(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965886
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】出版物編集システム
(51)【国際特許分類】
G06F 17/21 20060101AFI20160728BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20160728BHJP
【FI】
G06F17/21 610
G06Q50/04
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-225535(P2013-225535)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-87929(P2015-87929A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2014年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】397054761
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・キャスト
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 真夫
【審査官】
長 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−230260(JP,A)
【文献】
特開2006−277502(JP,A)
【文献】
特開2003−044585(JP,A)
【文献】
井上 秋男,XMLに乗り遅れるな 「印刷もできる」印刷会社の時代が現実に XMLがもたらすメディアの変貌<その1>新聞メディアとXML,印刷情報,日本,株式会社印刷出版研究所 ,2000年12月 1日,第60号第12号,p.048〜058
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/20
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑誌及び当該雑誌の関連物を制作するための出版物編集システムであって、
雑誌の紙面を構成する素材が格納される素材データベースと、
前記雑誌の出版を宣伝するための中吊り広告を構成する素材が格納される広告用素材データベースと、
前記素材データベースに格納された素材を用いた前記雑誌の誌面のレイアウト作業及び組版作業を行うための誌面作成アプリケーション、及び前記誌面作成アプリケーションを用いて作成された雑誌の誌面で利用された素材を前記素材データベースから読み取り、特定のレイアウトに基づいて前記雑誌の関連物の組版を作成する関連物作成アプリケーションを実行する処理装置と、
を備え、
前記広告用素材データベースに格納される素材は、広告用のコピーと、前記素材データベースに格納されている素材のうちのビジュアルを修正したビジュアルと、を含み、
前記処理装置と同一の処理装置が、前記広告用素材データベースに格納された素材を用いた前記中吊り広告のレイアウト作業及び組版作業を行うための広告作成アプリケーションを実行することを特徴とする出版物編集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑誌及び当該雑誌の関連物を制作するための出版物編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品を宣伝するための広告には、テレビやラジオ等の放送を用いた広告及び新聞広告の他、鉄道等の車内広告がある。車内広告の中でも特に乗客の目に留まる位置に掲載される「中吊り広告」は、週刊誌や月刊誌等の有力な広告手段として用いられている。雑誌の中吊り広告は、掲載記事への興味を乗客に持たせ、さらには乗客に雑誌の購入を促すことをねらいとしている。このため、雑誌の中吊り広告は、各掲載記事のコピー又は写真等を含み、乗客がこの広告の存在に気付きやすいデザインで構成される。また、各掲載記事のコピーは、乗客の関心をひくよう考えられている。
【0003】
こういった中吊り広告で宣伝される雑誌の制作現場では、記事の案出から印刷までの各工程が段階的に行われる。
図5は、雑誌を制作する従来の工程を示す図である。以下、
図5を参照して、雑誌を制作する従来の一般的な工程について説明する。まず、雑誌に掲載する記事の案が出されると、各案の内容が確認された後、採用された案の記事を記者が作成する。記事作成の進行に合わせて、編集者は、誌面に掲載する各記事の見出し、並びに、中吊りおよび新聞広告に掲載する各記事のコピーを作る。
【0004】
