(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気ケーブルと、その先端の軸線方向に直交する撮像部を有する固体撮像素子と、前記固体撮像素子と前記電気ケーブルの間を電気的に接続したフレキシブル配線基板とを備え、
前記フレキシブル配線基板は、前記固体撮像素子を実装する素子実装部と、前記素子実装部の両端部で屈曲されて前記素子実装部から離れる方向に延出する2つの後片部とを有し、
前記素子実装部と前記2つの後片部で囲まれた前記フレキシブル配線基板の内部空間には、硬化時の体積収縮率が3%以上の接着樹脂が充填され、
前記接着樹脂を覆う前記素子実装部及び2つの後片部を含むフレキシブル配線基板の外形寸法は、前記固体撮像素子の外形寸法以下であり、
前記フレキシブル配線基板の最外周と前記固体撮像素子の最外周との、前記素子実装部におけるフレキシブル配線基板の長手方向の距離は、0〜0.195mmの範囲であることを特徴とする撮像モジュール。
前記固体撮像素子を前記素子実装部に接合するバンプの最外周と、前記フレキシブル配線基板の屈曲部との、前記素子実装部におけるフレキシブル配線基板の長手方向の距離は、0〜0.195mmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像モジュール。
前記固体撮像素子を前記素子実装部に接合するバンプの最外周と、前記固体撮像素子の最外周との、前記素子実装部におけるフレキシブル配線基板の長手方向の距離は、0〜0.195mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の撮像モジュール。
電気ケーブルと、その先端の軸線方向に直交する撮像部を有する固体撮像素子と、前記固体撮像素子と前記電気ケーブルの間を電気的に接続したフレキシブル配線基板とを備え、
前記フレキシブル配線基板は、前記固体撮像素子を実装する素子実装部と、前記素子実装部の両端部で屈曲されて前記素子実装部から離れる方向に延出する2つの後片部とを有し、
前記素子実装部と前記2つの後片部で囲まれた前記フレキシブル配線基板の内部空間には、硬化時の体積収縮率が3%以上の接着樹脂が充填され、
前記後片部は、前記素子実装部から離れるに従って少なくとも延出端を含む部分が互いに接近する延出部と、前記延出端からさらに延出する接続片部と、を有し、
前記内部空間は、前記素子実装部と前記延出部とにより囲まれた空間であり、
前記接着樹脂は、前記素子実装部と前記2つの延出部との間に形成される第1、第2角部と、前記2つの延出部が合わさる箇所に形成される第3角部との間に、中間角部をそれぞれ有することで、全体として五角形以上の多角形に形成されることを特徴とする撮像モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される撮像装置では、配線板の延長部を信号ケーブルに接続するためにブロックに固定する必要があり、ブロックの存在により細径化することが困難となっていた。例えば、撮像モジュール部の外形寸法を2mm以下にすることは困難であった。また、ブロックとの熱膨張率の差によって発生する歪が原因で配線板が断線するおそれがあった。
特許文献2に示される撮像モジュールにおいても、フレキシブル配線基板の屈曲部における断線を生じさせずに細径化を図るのは困難であった。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、接続信頼性を損なうことなく細径化が可能な撮像モジュール及び内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、電気ケーブルと、その先端の軸線方向に直交する撮像部を有する固体撮像素子と、前記固体撮像素子と前記電気ケーブルの間を電気的に接続したフレキシブル配線基板とを備え、前記フレキシブル配線基板は、前記固体撮像素子を実装する素子実装部と、前記素子実装部の両端部で屈曲されて前記素子実装部から離れる方向に延出する2つの後片部とを有し、記素子実装部と前記2つの後片部で囲まれた前記フレキシブル配線基板の内部空間には、硬化時の体積収縮率が3%以上の接着樹脂が充填されている撮像モジュールを提供する。
前記後片部は、前記素子実装部から離れるに従って少なくとも延出端を含む部分が互いに接近する延出部と、前記延出端からさらに延出する接続片部と、を有し、前記内部空間は、前記素子実装部と前記延出部とにより囲まれた空間であることが望ましい。
