特許第5965984号(P5965984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965984
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20160728BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20160728BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20160728BHJP
   G02B 7/18 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   H04N5/225 D
   H01L21/78 Q
   H04N5/335 690
   G02B7/18
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-265033(P2014-265033)
(22)【出願日】2014年12月26日
(62)【分割の表示】特願2010-166009(P2010-166009)の分割
【原出願日】2010年7月23日
(65)【公開番号】特開2015-62321(P2015-62321A)
(43)【公開日】2015年4月2日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】藤森 紀幸
【審査官】 榎 一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/041579(WO,A1)
【文献】 特開平11−352413(JP,A)
【文献】 特開平08−116042(JP,A)
【文献】 特開2010−091823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222〜257
G02B 7/18
H01L 21/301
H04N 5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面に撮像素子を有し、配線部を介して第2の主面に前記撮像素子と接続された裏面電極を有する撮像素子基板部と、
前記第1の主面に対して垂直な垂直面と45度傾斜している傾斜面とを有し、前記垂直面が入射面で前記傾斜面が反射面である、直角プリズムと、
前記撮像素子基板部と前記直角プリズムとを接着する接着層と、を具備する撮像装置であって、
前記撮像素子基板部と前記直角プリズムの外寸が同一であることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
第1の主面に撮像素子を有し、配線部を介して第2の主面に前記撮像素子と接続された裏面電極を有する撮像素子基板部と、
前記第1の主面に対して垂直な垂直面と45度傾斜している傾斜面とを有し、前記垂直面が入射面で前記傾斜面が反射面である透明基板部と、
前記撮像素子基板部と前記透明基板部とを接着する接着層と、を具備する撮像装置であって、
前記透明基板部の前記入射面と接している前記撮像素子基板部の側面が、前記入射面と同じ平面内にあり、
前記透明基板部の前記傾斜面と、前記傾斜面と接している前記撮像素子基板部の側面とが、同一の傾斜角であることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
第1の主面に撮像素子を有し、配線部を介して第2の主面に前記撮像素子と接続された裏面電極を有する撮像素子基板部と、
前記第1の主面に対して垂直な垂直面と45度傾斜している傾斜面とを有し、前記垂直面が入射面で前記傾斜面が反射面である透明基板部と、
前記撮像素子基板部と前記透明基板部とを接着する接着層と、を具備する撮像装置であって、
前記透明基板部の前記入射面と接している前記撮像素子基板部の側面が、前記入射面と同じ平面内にあり、
前記透明基板部の前記傾斜面と接している前記撮像素子基板部の側面が、前記第1の主面に対して垂直であることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記傾斜面に反射膜を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特にウエハレベルチップサイズパッケージ法により製造された撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDまたはCMOS等の固体撮像素子を有する撮像装置を具備した電子内視鏡、カメラ付き携帯電話、およびデジタルカメラ等が普及している。撮像装置は、固体撮像素子が形成された撮像素子基板部と、固体撮像素子を保護するカバーガラス部と、を有する。
