(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態では、タッチパネルに対して、1点による入力を行った場合と、同時に2点以上による入力を行った場合とで、電動ユニットの動作の制御を変更する顕微鏡システムについて説明する。
【0014】
本発明の実施形態に係る顕微鏡システムで用いられる電動ユニットの動作を制御するための操作を行う顕微鏡コントローラは、タッチパネル部、機能設定部、入力検出部、制御部、通信制御部を備える。
【0015】
タッチパネル部は、外部からの物理的接触による入力を受け付けると共に、表示機能を有する。タッチパネル部は、例えば本実施形態で言えば、タッチパネル207に相当する。
【0016】
機能設定部は、前記電動ユニットを操作するための操作機能を前記タッチパネル部の所定の表示領域に設定する。機能設定部は、例えば本実施形態で言えば、CPU201に相当する。
【0017】
入力検出部は、前記操作機能が設定された表示領域である操作表示領域に対して行われた前記物理的接触による入力を検出する。入力検出部は、例えば本実施形態で言えば、タッチパネル制御部206に相当する。
【0018】
制御部は、前記検出された入力結果に基づいて、前記操作表示領域に対して前記入力された位置を示す入力点の数及び該入力点の移動態様を判定し、前記判定された前記入力点の数に応じて、前記電動ユニットの動作態様を決定し、該決定した移動態様に基づいて、前記電動ユニットの駆動を制御する指示を行うための制御指示信号を生成する。制御部は、例えば本実施形態で言えば、CPU201に相当する通信制御部は、該電動ユニットの動作を制御する外部装置に対して、前記制御指示信号を送信する。通信制御部は、例えば本実施形態で言えば、通信制御部205に相当する。
【0019】
このように構成することにより、タッチパネルを用いて電動ユニットの操作を行う場合のその操作性の向上させることができる。
また、前記電動ユニットが電動ステージであるとする。そして、前記操作表示領域に対して該電動ステージを移動させる操作機能が設定されている状態で、操作表示領域に対して該電動ステージを移動させる操作が行われたとする。このとき、前記制御部は、前記判定の結果、前記入力点が1点の場合と、所定の入力点が検出されている際に該所定の入力点以外の入力点が1点以上検出されている場合とで、前記電動ステージの移動距離を変更することができる。
【0020】
このように構成することにより、タッチパネルに対して同時に入力された入力点の数に応じて、電動ステージの移動距離を変更することができる。
また、前記制御部は、前記判定の結果、前記操作表示領域において前記入力点が所定方向に連続して変化した際において、該入力点が1点の場合と、所定の入力点が検出されているときに該所定の入力点以外の入力点が1点以上検出されている場合とで、前記電動ステージの移動距離を変更することができる。
【0021】
このように構成することにより、タッチパネルに対して1つの入力点によるドラッグ動作か、または2つ以上の入力点によるドラッグ動作かに応じて、電動ステージの移動距離を変更することができる。
【0022】
また、前記制御部は、前記判定の結果、前記操作表示領域において、1点による入力点が所定方向に連続して変化した場合と、一方の入力点の位置が不変である間に他方の入力点が所定方向に連続して変化した場合とで、前記電動ステージの移動距離を変更することができる。
【0023】
このように構成することにより、タッチパネルに対して1つの入力点をドラッグ動作させたか、または一方の入力点を固定したまま他方の入力点をドラッグ動作させたかに応じて、電動ステージの移動距離を変更することができる。
【0024】
また、前記制御部は、前記判定結果より、前記操作表示領域に入力された入力点の数に応じて、前記操作表示領域に設定された操作機能の対象となる第1の電動ユニットとは異なる第2の電動ユニットを制御の対象とすることもできる。
【0025】
より具体的には、前記第2の電動ユニットは、前記電動ステージを光軸方向に移動させる光軸方向駆動部、光源装置、電動レボルバ、光学素子ターレット、または検鏡方法を制御する顕微鏡制御装置である。このとき、前記制御部は、前記光軸方向駆動部により光軸方向への前記電動ステージの移動、前記光源装置により調光量の調整、前記電動レボルバにより対物レンズの切換え、前記光学素子ターレットによる光学素子の切換え、前記顕微鏡制御装置により検鏡方法の切換えのいずれかを実行させるための前記制御指示信号を生成する。
【0026】
このように構成することにより、電動ステージ以外の電動ユニットについても、タッチパネルに対して同時に入力された入力点の数に応じて、その動作を制御することができる。
【0027】
また、顕微鏡システムが前記顕微鏡コントローラを備えていてもよい。
以下に発明の実施形態について詳述する。
図1は、本実施形態における顕微鏡システムの構成例を示す。顕微鏡装置1には、透過観察用光学系として、透過照明用光源6と、透過照明用光源6の照明光を集光するコレクタレンズ7と、透過用フィルタユニット8と、透過視野絞り9と、透過開口絞り10と、コンデンサ光学素子ユニット11と、トップレンズユニット12とが備えられている。
【0028】
また、顕微鏡装置1には、落射観察光学系として、落射照明用光源13と、コレクタレンズ14と、落射用フィルタユニット15と、落射シャッタ16と、落射視野絞り17と、落射開口絞り18とが備えられている。
【0029】
また、透過観察用光学系の光路と落射観察用光学系の光路とが重なる観察光路上には、標本19が載置される電動ステージ20が備えられている。電動ステージ20は、上下(Z)方向、左右(XY)方向の各方向に移動させることができる。
【0030】