前記接着樹脂を覆う前記素子実装部及び2つの後片部を含むフレキシブル配線基板の外形寸法は、前記固体撮像素子の外形寸法以下であり、前記フレキシブル配線基板の最外周と前記固体撮像素子の最外周との、前記素子実装部におけるフレキシブル配線基板の長手方向の距離は、0〜0.195mmの範囲であることが好ましい。
前記フレキシブル配線基板の屈曲部の内側半径は、0.05〜0.10mmの範囲であることが好ましい。
前記固体撮像素子を前記素子実装部に接合するバンプの最外周と、前記フレキシブル配線基板の屈曲部との、前記素子実装部におけるフレキシブル配線基板の長手方向の距離は、0〜0.195mmの範囲であることが好ましい。
前記固体撮像素子を前記素子実装部に接合するバンプの最外周と、前記固体撮像素子の最外周との、前記素子実装部におけるフレキシブル配線基板の長手方向の距離は、0〜0.195mmの範囲であることが好ましい。
前記接着樹脂は、前記素子実装部と前記2つの延出部との間に形成される第1、第2角部と、前記2つの延出部が合わさる箇所に形成される第3角部との間に、中間角部をそれぞれ有することで、全体として五角形以上の多角形に形成されることが好ましい。
前記接着樹脂は、ガラス転移温度が135℃以下であることが好ましい。
【0009】
本発明は、前記撮像モジュールを備えた内視鏡を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、素子実装部と2つの後片部で囲まれたフレキシブル配線基板の内部空間に、硬化時の体積収縮率が3%以上の接着樹脂が充填されているので、製造工程において、内部空間に接着樹脂を充填し硬化させる際に、その収縮力によって後片部を内方に引き寄せることにより、後片部が外方に広がるのを抑制することができる。よって、接着樹脂及びこれを囲むフレキシブル配線基板が、固体撮像素子の外形寸法を超えて大径化することが防止される。従って、撮像モジュールの細径化を図ることができる。
また、本発明は、フレキシブル配線基板の内部空間に接着樹脂が充填される構成であるので、フレキシブル配線基板の形状を保つための部材が必要なく、前記部材との熱膨張率の差によるフレキシブル配線基板の断線が起きることはない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について
図1〜
図6を参照して説明する。以下の説明では、
図1において左側、すなわちフレキシブル配線基板10に対して固体撮像素子4側を前側といい、その反対方向(
図1において右側)を後側という。
図1〜
図6は、前後方向および長手方向D1(後述)に対して垂直な方向から見た図である。
【0013】
図1は、本発明に係る実施形態の撮像モジュール100及び撮像モジュール100を用いて組み立てた内視鏡101の先端構造を示す。
図2(a)は撮像モジュールの先端部の一部を示す断面図、
図2(b)は接着樹脂を示す図である。
【0014】
撮像モジュール100は、電気ケーブル1の導体2の先端に、撮像部3を有する固体撮像素子4を実装したフレキシブル配線基板10(FPC)を電気的に接続して取り付けて構成されている。固体撮像素子4としては、例えばCMOS(相補型金属酸化膜半導体)を好適に用いることができる。
撮像モジュール100は、固体撮像素子4を、フレキシブル配線基板10を介して、電気ケーブル1と電気的に接続した構成となっている。
【0015】
フレキシブル配線基板10は、
図2に示すように、固体撮像素子4が前側の実装面11aに実装される素子実装部11と、素子実装部11の両端部で屈曲されて後側へ延出された2つの後片部12、13とを有する。
このフレキシブル配線基板10は、素子実装部11の両端部で折り曲げて後側へ延出させることにより、2つの後片部12、13が形成される。
【0016】
このフレキシブル配線基板10は、例えば、片側配線タイプのフレキシブル配線基板である。すなわち、フレキシブル配線基板10は、
図2に示すように、フィルム状に形成された電気絶縁性の絶縁基材10aの片面側に形成された配線14が、電気絶縁性のレジスト膜10b(被覆層、例えばソルダーレジスト)によって覆われた構造である。絶縁基材10aは例えばポリイミドからなり、配線14は例えば銅からなる。
実装部背面11bは、素子実装部11の実装面11aとは反対の面である。
