特許第5965961号(P5965961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィッシャー−ローズマウント システムズ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許5965961プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ
<>
  • 特許5965961-プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ 図000002
  • 特許5965961-プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ 図000003
  • 特許5965961-プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ 図000004
  • 特許5965961-プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ 図000005
  • 特許5965961-プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ 図000006
  • 特許5965961-プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ 図000007
  • 特許5965961-プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ 図000008
  • 特許5965961-プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ 図000009
  • 特許5965961-プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965961
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】プロセス制御ネットワークに統合された分析サーバ
(51)【国際特許分類】
   G05B 13/04 20060101AFI20160728BHJP
   G05B 13/02 20060101ALI20160728BHJP
   G05B 11/32 20060101ALI20160728BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   G05B13/04
   G05B13/02 A
   G05B11/32 F
   G05B19/05 F
【請求項の数】39
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-216165(P2014-216165)
(22)【出願日】2014年10月23日
(62)【分割の表示】特願2007-258846(P2007-258846)の分割
【原出願日】2007年10月2日
(65)【公開番号】特開2015-46180(P2015-46180A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2014年10月23日
(31)【優先権主張番号】11/537826
(32)【優先日】2006年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512132022
【氏名又は名称】フィッシャー−ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド アール.デニソン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ウォイズニス
(72)【発明者】
【氏名】マーティ ジェイ.ルイス
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ メータ
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−326781(JP,A)
【文献】 特開2005−092584(JP,A)
【文献】 特開平05−211792(JP,A)
【文献】 特開平05−053893(JP,A)
【文献】 特開平11−259105(JP,A)
【文献】 特開2005−285017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 11/00−13/04
G05B 19/04−19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ(24)と、
一つ以上のプロセッサ(23)と、
前記メモリ(24)に格納され、且つ、一つ又は複数のフィールド装置(15〜22)を使用してプロセス環境内の一つ又は複数の制御ループ(32〜36、52)を実施するために前記プロセッサ(23)上で実行可能な、一つ又は複数の制御ルーチン(56)と、
前記つ以上のプロセッサ(23)上で実行される分析アルゴリズム(40)を含む、前記つ以上のプロセッサ(23)上で実行される分析サーバ(25、58)と、
前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)と通信するためのインターフェース(42)とからなり、
前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)が、前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)からの呼び出し及びプロセスデータに基づいて、コントローラ・データを生成するように前記分析サーバ(25、58)に前記分析アルゴリズム(40)を実行させるために、前記呼び出しを用いて前記インターフェース(42)を介して前記分析サーバ(25、58)と交信し、前記一つ以上のプロセッサ(23)が前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)を実行する処理時間又は処理能力以外の前記一つ以上のプロセッサ(23)の処理時間又は処理能力において前記コントローラ・データが生成されるように、前記分析サーバ(25、58)が、前記分析アルゴリズム(40)を前記一つ以上のプロセッサ(23)上で実行させ、前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)が、前記プロセス環境内の前記一つ又は複数の制御ループ(32〜36、52)に関して制御作業を実行するために当該生成されたコントローラ・データを使用することを特徴とする、前記プロセス環境内のプロセスを実施する前記一つ又は複数のフィールド装置(15〜22)を制御する際に使用されるプロセス制御装置(11A、50)であって、
前記分析サーバ(25、58)が、前記呼び出しが前記分析アルゴリズム(40)を使用して処理される順番を示す情報を格納するための待ち行列(70)を含むことを特徴とする、プロセス制御装置(11A、50)。
【請求項2】
前記分析サーバ(25、58)が、前記呼び出しの各々と関連する優先度に基づいて前記待ち行列(70)に情報を配置するスケジューラ(74)を含むことを特徴とする、請求項に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項3】
前記呼び出しの各々と関連する優先度が、前記呼び出しの各々の優先度情報に基づくことを特徴とする、請求項に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項4】
前記呼び出しの各々と関連する優先度が、前記呼び出しを作成する制御ルーチン(56)のアイデンティティ又はタイプに基づくことを特徴とする、請求項に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項5】
前記分析アルゴリズム(40)がプロセスモデル生成アルゴリズム(72)であることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項6】
前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)の一つが、前記プロセスのプロセスモデルに基づいてその制御操作を変更する適応制御ルーチン(56)であることを特徴とする、請求項に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項7】
前記一つ又は複数の制御ループ(32〜36、52)の一つが、プロセス制御作業を実行するためにプロセスモデルを使用するモデル予測制御ルーチン(36)であることを特徴とする、請求項に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項8】
前記一つ又は複数の制御ループ(32〜36、52)の一つが、適応制御を実行するためにプロセスモデルを使用する適応可能比例・積分・微分制御ルーチン(34)であることを特徴とする、請求項に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項9】
前記分析サーバ(25、58)が、前記プロセスモデル生成アルゴリズム(72)により生成された一つ又は複数のプロセスモデルを格納するモデル記憶機構(76、78)を更に含むことを特徴とする、請求項に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項10】
前記分析アルゴリズム(40)が制御オプティマイザ・アルゴリズムであることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項11】
前記分析アルゴリズム(40)がアルゴリズムをチューニングするアルゴリズムであることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項12】
前記分析アルゴリズム(40)がオンライン・コントローラ生成アルゴリズムであることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項13】
前記分析アルゴリズム(40)が高速フーリエ変換アルゴリズムであることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項14】
前記一つ以上のプロセッサ(23)のうちの一つが、前記分析サーバ(25、58)を、前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)に対して非同期に実行することを特徴とする、請求項1に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項15】
前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)を実行する一つ以上のプロセッサ(23)の一つが、前記分析サーバ(25、58)より高い優先度で前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)を実行することを特徴とする、請求項1に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項16】
前記一つ以上のプロセッサ(23)の一つが、前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)の一つを各実行期間ごとに一回実行することを特徴とし、且つ、
前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)の一つが、前記分析サーバ(25、58)に各実行期間ごとに一回以下の割合で前記分析アルゴリズム(40)を実行させる前記呼び出しを送信することにより、前記インターフェース(42)を介して前記分析サーバ(25、58)と交信することを特徴とする、請求項1に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項17】
前記コントローラ・データがプロセスモデルを含むことを特徴とする、請求項1に記載のプロセス制御装置(11A、50)。
【請求項18】
プロセスに関してオンライン・プロセス制御操作を実施するためにプロセス制御装置(11A、50)の一つ以上のプロセッサ(23)で制御ルーチン(56)を実行することにより前記プロセス制御装置(11A、50)内の前記制御ルーチン(56)を実施することと、
前記プロセス制御装置(11A、50)の前記一つ以上のプロセッサ(23)で分析サーバ(25、58)を実行することをはじめとし、前記プロセス制御装置(11A、50)において、分析アルゴリズム(40)を含む前記分析サーバ(25、58)を実施することと、
前記分析サーバ(25、58)へ前記制御ルーチン(56)が数の呼び出し及びプロセスデータを送信することと、
前記制御ルーチン(56)からの前記数の呼び出しの各々に応答して、前記一つ以上のプロセッサ(23)が前記制御ルーチン(56)を実行する処理時間又は処理能力以外の前記一つ以上のプロセッサ(23)の処理時間又は処理能力において、コントローラ・データを生成するために、前記制御ルーチン(56)に関連したプロセスデータ上で前記分析サーバ(25、58)内の前記分析アルゴリズム(40)を実行することと、
前記制御ルーチン(56)がオンライン・プロセス制御作動を実施する様態を達成するために前記制御ルーチン(56)において前記コントローラ・データを使用することと、
からなるプロセスを制御する方法。
【請求項19】
前記分析サーバ(25、58)を制御ルーチン(56)の実行に対して非同期に実行することを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記分析アルゴリズム(40)の実行が、プロセスモデルを作成するためにプロセスモデル生成ルーチンを実行することを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