電動ステージ20の移動の制御は、ステージX−Y駆動制御部21とステージZ駆動制御部22とによって行われる。ステージX−Y駆動制御部21は、X−Yモータ21aの駆動を制御することにより、ステージ20をX方向及びY方向へ移動させる。ステージZ駆動制御部22は、Zモータ22aの駆動を制御することにより、ステージ20をZ方向へ移動させる。
【0031】
なお、電動ステージ20は原点センサによる原点検出機能(不図示)を有している。そのため、電動ステージ20に載置した標本19の座標検出及び座標指定による移動制御を行うことができる。
【0032】
また、観察光路上には、レボルバ24、キューブターレット25と、ビームスプリッタ27とが備えられている。
レボルバ24には、複数の対物レンズ23a,23b,・・・(以下、必要に応じて「対物レンズ23」と総称する)が装着されている。レボルバ24を回転させることにより、複数の対物レンズ23から観察に使用する対物レンズを選択することができる。
【0033】
蛍光キューブA(35a)、蛍光キューブB(35b)、蛍光キューブC(図示せず)はそれぞれ、励起フィルター、ダイクロックミラー及び各蛍光観察波長に対応した吸収フィルターを有する。キューブターレット25により、蛍光キューブA(35a)、蛍光キューブB(35b)、蛍光キューブC(図示せず)・・・のうちいずれかに切り換えて、光路上に配置することができる。
【0034】
ビームスプリッタ27により、観察光路が接眼レンズ26側とビデオカメラ側(図示せ
ず)とに分岐されている。
更に、微分干渉観察用のポラライザー28、DIC(DifferentialInt
erference Contrast)プリズム29、及びアナライザー30は観察光
路に挿入可能となっている。
【0035】
なお、これらの各ユニットは電動化されており、その動作は後述する顕微鏡制御部31
によって制御される。
顕微鏡制御部31は、顕微鏡コントローラ2に接続されている。顕微鏡制御部31は、顕微鏡装置1全体の動作を制御する機能を有する。顕微鏡制御部31は、顕微鏡コントローラ2からの制御信号またはコマンドに応じ、検鏡法の変更、透過照明用光源6及び落射照明用光源13の調光を行う。さらに、顕微鏡制御部31は、顕微鏡装置1による現在の検鏡状態を顕微鏡コントローラ2へ送出する機能を有している。また、顕微鏡制御部31はステージX−Y駆動制御部21及びステージZ駆動制御部22にも接続されている。このため、顕微鏡制御部31を介して、電動ステージ20の制御も顕微鏡コントローラ2により行うことができる。
【0036】
図2は、本実施形態における顕微鏡コントローラの外観上面図を示す。顕微鏡コントローラ2は、ユーザーが顕微鏡1の操作の入力を行うためのタッチパネル207を有するコントローラである。
【0037】
タッチパネル207上の所定のエリアに、顕微鏡システム1を操作するための所定の属性が設定されている。ユーザーは所定の属性が設定された機能エリア(タッチパネル上に表示されたGUI(Graphical User Interface)ボタン等)を操作することで、各種顕微鏡の操作が可能な構成となっている。
【0038】
タッチパネル207は、表示装置としての機能と入力装置としての機能とを兼ね備えている。そして、タッチパネル207は、顕微鏡コントローラ2の外装208に嵌め込まれている。
【0039】
またタッチパネル207は、外装208の凹部の底に取り付けられている。タッチパネル207の面と外装208の外表面の間には、段差によって形成された規制枠209が設けられている。規制枠209に沿って指を移動させたとき、規制枠209がガイドの役目を果たす。
【0040】
図3は、本実施形態における顕微鏡コントローラ2の内部構成の概要を示す。顕微鏡コントローラ2は、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、不揮発性メモリ204、通信制御部205、タッチパネル制御部206、及びタッチパネル207を備えている。これらの構成要素間では、CPU201の管理の下でバスを介して各種のデータを相互に授受することができる。
【0041】
CPU201は、顕微鏡コントローラ2全体の動作制御を行うものである。CPU201が制御プログラムを実行する際に、RAM202は、作業用記憶領域として利用されると共に、各種のデータを一時的に記憶しておくメモリである。ROM203には、CPU201がコントローラ2の動作制御を行うための制御プログラムが予め格納されている。
なお、顕微鏡装置1を制御するためのアプリケーションソフトウェアもこの制御プログラムの一部である。
【0042】
不揮発性メモリ204には、タッチパネル207に、操作ボタン表示(アイコンボタン表示等)を含めた顕微鏡1を操作するための所定の属性が設定された複数の機能エリアの情報(機能エリア設定情報)が予め格納されている。具体的には、機能エリア設定情報は、機能エリアの範囲を示すタッチパネル上の座標情報と、顕微鏡システムを構成する所定の電動ユニットを操作するためにその機能エリアに割り当てられた機能に関する情報とが関連付けられた情報である。電動ユニットを操作するためにその機能エリアに割り当てられた機能とは、例えば、ステージ20の操作に関しては、ステージ20をX−Y方向へ移動させる機能またはZ方向へ移動させるための機能である。また、その機能エリアに割り当てられた機能とは、例えば、電動レボルバ24の操作に関しては、電動レボルバを回転させて任意の対物レンズを選択し観察光路に挿入させる機能である。
【0043】
通信制御部205は、顕微鏡装置1本体の顕微鏡制御部31との間で行われるデータ通信(例えばシリアル通信)の管理を行い、各構成ユニットの動作を制御する制御情報などの顕微鏡制御部31への送信を行う。
