【実施例】
【0048】
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1.
(作製方法)
導電体として、面重量が約170g/m
2の日本蚕毛染色社製の有機導電性繊維(商品名サンダーロン)(体積抵抗率:0.8Ω・m)の不織布を用いた。半絶縁体の樹脂は、マトリックスとして、アクリル系共重合樹脂(アクリロニトリル/ブチルアクリレート=40/60を水中で乳化重合した)エマルジョンを用い、樹脂を固形分で85重量部、ジエチレングリコール15重量部を攪拌機で混合し、製造した。半絶縁体の面重量が約500g/m
2になるように、サンダーロンの不織布に半絶縁体を塗布し、50℃で乾燥して、電波吸収体を得た。電波吸収体の厚さは890μmであった。
【0050】
(複合体の起電力測定)
得られた電磁波吸収体の導電体と塗布した半絶縁体の表面との電位差(起電力)を、岩通計測株式会社製のデジタル・マルチメーターVOAC7522を用いて室温(20℃)で測定した。測定結果を表6に示す。但し、導電体や樹脂だけものは、両面の電位差を測定した。
【0051】
(電磁波シールド効果測定)
得られた電磁波吸収体についてKEC法で測定した。測定周波数は0.1MHz〜1GHzである。測定結果を
図1に示す。
【0052】
実施例2.
(作製方法)
導電体として、サンダーロンの不織布を用いた。半絶縁体の樹脂は、マトリックスとして、アクリロニトリル含量が40重量%のカルボキシル基変性タイプのアクリルニトリルーブタジエン共重合体(Tg:−15℃)のエマルジョンを用い、樹脂を固形分で85重量部とロッシェル塩15重量部を攪拌機で混合して製造した。半絶縁体の面重量が約150g/m
2になるように、サンダーロンの不織布に半絶縁体を塗布し、50℃で乾燥した。電波吸収体の厚さは1022μmであった。
【0053】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図2に示す。
【0054】
実施例3.
(作製方法)
導電体として、面重量が約425g/m
2の100目のステンレス製メッシュ(東急ハンズで購入した1038ステンレスアミ100、16151)(体積抵抗率:7×10
−7Ω・m)を用いた。半絶縁体の樹脂は、マトリックスとしてアクリロニトリル含量が40重量%のカルボキシル基変性タイプのアクリルニトリルーブタジエン共重合体(Tg −15℃)のエマルジョンを用い、樹脂を固形分で85重量部、ロッシェル塩15重量部を攪拌機で混合して製造した。半絶縁体の面重量が約200g/m
2になるように、ステンレス製メッシュアルを離型紙の上に置き、メッシュの穴が埋まるように半絶縁体を塗布し、50℃で乾燥した。電波吸収体の厚さは298μmであった。
【0055】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図3に示す。
【0056】
実施例4.
(作製方法)
導電体として、面重量が約600g/m
2のアルミのパンチング板(東急ハンズで購入したアルミパンチング板A−12、3φ×5の表面の塗装をサンドペーパーで除去したもの)(体積抵抗率:約3×10
−8Ω・m)を用いた。半絶縁体の樹脂には、アクリロニトリル含量が40重量%のカルボキシル基変性タイプのアクリルニトリルーブタジエン共重合体(Tg −15℃)のエマルジョンを用いた。樹脂を固形分で85重量部、ロッシェル塩15重量部を攪拌機で混合した。
半絶縁体の面重量が約200g/m
2になるように、アルミパンチング板を離型紙の上に置き、パンチ穴が埋まるように半絶縁体を塗布し、50℃で乾燥した。電波吸収体の厚さは588μmであった。
【0057】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図4に示す。
【0058】
実施例5.
(作製方法)
導電体として、面重量が約115g/m
2のカーボン繊維(ユニチカ製Aシート)(体積抵抗率:約2×10
−5Ω・m)を用いた。マトリックスとして半絶縁体の樹脂は、アクリロニトリル含量が40重量%のカルボキシル基変性タイプのアクリルニトリルーブタジエン共重合体(Tg −15℃)のエマルジョンを用い、樹脂を固形分で85重量部、ロッシェル塩15重量部を攪拌機で混合して製造した。半絶縁体の面重量が約100g/m
2になるように、カーボン繊維に半絶縁体を塗布し、50℃で乾燥した。電波吸収体の厚さは555μmであった。
【0059】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図5に示す。なお、1MHzおよび500MHzにおける電磁波シールド効果の数値を表7に示した。
【0060】
実施例6.
