特許第5965841号(P5965841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5965841HOT(hybridorientationtechnology)を選択的エピタキシーに関連して用いて移動度を改善する方法およびそれに関連する装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965841
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】HOT(hybridorientationtechnology)を選択的エピタキシーに関連して用いて移動度を改善する方法およびそれに関連する装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8238 20060101AFI20160728BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 27/08 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 21/762 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   H01L27/08 321B
   H01L27/08 331A
   H01L21/76 E
   H01L27/12 F
   H01L27/12 L
   H01L21/76 D
   H01L21/76 L
   H01L29/78 613A
   H01L29/78 620
   H01L29/78 621
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-534387(P2012-534387)
(86)(22)【出願日】2010年10月15日
(65)【公表番号】特表2013-508951(P2013-508951A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】US2010052816
(87)【国際公開番号】WO2011047244
(87)【国際公開日】20110421
【審査請求日】2013年10月9日
(31)【優先権主張番号】12/589,027
(32)【優先日】2009年10月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591150672
【氏名又は名称】ナショナル セミコンダクター コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL SEMICONDUCTOR CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー エイチ オーウェン
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−294828(JP,A)
【文献】 特開2008−311678(JP,A)
【文献】 特開平04−372166(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/072844(WO,A1)
【文献】 特開2006−108365(JP,A)
【文献】 特開2008−108999(JP,A)
【文献】 特開2005−311367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8238
H01L 21/336
H01L 21/76
H01L 21/762
H01L 27/08
H01L 27/092
H01L 27/12
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
第1の基板と、
前記第1の基板の第1の部分の上に位置し、埋め込み層によって前記第1の基板から分離される第2の基板と、
少なくとも部分的に前記第2の基板内にある第1のトランジスタと、
前記第1の基板の第2の部分の上に位置し、前記第2の基板から隔離されるエピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層の上に位置するキャップと、
少なくとも部分的に前記キャップ内及び前記エピタキシャル層の上にある第2のトランジスタと、
を含み、
前記第2の基板および前記エピタキシャル層が、異なる電子および正孔移動度を有するバルク特性を有し、
前記第1および第2のトランジスタの少なくとも1つが、少なくとも5Vの1つまたは複数の信号を受け取るように構成される、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第1のトランジスタがpチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタを含み、
前記第2のトランジスタがnチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタを含む、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第1の基板が第1の結晶面方位を有し、
前記第2の基板が第2の結晶面方位を有する、半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置であって、
前記エピタキシャル層が前記第1の結晶面方位を有する、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第1の基板及び前記キャップが共通の半導体材料を含む、半導体装置。
【請求項6】
請求項3に記載の半導体装置であって、
前記第1の基板が100面の結晶面方位を有するp型シリコンを含み、
前記第2の基板が110面の結晶面方位を有するn型シリコンを含み、
前記キャップがp型シリコンを含む、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記エピタキシャル層がシリコンゲルマニウムを含む、半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置であって、