その後、誌面記事のデザイン及び制作の進行と広告のデザイン及び制作の進行は、別々のラインで行われる。したがって、誌面のデザイナーと広告のデザイナーとに分かれ、デザイナーは各々の作業を行う。すなわち、誌面のデザイナーは、雑誌の誌面における記事等のレイアウトを決定し、広告のデザイナーは、中吊りおよび新聞広告におけるコピー等のレイアウトを決定する。次に、雑誌の誌面はDTP(Desktop publishing)センターに所属する組版の作業者(DTPオペレーター)が、誌面レイアウトに基づいて組版を作成し、また、雑誌の広告制作は広告用のレイアウトに基づいてデザインし、組版を作成する。それぞれ作成された各組版のデジタルデータの内、雑誌誌面用データはDTPセンターから専用線を介して印刷会社に伝送される。広告データは同じ印刷会社または別の印刷会社に伝送される。印刷会社は、雑誌及び広告をそれぞれ印刷する。なお、今日における上記工程の大部分では、コンピュータが用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記説明した雑誌を制作する工程及び各工程を行う者は、コンピュータが用いられる前の、雑誌印刷と広告印刷とが別々に進行する従前の制作方法が踏襲されている。したがって、雑誌の誌面と広告の各レイアウトの決定は異なるデザイナーによって行われ、雑誌の誌面と広告の各組版の作成も異なる作業者によって行われている。しかし、当該方法では、レイアウト及び組版の各工程につき別々の労力、言い換えればその人数分の人件費が必要である。また、雑誌の誌面と広告に係る各工程は、印刷する最終締め切りの時間が異なることから、別々のチーム又は別々の会社で作業が行われてきた経緯がある。
【0006】
また近年、編集された雑誌は紙媒体としての販売だけでなく、これを電子化した形態での販売(電子出版)も行われている。電子化された雑誌(以下「電子マガジン」という)の制作は、これも締め切り時間が異なることから、紙媒体の制作とは全く別の工程で、
図5に示した組織とは別の組織によって行われている。電子マガジンの制作は、例えば、印刷された雑誌の誌面をスキャンして電子化したものを、タブレット端末等で閲覧可能なフォーマットに変換する方法、又は新たに電子マガジンを編集した上でフォーマットする方法によって行われる。しかし、これらの工程を行うためにはそのための労力とコストが必要である。また、動画等の紙媒体では実現できないコンテンツを電子マガジンに盛り込もうとすると、電子マガジンの編集及び制作に必要なコストがさらに増加する。このため、世界的にも電子マガジンはコストに見合う販売につながることはなく、現状では足踏み状態となっている。
【0007】
本発明の目的は、雑誌及び当該雑誌の関連物を、編集素材を共通で利用し、さらにその製作工程を共通化することで、低コストかつ早く制作可能な出版物編集システムを実現することにより、新しい産業分野を切り開くことが可能な出版物編集システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、雑誌及び当該雑誌の関連物を制作するための出版物編集システムであって、雑誌の紙面を構成する素材が格納される素材データベースと、
前記雑誌の出版を宣伝するための中吊り広告を構成する素材が格納される広告用素材データベースと、前記素材データベースに格納された素材を用いた前記雑誌の誌面のレイアウト作業及び組版作業を行うための誌面作成アプリケーション、及び前記誌面作成アプリケーションを用いて作成された雑誌の誌面で利用された素材を前記素材データベースから読み取り、特定のレイアウトに基づいて前記雑誌の関連物の組版を作成する関連物作成アプリケーションを実行する処理装置と、を備え
、前記広告用素材データベースに格納される素材は、広告用のコピーと、前記素材データベースに格納されている素材のうちのビジュアルを修正したビジュアルと、を含み、前記処理装置と同一の処理装置が、前記広告用素材データベースに格納された素材を用いた前記中吊り広告のレイアウト作業及び組版作業を行うための広告作成アプリケーションを実行する出版物編集システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る出版物編集システムによれば、雑誌及び当該雑誌の関連物を低コストかつ早く制作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態の出版物編集システムにおける処理の流れを示す図
【
図2】雑誌の誌面を見出し、前文、本文、ビジュアル、中見出し、及びビジュアルの説明の各素材に分けた例を示す図
【
図3】雑誌の紙面におけるレイアウトの一例を示す図
【
図4】電子マガジン用のレイアウトに基づいて作成された電子マガジンの組版の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、一実施形態の出版物編集システムにおける処理の流れを示す図である。なお、
図1に示された台形は手作業を表す。
図1に示す出版物編集システムでは、雑誌のデジタルデータと、当該雑誌の関連物である電子マガジンのデジタルデータと、雑誌及び電子マガジンの出版を宣伝するための中吊り広告及び新聞広告の各デジタルデータとが生成される。各デジタルデータはインターネット又は専用線を介して印刷会社に伝送される。
【0014】
この出版物編集システムにおいて、雑誌及び電子マガジンの各記事は、出版社が保有する素材データベース101に格納された同一の素材を用いて作成される。雑誌及び電子マガジンの素材を格納する素材データベース101は、記事毎に領域が分けられ、各領域には記事毎のテキスト及びビジュアルの各データが格納されている。なお、ビジュアルは、写真、イラスト、地図、グラフ又は図等である。
【0015】
