(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切替部は、自装置に帰属する端末装置の数が閾値未満である場合に、自装置が利用するチャネルを前記退避用のチャネルに切り替える請求項1から4の何れか一項に記載の中継装置。
前記切替部は、一定期間算出されたスループットの平均値が閾値未満である場合に、自装置が利用するチャネルを前記退避用のチャネルに切り替える請求項1から4の何れか一項に記載の中継装置。
前記通信部は、自装置が利用するチャネルが前記退避用のチャネルに切り替わった後に、スループットの平均値が閾値以上である場合、又は、端末装置から帰属要請がなされた場合に前記端末装置に変更先のチャネルを報知し、
前記切替部は、自装置が利用するチャネルを退避チャネルから前記変更先のチャネルに切り替える請求項1から6の何れか一項に記載の中継装置。
前記通信部は、自装置が利用するチャネルが前記退避用のチャネルに切り替わった後に、スループットの平均値が閾値以上である場合、又は、端末装置から帰属要請がなされた場合に前記退避用のチャネルにおいて前記端末装置との間で帰属処理を行い、前記端末装置に変更先のチャネルを通知し、
前記切替部は、自装置が利用するチャネルを前記退避用のチャネルから前記変更先のチャネルに切り替える請求項1から6の何れか一項に記載の中継装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における無線通信システムのシステム構成を示す図である。本発明の無線通信システムは、報知AP10、単数もしくは複数の通信端末11(11−1〜11−n)、被報知AP20、単数もしくは複数の通信端末21(21−1〜21−n)、被報知AP30及び単数もしくは複数の通信端末31(31−1〜31−n)を備える。また、各AP(報知AP10、被報知AP20及び被報知AP30)から電波の届く範囲をそれぞれセル12、セル22及びセル32と表す。
【0020】
報知AP10は、無線LANのアクセスポイントであり、自装置(報知AP10)に帰属する通信端末11との間で通信を行う。報知AP10は、被報知AP20及び被報知AP30との間で通信を行う。報知AP10は、例えば被報知AP20及び被報知AP30に対して退避チャネルの情報を報知する。退避チャネルは、各APが他のAPの通信に影響を与えないように各AP間で共通して使用されるチャネルである。退避チャネルは、例えばAPが自装置を低利用APであると判断した場合に当該APに使用される。低利用APは、通信端末との通信頻度が少ない、又は、スループットが低いAPを表す。低利用APは、例えば帰属端末の数が閾値未満、又は、一定期間のスループットの平均値が閾値未満のAPである。
【0021】
また、報知AP10は、チャネルボンディングにより同時に複数のチャネルを利用して通信可能である。報知AP10は、例えば同時にチャネル2つ分(40MHzの周波数帯域)を利用することにより通信を行うことができる。また、報知AP10は、例えば同時にチャネル4つ分(80MHzの周波数帯域)を利用することにより通信を行うことができる。
通信端末11は、例えばスマートフォン、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム装置、タブレット装置、ノート型パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。通信端末11は、報知AP10との間で通信を行う。
【0022】
被報知AP20は、無線LANのアクセスポイントであり、自装置(被報知AP20)に帰属する通信端末21との間で通信を行う。被報知AP20は、報知AP10の間で通信を行う。被報知AP20は、例えば報知AP10から送信された退避チャネルの情報を受信する。また、被報知AP20は、チャネルボンディングにより同時に複数のチャネルを利用して通信可能である。被報知AP20は、例えば同時にチャネル2つ分を利用することにより通信を行うことができる。また、被報知AP20は、例えば同時にチャネル4つ分を利用することにより通信を行うことができる。
通信端末21は、例えばスマートフォン、携帯電話機、PDA、携帯ゲーム装置、タブレット装置、ノート型パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。通信端末21は、被報知AP20との間で通信を行う。
【0023】
被報知AP30は、無線LANのアクセスポイントであり、自装置(被報知AP30)に帰属する通信端末31との間で通信を行う。被報知AP30は、報知AP10との間で通信を行う。被報知AP30は、例えば報知AP10から送信された退避チャネルの情報を受信する。また、被報知AP30は、チャネルボンディングにより同時に複数のチャネルを利用して通信可能である。被報知AP30は、例えば同時にチャネル2つ分を利用することにより通信を行うことができる。また、被報知AP30は、例えば同時にチャネル4つ分を利用することにより通信を行うことができる。
通信端末31は、例えばスマートフォン、携帯電話機、PDA、携帯ゲーム装置、タブレット装置、ノート型パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。通信端末21は、被報知AP30との間で通信を行う。
【0024】
なお、以下の説明では、報知AP10、被報知AP20及び被報知AP30について特に区別しない場合には、単にAPと記載する。また、以下の説明では、被報知AP20及び被報知AP30について特に区別しない場合には、単に被報知APと記載する。また、以下の説明では、通信端末11、通信端末21及び通信端末31について特に区別しない場合には、通信端末(STA、端末装置)と記載する。また、以下の説明では、APに帰属する通信端末を帰属端末と記載する。
【0025】
図2は、本実施形態におけるAPの機能構成を表す概略ブロック図である。報知AP10と被報知APとは、同様の構成を有している。また、APは、後述するAPの起動時や更新時などの処理によって報知AP10、被報知APのいずれかとして動作する。
APは、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、無線通信プログラムを実行する。無線通信プログラムの実行によって、APは、通信部101、チャネルスキャン部102、ビーコン制御部103、AP情報記憶部104、比較判定部105、設定部106、チャネル情報記憶部107、退避チャネル選択パターン設定ファイル108、選択部109、報知AP情報記憶部110、切替タイミングパターン設定ファイル111、通知パターン設定ファイル112、帰属端末記憶部113、スループット記憶部114、自AP情報記憶部115、切替116を備える装置として機能する。なお、APの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、無線通信プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、無線通信プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
