(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来のコネクタ接続構造にあっては、第一接続部における接続先端部を貫通孔に挿通する構造であることから、接続先端部と、この接続先端部に収容される第一端子は、J/B又はバッテリー側へ突出した状態になる。従って、J/B又はバッテリーの交換時に上からの荷重(J/B又はバッテリー重量)が掛かると、第一接続部と第二接続部とが適正な接続方向に対向していない場合には、第一接続部内の第一端子と第二接続部内の第二端子とが適切な接続方向からずれた状態で衝突し、この結果、端子の変形を招く虞があるという問題点を有する。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、端子の変形を招くことのないコネクタ接続構造を提供することを課題とする。また、これにより組み付け性の向上やメンテナンス性の向上を図ることも可能なコネクタ接続構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明のコネクタ接続構造は、貫通孔を有する仕切り部材と、該仕切り部材の一方の面側に配設されるとともに導電性を有する第一雌端子を備えて構成される第一コネクタと、前記仕切り部材の他方の面側に配設されるとともに導電性を有する第二雌端子を備えて構成される第二コネクタと、導電性を有する雄端子を備えて構成される雄型接続部材と、を含み、前記第一コネクタと前記第二コネクタとを前記貫通孔の位置で対向させた後に、前記雄型接続部材の前記雄端子を前記第一雌端子及び前記第二雌端子のいずれか一方から接続しつつ前記貫通孔を通っていずれか他方にも接続することを特徴とする。
【0009】
このような特徴を有する本発明によれば、仕切り部材の貫通孔位置で雌端子を有する第一コネクタと第二コネクタとを、それぞれに備えられる第一雌端子及び第二雌端子を貫通孔に非挿通の状態で対向させた後に、これら第一コネクタと第二コネクタとを雄型接続部材の雄端子にて接続する構造であることから、第一コネクタ及び第二コネクタが貫通孔を介して組み付けられたときに第一雌端子及び第二雌端子は共に仕切り部材の反対面側に突出しない。このため、第一雌端子及び第二雌端子は、雄端子が接続されて電気的な接続が行われなければ相互に非接触の状態である。したがって、第一コネクタ及び第二コネクタが適正な接続方向に対向していない状態で第一コネクタまたは第二コネクタに荷重が掛ったとしても、第一雌端子と第二雌端子とが衝突することがないので、端子の変形を招く虞はない。尚、本発明において、仕切り部材は、例えば車両におけるパネル部材が該当するものとする。
【0010】
また、上記のコネクタ接続構造において、前記第一雌端子及び前記第二雌端子の前記いずれか一方は、接続用の貫通部分としての接続用貫通部を有し、前記雄端子は、前記第一雌端子、前記第二雌端子、及び前記接続用貫通部に対して挿抜自在となる形状を有することが好ましい。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、雄型接続部材の雄端子を、接続用貫通部を介して第一雌端子及び第二雌端子のいずれか一方から接続し始め、そして、貫通孔を通って第一雌端子及び第二雌端子のいずれか他方にも接続すると、第一コネクタと第二コネクタとの電気的な接続が完了する。本発明によれば、接続用貫通部から雄端子を差し込んで二つの雌端子を接続する構造である。尚、電気的な接続の解除は、接続用貫通部から雄端子を引き抜くだけでよい。
【0012】
また、上記のコネクタ接続構造において、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタは、絶縁性を有する第一ハウジング及び第二ハウジングを備え、前記第一ハウジング及び前記第二ハウジングは、前記貫通孔の位置又は該貫通孔の近傍位置で係合する第一係合部及び第二係合部を有することが好ましい。
【0013】
このような特徴を有する本発明によれば、第一コネクタと第二コネクタとを対向させると、この時、第一コネクタの第一係合部と第二コネクタの第二係合部とが係合してコネクタ同士が位置決めされる。従って、雄型接続部材を用いての電気的な接続は、コネクタ同士の位置が決まった状態で行われる。
【0014】