【0017】
図1に示すように、後片部12、13の外側面12b、13b(外面)には、それぞれパッド状の導体用端子部12c、12d、13c、13dが設けられている。導体用端子部12c、12d、13c、13dには、電気ケーブル1の外被5から口出しされた導体2の内部導体2aと、外部導体2bとがそれぞれ電気的に接続されている。
【0018】
電気ケーブル1では、複数本の導体2が外被5によって一括被覆されることで、ケーブルユニットが構成されている。
導体2は、内部導体2aと、内部導体2aを被覆する一次被覆層2cと、金属細線によって網状に形成され一次被覆層2cの周囲に設けられた外部導体2bと、この外部導体2bを被覆する二次被覆層2dとを有する。
【0019】
図1および
図2に示すように、撮像部3は固体撮像素子4に形成された電気回路を介して、フレキシブル配線基板10の配線14と電気的に接続されている。
固体撮像素子4は、撮像部3が搭載されている表面とは反対の裏面に、固体撮像素子4の電気回路と電気的に接続されたバンプ4aを有する。バンプ4aは、例えばはんだバンプ、スタッドバンプ、めっきバンプ等である。
固体撮像素子4は、フリップチップ方式で、フレキシブル配線基板10の素子実装部11の実装面11aに形成された電極部(図示略)にバンプ4aを接合固定することにより、フレキシブル配線基板10の配線14と電気的に接続されている。
【0020】
フレキシブル配線基板10の素子実装部11は、フレキシブル配線基板10の配線14を介して、各導体用端子部12c、12d、13c、13dと電気的に接続されている。これによって固体撮像素子4の電気回路と、電気ケーブル1の導体2とが配線14を介して電気的に接続されることになる。
【0021】
撮像モジュール100におけるフレキシブル配線基板10の後片部12、13の全体は、電気絶縁性を有する絶縁チューブ15に覆われている。
絶縁チューブ15は、例えばシリコーン樹脂からなる筒状部材あり、電気ケーブル1の導体2やフレキシブル配線基板10に対して低摩擦で円滑にスライド移動させることができる点で好適である。
この絶縁チューブ15は、その内側に充填されかつ硬化された内層樹脂16によって、その内側のフレキシブル配線基板10及び導体2に対して固定、一体化されている。
【0022】
フレキシブル配線基板10の各後片部12、13には、それぞれ、導体用端子部12c、13cに導体2の導体2aをはんだ付けした導体接続部17a、及び導体用端子部12d、13dに導体2の導体2bをはんだ付けした導体接続部17bが形成されている。
【0023】
撮像モジュール100では、レンズユニット20及び外枠部材21をさらに装着することにより内視鏡101が構成される。
レンズユニット20は、透明なカバー部材22を介して撮像部3の受光面3aに取り付けられるものである。
外枠部材21は、固体撮像素子4に固定したカバー部材22及びレンズユニット20とともに、撮像モジュール100の先端を収容する例えば円筒状等の部材である。
【0024】
レンズユニット20は、円筒状の鏡筒20a内に、対物レンズ(図示略)を組み込んだものであって、撮像部3の受光面3aに光軸を位置合わせして、鏡筒20aの軸線方向一端をカバー部材22に固定して設けられている。
レンズユニット20は、撮像先端ユニット12前側から鏡筒20a内のレンズを介して導いた光を、固体撮像素子4における撮像部3の受光面3aに結像させる。
【0025】
外枠部材21は、その内側に充填されかつ硬化された外層樹脂23によって、撮像モジュール100の絶縁チューブ15に接着固定されている。
絶縁チューブ15により、フレキシブル配線基板10の2つの後片部12、13のそれぞれに形成された導体接続部17a及び導体接続部17bが、外枠部材21に接触して短絡することが防止される。
【0026】
撮像モジュール100のフレキシブル配線基板10についてさらに説明する。
図1および
図2(a)に示すように、フレキシブル配線基板10の2つの後片部12、13は、素子実装部11に対して屈曲された延出部12e、13eと、延出部12e、13eの延出端12e1、13e1から後側に延びる接続片部12f、13fと、を有する。
【0027】
図2に示すように、延出部12e、13eは、延出基部12g、13gと、傾斜延出部12h、13hとを有する。
図2では、延出基部12g、13gは、素子実装部11の両端部(基板長手方向D1(
