(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記患者用インターフェイスが、マウスピース、フェイスマスク、若しくは完全密封型フェイスマスクであるか、又は前記患者用インターフェイスが、気管挿管器である、請求項1〜12のいずれか一項記載のシステム。
前記空気/酸素ガス流中の二酸化窒素の濃度を、該空気/酸素ガス流の流量を制御することによって、予め決定することを更に含む、請求項14〜17のいずれか一項記載のシステム。
前記一酸化窒素を、哺乳動物による吸入の直前に、抗酸化剤で被覆された第2の表面活性物質と接触させることを更に含む、請求項14〜21のいずれか一項記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
一酸化窒素(NO)は、ニトロシルラジカルとしても知られており、肺血管における重要なシグナル伝達分子であるフリーラジカルである。一酸化窒素(NO)は、肺動脈圧の上昇によって引き起こされる肺高血圧を緩和することができる。低濃度、例えば、1〜100ppmの範囲の一酸化窒素(NO)の吸入により、肺血管の拡張によって迅速かつ安全に、哺乳動物における肺高血圧を低下させることができる。
【0012】
一部の障害又は生理学的状態は、一酸化窒素(NO)の吸入によって仲介され得る。低濃度の吸入一酸化窒素(NO)を使用して、限定されるものではないが、急性肺血管収縮、外傷、呼吸又は気道傷害、肺における脂肪塞栓症、アシドーシス、肺の炎症、成人呼吸窮迫症候群、急性肺水腫、急性高山病、心臓手術後急性肺高血、新生児の持続性肺高血圧、周産期吸引症候群、硝子膜症(haline membrane disease)、急性肺血栓塞栓症、ヘパリン−プロタミン反応、敗血症、喘息、及び喘息重積状態、又は低酸素症を含み得る障害を防止する、逆転する、又は進行を制限することができる。一酸化窒素(NO)はまた、慢性肺高血圧、気管支肺異形成症、慢性肺血栓塞栓症、及び突発性若しくは原発性肺高血圧症、又は慢性酸素欠乏症の治療にも使用することができる。NOは、インフルエンザの治療にも使用することができる。NOは更に、肺におけるインフルエンザウイルスの複製の抑制にも使用することができる。
【0013】
一般に一酸化窒素(NO)は、吸入又は他の方法によって個人の肺に送達される。治療量のNOを提供することは、NOの吸入によって介在され得る障害又は生理学的状態を患っている患者を治療する、あるいはそのような障害又は生理学的状態における従来の治療の必要性を補う又は最小限にすることになる。
【0014】
現在、一酸化窒素(NO)吸入における文献は、NOがベンチレータによって供給される場合に、NO送達中にNO
2濃度が変動する問題を解決するための2つの解決策を開示している。第1に、従来の混合バルブによってベンチレータの上流で、NOを酸素で希釈し、混合することである。例えば、Kirmseらの文献、Chest, Vol. 113, p. 1650-1657 (1998)の
図1を参照されたい。次いで、該ベンチレータはこの予混合ガスを肺に押しやる。その結果としてNOは完全に混合され、およそ1〜4秒変動し得る一般的な呼吸の時間の間で濃度の振れはない。下側は、ガス混合物がベンチレータを通過し、ガスラインを通過して患者まで移動するのに要する時間におけるものであり、相当量のNO
2が形成され得る(NO
2形成の速度は、80ppmのNO及び90%の酸素で毎秒およそ0.14である)。NO
2は高い毒性を有するので、この方法は、一般に許容し得ない高いNO
2レベルをもたらす。しかしながら、NOは十分に混合され、一回の呼吸の期間(1〜4秒)内での濃度の勾配はない(例えば、Kirmseらの文献、Chest, Vol. 113, p. 1650-1657 (1998)、Schedinらの文献、British Journal of Anaesthesia, Vol. 82(2), p. 182-92 (1999)、Imanakaらの文献、Anesthesiology, Vol. 86(3), p. 676-88 (1997)、Nishimuraらの文献、Anesthesiology, Vol. 82(5), p. 1246-54 (1995), Foubertらの文献、Anaesthesia, Vol. 54(3), p. 220-225 (1999)を参照)。
【0015】