前記シリコンゲルマニウムが15%のゲルマニウム濃度を有する、半導体装置。
【請求項9】
装置であって、
第1の基板と、
前記第1の基板の第1の部分の上に位置し、埋め込み層によって前記第1の基板から分離される第2の基板と、
前記第1の基板の第2の部分の上に位置し、前記第2の基板から隔離されるエピタキシャル層であって、前記第2の基板が、前記エピタキシャル層よりも高い正孔移動度を有し、前記エピタキシャル層が、前記第2の基板よりも高い電子移動度を有し、前記正孔及び電子移動度がバルク特性である、前記エピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層の上に位置するキャップと、
を含む基板構造、及び、
第1及び第2のトランジスタであって、前記第1のトランジスタが少なくとも部分的に前記第2の基板内にあり、前記第2のトランジスタが少なくとも部分的に前記キャップ内及び前記エピタキシャル層の上にあり、前記第1及び第2のトランジスタの少なくとも1つが、少なくとも5Vの1つまたは複数の信号を受け取るように構成される、前記第1及び第2のトランジスタ、
を含む、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
前記第1のトランジスタがpチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタを含み、
前記第2のトランジスタがnチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタを含む、装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置であって、
前記第1の基板が第1の結晶面方位を有し、
前記第2の基板が第2の結晶面方位を有する、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、
前記エピタキシャル層が前記第1の結晶面方位を有する、装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置であって、
前記第1の基板が100面の結晶面方位を有するp型シリコンを含み、
前記第2の基板が110面の結晶面方位を有するn型シリコンを含み、
前記キャップがp型シリコンを含む、装置。
【請求項14】
請求項9に記載の装置であって、
前記エピタキシャル層がシリコンゲルマニウムを含む、装置。
【請求項15】
方法であって、
第1の基板と、
前記第1の基板の第1の部分の上に位置し、埋め込み層によって前記第1の基板から分離される第2の基板と、
前記第1の基板の第2の部分の上に位置し、前記第2の基板から隔離されるエピタキシャル層であって、前記第2の基板が、前記エピタキシャル層よりも高い正孔移動度を有し、前記エピタキシャル層が、前記第2の基板よりも高い電子移動度を有し、前記正孔及び電子移動度がバルク特性である、前記エピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層の上に位置するキャップと、
を含む基板構造を得ること、及び、
第1及び第2のトランジスタを形成すること、
を含み、
前記第1のトランジスタが少なくとも部分的に前記第2の基板内に形成され、前記第2のトランジスタが少なくとも部分的に前記キャップ内及び前記エピタキシャル層の上に形成され、前記第1及び第2のトランジスタの少なくとも1つが、少なくとも5Vの1つまたは複数の信号を受け取るように構成される、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記基板構造を得ることが、
第2の基板材料の一部を除去すること、
前記第2の基板の側部にスペーサを形成すること、及び
前記第2の基板材料が除去された領域に前記エピタキシャル層を形成すること、
を含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記基板構造を得ることがさらに、
前記第2の基板と前記エピタキシャル層とを隔離するためトレンチを形成すること、
を含む方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、
前記第1の基板が第1の結晶面方位を有し、
前記第2の基板が第2の結晶面方位を有する、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記エピタキシャル層が前記第1の結晶面方位を有する、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記第1の基板が100面の結晶面方位を有するp型シリコンを含み、
前記第2の基板が110面の結晶面方位を有するn型シリコンを含み、
前記エピタキシャル層がシリコンゲルマニウムを含み、さらに、
前記キャップがp型シリコンを含、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、集積回路を対象とする。より詳細には、本開示は、HOT(hybrid orientation technology)を選択的エピタキシーに関連して用いて移動度を改善する方法およびそれに関連する装置を対象とする。
【背景技術】
【0002】
相補型金属酸化物半導体(CMOS)回路は、しばしば、100面の結晶面方位を有するシリコン基板上に形成される。HOT(hybrid orientation technology)では、単一基板上で異なる結晶面方位を用いる。例えば、HOTでは、100面の結晶面方位の基板と110面の結晶面方位の基板を同じ半導体ウエハ上で混在させることができる。これは、半導体デバイス内の正孔および電子移動度を改善する助けとするために一般的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本開示およびその特徴がよりよく理解されるように、以下の説明を添付の図面に関連させて参照する。