実時間プロセスデータを収集するために前記制御ルーチン(56)を使用し、前記複数の呼び出しの最初の一つの一部として前記分析サーバ(25、58)に該収集された実時間プロセスデータを送信することを含む請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記分析サーバ(25、58)が前記収集された実時間プロセスデータについて前記分析アルゴリズム(40)を実行する間、それ以降の前記分析サーバ(25、58)への呼び出しの実時間プロセスデータを更に収集するために前記制御ルーチン(56)を使用することを含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の呼び出しに関連した優先度情報に基づいて前記複数の呼び出しを処理する順番を決定することを含む請求項18に記載の方法。
【請求項24】
待ち行列(70)を使用して、前記分析サーバ(25、58)が前記複数の呼び出しを処理することを含む請求項18〜23の何れか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記プロセスに関してオンライン・プロセス制御操作を実施するために前記プロセス制御装置(11A、50)の前記一つ以上のプロセッサ(23)で前記制御ルーチン(56)実行することが、前記制御ルーチン(56)と関連付けられた実行期間ごとに一回、前記一つ以上のプロセッサ(23)にて前記制御ルーチン(56)を実行することを含むことを特徴とし、且つ、
前記制御ルーチン(56)前記分析サーバ(25、58)へ前記複数の呼び出しを送信することが、前記制御ルーチン(56)と関連付けられた各実行期間ごとに一回以下の頻度で前記制御ルーチン(56)から前記分析サーバ(25、58)に呼び出しをかけることを含むことを特徴とする、請求項18〜24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
同じプロセッサ(23)が前記分析サーバ(25、58)と前記制御ルーチン(56)を実行することを含む請求項18〜25の何れか1項に記載の方法。
【請求項27】
プロセスに関係する複数のオンライン・プロセス制御操作を実施するために、単一のプロセス制御装置(11A、50)の一つ以上のプロセッサ(23)で複数の制御ルーチン(56)を実行することにより、前記プロセス制御装置(11A、50)内の前記複数の制御ルーチン(56)を実施することと、
前記プロセス制御装置(11A、50)の前記一つ以上のプロセッサ(23)で分析アルゴリズム(40)を含む分析サーバ(25、58)を実施することと、
前記複数の制御ルーチン(56)の各々から異なるタイミングで前記分析サーバ(25、58)に対して少なくとも一つの呼び出し及びプロセスデータを送信することと、
前記複数の制御ルーチン(56)のうちの一つに対して、前記一つ以上のプロセッサ(23)が前記複数の制御ルーチン(56)を実行する処理時間又は処理能力以外の前記一つ以上のプロセッサ(23)の処理時間又は処理能力において、コントローラ・データを生成するために、前記複数の制御ルーチン(56)からの前記呼び出しの各々に応答して、前記複数の制御ルーチン(56)の一つと関連するプロセスデータ上で前記分析サーバ(25、58)内の前記分析アルゴリズム(40)を実行することにより、前記複数の制御ルーチン(56)の異なるものからの複数の前記呼び出しを同時に処理することと、
前記複数の制御ルーチン(56)が前記オンライン・プロセス制御操作を実施する様態を達成するために、前記複数の制御ルーチン(56)において前記分析サーバ(25、58)により生成されたコントローラ・データを使用することと、
からなるプロセスを制御する方法。
【請求項28】
前記プロセス制御装置(11A、50)の前記一つ以上のプロセッサ(23)で前記複数の制御ルーチン(56)を実行することに関して前記プロセス制御装置(11A、50)の前記一つ以上のプロセッサ(23)で前記分析サーバ(25、58)が非同期に実行される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記分析アルゴリズム(40)の実行が、プロセスモデルを作成するためにプロセスモデル生成ルーチンを実行することを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の制御ルーチン(56)の一つで実時間プロセスデータを収集することと、前記複数の制御ルーチン(56)の一つからの前記呼び出しの一部として前記分析サーバ(25、58)に前記収集された実時間プロセスデータを送信することと、を含む請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記複数の呼び出しに関連した優先度情報に基づいて前記複数の呼び出しを処理する順番を決定することを含む請求項27に記載の方法。
【請求項32】
計測およびプロセス・パラメータのマニピュレーション機能を実行するためにプロセス工場環境内に配置された複数のフィールド装置(15〜22)と、
前記複数のフィールド装置(15〜22)に通信可能に連結されたプロセスコントローラ(11A、50)と、
からなるプロセス制御システムおいて、
前記プロセスコントローラ(11A、50)が、メモリ(24)と、一つ以上のプロセッサ(23)と、前記メモリ(24)に格納され且つ、前記複数のフィールド装置(15〜22)を使用して、一つ又は複数の制御ループ(32〜36、52)を実施するために前記一つ以上のプロセッサ(23)上で実行可能な、一つ又は複数の制御ルーチン(56)と、前記プロセッサ(23)上で実行されるべき分析アルゴリズム(40)を含む分析サーバ(25、58)と、を含み、
前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)からの呼び出し及びプロセスデータに基づいて、コントローラ・データを生成するように前記分析サーバ(25、58)に前記分析アルゴリズム(40)を実行させるために、前記呼び出しを用いて前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)が前記分析サーバ(25、58)と交信することを特徴とし、且つ、前記プロセッサ(23)が前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)を実行する処理時間又は処理能力以外の前記プロセッサ(23)の処理時間又は処理能力において前記コントローラ・データが生成されるように、前記分析サーバ(25、58)は、前記分析アルゴリズム(40)を前記一つ以上のプロセッサ(23)上で実行させ、前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)が、前記一つ又は複数の制御ループ(32〜36、52)に関して制御作業を実行するために前記コントローラ・データを使用し、
前記分析サーバ(25、58)が、前記呼び出しが前記分析アルゴリズム(40)を使用して処理される順番の指標を格納するための待つ待ち行列(70)を含むことを特徴とする、プロセス制御システム。
【請求項33】
前記呼び出しの各々と関連する優先度に基づいて情報を前記待ち行列(70)に配置するスケジューラ(74)が前記分析サーバ(25、58)に含まれることを特徴とする、請求項32に記載のプロセス制御システム。
【請求項34】
前記分析アルゴリズム(40)がプロセスモデル生成アルゴリズムであることを特徴とする、請求項32に記載のプロセス制御システム。
【請求項35】
前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)の一つが、プロセスのプロセスモデルに基づいてその制御操作を変更する適応制御ルーチン(56)であることを特徴とする、請求項34に記載のプロセス制御システム。
【請求項36】
前記分析サーバ(25、58)が、前記プロセスモデル生成アルゴリズムにより生成された一つ又は複数のプロセスモデルを格納するモデル記憶機構(76、78)を更に含むことを特徴とする、請求項34に記載のプロセス制御システム。
【請求項37】
前記分析サーバ(25、58)が、前記プロセスコントローラ(11A、50)の第1のプロセッサ(23)上で実行する前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)に対して非同期に、前記プロセスコントローラ(11A、50)前記第1のプロセッサ(23)上で実行されることを特徴とする、請求項32に記載のプロセス制御システム。
【請求項38】
前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)の一つが各実行期間のすべてを一回実行することを特徴とし、且つ、前記一つ又は複数の制御ルーチン(56)の一つが、各実行期間ごとに一回以下の頻度でコントローラ・データを生成するように前記分析サーバ(25、58)に前記分析アルゴリズム(40)を実行させるために前記呼び出しを送信することにより前記分析サーバ(25、58)と交信することを特徴とする、請求項32に記載のプロセス制御システム。
【請求項39】
前記プロセスコントローラ(11A、50)が、冗長された一対のプロセスコントローラの一次プロセスコントローラ装置であり、前記複数のフィールド装置(15〜22)に通信可能に連結され、さらなるメモリと、さらなる一つ以上のプロセッサと、該さらなるメモリに格納された一つ又は複数の制御ルーチン(56)のコピーと、前記分析サーバ(25、58)のコピーとを含む冗長プロセスコントローラ装置を更に含み、
前記一次プロセスコントローラ装置が、前記一次プロセスコントローラ装置から前記冗長プロセスコントローラ装置への制御の切り替えに際して前記分析サーバ(25、58)のコピーが作動し続けられるように、前記分析サーバ(25、58)のコピーを前記分析サーバ(25、58)と同期に保つために前記冗長プロセスコントローラ装置と通信することを特徴とする、請求項32に記載のプロセス制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してプロセス工場内で使用されるプロセス制御システムに関し、より具体的には、適応手順中にプロセスモデルを作成且つ更新する適応プロセス制御ルーチンなど、計算上コストが高いアルゴリズムを使用するプロセス制御ルーチンの高速且つ効率的なサポートを可能にする制御システムに関する。
【0002】
本出願は、開示内容がここにおいて参照することにより本稿において明示的に援用されるところの、「Process Model Identification in a Process Control System(仮訳:プロセス制御システムにおけるプロセスモデルの同定)」と題される、2005年10月4日出願の米国特許出願第11/243,862号の一部継続出願である。
【背景技術】
【0003】
一般に、化学薬品処理工程、石油精製又はその他のプロセスにおいて使用されるような分散型又はスケーラブルプロセス制御システムなどのプロセス制御システムは、アナログ、デジタル又はアナログ・デジタル混在バスを介して互いに、少なくとも一つのホストまたはオペレーターワークステーションおよび、一つ又は複数のフィールド装置に通信可能に連結された一つ又は複数のプロセスコントローラ(プロセス制御素子)を含んでいる。フィールド装置は、例えば、バルブ、バルブ・ポジショナ、スイッチおよびトランスミッタ(例えば、温度、圧力、流量センサ)などでありえ、バルブの開閉や工程パラメータの測定などのプロセス内における機能を行う。プロセスコントローラは、プロセスの動作を制御するために、フィールド装置により生成されたプロセス計測、且つ又はフィールド装置に関する他の情報を示す信号を受信し、この情報を使用して制御ルーチンを実施してから、バスを通じてフィールド装置に送信される制御信号を生成する。一般に、フィールド装置およびコントローラからの情報はオペレーターワークステーションにより実行される一つ又は複数のアプリケーションで利用できるようになっており、それによりオペレータが、工程の現状表示や工程の動作の修正変更など、工程に関する所望の機能を実行できるようになる。
【0004】
プロセス制御システムの中には、Emerson Process Management社により販売されるDeltaV(登録商標)のシステムをはじめとし、制御操作を実行するためにコントローラ又は異なるフィールド装置に設けられている機能ブロック、又はモジュールと呼ばれる一団の機能ブロックを使用するものがある。これらの場合、コントローラ又はその他の装置は、各々が(同じ装置内、又は異なる装置内のいずれかにおいて)その他の機能ブロックから入力を受信したり、且つ又はその他の機能ブロックに出力を提供する一つ又は複数の機能ブロック又はモジュールを含み且つ実行し、そして、工程パラメータの測定又は検出、装置の制御、又は比例微分・積分(PID)制御ルーチン実施などの制御操作の実行など、プロセスの操作をいくつか実行したりすることができる。一般に、プロセス制御システム内の異なる機能ブロックおよびモジュールは、一つ又は複数のプロセス制御ループを形成するために(例えば、バスを通じて)お互いに通信するように構成される。
【0005】
プロセスコントローラは、通常、プロセス(フロー制御ループ、温度制御ループ、圧力制御ループ、等)に対して定義される、又はプロセス内に含まれる多数の異なるループ各々に対して異なるアルゴリズム、サブルーチン又は制御ループ(全て制御ルーチンである)を実行するようにプログラムされる。一般的に言えば、このような制御ループは各々、アナログ入力(AI)機能ブロックなどの一つ又は複数の入力ブロック、単独入力単独出力(SISO)又は多重入力多重出力(MIMO)制御ブロック、およびアナログ出力(AO)機能ブロックなどの一つ又は複数の出力ブロックを含む。
【0006】