【0044】
タッチパネル207は、膜抵抗方式、静電容量方式、赤外線方式、超音波方式等いずれの種類のタッチパネルでもよく、その種類に限定されない。また、タッチパネル制御部206は、タッチパネル207上においてユーザーより入力された位置のX座標及びY座標を検出し、その検出した座標情報をCPU201へ送信する。また、本実施形態では、複数点による入力を検出することができるマルチタッチスクリーンデバイスを採用している。したがって、タッチパネル制御部206は、入力された各点の座標を検出し、各点の移動も追跡することができる。
【0045】
図4は、本実施形態におけるタッチパネルに表示される画面の一例を示す。
図4において、タッチパネル207には、主に、S_A、S_B、S_C、S_D、S_E、S_Fで示す領域(機能エリア)にそれぞれ機能が割り当てられている。
【0046】
機能エリアS_Aには、ステージ20をXY方向へ移動させる操作をするための機能が割り当てられている。機能エリアS_Bには、顕微鏡1のステージ20をZ方向へ移動させる操作をするための機能が割り当てられている。機能エリアS_Cには、対物レンズ24の切り換えを行う連動レボルバ24の操作をするための機能が割り当てられている。機能エリアS_Dには、検鏡方法切換え操作をするための機能が割り当てられている。機能エリアS_Eには、S_A機能エリアの機能を切換え操作するための機能が割り当てられている。機能エリアS_Fには、その他、各種の設定を行う機能が割り当てられている。
【0047】
図5は、本実施形態における機能が割り当てられた機能エリアへのタッチ操作に伴う顕微鏡コントローラ2の制御フローを示す。顕微鏡コントローラ2の制御部であるCUP201は、ROM202に記録されているアプリケーションプログラムを読み出して、以下の処理を実行する。
【0048】
まず、CUP201は、不揮発メモリ204に記録されている機能エリア設定情報をRAM203に読み出す(S101)。CUP201は、その機能エリア設定情報に基づいて、タッチパネル207上において顕微鏡システム1を操作するための所定の属性を各機能エリア(タッチパネル上に表示されたGUIボタン等を含む)に割り当て、機能エリアの設定を行う(S102)。
【0049】
例えば、CPU201は、タッチパネル上の座標(x1,y1)〜(x2,y2)で表される機能エリアに、機能エリアS_Aを割り当てる。また、例えば、CPU201は、タッチパネル上の座標(x3,y3)〜(x4,y4)で表される機能エリアに、機能エリアS_Bを割り当てる。また、例えば、CPU201は、タッチパネル上の座標(x5,y5)〜(x6,y6)で表される機能エリアに、機能エリアS_Cを割り当てる。また、例えば、CPU201は、タッチパネル上の座標(x7,y7)〜(x8,y8)で表される機能エリアに、機能エリアS_Dを割り当てる。また、例えば、CPU201は、タッチパネル上の座標(x9,y9)〜(x10,y10)で表される機能エリアに、機能エリアS_Eを割り当てる。また、例えば、CPU201は、タッチパネル上の座標(x11,y11)〜(x12,y12)で表される機能エリアに、機能エリアS_Fを割り当てる。この場合、機能エリア設定情報はこれらの座標で示される機能エリアと、その機能エリアに割り当てられた機能に関する情報とが関連付けられて構成されている。
【0050】
次にタッチパネル207に入力があった場合、タッチパネル制御部206は、タッチパネル207上の、その入力された位置のX座標及びY座標を検出する(S103で「Yes」)。タッチパネル制御部206は、その検出した座標情報をCPU201へ送信する。
【0051】
CUP201は、機能エリア設定情報に基づいて、タッチパネル制御部206から送られた座標情報がどこの機能エリアに属するかの判定、すなわち、どこの機能エリアに入力があったか判定する(S104)。
【0052】
CUP201は、その判定結果から、その各機能エリアに応じた制御処理を行う(S105)。例えば、ある機能エリアの任意の位置に入力があった場合、CPU201は、その位置に所定の画像を移動させたり、画像サイズを変更したり、画像の色を変更したり、画像の形状を変更したり、カーソルを移動させたり等、タッチ操作に基づく座標情報によりGUI上の画像の表示形態を制御する。
【0053】
さらに、CPU201は、タッチ操作に対して検出された座標情報に基づいて、タッチパネル207上におけるタッチ操作の移動量を算出する。それから、CPU201は、その移動量を、その機能エリアに割り当てられた電動ユニットの駆動量に換算し、顕微鏡制御部31に制御指示信号を送信する。また、CPU201は、タッチ操作に対して検出された座標情報に基づいて、タッチパネル207上で選択された内容を制御指示信号として顕微鏡制御部31に送信する。観察が終了するまで、S103〜S105の処理を繰り返す(S106)。
【0054】
ここで、タッチパネル207の表示モードについて説明する。表示モードには、通常機能エリアモードと拡大機能エリアモードがある。なお、通常機能エリアモードと拡大機能エリアモードの切換えは切換えボタン(図示せず)によって行うことができる。
【0055】
ステージ20のX−Y方向の操作を例に、まずは、通常機能エリアモードにおける動作について説明する。
図6は、本実施形態(通常機能エリアモード)における機能エリアS_Aに対してドラッグ動作を行った場合の顕微鏡コントローラの動作フローを示す。ここで、ドラッグとは、本実施形態で言えば、タッチパネル207における一方の位置から他方の位置へタッチパネル表面に接触したまま、その接触部分を移動させることをいう。
【0056】