【0004】
図1】本開示に従って、HOT(hybrid orientation technology)を選択的エピタキシーに関連して用いる集積回路デバイスの例を示す図である。
【0005】
図2A】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
図2B】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
図2C】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
図2D】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
図2E】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
図2F】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
図2G】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
図2H】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
図2I】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
図2J】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
図2K】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す図である。
【0006】
図3A】本開示に従った集積回路デバイスにおける欠陥に関する例示の詳細を示す図である。
図3B】本開示に従った集積回路デバイスにおける欠陥に関する例示の詳細を示す図である。
図3C】本開示に従った集積回路デバイスにおける欠陥に関する例示の詳細を示す図である。
図3D】本開示に従った集積回路デバイスにおける欠陥に関する例示の詳細を示す図である。
図3E】本開示に従った集積回路デバイスにおける欠陥に関する例示の詳細を示す図である。
図3F】本開示に従った集積回路デバイスにおける欠陥に関する例示の詳細を示す図である。
図3G】本開示に従った集積回路デバイスにおける欠陥に関する例示の詳細を示す図である。
【0007】
図4】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて形成されるトランジスタデバイスを有する回路の例を示す図である。
【0008】
図5】本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書内の、以下に説明する図1図5、ならびに本発明の原理を説明するために用いる様々な実施形態は、単なる例示のためであり、本発明の範囲をいかなる形でも限定すると解釈すべきではない。本発明の原理は、適切に構成されたいかなるタイプのデバイスまたはシステムにおいても実装され得ることが当業者には理解されよう。
【0010】
図1に、本開示に従って、HOT(hybrid orientation technology)を選択的エピタキシーに関連して用いる集積回路デバイス100の例を示す。図1に示す集積回路デバイス100の実施形態は単なる例示のためである。集積回路デバイス100の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱することなく用いることもできる。
【0011】
図1に示すように、集積回路デバイス100はウエハ102を含む。ウエハ102は、集積回路デバイス100の他の構成要素を担持または支持するために使用し得る任意の適切な半導体基板を表す。例えば、ウエハ102は、100面の結晶面方位を有する30Ω/cmのP−基板を表し得る。
【0012】
ウエハ102の一部の上には埋め込み層104がある。埋め込み層104は、一般に、集積回路デバイス100の他の構成要素を電気的に絶縁するための、酸化物や他の材料の薄い層を表す。埋め込み層104は、例えば、厚さが約1450Åまたは2000Åのシリコン酸化物層またはその他の酸化物層を表し得る。
【0013】
埋め込み層104の上には基板106がある。基板106は、任意の適切な半導体基板を表し得る。例えば、基板106は、110面の結晶面方位を有する30Ω/cmで厚さが約2μm〜約5μmのN−基板を表し得る。基板106とウエハ102は異なる結晶面方位を有することができ、それによって、HOTアプローチを実施する。説明の都合上、ウエハ102を「第1の半導体基板」と呼び、基板106を「第2の半導体基板」と呼ぶことがある。
【0014】
ウエハ102の上にはエピタキシャル層108もある。エピタキシャル層108は、任意の適切なエピタキシャル材料を表し得る。例えば、エピタキシャル層108は、Si0.85Ge0.15などのシリコンゲルマニウムから形成し得る。エピタキシャル層108には、シリコンスズ(SiSn)または炭素ドープしたシリコンゲルマニウム(SiGeC)などの他の材料を用いることもできる。いくつかの実施形態では、エピタキシャル層108は、100面の面方位など、基板106の面方位とは異なる結晶面方位を有する。
【0015】
エピタキシャル層108の上にはキャップ110を形成することができる。キャップ110は、シリコンなどの1つまたは複数の半導体基板材料から形成し得る。特定の実施形態では、キャップ110は、厚さが約1000Åで30Ω/cmのP−シリコンから形成し得る。他の実施形態ではキャップ110を省いてもよいことに留意されたい。
【0016】
この例では、トレンチ112a〜112cを用いてこの構造の異なる部分を電気的に絶縁する助けとする。トレンチ112a〜112cは、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造などの任意の適切なアイソレーション構造を表し得る。トレンチ112a〜112cは、酸化物など任意の適切な材料から任意の適切な方法で形成し得る。また、スペーサ114が、エピタキシャル層108から基板106を分離することができる。スペーサ114は、酸化物など任意の適切な材料から任意の適切な方法で形成し得る。