制御ループにおいて使用される制御ルーチンおよび、このようなルーチンを実施する機能ブロックは、比例・積分・微分(PID)制御、ファジイ論理制御(FLC)、およびスミス予測器(Smith Predictor)またはモデル予測制御(MPC)などのモデルベース技法を一部の例とする多数の異なるタイプの制御技法に従って構成されてきた。モデルベース制御技法において、クローズド・ループ制御応答を決定するために制御ルーチンにおいて使用されるパラメータは、プロセスへの入力となる一式の操作又は計測された外乱の変更に対する動的プロセス応答に基づく。プロセス入力の変更に対するプロセスの応答の描写は、プロセスモデルとして見なされうる。例えば、一次パラメータ化されたプロセスモデルは、プロセスのゲイン、不感時間および時間定数に対する値を指定しうる。
【0007】
モデルベース技法の一つであるモデル予測制御(MPC)には、プロセスの入力と出力間の動的な関係を捕らえるように設計された多数のステップ又はインパルス応答モデルを使用することが関与する。MPC技法では、コントローラを生成するためにプロセスモデルを直接使用する。プロセスの不感時間やプロセスの遅延などにおいて大きな変動を伴うプロセスに関連して使用される場合に、MPCコントローラは、現プロセスの条件と一致する新規プロセスモデルを使用して自動的に再生成されなければならない。このような場合、プロセスモデルは多数の作動状態の各々にてしかるべく同定される。しかしながら、現プロセス条件と一致するように新規プロセスモデルに基づいてコントローラの必須自動生成を行うこと、および複数のプロセスモデルを導入することにより、プロセス制御システムの複雑さおよび計算に係る要求条件が増大する、という望ましくない事態が生じる
【0008】
プロセスモデルはまた、PIDおよび適応制御技法を使用するその他の制御機構のチューニング・パラメータを設定するのにも使用されてきた。このような事例において、PIDコントローラ(又はその他のコントローラ)のチューニング・パラメータは、プロセスを定義するプロセスモデルにおける変更の結果として、並びにユーザにより選択されたチューニング規則に応じて、更新される。プロセスモデルが展開されPID調節計をチューニングするために使用される適応可能PIDチューニング技法の実施例は、開示内容がここにおいて参照することにより本稿において明示的に援用されるところの、「State-Based Adaptive Feedback Feedforward PID Controller(仮訳:状況起因適応可能フィードバック・フィードフォワードPIDコントローラ)」と題される2006年9月26日に特許証が発行された米国特許第7,113,834号および、「Adaptive Feedback/Feedforward PID Controller(仮訳:適応可能フィードバック/フィードフォワードPIDコントローラ)」と題する2003年6月10日に特許証が発行された米国特許第6,577,908号に詳細にわたって記載されている。
【0009】
よって、近代の制御システムは、適応可能チューニングおよびコントローラの生成を提供するために自らが制御するプロセスについて自動的に学習できる能力と伴に構築されている。このプロセスを自動的に学習できる能力により、制御システムが、作動状態およびプロセス用設備の変更に対して実時間で反応することが可能になる。一般に、該学習プロセスは、システム内のプロセスループおよび装置からの実時間データの収集から始まり、その後、この生データは、(プロセスの総括制御を最適化するために知的診断、ハイファイ・プロセスモデル、および改善されたチューニングを生成することができる)一式の分析アルゴリズムによって分析される。その結果は、推奨としてオペレータに提示しても、詳細評価用に格納しても、上記記載されるような閉ループ制御での適応を実行するために使用しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,113,834号
【特許文献2】米国特許第6,577,908号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来から、サードパーティ・ツールが制御ネットワークから、直接に又は周知のOPCプロトコルを介して、プロセスデータを読み出してこの当データを適切な分析アルゴリズム、即ち、プロセスモデル生成およびチューニング・パラメータ生成アルゴリズムなどに供給するところの階層化アプローチを使用して実行されていたこれらの制御作業用に実行されるデータ分析およびモデル生成は、制御システムに関連したワークステーション又はサードパーティ・ハードウェアにおいて実行されることになっている。標準の分散型制御システム(DCS)など従来からのプロセス制御システムで使用される類似したアプローチは、後の分析のために制御ネットワークから一つ又は複数のデータ・ヒストリアン又はその他のワークステーション・アプリケーションに収集データを通信するようになっている。しかしながら、この階層化アプローチの問題は、プロセス環境内の異なる装置間におけるデータの収集および送信にかなりの時間がかかるのであまり反応が良くないということである。なおまた、このアプローチでは、一度に評価できるのは一つのプロセスループだけであり、一般にオペレータの介入をかなり必要とされる。同様に、制御システムおよびデータ分析アプリケーション間の外部通信を必要とすることから、サードパーティ分析アプリケーションの信頼性および可用性が妥協される。これらの欠点によって、これらの制御ループが、プロセスモデルのオンライン生成を要するMPC技法および適応制御技法などの計算上コストが高い制御技法を実施する際に、単独制御装置内で作動する複数の制御ループに適時なサポートを提供することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
プロセス制御システムは、プロセス制御ルーチンの一つ以上が実施されるところの同じ制御装置において、適応モデル生成およびチューニング・パラメータ生成のような計算上コストが高い特定のプロセス制御機能を実行するのに使用されるプロセス制御データの収集および分析を統合させ、それによって、より高速でより効率的なプロセス制御ルーチンのサポートを提供する。特に、このシステムは、一つ又は複数の制御ルーチンにより使用される計算上コストが高い解析を行う分析サーバを一つ又は複数の制御ルーチンが設けられる実時間制御装置に直接統合することにより、上記階層化アプローチを置き換えられるものである。このような統合によって、制御操作の完全性を妥協することなく、特定装置により極めて高速に制御される複数のプロセスループのために大量のデータを分析する能力が提供される。
【0013】
一実施形態において、統合された分析サーバは、プロセス制御ルーチンと共に実時間制御装置で実行されるサービスである。該サービスは生の実時間プロセスデータを一つ又は複数の制御機能ブロックから直接に受信し、データに対してモデル生成アルゴリズムやチューニング・パラメータ生成アルゴリズムなどの一つ又は複数の分析アルゴリズムを実行し、そしてそれらの制御作業に使用されるプロセス制御ルーチンに結果を通信し戻す。なおまた、望ましい場合、分析サーバは、データベース・リポジトリおよびユーザーインタフェース・アプリケーションなど一つ又は複数のワークステーション・アプリケーションに解析結果を提供しうる。
【0014】
プロセス制御ルーチンおよび分析サーバが実施される制御装置の中央処理装置(CPU)およびメモリ資源を効率よく管理するために、分析サーバは、制御ルーチンが、プロセスデータの収集時にアルゴリズムを実行するようにとの要求に呼出しをかけることを可能にするために、実時間制御ルーチンにインターフェースを提供する。これらの要求は優先順に編成され待ち行列に加えられ、その結果、分析サーバは、制御装置内の制御ルーチンの動作に関する収集データを非同期に使用して、要求されたアルゴリズムを実行することができる。なおまた、分析サーバの動作は、オンライン制御システムの動作から分離し、それによって、新しいデータが分析サーバにより分析されると同時に別の学習反復用にデータを収集するためにオンライン制御を解除する。一旦分析サーバが要求された動作を完了したならば、生成データ又は結果がオンライン制御システム(すなわち、制御ルーチン)に送り返される。
【0015】
本議論の焦点は、PID制御ループ又はMPCルーチンのプロセスモデルの同定を実行する分析サーバに向けられているが、ここに開示される分析サーバ技法は、SISO/MIMOブロック、PIDブロック、FLCブロック、MPCブロック、ニューラルネットワーク(NN)制御ブロックなどを含むその他の制御法およびブロック、並びに、モデル生成/更新、オンライン・コントローラ生成/更新、コントローラ・チューニング、高速フーリエ変換(FFT)および相関分析、最適化、SPC、ループ/デバイス性能インデックス生成などのいかなる実時間プロセスデータ分析などにも適用することができることをここに述べておく。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一つ又は複数の制御ルーチンの計算上コストが高い機能を実行する分析サーバと同じコントローラ装置に統合された一つ又は複数の制御ルーチンを含むプロセス制御システムの概略図。
図2】オンライン又は実時間制御を実行する多数の制御機能ブロックと通信状態にある分析サーバを含む図1のコントローラの概略図。
図3】ワークステーションと通信状態にあり、また分析サーバが適応可能PID制御ルーチンの一つ又は複数のプロセスモデルを生成するのに使用されるところの、図1のコントローラの概略図。
図4】その中に配置される分析サーバに通信可能に接続された複数の制御ルーチンを有する別のコントローラの概略図。
図5】ワークステーションの形で外部装置と通信状態にあり、その中に配置される分析サーバを有するコントローラの概略図。
図6】適応制御機能ブロックが、分析サーバにより作成された格納されているモデルおよび作動状態情報に従ってチューニングを修正変更するところの、統合分析サーバと通信状態にある図4のコントローラ内の適応制御機能ブロックの概略図。
図7】MPC機能ブロックが、分析サーバを使用してモデル同定を行うためにオンデマンド・テストを実施するところの図4に示されるコントローラの分析サーバと適応可能MPC機能ブロックの概略図。
図8】同定されたモデルが、履歴に基づくイベント情報と関連して外部データベースに格納される実施形態に則った図4に示されるコントローラの概略図。
図9】コントローラと通信状態にあるワークステーションの概略図。なお、当図中、該ワークステーションは、コントローラと通信するためにワークステーション上で実行される多数のサポート・アプリケーションを含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで図1を参照するに、プロセス制御システム10は、データ・ヒストリアン12および一つ又は複数のホスト・ワークステーション又は(いかなるタイプのパーソナルコンピュータやワークステーションなどでありうる)コンピュータ13に接続され、プロセスコントローラ11を含んでいる。プロセス制御システム10の各々は表示装置14を有する。一次コントローラ11Aおよびバックアップ(予備用)コントローラ11Bを有する冗長コントローラでありうるコントローラ11は、入出力(I/O)カード26および28を介してフィールド装置15〜22に接続される。データ・ヒストリアン12は、いかなる所望のタイプのメモリおよび、データを格納するためのいかなる所望の又は周知のソフトウェア、ハードウェア又はファームウェアを有するいかなる所望のタイプのデータ収集ユニットでありうる。データ・ヒストリアン12は、図1に示されるように、ワークステーション13とは別のものでありえるし、又はワークステーション13のうちの一つの一部でありうる。Emerson Process Management社により販売されるDeltaV(登録商標)コントローラを一例としうるコントローラ11は、例えば、イーサネット(登録商標)接続29又はその他所望の通信ネットワークを介して、ホストコンピュータ13およびデータ・ヒストリアン12に通信可能に接続される。コントローラ11はまた、例えば、標準の4〜20mA装置且つ又はFOUNDATION Fieldbusプロトコルや’HARTプロトコルなどのいか
なるスマート通信プロトコルに関連するいかなる所望のハードウェアおよびソフトウェアを使用してフィールド装置15〜22に通信可能に接続される。
【0018】
フィールド装置15〜22は、センサ、バルブ、トランスミッタ、ポジショナーなどのいかなるタイプの装置でありうる。一方、I/Oカード26および28は、いかなる所望の通信又はコントローラ・プロトコルに準拠するいかなるタイプのI/O装置でありうる。図1に示す実施形態において、フィールド装置15〜18はアナログ回線を通じてI/Oカード26と通信する標準の4〜20mA装置であり、フィールド装置19〜22はFieldbusプロトコルによるコミュニケーションを用いデジタル・バスを通じてI/Oカード28と通信するFieldbusフィールド装置などのスマート装置である。もちろん、フィールド装置15〜22がその他所望する標準(複数可)又はプロトコル(将来的に開発されうる諸規格又はプロトコルを含む)に準拠するものでもありえる。
【0019】
メモリ24に格納された一つ又は複数のプロセス制御ルーチンを実施又は監視し、且つ、いかなる所望の様態でプロセスを制御するために装置15〜22、ホストコンピュータ13およびデータ・ヒストリアン12と通信する一つ又は複数のプロセッサ23が、(具体的には一次コントローラ11A用に示される)コントローラ11Aおよび11Bの各々には含まれている。また、コントローラ11Aは、以下より詳細にわたり説明される様態でコントローラ11Aにより実施される制御ルーチンに対してサポートを提供するために、これらの制御ルーチンと共に機能して、制御ルーチン内で使用できるようにプロセスモデルとチューニング・パラメータを作成するなどの計算上コストが高いアルゴリズムおよび機能を実行するなどの働きをする分析サーバ25を格納および実施する。望ましい場合は、コントローラ11Aおよび11Bの各々は、両方の制御ルーチンを実行するシングルプロセッサ23と分析サーバ25、又は複数のプロセッサ23を含んでいてもよく、この場合、制御ルーチンは一般に、プロセッサ23の最初の一つで実行し、分析サーバはプロセッサの二番目のもので実行しうる。
【0020】