図1において上下方向)の両端部)から後側に延出している。延出基部12g、13gは、素子実装部11に対してほぼ垂直とされている。
傾斜延出部12h、13hは、延出基部12g、13gの延出端12g1、13g1から、素子実装部11から離れるに従って互いに接近するように延出している。傾斜延出部12h、13hは、延出端12e1、13e1において互いに当接している。
【0028】
図1に示すように、接続片部12f、13fは、対向面12a、13a同士を互いに当接させた基板合わせ部24を構成している。
基板合わせ部24では、接続片部12f、13fは、対向面12a、13a間に介在された層間樹脂24aによって互いに接着される。
【0029】
延出部12e、13eと、素子実装部11と、基板合わせ部24とによって囲まれたホームベース形状の基板内空間25には接着樹脂Rが充填されている。延出部12e、13eと、素子実装部11とは、接着樹脂Rによって互いに接着固定される。
【0030】
フレキシブル配線基板10では、基板内空間25に充填され硬化した接着樹脂Rによって、基板内空間25の周囲に位置する部分の形状が拘束され、変形が生じにくくなっており、形状安定性が確保されている。
すなわち、フレキシブル配線基板10では、基板内空間25に埋め込んで硬化した接着樹脂Rによって、フレキシブル配線基板10の先端部18(素子実装部11と延出部12e、13eとからなる部分)の形状を安定に維持できる。
フレキシブル配線基板10を構成する絶縁基材10aの弾性率は6GPa以下が好ましく、絶縁基材10aと同様にフレキシブル配線基板10を構成する配線14の弾性率は35GPa以下が好ましい。
【0031】
次に、
図1〜
図3を参照して、フレキシブル配線基板10の素子実装部11及び後片部12、13間に形成された基板内空間25、及び基板内空間25に充填される接着樹脂Rについて詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、フレキシブル配線基板10の基板内空間25に充填される接着樹脂Rは、素子実装部11と後片部12、13とによって、全体として五角形(または略五角形)(符号30で示す)に形成されている。
【0032】
図2(a)及び
図3に示すように、接着樹脂Rを囲むフレキシブル配線基板10の外形寸法L1は、固体撮像素子4のD1方向の外形寸法L2以下であることが好ましい。外形寸法L1は、外形寸法L2より小さいことが好ましい。外形寸法L1、L2は、素子実装部11におけるフレキシブル配線基板10の長手方向D1の寸法である。
【0033】
図3では、フレキシブル配線基板10のD1方向最外周(
図3右端部)は、固体撮像素子4のD1方向最外周(
図3右端部)に比べ、D1方向の内側に位置している。
フレキシブル配線基板10のD1方向最外周(
図3右端部)と、固体撮像素子4のD1方向最外周(
図3右端部)との間のD1方向の距離(符号A1で示す)は、0〜0.195mmの範囲が好ましい。
フレキシブル配線基板10の屈曲部10Aの内側半径(
図3に符号A2で示す)は0.05〜0.10mmの範囲が好ましい。内側半径A2をこの範囲とすることによって、先端部18の細径化を図るとともに、屈曲部10Aにおける断線を防ぐことができる。
【0034】
固体撮像素子4が実装されるフレキシブル配線基板10上のバンプ4aの最外周(
図3右端)から、屈曲部10AのD1方向最内周までのD1方向の距離(
図3に符号A3で示す)は、0mm〜0.195mmの範囲が好ましい。距離A3をこの範囲とすることによって、先端部18の細径化を図ることができる。
固体撮像素子4が実装されるフレキシブル配線基板10上のバンプ4aの最外周(
図3右端)から、固体撮像素子4のD1方向最外周(
図3右端部)との間のD1方向の距離(
図3に符号A4で示す)は、0mm〜0.195mmの範囲が好ましい。距離A4をこの範囲とすることによって、素子実装部11と固体撮像素子4との接合強度を高めることができる。
【0035】
フレキシブル配線基板10の屈曲部10Aの内径(
図3に符号A2で示す)を0.05〜0.10mmの範囲に設定するに際して、フレキシブル配線基板10の外側表面に位置するレジスト膜10b(
図2参照)は、弾性率1.5GPa以下、破断伸び30%以上の柔軟な材料を選択することが好ましい。なお、一般的なフレキシブル配線基板用のレジストの弾性率は3GPa以上、破断伸びは数%程度である。