(作製方法)
導電体として、ユニチカ製Aシートを用いた。マトリックスとして半絶縁体の樹脂は、アクリロニトリル含量が40重量%のカルボキシル基変性タイプのアクリルニトリルーブタジエン共重合体(Tg:−15℃)のエマルジョンを用いた。樹脂を固形分で85重量部、ロッシェル塩15重量部を攪拌機で混合した。所定の型に混合物を流し込んで50℃で乾燥した。得られたシートを高湿度下に放置し、5重量%の水を加水し、50℃、10MPaの条件で、熱プレスでカーボン繊維に熱融着して、電磁波吸収体を得た。電波吸収体の厚さは1060μmであった。
【0061】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図10に示す。なお、1MHzおよび500MHzにおける電磁波シールド効果の数値を表7に示した。
【0062】
比較例1a.
半絶縁体を用いず、導電体のみを用いた以外は、実施例1と同様の方法で電磁波吸収体を製造した。電波吸収体の厚さは890μmであった。
【0063】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図1と表7に示す。
【0064】
比較例1b.
導電体を用いず、半絶縁体のみを用いた以外は、実施例1と同様の方法で電磁波吸収体を製造した。電波吸収体の厚さは845μmであった。
【0065】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図1と表7に示す。
【0066】
比較例2.
導電体を用いず、半絶縁体のみを用いた以外は、実施例2と同様の方法で電磁波吸収体を製造した。電波吸収体の厚さは608μmであった。
【0067】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図2と表7に示す。
【0068】
比較例3.
半絶縁体を用いず、導電体のみを用いた以外は、実施例3と同様の方法で電磁波吸収体を製造した。電波吸収体の厚さは186μmであった。
【0069】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図3と表7に示す。
【0070】
比較例4.
半絶縁体を用いず、導電体のみを用いた以外は、実施例4と同様の方法で電磁波吸収体を製造した。電波吸収体の厚さは498μmであった。
【0071】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図4と表7に示す。
【0072】
比較例5.
半絶縁体を用いず、導電体のみを用いた以外は、実施例5と同様の方法で電磁波吸収体を製造した。電波吸収体の厚さは431μmであった。
【0073】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図5と表7に示す。
【0074】
比較例6.
炭素繊維に、半絶縁性でない、固形比で、スチレンブタジエンラバーSR−104(日本A&L(株)製)を75部にKN―320(戸田工業(株)製のマグネタイト)を25部加えた樹脂をコーティングし、半絶縁体を用いなかった以外は、実施例5と同様の方法で電磁波吸収体を製造した。電波吸収体の厚さは545μmであった。
【0075】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図6と表7に示す。
【0076】
比較例7.
サンダーロンに、半絶縁性でない、Tg18℃のメチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合樹脂をコーティングした。半絶縁体を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法で電磁波吸収体を製造した。電波吸収体の厚さは1035μmであった。
【0077】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図7と表7に示す。
【0078】
比較例8.
ブチルアクリレートが主成分のアクリル系の樹脂100部とフェライトGP−500を100部ブレンドしたETC(Electronic Toll Collection)用電磁波吸収体電磁波吸収フェライト複合体シートを電磁波吸収体に用いた。電波吸収体の厚さは1005μmであった。
【0079】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図8、9と表7に示す。
【0080】
比較例9.
