【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0041】
<Ni粒子又は樹脂粒子の平均粒径の測定>
前記Ni粒子又は樹脂粒子の平均粒径は、粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3100、日機装株式会社製)により測定した。
【0042】
(製造例1)
−Ni粒子の作製−
バーレインコ社製 ニッケルパウダー タイプT255を平均粒径が3μmになるように分級し、Ni粒子とした。
【0043】
(製造例2)
−AuめっきNi粒子の作製−
バーレインコ社製 ニッケルパウダー タイプT255を平均粒径が3μmになるように分級後、置換めっきによりAuをNi粒子表面にめっきし、AuめっきNi粒子とした。
【0044】
(製造例3)
−Niめっき樹脂粒子の作製−
平均粒径10μmのスチレン−ジビニルベンゼン共重合体の樹脂粒子に、無電解Niめっきを粒子表面に施し、Niめっき樹脂粒子を作製した。
【0045】
(製造例4)
−Ni/Auめっき樹脂粒子Aの作製−
平均粒径10μmのスチレン−ジビニルベンゼン共重合体の樹脂粒子に、無電解Niめっきを粒子表面に施し、更に置換めっきにてNiめっき表面にAuめっきを行い、Ni/Auめっき樹脂粒子Aを作製した。
【0046】
(製造例5)
−Ni/Auめっき樹脂粒子Bの作製−
平均粒径10μmの架橋ポリスチレン粒子に、無電解Niめっきを粒子表面に施し、更に置換めっきにてNiめっき表面にAuめっきを行い、Ni/Auめっき樹脂粒子Bを作製した。
【0047】
(製造例6)
−Ni/Auめっき樹脂粒子Cの作製−
平均粒径5μmのベンゾグアナミン粒子に、無電解Niめっきを粒子表面に施し、更に置換めっきにてNiめっき表面にAuめっきを行い、Ni/Auめっき樹脂粒子Cを作製した。
【0048】
(実施例1)
<異方性導電フィルム1の作製>
−絶縁層1の作製−
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、及び有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部を、固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエンの混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を、厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み18μmの絶縁層1を作製した。
【0049】
−導電層1の作製−
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、製造例1のNi粒子(平均粒径3μm)2.8質量部、及び製造例6のNi/Auめっき樹脂粒子C(平均粒径5μm、樹脂コア:ベンゾグアナミン樹脂)3.8質量部を固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエンの混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み17μmの導電層1を作製した。
次に、作製した絶縁層1と導電層1をローラーでラミネートすることにより、貼り合わせて、合計厚みが35μmである絶縁層1と導電層1からなる2層構成の異方性導電フィルム1を作製した。
【0050】
−接合体の作製−
作製した異方性導電フィルム1を介してCOF(ポリイミドフィルム厚み38μm、Cu厚み8μm、200μmP(ピッチ)(ライン:スペース=1:1)、Snめっき品)又はTCP(ポリイミドフィルム厚み75μm、Cu厚み18μm、エポキシ系接着剤層12μm、200μmP(ピッチ)(ライン:スペース=1:1)、Snめっき品)とPWB(ガラスエポキシ基板、Cu厚み35μm、200μmP(ピッチ)(ライン:スペース=1:1)、Auフラッシュめっき品)との接合を行い、接合体1を作製した。
なお、COF又はTCPとPWBの接続は、以下の圧着条件により行った。
<圧着条件>
・ACF幅:2.0mm
・ツール幅:2.0mm
・緩衝材:シリコーンラバー厚み0.2mm
・0.2mmP(ピッチ)−COF/PWB:130℃/3MPa/3sec
・0.2mmP(ピッチ)−TCP/PWB:140℃/3MPa/3sec
【0051】
次に、作製した異方性導電フィルム1及び接合体1について、以下のようにして、ピール強度、及び導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0052】
<ピール強度の測定方法>
作製した接合体を、
図3に示すようにして、引っ張り速度50mm/minで90°Y軸方向ピール強度を測定した。対COFはTCPよりも接着し難いため、ピール強度は、対COFのみを測定し、下記基準で評価した。なお、結果はピール強度の最大値(N/cm)で示した。
〔評価基準〕
○:ピール強度が8N/cm以上
×:ピール強度が8N/cm未満
【0053】
<導通抵抗の測定方法>
作製した接合体を、
図4に示すようにして、テスターを用いて1mAの定電流を印加した際の電圧を4端子法で導通抵抗〔初期の導通抵抗(Ω)、及び環境試験(85℃で85%RHに1,000時間放置)後の導通抵抗(Ω)〕を測定し、下記基準で評価した。対TCPの導通信頼性はCOFよりも厳しいため、導通抵抗は、対TCPのみを測定した。
〔初期の導通抵抗の評価基準〕
○:導通抵抗が0.060Ω以下
×:導通抵抗が0.060Ωを超える
〔環境試験(85℃で85%RHに1,000時間放置)後の導通抵抗の評価基準〕
○:(初期の導通抵抗/環境試験後の導通抵抗)が5倍未満
△:(環境試験後の導通抵抗/初期の導通抵抗)が5倍以上11倍未満
×:(環境試験後の導通抵抗/初期の導通抵抗)が11倍以上
【0054】
(実施例2)
<異方性導電フィルム2の作製及び評価>
実施例1において、導電層1を下記の導電層2に代えた以外は、実施例1と同様にして、合計厚みが35μmである絶縁層1と導電層2からなる2層構成の異方性導電フィルム2及び接合体2を作製した。
作製した異方性導電フィルム2及び接合体2について、実施例1と同様にして、ピール強度、及び導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0055】
−導電層2の作製−
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、製造例1のNi粒子(平均粒径3μm)2.8質量部、及び製造例5のNi/Auめっき樹脂粒子B(平均粒径10μm、樹脂コア:架橋ポリスチレン)3.8質量部を固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエンの混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み17μmの導電層2を作製した。