第2の方法は、現在使用されているものであり、コンピュータ制御を用いてベンチレータ後にNOガスを注入することである(例えば、米国特許番号第5,373,693号、第5,558,083号、第5,732,694号、第5,752,504号、第6,089,229号、第6,109,260号、第6,125,846号、第6,164,276号、第6,581,592号を参照されたい)。該参考文献は、瞬間的な空気の流量を熱線風速計又は他の非常に速い空気流の測定装置で測定すること、及びこのシグナルをコンピュータに送ることを開示している。次いで、コンピュータは、窒素中のNO(典型的には800ppm)を含むガスボンベからNOガスを、患者に向かっている空気/酸素ガス流に注入するバルブのタイミングを計算する。患者が呼息しているときには、バルブは閉じており、患者が吸入しているときに、次第にNOガスがサーキット内に向かい、呼吸周期の間に一定濃度のNOガスが患者に送達されるようにし、かつそれを達成するようにする。
【0016】
したがって、吸入されたNOガスを送達するための現在認可された装置及び方法は、複雑な機器及び注意深い操作を必要とする。NO送達システムは、その送達機構においてNO
2が存在しないことを保証するためにパージする必要がある。NOガスは重いガスボンベ中に、窒素とともに、かつ微量の酸素も含まずに貯蔵される。その場合でも、NO
2不純物はNO濃度の1%も高い場合があり、この不純物を取り除くことも、これがNOとともに患者に到達するのを防ぐこともできるものではない(80ppmでは、1%の不純物は、この供給源から0.8ppmのNO
2で存在し得る)。NOガスは、そのタイミング順序がマイクロプロセッサで制御されており、かつ患者に送達されている空気/酸素流量の瞬時の測定を必要とする特殊な注入器によって、患者へ送達されている空気/酸素ガス混合物と混合される。NO
2は高い毒性を有するので、混合及び送達工程間にNOの二酸化窒素(NO
2)への酸化を最小化するために、この機器の全てが必要である。そのセンサ及び電子機器が適切に作動していることを保証するために、NO
2の監視も必要である。酸素分析器は、患者に送達されているガスが常に21%より多い酸素を有することを保証するのに必要である。またNO検出器も、NO濃度を監視するために使用される。該機器はまた、送達サーキット中のNO
2の形成を最小化するために、できるだけ早くにNO混合物を肺に届ける必要がある。そうであっても、80ppmのNO及び高い酸素含有量で、およそ2〜3ppm(以上)のNO
2が生成される。典型的に、注入時点は、空気/酸素の流れにまでに、通常800ppmの高濃度のNOによってNO
2のほとんどが形成される場所である。NOリッチなミセルが該空気/酸素と混合し、該ミセル境界でほとんどのNO
2が形成される。この非常に迅速なNO
2形成の理由は、NOと酸素との反応速度がNOの2乗及び酸素の1乗に比例することにある。
【0017】
NO
2の形成を最小限に抑えるための適切な混合を行うのに十分な時間をNOは有していないので、呼吸の過程でNOの濃度勾配が生じ、これは不可避であると考えられる。例えば、毎分20リットル(平均)の流れの単一パルスの過程で、肺への流量は、例えば、毎分60リットルから0まで変動し得る。いくつかの場合において、該変動は毎分120リットルから0までとなり得る。該導入が瞬時の酸素/空気流に基づいてコンピュータ制御される代わりに、一定流量のNOがこの流れに導入される場合、NOの濃度は単一の呼吸の過程で、数百ppmのNOから0まで大きく変動すると予想され、これは明らかに許容されないものであろう。
【0018】
本明細書中に開示される送達装置は、酸素又は空気でおよそ800ppm〜2000ppmに希釈されたNO
2を含むガスボンベ、又はN
2O
4が気化してNO
2を生成する純粋なN
2O
4を含む液体供給源の2つのNO
2供給源の1つを使用する。いずれの場合も、NO
2ガスが空気/酸素ガス流に導入される。NO
2が導入される場合、NO
2形成については問題ない。一実施態様において、適切な平均濃度でNO
2を含む空気/酸素ガス流は、次いで混合され、NO
2をNOに変換してNOガスを生成することによってNOを生成するためのカートリッジに通される。次いで、NO含有空気流は、患者による吸入の直前で第2のカートリッジを通過する。該第2のカートリッジの主な目的は、第1のカートリッジ後のガスライン中で形成され得るNO