【0017】
基板106を用いてpチャネル金属酸化物半導体(PMOS)デバイス116が形成される。図1に示すように、PMOSデバイス116は、ソース118、ドレイン120、オフセット122、およびゲート124を含む。ソース118、ドレイン120、およびオフセット122のそれぞれは、1つまたは複数のドーパントでドープされた基板106の領域を概して示す。例えば、ソース118およびドレイン120がp+ドーパントを含み、オフセット122がp−ドーパントを含むようにし得る。ゲート124は、PMOSデバイス116の動作を制御するために使用し得る導電領域、例えば、ポリシリコンから形成した領域、を概して示す。ゲート124は、典型的には、ゲート酸化物126によって基板106から分離される。これらの構成要素118〜126はそれぞれ、任意の適切な材料を用いて任意の適切な方法で形成し得る。
【0018】
キャップ110を用いてnチャネル金属酸化物半導体(NMOS)デバイス128が形成される(ただし、他の実施形態では、NMOSデバイス128はエピタキシャル層108内に形成される)。NMOSデバイス128は、ソース130、ドレイン132、オフセット134、およびゲート136を含む。ゲート136は、ゲート酸化物138によってキャップ110から分離される。これらの構成要素130〜138は、PMOSデバイス116内の対応する構成要素118〜126と同じまたは類似のものとしてもよいが、NMOSデバイス128では異なるドーピングを用いる。例えば、ソース130およびドレイン132がn+ドーパントを含み、オフセット134がn−ドーパントを含むようにし得る。これらの構成要素130〜138はそれぞれ、任意の適切な材料を用いて任意の適切な方法で形成し得る。PMOSデバイス116およびNMOSデバイス128内の異なる構成要素の形成は同時に行うことができ、例えば、ゲート124および136を同じプロセスステップを用いて形成し得ることに留意されたい。ゲート酸化物126および138は、同じプロセスステップを用いて形成してもよいし、そうしなくてもよい。
【0019】
PMOSデバイス116およびNMOSデバイス128の上に酸化物層140が形成される。酸化物層140は、典型的には、後続の処理ステップの間、下にある、集積回路デバイス100の構成要素を保護するものである。酸化物層140は、任意の適切な酸化物材料を表し得、任意の適切な方法で形成し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、PMOSデバイス116およびNMOSデバイス128は、5V+(5V以上)のPMOSおよびNMOSデバイスなど、動作電圧が比較的高いデバイスを表し得る。このレベルの動作電圧は、従来のCMOSシステムを用いては得られないことが多い。また、本明細書の集積回路デバイス100は、異なる材料および面方位を用いて、高い電子移動度および高い正孔移動度両方に対応する。例えば、基板106の110面の面方位は、正孔移動度を改善することができ、ゲルマニウム濃度が調整可能なエピタキシャル層108は、電子移動度を改善することができる。これらの構造はいずれも、同じ集積回路デバイス内で、かつ同じウエハ上で用いることができる。
【0021】
さらに、本明細書で説明する正孔および電子の改善された移動度はバルク特性であり、すなわち、応力のみによってもたらされるのではなく、この構造に固有の特性であることに留意されたい。このことは、混合信号アナログアプリケーションなどのアプリケーションで用いる高電圧デバイス(5V+のPMOSおよびNMOSデバイスなど)を形成する際に有用である。この種のデバイスは、ディープサブミクロン手法を用いては製造されないことが多い。というのは、こうした手法がこの種のデバイスにもたらす利点がほとんどないからであり、そのため、こうした手法は通常、低電圧デバイスにしか用いられない。高電圧デバイスは、ディープサブミクロン寸法までには縮小されないことが多く、したがって、フォトリソグラフィにではなく、バルク材料特性に支配される。さらに、この方式で形成されるデバイスでは、トランジスタのオン抵抗(RDSON)および相互コンダクタンスが改善され得、ダイのサイズを小さくし、コストを下げることができる。
【0022】
図1に選択的エピタキシーに関連してHOTを用いる集積回路デバイス100の一例を示したが、図1には様々な変更を加えることができる。例えば、図1の様々な構成要素の相対的なサイズおよび形状は単に例示を目的としている。また、図1の或る構成要素は特定の材料から形成されると上記で述べたが、図1の各構成要素は、任意の適切な材料から任意の適切な方法で形成し得る。さらに、製造プロセスによっては、集積回路デバイス100内に様々な他の層または構造体を形成し得る。こうした他の層または構造体は、見易くするために図1では省いている。
【0023】
図2A〜2Kに、本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の例を示す。図2A〜2Kに示す手法の実施形態は単なる例示のためである。本開示の範囲から逸脱することなく他の手法を用いてこの集積回路デバイスを形成することもできる。
【0024】
図2Aに示すように、SOI(Semiconductor-on-insulator)構造を形成するかまたは他の方法で調達する。この構造は、ウエハ202と、ウエハ202全体にわたって形成される埋め込み層204とを含む。ウエハ202は、100面の面方位を有する30Ω/cmのP−基板を表し得る。埋め込み層204は、厚さが約1450Åまたは2000Åのシリコン酸化物層またはその他の酸化物層を表し得る。埋め込み層204の上には、基板206がある。基板206は、例えば、110面の面方位を有する30Ω/cmで厚さが約2μm〜約5μmのN−基板とする。特定の実施形態では、構成要素202〜206から形成されるSOI構造はベンダーから直接購入し得る。他の特定の実施形態では、SOI構造は任意の適切な方法で製造し得る。