【0003】
撮像装置を小型化し大量生産するために、ウエハレベルチップサイズパッケージ(W−CSP)法を用いた撮像装置の製造方法が知られている。例えば、特開2003−204053号公報には、多数の撮像素子が形成された半導体ウエハとガラス基板等とを接合後に、切断することで個片化し、一括して多数の撮像装置を得る方法が開示されている。
【0004】
また、特開2002−45333号公報には、撮像素子面に対して直交する方向の被写体を撮影する横置型撮像装置が開示されている。横置型撮像装置ではカバーガラス上面に直角プリズムを接合する工程が必要である。
【0005】
すなわち公知の横置型撮像装置では、W−CSP法により一括製造し個片化した、個々の撮像装置にプリズムを接合する工程が必要であるために、生産性がよいとはいえない場合があった。また、W−CSP法による撮像装置では撮像素子を保護するためにカバーガラスが不可欠である。しかし、撮像装置の高さ方向(撮像子面垂直方向)の寸法はカバーガラスの厚み分大きくなる。このため、W−CSP法により製造された横置型撮像装置は、内視鏡先端に搭載した場合、内視鏡先端を大型化してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−204053号公報
【特許文献2】特開2002−45333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、小型の撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態の撮像装置は、第1の主面に撮像素子を有し、配線部を介して第2の主面に前記撮像素子と接続された裏面電極を有する撮像素子基板部と、前記第1の主面に対して垂直な垂直面と45度傾斜している傾斜面とを有し、前記垂直面が入射面で前記傾斜面が反射面である直角プリズムと、前記直角プリズムと前記撮像素子基板部とを接着する接着層と、を具備する撮像装置であって、前記撮像素子基板部と前記直角プリズムの外寸が同一である。
【0009】
本発明の別の実施形態の撮像装置は、第1の主面に複数の撮像素子を有し、それぞれの配線部を介して第2の主面にそれぞれの前記撮像素子と接続された複数の裏面電極を有する撮像素子基板を作製する撮像素子基板作製工程と、前記撮像素子基板の前記第1の主面に透明基板を接着し、接合基板を作製する接合基板作製工程と、前記撮像素子上の前記透明基板に、前記第1の主面に対して垂直な垂直面と傾斜した傾斜面とからなる溝部を形成することにより光路変換素子を作製するプリズム作製工程と、個々の撮像装置に個片化する個片化工程と、を具備する撮像装置の製造方法により製造された。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型の撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の撮像装置の外観図である。
図2】第1の実施形態の撮像装置の分解図である。
図3】第1の実施形態の撮像装置の接合基板作製工程を説明するための説明図である。
図4】第1の実施形態の撮像装置の接合基板を説明するための外観図である。
図5】第1の実施形態の撮像装置のプリズム作製工程を説明するための斜視図である。
図6】第1の実施形態の撮像装置のプリズム作製工程を説明するための断面構造図である。
図7】第1の実施形態の撮像装置のプリズム作製工程を説明するための斜視図である。
図8】第1の実施形態の撮像装置の個片化工程を説明するための斜視図である。
図9】第2の実施形態の撮像装置を説明するための断面構造図である。
図10】第3の実施形態の撮像装置を有する内視鏡を説明するための断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、図面を用いて本発明の第1の実施形態の撮像装置1および撮像装置1の製造方法について説明する。最初に本実施形態の撮像装置1の構造について説明する。図1および図2に示すように撮像装置1は、撮像素子基板部10と、接着層20と、透明基板部であるカバーガラス部30と、を具備する。撮像装置1は横置型であり、図1において図面左側からカバーガラス部30の垂直面32に入射した光線は、傾斜面31で反射され、下面33を介して撮像素子13に到達する。
【0013】