そのようにする理由を以下に記す。まず、屈曲部10Aの内側の曲げ半径を0.10mm以下にする理由は、曲げ半径が0.10mmを超えてしまうと、屈曲部10Aが固体撮像素子4の外形寸法を超えて外側に至ってしまうからである。
一方で、上述した一般的なフレキシブル配線基板用のレジストの弾性率及び破断伸び率では、屈曲部10Aの内側の曲げ半径が0.10mm以下ではレジスト表面が破断するおそれがある。
そこで、フレキシブル配線基板10の外側表面に位置するレジスト膜10bを形成するために弾性率1.5GPa以下、破断伸び30%以上の材料を選択すると共に、屈曲部10Aの内側の曲げ半径を0.05mm以上に設定することによりレジスト表面の破断を回避することができる。
また、屈曲部10Aの内側の曲げ半径が0.05mm未満であると、レジスト膜10bとしてどのような種類の材料を用いたとしてもレジスト表面が破断しやすくなる。
【0036】
フレキシブル配線基板用のレジスト膜10bは必須の構成要素ではない。外枠部材21に対して短絡が生じないのであれば、フレキシブル配線基板10の大径化防止のために必要に応じて省略してもよい。
図5は、フレキシブル配線基板10がレジスト膜10bを持たない場合の撮像モジュールの先端部の一部を示す断面図である。
【0037】
図2(a)および
図2(b)に示されるように、フレキシブル配線基板10の基板内空間25に充填される接着樹脂Rは、符号r1〜r5で示される5つの角部(各角部の角度をθ1〜θ5とする)を有する五角形30である。五角形30の辺をそれぞれ符号30A〜30Eで示した。
接着樹脂Rの角部r1(第1角部)と角部r5(第2角部)は、
図2(b)で示されるように、素子実装部11と後片部12、13との間の角部である。角部r1、r5の角度θ1、θ5は、90°以上とすることが好ましい。角部r1、r5は、湾曲凸面26を有するのが好ましい。
角部r2(中間角部)と角部r4(中間角部)は、延出基部12g、13gと傾斜延出部12h、13hとの間の角部である。角部r2、r4の角度θ2、θ4は、90°以上、180°未満とするのが好ましい。
角部r3(第3角部)は、2つの傾斜延出部12h、13hが合わさる箇所に形成される角部である。
図示例では、角部r1、r5の角度θ1、θ5は約90°とされ、接着樹脂Rは、全体としてホームベース状の五角形30となっている。
【0038】
なお、
図1及び
図2に示される接着樹脂Rの形状は一例であって、接着樹脂Rの形状はこれに限定されない。例えば、
図4(a)に示すように、角部r1、r5の角度θ1、θ5を90°より大きくしてもよい。また、
図4(b)に示すように、接着樹脂Rは、五角形を越える多角形としてもよい。
図4(b)に示す接着樹脂Rは、角部r2、r3の間に角部r6を有し、角部r3、r4の間に角部r7を有する七角形である。また、
図4(c)に示すように、角部r1と角部r3との間の辺、および、角部r5と角部r3との間の辺を湾曲凸状としてもよい。
【0039】
次に、フレキシブル配線基板10の基板内空間25に充填される接着樹脂Rについて説明する。
この接着樹脂Rとしては、硬化時の体積収縮率が3%以上の接着樹脂が使用される。この接着樹脂Rとしては、例えば、UV硬化型のアクリル系樹脂、又はエポキシ系樹脂等が好適に使用される。
体積収縮率が前記範囲であると、後述する製造工程において、基準ピン50を抜き、基板内空間25に接着樹脂Rを充填し硬化させる際に、その収縮力によって延出部12e、13eを内方に引き寄せることにより(
図2の矢印参照)、延出部12e、13eがフレキシブル配線基板10としての復元力により外方に広がるのを抑制することができる。
よって、接着樹脂R及びこれを囲むフレキシブル配線基板10が、固体撮像素子4の外形寸法を超えて大径化することが防止される。
【0040】
この体積収縮率が5%以上、さらには10%以上であれば、接着樹脂Rにより多くの収縮を生じさせることができるため、固体撮像素子4の外形寸法を抑制する効果を高めることができる。
【0041】
接着樹脂Rは、体積収縮率が3%以上であることに加えて、樹脂のガラス転移温度も考慮して材料を選択してもよい。例えば、接着樹脂Rとして、ガラス転移温度が135℃以下であるものを使用することが好ましい。これによって、オートクレーブによる滅菌処理で高温状態(およそ135℃以上)に置かれた場合に、接着樹脂Rを軟化させることができるため、高温状態においてもフレキシブル配線基板10の屈曲部10A等に大きな力が加えられるのを回避し、フレキシブル配線基板10の破損を防ぐことができる。