【0026】
通信部101は、他のAPとの間で通信を行う。また、通信部101は、通信端末との間で通信を行う。
チャネルスキャン部102は、チャネルスキャンを行う。具体的には、チャネルスキャン部102は、定期的に全てのチャネルを遷移しながら各チャネルのビーコン信号(以下、「ビーコン」という。)を受信する。チャネルスキャン部102が行うチャネルスキャン処理には、既存の技術が適用されてもよい。
【0027】
ビーコン制御部103は、自セル内に存在するAPに対して周期的に送信されるビーコンを生成する。また、ビーコン制御部103は、自セル内に存在するAPから周期的に受信されたビーコンを解析する。例えば、ビーコン制御部103は、受信されたビーコンからAP情報を取得する。AP情報は、他のAPに関する情報を表す。AP情報は、例えば他のAPのMACアドレス、SSID(Service Set IDentifier)、使用しているチャネル、他のAPの周囲に存在するAPの台数(以下、「他AP台数」という。)などの情報である。ビーコン制御部103は、取得したAP情報をAP情報記憶部104に記録する。
【0028】
また、例えば、ビーコン制御部103は、受信されたビーコンからチャネル情報を取得する。チャネル情報は、各チャネルに関する情報を表す。チャネル情報は、例えばチャネル毎に、各チャネルを使用しているSSIDの数の情報である。ビーコン制御部103は、取得したチャネル情報をチャネル情報記憶部107に記録する。
また、例えば、ビーコン制御部103は、受信されたビーコンから退避チャネルの情報を取得する。ビーコン制御部103は、取得した退避チャネルの情報を報知AP情報記憶部110及び自AP情報記憶部115に記録する。
【0029】
AP情報記憶部104は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。AP情報記憶部104は、AP情報データベースを記憶している。
比較判定部105は、AP情報データベースを参照し、他AP台数と、自装置の周囲に存在するAPの台数(以下、「自AP台数」という。)とを比較することによって、自AP台数が他AP台数以上であるか否かを判定する。
【0030】
設定部106は、比較判定部105の判定結果に基づいて自装置の設定を行う。例えば、自AP台数が他AP台数以上である場合、設定部106は自装置を報知AP10に設定する。一方、自AP台数が他AP台数未満である場合、設定部106は自装置を被報知APに設定する。
チャネル情報記憶部107は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。チャネル情報記憶部107は、チャネル情報データベースを記憶している。
【0031】
退避チャネル選択パターン設定ファイル108は、
図9において後述する退避チャネル選択処理における設定情報を記憶する。退避チャネル選択処理は、退避チャネルを選択する処理である。設定する内容はユーザからの入力により設定可能である。本実施形態の一例では、退避チャネル選択パターン設定ファイル108は、複数の退避チャネル選択パターン毎に、各退避チャネルの選択パターンが有効であるか否かを記憶する。
【0032】
選択部109は、設定部106の設定に応じて退避チャネルを選択する。例えば、自装置が被報知APである場合、選択部109は退避チャネルの選択を行わない。一方、自装置が報知AP10である場合、選択部109は退避チャネル選択パターン設定ファイル108の設定情報に基づいて退避チャネルを選択する。
報知AP情報記憶部110は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。報知AP情報記憶部110は、報知AP情報データベースを記憶している。
【0033】
切替タイミングパターン設定ファイル111は、
図10において後述するチャネル切替判断前処理における設定情報を記憶する。チャネル切替判断前処理は、自装置が低利用APであるか否かを判断するために使用される値を取得する処理である。設定する内容はユーザからの入力により設定可能である。本実施形態の一例では、切替タイミングパターン設定ファイル111は、複数のチャネル切替タイミングパターン毎に、各チャネルの切替パターンが有効であるか否かを記憶する。
【0034】
通知パターン設定ファイル112は、
図12において後述する復帰処理における設定情報を記憶する。復帰処理は、APが退避チャネルに切り替えを行った後、所定の条件を満たす場合に退避チャネルから退避前のチャネルに切り替える処理である。所定の条件とは、例えば、APに対して通信端末からの帰属要請があること、又は、APの平均スループットが閾値以上であることである。平均スループットは、一定期間の間に算出された自装置と帰属端末との間の無線通信におけるスループットの平均値である。設定する内容はユーザからの入力により設定可能である。本実施形態の一例では、通知パターン設定ファイル112は、複数の移動先チャネルの通知パターン毎に、各移動先チャネルの通知パターンが有効であるか否かを記憶する。
【0035】
帰属端末記憶部113は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。帰属端末記憶部113は、帰属端末テーブルを記憶している。
スループット記憶部114は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。スループット記憶部114は、スループットテーブルを記憶している。
【0036】
自AP情報記憶部115は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。自AP情報記憶部115は、自AP情報データベースを記憶している。
切替部116は、自装置が利用するチャネルの切り替えを制御する。切替部116は、例えば切替タイミングパターン設定ファイル111の設定情報に基づいて自装置が利用するチャネルを退避チャネルに切り替える。また、切替部116は、例えば通知パターン設定ファイル112の設定情報に基づいて自装置が利用するチャネルを退避チャネルから退避前のチャネルに切り替える。
【0037】
図3は、データベースの具体例を示す図である。