【0025】
基板206の上にスクリーン酸化物層208が形成される。スクリーン酸化物層208の形成は、スクリーン酸化洗浄プロセスと、基板206の一部を(例えば、1100℃で約49分間の乾燥酸化を用いることによって)酸化するスクリーン酸化プロセスと、酸化後オペレーションとを含み得る。特定の実施形態では、スクリーン酸化物層208は350ű35Åの厚さを有する。
【0026】
図2Bに示すように、この構造の上にパッド酸化物層210が形成される。パッド酸化物層210の形成は、パッド酸化前洗浄(pre-cleaning)プロセスと、(例えば、920℃で約40分間の乾燥酸化を用いることによる)パッド酸化プロセスと、酸化後オペレーションとを含み得る。特定の実施形態では、パッド酸化物層210は110ű10Åの厚さを有する。パッド酸化物層210の上には窒化物層212が形成される。窒化物層212の形成は、NH/N/DCS/HClを温度760℃で約160分間用いる窒化物蒸着を含み得る。特定の実施形態では、窒化物層212は1625ű150Åの厚さを有する。
【0027】
図2Cに示すように、窒化物層212の上にフォトレジストマスク214が形成される。フォトレジストマスク214は、NMOSデバイスを形成することになる領域の上が開口216になるようにパターニングされ得る。フォトレジストマスク214は、PMOSデバイスを形成することになる領域を覆う。次いで、エッチングを行って、基板206の一部を取り除けばよい。このエッチングプロセスは、埋め込み層204に達すると停止するようになされるNMOSディープシリコンフォトエッチングプロセスを表し得る。このエッチングプロセス後にレジスト洗浄およびポリマー除去プロセスを行って、残りのフォトレジストマスク214を除去し得る。
【0028】
図2Dに示すように、基板206に対して酸化物スペーサ218が形成される。酸化物スペーサ218の形成は、この構造の上に酸化物の層(厚さ2000Åまたは3000Åの酸化物層など)を蒸着するためにスペーサ酸化物蒸着プロセスを実行することを含み得る。次いで、この酸化物の層がエッチングされて酸化物スペーサ218が形成される。このエッチングは、ウエハ202で停止するスペーサエッチバックプロセスを含み得る。あるいは、このエッチングは、埋め込み層204で停止するスペーサエッチバックプロセスを含んでいてもよく、この場合、その後エッチング(HClウェットエッチングなど)により、埋め込み層204の露出された部分を除去し、ウエハ202を露出させる。
【0029】
図2Eに示すように、ウエハ202の露出された部分の上の開口216内に、エピタキシャル蒸着プロセスを用いるなどして、エピタキシャル層220が形成される。エピタキシャル層220は、100面の面方位を有するSi0.85Ge0.15などの勾配シリコンゲルマニウムから形成し得る。エピタキシャル層220の厚さは、約3μm±0.5μmまたは約5μm±0.2μmとし得る。エピタキシャル層220は、例えば、エピタキシャル層220の上面が窒化物層212の上面よりも約2000Åだけ下にある場合などに、アンダーフィリングされ得る。エピタキシャル層220の上に、厚さが約1000Åで30Ω/cmのP−シリコンの層を成長させるなどして、キャップ222を形成し得る。
【0030】
図2Fに示すように、窒化物層212および酸化物層208、210を除去する。これは、例えば、これらの窒化物層および酸化物層を取り除いて基板206を露出させることによって行うことができる。
【0031】
図2Gに示すように、この構造の上にパッド酸化物層223a〜223bが形成され、パッド酸化物層223a〜223bの上に窒化物スタック224a〜224bが形成される。窒化物スタック224a〜224bは、窒化物層およびシリコン酸化窒化物(SiON)層を含み得る。パッド酸化物層223a〜223bの形成は、パッド酸化前洗浄プロセスと、(例えば、920℃で約40分間の乾燥酸化を用いることによる)パッド酸化プロセスと、酸化後オペレーションとを含み得る。窒化物スタック224a〜224b内の窒化物層の形成は、NH/N/DCS/HClを温度760℃で約160分間用いる窒化物蒸着を含み得る。窒化物スタック224a〜224b内のSiON層の形成は、SiONを蒸着して反射防止被覆層を形成することを含み得る。特定の実施形態では、パッド酸化物層は110ű10Åの厚さを有し、窒化物層は1625ű150Åの厚さを有し、SiON層は320ű32Åの厚さを有する。
【0032】
この構造に、トレンチ226a〜226cが任意の適切な手法を用いて形成される。例えば、この構造上にマスク(複合マスクなど)を形成し、パターニングして、トレンチ226a〜226cが形成される領域を露出させることができる。DICD(Develop Inspection Critical Dimensions)プロセスを用いてマスクを検査し、例えば、このマスクが、幅0.25μm±0.023μmの開口を有することを保証することなどによって、このマスクが適切であることを保証し得る。エッチング(複合プラズマエッチングなど)を用いて、トレンチ226a〜226c、例えば、5600ű400Åの深さを有するトレンチ、を形成し得る。次いで、例えば、HSO/HにSClを加えた溶液を5分間用いることなどによって、マスクを除去し得る。FICD(Final Inspection Critical Dimensions)プロセスを用いて、得られたトレンチ226a〜226cを検査し、例えば、トレンチの最小幅が0.22μm±0.025μmであることを保証することなどによって、これらのトレンチが適切であることを保証し得る。
【0033】