2を除去することである。該第2のカートリッジの二次的な使用は、第1のカートリッジの操作上で不具合がある場合に、該第1のカートリッジに100%のリダンダンシーを与える。ガスボンベ及び液体供給源プラットフォームのどちらも、高度な電子機器、コンピュータ、患者に向かう瞬時の空気/酸素流の測定、注入バルブの迅速な動作、並びにNO
2及び酸素の監視機器を必要としない。加えて、該送達装置は、使用が容易であり、どんな専門的な訓練も必要としない。一実施態様によると、NO送達装置は液体N
2O
4供給源を使用し、該供給源は、1回限りの使用又は典型的には1〜24時間以上の短期間の治療のためにコーラ缶のサイズである。典型的な使用は、患者がNOガスから離脱する場合に、NO濃度を時間をかけて0まで低下させることを含む。一実施態様において、該NO送達装置は、わずか4gの液体N
2O
4(又は2.5mL未満)供給源から、例えば、平均流量15L/分の80ppmのNOで24時間、NOを送達することができる。別の実施態様において、該NO送達装置は、酸素又は空気中に1000ppmのNO
2を含むガスボンベである。
【0019】
NO
2供給源として、四酸化二窒素(N
20
4)とも呼ばれる液体二酸化窒素(NO
2)の使用を含むシステムが記載される。一実施態様において、該システムは、加熱されるリザーバに液体N
2O
4を貯蔵することによって作動する。N
2O
4はおよそ21℃で沸騰する。液体リザーバが加熱されると、圧力が上昇する。31℃のときリザーバ内の圧力は、周囲を上回るおよそ1気圧である。51℃まで加熱すると、リザーバ内の圧力は、およそ4気圧まで上昇する。これは、NO
2蒸気をリザーバから追い出し、制限(オリフィス)を通り、空気又は酸素流に入らせるのに十分である。空気又は酸素ガス流中の濃度は、空気又は酸素流の流量、並びにリザーバの温度及びN
2O
4リザーバのオリフィスのサイズに依存する。別の実施態様において、本明細書中に記載されたシステムは、NO
2供給源として、酸素又は空気中におよそ800ppm〜2000ppmに希釈されたNO
2を含むガスボンベの使用を含み得る。
【0020】
この装置は、空気流へのNO
2の一定流を発生させるのに理想的であるが、毎分10〜30パルス(呼吸)の典型的な頻度で、空気を肺に拍動するベンチレータに接続される場合の有用性については、これまで検討されていない。
【0021】
図1に示されているように、液体貯蔵型のNO送達システムは、加熱されるリザーバ101を含む。一般に、リザーバ101は、リザーバ中の液体の量及び患者の具体的な必要性に応じて、数時間から1日以上の連続使用のNOを供給する。一実施形態において、リザーバ101は、カートリッジ108によってNOに変換されるNO
2の治療量を貯蔵する。治療量のNOは、必要な濃度に希釈される。様々な実施態様において、リザーバ101は、数十ミリグラムから数十グラムの液体N
2O
4を保持するサイズである。短期間の治療の場合は、リザーバ101は、数ミリグラムのN
2O
4を保持するサイズにすることができる。例えば、リザーバ101は、およそ30mgのN
2O
4(101)を保持するサイズとすることができ、これは、20ppmのNOを15L/分で60分間供給できるであろう。長期間の適用では、リザーバ101は、長期間の使用、例えば、数日から1週間のために、10g以上のN
2O
4を保持できるサイズにすることができる。例えば、およそ7gのN
2O
4を含むリザーバは、20L/分で7日間、20ppmのNOを供給することができる。他の実施形態において、リザーバ101は、1ml未満、2ml未満、3ml未満、4ml未満、5ml未満、又は10ml未満の液体N
2O
4を保持するサイズである。別の実施態様において、液体リザーバ及びその加熱される構成成分101〜104及び112は、空気又は酸素中にNO
2を含む加圧されたガスボンベで置き換えられる。ガスボンベを出る流れは、該ガスボンベに取付けられた圧力レギュレータによって、及び/又は微調整バルブによって制御され得る。ガスボンベ中のNO
2の濃度は、典型的に800〜2000ppmの範囲である。
【0022】
一実施形態において、リザーバ101は、1g(約0.7ml)のN
2O
4(102)を含むことができる。リザーバ101は、非常に小さい口径の小さいオリフィス又は管103に取り付けることができる。リザーバ101及び管103は、絶縁材によって覆うことができる。N
2O