図2に示すように、雑誌の誌面は、一般的に、見出し、前文、本文、ビジュアル、中見出し、及びビジュアルの説明の各素材に分けられる。一つの記事を構成する素材の内、前文、本文、ビジュアル及びビジュアルの説明は記者が作成又は用意した素材であり、見出し及び中見出しは出版社の編集部が作成した素材である。記者及び編集部には素材データベース101にアクセスする権限が与えられており、各々が作成又は用意した各素材を素材データベース101の所定の領域に格納する。
【0016】
一方、本実施形態の出版物編集システムにおいて、中吊り広告は、出版社が保有する広告用素材データベース103に格納された情報を用いて作成される。広告用素材データベース103には、広告用のコピー及びビジュアルの各データが格納されている。広告用のコピーは、出版社の編集部が作成した素材である。また、ビジュアルは、写真、イラスト、地図、グラフ又は図等であり、雑誌及び電子マガジンのための素材データベース101に格納されているビジュアルから一部コピーされたもの又は修正したものである。編集部には広告用素材データベース103にアクセスする権限が与えられており、編集部が作成又は用意した各素材を広告用素材データベース103に格納する。なお、素材データベース101と広告用素材データベース103は同一のデータベースであっても良い。
【0017】
雑誌の誌面、電子マガジン及び中吊り広告の各デジタルデータは、パソコン等の処理装置105にインストールされたアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリケーション」という。)によって作成される。なお、各アプリケーションは、素材データベース101及び広告用素材データベース103に格納されている素材を読み取り可能な同一の処理装置105にインストールされている。
【0018】
雑誌の誌面を作成する際、処理装置105のユーザは、雑誌の誌面を作成するためのアプリケーション(以下「誌面作成アプリケーション」という。)を起動して、記事毎のレイアウト作業及び組版作業を行う。すなわち、ユーザは、誌面作成アプリケーションを操作して、素材データベース101から素材を読み取り、雑誌の誌面における各素材のレイアウトを決定する。
図3に雑誌の紙面におけるレイアウトの一例を示す。さらに、ユーザは、誌面作成アプリケーションを操作して、決定した誌面レイアウトに基づいて組版を作成する。全ての記事のレイアウト作業及び組版作業が終了すると、誌面作成アプリケーションは雑誌のデジタルデータを出力する。
【0019】
電子マガジンの作成は、雑誌のデジタルデータの作成と同時又は終了後に行われる。電子マガジンを作成する際、処理装置105のユーザは、電子マガジンを作成するためのアプリケーション(以下「電子マガジン作成アプリケーション」という。)を起動する。起動された電子マガジン作成アプリケーションは、既に作成された雑誌に対応する電子マガジンの作成が指示されると、当該雑誌の紙面で用いられた素材を素材データベース101から読み取り、電子マガジン用のレイアウトに基づいて組版を作成する。
図4は、電子マガジン用のレイアウトに基づいて作成された電子マガジンの組版の一例を示す図である。
図4に示すように、電子マガジン用のレイアウトには、素材の順序及び素材毎のフォントスタイルや大きさ等が予め決められている。電子マガジン作成アプリケーションは、全ての記事の組版処理が終了すると、電子マガジンのデジタルデータを出力する。
【0020】
雑誌の紙面及び電子マガジンの作成とは別に、中吊り広告を作成する際、処理装置105のユーザは、中吊り広告を作成するためのアプリケーション(以下「広告作成アプリケーション」という。)を起動して、レイアウト作業及び組版作業を行う。すなわち、ユーザは、広告作成アプリケーションを操作して、広告用素材データベース103から素材を読み取り、中吊り広告における各素材のレイアウトを決定する。さらに、ユーザは、広告作成アプリケーションを操作して、決定したレイアウトに基づいて組版を作成する。レイアウト作業及び組版作業が終了すると、広告作成アプリケーションは中吊り広告のデジタルデータを出力する。
【0021】
以上説明したように、本実施形態の出版物編集システムによれば、雑誌の紙面のレイアウト作業及び組版作業と同時又はその終了後に電子マガジン作成アプリケーションを起動すれば、電子マガジン作成アプリケーションは、当該雑誌の紙面でも利用された素材を素材データベース101から読み取って予め決められたレイアウトに基づいて組版を作成する。このように、電子マガジン作成アプリケーションを起動すれば、ユーザがレイアウト作業も組版作業も行うことなく電子マガジンのデジタルデータが作成されるため、低コストかつ迅速な電子マガジンの作成を実現できる。
【0022】
なお、上記説明した誌面作成アプリケーションの操作、電子マガジン作成アプリケーションの起動、及び広告作成アプリケーションの操作は、処理装置105を扱う同一のユーザによって行われても、処理装置105を扱う複数の異なるユーザによって別々に行われても良い。複数のユーザによって処理装置105が操作される場合、誌面作成アプリケーションの操作、電子マガジン作成アプリケーションの起動、及び広告作成アプリケーションの操作はそれぞれ同時に行われても良い。
【符号の説明】
【0023】
101 素材データベース
103 広告用素材データベース
105 処理装置