また、上記のコネクタ接続構造において、前記雄型接続部材は、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタのうち前記第一雌端子及び前記第二雌端子の前記いずれか一方に対応する側に係合するコネクタ係合部を備えることが好ましい。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、コネクタ係合部を介して雄型接続部材を第一コネクタ又は第二コネクタに係合させると、雄型接続部材による電気的な接続が維持され安定した状態になる。この他、コネクタ係合部は、電気的な接続の際の作業者の持ち手部分としても有効である。
【0016】
また、上記のコネクタ接続構造において、前記雄型接続部材は、電気的な遮断用のサービスプラグであることが好ましい。
【0017】
このような特徴を有する本発明によれば、サービスプラグとしての機能を雄型接続部材に持たせる。この場合、他の機器側(例えばJ/B又はバッテリー側)に別途サービスプラグを設けなくてもよくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、仕切り部材の貫通孔位置で第一コネクタと第二コネクタとを、それぞれに備えられる第一雌端子及び第二雌端子を貫通孔に非挿通の状態で対向させた後に、雄型接続部材を用いて第一コネクタと第二コネクタとを電気的に接続する構造であることから、端子の変形を招くことのないコネクタ接続構造を提供することができるという効果を奏する。また、これにより組み付け性の向上やメンテナンス性の向上を図ることができるという効果も奏する。
【0019】
また、本発明によれば、接続用貫通部を介して電気的な接続や、接続解除を容易に行うことができるという効果も奏する。
【0020】
また、本発明によれば、コネクタ同士の位置決めをすることができ、以て雄型接続部材を用いての電気的な接続をスムーズ且つ確実に行うことができるという効果も奏する。
【0021】
また、本発明によれば、雄型接続部材を第一コネクタ又は第二コネクタに係合させて電気的な接続の維持、安定を図ることや、作業者の持ち手部分として活用することができるという効果も奏する。
【0022】
また、本発明によれば、雄型接続部材の取り外しにより電気的な遮断をすることができるという効果も奏する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
コネクタ接続構造は、これを車両に適用すると、仕切り部材(フロアパネル)の貫通孔位置で雌端子を有する第一コネクタ(ハーネス側コネクタ)及び第二コネクタ(ユニット側コネクタ)を対向させた後に、これら第一コネクタと第二コネクタとを雄型接続部材にて電気的に接続する構造になる。
【0025】
[実施形態]
図面を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。以下では、本発明をハイブリッド自動車(電気自動車であってもよいものとする)に採用した例を挙げて説明をするものとする。
図1は本発明のコネクタ接続構造による電気的な接続状態を示す断面図である。
【0026】
図1において、ハイブリッド自動車は、エンジン及びモータユニットの二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニットにはインバータユニットを介して車載電池ユニット1からの電力が供給される。エンジン、モータユニット、及びインバータユニットは、本実施形態において前輪等がある位置のエンジンルームに搭載される。また、車載電池ユニット1は、エンジンルームの後方に存在する自動車室内や、後輪等がある自動車後部に搭載される。車載電池ユニット1は、高圧のバッテリーを含んで構成される。尚、本実施形態の車載電池ユニット1には、公知のJ/Bが含まれるものとする。
【0027】
車載電池ユニット1とインバータユニットは、高圧のワイヤハーネス2により接続される。このワイヤハーネス2は、車両床下を通って配索される。また、車両床下に沿って略平行にも配索される。引用符号3はフロアパネルを示す。フロアパネル3は、請求の範囲に記載された仕切り部材に相当し、この所定位置には貫通孔4が形成される。
【0028】
フロアパネル3の一方の面5の側(車両床下側)には、ワイヤハーネス2が配索される。ワイヤハーネス2は、一又は複数本の高圧導電路6と、この高圧導電路6を収容保護する図示しない外装部材と、高圧導電路6の前端に設けられる図示しないコネクタと、同じく高圧導電路6の後端に設けられるハーネス側コネクタ7(第一コネクタ)と、電磁シールド機能を付加するためのシールド構造とを含んで構成される。
【0029】