なお、ここに記載されるいかなる制御ルーチン又はモジュールは、所望の場合、異なるコントローラ又はその他の装置により実施又は実行される部品を有しうる。同様に、ここに記載される、プロセス制御システム10内で実施されるべき制御ルーチン又はモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアなどを含むいかなる形態のものでありうる。本開示の目的上、プロセス制御モジュールは、例えば、いかなるコンピュータ可読媒体に格納されたルーチン、ブロック又はそれのいかなる要素など、プロセス制御システムのいかなる一部又は一部分でありうる。サブルーチンやサブルーチンの一部(コード行、等)などの制御手順のいかなる部分又はモジュールでありうる制御ルーチンは、オブジェクト指向型プログラミング、ラダー論理、シーケンシャルファンクションチャート機能ブロック図を使用して、又は、その他のソフトウェアプログラミング言語又は設計パラダイムを使用してなど、いかなる所望のソフトウェア形式において実施されうる。同様に、制御ルーチンは、例えば、一つ又は複数のEPROM、EEPROM、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はその他のハードウェア又はファームウェア要素にハードコードにより接続されうる。更にまた、制御ルーチンは、図示設計ツール又はその他いかなるタイプのソフトウェア/ハードウェア/ファームウェア・プログラミング又は設計ツールなどのいかなる設計ツールを使用して設計されうる。よって、いかなる所望の様態にて制御法又は制御ルーチンを実施するようにコントローラ11を構成しうる。
【0021】
しかしながら、一実施形態において、コントローラ11Aは、一般に機能ブロックと呼ばれるものを使用して制御法を実施しえ、この場合、各機能ブロックは、オブジェクト又は総括制御ルーチンのその他の一部(例えば、サブルーチン)であり、プロセス制御システム10内のプロセス制御ループを実施するために(リンクと呼ばれる通信機構を介して)その他の機能ブロックと共に作動する。一般に、機能ブロックは、トランスミッタやセンサ又はその他の工程パラメータ計測装置と関連するなどの入力機能、PID、ファジィ論理、MPCなどの制御を実行する制御ルーチンに関連するなどの制御機能、又は、プロセス制御システム10内において工程パラメータを操作するいくつかの物理的機能を実行するためにいくつかの装置(バルブなど)の動作を制御する出力機能、のうちの一つを実行する。もちろん、ハイブリッド・タイプや、その他のタイプの機能ブロックも存在する。機能ブロックはコントローラ11Aに格納され、コントローラ11Aにより実行されうる。これは、通常、これらの機能ブロックが標準4〜20mA装置およびHART(登録商標)やFieldbus装置などのいくつかのタイプのスマート・フィールド装置に使用される又は関連する場合、又は(特にFieldbus装置の場合)これらの機能ブロックがフィールド装置自体に格納され且つそれによって実施されうる場合に該当する。ここにおいては制御システムが機能ブロック制御法を用いた状態で説明されているが、ラダー論理、シーケンシャルファンクションチャートなどその他の仕様を使用しても、或いは、その他所望のプログラミング言語又はパラダイムを使用しても、開示の技法およびシステムを実施又は設計しうる。
【0022】
図1の拡張ブロック30により示されるように、コントローラ11Aは、複数の単一ループおよびSISO制御ルーチン(ルーチン32および34として図示)を含みえ、望ましい場合は、一つ又は複数のアドバンスト制御ループ(MIMO制御ループ36として図示)を実施しうる。このような制御ループの各々は通常制御モジュールと呼ばれる。単ループ制御モジュール32および34は、(プロセス制御システム10内に設けられるバルブなどのプロセス制御装置、温度および圧力伝送器などの計測装置、又はその他の装置にも関連しうる)適切なアナログ入力(AI)およびアナログ出力(AO)機能ブロックに接続された単独入力/単独出力ファジイ論理制御(FLC)ブロックと単独入力/単独出力PID制御ブロックを各々に使用して単ループ制御を実行する状態で示されている。アドバンスト制御ループ36は、複数のAI機能ブロックに通信可能に接続された複数の入力と複数のAO機能ブロックに通信可能に接続された複数の出力とを有するアドバンスト制御ブロック38を含んだ状態で示されているが、アドバンスト制御ブロック38の入出力は、その他のタイプの入力を受け入れてその他のタイプの制御出力を提供するためにその他の所望の機能ブロック又は制御要素に接続されうる。アドバンスト制御ブロック38は、いかなるタイプのモデル予測制御(MPC)ブロック、ニューラルネットワーク・モデリング又は制御ブロック、複数の変数ファジイ論理制御ブロック、実時間最適化ブロックなどでありうる。当然のことながら、アドバンスト制御ブロック38を含んだ状態で図1に示される機能ブロックは、コントローラ11Aにより実行することができ、その上、これらのルーチンのコピーは、一次コントローラ装置11Aが障害を起こした場合に冗長コントローラ装置11Bにより実行できるように冗長コントローラ装置11Bに設置することができる。
【0023】
ここで図2を参照するに、コントローラ11Aは、プロセスのオンライン又は実時間制御を実行するために、対応するプロセス制御ルーチンを定義および実施する任意数の制御モジュール32,34および36を備えうる。これらの制御モジュールの実施システムは、通常、オンライン・プロセス制御サブシステムと呼ばれる。よって、制御モジュール32,34および36は、オンライン動作環境に関連して実施されうる、且つ、一般にプロセスの正規且つ計画的な定期制御に関連しうる。上記のように、制御モジュール32,34,36の各々は、それに関連するところの、制御機能ブロックを含むいかなる数の機能ブロックを有しうる。
【0024】
コントローラ装置11A内に格納された制御モジュールの概略図が、複数の異なる適応可能ファジイ論理制御(FLC)モジュール32、複数の異なる適応可能PID制御モジュール34および複数の異なるMPC制御モジュール36を含んだ状態で図2に示されている。この場合、制御モジュール32,34および36の各々は、適応可能プラグイン・モジュール32A、34A又は36Aを備えるFLC、PID又はMPC制御モジュールなどの標準の制御モジュールとして示されている。ここにおいて、プラグイン・モジュール32A、34A又は36Aの各々は、それの関連する制御モジュールに関して適応作業を実行して関連制御モジュールおよび分析サーバ25間にインターフェースを提供することにより(FLC機能ブロック32、PID機能ブロック34、MPC機能ブロック36および分析サーバ25などの)機能ブロック間で通信を実施するように作動する。一般的に、プラグイン・モジュール32Aおよび34Aは、これらの適応制御作業に関連した特定の計算上コストが高いアルゴリズムを実行するために分析サーバ25を使用して標準FLCおよびPID制御モジュール32,34を適応可能FLCおよび適応可能PID制御モジュールに変換するために備えられている。同様に、プラグイン・モジュール36Aは、MPCルーチンに関するモデル生成およびコントローラ生成を実行するためにMPC制御ルーチン36が分析サーバ25と通信できるようにするために備えられている。制御モジュール32,34および36が分析サーバ25と同じプロセッサにて実行されると、モジュール32,34,36およびサーバ25は、共通のプロセッサーバッファを使用して互いに通信しうる。しかしながら、制御モジュール32,34および36が分析サーバ25とは異なるコントローラ11A内のプロセッサにて実行されると、いかなる周知又は所望のプロセッサ間通信を使用して、制御モジュール32,34,36と分析サーバ25間での通信を実施しうる。
【0025】
いかなる場合も、図2に具体的に示されるように、プロセスコントローラ装置11A内に実施される制御ルーチン32,34および36の各々との直接通信を可能にするために、分析サーバ25がプロセスコントローラ装置11A内に統合される。結果として、分析サーバ25は、直接に(即ち、外部通信ネットワークを通じて当該のデータを通信する必要なく)制御ブロック32,34および36により収集された実時間プロセスデータを受け取ることができる。制御ルーチン32,34および36の一つの機能へのサポートを実施する要求且つ又は生のプロセスデータを受け取った時点で、分析サーバ25は、収集されたプロセスデータを使用して一つ又は複数の分析アルゴリズム40を実行し、その後、実行された解析の結果を制御ブロック32と34および36並びにその他のプロセス構成素子(コントローラ装置11Aの外部に配置されるユーザーインタフェース・アプリケーション、ワークステーション・アプリケーション、およびデータベース・リポジトリ、等)に対して送り返す。
【0026】
図2に示されるように、分析サーバ25は、制御ルーチン32,34および36の動作をサポートするのに使用されうるいかなる数のアルゴリズム又はルーチン40を含みうる。アルゴリズム40は、数例のみ挙げると、プロセス10の動作をモデルにするプロセスモデルを開発又は生成すること、例えばプロセスモデルに基づいて制御ルーチン用チューニング・パラメータを一つ又は複数生成すること、その他の適応機能を提供すること、非線形のパラメトリックおよびノンパラメトリックなアルゴリズムを実施すること、MPCコントローラ生成機能を実行すること、コントローラ最適化機能を実行すること、FFT且つ又は相関分析を実行すること、などに関係しうる。なおまた、統合分析サーバ25により実施されるアルゴリズム40は、SISOおよびMIMOのプロセス制御モジュールを含むいかなるタイプのプロセス制御技法およびブロックをサポートするのに使用されうる。
【0027】
一実施形態では、分析サーバ25は、コントローラ11A内で様々な制御ブロック32,34および36に通信して制御ブロック32,34および36からの呼出しおよびプロセスデータを受け取り且つ制御ブロック32,34および36に解析結果を送信するのに使用されるインターフェース42を含んでいる。加えて、分析サーバ25は、ユーザーインタフェースやデータ・ヒストリアンなどの外部装置との通信を提供するのに使用されうる外部のインターフェース44を含んでいる。
【0028】
分析サーバ25は、制御モジュール32,34および36の動作をサポートする又はそれに必要であるが制御モジュール32,34および36の各実行期間中に実行する必要のありうるような、計算上コストが高いアルゴリズムを実行するのに特に適切に適する。よって、例えば米国特許第6,577,908号および第7,113,834号に記載される適応可能なモデルベースの制御技法においては、適応可能なチューニングを行うことがプロセスモデルの再生成に必要とされる。このような適応には、プロセスの異なる領域又は状態に関する様々なプロセスモデルを開発するために使用されるような計算上コストが高いプロセスモデル再生成技法を行うことが必要である一方、通常、新規のプロセスモデルについてはPID制御ルーチンの実行サイクル毎に再計算を行う必要がない。よって、米国特許第6,577,908号および第7,113,834号に記載されるプロセスモデルおよびチューニング・パラメータ生成技法は、制御モジュールが新規プロセスモデルにとって必要である見なした場合に限り分析サーバ25により実施されうる。
【0029】
上記のように、一実施形態において、分析サーバ25は、適応制御を行う際に適応制御ルーチン32および34のうち様々なものにより使用される、又は、MPCモデル又はコントローラの再生成を実施するためにMPC制御ルーチン36により使用されるプロセスモデルを生成する、一つ又は複数のモデル生成ルーチンを実行するために作動しうる。同様に、分析サーバ25は、生成されたプロセスモデルの一つ又は複数に基づいて一つ又は複数の適応可能チューニング・パラメータを計算しうる、或いは、制御ブロック32,34および36にこれらのチューニング・パラメータを送信しうる。もちろん、上記のように、分析サーバ25は、制御ブロック32,34および36の一つ又は複数に対してその他の(モデルおよびチューニング・パラメータの生成アルゴリズム以外の)分析アルゴリズムを格納且つ実施しえ、図2に示されるFLC、PIDおよびMPC制御ブロックの他に異なるタイプの制御ブロックを必要とするようなモデル生成をサポートできる。
【0030】
より具体的に、分析サーバ25は、様々な制御ブロック32,34および36についてクライアント/サーバ通信関係を実施することにより作動し、よって、分析サーバ25内に格納されたアルゴリズム40のうちの一つをこれらの制御ブロックが実施する必要がある時にいつでも個別制御ブロック32,34および36のいずれか又は全てにより呼び出されうる。したがって、分析サーバ25がプロセスモデル生成又はチューニング・パラメータ生成アルゴリズムを格納且つ実施する場合、制御ブロック32,34および36のいずれか又は全ては、制御ブロックによる使用のために新規プロセスモデルを計算するために(又は制御ブロック用に新規チューニング・パラメータを計算するために)サーバ25に適切なモデル生成又はチューニング・パラメータ判定アルゴリズム40を実施させるように、分析サーバ25に対して呼出しをかけるようにしても良い。本実施例においては、分析サーバ25がプロセス制御モジュール32,34,36と同じ物理的制御装置内に配置されているので、プロセスモデルの生成に必要な生のプロセスデータを受信するために外部通信を分析サーバ25で行う必要はない。故に、図1のユーザーインタフェース13になどの異なる装置において実行されるアルゴリズムと比べて、プロセスデータが分析サーバ25に提供される際のデータ量および速度の増加につながる。いかなる場合も、分析サーバ25は、要求された分析工程を実行してから(新規のプロセスモデルなどの)分析データを個々の制御ブロック32,34および36に送り返すことにより該制御ブロック(例えば適応制御又はMPCコントローラ再生成など)を実行する際に必要とされる計算サービスを提供するために、様々な制御モジュール32,34および36により提供されるそれ自体への呼出しに基づいて作動しうる。
【0031】