ユーザーが機能エリアS_Aに対してドラッグ動作を行った場合(S201で「Yes」)、タッチパネル制御部206は、タッチパネル207上におけるその入力された位置のX座標及びY座標を検出する(S202)。タッチパネル制御部206は、その検出した座標情報をCPU201へ送信する。
【0057】
ユーザーが機能エリアS_Aにおいてドラッグ動作を行っている場合には(S203で「Yes」)、タッチパネル制御部206は、ドラッグ位置に対応した座標を検出する(S204)。タッチパネル制御部206は、その検出した座標情報をCPU201へ送信する。
【0058】
CUP201は、タッチパネル制御部206から送られた座標情報に基づいて、ドラッグ開始位置の座標とドラッグ中の座標とから、ステージの移動距離及び移動方向を算出する(S205)。
【0059】
CPU201は、算出された距離及び方向にステージ20を移動させるように、顕微鏡制御部31を介して、ステージX−Y駆動制御部21に指示を与える(S206)。ドラッグが終了するまで、S203〜S206の処理は繰り返される。
【0060】
機能エリアS_Aに入力がない場合(S201で「No」)またはドラッグ中でない場合(S203で「No」)、観察を終了するか否かが判断される(S207)。観察を続行する場合には(S207で「No」)、S201へ戻る。
【0061】
図7−
図9はそれぞれ、本実施形態(通常機能エリアモード)における、(A)ステージ20をX−Y方向へ移動させるための機能が割り当てられた機能エリアS_Aについての操作を説明するための図と、(B)その操作に伴うステージ20のX−Y方向への移動を説明するための図である。以下では、
図7−
図9を用いて、ステージ20のX−Y方向の操作について、
図6のフローに基づいて、タッチパネル207の操作に応じたCPU201の制御を詳述する。
【0062】
ユーザーが機能エリアS_Aに対してドラッグ動作(タッチパネルをタッチしたままタッチ部分を移動させる動作)を行う。この場合、上記のように、顕微鏡コントローラ2は、顕微鏡制御部31を介して、ドラッグ動作の距離と方向に対応するようにステージ20の制御を行うようにステージX−Y駆動制御部21に指示を与える。
【0063】
ステージ20のXY方向の移動距離は、タッチパネル207上の機能エリアS_A上のドラッグ動作の距離に対応している。顕微鏡コントローラ2は、タッチパネル207上での距離に、例えば係数laを掛けた距離を移動させるように、顕微鏡制御部31に指示を行う。
【0064】
図7(A)において機能エリアS_Aに対して、
図8(A)に示すように、地点a1から地点a2までX方向の距離XA、Y方向の距離YAのドラッグ動作(タッチパネルをタッチしたまま地点a2まで移動させる動作)が行われた場合について説明する。なお、
図7(A)の機能エリアS_Aに入力がない場合には、ステージ20の左下端は、
図7(B)座標(X_0,Y_0)の位置にあるとする。
【0065】
図8(A)に示すように、地点a1から地点a2までのドラッグ動作に応じて、
図8(B)に示すように、ステージ20のX方向の座標である座標X_0からX_1へ距離XA×la分の距離を移動させ、ステージ20のY方向の座標である座標Y_0からY_1へ距離YA×la分の距離を移動させる制御が行われる。
【0066】
さらに、
図8(B)に示す状態から、
図9(A)に示すように再び地点a3から地点a4でX方向の距離XA’、Y方向の距離YA’のドラッグ動作が行われたとする。この場合、
図9(B)に示すように、ステージ20のX方向の座標である座標X_1からX_2へ距離XA’×la分の距離を移動させ、ステージ20のY方向の座標である座標Y_1からY_2へ距離YA’×la分の距離を移動させる制御が行われる。
【0067】
なお、
図6に示すように、ドラッグ動作中は、タッチパネル制御部206によりドラッグ中の座標を検出することにより、ドラッグ位置に応じてステージ20位置の追従が行われる。またステージ移動の来歴はRAM203に記録され、後で参照することができる。
また、本実施形態では係数laは固定で説明したが、当該係数は可変であってもよく、例えば対物レンズ23毎に係数laを可変としてもよい。
【0068】
次にステージ20のZ方向の操作について説明する。
図10−
図12はそれぞれ、本実施形態(通常機能エリアモード)における、(A)ステージ20をZ方向へ移動させるための機能が割り当てられた機能エリアS_Bについての操作を説明するための図と、(B)その操作に伴うステージ20のX−Y方向への移動を説明するための図である。以下では、
図10−
図12を用いて、ステージ20のZ方向の操作について、
図6のフローに基づいて、タッチパネル207の操作に応じたCPU201の制御を詳述する。
【0069】
図10(A)において、バー301は、ステージ20のZ方向の座標の位置を示す。バー301が機能エリアS_Bの上側にあるほど、対物レンズ23に対してステージ20が近い位置にあり、下側にあるほど対物レンズ23に対してステージ20が遠い位置にあることを示している。なお、
図10(A)の機能エリアS_Bに入力がない場合には、ステージ20は、
図10(B)に示すように、Z座標Z_0の位置にあるとする。
【0070】
ユーザーが機能エリアS_Bに対して
図10(A)に示す地点b1の位置にタッチし、そのまま地点b2の位置までドラッグ動作(タッチパネルをタッチしたまま地点b1から地点b2まで移動させる動作)を行った場合について説明する。この場合、顕微鏡コントローラ2は、顕微鏡制御部31を介して、ステージZ駆動制御部22に、対物レンズ23とステージ20が近づく方向に移動させる制御を行うように指示を与える。
【0071】
ステージ20のZ方向の移動距離は、タッチパネル207上の機能エリアS_B上のドラッグ動作の距離に対応している。顕微鏡コントローラ2は、タッチパネル207上での距離に係数lbをかけた距離を移動するように顕微鏡制御部31に指示を行う。すると、