尚、本実施形態においては、説明の簡素化を図るために、上記シールド構造の図示は省略するものとする(シールド構造は背景技術の欄の特許文献1に開示される構造が参考になる)。
【0030】
一方、フロアパネル3の他方の面8の側(車室内側)には、車載電池ユニット1が搭載される。車載電池ユニット1は、ユニットケース9と、図示しない高圧のバッテリーと、同じく図示しないJ/Bと、ユニット側コネクタ10(第二コネクタ)とを含んで構成される。高圧のバッテリーは、Ni−MH系やLi−ion系のものであって、モジュール化してなるものとする(例えばキャパシタのような蓄電装置を使用することも可能であるものとする)。車載電池ユニット1は、ハイブリッド自動車や電気自動車に使用可能であれば特に限定されないものとする。なお、以下の説明では、フロアパネル3の他方の面8の側(車室内側)を高さ方向の「上方」、フロアパネル3の一方の面5の側(車両床下側)を高さ方向の「下方」とも表記する。この「高さ方向」は鉛直方向以外の方向であってもよい。
【0031】
フロアパネル3の貫通孔4の位置においては、ハーネス側コネクタ7とユニット側コネクタ10とが対向するように配置される。また、貫通孔4の位置においては、ハーネス側コネクタ7とユニット側コネクタ10とが雄型接続部材11により電気的に接続される。雄型接続部材11は、後述するが着脱自在な部材であって、このような雄型接続部材11を用いることにより、貫通孔4の位置で回路の分離(電気的な遮断)も行えるようになる。
【0032】
以下、ワイヤハーネス2のハーネス側コネクタ7と、車載電池ユニット1のユニットケース9及びユニット側コネクタ10と、雄型接続部材11とについて、構造等を順に説明する。
【0033】
先ず、
図2を参照しながらワイヤハーネス2のハーネス側コネクタ7について説明をする。
図2は仕切り部材であるフロアパネルと第一コネクタであるハーネス側コネクタの断面図である。尚、必要に応じて
図1も参照するものとする。
【0034】
図2において、ハーネス側コネクタ7は、上記の如く高圧導電路6の後端に設けられる。ハーネス側コネクタ7は、電気接続のための部材であって、ハーネス側雌端子12(第一雌端子)と、ハーネス側ハウジング13(第一ハウジング)と、パッキン14、15とを含んで構成される。ハーネス側コネクタ7は、例えばボルト16を用いてフロアパネル3の一方の面5に対し固定される。
【0035】
ハーネス側雌端子12は、導電性を有する金属板を加工して所定の雌型形状に形成される。ハーネス側雌端子12は、電線接続部17と、中間部18と、電気接触部19とを一体に有する。電線接続部17は、高圧導電路6の後端を皮剥して露出させた導体20に対し電気的に接続される。電線接続部17は、本実施形態において圧着タイプに形成されるが、溶接や圧接タイプであってもよいものとする。中間部18は、電線接続部17と電気接触部19とを繋ぐ部分として形成される。中間部18は、電線接続部17と電気接触部19との距離が若干離れる場合に設けられる。
【0036】
電気接触部19は、雄型接続部材11との接続が可能な雌型形状に形成される。具体的には、ベース部分19aと、このベース部分19aの上に、山の頂部同士が向き合うような一対の「く字状(L字状)」の弾性接触片19b,19bとを有する図示の形状に形成される。また、電気接触部19は、一対の弾性接触片19b,19bの間に後述する雄端子44が差し込まれると、適度な反力をもって雄端子44に対し接触する形状にも形成される(図中の雌型形状は一例であるものとする)。
【0037】
ハーネス側ハウジング13は、絶縁性を有する樹脂材料の成形により略箱状となる形状に形成される。具体的には、上壁21と、下壁22と、前壁23と、後壁24と、側壁と、複数の固定部25と、端子収容室26とを有して略箱状の形状に形成される。
【0038】
端子収容室26には、前壁23に形成された開口部27を介してハーネス側雌端子12が収容保持される。開口部27には、パッキン14が取り付けられ、開口部27と高圧導電路6との間の防水性が確保される。
【0039】
上壁21は、フロアパネル3の一方の面5に取り付く部分として形成される。上壁21の縁部には、ボルト挿通孔28を有する固定部25が連成される。ハーネス側コネクタ7は、ボルト挿通孔28に挿通されたボルト16を締め付けることにより、フロアパネル3の一方の面5に対し固定される。上壁21には、パッキン収容溝29と、ハーネス側係合部30(第一係合部)とが形成される。パッキン収容溝29には、パッキン15が取り付けられ、一方の面5と上壁21との間の防水性が確保される。
【0040】
