(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965850
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】フロア用水性接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 131/04 20060101AFI20160728BHJP
C09J 129/04 20060101ALI20160728BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
C09J131/04
C09J129/04
C09J11/04
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-21595(P2013-21595)
(22)【出願日】2013年2月6日
(65)【公開番号】特開2014-152212(P2014-152212A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 貢
【審査官】
松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−314496(JP,A)
【文献】
特開平10−237406(JP,A)
【文献】
特開2010−053230(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/155546(WO,A1)
【文献】
特開平10−217216(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0084739(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセトアセチル化ポリビニルアルコールを保護コロイドとした酢酸ビニル樹脂系樹脂エマルジョンと、水酸化アルミニウムと、顔料と、を必須成分とし、前記水酸化アルミニウム及び前記顔料の含有割合が、前記酢酸ビニル樹脂系樹脂エマルジョンの樹脂分100重量部に対して、それぞれ10〜200重量部、1〜50重量部であることを特徴とするフロア用水性接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質複合フロア用水性接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
木質系基板の表面に接着剤により表面化粧シートを積層してなる化粧板が知られており、フロア材、壁材、家具の素材などとして広く使用されている。木質系基板としては、無垢の単板やそれを積層した合板やランバーボード、パーティクルボード、中密度繊維板、配向性ストランドボード、ウエハーボードなどの合成木質材が、化粧シートとしては、化粧突き板、印刷が施された樹脂含浸紙、印刷が施された化粧紙などが使用される。接着剤としては、酢酸ビニル樹脂、変性酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、あるいはSBR樹脂といったエマルジョン系接着剤が単独あるいは混合して使用され、これに充填材として、小麦粉、コーンスターチ、シリカ粉、マイカ粉、炭酸カルシウムなどが添加される。
【0003】
また、表面が硬質な木質基材の表面に、接着層を介して木質薄単板が積層一体化され、接着層と木質薄単板との間には紙層が設けられている複合フロアは、基材側に、エチレン酢酸ビニル系接着剤にイソシアネート系接着剤を添加した軟質の接着剤を、さらに単板側の紙層上に、メラミン系接着剤にSBR系接着剤を添加した硬質の接着剤を使用し、キャスター付きの家具を移動させるときや家具を置いたときに凹みが生じないような木質複合フロアが知られている。
【0004】
さらに、近年では、南洋材の枯渇、資源保護のための伐採制限などにより、複合フロア等に使用するラワン等の硬質広葉樹合板の入手が困難となってきており、その代替としてファルカタやアカシア・マンギューム等の早生植林木が注目され、合板基材として使用されてきている。しかしながら、前記のような早生植林木は、生育が早く、短期間での伐採が可能であるが、一般に軽量、軟質材であるため、これらの材を使用した合板の表面に比重0.6〜0.9の木質繊維板が接着され、フロア材用の基材として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−46105
【特許文献2】特開2009−79427
【特許文献3】特開2009−274286
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように、軽量軟質材からなる合板上に硬度の高い木質繊維板を接着してフロア用基材とすることは、フロア材に要求される耐キャスター性について効果はあるものの、一般的にはこの上に木質薄単板、いわゆる突き板、などの化粧シートが酢酸ビニル樹脂系接着剤やSBR系接着剤などのエマルジョン系接着剤、尿素-メラミン樹脂系接着剤やメラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤などのホルムアルデヒド系接着剤を使用して貼り合わされている。しかしながら、ホルムアルデヒド系接着剤は、シックハウスの原因となるホルムアルデヒドを含有しているため使用が制限されている。また、エマルジョン系接着剤は固化した樹脂が軟質であるため、耐キャスター性には劣る傾向にある。
【0007】
また、前記化粧シートと前記基材の間には、化粧シートの干割れ防止や隠蔽性確保のために薄葉紙を挟み込んで接着する場合があり、これも表面硬度を下げる原因となっている。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、エマルジョン系の接着剤を使用しながらも、また薄葉紙が接着されている構造であっても、耐キャスター性に優れたフロア用の接着剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフロア用接着剤は、以下の成分を必須とする。すなわち、アセトアセチル基を有する酢酸ビニル樹脂系樹脂エマルジョンと、水酸化アルミニウムと、顔料と、を必須成分とし、前記水酸化アルミニウム及び前記顔料の含有割合が、前記アセトアセチル基を有する酢酸ビニル樹脂系樹脂エマルジョンの樹脂分100重量部に対して、それぞれ10〜200重量部、1〜50重量部であるものである。