また、特に分析サーバ25が制御モジュール32,34および36と同じプロセッサで実行される時に、分析サーバ25の動作がいかなる様態においても制御モジュール32,34および36の動作に影響しないようにするために、分析サーバ25が、制御ブロック32,34および36に対して非同期に(よって、オンライン又は実時間制御システムに対して非同期に)実行することが好ましい。より具体的に、分析サーバ25は、それの実行によって、様々な制御モジュール32,34および36を実施するために必要な処理時間に影響が及んだり干渉されることがないようにするために、コントローラ装置11Aの内で作動しうる。それどころか、分析サーバ25は、通常では制御ルーチン32,34および36により使用されないままになっているコントローラ装置11A内のプロセッサの処理時間又は処理能力を使用する。言い換えると、コントローラ装置11Aのプロセッサは、制御ルーチンが前もって定義されたスケジュールで確実に実施されるようにするために、そしてまたこれらのルーチンがプロセス制御作業を引き続き行うのに必要な十分な処理能力又は時間を確実に確保できるようにするために、これらの構成部分が同じプロセッサ又は異なるプロセッサで実行されるかにかかわらず、制御ルーチン32,34および36の動作と実行を、分析サーバ25の動作よりも優先させる。その後、コントローラ装置11Aは、処理能力が制御ルーチン32,34および36を完全に実施するのに必要とされない時に(又は制御ルーチン32,34および36を完全に実施するのに不要な処理能力を使用して)分析サーバ25を実行する。
【0032】
コントローラ装置11A内において、分析サーバ25の動作の優先度は全体的に制御ルーチン32,34および36よりも低いので、分析サーバ25が、制御ルーチン32,34および36からの呼出しの各々に関して優先度を調整するようにしても良く、該決定された優先度に応じて呼出しを実施又は実行するようにしても良い。呼出しの優先度は、呼出元の制御ルーチンから送信された優先度の指標などの呼出しに含まれる情報に基づきうる、又は異なるタイプの呼出しの相対的重要度に基づきうる、又は呼出元の異なるタイプの制御ブロックの相対的重要度に基づきうる、又は呼出元の同一タイプの別の制御ブロックの相対的重要度に基づきうる、又はその他の事前設定された優先度因子(複数可)に基づきうる。よって、分析サーバ25は、このような制御ブロックの各々から呼出しを受けた時に優先度の低い制御ブロックにサービスを提供する前に優先度の高い制御ブロックにサービスを提供するように作動しうる。同様に、制御ブロック自体は、制御ブロックにより決定された情報に基づいて、呼出し自体に含まれる呼出しの優先度の指標を提供しうる。いかなる場合も、分析サーバ25は、コントローラ11A内の、個々の又は異なる制御ルーチンの32,34および36により分析サーバ25に提供される呼出しおよびデータに基づいて、そこに格納されたアルゴリズム40を実行し、制御ルーチン32,34および36にアルゴリズムの結果を提供する。このように、様々な異なる呼出しのための様々なアルゴリズム40の実行は、オンライン制御システムの残りの部分から隔離された状態で分析サーバ25により行なわれ、結果として、現在の学習反復に関連したデータが分析サーバ25により処理されるのと同時に、将来的な学習反復用のデータをオンライン制御システム(例えば、個別の制御ルーチン)によって収集することが可能になる。同様に、該サーバ25の自立動作によって、異なる制御ブロックからの呼出しを分析サーバ25によって同時に処理することが可能になる。
【0033】
一旦分析サーバ25が要求された動作を完了すると、生成された制御データ(例えば、プロセスモデル)は、インターフェース42および適切なプラグイン・モジュール32A、34A又は36Aを介してオンライン制御システム(例えば、要求元である制御ブロック32,34又は36)に送り返される。もちろん、分析サーバ25は、外部サーバなどのインターフェース44を介して外部の装置や、異なる装置内で実行される診断アプリケーション、ユーザーインタフェース・アプリケーションなどの別のアプリケーションや、別の装置に設けられたデータベース・リポジトリ、などに生成データを供給するようにも構成又は構築されうる。
【0034】
図3は、分析サーバ58が適応可能PID制御ルーチン56にモデル同定・生成サービスを提供できるように適応可能PID制御ルーチン56と共に使用される分析サーバ58の特定の実施例を格納するコントローラ50を示す。特に、図3に示されるように、適応可能PID制御モジュール56は、それに接続される適応可能チューナ・プラグイン・モジュール54を有するPID制御ルーチン52を含んでいる。図3において更に示されるように、分析サーバ58は、適応可能PID制御モジュール56に計算上のサポートを提供するために使用されるモデル生成アルゴリズムを含んでいる。分析サーバ58は、加えて、ワークステーション又はその他の装置62に設置されうる外部サーバ60に通信可能に連結される。望ましい場合、装置62は、図1のヒストリアン12、図1のユーザーインタフェース装置13のうちの一つ、又はその他の何らかの装置でありうる。
【0035】
分析サーバ58は、入力待ち行列70、モデル・ジェネレータ・アルゴリズム72、スケジューラ・ブロック74、およびコントローラ50内の様々な異なる制御ブロック用に作成されたプロセスモデルを格納するのに使用されうる複数のモデル記憶ブロック76および78を含むモデル同定サーバとして図3に示されている。作動中に、適応可能PID制御モジュール56は、米国特許第6,577,908号および第7,113,834号により詳細に記載される技法など、定期的なモデル生成を必要とする適応プロセスを使用してPID制御モジュール56の適応を行いうる。この技法を実施中に、適応可能PID制御モジュール56はプロセスの動作を示すプロセスデータを収集する。プロセスは異なる状態になり、よって新規プロセスモデルを使用しての適応が要求される又は必要である、とPID制御
モジュール56、および特にプラグイン・ブロック54が認識した時に(又は新規プロセスモデルの生成を必要とする、その他の何らかのトリガーイベントを認識した時に)、適応可能プラグイン・ブロック54は、収集されたプロセスデータを使用してモデル生成技法を開始(institute)するために分析サーバ58に呼出しを送信しうる。入力待ち行列70へのトリガーイベント呼出し79を使用して制御ブロック56により提供されうるこの呼出しの一環として、適応可能プラグイン54は、優先度指標並びに適切な量の収集プロセスデータを、分析サーバ58が新規のプロセスモデルを生成するために使用する分析サーバ58に提供しうる。更新されたモデルを要求する呼出し、並びに新規モデルを生成するために必要なプロセスデータは、分析サーバ58の一部である入力待ち行列70且つ又はモデル・バッファプール80に提供されうる。もちろん、適応可能PID制御モジュール56並びにコントローラ50内のその他の制御モジュールは、分析サーバ58にいつでも呼出しを送信しうる。また、分析サーバ58が制御モジュール56に関して非同期に作動するので、分析サーバ58は、同じ制御モジュール、又は異なる制御モジュールからの複数の呼出しによって同時に作動しうる。
【0036】
いかなる場合も、分析サーバ58内のスケジューラ・ブロック74は、イベント待ち行列且つ又はバッファプール80内の要求又は呼出しを分析し、異なる呼出しに関連した優先順位情報に基づいてこれらの要求を入力待ち行列70上に配置又は整理する。もちろん、いくつかのタイプの制御ブロック又はいくつかの特定の制御ブロックの優先度が、プロセス動作に対するこれらの制御ブロックの重要性によって他のものより高くなっているように、呼出し又は要求の優先度も、制御ブロックの実際のアイデンティティ又は要求元である制御ブロックのタイプに基づきうる。呼出し又は要求の優先度はまた、ある特定の時点においてユーザにより提供される優先順位情報にも、且つ又は個々の要求を出している制御ブロックにより提供される優先度にも基づきうる。よって、上記のように、制御ブロックは、制御モジュールが利用できる情報に基づいて、モデル生成のための要求又は呼出しを優先しうる。一実施例において、プロセスの状態にかなりの変化が生じた時により迅速に更新を行う必要がある、とPID制御モジュール56が認識しえ、この場合、PID制御モジュール56は、小さな変更がプロセスの状態内に生じた場合よりも優先度の高いモデルの更新の呼出しを生成しうる。
【0037】
モデル・ジェネレータ72は、これらの呼出しが入力待ち行列70に含まれている順に該呼出しを処理して、該呼出しに準ずるモデル且つ又はその他のチューニング・パラメータを生成するために一つ又は複数のモデル生成アルゴリズムを実施するように作動する。その後、生成されたモデル(および望ましい場合は、関連するチューニング・パラメータ)は新規生成されたモデルをモデル記憶ブロック76および78に提供するスケジューラ・ブロック74に提供される。一旦モデルが記憶ブロック76に配置されると、その後、このモデル(およびこのモデル関連したチューニング・パラメータ)は、制御モジュール56に(特に、その後PID制御ブロック52用適応制御を行うためにこの更新されるモデルを使用する適応可能プラグイン・モジュール54に)改めて提供されうる。新規モデルの要求並びに新規生成されたモデルについての情報は、図3に示されるように、制御ブロック56および分析サーバ58間の通信を通じてハンドルIDおよびパラメータIDなどのIDによりトラッキングされうる。もちろん、望ましい場合は、制御モジュール56は、新規作成されたプロセスモデルを使用して適応制御を行うのに必要な処理手順を実施するために、分析サーバ58への呼出しを更に行いうる。
【0038】
望ましい場合は、プロセスの特定の制御ルーチン又は特定の一部分用に生成されたモデルを格納およびトラッキングするために、モデル・データ記憶機構76および78を使用しうる。一実施例において、モデル・データ記憶機構76が制御モジュール56並びにコントローラ50内のその他の制御モジュールのためのモデルおよびパラメータを格納するのに使用される一方、モデル・データ記憶機構78は、サーバ60に、ユーザ・ワークステーションに、又は別の外部アプリケーションに、生成されたモデルを提供するために使用されうる。特に、一旦作成又は生成されると、モデルはまずモデル・データ記憶機構76に格納され、そこからこのモデルの作成をもたらした制御ルーチン56に改めて提供されうる。データベース76は、それに加えて、前回制御ルーチン56用に生成されたモデルを格納しうる。モデルを受け取った時点で、制御ルーチン56(又はモデルへのアクセス権を有するユーザ)は、モデルが正確でない場合にモデルを一掃(パージ)することを希望しうる。このような場合、制御モジュール56は、モデル・データベース76からモデルを削除又は一掃できるようにするために、分析サーバ25にメッセージを送信しうる。
【0039】
一方、モデル・データベース78は、作成されたモデルのコピーをその他の装置で実行されるアプリケーション又はヒストリアンに提供する目的で、データ記憶機構76に格納されるモデルを反映するのに使用されうる。この場合、モデル保管78はデータベース76内のモデル一式をミラー(複製を作成・コピー)するように機能するが、モデルがどの永久記憶用外部装置(より永続的な状態でモデルを格納する外部ヒストリアンなど)に送られたかをトラッキングしうる。望ましい場合、モデル・カウンタ82は、モデル保管78に作成且つコピーされたが永続的記憶機構用のワークステーション62などの外部装置にまだ送信されていないモデルの数をトラッキングするのにも使用されうる。いかなる場合も、モデル・データベース78は、生成されたモデル並びにその他の情報を外部装置へと供給するのに使用されうる一時記憶機構として作動しうる。
【0040】
図3の構成から明らかなように、分析サーバ58は、モデルの生成および保管並びに、制御モジュール56並びにコントローラ50内のその他の制御モジュールにより作成された要求又は呼出しに応答して開発されたモデルに基づきチューニング・パラメータの開発を行いうる。一実施例において、分析サーバ58は、制御モジュール56の処理時間又はスケジュールに影響又は干渉を及ぼすことなく制御モジュール56から独立して作動する。このため、分析サーバ58がデータを処理するために存在する又は作動しているかどうかに関係なく、制御モジュール56は同じ速度(期間)で作動する。別の言い方をすると、分析サーバ58は、制御ルーチン56の実動作により速度が低下したり干渉されたりすることがないように、実際の制御ルーチン56により使用されていないプロセッサ資源だけを使用して作動するように特別に構成されている。このように、分析サーバ58は、コントローラ装置50において制御ルーチン56と統合されるが、制御ルーチン56の臨界動作により速度が低下したり干渉されたりすることがない。
【0041】
当然のことながら、統合された分析サーバ58は、ユーザの介入を要することなくいかなる所望分析および学習アルゴリズムを実行するために実時間プロセスデータに対して動的に作動し、よって、望ましい場合は、自動的に作動することもできる。更にまた、分析サーバ58は、ここに記載されるように、コントローラ50内の制御ルーチンにより行われるタイムクリティカルな制御を妥協することなくプロセスデータおよび制御データに対して計算集中型アルゴリズム(computationally intensive algorithms)を行う機構を提供し、よって、高速且つ効率的な適応可能チューニング、並びにコントローラ装置内で行われるその他の機能を可能にする。一実施例において、統合分析サーバ58は、特定のプロセス制御ループを対象として複数の学習反復を同時に実行することを可能にする。よって、分析サーバ58は、プロセスの異なる領域に対して異なるプロセスモデルを同時に作成するために、異なる期間、つまり異なる複数組の収集されたプロセスデータに対して、同じプロセス制御ループの呼出し又は要求に基づいて同時に作動しうる。更にまた、統合分析サーバ58は、同時に特定のプロセス制御装置により実施される異なる制御ルーチンに対して複数のプロセス解析が進行状態となることを可能にする。よって、分析サーバ58は、当該異なるプロセス制御ルーチンのモデル又はチューニング・パラメータ或いはその他の情報を生成するために、同時に一つ以上のプロセス制御ルーチンに対してサービスを提供しうる。