ハーネス側係合部30は、ユニット側コネクタ10との係合部分(嵌め合い部分)として形成される。このようなハーネス側係合部30は、フロアパネル3の貫通孔4に差し込むことが可能な大きさに形成される。ハーネス側係合部30は、本実施形態において、フロアパネル3の他方の面8から若干突出するような高さを有して形成される。ハーネス側係合部30は、この先端部分が嵌め合い寸法Pを有するように形成される。
【0041】
ハーネス側係合部30の先端面には、端子収容室26まで貫通する雄端子挿通孔31が形成される。この雄端子挿通孔31から臨むハーネス側コネクタ7の内部には、ハーネス側雌端子12の電気接触部19が配置される(言い換えれば、貫通孔4の位置に合わせて電気接触部19が配置される)。
【0042】
次に、
図3を参照しながらユニットケース9及びユニット側コネクタ10について説明をする。
図3はユニットケースと第二コネクタであるユニット側コネクタの断面図である。尚、必要に応じて
図1も参照するものとする。
【0043】
図3において、ユニットケース9は、フロアパネル3の他方の面8に対し載置される下壁32と、この下壁32の縁部に連続する前壁33、後壁34、及び側壁とを有して箱状の形状に形成される。下壁32には、フロアパネル3の貫通孔4の位置に合わせてユニット側貫通孔35が形成される。このユニット側貫通孔35は、フロアパネル3の貫通孔4よりも大きく開口する部分として形成される。ユニットケース9は、フロアパネル3の他方の面8に対し載置されると、ユニット側貫通孔35と貫通孔4とにより段付きの部分に形成される。
【0044】
ユニット側コネクタ10は、車載電池ユニット1における電気接続のための部材として備えられる。このようなユニット側コネクタ10は、ユニット側雌端子36(第二雌端子)と、ユニット側ハウジング37(第二ハウジング)とを含んで構成される。ユニット側コネクタ10は、ハーネス側コネクタ7との電気的な接続の他に、図示しない回路を介して高圧のバッテリー(図示省略)やJ/Bとも電気的に接続される。
【0045】
ユニット側雌端子36は、導電性を有する金属板を加工して所定の雌型形状に形成される。ユニット側雌端子36は、図示しない回路接続部と、電気接触部38と、接続用貫通部38aとを一体に有する。電気接触部38は、雄型接続部材11との接続が可能な雌型の形状に形成される。具体的には、ベース部分38bと、このベース部分38bの下に、山の頂部同士が向き合うような一対の「く字状(L字状)」の弾性接触片38c,38cとを有する図示形状に形成される。また、電気接触部38は、一対の弾性接触片38c,38cの間に後述する雄端子44が差し込まれると、適度な反力をもって雄端子44に接触する形状にも形成される(図中の雌型形状は一例であるものとする)。
【0046】
接続用貫通部38aは、後述する雄端子44の差し込み部分として電気接触部38の上記ベース部分38bに形成される。接続用貫通部38aは、ベース部分38bを貫通するように形成される。また、電気接触部38の一対の弾性接触片38c,38cの間に雄端子44を案内することができるようにも形成される。接続用貫通部38aと電気接触部38は、ハーネス側雌端子12の電気接触部19の位置に合わせて配置される(接続用貫通部38aと電気接触部38と電気接触部19は、上下方向に一致するように配置される)。
【0047】
ユニット側ハウジング37は、絶縁性を有する樹脂材料を用いて成形される。ユニット側ハウジング37は、略箱状又は略枠状となる形状に形成される。具体的には、開口部39及び端子収容室40を有するハウジング本体41と、ケース載置固定部42と、ユニット側係合部43(第二係合部)とを有して略箱状又は略枠状の形状に形成される。開口部39は、後述する雄端子44の差し込み部分として形成される。端子収容室40には、ユニット側雌端子36が収容保持される。
【0048】
ハウジング本体41の外側は、雄型接続部材11の後述するコネクタ係合部45が係合する部分として形成される。
【0049】
ケース載置固定部42は、ユニットケース9の下壁32に載置される部分として形成される。また、適宜手段にて固定される部分としても形成される。ケース載置固定部42は、略フランジ形状に形成される。
【0050】
ケース載置固定部42は、この上面が後述するコネクタ係合部45の端面に対する当接面としても形成される。ケース載置固定部42は、雄型接続部材11の挿入量を規制するストッパとしての機能を有する。
【0051】