図11(B)に示すように、地点b1から地点b2まで距離ZBのドラッグ動作が行われた場合、対物レンズ23とステージ20が近づく方向にステージ20の座標Z_0からZ_1に距離ZB×lb移動させる制御が行われる。
【0072】
次に、ユーザーが機能エリアS_Bに対して地点b2の位置にタッチし、そのまま規制枠209に沿って地点b1の位置に向かってドラッグ動作を行った場合について説明する。この場合、顕微鏡コントローラ2は、顕微鏡制御部31を介して、ステージZ駆動制御部22に、対物レンズ23とステージ20が遠ざかる方向に移動させる制御を行うように指示を与える。
【0073】
図11に示す状態において、
図12(A)に示すように、再び地点b3から地点b4まで距離ZB’のドラッグ動作が行われた場合、
図12(B)に示すように、さらに対物レンズ23とステージ20が近づく方向にステージ20の座標Z_1からZ_2へ距離ZB’×lb移動させる制御が行われる。なお、ドラッグ動作中は、ドラッグ位置に応じてステージ20位置の追従が行われる。
【0074】
なお、本実施形態では係数lbは固定で説明したが、切り換え可能であってもよく、対物レンズ23毎に係数lbを可変としてもよい。
続いて電動レボルバ24の切り換え動作について説明する。
【0075】
図13及び
図14はそれぞれ、本実施形態(通常機能エリアモード)における、(A)電動レボルバ24による対物レンズの切替操作をするための機能が割り当てられた機能エリアS_Cについての操作を説明するための図と、(B)その操作に伴う電動レボルバ24に配置された対物レンズの位置を説明するための図である。以下では、
図13、
図14用いて、電動レボルバ24による対物レンズの切替操作について、
図6のフローに基づいて、タッチパネル207の操作に応じたCPU201の制御を詳述する。
【0076】
本実施形態では、
図13(B)に示すように、連動レボルバ24には、5倍の対物レンズ23a、10倍の対物レンズ23b、20倍の対物レンズ23c、50倍の対物レンズ23d、100倍の対物レンズ23dがそれぞれ装着されており、光軸には20倍の対物レンズ23cが挿入された状態として説明する。
【0077】
図13(A)に示すように、機能S_Cには電動レボルバ24に装着されている対物レンズ23a〜23eに対応するアイコン401a〜401eが画面上に表示されている。
なお、アイコン401cが現在光路に挿入されている対物レンズであることを示すように強調して表示され、他のアイコン401a,401b,401d,401eと区別して表示されている。ここでは20倍の対物レンズ23cに対応するアイコンが強調表示されている。
【0078】
ユーザーが機能エリアS_Cに対してタッチし、
図14(A)に示すアイコン401dの位置でタッチした指を離す。顕微鏡コントローラ2は、タッチパネル207上でタッチした指を離した位置の検出を行う。
【0079】
顕微鏡コントローラ2は、顕微鏡制御部31に対して、
図14(B)に示すように、20倍対物レンズ23cからアイコン401dに対応した50倍対物レンズ23dを観察光路に入れるように電動レボルバ24の回転の制御を行うように指示を与える。
【0080】
それから、現在光路に挿入されている対物レンズのアイコンを表示させるように、アイコン401cは、他のアイコン401a,401b,401c,401eとは区別できる表示対応への切り換が行われる。
【0081】
なお、本実施形態では、タッチパネル207上でタッチした指が離された位置のアイコンに対応した対物レンズの挿入動作を行ったが、タッチされた位置のアイコンに対応した対物レンズの挿入動作を行うモードであってもよい。
【0082】
機能エリアS_D、及び機能エリアS_Fに関しては、各機能エリア内において、離された位置のアイコンに対応した機能が選択される動作であり、機能エリアS_Cと同様のため説明を省略する。
【0083】
機能エリアS_Eは、機能エリアS_Aに割り当てられた顕微鏡部位の操作の切換えを行うためのエリアである。機能エリアS_Eについて、
図15−
図16を用いて説明する。
【0084】
図15及び
図16はそれぞれ、本実施形態における、機能エリアS_Eについての操作を説明するための図である。
図4において、機能エリアS_Eでは電動ステージ20のXY方向への移動操作をするための「XY−位置」が選択され、その選択に伴い、機能エリアS_Aには、ステージ20をXY方向へ移動させる操作をするための機能が割り当てられている。
【0085】
図4の状態から、機能エリアS_Eに表示されている「ミラー」を選択すると、機能エリアS_Aには、
図15に示すように電動キューブターレット25の切換え操作を行うための機能が割り当てられる。
【0086】
さらに、機能エリアS_Eに表示されている「明るさ」を選択すると、機能エリアS_Aには、
図16に示すように、透過照明光源6、落射照明光源13の調光動作にそれぞれ切換えるための機能が割り当てられる。
【0087】
続いて、拡大機能エリアモードの場合について説明を行う。本実施形態では、ステージ20のXY方向の操作を割り当てた機能エリアS_Aと、顕微鏡1のステージ20のZ方向の操作を割り当てた機能エリアS_Bとが拡大される場合について説明を行う。
【0088】
図17は、本実施形態(拡大機能エリアモード)における機能が割り当てられた機能エリアへのタッチ操作に伴う顕微鏡コントローラ2の制御フローを示す。
図17のS301−S304,S306−S307はそれぞれ、
図5のS101−S106と同様の処理である。
【0089】
まず、通常モードと同じように、