【0042】
もちろん、分析サーバ58の出力(つまり、分析サーバ58により生成されたコントローラ・データ)は、コントローラ50内の制御ルーチンに提供される間、いかなる所望の使用目的でユーザ・アプリケーションおよびデータベース・リポジトリなどその他の装置にも提供できる。更にまた、分析サーバ58は、ユーザ(例えば、図1のワークステーション13のうちの一つにおいてインタフェースアプリケーション84を使用するユーザ)と直接にインターフェース接続しうる。このように、ユーザーインタフェース84は、分析サーバ58からデータ(生成されたモデルなど)を読込むのに使用されうるし、 また、分析サーバ58により実施されるアルゴリズムの一つ又は複数を変更又は更新するため、入力待ち行列70を一掃又は修正するため、スケジューラ74が入力待ち行列70についての要求又は呼出しのスケジュールを立てる様態を達成するために分析サーバ58に優先度情報を提供するため、モデル記憶装置76又は78に格納されたプロセスモデルを一気に消去するため、などに使用されうる。
【0043】
上記のように、図3には適応可能PID制御ルーチンで使用するモデル同定技法を実施す
る特定の分析サーバ58が示されているが、サーバのサービスを利用する制御ルーチンと同じ制御装置内に分析サーバを配置するという概念は、その他の制御ルーチン作業(例えば、MPC制御ブロックなどの制御ブロックへ最適化サービスの提供、プロセスから収集されたデータに基づくMPCコントローラにより使用されるMPCモデルなどのモデルの生成、相関分析の実行、プロセスデータなどのフーリエ変換の生成、等)にも適用できる。当然のことながら、あらゆる場合において、制御ルーチンは、所望のアルゴリズムを実行するために、単に同じコントローラ装置内の分析サーバを呼び出しでき、また、サーバ装置は、制御操作が分析サーバの実行により遅れたり阻止されたりすることが決してないようにするために、制御ルーチンの動作に関して非同期にこれらのアルゴリズムを実施しうる。更にまた、一般的に特定の制御ルーチンの各実行中に行う必要のないような計算作業を実行する際に分析サーバが使用されることが最も好ましい。これは、そうしない場合には、特に制御ルーチンおよび分析サーバが同じプロセッサで実行される場合に、分析サーバが過負荷状態となる可能性があるからである。この場合、制御ルーチンは一般に、コントローラ装置内の制御ルーチンの各実行期間ごとに一回又はそれ以下の頻度で分析サーバへの呼出しを行う。
【0044】
ここに記載される統合分析サーバの動作が図1の一次コントローラ11Aなどの第一次制御装置と共に説明されているが、分析サーバは電源異常後の再起動能力を伴う冗長制御装置においても実行されうる。この動作を達成するために、冗長制御装置内の冗長分析サーバ(つまり、冗長した一対のコントローラの一次およびバックアップ(予備用)コントローラ内のサーバ)は、プロセスの正常稼動中にお互いに通信し合うことになり、それによって、一次コントローラが障害を起こした時に分析サーバの動作を実施するために冗長コントローラによって必要とされうる進行中の作動状態関するデータ(例えば、呼出しおよび要求データ、プロセスモデル・データ、等)を共有する。
【0045】
ここで、プロセス制御ルーチンを実施するコントローラ装置内の分析サーバの使用に関する別の実施例を図4を参照して説明する。具体的に、図4のコントローラ11は、オンライン・プロセスを制御するために、対応するプロセス制御ルーチンを定義および実施するいかなる所望の数の制御モジュール150、152および154を備えた状態で示されている。なお、該制御モジュール150、152および154のグループは、オンライン制御システム156を定義する。よって、制御モジュール150、152および154は、作動状態制御環境156に関連して実施されうる、また一般にプロセスの正規且つ計画的な定期制御と関連しうる。図4には特に示されていないが、制御モジュール150、152および154の各々は制御機能ブロックを含むいかなる数の機能ブロックを有しうる。
【0046】
本発明の技法のいくつかの実施形態によると、パラメータ値およびその他の作動条件データは、制御モジュール150、152および154からモデル同定ルーチンを実施する分析サーバ160のデータ収集機能158に送られる。一般的に言えば、パラメータ値およびその他のプロセス作動条件データは、制御モジュール150、152および154およびそれの機能ブロックの実行中に、サーバ160によって利用できるようになる(もしくは、サーバ160に通信される)。制御モジュール150、152および156の実行が計画的定期プロセス制御作業中に連続的に行われるので、パラメータ値およびその他の作動条件データのサーバ160への通信も、連続的に行われうる、或いは、図3を参照して上記される方法で一つ又は複数の呼出しを伴ってサーバ160に提供されうる。
【0047】
オブジェクト指向様式においては、オブジェクト(複数可)又はオブジェクト・エンティティとして分析サーバ160のデータ収集機能158を実施しうる、但し、必ずしも実施する必要はない。その構造に関係なく、データ収集機能158は、いかなるデータ処理手順を含むデータ収集において実施される処理手順を定義する一つ又は複数のルーチンを含みうる。よって、データ収集機能158のルーチンは、例えば一つ又は複数のレジスタ162又はその他のメモリに収集されたデータの記憶機構を統合・調整(coordination)、サポート、又は実施しうる。データ収集機能158により実行される処理手順には、以下説明されるように、制御モジュール150、152および154からいつデータを収集するか決定することを含みうる。
【0048】
更に概して言えば、データ収集機能158は、パラメータおよびその他の作動条件データの自動収集、採集、受信又はその他の処理をサポートするために一つ又は複数のルーチンを含みうる。パラメータおよびデータの自動収集又はその他の処理がデータ収集機能158により実施される限り、オンライン制御システム156、制御モジュール150,152,154およびそれのいかなる制御ブロックに配置される計算要求条件は少なくて済む。このように(分析サーバ160により実行される)モデル同定処理手順を制御機能ブロックから分離した結果、モデル同定情報が有効になっていようが無効になっていようが、機能ブロックメモリおよび実行要求条件は同じになる。更に、パラメータ数、および適応(即ち、適応制御)をサポートするために制御ブロックに追加される関連必要メモリが最小限になる。
【0049】
また、オンライン制御システム156および分析サーバ160の分離により、いくつかの実施形態において分析サーバ160又はそれの構成素子(例えば、データ収集機能158など)を無効に設定することが可能になる。モデル同定情報を無効にすることは、例えば、コントローラ11が計算およびその他の処理を行うにはメモリ又は時間が不十分であると判断された場合などに役立ちうる。これに関連して、適応制御を提供する際に同定されたモデルを使用することによってもまた、ループごと、部位ごと、システムごと、又はコントローラごとに有効又は無効の設定を行うことが可能になる。
【0050】
分離した個々のモデル同定機能性はまた、プロセス入力変化の統合・調整をサポートする。コントローラ11におけるモデル同定が一つのプロセスに集中されているが故に、このような調整が可能になる。例えば、設定点への変更がなされない場合は、分析サーバ160(またはその他の要素またはルーチン)により実施されるモデル同定は、自動的にコントローラ出力の変更を投入する。これらの変更は、プロセスの動作に対する影響を最小限にする方法で統合・調整されうる。よってこれらの変更は経時的に分散されうる。
【0051】
また、モデルの同定を別々に行うということは、モデル同定のためのデータ処理がコントローラ11にとっての自由時間又は稼動停止時間中に(或いはコントローラ11により適切と見なされるその他のいかなる時点において)実行されうるということも意味する。結果として、モデル同定処理の実施によって、例えばオンライン制御システム156により提供される計画的定期制御機能性への悪影響を避けることができる。よって、いくつかの実施形態では、プロセスがオンラインである間、又は計画的定期制御を実施中およびコントローラ11のその他のモジュール又は構成素子によりなされるその他の作業を実施中戦略的に有利な時点において、サーバ160により実施されるモデル同定処理手順を、コントローラ11によってバックグラウンドで実施しうる。
【0052】
いくつかの実施形態において、制御ブロックが実行する時は常に、パラメータ・データおよびその他のデータは、制御モジュール150、152および154からデータ収集機能158に自動的に送られる。この意味では、データ収集機能158は、プロセスの作動中のいかなる時点においてもデータ収集処理手順をサポートできるように継続的に実施されうる。制御の実行がスケジュールされていない場合、データ収集機能158はその間、プロセスモデルが生成されるべきか(例えば、作成されるべきか、又は同定されるべきか)どうかを決定するために収集されたデータを調査しうる。代替的な実施形態において、コントローラ11は、収集されたデータを定期的に又は他の何らかの計画された様態において調査(もしくは、処理)しうる。
【0053】
一般に、データ収集機能158により収集されたデータは、コントローラ11(又は、更に概して言うと、プロセス制御システム10)により実施されるプロセス入力および出力用の値または特定の制御ループ用の作動設定点を含みうる。トリガーイベント前に始まり定常状態に到達するまでの期間、これらのパラメータの各々に対して値が収集且つ格納される。場合によって、トリガーイベントは、例えばプロセス入力又は設定点における変更に関するデータ収集機能158による検出に関与しうる。
【0054】
場合によって、トリガーイベントを構成するものは、制御ループの作動状態のモードに依存しうる。制御ループが「自動」作動モードにある場合には、該ループが、オペレータに指定された設定点でプロセス出力(つまりループの被制御パラメータ)を維持するためにコントローラ出力(つまり被操作プロセス入力)を継続的に調節する。よって自動モードにおいては、設定点の変更がプロセス入力および出力の変更を分析する(よってモデルを開発する)トリガを構成することになる。オペレータが設定点を全く(又は、まれにしか)変更せずループが自動モードのままになっている場合、モデルを作成するトリガが存在するようにわずかな変更がコントローラ出力に投入されうる。
【0055】
ループは、「マニュアル」モードにある場合には、コントローラ出力がオペレータにより設定される(つまり、制御アルゴリズムが出力を調節しない)。よって、マニュアル・モードにおいて、オペレータに導入された出力の変更は、モデルを取得するために分析工程入力および出力のトリガを構成する。上述のトリガーイベントはフィードバック・モデルの開発に使用されうる。フィードフォワード・モデルの同定については、フィードフォワード入力値の変更がトリガーイベントでありうる。
【0056】
一旦トリガーイベントが検出されると、オンライン制御システム156およびデータ収集機能158は、データ収集をサポートするためにいかなる所望の様式において通信し合う。いくつかの実施形態において、制御システム156によりデータ収集が図られる。これは、トリガーイベントの検出も示しうる。より具体的には、制御モジュール150、152および154により実施される制御ループは、継続的にデータへのアクセスを提供しうる、又はそれ以外の場合は、利用可能なデータを作成しうる。結果として、トリガーイベントの前から暫くの間収集されたデータもプロセスモデルを決定するために分析されうる。例えば、データが収集されたPID制御ループは、ブロック実行(例えば、PV)、ブロック出力値(例えば、OUT)、フィードフォワード制御入力値(例えば、FF#VAL)、設定点、およびループの作動モードを示すいかなる一つ又は複数のパラメータにおいて使用されるプロセス変数に対する新しいデータ値へのアクセスを提供しうる。場合によって、データ収集機能158は、パラメータ又はその他のデータ値の選択を図りうる。その代わりに、又はそれに加えて、モデル同定アルゴリズムを実施する分析サーバ160は、どのパラメータを収集する必要があるかを決定する構成リスト・ブロック164(複数可)を含みうる。そのためには、構成リスト・ブロック164は、系列データ用のメモリ又はその他の記憶機構を含みうる。同定されたパラメータと共に格納されるものとして、モデルが作成されることになっている制御ブロック又はモジュールのリスト又はその他の識別子が挙げられうる。
【0057】
トリガーイベントと関連するデータ収集に続くある時点において、分析サーバ160はモデル同定アルゴリズム又は計算ルーチン166を実施しうる。また、モデル計算ルーチン166は、単に計算を行うだけではなく、計算されたモデルの分析も行いうる。このような分析には、(数ある中でも特に)モデルの品質を決定するための診断を処理且つ又は制御することが関与しうる。その後、計算されたモデルは、各制御ループに対して前回同定されたモデル(複数可)を保持する記憶機構又はその他のブロック168に転送されうる。場合によって、制御ループは、例えば、フィードバックおよびフィードフォワード制御の両方をサポートするために格納されたモデルを二つ備えうる。図4に示されるように、計算されたモデルは、ルーチン166のモデル診断によりモデルの品質が決定された後、およびその品質に応じてブロック168に送られる。
【0058】
また、モデルの品質は、制御モジュール150、152および154の制御機能ブロックにモデルが転送されるかどうかの決定要因となりうる。図4の代表的な実施形態において、制御モジュール150、152および154の各々は、適応制御を有する制御ループを少なくとも一つ組み入れ、しかるべく、図示されるような分析サーバ160により実施されるモデル同定ルーチンからプロセスモデルを受け取る。但し、開示の技法により計算された(もしくは、同定された)モデルは、ブロック166により決定された前記モデルの品質に基づいて(また場合によっては新規モデルを受け取る制御機能ブロックの作動状態に基づいて)処理および提供されうる。
【0059】