図3(A)は、AP情報データベースの構成図である。AP情報データベースは、他のAPに関する情報を表すレコード40を複数有する。レコード40は、MAC_AP、SSID、チャネル及び他AP台数の各値を有する。MAC_APの値は、レコード40によって表される他のAPのMACアドレスを表す。SSIDの値は、レコード40によって表される他のAPに設定されるネットワーク識別名を表す。チャネルの値は、レコード40によって表される他のAPが利用しているチャネルを表す。他AP台数の値は、レコード40によって表される他のAPの周囲に存在するAPの台数を表す。
【0038】
図3(A)に示す例では、AP情報データベースには3つのMAC_APが存在する。これら3つのMAC_APは、“XX−XX−XX−XX−XX−X1”、“XX−XX−XX−XX−XX−X2”、“XX−XX−XX−XX−XX−X3”である。
図3(A)において、AP情報データベースの最上段の行は、MAC_APの値が“XX−XX−XX−XX−XX−X1”、SSIDの値が“SSID1”、チャネルの値が“36”、AP台数の値が“3”である。すなわち、MACアドレスが“XX−XX−XX−XX−XX−X1”である他のAPは、SSIDが“SSID1”であり、使用しているチャネルが“36ch”であり、周囲に存在するAPの台数が“3台”であることが表されている。
【0039】
図3(B)は、チャネル情報データベースの構成図である。チャネル情報データベースは、チャネル情報を表すレコード50を複数有する。レコード50は、チャネル、SSID数の各値を有する。チャネルの値は、レコード50によって表されるチャネル情報が取得されたチャネルを表す。SSID数の値は、レコード50によって表されるチャネル情報が取得されたチャネルを使用しているSSIDの数を表す。なお、チャネル情報データベースには、SSID数の代わりに各チャネルを使用している通信端末の数(STA数)が記録されてもよい。この場合、STA数の値は、レコード50によって表されるチャネル情報が取得されたチャネルを使用している他のAPに帰属している通信端末の数を表す。
【0040】
図3(B)に示す例では、チャネル情報データベースには複数のch(36ch〜64ch、100ch〜140ch)が存在する。
図3(B)において、チャネル情報データベースの最上段の行は、チャネルの値が“36”、SSID数の値が“1”である。すなわち、“36ch”を使用しているAPが“1台”であることが表されている。なお、本実施形態では、SSID数は、それぞれ異なるSSIDが設定されたAPであることを前提としているため、SSID数がすなわちAP数になる。
【0041】
図4は、データベースの具体例を示す図である。
図4(A)は、報知AP情報データベースの構成図である。報知AP情報データベースは、報知AP10に関する情報を表すレコードを有する。レコードは、MAC_AP、SSID、チャネル、退避チャネルの各値を有する。MAC_APの値は、報知AP10のMACアドレスを表す。SSIDの値は、報知AP10に設定されているSSIDを表す。チャネルの値は、報知AP10が使用しているチャネルを表す。退避チャネルの値は、報知AP10が選択した退避チャネルを表す。
【0042】
図4(B)は、自AP情報データベースの構成図である。自AP情報データベースは、自APに関する情報を表すレコードを有する。レコードは、退避チャネル、退避前チャネル、プライマリーチャネル、チャネルボンディング帯域幅の各値を有する。退避チャネルの値は、自APが選択又は受信した退避チャネルを表す。退避前チャネルの値は、自APが退避チャネルに切り替える前に使用していたチャネルを表す。プライマリーチャネルの値は、自APの起動時に使用していたチャネルを表す。チャネルボンディング帯域幅の値は、自APがチャネルボンディングで使用している帯域幅を表す。
図4(B)の具体例では、チャネルボンディング帯域幅の単位として“MHz(メガヘルツ)”が設定されている。
【0043】
図4(B)に示す例では、自AP情報データベースは、退避チャネルの値が“36”、退避前チャネルの値が“44”、プライマリーチャネルの値が“36”、チャネルボンディング帯域幅の値が“80”である。すなわち、自APが選択又は受信した退避チャネルが“36ch”であり、退避チャネルに切り替える前に使用していたチャネルが“44ch”であり、起動時に使用していたチャネルが“36ch”であり、チャネルボンディングにより“80MHz”の帯域幅を使用していることが表されている。
【0044】
図5は、テーブルの具体例を示す図である。
図5(A)は、帰属端末テーブルの構成図である。帰属端末記憶部113によって記憶されている帰属端末テーブルには、帰属端末数及び端末閾値が対応付けて登録されている。帰属端末数の値は、自装置に帰属する通信端末の数を表す。端末閾値の値は、自装置(自AP)が低利用APであるか否かを判断するための基準となる帰属端末の数を表す。例えば、帰属端末数が端末閾値の値未満である場合、切替部116は自APが低利用APであると判断する。端末閾値の値は、ユーザによって任意に設定された値であってもよいし、出荷時に予め設定された値であってもよい。
【0045】
図5(B)は、スループットテーブルの構成図である。スループット記憶部114によって記憶されているスループットテーブルには、平均スループット及びスループット閾値が対応付けて登録されている。平均スループットの値は、一定期間(例えば、5秒、30秒、1分、5分など)の間に算出された自装置と帰属端末との間の無線通信におけるスループットの平均値を表す。
図5(B)の具体例では、平均スループットの単位として“Mbps”が設定されている。平均スループットの値は、不図示のスループット算出部によって定期的に更新される。スループット算出部は、自装置と通信端末との間の無線通信におけるスループットを算出する。例えば、スループット算出部は、一定期間の間、算出したスループットの値から平均スループットを算出する。スループット算出部は、算出した平均スループットの値でスループットテーブルに記録されている平均スループットの値を上書きすることによって、平均スループットの値を更新する。
【0046】
スループット閾値の値は、自装置が低利用APであるか否かを判断するための基準となるスループットの値を表す。例えば、平均スループットがスループット閾値未満である場合、切替部116は自APが低利用APであると判断する。
図5(B)の具体例では、スループット閾値の単位として“Mbps”が設定されている。スループット閾値の値は、ユーザによって任意に設定された値であってもよいし、出荷時に予め設定された値であってもよい。
【0047】
図6は、ビーコン内の情報要素におけるデータ構成の一例を示す図である。
ビーコンは、フォーマットとしてElement ID、Length、Organization Identifier、Vendor-Specific-contentの各値を格納するフィールドを有する。