図2Hに示すように、トレンチ226a〜226cを充填してアイソレーショントレンチが形成される。フィールド前洗浄プロセスを実施することができ、各トレンチ内にトレンチライナを形成し得る。例えば、このトレンチライナは、シリコン228(400Åまたは600Åのシリコンなど)の選択的蒸着を用いた後に、トレンチライナ酸化物230を形成することによって形成し得る。トレンチライナ酸化物230は、インサイチュ蒸気生成(ISSG)を用いて厚さが200ű20Åの熱酸化物の層を形成することによって形成し得る。ライナ酸化物洗浄オペレーションの後、トレンチをアニールしてもよいし、しなくてもよい。この構造の上に酸化物層232が形成され、これが、トレンチ226a〜226cの残りを充填する。酸化物層232は、例えば、高密度プラズマ(HDP)STI酸化物蒸着プロセスを用いて形成し得る。洗浄プロセスと、場合によっては急速熱アニール(RTA)とを行うことができる。酸化物層232は、5976ű426Åの厚さを有し得る。ここでトレンチライナを用いると、接合漏れが少なくなり、酸化物層232の酸化物品質の向上の助けとなり得る。
【0034】
図2Iに示すように、酸化物層232の上に反転マスク234が形成され、パターニングされて、開口236、238が形成される。次いで、反転マスク234の下の酸化物層232がエッチングされる。反転マスク234は、例えば、反転マスクと反転マスクの重ね合わせを用い、反転マスクをエッチングし、250℃で70秒間反転マスクをアッシングすることによって形成し得る。このエッチング後、反転マスク洗浄の間に反転マスク234を除去し得、この洗浄では、HSO/HにSClを加えた溶液を10分間用いることができる。
【0035】
図2Jに示すように、反転マスク234および酸化物層232の、窒化物スタック224a、224bの上に残っている部分が除去される。この処理は、化学機械研磨(CMP)オペレーションを用いることを含み得る。トレンチ226a〜226c内に酸化物層232の一部が残る。酸化物層232のこの部分は4000ű400Åの厚さを有し得る。
【0036】
図2Kに示すように、窒化物スタック224a〜224bおよびパッド酸化物層223a〜223bが除去される。これは、例えば、オープンマスクを形成し硬化させ、次いで、オープンマスクエッチングを実施することによって行うことができる。このエッチングは、2.5分間の緩衝酸化物エッチング(BOE)および10分間のHSO/HにSClを加えたものを用いるウェットエッチングを行ってSiON層を除去することを含み得る。窒化物層は、1.5分間のHFを用いるウェットエッチングおよび10分間のHPOにSClを加えたものを用いるウェットエッチングを用いて除去し得る。パッド酸化物を取り除くことによってパッド酸化物層を除去し得、これにより、構造上に極めて薄い(例えば80ű50Åの)酸化物が残ることもあるし、残らないこともある。この構造の上にゲート酸化物層240a〜240bを形成し得る。ゲート酸化物層240a〜240bは、例えば、120A蒸気プロセスを用いて形成し得る。
【0037】
この時点で、図2Kに示す構造の第1の領域242にPMOSデバイスを形成することができ、図2Kに示す構造の第2の領域244にNMOSデバイスを形成することができる。第1の領域242は、正孔移動度を改善し得る第1の面方位(110面の面方位など)を有する基板材料を含む。第2の領域244は、電子移動度を改善するエピタキシャル材料(SiGeなど)を含み、第2の面方位(100面の面方位など)を有し得る。これらのPMOSおよびNMOSデバイスは、例えば標準のCMOSプロセスを用いて形成し得る。
【0038】
SOI(Semiconductor-on-insulator)構造を用いると、熱放散の問題が生じ得ることに留意されたい。しかし、この問題は、例えば、構成要素を注意深くレイアウトすることによって、または、ウエハ202に熱が直接放散される伝導ストライプを用いることによって大きく軽減されるか、または全くなくなる。
【0039】
また、基板誘起歪みを利用して、形成されるNMOSデバイスの移動度を変えることができることにも留意されたい。基板誘起歪みは、エピタキシャル層220およびキャップ222を用いて生じさせることができる。エピタキシャル層220は、キャップ222に用いるシリコン又は他の材料と適合性がある歪み層を表し得る。そのため、エピタキシャル層220は、キャップ222の格子間隔を増加または低減させることができ、キャップ222は、エピタキシャル層220を形成するために用いる材料に依って引張または圧縮のいずれかの状態になる。NMOSデバイスのソースおよびドレインはキャップ222内に形成することができ、キャップ222の引張または圧縮は、そのNMOSデバイスの動作に影響を及ぼすことがある。
【0040】
さらに、PMOSおよびNMOSデバイスを形成するために用いられる後続のCMOS処理ステップに注目すると、サーマルバジェット、ゲルマニウム含有量、およびキャップの厚さが増加するにつれて歪みの軽減が大きくなる。エピタキシャル層220およびキャップ222は、酸化物成長または活性化アニールなどの後続のオペレーションの間高温に曝されることがある。いくつかの実施形態では、エピタキシャル層220およびキャップ222を形成した後のサーマルサイクルをいずれも1000℃未満に維持し、かつ、その時間を最小限にすることができ、ISSGや急速熱処理(RTP)などの手法をいつでも可能なときに用いることができる。
【0041】
さらに、このアプローチを実施する特定のデバイスを形成するときに以下のことを考慮してもよい。集積回路において、図2Kに示す構造の領域242〜244に形成されるPMOSおよびNMOSデバイスに加えて標準のCMOSトランジスタが必要とされる場合、これらのトランジスタを基板206内に形成することができる。また、PMOSおよびNMOSデバイスの動作に関連する高電流および高密度のため、回路を設計する際にエレクトロマイグレーションの問題を考慮することもでき、ローカル相互接続を形成するのに使用するために(銅などの)適切な材料を選択することができる。さらに、PMOSおよびNMOSデバイスの両方に共通のゲート酸化物を使用できない場合、デュアルポリ−デュアルゲート酸化物(DP−DGO)アプローチを用いてPMOSおよびNMOSデバイスを形成することができる。
【0042】