ユニット側係合部43は、ワイヤハーネス2におけるハーネス側コネクタ7のハーネス側係合部30との係合部分(嵌め合い部分)として形成される。ユニット側係合部43は、ユニットケース9のユニット側貫通孔35に差し込まれてハーネス側係合部30に対し外嵌する図示形状に形成される。ユニット側係合部43は、この先端部分が嵌め合い寸法Qを有するように形成される。
【0052】
続いて、
図4を参照しながら雄型接続部材11について説明をする。
図4は雄型接続部材を含む断面図である。尚、必要に応じて
図1も参照するものとする。
【0053】
図4において、雄型接続部材11は、フロアパネル3の貫通孔4の位置で対向するハーネス側コネクタ7とユニット側コネクタ10とを電気的に接続するための部材として備えられる。雄型接続部材11は、導電性の雄端子44と、絶縁性のコネクタ係合部45とを含んで構成される。
【0054】
雄型接続部材11は、本実施形態において、ハーネス側コネクタ7とユニット側コネクタ10とに対し、接続と接続解除とが自在になるように(着脱自在に)形成される。また、雄型接続部材11は、上記の如く接続と接続解除とが自在になることから、サービスプラグとしての機能を有するようにも形成される。
【0055】
雄端子44は、金属板を加工して真っ直ぐな帯板状の形状に形成される。このような雄端子44は、ハーネス側コネクタ7とユニット側コネクタ10とを電気的に接続することができるように形成される。すなわち、ある程度長い端子になるように形成される。雄端子44は、基端となる側がインサート成形されてコネクタ係合部45に固定される。
【0056】
コネクタ係合部45は、本実施形態において、キャップ形状に形成される。また、コネクタ係合部45は、ユニット側コネクタ10におけるハウジング本体41の外側に係合する形状に形成される。具体的には、雄端子44がインサート成形される基壁46と、この基壁46の縁部から下方へのびる枠状の側壁47とを有して図示のキャップ形状に形成される。側壁47の端面は、ユニット側コネクタ10におけるケース載置固定部42の上面に対し当接する面として形成される。
【0057】
コネクタ係合部45は、キャップ形状であることから、電気的な接続の際の作業者の持ち手部分としての機能も有する。
【0058】
続いて、上記構成及び構造に基づきながらコネクタ接続構造の作用について説明をする。具体的には、雄型接続部材11を用いてワイヤハーネス2のハーネス側コネクタ7と車載電池ユニット1のユニット側コネクタ10とを電気的に接続する手順を説明する。尚、ここでの説明はメンテナンス時の例を挙げるものとする。
【0059】
以下の説明で参照する
図4は、本発明のコネクタ接続構造による電気的な接続の開始直前の状態を示す断面図である。また、
図5は貫通孔位置でハーネス側コネクタとユニット側コネクタとを対向させた状態を示す断面図である。
図1は上記の如く電気的な接続状態を示す断面図である。
【0060】
図4において、フロアパネル3の一方の面5に固定されたハーネス側コネクタ7に対し、先ず、フロアパネル3の上方から車載電池ユニット1を降ろしてユニット側コネクタ10を対向させると、
図5に示す如くフロアパネル3の貫通孔4の位置でハーネス側コネクタ7のハーネス側係合部30とユニット側コネクタ10のユニット側係合部43とが係合し、ユニット側コネクタ10は、ハーネス側コネクタ7に合わせて位置決めされる。この時、ハーネス側コネクタ7のハーネス側雌端子12と、ユニット側コネクタ10のユニット側雌端子36は、上下方向に略同位置(高さ方向に沿った同一線上の上方及び下方の位置)に配置される。また、このとき、ハーネス側コネクタ7のハーネス側雌端子12と、ユニット側コネクタ10のユニット側雌端子36は、共に、フロアパネル3の貫通孔4に挿通されず、その先端がフロアパネル3の反対面側に突出しない位置に保持される。
【0061】
次に、
図4に示す如くハーネス側コネクタ7の上方から雄型接続部材11を降ろして電気的な接続を開始すると、雄型接続部材11の雄端子44は、ユニット側雌端子36の接続用貫通部38aに差し込まれ、この後にユニット側雌端子36の一対の弾性接触片38c,38cの間にまで案内されてユニット側雌端子36に対し電気的に接続される(
図4及び
図1参照)。
【0062】
そして、更に雄型接続部材11を降ろして電気的な接続を続けると(