図4で説明したのと同様に、CUP201は、不揮発メモリ204に記録されている機能エリア設定情報をRAM203に読み出し(S301)、各機能エリアに機能を割り当てる(S302)。具体的には、機能エリアS_Aには、ステージ20をXY方向へ移動させる操作機能を割り当てる。機能エリアS_Bには、顕微鏡1のステージ20のZ方向へ移動させる操作機能を割り当てる。機能エリアS_Cには、対物レンズ24の切り換えを行う連動レボルバ24を操作するための機能を割り当てる。機能エリアS_Dには、検鏡方法切換え操作をするための機能を割り当てる。機能エリアS_Eには、S_A機能エリア切換え操作機能を割り当てる。機能エリアS_Fには、その他の各種設定機能を割り当てる。
【0090】
タッチパネル207に入力があった場合(S303で「Yes」)、CUP201はどこの機能エリアに入力があったかの判別を行う(S304)。機能エリアS_C、S_D、S_E、S_Fへの入力があった場合(S305で「No」)、CPU201は、通常機能エリアモードと同様に、各機能エリアに応じた制御処理を行う(S306)。
【0091】
機能エリアS_Aまたは機能エリアS_Bにタッチ入力があった場合は(S305で「Yes」)、CPU201は、表示モードを通常機能エリアモードから拡大機能エリアモードに変更する。具体的には、CPU201は、不揮発メモリ204に記録されている機能エリア設定情報をRAM203に読み出し(S308)、機能エリアS_A及び機能エリアS_Bを
図18に示すように、機能エリアS_A_2、機能エリアS_B_2として再設定を行う(S309)。これについて、
図18及び
図19を用いて説明する。
【0092】
図18は、本実施形態(拡大機能エリアモード)における機能エリアS_A_2及び機能エリアS_B_2(実施例1)を示す。
図19は、本実施形態(拡大機能エリアモード)における機能エリアS_A_2及び機能エリアS_B(実施例2)を示す。
【0093】
図18では、タッチパネル207上には、機能エリアS_A_2及びS_B_2が配置される。ここで機能エリアS_A_2への入力の場合は(S310で「Yes」、S311)、ステージ20のXY方向へ移動させる操作機能を割り当てる(S312)。機能エリアS_B_2への入力の場合は(S310で「Yes」、S311)、顕微鏡1のステージ20のZ方向へ移動させる操作機能を割り当てる(S312)。
図19の場合には、機能エリアS_A_2を、機能エリアS_E,S_Fのエリアまで拡大されるように配置する。
【0094】
機能エリアS_A_2またはS_B_2に対して一定時間入力がない場合は(S310で「No」、S313で「Yes」)、
図4に示す状態に戻る。なお時間制御でなく、戻るための特定のボタンを設けてもよい。また、機能エリアS_A_2またはS_B_2に対して一定時間入力がある場合は(S310で「No」、S313で「No」)、S314へ進む。拡大機能エリアモードにおいて、観察が終了するまで、S310〜S314の処理を繰り返す。
【0095】
続いて、タッチパネル207に対して、複数の点により入力することにより、電動ユニットに所定の動作を行わせることについて説明する。ここで、複数の点により入力するとは、例えば、複数の本の指を用いて、タッチパネル207上をタッチ操作したり、ドラッグ操作したり、1本の指によりタッチパネル上の同一位置をタッチしつつ他の指でドラッグ操作をすることをいう。本実施形態では、例として2本の指を用いてタッチ操作を行う場合について説明するが、3本以上の指を用いてタッチ操作してもよい。また、以下では、電動ユニットに所定の動作の行わせるために、タッチパネル207に対して複数の指(点)を用いて入力することを、「特定動作」という。
【0096】
図20A、
図20Bは、本実施形態における、機能エリアS_A_2に対して2点の特定動作の入力を行った場合の顕微鏡コントローラの動作フローを示す。
図20A及び
図20Bのフローは、
図17のフローにS401,S402の処理を追加したものである。
【0097】
S311において、入力があった位置の機能エリアの判別後、タッチパネル制御部206による検出結果に基づいて、CPU201はタッチパネル207への2点入力による特定動作の入力であるか否を判定する(S401)。
【0098】
タッチパネル207への2点入力による特定動作の入力であると判定した場合、CPU201は、ROM202または不揮発性メモリ204から、後述する顕微鏡システム動作制御テーブルを読み出して、その特定動作に応じた顕微鏡制御処理を行う(S402)。S402の処理については、
図21−
図30を用いて詳述する。
【0099】
一方で、タッチパネル207への2点入力による特定動作の入力でないと判定した場合、CPU201は、機能エリアに応じた顕微鏡制御処理を行う(S312)。
図21A、
図21Bは、本実施形態におけるタッチパネルへ2点入力がされた場合に用いられる顕微鏡システム動作制御テーブルの一例を示す。顕微鏡システム動作制御テーブルは、ROM202または不揮発性メモリ204に格納されている。顕微鏡システム動作制御テーブルは、例えば、「ID」41、「入力エリア」42、「2点入力特定動作」43、「駆動部位」44、「制御内容」45、「ON/OFFフラグ」46のデータ項目からなる。
【0100】
「ID」41には、2点入力特定動作を識別する情報が格納されている。「入力エリア」42には、入力のあった機能エリアを識別する情報が格納されている。「2点入力特定動作」43には、タッチパネル207に対して行われた2点入力による特定動作の態様が格納されている。「駆動部位」44には、2点入力による特定動作の操作の対象となる駆動部位を識別する情報が格納されている。「制御内容」45には、2点入力による特定動作の操作の対象となる駆動部位に対する制御の内容が格納されている。