また、フレキシブル配線基板10に大きな力が加えられることがないため、接着樹脂Rを囲むフレキシブル配線基板10の外形寸法を小さくしても、屈曲部10Aに無理な力がかかることがない。よって、先端部18の細径化が容易となる。
なお、接着樹脂Rとして好適に使用されるUV硬化型のアクリル系樹脂としては、例えば、ガラス転移温度が106℃、硬化時の体積収縮率が12.8%となる特性を有するものがある。
【0042】
撮像モジュール100は、例えば、
図6のようにして製造される。
まず、
図6(a)で示すようにフレキシブル配線基板10の実装部背面11bに五角形状の基準ピン50を配置する。基準ピン50は、五角形状30の辺30A(
図2参照)に相当する部分をフレキシブル配線基板10の実装部背面11bに密着させる。
フレキシブル配線基板10の実装面11a上に設置された固体撮像素子4の表面を上方から押さえる。
基準ピン50は、最終的に形成したい接着樹脂Rの形状に対応して(
図2〜
図4参照)、その外形が適宜選択される。
【0043】
図6(b)で示すように、フレキシブル配線基板10の素子実装部11の両端部を屈曲させて延出部12e、13e(延出基部12g、13g)を形成する。
【0044】
図6(c)で示すように、フレキシブル配線基板10の後片部13の接続片部13fとなる箇所の内側面に接着剤53を塗布する。
【0045】
図6(d)で示すように、フレキシブル配線基板10の接続片部12f、13fを接着剤53により接着する。これにより、フレキシブル配線基板10の基板合わせ部24を形成する。
【0046】
図6(e)で示すように、フレキシブル配線基板10の素子実装部11と後片部12、13との間に挿入されている基準ピン50を抜き、基準ピン50が配置されていた基板内空間25に接着樹脂Rを充填した後、接着樹脂Rを硬化させる。
【0047】
撮像モジュール100では、素子実装部11と2つの後片部12、13で囲まれたフレキシブル配線基板10の基板内空間25に、硬化時の体積収縮率が3%以上の接着樹脂Rが充填されている。そのため、製造工程において、基準ピン50を抜き、基板内空間25に接着樹脂Rを充填し硬化させる際に、その収縮力によって延出部12e、13eを内方に引き寄せることにより(
図2の矢印参照)、延出部12e、13eがフレキシブル配線基板10としての復元力により外方に広がるのを抑制することができる。
よって、接着樹脂R及びこれを囲むフレキシブル配線基板10が、固体撮像素子4の外形寸法を超えて大径化することが防止される。従って、撮像モジュール100の細径化を図ることができる。
また、撮像モジュール100は、フレキシブル配線基板10の基板内空間25に接着樹脂Rが充填される構成であるので、フレキシブル配線基板10の形状を保つための部材が必要なく、前記部材との熱膨張率の差によるフレキシブル配線基板10の断線が起きることはない。
【0048】
接着樹脂Rに、高温状態で軟化する樹脂が用いられる場合には、接着樹脂Rはフレキシブル配線基板10の形状に応じた形状となるため、接着樹脂Rとフレキシブル配線基板10の位置合わせの必要がなく、製造が容易である。
これに対し、フレキシブル配線基板10の形状を保つための部材を用いる場合には、前記部材とフレキシブル配線基板とのアライメントが必要となるため、製造に手間がかかる。また、前記部材は精密加工が必要となるため大量製造が難しく、コストがかさむという問題もある。
【0049】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、延出部は、少なくとも延出端を含む部分が素子実装部から離れるに従って互いに接近する構造であればよく、図示した構造に限定されない。
【解決手段】電気ケーブル1と、固体撮像素子4と、固体撮像素子4と電気ケーブル1の間を電気的に接続したフレキシブル配線基板10とを備えた撮像モジュール100を提供する。フレキシブル配線基板10は、固体撮像素子4を実装する素子実装部11と、素子実装部11の両端部で屈曲されて素子実装部11から離れる方向に延出された2つの後片部12、13とを有する。素子実装部11と2つの後片部12、13で囲まれたフレキシブル配線基板10の基板内空間25には、体積収縮率が3%以上の接着樹脂Rが充填されている。