4はおよそ21℃で沸騰するので、リザーバ内の圧力は、例えば、30℃で約15psi(約0.10MPa)、40℃で約30psi(約0.21MPa)、50℃で約60psi(約0.41MPa)であろう。ガスボンベとともに使用するための従来の機構である、装置内のガスの圧力を制御するガスレギュレーターの代わりに、該装置内の圧力が正確に制御されるように温度を制御してもよい。一実施態様において、加熱要素112がリザーバに取付けられ、温度を制御するのに使用される。別の実施態様において、小型のマイクロプロセッサを使用して、該装置内の圧力及びNO
2の放出を正確に制御するように、適切な温度を選択することができる。一実施態様において、要素101〜104及び112を含む全液体システムは、NO
2蒸気だけが空気/酸素流に導入されるように、完全に温度制御されていなければならない。
【0023】
ガスが蒸発すると、1つのN
2O
4分子が、2つのNO
2分子になる。あるいは、NO
2の既知の物理的ガス性質を使用すると、約3〜4μmの臨界オリフィス口径では、NO
2は、約0.16ml/分で漏出するであろう。この0.16ml/分のNO
2が、2L/分のガス流中に希釈される場合、得られる濃度は、80ppm(100万分の1)となる。例えば、口径が25μmで、長さが約20インチ(約50.8cm)の水晶管103を使用することで、同じ結果を達成することができる。
【0024】
リザーバ101内の圧力は、温度を制御することによって極めて正確に制御することができる。該リザーバからの流量Qは、差圧、及び管の直径の4乗に比例し、かつ管の長さに反比例する。この等式を本適用について試験した。
【数1】
【0025】
移動式の使用の一実施形態において、小型のオン/オフバルブ104がリザーバと微調整バルブの間に挿入され得る。別の実施態様において、チェックバルブを使用して、該チェックバルブのバネへの圧力が、周囲温度で該バルブがしっかりと密閉されていることを確保するようにする。該バルブは、可変サイズの孔、又は単純なニードルバルブとして動作することができる。一実施態様において、小型のマイクロプロセッサを使用して、該バルブの設定を選択することができる。別の実施態様において、石英管を使用して流れを制御し、かつ温度のみを変化させることで、全ての変動を制御する。このシステムは、バルブを有さず、既知の温度に加熱されるリザーバ、及び微細管だけを有する極めて単純な装置となるであろう。該装置は、リザーバを加熱すること、及び管を所望の長さに切断することによって達成することができる。
【0026】
この装置は、空気/酸素ガス流が毎分15〜30パルス(呼吸)の典型的な頻度で患者の肺に拍動されるベンチレータとともに作動するように設計される。加熱されたN
2O
4供給源は、正確に制御された量のNO
2を、ベンチレータを出た空気/酸素流に漏出することができる。一実施態様において、ガスは次いで、適切な混合を確実にするために、ガス混合器107を通過される。次いで該ガスは、抗酸化剤の水溶液で飽和された表面活性物質を含む容器108を通過する。一実施態様において、該容器は、NO
2をNOに変換することによってNOを生成するカートリッジであり得る。NO発生カートリッジとも呼ばれる該カートリッジは、入口と出口を備える。ベンチレータとの使用のために、数インチより少ない水の、非常に低い圧力損失を有するように設計される。この実行能力を有するカートリッジは、GeNO LLC社によって製造される。これらのカートリッジは、抗酸化剤の飽和水溶液に浸漬されて被覆された表面活性物質を含む。該抗酸化剤は、アスコルビン酸、αトコフェロール、又はγトコフェロールなどの還元剤であり得る。該表面活性物質は、シリカゲルであり得る。
【0027】
別の実施態様において、NOガスは、第1の容器から、典型的にガス接続以外は前者と同一の第2の容器109へと移動することができる。該第2の容器は、患者に送達される前に全てのNO
2がNOに変換されることを確実にするために使用される、任意の安全装置となり得る。該第2の容器の機能は、第1の容器と同じであり、第1の容器がNO
2をNOに変換し損ねた場合のバックアップとしての役割を果たす。次いで、混合物は、患者用インターフェイス111に直接流れる。該患者用インターフェイスは、マウスピース、フェイスマスク、又は完全密封型フェイスマスクであり得る。該第2の容器は、ガスライン中に存在するいかなるNO
2もNOに変換するので、ガス流が遅滞される場合でも、患者へのガス流中のNO
2濃度は常に0である。