Vendor-Specific-contentのフィールドには、AP間の通信で送受信される情報が格納される。具体的には、Vendor-Specific-contentのフィールドには、Share channelの情報あるいは自AP台数の情報が格納される。
【0048】
Share channelの値は、報知AP10が選択した退避チャネルを表す。
例えば、報知AP10のビーコン制御部103は、退避チャネル選択処理によって選択した退避チャネルを項目Vendor-Specific-contentのフィールドに格納する。
図6に示す例では、Vendor-Specific-contentのフィールドに、退避チャネルがZであることを示す「Share channel:Z」が格納されている。その後、報知AP10の通信部101が退避チャネルの情報を格納したビーコンを自セル内の被報知APに報知することにより、被報知APは退避チャネルの情報を取得する。これにより、報知AP10と被報知APとの間で退避チャネルの情報を共有できる。
【0049】
また、各APのビーコン制御部103は、自AP台数を項目Vendor-Specific-contentのフィールドに格納する。
図6に示す例では、Vendor-Specific-contentのフィールドに、SSIDが“SSID1”のAPの周囲に存在する他のAPの台数が3であることを示す「SSID1:3AP」が格納されている。
【0050】
図7は、本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図7では、報知AP10の更新処理が行われない場合の具体例について説明する。すなわち、一度設定された報知AP10が継続して報知AP10として動作する流れについて説明する。
チャネルスキャン部102は、全てのチャネルに対し定期的にチャネルスキャンを実行する。(ステップS101)。ビーコン制御部103は、チャネルスキャンにより受信されたビーコンを解析する。具体的には、ビーコン制御部103は、退避チャネルの情報が受信されなかったか否かを判定する(ステップS102)。
【0051】
退避チャネルの情報が受信されなかった場合(ステップS102−YES)、設定部106は自装置(自AP)を報知AP10に設定する(ステップS103)。次に、選択部109は、退避チャネル選択処理を行う(ステップS104)。なお、選択部109がステップS104の処理として実行する退避チャネル選択処理については後述する。ビーコン制御部103は、報知AP情報及び選択部109によって選択された退避チャネルの情報をビーコンに格納し、通信部101を介して被報知APに報知する(ステップS105)。その後、ビーコン制御部103は、報知AP情報及び退避チャネルの情報を報知AP情報記憶部110に記録する。また、ビーコン制御部103は、選択された退避チャネルの情報を自AP情報記憶部115に記録する。
【0052】
ステップS102の処理において、退避チャネルの情報が受信された場合(ステップS102−NO)、比較判定部105は自AP台数が他AP台数以上であるか否かを判定する(ステップS106)。具体的には、まず、比較判定部105はAP情報記憶部104に記憶されているAP情報データベースを参照し、全ての他AP台数の値を取得する。次に、比較判定部105は、自AP台数と取得した他AP台数とを比較する。そして、比較判定部105は、自AP台数が他AP台数以上であるか否かを判定する。
【0053】
自AP台数が他AP台数以上である場合(ステップS106−YES)、設定部106は自装置(自AP)を報知AP10に設定する(ステップS103)。一方、自AP台数が他AP台数未満である場合(ステップS106−NO)、設定部106は自装置を被報知APに設定する(ステップS107)。その後、通信部101は、報知AP10から送信されたビーコンを受信する。ビーコン制御部103は、受信されたビーコンに格納されている報知AP情報及び退避チャネルの情報の各値を取得する(ステップS108)。ビーコン制御部103は、取得した報知AP情報及び退避チャネルの情報を報知AP情報記憶部110に記録する。また、ビーコン制御部103は、取得した退避チャネルの情報を自AP情報記憶部115に記録する。
【0054】
次に、切替部116は、チャネル切替判断前処理を行う(ステップS109)。なお、切替部116がステップS109の処理として実行するチャネル切替判断前処理については後述する。
切替部116は、チャネル切替判断前処理によって取得した値が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS110)。具体的には、チャネル切替判断前処理によって取得された値として帰属端末数が取得された場合、切替部116は帰属端末記憶部113に記憶されている帰属端末テーブルを参照し、帰属端末数が端末閾値以上であるか否かを判定する。
【0055】
また、チャネル切替判断前処理によって取得された値として平均スループットが取得された場合、切替部116はスループット記憶部114に記憶されているスループットテーブルを参照し、平均スループットがスループット閾値以上であるか否かを判定する。
判定の結果、取得された値が閾値未満である場合(ステップS110−YES)、切替部116は自AP情報データベースに記憶されている退避チャネルの値を参照し、自装置が利用するチャネルを退避チャネルに切り替える(ステップS111)。一方、取得された値が閾値未満ではない場合(ステップS110−NO)、ステップS110の処理に戻る。
【0056】
次に、所定の時間経過後、切替部116は、チャネル切替判断前処理を行い、取得された値が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS112)。チャネル切替判断前処理によって取得された値が閾値以上である場合(ステップS112−YES)、切替部116は復帰処理を行う(ステップS113)。なお、切替部116がステップS113の処理として実行する復帰処理については後述する。その後、ステップS310以降の処理が繰り返し実行される。
一方、チャネル切替判断前処理によって取得された値が閾値未満である場合(ステップS112−NO)、ステップS112の処理を繰り返し実行する。
【0057】
図8は、本実施形態における退避チャネル選択パターンの概念図である。
図8(A)は、報知AP10の選択部109がチャネルボンディングに利用されないチャネルを退避チャネルに選択するパターンを示す図である。
図8(A)に示す図では、20MHz、40MHz及び80MHz毎に利用可能なチャネルが示されている。具体的には、APが20MHzを通信に利用した場合には、利用可能なチャネルが19個あることが示されている。また、APが40MHzを通信に利用した場合には、利用可能なチャネルが9個あることが示されている。APが80MHzを通信に利用した場合には、利用可能なチャネルが4個あることが示されている。