【0010】
本発明のアセトアセチル基を有する酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を保護コロイドとして、酢酸ビニルおよび必要に応じてその他の単量体を乳化重合することによって得られるものである。乳化重合の際にアセトアセチル基を有するポリビニルアルコールを使用する、酢酸ビニルとアセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)のような単量体を共重合するなどの方法によってアセトアセチル基を導入できる。また、エチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、バーサチック酸ビニルなどの単量体を共重合してもよい。さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンやアクリル系樹脂エマルジョンなどの存在下において酢酸ビニル単独または酢酸ビニルと共重合可能な単量体を重合することも可能である。
【0011】
水酸化アルミニウムは、充填材として作用し、本発明の接着剤の硬度を増加させるものである。汎用的に使用される炭酸カルシウムでは水酸化アルミニウムに比較して接着剤の硬度が低くなる。前記水酸化アルミニウムは、中心粒径0.7〜80ミクロン、かさ密度0.2〜1.5g/cm
3であり、市販品として、ハイジライト(昭和電工(株)、登録商標)アルモリックス(巴工業(株)、商品名)などがある。その含有量は、前記アセトアセチル基を有する酢酸ビニル樹脂系樹脂エマルジョンの樹脂分100重量部に対して、10〜200重量部、好ましくは20〜100重量部である。10量部未満では本発明の接着剤を使用したフロアにおいて、耐キャスター性に劣り、200重量部を超えると塗布性や接着性に劣る。
【0012】
顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、沈降性硫酸バリウムなどの白色無機顔料で、化粧シートの隠蔽性を向上させる目的で使われ、その含有量は、前記アセトアセチル基を有する酢酸ビニル樹脂系樹脂エマルジョンの樹脂分100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは10〜30重量部である。1量部未満では本発明の接着剤を使用したフロアにおいて、隠蔽性に欠け、化粧シート美観を損ねる。また、50重量部を超えると塗布性や接着性に劣る。
【0013】
その他、組成物の保存性を向上させるための重亜硫酸ソーダやアスコルビン酸、イソシアネート化合物などの架橋剤、増粘剤、充填材、pH調整剤、粘着付与樹脂、界面活性剤、防腐剤、消泡剤、防錆剤等を必要に応じて添加してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフロア用水性接着剤を用いて製造された木質複合フロアは耐キャスター性に優れるとともに、美観の優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のフロア用水性接着剤を用いて製造された木質複合フロアの構成断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例に基づき詳細に説明する。
【0017】
アセトアセチル基を有する酢酸ビニル系樹脂エマルジョンの調製
アセトアセチル基含有ポリビニルアルコールであるゴーセファイマーZ−200(日本合成化学工業(株)、商品名)10重量部、未変性ポリビニルアルコールであるB−05(電気化学工業(株)、商品名)40重量部を水480重量部に分散し、80℃にて1時間撹拌して溶解した。その後、洒石酸の10%水溶液10重量部と、過酸化水素の1.4%水溶液10重量部を加えた後、酢酸ビニルモノマー390重量部、アセトアセトキシエチルメタクリレート20重量部、過酸化水素の1.4%水溶液40重量部を、3時間で滴下して乳化重合を行い、さらに80℃で1時間熟成することにより、アセトアセチル基を有する酢酸ビニル系樹脂エマルジョン(樹脂分46%、以下AA化酢ビ)を得た。
【実施例】
【0018】
表1に示すように、前記アセトアセチル基を有する酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)ハイジライトH-32(昭和電工(株)、中心粒径8ミクロン、かさ密度0.7g/cm
3、商品名)を、顔料として二酸化チタン(TiO
2)タイピュアR-960(デュポン、商品名)を添加混合して実施例とし、平均粒子径2μmの重質炭酸カルシウムまたはアセトアセチル基を含有しない酢酸ビニル系樹脂エマルジョンであるA−322K(固形分45%、アイカ工業株式会社製、商品名)を添加混合してなるものを比較例の水性接着剤とした。
【0019】
【表1】
【0020】
実施例、比較例の各水性接着剤組成物について、以下の試験方法に基づいて評価し、その結果を表2に示す。
【0021】
試験体の作製 ファルカタからなる5プライの9mm合板に木質繊維板が積層された12mmフロア材用基材(JAS2類相当、F☆☆☆☆)に坪量40g/m
2の針葉樹パルプからなる薄葉紙を介して各水性接着剤組成物60g/m
2・層を塗布し、厚さ0.25mmのナラ突き板を貼り合わせた。堆積時間を30分とし、その後100℃、0.5MPaで40秒間圧締した。
2類浸漬はく離 JAS特殊化粧合板の試験方法に準拠して行い、はく離の有無を確認した。
耐キャスター性 30cm×30cmにカットした試験体の表面からキャスター径50mm、荷重25kgで5000回往復し、凹み0.3mm未満を合格、0.3mm以上を不合格とした。
隠蔽性 試験体を目視にて観察し、基材が透けて見えないものを合格、透けて見えるものを不合格とした。
【0022】
【表2】
【0023】
実施例はいずれも実用上問題のない結果であった。
【符号の説明】
【0024】
1.フロア、2.突き板、3.水性接着剤、4.薄葉紙、5.フロア用基材