【0056】
(実施例3)
<異方性導電フィルム3の作製>
実施例1において、導電層1を下記の導電層3に代えた以外は、実施例1と同様にして、合計厚みが35μmである絶縁層1と導電層3からなる2層構成の異方性導電フィルム3及び接合体3を作製した。
作製した異方性導電フィルム3及び接合体3について、実施例1と同様にして、ピール強度、及び導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0057】
−導電層3の作製−
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、製造例1のNi粒子(平均粒径3μm)2.8質量部、及び製造例4のNi/Auめっき樹脂粒子A(平均粒径10μm、樹脂コア:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体)3.8質量部を固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエンの混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み17μmの導電層3を作製した。
【0058】
(実施例4)
<異方性導電フィルム4の作製>
実施例1において、導電層1を下記の導電層4に代えた以外は、実施例1と同様にして、合計厚みが35μmである絶縁層1と導電層4からなる2層構成の異方性導電フィルム4及び接合体4を作製した。
作製した異方性導電フィルム4及び接合体4について、実施例1と同様にして、ピール強度、及び導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0059】
−導電層4の作製−
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、製造例1のNi粒子(平均粒径3μm)2.8質量部、及び製造例3のNiめっき樹脂粒子(平均粒径10μm、樹脂コア:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体)3.8質量部を固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエンの混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み17μmの導電層4を作製した。
【0060】
(実施例5)
<異方性導電フィルム5の作製>
実施例1において、導電層1を下記の導電層5に代えた以外は、実施例1と同様にして、合計厚みが35μmである絶縁層1と導電層5からなる2層構成の異方性導電フィルム5及び接合体5を作製した。
作製した異方性導電フィルム5及び接合体5について、実施例1と同様にして、ピール強度、及び導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
−導電層5の作製−
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、製造例1のNi粒子(平均粒径3μm)1.9質量部、及び製造例4のNi/Auめっき樹脂粒子A(平均粒径10μm、樹脂コア:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体)1.1質量部を固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエン混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み17μmの導電層5を作製した。
【0062】
(比較例1)
<異方性導電フィルム6の作製>
実施例1において、導電層1を下記の導電層6に代えた以外は、実施例1と同様にして、合計厚みが35μmである絶縁層1と導電層6からなる2層構成の異方性導電フィルム6及び接合体6を作製した。
作製した異方性導電フィルム6及び接合体6について、実施例1と同様にして、ピール強度、及び導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0063】
−導電層6の作製−
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、及び製造例1のNi粒子(平均粒径3μm)2.8質量部を固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエンの混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み17μmの導電層6を作製した。
【0064】
(比較例2)
<異方性導電フィルム7の作製>
実施例1において、導電層1を下記の導電層7に代えた以外は、実施例1と同様にして、合計厚みが35μmである絶縁層1と導電層7からなる2層構成の異方性導電フィルム7及び接合体7を作製した。
作製した異方性導電フィルム7及び接合体7について、実施例1と同様にして、ピール強度、及び導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
−導電層7の作製−
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、及び製造例4のNi/Auめっき樹脂粒子A(平均粒径10μm、樹脂コア:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体)3.8質量部を固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエンの混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み17μmの導電層7を作製した。
【0066】
(比較例3)
<異方性導電フィルム8の作製>
実施例3において、絶縁層1を下記の絶縁層2に代えた以外は、実施例3と同様にして、合計厚みが35μmである絶縁層2と導電層3からなる2層構成の異方性導電フィルム8及び接合体8を作製した。
作製した異方性導電フィルム8及び接合体8について、実施例1と同様にして、ピール強度、及び導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0067】
−絶縁層2の作製−
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、及び有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部を、固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエンの混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み18μmの絶縁層2を作製した。