【0028】
別の実施態様において、NOガスは、容器107からNOセンサに移動することができる。NOセンサは、NOガスが流れていることを保証するのに使用される任意の安全装置であり得る。
図1に示されたシステムは、NO
2モニタを任意に含むことができるが、これは、患者に送達されているガスのNO
2濃度が典型的に0であるので不要である。
【0029】
更なる実施態様において、NOガスを送達するシステムは、軽量、携帯、移動式のNOを空気で送達する装置に使用することができる。該装置は、小型のバッテリー駆動型のポンプによって、又は患者の吸入(喫煙と同様)によって駆動され、かつ重いガスボンベ、高度な電子機器、又は監視機器を必要としない、自給式の携帯型システムであり得る。更に、該送達装置は、個人がNO治療を自己投与することを可能にする。該NO送達装置はまた、軽量、小型、及び携帯可能である。あるいは、該NO送達装置は、より大きな装置であるが、それでも長期に渡ってNOを送達することができる携帯型装置であり得る。該移動式システムは、NO
2が該移動式装置自身の内部の空気流に導入された直後に、NO
2が完全に混合するように混合容積を含むことができる。
【0030】
そのような移動式システムは、該携帯装置の有用寿命を延長させるコンサーバを更に含むことができる。コンサーバは、吸入周期を感知し、NO
2ガスのガス流を提供するが、呼息行為の間は該流れを停止する。そのようなコンサーバは、携帯NOガスボンベの寿命を倍増させ、かつ各呼吸の期間に一定濃度のNOを提供することができる。携帯システム用のコンサーバは、以下から市販されている:例えば、Bonsai OxyPneumatic Conserverの商標名で公知のPulmolab Medical Supplies社製のもの、Precision Medical社のEasyPulse5 O
2 Conserving Regulator、アラームを有する若しくはそれを有さないLotus Electronic Oxygen Conserver、Oxymatic Electronic Every Breath 400シリーズConserver、Oxymatic Electronic Every Breath 400シリーズConserver Adjustable、Sage S.M.A.R.T. Therapy、Salter O
2 Express Pneumatic Conserver、Salter 0
2 Express Pneumatic Conserver安全-Tバック付き、Sequoia Electronic Alternate Breath Conserver、又はSequoia Electronic Every Breath Conserver。他のコンサーバは、患者の吸気努力を検出すること、及び吸気の初期部の間にガス流を提供することによって、患者にNO
2を送達するように構成された、電子式需要パルス投与(Electronic Demand Pulsed-Dose)送達システムを含み得る。患者が呼吸を開始すると、カニューレ先端が流れを感知し、電磁弁が開き、勢いある酸素が患者に迅速に送達される。該勢い又は流れの大きさは、異なる製造業者間で変動し得る。パルス投与システムは、NO治療間の流量計に取って代わり得るものであり、ガス供給源に取付けることができる。ほとんどの装置において、操作者は、ガス流及び操作モード(パルス流又は連続流のいずれか)を選択することができる。バッテリー駆動の流体バルブを、ガス又は液体NO
2供給源に取付けて、該システムを操作することができる。
【実施例】
【0031】
(実施例)
ベンチレータ(Biomed社Crossvent 4+)を出る空気/酸素流に、NO
2を直接注入した。1回換気量を1:2のI:Eで毎分20回の呼吸で1000mLに設定して、60L/分のピーク流量を有する20L/分の流量を達成した。送達されているNO
2ガスの量は、N
2O
4リザーバの温度を制御することによって、及び単純なニードルバルブによって制御した。2つのGENOカートリッジは相当な容積を有し、ガス流を混合する役割も果たす。高速の化学発光検出器を使用して、NO応答を監視した。該NO検出器は、出願人自ら設計したものである。NO化学発光検出器は、TEAニトロソアミン分析器の一部から構築した。これは、真空ポンプによる圧力10mmHgで操作するオゾン-サンプルリアクターから構成される。オゾンとサンプルを、冷却した光電子増倍管の前のオゾン反応器で混合した。該光電子増倍管の応答を、NO濃度の測定値とした。該高速の鍵となったのは、真空下で操作すること、及びTEA分析器から取得した高速増幅器を有することであった。該機器の応答時間は、10ミリ秒であると決定付けられた。