半絶縁性の樹脂として、ニトリルブタジエンゴムにロッシェル塩を15部加えたものに水を5%加えたものを所定の型に流し込んで50℃で乾燥した。得られたシートを100℃、40MPaの条件で、熱プレスして成形した。電波吸収体の厚さは610μmであった。
【0081】
起電力測定は実施例1と同様に行った。結果を表6に示す。また、電磁波シールド効果測定は実施例1と同様に行った。結果を
図10と表7に示す。
【0082】
(結果)
実施例1〜6と、比較例との比較から明らかなように、本発明では、導電体と半絶縁体とを含むことにより電磁波吸収特性が、測定周波数範囲(1MHz〜1GHz)で向上した。
【0083】
比較例1aは、未処理の導電性の不織布で、その電気伝導性に起因して、電磁波の反射によると思われる20dB程度のシールド効果が得られている(
図1)。比較例1bは、本発明の半絶縁体で、単独のフィルムである。単独のフィルムでは電磁波シールド効果は殆どなく、0dBに近い(
図1)。
【0084】
これに対し、実施例1は、導電性の不織布に半絶縁体を塗布したもので、
図1から明らかなように、シールド効果が数dB向上している。電磁波の反射は電気伝導性に起因する。半絶縁体は電気伝導率が中間程度で、単独ではシールド効果が殆どないが、組み合わせるとシールド効果が上がるのは、電磁波の反射ではなく、電磁波の吸収が起こっているからと思われる。
【0085】
また、実施例2は、導電性の不織布に半絶縁体を塗布したもので、
図2から明らかなように、シールド効果が数dB向上している。電磁波の反射は電気伝導性に起因する。半絶縁体は電気伝導率が中程度で、単独ではシールド効果が殆どないが、組み合わせるとシールド効果が上がるのは、電磁波の反射ではなく、電磁波の吸収が起こっているからと思われる。
【0086】
比較例3は、ステンレスのメッシュで、その電気伝導性に起因して、電磁波の反射によると思われる60〜70dB程度のシールド効果が得られている(
図3)。これに対し、実施例3は、ステンレスのメッシュに半絶縁体を塗布したもので、シールド効果が数dB向上している(
図3)。
【0087】
比較例4は、アルミ板に多数の丸い穴をあけたパンチング板で、その電気伝導性に起因して、電磁波の反射によると思われる30dB弱のシールド効果が得られている(
図4)。これに対し、実施例4は、アルミ板に多数の丸い穴をあけたパンチング板に半絶縁体を塗布したもので、シールド効果が数dB向上している(
図4)。
【0088】
比較例5は、未塗布の炭素繊維で、その電気伝導性に起因して、電磁波の反射と吸収によると思われるシールド効果が得られている(
図5)。これに対し、実施例5は、炭素繊維に半絶縁体を塗布したもので、シールド効果が数dB向上している(
図5)。
【0089】
比較例6は、炭素繊維に絶縁性の樹脂を塗布したもので、シールド効果が、半絶縁体を塗布したものに比べて数dB低下している(
図6)。これに対し、実施例5は、炭素繊維に半絶縁体を塗布したもので、シールド効果が数dB向上している(
図6)。
【0090】
比較例1aは、未処理の導電性の不織布で、その電気伝導性に起因して、電磁波の反射によると思われる20dB程度のシールド効果が得られている(
図7)。これに対し、比較例7は、導電性の不織布に絶縁性のアクリル樹脂を塗布したもので、シールド効果が数dB低下している(
図7)。電磁波の反射は電気伝導性に起因する。絶縁体は電気伝導率が低く、シールド効果が殆どない。組み合わせるとシールド効果が下がるのは、電磁波の反射を妨げ、透過量が多くなっているためと思われる。
【0091】
比較例8は、フェライトの磁性(高い透磁率)を利用したもので、1GHz以下では、電磁波反射や電磁波吸収による電磁波シールドの効果が認められなかった(
図8)。
【0092】
比較例8は、1GHz以下では、電磁波反射や電磁波吸収による電磁波シールドの効果が認められなかったが、10GHzから15GHzで、電磁波の吸収が観察され、約11GHzと14GHzに反射損失のピークがあった(
図9)。
【0093】
比較例9は、本発明の半絶縁体で、単独のフィルムである。単独のフィルムでは電磁波シールの効果は殆どなく、0dBに近い(
図10)。これに対し、実施例6は、導電性の不織布に半絶縁体を塗布したもので、シールド効果が数dB向上している(
図10)。
【0094】
【表6】
【0095】
なお、表6中、被膜とは、導電体に塗布して形成した半絶縁体の被膜または半絶縁体でない被膜を意味し、シートとは、導電体を使用せず作製した半絶縁体でない、半絶縁体のシートまたは半絶縁体でないもののシートを意味する。また、表6中の被膜またはシートの体積抵抗率とは、厚さが2mmの半絶縁体のシートと半絶縁体でないもののシートを作製し、JIS K7194に準じて測定した値である。
【0096】
【表7】