【0058】
図8(A)に示すように、報知AP10がチャネルボンディングにより40MHzの周波数帯域を通信に利用した場合、140chがチャネルボンディングに利用されない。そこで、報知AP10は、自装置が40MHzの周波数帯域を通信に利用した場合には、チャネルボンディングに利用されない140chを退避チャネルに選択する。また、報知AP10がチャネルボンディングにより80MHzの周波数帯域を通信に利用した場合、132ch、136ch、140chの3つのチャネルがチャネルボンディングに利用されない。そこで、報知AP10は、80MHzの周波数帯域を通信に利用した場合には、チャネルボンディングに利用されない3つのチャネルの中から1つのチャネルを退避チャネルに選択する。この際、選択される退避チャネルは予め決められていてもよいし、処理が行われる度にランダムに決定されてもよいし、各チャネル(132ch、136ch、140ch)が順番に選択されてもよい。また、APによっては140chを使用できない場合がある。その場合、報知AP10は
図8(B)又は
図8(C)の何れかのパターンで退避チャネルを選択する。なお、以下の説明では、
図8(A)で示されるチャネルボンディングに利用されないチャネルを退避チャネルに選択するパターンを退避チャネル選択パターン1という。
【0059】
図8(B)は、報知AP10の選択部109がチャネルボンディングで利用されている複数のチャネルの端のチャネルを退避チャネルに選択するパターンを示す図である。
図8(B)に示すように、報知AP10がチャネルボンディングにより利用している周波数帯域を最大限利用できるように、報知AP10はチャネルボンディングで利用されている複数のチャネルの端のチャネル(例えば
図8(B)では、48ch)を退避チャネルに選択する。
【0060】
具体的には、80MHzの周波数帯域を通信に利用している場合には、報知AP10は48chを退避チャネルに選択し、36chから44chまでの60MHzの周波数帯域を利用して通信を行う。これにより、報知AP10は、チャネルボンディングにより利用している周波数帯域を最大限利用することできる。また、
図8(B)に示す例では、報知AP10が48chを退避チャネルに選択する例を示したが、これに限定される必要はない。例えば、報知AP10が80MHzの周波数帯域を通信に利用している場合には、報知AP10の選択部109は36chを退避チャネルに選択してもよいし、報知AP10がチャネルボンディングに利用している端のチャネルであればどのチャネルを退避チャネルに選択してもよい。
【0061】
例えば、報知AP10が52ch〜64chまでの80MHzの周波数帯域を通信に利用している場合、報知AP10の選択部109は52ch又は64chを退避チャネルに選択する。また、例えば、報知AP10が100ch〜112chまでの80MHzの周波数帯域を通信に利用している場合、報知AP10の選択部109は100ch又は112chを退避チャネルに選択する。また、例えば、報知AP10が116ch〜128chまでの80MHzの周波数帯域を通信に利用している場合、報知AP10の選択部109は116ch又は128chを退避チャネルに選択する。なお、以下の説明では、
図8(B)のチャネルボンディングで利用されている複数のチャネルの端のチャネルを退避チャネルに選択するパターンを退避チャネル選択パターン2という。
【0062】
図8(C)は、報知AP10の選択部109が低利用のチャネルを退避チャネルに選択するパターンを示す図である。
図8(C)に示すように、全てのチャネルが利用されている。報知AP10は、全てのチャネルに対してチャネルスキャンを実行し、受信したビーコンに含まれるチャネル情報から各チャネルを利用している、他のAPの台数、端末装置の数、自装置に帰属する他のAPの帰属端末の数を取得する。そして、報知AP10は、取得した他のAPの台数又は端末装置の数に基づいて退避チャネルを選択する。報知AP10は、例えば各チャネルを利用している端末装置の数が最も少ないチャネルを低利用チャネルとして退避チャネルに選択する。なお、以下の説明では、
図8(C)の低利用のチャネルを退避チャネルに選択するパターンを退避チャネル選択パターン3という。なお、退避チャネル選択パターン3の処理は、各チャネルを利用している端末装置の数に代えてSSIDの数が利用されてもよい。
【0063】
図9は、本実施形態における退避チャネル選択処理の流れを示すフローチャートである。
選択部109は、退避チャネル選択パターン設定ファイル108を読み込む(ステップS201)。選択部109は、退避チャネル選択パターン1が有効と設定されているか否かを判定する(ステップS202)。
退避チャネル選択パターン1が有効と設定されている場合(ステップS202−YES)、選択部109はチャネルボンディングに利用されないチャネルを退避チャネルに選択する(ステップS203)。その後、選択部109は選択した退避チャネルの情報を報知AP情報データベース及び自AP情報データベースに記録する(ステップS204)。
【0064】
ステップS202の処理において、退避チャネル選択パターン1が有効と設定されていない場合(ステップS202−NO)、選択部109は退避チャネル選択パターン2が有効と設定されているか否かを判定する(ステップS205)。
退避チャネル選択パターン2が有効と設定されている場合(ステップS205−YES)、選択部109はチャネルボンディングで利用されている複数のチャネルの端のチャネルを退避チャネルに選択する(ステップS206)。その後、選択部109は選択した退避チャネルの情報を報知AP情報データベース及び自AP情報データベースに記録する(ステップS207)。
【0065】
ステップS205の処理において、退避チャネル選択パターン2が有効と設定されていない場合(ステップS205−NO)、選択部109は退避チャネル選択パターン3が有効と設定されているか否かを判定する(ステップS208)。
退避チャネル選択パターン3が有効と設定されている場合(ステップS208−YES)、選択部109は低利用のチャネルを退避チャネルに選択する(ステップS209)。その後、選択部109は選択した退避チャネルの情報を報知AP情報データベース及び自AP情報データベースに記録する(ステップS210)。その後、処理が終了する。
ステップS208の処理において、退避チャネル選択パターン3が有効と設定されていない場合(ステップS208−NO)、処理が終了する。
【0066】
図10は、本実施形態におけるチャネル切替判断前処理の流れを示すフローチャートである。
切替部116は、切替タイミングパターン設定ファイル111を読み込む(ステップS301)。切替部116は、帰属端末数を参照するパターンが有効と設定されているか否かを判定する(ステップS302)。帰属端末数を参照するパターンが有効と設定されている場合(ステップS302−YES)、切替部116は帰属端末記憶部113に記憶されている帰属端末テーブルを読み出す。切替部116は、読み出した帰属端末テーブルに記録されている帰属端末数の値を取得する(ステップS303)。