後述するように撮像装置1はウエハレベルチップサイズパッケージ法により製造される。すなわち多数の撮像装置をウエハ状態で一括して作製した後に、切断(ダイシング)処理により、個々のチップ(撮像装置)に個片化される。このため、図1に示すように、撮像素子基板部10と接着層20とカバーガラス部30の外寸(撮像素子形成面の縦横の寸法)が、撮像装置1の外寸、L1およびL2となる。言い換えれば、撮像素子基板部10と接着層20とカバーガラス部30の上から見たときの外寸(平面視寸法)は同一である。なお、撮像装置1においては、撮像素子基板部10とカバーガラス部30とは同一の傾斜角θ1の側面を有するために、L1方向の外寸は僅かに異なる。しかし、その差は僅かであるため、撮像素子基板部10とカバーガラス部30の外寸は同一であるとみなすことができる。
【0014】
撮像素子基板部10は、第1の主面11に撮像素子13を有し、配線部である貫通配線16を介して第2の主面12に撮像素子13と接続された裏面電極17を有する。貫通配線16は、おもて面電極15と表面配線(不図示)を介して撮像素子13と接続されている。撮像素子13の上面には、画素数の数のマイクロレンズ14が形成されている。
【0015】
カバーガラス部30は、撮像素子13を保護する保護部材機能を有する。更に撮像装置1においては、カバーガラス部30は、撮像素子基板部10の第1の主面11に対して垂直な垂直面32と、45度傾斜している傾斜した傾斜面31と、を有し、光路変換素子機能も有する。すなわち、図1においてθ1=45度、θ2=90度であり、カバーガラス部30は直角プリズムを構成している。傾斜面31は直角プリズムの反射面であり、すでに説明したように垂直面32から入射した光線は傾斜面31で反射し、光路方向が90度変換されて、撮像素子13に入射する。
【0016】
また、カバーガラス部30を撮像素子基板部10に接着する接着層20は、撮像素子基板部10の撮像素子形成領域上にエアーギャップ22を形成するように構成されている。すなわち、撮像素子基板部10の撮像素子形成領域とカバーガラス部30との間には額縁状の接着層20によりエアーギャップ22が形成されている。言い換えれば、接着層20は撮像素子形成領域には形成されていない。
【0017】
撮像装置1は、W−CSP法により製造されるために、撮像素子13を保護するカバーガラス部は不可欠である。すでに説明したように、公知の横置型撮像装置ではカバーガラス部上に、更に直角プリズムを配設する必要があった。しかし、撮像装置1ではカバーガラス部30が直角プリズムとしての機能を有するために、小型で、かつ生産性がよい。
【0018】
そして、エアーギャップ22を有する撮像装置1は、撮像素子13に形成されたマイクロレンズ14の集光効果が高い。
【0019】
次に、図3図8を用いて、撮像装置1の製造方法について説明する。
<撮像素子基板作製工程>
第1の主面11に複数の撮像素子13を有し、それぞれの貫通配線16を介して第2の主面12にそれぞれの撮像素子13と接続された複数の裏面電極17を有する撮像素子基板10Wが作製される。
【0020】
撮像素子基板10Wは、例えば単結晶シリコン基板からなり、第1の主面11には、半導体回路作製技術を用いて複数の撮像素子13が形成されている。なお撮像素子としては、CCDまたはCMOS等が好ましく用いられるが、別途作製した撮像素子チップを撮像素子基板10W上に配設してもよい。それぞれの撮像素子13には画素数の数のマイクロレンズが、例えば透明樹脂を用いて形成されている。
【0021】
撮像素子基板10Wの第1の主面11には、撮像素子13の電力供給用また信号送信用のおもて面配線(不図示)と接続された、おもて面電極15が形成されている。そして、撮像素子基板10Wの第2の主面12側からの、ドライエッチング処理またはウエットエッチング処理等により、おもて面電極15の裏面に到達する貫通孔が形成される。すなわち貫通孔は単結晶シリコン基板を貫通しているが、その底部はおもて面電極15であるビアホールとして形成される。
【0022】
貫通孔の内部および底部に、銅またはアルミニウム等の導体を形成することにより、おもて面電極15と導通のある貫通配線16が形成される。更に第2の主面12に貫通配線16と接続された裏面電極17が形成される。裏面電極17は実装のための外部接続電極であり、凸状の銅バンプ、または、はんだボール等を用いて形成される。
なお、第1の主面11の撮像素子13と第2の主面12の裏面電極17とを接続する配線部として、貫通配線16に替えて側面配線を用いてもよい。
【0023】