図2A〜2Kに選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための手法の一例を示したが、図2A〜2Kには様々な変更を加えることができる。例えば、これらの図は異なる製造段階での構造の例を示しているが、この集積回路デバイスを形成するには様々な手法を用いることができる。そのため、1つまたは複数のステップを省略、改変、または再編成することができ、また、さらなるステップを追加することができる。また、図2A〜2Kに示す構造に様々な改変を加えることができる。さらに、或る構成要素は特定の材料から形成されると上記で説明したが、各構成要素は、任意の適切な材料から任意の適切な方法で形成し得る。特定の例として、エピタキシャル層220ではシリコンゲルマニウムを使用すると説明したが、他の材料(GaN、GaAs、SiC、AlN、またはダイヤモンドなど)を用いることができる。また、これらの構成要素の相対的なサイズおよび形状も単なる例示のためである。
【0043】
図3A〜3Gに、本開示に従った集積回路デバイスにおける欠陥に関する例示の詳細を示す。図3A〜3Gに示す詳細は、単なる例示のためである。他の集積回路は、本開示の範囲を逸脱することなく、異なる欠陥特性を有し得る。
【0044】
図3Aに、集積回路デバイスにおいて、図2Kに示す構造の領域244などに実装されるNMOSデバイスの断面図を示す。図3Bに、同じNMOSデバイスの長手方向の図を示す。これらの図に示すように、このNMOSデバイスは、緩和したSi0.85Ge0.15エピタキシャル層を覆う70nmの歪みシリコンキャップを用いて実装されている。ミスフィット転位は、トランジスタデバイスで生じ得る一般的な欠陥である。図3Aに示すように、ミスフィット転位は、Si0.85Ge0.15エピタキシャル層に形成されることがある。図3Bに示すように、一連のミスフィット転位がNMOSデバイスの長さに沿って形成されることがある。
【0045】
図3Cは、標準のNMOSデバイスにおけるミスフィット転位302の影響を示す。ここで、ミスフィット転位302により、材料が周囲の基板に一層拡散し、そのため、トランジスタのソースおよびドレイン領域に水平ピーク304〜306が形成される。これらのピーク304〜306のせいで、トランジスタにおける接合漏れがより大きくなる。これに対して、図3Dは、緩和したSi0.85Ge0.15エピタキシャル層の上の70nmの歪みシリコンキャップに形成されるNMOSデバイスにおけるミスフィット転位352の影響を示す。図3Dに示すように、水平ピーク354〜356が、やはり、トランジスタのソースおよびドレイン領域に形成されることがあるが、これらのピーク354〜356は、図3Cのピークよりも小さく、かつ、一層離れている。その結果、図3Dに示すトランジスタの接合漏れはより小さくなる。
【0046】
図3Eに示すように、エピタキシャル層内のゲルマニウム濃度とシリコンキャップの厚さとの関係は、異なる接合漏れに関連した異なる領域にマッピングすることができる。図3Eの白丸は漏れ電流が小さいことを表し、図3Eの黒丸は漏れ電流が過大であることを表す。図示するように、所望の漏れ電流のレベルまたは範囲が得られるように、特定のNMOS設計についてシリコンキャップの厚さおよびエピタキシャル層のゲルマニウム濃度を選択することが可能である。キャップ内で異なる材料を、或いはエピタキシャル層内で異なる材料を用いるデバイスについても、同じタイプのチャートを描くことができることに留意されたい。
【0047】
図3Bに戻り、隣接するミスフィット転位間の距離をγで示すことができる。この距離γは、ゲルマニウム濃度、シリコンキャップの厚さ、サーマルバジェットなど、様々な因子の影響を受ける。図3Fに、所与のゲルマニウム濃度、所与のシリコンキャップの厚さ、所与のサーマルバジェットに対して、距離γを特徴付ける1つの可能なやり方を示す。このやり方では、ウエハ上に複数のアイランド350(それぞれシリコンキャップで覆われるSiGeエピタキシャル層を表す)を形成することができる。これらのアイランド350は、ウエハの横へ一定の幅と可変の間隔を有し、また、これらのアイランド350は、ウエハの下へ可変の幅と一定の間隔を有する。製造後、暗視野照明などを用いてこれらのアイランド350を光学的に検査して、ミスフィット転位の数が最小限となる特定のサイズと間隔の組合せを見つけることができる。このようにして、所与のゲルマニウム濃度/シリコンキャップの厚さ/サーマルバジェットの組合せについて、サイズと間隔の最良の組合せを見つけることができる。これを、異なるゲルマニウム濃度/シリコンキャップの厚さ/サーマルバジェットの組合せについて繰り返すことができる。
【0048】
所与の実装について距離γが決まると、図3Gに示すように回路をレイアウトすることができる。図3Gでは、複数のトランジスタ380は、ローカル相互接続384によって接続される複数のアイランド382を用いて形成される。これらのアイランド382はそれぞれ、先に求められた距離γに等しい、長さおよび幅寸法を有し得る。理想的には、こうすることが、これらのトランジスタ380におけるミスフィット転位が最小限となるかまたは全くなくなる助けになり得る。
【0049】
図3A〜3Gに集積回路デバイスにおける欠陥に関する例示の詳細を示したが、図3A〜3Gには様々な変更を加えることができる。例えば、他の手法を用いて許容可能な距離γを見つけることができる。また、他の任意の適切な方法でトランジスタ380を形成することもできる。
【0050】
図4に、本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて形成されるトランジスタデバイスを有する回路400の例を示す。図4に示す回路400の実施形態は、単なる例示のためである。
【0051】
この特定の例では、回路400は、パルス幅変調(PWM)コントローラ402、ドライバ404、および2つのトランジスタ406、408を有するバックレギュレータを表す。PWMコントローラ402は、一般に、調整可能なパルス幅を有する信号を出力するように動作する。この出力信号により、ドライバ404は、制御信号をトランジスタ406、408のゲートに出力する。これらの制御信号により、トランジスタ406、408が繰り返しオンオフされる。トランジスタ406に供給される制御信号のパルスは、トランジスタ408に供給される制御信号のパルスよりも遅れることがある。オンになると、トランジスタ406はインダクタ410を入力電圧VINに結合し、トランジスタ408はインダクタ410を接地に結合する。インダクタ410はコンデンサ412に結合されており、回路400は負荷用の出力電圧VOUTを生成する。Rは負荷抵抗414を示す。各トランジスタ406、408がオンオフされる時間量、ひいては出力電圧VOUTのレベルは、PWMコントローラ402が出力する信号のパルス幅によって制御される。