ここで図5を参照するに、ワークステーション13のうちの一つを使用するユーザは、ワークステーション13で実施されるチューニング又はその他のアプリケーション170を介して提供される実時間データ又は履歴に基づくデータを選択することによりプロセスモデルの作成を開始しうる。ユーザによって開始されたこのようなプロセスモデルの作成は、図4を参照して記載される処理に加えて行われうる。実際、図5に示される代表的な実施形態において、チューニング・アプリケーション170により作成されたモデルが送られるところのコントローラ11は、分析サーバ160およびその構成部分(つまり、データ収集機能158、モデル計算ルーチン166、等)も含む。
【0060】
プロセスモデルを作成するのに使用されるパラメータ値およびその他の作動条件データの供給源とは別に、ワークステーション13は、プロセスモデルの作成に向けて同じ又は類似した段階を実施しうる。例えば、ワークステーション13は、コントローラ11のブロック166に類似するモデル計算および診断モジュール又はブロック172を含みうる。しかるべく、モデル計算ブロック172は、図示される如くブロックをコントローラ11および記憶ブロック168に送る前に、又はそれに関連して、作成されたブロックの品質およびその他の態様を決定しうる。
【0061】
いくつかの実施形態において、ワークステーション13は、類似した機能性を提供する付加的又は代替的なアプリケーションを備えうる。ある場合は、その他のアプリケーションが、開示の技法を介して同定されたプロセスモデルの分析且つ又は点検をサポートする一つ又は複数の表示インターフェースを提供しうる。しかしながら、追加のプロセスモデルの生成に関連して、これらのワークステーション・アプリケーションは、モデルの作成に使用するプロセスデータを選択する機会を提供するトレンドウィンドウ又は表示インターフェースを生成しうる。これらのトレンドウィンドウ又はその他のインターフェースを使用して、ユーザは、タイムウィンドウを含むデータを選択しうる。このような場合、定常状態への時間は、ユーザにより選択されたタイムウィンドウを介してしかるべく決定されうる。代替的な実施形態おいては、マニュアル操作で又は自動的にタイムウィンドウを選択するために使用されるその他の機構を提供しうる。
【0062】
上記のように、開示の技法の実施法は適応制御ルーチンを実施するシステムに限定されない。但し、望ましい場合は、このようなルーチンをサポートするために、開示の技法を介してプロセスモデルの同定を利用しうる。
【0063】
図6に示されるように、開示の技法に関連して使用するための適応制御機能ブロック174は、上記のように同定された所定数(例えば、5つ)のプロセスモデルを保存又は格納するために、一つ又は複数のメモリ又はその他の記憶機構176を含みうる。その後、作動中に、メモリ176に格納されたプロセスモデルの一つが、一つ又は複数のパラメータに応答する論理ブロック178を介して使用するために選択されうる。図6の代表的な実施形態において、ブロック178は、(入力180を介して提供される)選択されたもしくは所定のプロセス状態パラメータに基づいてプロセスモデルを選択する。その他の二つのパラメータ182および184もまた、該決定の際に依存されるものでありえ、且つ、作動状態が変化状態に適応することを可能にするフィードバック且つ又はフィードフォワード規則又は設定に対応しうる。
【0064】
機能ブロック174のプロセスモデルは、作動領域(例えば、図示される領域1、領域2、等)と関連しうる(但し必ずしも関連する必要はない)。また、該プロセスモデルは、機能ブロックの制御法に準じて二つ一組で同定されうる。この代表的な事例において、各領域は、フィードバックおよびフィードフォワード処理の両方をサポートする一対のプロセスモデルの決定因となる。該領域が選択された時点で、該一対のフィードバックおよびフィードフォワード・モデルは各々にフィードバックおよびフィードフォワード・チューニング・パラメータを計算するためにブロック178により利用されうる。図6に示される代表的な事例において、フィードフォワード・チューニング・パラメータは、同じく(例えば)不感時間およびリード/ラグの動的補償のためのフィードフォワード制御入力値(例えば、FF#VAL)に応答する動的補償ブロック188に提供される。動的補償の結果は、フィードバック・チューニング・パラメータと共に、機能ブロック用の制御アルゴリズムの実施をつかさどるブロック又はルーチン188に送られうる。この場合、フィードバックおよびフィードフォワード・パラメータがPIDおよびファジィ論理アルゴリズムを修正変更するが、いかなる制御法(または制御法の組合せ)を利用しうる。
【0065】
機能ブロック174はまた、オンデマンド(要望に応じた)制御ループ・チューニングの修正変更をサポートするためのブロック又はルーチン190を含んでいる。この目的を達成するために、ブロック190は、コントローラ11、ワークステーション13、又はプロセス制御システム10のその他の要素(或いは、プロセス制御システム10と通信するその他の装置)を介して入力されたユーザーコマンドに応答しうる。一般に、ループに対して自動的に同定されたモデルは、要望に応じて、ループ・チューニングを設定するために選択されたチューニング規則と共に使用されうる。モデルが前もって同定されていない場合、ユーザーコマンドは、コントローラ出力の変更を投入するためにリレーの振動又はその他の技法を開始しうる。その後、その結果として得られる(コントローラ出力の変更に対するプロセス応答から開発された)プロセスモデルは、ループ・チューニングを設定するか又はチューニング推奨を提供するために選択されたチューニング規則と共に使用されうる。
【0066】
場合によっては、ブロック190を介して又はトリガーイベント(例えば、設定点又はその他のパラメータ値の変更)の結果として生成されたプロセスモデルがまず、コントローラ11又は機能ブロック174にダウンロードされる前の表示用に保持されうる。例えば、このようなモデルは、ユーザーインタフェースを介しての分析によって実施の承認が提供されるまで「未承認モデル」として分類されうる。いくつかの実施形態において、このような承認は、その代わりに又はそれに加えて、コントローラ11又はワークステーション13の診断又はその他の機能性を介して自動的に提供されうる。
【0067】
図7は、複数の異なる作動領域もサポートされる適応可能MPC制御ブロック192の構成に関連する適応可能ブロックの枠組みを示す。この構成において、分析サーバ160により実施されるモデル同定ルーチンを介して同定される複数のプロセスモデルは、図示される如く、なおも(図6のメモリ176に類似する)メモリ又は記憶機構194に送られうるが、モデル・パラメータは、機能ブロック192における実施前にMPCコントローラ生成ルーチン196により処理されうる。より具体的には、ルーチン196は、同定されたモデルに基づいて、対応する記憶用MPCコントローラをメモリ198に生成しうる。その後、論理ブロック200は、図示される如く、入力又はメモリ202、204および206を介して提供される状態パラメータおよびその他のパラメータの変更に基づいてMPCコントローラを生成するのに使用されるモデル間で選択又は切り替えを行いうる。
【0068】
その後、該選択されたプロセスモデルに関連したMPCコントローラは、オンライン・プロセスにおける実施用にMPCコントローラ・ブロック208に提供されうる。MPCコントローラ・ブロック208は、選択されたMPCコントローラの自動オンデマンド・テスト(要望に応じて、妨害入力210の導入又はそれ以外のものにより始動されうる)をサポートしうる。
【0069】
場合によって、図6および図7に示される代表的な適応制御機能ブロック(並びに開示の技法で使用するその他のブロック)は一般に、学習モード、スケジュール・モードおよび適応可能モードといった三つの作動モードをサポートする。学習モードにおいては、プロセスモデルがループ・チューニングを決定するために収集されうるが、それが自動的に使用されるわけではない。スケジュール・モードにおいては、新規のプロセスモデルが収集され、そして承認された当該モデルはループ・チューニング・パラメータを決定するために自動的に使用されることになる。適応可能MPCブロックの場合には、コントローラが現行の作動領域と自動的に切り換わるので、このような承認且つ適用されたモデルはその後、現行の作動領域に準じて制御の生成に使用されることになる。適応可能モードにおいては、プロセスモデルが、収集され自動的に承認された後に、ループ・チューニング・パラメータを決定するのに自動的に使用される。各機能ブロックごとのデフォルト設定が学習モードでありうる間、例えばワークステーション13で実施されるアプリケーションの一つを介して提供される表示インターフェースは、要望に応じて、設定を変更する機会を提供しうる。
【0070】
ここで図8を参照するに、ワークステーション13により実施される一つ又は複数のアプリケーションは、開示の技法を介して同定されたプロセスモデルおよび制御ループの性能監視、分析、管理および関連機能性を提供する。例えば、性能監視機能は、同定されたプロセスモデルを示すデータがそれ以降の使用又は分析用に登録されるプロセスモデル履歴の生成を含みうる。プロセスモデル履歴の生成および使用に関するその他の詳細を以下に記載する。あるレベルにおいて、履歴データは、開示の技法により同定された各プロセスモデルを完全に定義するプロセスモデル・パラメータ(例えば、不感時間、時間定数およびゲイン)を指定しうる。当該の履歴に基づくデータを装備することにより、制御ループ、それのチューニング、制御法(例えば、適応可能か否か)などに関して複数の解析を行いうる。
【0071】
いくつかの実施形態において、プロセスモデル履歴の一つの態様は、同定されたプロセスモデルのイベント・クロニクル(事象記録ツール)の生成に向けられる。より具体的に、コントローラ11(図4)において自動的に又は要求に応じて実時間又は履歴に基づくデータ(図6)からのいずれかによってプロセスモデルが同定された時は常に、分析サーバ160により実施されるモデル同定ルーチンは、イベント・クロニクル又はトラッキングモジュール212に警告(またはその他のメッセージ)を送信しうる。イベント・クロニクル・モジュール212は、モデル同定の日時を指定するデータを(特定の制御ループ、装置、工場領域などとのモデルの関連性を図るその他のいかなるデータと共に)生成することにより警告に応答する。図8に示される代表的な実施形態において、各イベント用に格納されたデータには、ノード又は制御ループに関連した装置のタグ名、日付・時刻スタンプ、モデル・タイプ(例えば、不感時間、時間定数およびゲインなどのパラメータの同定による)、制御ループタイプ(例えば、機能ブロック)、工場領域番号、チューニング規則および制御性能の診断指標が含まれる。前述の(又はその他の)データは、例えば、データセットに一つ又は複数の要素を追加しうるアプリケーション216により処理した後プロセスモデル履歴の一部としてデータベース214に格納されうる。アプリケーション216は、各制御ループのチューニングの監視 且つ又は管理に宛てられた一つ又は複数のルーチンに対応しうる。
【0072】
データベース214は、このような履歴に基づくデータを、システム10内の複数のコントローラ11に存在し且ついずれか特定タイプのコントローラとの併用に必ずしも限定されない制御ループに対して格納しうる。例えば、データベース214は、このようなデータを、サードパーティ・コントローラのために格納しうる。
【0073】
再び図1に戻って説明すると、一般的な事例では、ワークステーション13は、いかなる認定ユーザ(例えば、システム構成エンジニア、オペレータ、等)によりプロセス工場10内で接続される装置やユニットなどに関する機能性を表示且つ提供するためにアクセスされうるパッケージ化された一式のオペレーターインターフェース・アプリケーションおよびその他のデータ構造240を(個々に、分散して、又はその他いかなる様式でのいずれかによって)含む。該パッケージ化された一式のオペレーターインターフェース・アプリケーション240は、ワークステーション13のメモリに格納される。また、該パッケージ化アプリケーション240内のアプリケーション又はエンティティの各々は、各ワークステーション13に関連した各々のプロセッサで実行されるように適合される。パッケージ化されたアプリケーション240の全ては、ワークステーション13に格納された状態で図示されているが、これらのアプリケーション又はその他のエンティティの中には、システム10内の、又はシステム10に関連する、或いはシステム10と通信状態にあるその他のワークステーション又はコンピュータ機器に格納されそこで実行されうるものもある。更に、パッケージ化されたアプリケーション240は、ワークステーション13に関連した表示画面14又はその他所望の表示画面又は表示装置(携帯型装置、ラップトップ、その他のワークステーション、プリンタなどを含む)に表示出力を提供しうる。同様に、パッケージ化されたアプリケーション240内のアプリケーションを二つ以上のコンピュータ又は機械に分けて実行してもよく、また、お互いに関連して機能するように設定しうる。
【0074】
図9を参照して具体的に説明すると、パッケージ化されたアプリケーション240には、複数のアプリケーション、ルーチン、モジュール、および、ここに記載されるような制御システム10でのモデルベース監視および管理の実施に宛てられたその他の処理手順要素が含まれうる。該アプリケーション、ルーチン、モジュールおよび要素は、ソフトウェアやファームウェアおよびハードウェアのいかなる組合せを介して実施されうるものであり、ここに記載される代表的な構造に限定されるものではない。例えば、一つ又は複数のアプリケーションはいかなる所望の範囲で統合されうる。
【0075】