【0101】
「ON/OFFフラグ」46には、その対応する「ID」41で示される2点入力特定動作の制御を有効(ON)にするか無効(OFF)にするかの情報が格納されている。例えば、タッチパネル207への2点入力特定動作Aに対して、複数の制御内容が存在する場合、「ON/OFFフラグ」46にONまたはOFFを設定することができる。これにより、同一の特定動作について、特定動作の対象となる駆動部位を排他的に設定することができる。なお、
図21Aと、
図21Bとでは、「ON/OFFフラグ」46の内容が異なっている。
【0102】
顕微鏡システム動作制御テーブルの内容は、例えば、タッチパネル207に表示される設定画面にて登録したり、変更したりすることができる。
図22は、本実施形態(拡大機能エリアモード)における(A)ステージ20をX−Y方向へ移動させるために、機能エリアS_A_2に対して、1点入力操作を行った場合について説明するための図と、(B)その操作に伴うステージ20のX−Y方向への移動を説明するための図である。
【0103】
図22に示すように、機能エリアS_A_2に対して、地点a5から地点a6までX方向へ距離XA_2、Y方向へ距離YA_2のドラッグ動作(タッチパネルをタッチしたまま地点a6まで移動させる動作)が行われたとする。この場合、通常機能エリアモードと同様に、ステージ20を、X方向へ座標X_0から距離XA_2×la分の距離を移動させ、Y方向へ座標Y_0から距離YA_2×la分の距離を移動させる制御が行われる。
なお、ドラッグ動作中は、ドラッグ位置に応じてステージ20位置の追従が行われる。
【0104】
図23及び
図24は、本実施形態(拡大機能エリアモード)における(A)ステージ20をX−Y方向へ移動させるために、機能エリアS_A_2に対して、2点入力操作を行った場合について説明するための図と、(B)その操作に伴うステージ20のX−Y方向への移動を説明するための図である。
【0105】
図23、
図24では、2点の入力、すなわち指2本でドラッグ動作をした場合について説明する。仮に人差し指で地点a5を、中指で地点a5’をタッチしたものとし、人差し指で地点a5から地点a6までX方向の距離XA_2、Y方向の距離YA_2のドラッグ動作(タッチパネルをタッチしたまま地点a6まで移動させる動作)が行われ、同時に中指で地点a5’から地点a6’までX方向の距離XA_2、Y方向の距離YA_2のドラッグ動作(タッチパネルをタッチしたまま地点a6’まで移動させる動作)が行われたものとする。
【0106】
タッチパネル207に対して、2点の入力があり、ともにドラッグ動作が行われた場合、CPU201は、顕微鏡システム動作制御テーブル(
図21A)に登録された制御を行う。
図21Aにはタッチパネル207への2点入力動作に対応した、入力機能エリア、特定動作、駆動部位、制御内容及びそのON/OFFフラグが記録されている。
【0107】
図23の場合には、「ID」41=ID01が選択されるので、1点入力によるドラッグ操作による移動距離にステージ移動係数sが乗ぜられる。すなわち、ステージ20について、X方向へ座標X_0からX_22へ距離XA_2×la×s分の距離を移動させ、Y方向へ座標Y_0からY_22へ距離YA_2×la×s分の距離を移動させる制御が行われる。本実施形態では、例えば移動係数s=3が設定されている。したがって、2点で同時にドラッグ動作が行われた場合は、1点のみのドラッグ動作に比べ、3倍の距離を駆動することになる。
【0108】
ステージ20の軌跡に対応するドラッグ動作は、本実施形態では左側の入力が優先されるように設定されている。したがって、
図23の場合には、地点a5から地点a6のドラッグ動作に対応してステージ20は駆動する。
【0109】
なお、本実施形態では移動係数s=3としたが、例えば、1未満のs=0.5としてもよい。この場合、1点入力によるドラッグ動作に比べ、2点同時にドラッグ動作を入力した場合の方が、移動距離が短くなるものとなる。
【0110】
次に、
図21Bに示すように、
図21Aの状態から「ID」41=ID01の「ON/OFFフラグ」46の内容がOFFであり、「ID」41=ID02の「ON/OFFフラグ」46の内容がONであった場合について説明する。
【0111】
図24に示すように、機能エリアS_A_2に対して1点を固定しながら、もう1点をドラッグ動作した場合について説明を行う。仮に親指で地点a5”をタッチしながら、人差し指で地点a5からから地点a6までX方向へ距離XA_2、Y方向へ距離YA_2のドラッグ動作(タッチパネルをタッチしたまま地点a6まで移動させる動作)が行われたものとする。
【0112】
この場合、CPU201は、顕微鏡システム動作制御テーブル(
図21B)に登録された制御を行う。
図24の場合には、「ID」41=ID02が選択されるので、1点入力によるドラッグ操作による移動距離にステージ移動係数sが乗ぜられる。ID01の動作と同様に、ステージ20を、X方向へ座標X_0から座標X_22へ距離XA_2×la×s分の距離を移動させ、Y方向へ座標Y_0から座標Y_22へ距離YA_2×la×s分の距離を移動させる制御が行われる。本実施形態では、例えば移動係数s=3が設定されている。したがって、1点固定で、もう1点でドラッグ動作が行われた場合は、1点のみのドラッグ動作に比べ3倍の距離を駆動することになる。
【0113】
なお、本実施形態では移動係数s=3としたが、
図23の場合と同様に、例えば、1未満のs=0.5としてもよい。この場合、1点入力によるドラッグ動作に比べ、2点同時にドラッグ動作を入力した場合の方が、移動距離が短くなるものとなる。
【0114】
続いてZ方向の駆動について説明する。
図25は、本実施形態(拡大機能エリアモード)における(A)ステージ20をZ方向