【0067】
一方、帰属端末数を参照するパターンが有効と設定されていない場合(ステップS302−NO)、切替部116は平均スループットを参照するパターンが有効と設定されているか否かを判定する(ステップS304)。平均スループットを参照するパターンが有効と設定されている場合(ステップS304−YES)、切替部116はスループット記憶部114に記憶されているスループットテーブルを読み出す。切替部116は、読み出したスループットテーブルに記録されている平均スループットの値を取得する(ステップS305)。その後、処理を終了する。
一方、平均スループットを参照するパターンが有効と設定されていない場合(ステップS304−NO)、処理を終了する。
【0068】
図11は、本実施形態における復帰処理による移動先チャネルの通知パターンの概念図である。
図11(A)は、所定の条件により復帰処理が開始される状態を示す図である。
図11(A)に示す例では、APは退避チャネル(例えば、140ch)を利用している。通信端末がAPに対して帰属を要請するか、又は、APの平均スループットがスループット閾値以上である場合に、復帰処理が開始される。復帰処理が開始されると、通知パターン設定ファイル112に基づいて
図11(B)に示すパターン又は
図11(C)に示すパターンに移行する。
【0069】
具体的には、通知パターン設定ファイル112にCSA(Channel Switch Announcement)により移動先のチャネルを報知するパターンが有効と設定されている場合、
図11(A)から
図11(B)に示すパターンに移行する。また、通知パターン設定ファイル112に退避チャネルで一度帰属するパターンが有効と設定されている場合、
図11(A)から
図11(C)に示すパターンに移行する。
【0070】
図11(B)は、CSAにより移動先のチャネルを報知するパターンを示す図である。まず、APの通信部101は、CSAを利用して通信端末に移動先のチャネル(例えば、52ch)を報知する。この際送信されるフレームには、移動先のチャネル(例えば、52ch)とチャネルを切り替えるタイミング(切り替えタイミング)とが格納される。APの通信部101により移動先のチャネルが通信端末に報知されると、
図11(D)に移行する。
図11(C)は、退避チャネルで一度帰属するパターンを示す図である。まず、APの通信部101は、退避チャネル(例えば、140ch)で通信端末との間で帰属処理を行う。これにより、APと通信端末とは、互いに通信可能になる。その後、APの通信部101が帰属端末に対して移動先のチャネル(例えば、52ch)を通知すると
図11(D)に移行する。
【0071】
図11(D)は、移動先チャネル変更後の処理を示す図である。APは、通信端末に報知した移動先のチャネル(例えば、52ch)に切り替えを行う。具体的には、CSAにより移動先のチャネルを報知するパターン(
図11(B))からの移行である場合、APと通信端末とは略同じタイミングで、140chから52chにチャネルを切り替える。その後、APと通信端末とは、帰属処理を行う。これにより、APと帰属端末とは互いに通信可能になる。
また、退避チャネルで一度帰属するパターン(
図11(C))からの移行である場合、APは帰属端末に移動先のチャネルを通知後、自装置(自AP)が利用するチャネルを140chから52chに切り替えを行う。通信端末は、APから移動先のチャネル受信後、自装置(通信端末)が利用するチャネルを140chから52chに切り替えを行う。その後、APと通信端末とは、帰属処理を行う。これにより、APと帰属端末とは互いに通信可能になる。このように構成されることによって、APは退避チャネルに切り替えを行った後であっても、退避チャネル以外のチャネルに切り替えを行うことが可能になる。
【0072】
図12は、本実施形態における復帰処理の流れを示すフローチャートである。
切替部116は、通知パターン設定ファイル112を読み込む(ステップS401)。切替部116は、CSAにより移動先のチャネルを報知するパターンが有効と設定されているか否かを判定する(ステップS402)。CSAにより移動先のチャネルを報知するパターンが有効と設定されている場合(ステップS402−YES)、切替部116は自AP情報記憶部115に記憶されている自AP情報データベースを読み出す。次に、切替部116は、読み出した自AP情報データベースに記録されている退避前チャネルの値を取得する。そして、通信部101は、CSAを利用して取得された退避前チャネルを移動先のチャネルとして通信端末に報知する(ステップS403)。
【0073】
その後、切替部116は、通信端末に報知した切り替えタイミングで自装置が利用するチャネルを退避チャネルから退避前チャネルに切り替える(ステップS404)。その後、通信部101は、通信端末との間で帰属処理を行う(ステップS405)。
ステップS402の処理において、CSAにより移動先のチャネルを報知するパターンが有効と設定されていない場合(ステップS402−NO)、切替部116は退避チャネルで一度帰属するパターンが有効と設定されている否かを判定する(ステップS406)。
【0074】
退避チャネルで一度帰属するパターンが有効と設定されていない場合(ステップS406−NO)、処理を終了する。一方、退避チャネルで一度帰属するパターンが有効と設定されている場合(ステップS406−YES)、通信部101は通信端末との間で帰属処理を行う(ステップS407)。その後、切替部116は自AP情報記憶部115に記憶されている自AP情報データベースを読み出す。次に、切替部116は、読み出した自AP情報データベースに記録されている退避前チャネルの値を取得する。通信部101は、取得された退避前チャネルの値を帰属端末に通知する(ステップS408)。その後、切替部116は、自装置(自AP)が利用するチャネルを退避チャネルから退避前チャネルに切り替える(ステップS409)。通信部101は、通信端末との間で帰属処理を行う(ステップS410)。
【0075】
図13は、本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図13では、報知AP10の更新処理が行われる場合の具体例について説明する。
チャネルスキャン部102は、全てのチャネルに対し定期的にチャネルスキャンを実行する。(ステップS501)。ビーコン制御部103は、チャネルスキャンにより受信されたビーコンを解析する。具体的には、ビーコン制御部103は、退避チャネルの情報が受信されなかったか否かを判定する(ステップS502)。
【0076】