該アプリケーションパッケージ240は、上述の技法を介してモデルが同定される際にプロセスモデル・データ(例えば、パラメータ)の記録のためのサポート専用に設けられるヒストリアン・アプリケーション248を含みうる。この目的を達成するために、ヒストリアン・アプリケーション248は、ヒストリアン・データベース12(図1)又は、その他のメモリ又は記憶機構と共に通信しうる。上記のように、プロセスモデル・データは、プロセスモデルの同定(またはそれに至るデータの収集)を時系的に記録するデータに関係又は関連した状態で格納されうる。また、ヒストリアン・アプリケーション248は、選択されたモデルのパラメータに対して合計、平均およびその他の値の計算などの分析機能性を提供しうる。ヒストリアン・アプリケーション248は、一つ又は複数の表示インターフェースを介して、このような計算値(並びに根底をなす格納データ)の表示を図りうる。
【0076】
表示インターフェースは、コントローラ11との通信のサポートに向けられたアプリケーション252により提供されうる。このような通信には、コントローラ11で実行する適応制御ルーチンの構成および維持管理が関与しうる、又は含みうる。アプリケーションパッケージ全体にわたっていかなる形態をとりうるように、表示インターフェースは、ダイナモ制限なく、フェイスプレート、詳細表示、ダイアログボックスおよびウィンドウなどのいかなる形態をとりえ、且つ、異なる表示方式での表示用に構成されうる。
【0077】
アプリケーションパッケージは、チューニングに関するプロセスモデル情報の利用専用に設けられるアプリケーション254を含みうる。上述のモデル同定技法の結果、チューニング・アプリケーション254は、工場で日常茶飯事生じる通常の変更又は要求に応じたチューニング・テストからチューニング・パラメータを自動的に計算することにより、プロセス制御の性能を向上させることに向けられる。チューニングの結果は、「開ループ」チューニング推奨および「閉ループ」適応制御の両方に使用されうる。
【0078】
より具体的には、チューニング・アプリケーション254は、開ループの動作又は閉ループの動作のいずれかにおける全制御ループの連続チューニング計算の性能をサポートするために複数の表示インターフェースを生成しうる。該チューニング計算は、PID、ファ
ジィ論理およびMPCコントローラにて標準制御および適応制御の両方をサポートし、よっ
て、フィードバック制御およびフィードフォワード制御の両方に対してチューニング推奨を提供する。また、チューニング・アプリケーション254は、リレーの振動又はその他の処理手順のいずれかを使用して、上記のように、要望に応じたチューニングを提供しうる。
【0079】
チューニング・アプリケーション254は、ヒストリアン・データベース12(或いは、要望に応じてその他のところ)に格納されたプロセスモデル履歴データにアクセスでき、よって、履歴に基づくプロセスモデル・データを使用して、最適のチューニングを計算しうる。当該の目的を達成するために、表示インターフェースは、簡単にこのようなチューニング計算に適するデータを捜し出して選択するために簡単な方法で履歴を閲覧できるツールを提供しうる、又は含みうる。一般に、このようなチューニング・アプリケーション254により生成された表示インターフェース(複数可)の態様は、ユーザが、モデル・パラメータ(例えば、イベント・トリガー閾値、定常状態に到達する時間)を変更することおよびモデルを再同定すること、又は自動モデル同定用に前もって有効に設定されているループのモデルを同定することを可能にする。また、チューニング・アプリケーション254は、チューニング計算結果の履歴の分析をサポートするインターフェースを提供しうる。この能力によって、適応制御機会の分析および適応制御構成の改善を図りうる。
【0080】
上記のように、チューニング・アプリケーション254は、マニュアル操作によるプロセスへの変更がわずかな時に、つまり、コントローラ出力への自動投入が行われる時に、コントローラ・チューニングを識別するのに役立つ制御「摂動」の導入をサポートするインターフェースを提供しうる。一旦良好なチューニングが計算された時点で摂動を無効にするオプションがインターフェースを介して提供されうる。複数の制御ループに摂動が与えられると、その動きはプロセス外乱を分散して最小にするために同期化されうる。
【0081】
チューニング・アプリケーション254は、プロセス状態およびその他の状態指標に応答しえ、またそれに応じていかなる計算結果が同定されうる。このように、開示のシステムは、間違った状態において、又は不良のプロセスデータで計算された情報が使用されることを避ける。当該の目的を達成するために、モデル関連の計算は、適切な場合には注釈を添えて結果が良いか悪いか又は該当するものが無いかなどを示しうる。チューニング・アプリケーション254はまた、数ある中でも特に、チューニング推薦情報および(チューニング変更およびあらゆる適応制御チューニング分析が文書として記録される)ユーザログを含む要約レポートを生成しうる。
【0082】
なおまた、アプリケーション256は一般に、開示の技法を介して同定されたプロセスモデルを利用しての自動制御性能監視に向けられる。より具体的に、アプリケーション256は、(i) 制御向上の機会の識別と、(ii) 制御問題の原因の分析・診断と、(iii) 稼動要員、制御要員および保全要員にとって有意義な性能報告の生成と、を自動的に
図る又は実施することにより、プロセス制御性能を向上させることを目的とする。この目的を達成するために、アプリケーション256は、プロセスモデルに基づいて制御性能指標を生成しうる。この「モデルベース」指標は、再チューニングを必要とする制御ループを同定する際により良い水準基標を提供する。新しい指標は、プロセス変動性、同定されたプロセスモデル、および既存のコントローラ・チューニングなどの因子に基づいて、制御を向上できる機会を測定する。このような性能監視においては、該当する場合はユニット状態が考慮され、ループが不適当なユニット状態にある時、或いはその他の状態指標(例えば、Fieldbus状態)又はI/O通信に不具合がある時には、性能計算が除外される。また、バルブの静摩擦や緩みおよび、その他のバルブ診断指標も、全バルブを対象にして提供されうる。
【0083】
前述の機能特性、および以下説明されるものは、一般に、開示の技法を通じて自動的に作成されるプロセスモデルを利用して実行される制御性能の比較を介して提供される。プロセスモデルの使用により、制御の性能に影響するプロセスのチューニング不良制御ループおよび変更を識別しうる。プロセスモデルにおける履歴に基づく値からの逸脱は、発生する可能性のあるプロセス問題として制御ループにフラグを立てるのに使用されうる。
【0084】
繰り返して言うが、プロセスモデルを使用することにより、振動指標もまた、振動しているループを識別するためにアプリケーション256により生成しうる。より具体的に、振動分析ツールは、同じ振動周期を有し一次ループと交信しうるその他のループを識別しうる。その後、この情報はプロセス交信および可能な設計推奨を識別するのに使用されうる。
【0085】
アプリケーション256により提供される診断情報には、推測される制御性能不良の原因の指標が伴いうる。例えば、制御性能不良が、計装エラー、バルブの静摩擦又は緩み、プロセスの交信又はコントローラのチューニングによりもたらされたのかどうかが診断によって示されうる。
【0086】
一般的に言って、制御性能監視情報は、カスタマイズされた複数の表示インターフェースおよびレポートなど、いかなる所望の形態で提供されうる。制御ループがユーザに指定された期間どのように実行されたかを表示するために、履歴に基づく性能レポートを提供しうる。このようなレポートの既定期間には、前回の時間、前回のシフト(8時間)、前回の日付、前回の週、前回の月が含まれる。ユーザが詳細なループ情報にアクセスできるようにするために、要約レポートから「掘り下げる」オプションをユーザに提供しうる。レポート又はインターフェースは、管理要約用に、例えば、全工場および個々のプロセス
ユニットの統括的補正性能指標や、現在の期間を以前の期間と比較した傾向表且つ又は一覧表および対応する性能計測を伴う優先ループのリストなどでカスタマイズしうる。保守保全レポートは、制御ループの性能指標を提示し、それらの工場の稼動に関係する重要性に基づいて作業項目の優先度を調整しうる。その他のレポートは、制御性能指標、標準偏差、振動指標、プロセスモデル(利用可能な場合)、自動および相互照合、ヒストグラム、パワースペクトル、などのためのデータを含む統計を提供しうる。
【0087】
また、アプリケーションパッケージ240は、別の制御ループ分析アプリケーション258を含みうる。また、いくつかの実施形態において、アプリケーション258は、アプリケーション256により生成される表示インターフェースを介して利用できるようになる。いかなる場合も、アプリケーション258は、上述のモデル同定技法に関連して収集された実時間データ又はヒストリアン中のデータの分析をサポートする。該データは、制御中における未測定外乱および測定ノイズからの偏差の調査を図るインターフェースを介して提示されうる。例えば、アプリケーション254および256を介して識別された問題は、診断を行うために、分析アプリケーション258を使用して更に調査されうる。それによって生成された表示インターフェースは、当該の目的を達成するために、パワースペクトル、自己相関およびヒストグラム・データを計算するオプションを提供しうる。
【0088】
一般に、アドバイザ・アプリケーション260は、チューニング又はアルゴリズムの変更によって制御方式を向上させる機会又は異常状態を検出するために、診断に関連して同定されたモデルを利用する機能性を提供しうる。アドバイザ・アプリケーション260により提供された情報は、ワークステーション13、コントローラ11又はシステム10と通信状態にあるその他の要素を介して生成されたフェイスプレートを含むいかなるタイプの表示インターフェースにおいて提供されうる。特定の一実施例において、表示インターフェースは、「チューニングをチェックしてください。」など、新しい助言メッセージの表示を示すためのフラグを有しうる。
【0089】
更に概して言えば、アドバイザ・アプリケーション260は、パッケージに含まれるアプリケーションのいずれかにより実行された分析又は診断の結果として生成された推奨を提供しうる。更に、アドバイザ・アプリケーションにより生成された表示インターフェースにより該推奨を提供する必要はないが、むしろ、パッケージに含まれるアプリケーションのいずれか一つ又は複数に該推奨を送信して表示することが好ましいと言える。よって、「新規チューニングが利用可能です。」、「プロセスの調査を行ってください。工程内に著しい変更が検出されました。」、「バルブをチェックしてください。不感帯/履歴現象が大き過ぎます。」、「チューニングをチェックしてください。ループが不安定です。」、「MPC/適応を使用して制御を改善することができます。」、などの推奨およびメッ
セージは、一般に、ワークステーション13又は、プロセス制御システム10と通信状態にあるその他の装置を介して提供されうる。メッセージ又は推奨の表示に加えて、根底をなす条件に関する詳細を、制御ループ用の履歴又はその他のパラメータとして格納しうる。それ以降は、制御ループ用に格納されたデータにアクセス又はそれを使用することによって、パッケージに含まれる助言アプリケーション又はその他のアプリケーションのユーザに対して詳細又は関連するメッセージを表示することが可能になる。
【0090】
本開示技法の実施もサポートするその他のアプリケーションは、プロセス制御システム10内のナビゲーションを図る制御スタジオ・アプリケーション262および、前記レポートの生成を行うためのレポート生成アプリケーション264を含む。最後に、一つ又は複数のメモリ又はデータベース266もアプリケーションパッケージの一部として提供されうる。
【0091】
上述のアプリケーションのいかなるものを、一つ又は複数の統合アプリケーションのルーチン、モジュール又はその他の構成素子として実施しうる。開示されるアプリケーション機能性の構造は、単に本発明の実例による説明を簡単にする目的で提供されているに過ぎず、オペレータ又はその他のユーザに該機能性を提供できる様態を広範にわたり記述したわけではない。更に、上述のアプリケーションは、要望に応じ、ユーザープロファイル、背景や前後関係およびその他のパラメータによって様々な形態において提供されうる。例えば、あるタイプのユーザ(例えば、技術設計ユーザ)用に生成された表示インターフェース表示ビューは、異なるタイプのユーザ(例えば、保守保全ユーザ)用に生成された表示ビューとはその背景や前後関係およびその他の状態が異なりうる。
【0092】
ここに記載されるソフトウェアのいかなるものは、実施に際して、磁気ディスク、レーザーディスク又はその他の記憶媒体又は、コンピュータやプロセッサのRAM又はROMなどのいかなるコンピュータ読取り可能メモリに格納されうる。更に、例えば、コンピュータ読取り可能ディスク又はその他の可搬コンピュータ記憶機構上で、或いは、電話回線、インターネット、ワールド・ワイド・ウェブ、その他のローカルエリアネットワーク又は広域ネットワークなどの通信チャンネルを通して、などのいかなる周知又は所望の配送方法を使用してユーザやプロセス工場又はオペレーターワークステーションにこのソフトウェアを提供しうる。なお、このような配送は、可搬型記憶媒体を介して該ソフトウェアを提供するのと同じ又は類似的な意味を持つと見なされる。更に、このソフトウェアは、変調又は暗号化することなく直接提供されうる、又は、通信チャンネルを通じて伝送される前に、適切な変調搬送波且つ又は暗号化技法のいかなるものを使用して変調且つ又は暗号化されうる。
【0093】
上記において、特定の実施例(本発明を例証する実施形態に過ぎず、本発明を限定するものではない)を参照して本発明を説明したが、通常の技術を有する当業者にとっては、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、ここに開示される実施形態に変更、追加又は削除が生じうることが明らかであろう。
本発明のシステムおよび方式には様々な形式実施形態を適用することが可能であるが、ここにおける開示は例証に過ぎず、本発明をここに記載および図示される特定の実施形態に限定するものではないという認識の元に、本開示に関する特定の実施形態のみが図示され、および上記で説明されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9