【0052】
PWMコントローラ402は、信号のパルス幅を制御するための任意の適切な構造、例えば同期整流PWMコントローラなど、を含む。ドライバ404は、トランジスタを駆動するための任意の適切な構造を含む。トランジスタ406、408はそれぞれ、5V+のPMOSおよびNMOSトランジスタを表し得る。トランジスタ406、408は、図1に示すように実装し得る。インダクタ410、コンデンサ412、および負荷抵抗414は、任意の適切な値を有し得る。
【0053】
特定の実施形態では、回路400は、5Vの入力電圧VINを受け取り、トランジスタ406、408のゲートを5Vで駆動し、2.45Vの出力電圧VOUTを生成する。回路400のデッドタイムは2ns、出力電流は0.5A、デューティサイクルは50%、およびコンデンサ412は1μFとし得る。回路400は、全ゲート幅を50mm、周波数範囲を1〜20MHzとするか、あるいは、10〜200mmの範囲のゲート幅、および周波数6MHzとしてもよい。
【0054】
図4に、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて形成されるトランジスタデバイスを有する回路の400の一例を示したが、図4には様々な変更を加えることができる。例えば、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて形成されるトランジスタデバイスは、任意の他の適切な回路で用いることができる。
【0055】
図5に、本開示に従って、選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成する方法500の例を示す。図5に示す方法500の実施形態は、単なる例示のためである。方法500の他の実施形態も、本開示の範囲を逸脱することなく用いることができる。
【0056】
図5に示すように、ステップ502で、SOI(Semiconductor-on-insulator)構造を製造するかまたは他の方法で調達する。このSOI構造は、第1の基板材料(p型ウエハなど)と、第2の基板材料(n型材料など)と、第1と第2の基板材料を分離する埋め込み層とを含み得る。第1および第2の基板材料は、異なる結晶面方位を有するものとし得る。例えば、第1の基板材料は100面の面方位を有し、第2の基板材料は110面の面方位を有する。
【0057】
ステップ504で、第2の基板材料の一部をSOI構造から除去する。このステップは、例えば、SOI構造をマスクし、n型基板の一部を除去して下にあるp型ウエハを露出させることを含み得る。ステップ506で、第2の基板材料が除去された領域にエピタキシャル層を蒸着させる。このステップは、例えば、p型ウエハの露出部分の上に勾配シリコンゲルマニウムエピタキシャル層を形成することを含み得る。ステップ508で、エピタキシャル層の上にキャップを形成する。このステップは、例えば、勾配シリコンゲルマニウムエピタキシャル層の上にシリコンキャップを形成することを含み得る。
【0058】
この時点で、この構造は2つの異なる領域を含む。一方の領域は元の第2の基板材料を有し、他方の領域はエピタキシャル層およびキャップを有する。ステップ510で、この構造のこれらの異なる領域が隔離される。このステップは、例えば、これらの異なる領域の周りおよび間にトレンチを形成することを含み得る。ステップ512で、これらの隔離された領域にPMOSおよびNMOSデバイスが形成される。例えば、PMOSデバイスは元の第2の基板材料を含む領域に形成し得、NMOSデバイスはエピタキシャル層およびキャップを有する領域に形成し得る。
【0059】
図5に選択的エピタキシーに関連してHOTを用いて集積回路デバイスを形成するための方法500の一例を示したが、図5には様々な変更を加えることができる。例えば、図5には一連のステップが示されているが、これらの様々なステップは、同時に行ってもよいし、並行して行ってもよく、または、異なる順序で行ってもよい。
【0060】
ここで、本明細書内で用いたある種の単語および語句の定義を説明することが有益であろう。図中の構造を参照する際に用いた「上」および「下」などの用語は、単に特定の方向から見たときのその構造の向きを指すものである。「結合」という用語およびその派生語は、2つ又はそれ以上の構成要素間の任意の直接的または間接的な連通を指し、これらの構成要素が物理的に互いに接触していてもよいし、していなくてもよい。「含む」および「含有する」という用語およびこれらの派生語は、制限なしでの包含を意味する。「または」という用語は包含的なものであり、「および/または」を意味する。「に関連する」および「それに関連する」という語句およびそれらの派生語は、「含む」、「に含まれる」、「と相互に結合する」、「包含する」、「に包含される」、「と又はで接続する」、「と通信可能である」、「と協働する」、「介挿する」、「並置する」、「に近接する」、「に又はと接合される」、「有する」、「の特性を有する」、「に又はと関係を有する」などを意味し得る。
【0061】
本開示では或る実施形態およびそれらに概ね関連する方法を説明してきたが、これらの実施形態および方法を改変したり入れ替えたりした形態が当業者には明らかであろう。したがって、実施形態の例の上記説明は、本発明を限定したり、制限したりするものではない。添付の特許請求の範囲で定義する本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の変更、置換、および改変も可能である。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5