なお、図3においては、撮像素子基板10Wに、撮像素子13が、6×6の格子状に配置された例を表示しているが、実際には10×10以上の格子状に配置されており、好ましくは20×20以上の格子状に配置されている。
【0024】
<接合基板作製工程>
図3および図4に示すように、撮像素子基板10Wの第1の主面11に、接着層20Wを介して透明基板であるガラス基板30Wが接着され、接合基板1Wが作製される。なおガラス基板30Wの下面33には反射防止膜を形成しておいてもよい。
【0025】
スクリーン印刷法またはインクジェット法等により、接着剤がパターニング塗布されることにより接着層20Wは形成される。すなわち、撮像素子基板10Wの第1の主面11の撮像素子形成領域には接着剤は塗布されない。撮像素子形成領域以外の撮像素子周辺領域に塗布された接着剤は、ガラス基板30Wの下面33が接着された後に、硬化処理が行われる。接着剤としては紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができる。
なお、接合基板作製工程を真空中で行った場合には、封止空間であるエアーギャップ22には空気は存在しないが、便宜上、エアーギャップという。
【0026】
<プリズム作製工程(分離工程)>
図5および図6に示すように、撮像素子上のガラス基板30Wの上面34から、片側に45度の斜面(θ1=45度)が形成されているブレード2によるダイシング加工により、第1の主面11に対して垂直な垂直面32と傾斜した傾斜面31とからなる溝部3が形成される。すなわち、ブレード2の斜面が形成されない面は、ダイシング加工中は、第1の主面11に対して90度の角度に保持される。ブレード2による溝部3の形成により、プリズムの反射面となる傾斜面31と、プリズムの光入射面となる垂直面32とが、同時に形成される。
なお、図5においては、図示の都合上、直線状の歯を有するブレードを示しているが、もちろん、通常、広く使用されている円形ブレードを用いてもよい。
【0027】
なお、図7に示すように、本実施形態の撮像装置1の製造方法では、プリズム作製工程において、プリズム作製と同時に、溝部3により、接合基板1Wが複数の撮像素子からなる棒状基板1Vに分割される。すなわち、溝部3の底部は撮像素子基板10Wの第2の主面12にまで到達している。
【0028】
<研磨工程>
プリズム作製工程後に、接合基板1Wのプリズムの反射面となる傾斜面31、および入射面となる垂直面32の研磨処理が行われる。ブレード2によるダイシング加工だけでは撮像光学系として許容できる平面度および面粗さを確保するのが困難なためである。研磨処理は、通常のプリズム研磨と同様の研磨液等を用いた方法で光学的仕様を満たす平面となるまで行われる。研磨処理は撮像装置1の裏面電極17が形成されている第2の主面12を基準に行われ、第1の主面11と第2の主面12との角度および距離(板厚)が高精度に管理される。
【0029】
研磨処理は、後述する個片化工程後に個々の撮像装置単位で行ってもよいが、図8に示したように撮像装置1が一列に連なっている棒状基板1Vの状態で行うことが好ましい。棒状基板1Vでの研磨処理は、一列分の複数の撮像装置の処理を一括して行うために、時間的に効率的で生産性が高いだけでなく、複数の撮像装置のプリズムの加工精度を均一に管理することができる。
【0030】
<個片化工程>
図8に示すように、個片化工程において、棒状基板1Vから個々の撮像装置1が個片化される。
【0031】
本実施形態の製造方法によれば小型の撮像装置1が効率良く製造できる。すなわち本実施形態の製造方法は生産性が高い。
【0032】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態の撮像装置1Aおよび撮像装置1Aの製造方法について説明する。本実施形態の撮像装置1Aおよび撮像装置1Aの製造方法は、第1の実施形態の撮像装置1および撮像装置1の製造方法と類似しているため、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0033】
図9に示すように、撮像装置1Aの接着層20Aはエアーギャップを形成していない。これは撮像素子がマイクロレンズを有していないためである。このため、接着層20Aは、パターニングが必要な接着層20よりも作製が容易である。
【0034】
また、撮像装置1Aは傾斜面31に金属薄膜からなる反射膜35を有する。反射膜35は、プリズムの反射面における反射効率を向上する。プリズムの反射面に反射膜35を施すことで、明るい画像による観察を行うことができる。反射膜35としては、反射率の高いアルミニウムまたは銀等の金属膜を蒸着法またはスパッタ法等により形成する。更に、反射膜35の外側に、金属膜の酸化防止のためのSiO等からなる保護膜を形成することが好ましい。なお、生産性の観点から、反射膜35および保護膜は棒状基板1Vの状態で形成することが好ましい。