【0068】
(比較例4)
<異方性導電フィルム9の作製>
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、製造例1のNi粒子(平均粒径3μm)2.8質量部、及び製造例4のNi/Auめっき樹脂粒子A(平均粒径10μm、樹脂コア:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体)3.8質量部を固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエンの混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み35μmの導電層3からなる異方性導電フィルム9を作製した。
この異方性導電フィルム9を用い、実施例1と同様にして接合体9を作製し、実施例1と同様にして、ピール強度、及び導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0069】
(比較例5)
<異方性導電フィルム10の作製>
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、東都化成株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学株式会社製)20質量部、単官能アクリルモノマー(商品名:4−HBA、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、リン酸エステル型アクリレート(商品名:PM−2、日本化薬株式会社製)2質量部、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、有機過酸化物としてのジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製)3質量部、製造例2のAuめっきNi粒子(平均粒径3μm)2.8質量部、及び製造例5のNi/Auめっき樹脂粒子B(平均粒径10μm、樹脂コア:架橋ポリスチレン)3.8質量部を固形分が50質量%になるように含有する酢酸エチルとトルエンの混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥し、PETフィルムを剥離することで、厚み35μmの導電層8からなる異方性導電フィルム10を作製した。
この異方性導電フィルム10を用い、実施例1と同様にして接合体10を作製し、実施例1と同様にして、ピール強度、及び導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0070】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-4】
【表1-5】
【0071】
表1の結果から、実施例1〜5、及び比較例1、2、5は、いずれも130℃、3MPa、3secという低温短時間条件にも関わらず、高いピール強度を示し、接着性が良好であった。
また、実施例1〜5、及び比較例1、4、5は、いずれも初期導通抵抗が0.06Ω以下と低く、良好であった。
また、実施例3、4、及び比較例1、2、5は、いずれも高温高湿環境(85℃、85%RH)下で1,000時間後の導通抵抗が低く、良好であった。
また、実施例1は、導電層の金属被覆樹脂粒子の樹脂コアとして平均粒径が5μmのベンゾグアナミン樹脂を用いており、ピール強度及び初期導通抵抗は良好であるが、樹脂コア自体の反発力がスチレン−ジビニルベンゼン共重合体に比べ大きく、85℃、85%RH環境下では樹脂コアの反発力によりバインダー硬化物が緩んでしまうため、高温高湿環境(85℃、85%RH)下で1,000時間後の導通抵抗が若干高くなった。
また、実施例2は、導電層の金属被覆樹脂粒子の樹脂コアとして架橋ポリスチレンを用いており、ピール強度及び初期導通抵抗は良好であるが、架橋ポリスチレンは樹脂コア自体の反発力がスチレン−ジビニルベンゼン共重合体に比べて大きく、高温高湿環境(85℃、85%RH)下ではその反発力の影響で粒子を押さえつけているバインダー硬化物が緩んでしまい、結果として1,000時間後の導通抵抗が若干高くなった。
また、実施例3は、絶縁層に単官能アクリルモノマーを含み、導電層にNi粒子とNi/Auめっき樹脂粒子A(樹脂コア:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、平均粒径10μm)を含む本発明のベストモードである。
また、実施例4は、導電層の金属被覆樹脂粒子の樹脂コアとして柔らかいスチレン−ジビニルベンゼン共重合体を用いており、反発力が弱くなるため、粒子の潰れが良くなって粒子と電極の接触面積が大きくなり、Niめっきのみであっても、高温高湿環境(85℃で85%RH)下、1,000時間後でAu/Niめっきとあまり変わらないレベルの低い導通抵抗値が得られた。
また、実施例5は、Ni粒子とNi/Auめっき樹脂粒子Aの合計量が樹脂固形分100質量部に対し2.9質量部であり、実施例3のNi粒子とNi/Auめっき樹脂粒子Aの合計量が樹脂固形分100質量部に対し6.4質量部に比べて半分以下であるため、高温高湿環境(85℃、85%RH)下で1,000時間後の導通抵抗が高くなった。
これに対し、比較例1は、導電層にNi粒子のみを含むので、ピール強度及び初期導通抵抗は良好であるが、高温高湿環境(85℃、85%RH)下で1,000時間後の導通抵抗が高くなった。
また、比較例2は、導電層にNi粒子を含まず、Ni/Auめっき樹脂粒子Aを含むので、初期導通抵抗が、実施例3(ベストモード)よりも若干高く、高温高湿環境(85℃、85%RH)下で1,000時間後の導通抵抗は大きく上昇した。これは、Ni/Auめっき樹脂粒子AだけではPWBパターン表面に形成される酸化膜を突き破って導電性を得ることができないため、高温高湿環境(85℃、85%RH)下で1,000時間後に大きく上昇したと考えられる。
また、比較例3は、絶縁層に2官能アクリルモノマーを含むので、初期及び高温高湿環境(85℃、85%RH)下で1,000時間後の導通抵抗は良好であるが、ピール強度が低下してしまった。
また、比較例4は、導電層が単層であり、ピール強度が低下してしまった。
また、比較例5は、特開平11−339558号公報の実施例を再現したものであり、導電層が単層であり、硬化反応成分が単官能モノマーのみであるためバインダー硬化物のガラス転移温度(Tg)が低く(>85℃)、高温高湿環境(85℃で85%RH)下で樹脂コアの硬い粒子の反発力に負けてしまい、結果として1,000時間後の導通抵抗がOPENとなった。また、Ni粒子の外殻には柔らかいAuめっきがされているので、端子に食い込むことができず酸化膜を突き破ることも難しい。ただし、反応成分が単官能モノマーのみでガラス転移温度(Tg)が低くなるため、ピール強度は高い値を示した。