へ移動させるために、機能エリアS_B_2に対して、1点入力操作を行った場合について説明するための図と、(B)その操作に伴うステージ20のZ方向への移動を説明するための図である。
【0115】
図25に示すように機能エリアS_B_2に対して、地点b5から地点b6まで距離ZB_2のドラッグ動作が行われた場合、通常機能エリアモードと同様に、対物レンズ23とステージ20が近づく方向に距離ZB_2×lb移動させる制御が行われる。なお、ドラッグ動作中は、ドラッグ位置に応じてステージ20位置の追従が行われる。
【0116】
図26及び
図27は、本実施形態(拡大機能エリアモード)における(A)ステージ20をZ方向へ移動させるために、機能エリアS_A_2に対して、2点入力操作を行った場合について説明するための図と、(B)その操作に伴うステージ20のZ方向への移動を説明するための図である。
【0117】
図26に示すように機能エリアS_A_2に対して、地点a7をタッチしながら、地点b8から地点b9まで距離ZB_2のドラッグ動作が行われた場合は、CPU201は顕微鏡システム動作制御テーブル(
図21A、または
図21B)に登録された制御を行う。
ここでは、1点を固定した上で、もう1点ではY方向へのドラッグ動作となるため、
図26の場合には、「ID」41=ID03が選択される。したがって、対物レンズ23とステージ20が近づく方向に距離ZB_2×lb移動させる制御が行われる。なお、ドラッグ動作中は、ドラッグ位置に応じてステージ20位置の追従が行われる。
【0118】
図27に示すように機能エリアS_A_2に対して、地点a7をタッチしながら、
図26とは逆方向の地点b10から地点b11まで距離ZB_2のドラッグ動作が行われた場合は、対物レンズ23とステージ20が遠ざかる方向に距離ZB_2×lb移動させる制御が行われる。
【0119】
次に、電動レボルバ24の切換えについて、
図28〜
図30を用いて説明する。
図28−
図30は、本実施形態(拡大機能エリアモード)における(A)電動レボルバの切換えのために、機能エリアS_A_2に対して、2点入力操作を行った場合について説明するための図と、(B)その操作に伴うステージ20のX−Y方向への移動を説明するための図である。
【0120】
電動レボルバ24の切換えは、顕微鏡システム動作制御テーブル(
図21A,
図21B)で言えば、「ID」41=ID04,ID05に相当する。初期状態は、
図28の状態、すなわち、
図28(B)に示すように、20倍の対物レンズ23cが選択されているものとする。
【0121】
図29(A)に示すように、S_A_2内の地点a12をタッチしながら、地点a13から地点a14方向にドラッグ動作を行うと、CPU201は、電動レボルバ24を制御して、対物レンズ23を高倍に変換する(
図29(B))。
【0122】
図29の状態から、
図30(A)に示すように、さらに、S_A_2内の地点a12をタッチしながら地点a15から地点a16方向にドラッグ動作を行うと、CPU201は、電動レボルバ24を制御して、対物レンズ23を低倍に変換する(
図30(A))。
【0123】
本実施形態に係る顕微鏡システムによれば、タッチパネルに対する特定動作の入力を選択されている対物レンズに応じた電動ステージの操作に割り当てることが可能となり、タッチパネルのような(狭い)限られた操作エリアを有するコントローラにおいても、ブラインド操作が可能となる。
【0124】
上記において、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。例えば、上述した各実施形態に係る顕微鏡システムにおいては、顕微鏡装置1として正立顕微鏡装置を採用していたが、その代わりに、倒立顕微鏡装置を採用してもよい。また、顕微鏡装置を組み込んだライン装置等の各種システムに本実施形態を適応してもよい。
【0125】
また、本実施例では、顕微鏡の機能の割り当てについて、隼焦部の座標、光源の調光量、倍率、光学素子ターレット位置の変更について述べたが、これに限定されるものではなく、視野絞り(FS:Field Stop)や開口絞り(AS:Aperture Stop)、その他公知の電動部位またはユニットであってもよい。もちろん本実施例の顕微鏡装置は、複数の対物レンズを有し、これを随時切り換えていく構成として説明したが、もちろんズーム機構を有する対物レンズであってもよい。
【0126】
また、本実施形態では、タッチパネル207に対して複数点入力による特定動作の操作対象として、主としてステージ20の移動、及び電動レボルバの切り替えについて述べた。しかし、タッチパネル207に対して複数点入力による特定動作を行うことにより、顕微鏡の部位の駆動を行うという観点ではこれらに限定されるものではない。複数点入力による特定動作の操作対象として、例えば、光源の調光量、光学倍率、光学素子ターレット、または検鏡方法の切換えであってもよい。また、タッチパネル207に対して複数点入力による特定動作の操作対象がステージ20の移動である場合、入力する点の数に応じて、その移動速度を変化させてもよい。また、本実施形態ではタッチパネルを有する顕微鏡コントローラとしたが、タッチパネルと同等の機能を有するデバイスにも置き換え可能である。
【0127】
また、ドラッグ時における入力する点の数に応じて、ステージ移動の際の速度または距離を変更するようにしてもよい。
本実施形態の顕微鏡システムによれば、タッチパネルのような(狭い)限られた操作エリアを有するコントローラにおいても、ドラッグ動作で連続的に動かすようなXY方向の操作性の向上を図ることができる。さらに顕微鏡特有の対物レンズに応じた、特定な操作に割り当てることで、ステージを含めたその他の顕微鏡の操作性の向上させることが可能となる。