【0035】
反射膜35を有する傾斜面31は光の反射効率が向上している。すなわち、撮像装置1Aは傾斜面31における反射損失がより少ないために、撮像光学系からの光線を効率良く撮像素子13に結像する。
【0036】
そして、撮像装置1Aでは、棒状基板1Vはステップカット法により作製される。すなわち、プリズム作製工程において、ブレード2はガラス基板30Wにしか溝を形成しない。すなわち、溝の底部は撮像素子基板に到達していない。このためプリズム作製工程後において、接合基板1Wは棒状基板1Vにまで分離されず、溝部3が形成されたウエハ状態である。そして、プリズム作製工程の後に分離工程においてダイシング処理により、棒状基板1Vに分離される。なお、撮像素子基板部10Aの側面は第1の主面11に対して垂直である。
【0037】
また、最初に両面に45度の傾斜のあるブレードを用い2つの反射面からなるV字溝を形成した後に、V字溝の底部と2つの棒状基板の分離部とを垂直面で分離するようにしてもよい。
【0038】
なお、図9に示すように、撮像装置1Aは、撮像装置1と同様に、チップサイズL1は、プリズムの高さH1、すなわちカバーガラス部30の厚さと略同一に設定されている。すなわち、撮像装置1、1Aは、カバーガラス部30上にプリズムを配設するのではなく、カバーガラス部30を加工してプリズムを作製するため、必要最小限のサイズのプリズムを作製することが可能である。
【0039】
なお、図1等に示すように、撮像装置1、1Aでは、プリズム作製工程において、ガラス基板30Wの上面は一部が傾斜面31に加工されていない。すなわち、撮像装置1、1Aのプリズムは上面34を有する。これは、棒状基板1Vおよび撮像装置1、1Aのハンドリングを容易にするためである。例えば、上面34を有する撮像装置1では、配線板に実装するときに、下面33、すなわち、第1の主面11と平行な上面34を基準とすることができる。また、上記構造の撮像装置1は、鋭角状のガラス端面を有する場合に比べて、チッピング等が発生しにくい。
【0040】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態として撮像装置1Aを有する内視鏡40について説明する。図10は、内視鏡40の挿入部先端部の断面構造を説明するための図である。図10に示すように、挿入部先端部に撮像装置1Aを組み込んだ内視鏡40では、複数のレンズ部41からなる撮像光学系43と、撮像装置1Aと、は枠部46により固定されている。枠部46の内部は高熱伝導率の非導電性樹脂充填剤により充填されている。撮像装置1Aが裏面電極17を介して実装された配線板44にはケーブル45が接続されている。
【0041】
撮像装置1のプリズムを構成するカバーガラス部30の前方には、撮像光学系43がアライメント(光学的位置合わせ)されて固定されている。このため、撮像光学系43からの光学像は傾斜面31で90度、光路変換され、撮像素子13の画素エリアに結像する。
【0042】
撮像装置1A等を挿入部先端部に有する内視鏡40は、保護部材として不可欠なカバーガラス部30が、光路変換機能を有する直角プリズムであるために、細径化が可能であり低侵襲である。また、内視鏡40は生産性が高いために、低コストである。
【0043】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。例えば、第2実施形態で説明した反射膜を第1実施形態の撮像装置1に用いてもよいし、第1実施形態の撮像装置1を第3実施形態の内視鏡に搭載してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1、1A…撮像装置、1V…棒状基板、1W…接合基板、2…ブレード、3…溝部、10…撮像素子基板部、10W…撮像素子基板、11…第1の主面、12…第2の主面、13…撮像素子、14…マイクロレンズ、15…おもて面電極、16…貫通配線、17…裏面電極、20、20A、20W…接着層、21…接着層、22…エアーギャップ、30…カバーガラス部、30W…ガラス基板、31…傾斜面、32…垂直面、34…上面、35…反射膜、40…内視鏡、41…レンズ部、43…撮像光学系、44…配線板、45…ケーブル、46…枠部、O…光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10