【0032】
単一呼吸の過程での時間に対するNOシグナルの摂動を2つの事象について比較した(
図2参照)。圧力パルスのタイミングは、圧力変換器によって測定され、一番下の線で示される。第1に、酸素中のNO
2の事前混合条件についての化学発光NO分析器の応答は、上から2番目の線(青)で示される。ガスは事前に混合されているので、示されているパルスは化学発光検出器におけるベンチレータの圧力パルスの影響を表しており、実際の濃度の勾配を反映したものではない。第2に、ベンチレータの下流であって、2つのアルコルビン酸カートリッジの後に、一定流量で導入されているNO
2に対する化学発光分析器の応答が、そのページの最上の線(赤)で示される。該2つの線の生データを互いに引き算し、その差を上から3番目の線(黒)として示す。該データの全ては80ppmで取得され、図には、明瞭さのためだけに補正値を示す。減算された線は、NO 10ppmのピーク間ノイズを有する。平均からの差は、+7ppm(+8.8%)及び-3ppm(-3.8%)であり、これは80ppmのとき、そのピークが87及び下で77ppmであることを意味する。これは、FDA指針書が平均NOレベルの+150%から0までの変動を許容と見なしていることに対してはるかに優れている。該装置の応答時間を電気的に170ミリ秒まで速度を落とした場合、事前混合及びベンチレータ後の線は、摂動を示さなかった。およそ30秒の時定数を用いて化学発光検出器PrinterNOxを使用すると、差は観察されなかった。
【0033】
ブタを用いた予備の動物実験に、該システムを使用した。麻酔動物を、本明細書中に記載したNO送達システムに接続されたCrossvent 4+ベンチレータ(Bio-Med Devices社)に置いた。このベンチレータとともに、医療用空気-酸素ガス混合器によって空気と酸素とを、該ベンチレータに先立って混合した。肺の低酸素血の誘発に先立って、該ブタを30分間安定化した。該肺の低酸素血は、酸素の吸気濃度を30%の正常酸素圧レベルから15%に低下させることによって誘発した。特定用量の吸入によるNO療法での治療に先立って、低酸素をおよそ10〜15分間維持した。本明細書に記載したGeNOシステムによって、1、5、20又は80ppmのいずれかで10〜15分間、NOを送達した。ベンチレータが吸入の直前のNOの生成ために正確なNO
2濃度をアルコルビン酸カートリッジに送達するように、NO
2の流れを導入すること及び空気/酸素混合器を調整することによって、所望のNO用量を送達した。NO及びNO
2の吸気濃度は、支流で250ml/分で電気化学的ガス分析器(PrinterNox、Micro Medical Limited社、ケント、英国)に移動させることによって連続的に監視した。NOによる各治療の後、少なくとも30分間、FIO
2を30%に戻した。
【0034】
ブタの低酸素血によって誘発された平均肺動脈圧(mPAP)に対する、GeNOアスコルビン酸カートリッジによって生成されたNOの吸入の影響は、30%から15%への吸気酸素の低下が、mPAPをおよそ40%まで増加させたのに対し、GeNOシステムから吸入されたNOが、低酸素によって誘発されたmPAPの上昇を顕著に低下させることを示した。30%から15%への吸気酸素の低下は、PVRをおよそ30%まで増加させたが、一方でGeNOシステムを介した吸入NOの送達は、PVR上昇を誘発したこの低酸素血を、ほぼベースラインの状態まで低下させた。全身血管抵抗(SVR)及び平均動脈圧(MAP)は、低酸素血の誘発と吸入NOの送達のどちらにもあまり影響されなかった。これらのインビボ実験を通して、目立ったNO
2の送達はなかった。80ppmのときでさえ、NO
2レベルは機器の検出限界である0.05ppm未満であった。
【0035】
上記の様々な実施態様は例示のみのために提供され、請求する発明を制限すると解釈されるべきではない。当業者であれば、本明細書に例示されかつ記載された例示的実施態様及び適用に従うことなく、かつ以下の特許請求の範囲で規定される請求する発明の精神及び範囲を逸脱することなく、請求した発明になされ得る種々の改良及び変更を容易に認識することができるであろう。