退避チャネルの情報が受信されなかった場合(ステップS502−YES)、設定部106は自装置(自AP)を報知AP10に設定する(ステップS503)。次に、選択部109は、退避チャネル選択処理を行う(ステップS504)。ビーコン制御部103は、報知AP情報及び選択部109によって選択された退避チャネルの情報をビーコンに格納し、通信部101を介して被報知APに報知する(ステップS505)。その後、ビーコン制御部103は、報知AP情報及び退避チャネルの情報を報知AP情報記憶部110に記録する。また、ビーコン制御部103は、選択された退避チャネルの情報を自AP情報記憶部115に記録する。
【0077】
ステップS502の処理において、退避チャネルの情報が受信された場合(ステップS502−NO)、比較判定部105は自AP台数が他AP台数以上であるか否かを判定する(ステップS506)。具体的には、まず、比較判定部105はAP情報記憶部104に記憶されているAP情報データベースを参照し、全ての他AP台数の値を取得する。次に、比較判定部105は、自AP台数と取得した全ての他AP台数とをそれぞれ比較する。そして、比較判定部105は、自AP台数が他AP台数以上であるか否かを判定する。
【0078】
自AP台数が他AP台数以上である場合(ステップS506−YES)、設定部106は自装置(自AP)を報知AP10に設定する(ステップS503)。一方、自AP台数が他AP台数未満である場合(ステップS506−NO)、設定部106は自装置を被報知APに設定する(ステップS507)。その後、通信部101は、報知AP10から送信されたビーコンを受信する。ビーコン制御部103は、受信されたビーコンに格納されている報知AP情報及び退避チャネルの情報の各値を取得する(ステップS508)。ビーコン制御部103は、取得した報知AP情報及び退避チャネルの情報を報知AP情報記憶部110に記録する。また、ビーコン制御部103は、取得した退避チャネルの情報を自AP情報記憶部115に記録する。
【0079】
次に、切替部116は、チャネル切替判断前処理を行う(ステップS509)。切替部116は、チャネル切替判断前処理によって取得した値が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS510)。具体的には、チャネル切替判断前処理によって取得した値として帰属端末数が取得された場合、切替部116は帰属端末記憶部113に記憶されている帰属端末テーブルを参照し、帰属端末数が端末閾値以上であるか否かを判定する。
【0080】
また、チャネル切替判断前処理によって取得した値として平均スループットが取得された場合、切替部116はスループット記憶部114に記憶されているスループットテーブルを参照し、平均スループットがスループット閾値以上であるか否かを判定する。
判定の結果、取得された値が閾値未満である場合(ステップS510−YES)、切替部116は自AP情報データベースに記憶されている退避チャネルの値を参照し、自装置が利用するチャネルを退避チャネルに切り替える(ステップS511)。一方、取得された値が閾値未満ではない場合(ステップS510−NO)、ステップS501の処理に戻る。
【0081】
次に、所定の時間経過後、切替部116は、チャネル切替判断前処理を行い、取得された値が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS512)。チャネル切替判断前処理によって取得された値が閾値以上である場合(ステップS512−YES)、切替部116は復帰処理を行う(ステップS513)。その後、ステップS501以降の処理が繰り返し実行される。
一方、チャネル切替判断前処理によって取得された値が閾値未満である場合(ステップS512−NO)、ステップS512の処理を繰り返し実行する。
【0082】
図14は、本実施形態における処理の動作を示すシーケンス図である。
以下の説明における無線通信システムでは、APの台数は3台(AP1、AP2及びAP3)、通信端末の台数は1台である。また、無線通信システムで実行されるチャネル切替判断前処理では、平均スループットが有効と設定されている場合について説明する。
AP1の通信部101は、周期的に自装置(AP1)の周囲に存在するAP台数(例えば、“1”)が格納されたビーコンを報知する(ステップS601)。AP3の通信部101は、周期的に自装置(AP3)の周囲に存在するAP台数(例えば、“1”)が格納されたビーコンを報知する(ステップS602)。AP2の通信部101は、周期的に自装置(AP2)の周囲に存在するAP台数(例えば、“2”)が格納されたビーコンを報知する(ステップS603)。
【0083】
各AP(AP1、AP2及びAP3)それぞれのチャネルスキャン部102は、チャネルスキャンを実行する(ステップS604)。各APそれぞれのビーコン制御部103は、チャネルスキャンの実行により他AP台数を含むビーコンを受信する。具体的には、以下の通りである。AP1のビーコン制御部103は、チャネルスキャンの実行によりAP2から送信されたビーコンに格納されているAP2のAP台数の値(例えば、“2”)を取得する。その後、AP1のビーコン制御部103は、取得したAP台数の値(例えば、“2”)をAP情報データベースに記録する。
【0084】
また、AP2のビーコン制御部103は、チャネルスキャンの実行によりAP1から送信されたビーコンに格納されているAP1のAP台数の値(例えば、“1”)を取得する。AP2のビーコン制御部103は、チャネルスキャンの実行によりAP3から送信されたビーコンに格納されているAP3のAP台数の値(例えば、“1”)を取得する。その後、AP1のビーコン制御部103は、取得した各AP台数の値(例えば、AP1のAP台数“1”及びAP3のAP台数“1”)をAP情報データベースに記録する。
また、AP3は、チャネルスキャンの実行によりAP2から送信されたビーコンを受信し、受信したビーコンに格納されているAP2のAP台数の値(例えば、“2”)を取得する。その後、AP1は、取得したAP台数の値(例えば、“2”)をAP情報データベースに記録する。
【0085】
次に、各APそれぞれの比較判定部105は、自AP台数が他AP台数以上であるか否かを判定する(ステップS605)。具体的には、以下の通りである。AP1の比較判定部105は、AP情報記憶部104に記憶されているAP情報データベースからAP2のAP台数の値(例えば、“2”)を取得する。次に、AP1の比較判定部105は、取得したAP2のAP台数(例えば、“2”)と自AP台数(例えば、“1”)とを比較する。そして、AP1の比較判定部105は、自AP台数が他AP台数以上であるか否かを判定する。AP1の比較判定部105は、判定結果を設定部106に出力する。例えば、AP1の比較判定部105は、自AP台数が“1”であり他AP台数が“2”であるため、自AP台数が他AP台数未満であることを示す判定結果を設定部106に出力する。
