロック体2の係合孔8から適当な長さ突出したところで、バンド本体1の一部とブロック体2内部の弾性係合部12を接着剤等で結合させるなどの方法が考えられる。
【0018】
次に上記のように構成された締付バンドAを蟹の足に使用する場合を例として説明する。例えば、漁港において水揚げされた蟹を仕分けする作業に携わる作業者は、蟹の産地を明らかにするため、蟹の産地名Mが表示されたタグ板3を備えた締付バンドAを図6に示すように蟹の足に装着する。ここで、締付バンドAは、常態において、ブロック体2の係合孔8にバンド本体1の先端側平滑面部4bが挿通されてバンド本体1がリング状になっている。そして、図4に示すように蟹の足Fをリング状のバンド本体1に通し、引出口11から突出している平坦部4aを摘んで先端側平滑面部4bを同図矢印方向へ引き出す。これにより、連接部16が切断され、図5(イ)(ロ)に示すようにリング状のバンド本体1が縮径されて蟹の足Fをきつく締め付けることになる。また、この時、バンド本体1の列状突起6が弾性係合部12を潜り抜け、列状突起6のいずれかの後端係合面6aが各弾性係合部12の前端係合面14に当接し、バンド本体1が逆抜けしない状態となる。
【0019】
このように、本発明に係る締付バンドは、予めバンド本体1がブロック体2の係合孔8に入った状態になっていることから、作業者が蟹Cの足Fをリング状になっているバンド本体1に挿通し、バンド本体1の先端部を引っ張るだけで、蟹Cの足Fに装着することができる。従って、作業の手間や時間を大幅に軽減することができ、ひいては、作業能率を飛躍的に向上することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 バンド本体
2 ブロック体
6 列状突起
8 係合孔
12 弾性係合部
16 連接部
A 締付バンド


























図1
図2
図3
図4
図5
図6