図1参照)、雄端子44は、フロアパネル3の貫通孔4を通ってハーネス側雌端子12の一対の弾性接触片19b,19bの間に差し込まれ、ハーネス側雌端子12に対しても電気的に接続される。この時、雄型接続部材11のコネクタ係合部45がユニット側コネクタ10におけるケース載置固定部42に当接して雄型接続部材11はこれ以上降ろすことができない状態になる。また、雄型接続部材11は、このコネクタ係合部45がユニット側コネクタ10におけるハウジング本体41の外側に係合して容易に抜けない状態にもなる。雄型接続部材11の係合により、一連の電気的な接続が完了する。
【0063】
以上、
図1ないし
図5を参照しながら説明してきたように、本発明のコネクタ接続構造によれば、フロアパネル3の貫通孔4の位置でハーネス側雌端子12を有するハーネス側コネクタ7とユニット側雌端子36を有するユニット側コネクタ10とを、それぞれに備えられるハーネス側雌端子12及びユニット側雌端子36を貫通孔4に非挿通の状態で対向させた後に、これらハーネス側コネクタ7とユニット側コネクタ10とを雄型接続部材11の雄端子44にて接続する構造であることから、ハーネス側コネクタ7及びユニット側コネクタ10が貫通孔4を介して組み付けられときにハーネス側雌端子12及びユニット側雌端子36は共にフロアパネル3の反対面側に突出しない。このため、ハーネス側雌端子12及びユニット側雌端子36は、雄端子44が接続されて電気的な接続が行われなければ相互に非接触の状態である。したがって、ハーネス側コネクタ7及びユニット側コネクタ10が適正な接続方向に対向していない状態でハーネス側コネクタ7またはユニット側コネクタ10に荷重が掛ったとしても、ハーネス側雌端子12とユニット側雌端子36とが衝突することがないので、端子の変形を招くことのないコネクタ接続構造を提供することができるという効果を奏する。また、本発明のコネクタ接続構造を採用することで、組み付け性の向上やメンテナンス性の向上を図ることができるという効果も奏する。
【0064】
上記組み付け性の向上やメンテナンス性の向上に関しては、更に以下のような効果も奏する。
【0065】
すなわち、本発明のコネクタ接続構造によれば、ユニット側雌端子36の接続用貫通部38aから雄型接続部材11の雄端子44を差し込んで二つの雌端子、すなわちハーネス側雌端子12とユニット側雌端子36とを電気的に接続する構造であることから、電気的な接続を容易に行うことができるという効果を奏する。また、電気的な接続の解除は、接続用貫通部38aから雄端子44を引き抜くだけでよいことから、接続解除も容易に行うことができるという効果を奏する。なお、接続用貫通部38aをハーネス側雌端子12に設ける構成としても良い。
【0066】
また、本発明のコネクタ接続構造によれば、ハーネス側コネクタ7とユニット側コネクタ10とを対向させると、この時、ハーネス側係合部30とユニット側係合部43とが係合してコネクタ同士が位置決めされることから、雄型接続部材11を用いての電気的な接続をスムーズ且つ確実に行うことができるという効果を奏する。
【0067】
さらに、本発明のコネクタ接続構造によれば、コネクタ係合部45を有する雄型接続部材11であることから、これをユニット側コネクタ10のハウジング本体41に係合させることで電気的な接続の維持や安定を図ることができるという効果を奏する。また、コネクタ係合部45を作業者の持ち手部分として活用すれば、組み付け性の向上やメンテナンス性の向上を更に図ることができるという効果も奏する。なお、雄型接続部材11のコネクタ係合部45を、ハーネス側コネクタ7に係合させる構成でも良い。
【0068】
さらにまた、本発明のコネクタ接続構造によれば、雄型接続部材11にサービスプラグとしての機能を持たせることから、雄型接続部材11の取り外しにより電気的な遮断をすることができるという効果を奏する。尚、本発明のように、雄型接続部材11にサービスプラグとしての機能を持たせれば、例えばJ/B又はバッテリー側に別途サービスプラグを設けなくてもよいのは勿論である(これに限定するものではなく、従来同様にJ/B又はバッテリー側にサービスプラグを設けてよい)。
【0069】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0070】
例えば、上記説明では雄型接続部材11を手で差し込んで雄端子44によりハーネス側雌端子12とユニット側雌端子36とを電気的に接続する構造であるが、公知のLIF構造(低挿抜構造)を付加して挿入力を低減させるようにしてもよいものとする。
【0071】
また、上記説明では雄型接続部材11の雄端子44を帯板状に形成する構造であるが、ピン状の雄端子に変更するとともに、これに伴って雌端子側も変更するような構造にしてもよいものとする。