【0086】
また、AP2の比較判定部105は、AP情報記憶部104に記憶されているAP情報データベースからAP1のAP台数(例えば、“1”)及びAP3のAP台数(例えば、“1”)の各値を取得する。次に、AP2の比較判定部105は、取得したAP1のAP台数(例えば、“1”)及びAP3のAP台数(例えば、“1”)と、自AP台数(例えば、“2”)とを比較する。そして、AP2の比較判定部105は、自AP台数が他AP台数以上であるか否かを判定する。AP2の比較判定部105は、判定結果を設定部106に出力する。例えば、AP2の比較判定部105は、自AP台数が“2”であり他AP台数が“1” と他AP台数が“1”であるため、自AP台数が他AP台数以上であることを示す判定結果を設定部106に出力する。
【0087】
また、AP3の比較判定部105は、AP情報記憶部104に記憶されているAP情報データベースからAP2のAP台数“2”の値を取得する。次に、AP3の比較判定部105は、取得したAP2のAP台数“2”と、自AP台数“1”とを比較する。そして、AP3の比較判定部105は、自AP台数が他AP台数以上であるか否かを判定する。AP3の比較判定部105は、判定結果を設定部106に出力する。例えば、AP3の比較判定部105は、自AP台数が“1”であり他AP台数が“2”であるため、自AP台数が他AP台数未満であることを示す判定結果を設定部106に出力する。
【0088】
各APそれぞれの設定部106は、判定結果に基づいて自装置の設定を行う。具体的には、以下の通りである。AP2の設定部106は、判定結果が自AP台数が他AP台数以上であることを示すため、自装置を報知AP10に設定する(ステップS606)。また、AP1の設定部106は、判定結果が自AP台数が他AP台数未満であることを示すため、自装置を被報知APに設定する(ステップS607)。AP3の設定部106は、判定結果が自AP台数が他AP台数未満であることを示すため、自装置を被報知APに設定する(ステップS608)。
【0089】
AP2の選択部109は、退避チャネル選択処理を行う。例えば、選択部109は、退避チャネル選択パターン設定ファイル108の設定情報に基づいて、退避チャネル(例えば、“140ch”)を選択する(ステップS609)。AP2のビーコン制御部103は、報知AP情報及び退避チャネルの情報をAP1及びAP3に報知する(ステップS610)。その後、AP1及びAP3それぞれのビーコン制御部103は、通信部101を介してAP2から送信されたビーコンを受信する。AP1及びAP3それぞれのビーコン制御部103は、受信されたビーコンから退避チャネル(例えば、“140ch”)の情報を取得する。その後、AP1及びAP3それぞれのビーコン制御部103は、取得した退避チャネルの情報を報知AP情報に対応付けて報知AP情報記憶部110に記録する。また、AP1及びAP3それぞれのビーコン制御部103は、取得した退避チャネルの情報を自AP情報記憶部115に記録する。
【0090】
次に、AP1の切替部116は、チャネル切替判断前処理を行う。AP1の切替部116は、切替タイミングパターン設定ファイル111の設定情報を参照し、自装置(AP1)のチャネル切替タイミングを制御する。例えば、平均スループットを参照するパターンが有効と設定されている場合、切替部116はスループット記憶部114に記憶されているスループットテーブルを読み出す。切替部116は、読み出したスループットテーブルに記録されている平均スループットの値を取得する。切替部116は、取得した平均スループットの値がスループット閾値以上であるか否かを判定する。
【0091】
平均スループットがスループット閾値以上である場合、切替部116は自装置(AP1)のチャネルの切り替えを行わない。一方、平均スループットがスループット閾値未満である場合(ステップS611)、切替部116は自装置が利用するチャネルを退避チャネル(例えば、“140ch”)に切り替える(ステップS612)。
一定時間経過後、AP1の切替部116はスループットテーブルを参照し、平均スループットがスループット閾値以上であるか否かを判定する。平均スループットがスループット閾値未満である場合、切替部116は自装置のチャネルの切り替えを行わない。一方、平均スループットがスループット閾値以上である場合(ステップS613)、切替部116は復帰処理を行う。
【0092】
具体的には、AP1の切替部116は、通知パターン設定ファイル112の設定情報に基づいて、通信端末に移動先のチャネルを通知する(ステップS614)。例えば、CSAを利用して移動先のチャネルを通知するパターンが設定されていた場合、AP1の切替部116は自AP情報記憶部115に記憶されている自AP情報データベースを読み出す。次に、切替部116は、読み出した自AP情報データベースに記録されている退避前チャネルの値を取得する。
そして、通信部101は、CSAを利用して取得された退避前チャネルの値を通信端末に報知する。AP1の切替部116は、通信端末に報知した切り替えタイミングで自装置が利用するチャネルを退避チャネルから退避前チャネルに切り替える(ステップS615)。その後、AP1の通信部101は、通信端末との間で帰属処理を行う(ステップS616)。これにより、AP1と通信端末とは、互いに通信可能になる。その後、処理を終了する。
【0093】
以上のように構成された無線通信システムによれば、各APが自装置の利用状況に応じてチャネルの切り替えを行う。具体的には、報知AP10が自セル内に存在する被報知APに対して退避チャネルの情報を報知することにより、AP間で退避チャネルの情報を共有する。各APは、自装置が低利用APであると判断した場合に自装置が利用するチャネルを退避チャネルに切り替えることにより、他のAPの通信に影響を与えないようにする。その結果、あるAPがチャネルボンディングにより広帯域を使用して通信を行う場合に、低利用APの影響によって80MHzの周波数帯域全てを有効に利用できなくなってしまうおそれや、通信すら行えなくなってしまうおそれを軽減することができる。したがって、あるAPは、チャネルボンディングで使用している広帯域を最大限利用して通信を行うことができる。そのため、他のAPによる影響を軽減しつつ、無線通信における通信効率を向上することが可能になる。
【0094】
<変形例>
図7のフローチャートにおいて、通信端末から帰属要請があった場合にステップS113の処理が開始されるように構成されてもよい。また、
図13において、通信端末からの帰属要請があった場合にステップS512の処理が開始されるように構成されてもよい。
【0095】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。