(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0010】
本発明の内視鏡リプロセッサは、汚染された内視鏡又は内視鏡付属品の再生処理を行う装置である。ここでいう再生処理とは、特に限定されるものではなく、水による濯ぎ、有機物等の汚れを落とす洗浄、所定の微生物を無効化する消毒、全ての微生物を排除若しくは死滅させる滅菌、又はこれらの組合せのいずれであってもよい。
【0011】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の実施形態の一例としての第1の実施形態を説明する。
図1に示す内視鏡リプロセッサ20は、内視鏡及び内視鏡付属物の少なくとも一方(どちらも図示せず)に対して、水及び薬液等を用い、すすぎ処理及び消毒または滅菌処理等を施す装置である。
【0012】
図1に示すように、内視鏡リプロセッサ20は、処理槽22、薬液タンク23、貯留容器31及び濃度計1を含んで構成されている。処理槽22は、上方に向かって開口する開口部を有した凹形状であり、内部に内視鏡及び内視鏡付属物の少なくとも一方を収容可能である。処理槽22は、内部に液体を貯留可能に構成されている。
【0013】
薬液タンク23は、薬液である溶液10を貯留する部位である。薬液としては洗浄に用いられるもの、消毒に用いられるもの、または滅菌に用いられるもののいずれでもよい。消毒または滅菌用の薬液として、過酢酸溶液が挙げられる。薬液タンク23は、薬液導入管路23aを介して、処理槽22内に配設されている消毒液ノズル24に接続されている。薬液導入管路23aには、薬液導入ポンプ23bが配設されている。薬液導入ポンプ23bの稼働により、薬液タンク23に貯留されている溶液10は、処理槽22内に導入される。
【0014】
また、処理槽22内には、循環ノズル25が配設されている。処理槽22の下部には、循環口22b及び排液口22cが設けられている。循環ノズル25は、循環管路26を介して、循環口22bと連通している。
【0015】
循環管路26には、循環ポンプ27が設けられている。循環ポンプ27の稼働により、処理槽22内の液体は、循環口22bから吸い出された後に、循環管路26及び循環ノズル25を経由して処理槽4内に戻る。内視鏡リプロセッサ20は、処理槽22内に内視鏡及び内視鏡付属物の少なくとも一方を収容し、水や消毒液等を循環させることによって、内視鏡及び内視鏡付属物の少なくとも一方に対してすすぎ処理及び消毒処理等を実施する。
【0016】
排液口22cは、処理槽22内に貯留されている液体を重力により処理槽22外に排出する部位である。排液口22cは、切り替えバルブ30を介して回収管路28及び排液管路29に接続されている。切り替えバルブ30は、排液口22cを開き、かつ回収管路28及び排液管路29のいずれかに接続した状態、又は排液口22cを閉じた状態を切り替えることができる。
【0017】
回収管路28は、切り替えバルブ30と薬液タンク23とを接続している。処理槽22内に消毒液である溶液10が貯留されている状態において、排液口22cを開き、排液口22cと排液管路29とを接続すれば、処理槽22内の溶液10は薬液タンク23内に回収される。
【0018】
排液管路29は、内視鏡リプロセッサ20外に延出している。排液口22cを開き、排液口22cと排液管路29とを接続すれば、処理槽22内に貯留されている液体が内視鏡リプロセッサ20外に排出される。
【0019】
貯留容器31は、内部に液体を貯留する容器である。また、貯留容器31内には、溶液10の濃度を測定する装置である濃度計1のセンサ部2が配設されている。貯留容器31は、管路32を介して薬液タンク23と連通している。管路32にはポンプ33が配設されている。ポンプ33は、正逆運転が可能であり、薬液タンク23中の溶液10を貯留容器31へ移送する動作と、貯留容器31中の溶液10を薬液タンク23へ移送する動作を行うことが可能である。すなわち、管路32及びポンプ33は、貯留容器31内に溶液10を供給する流体供給部34と、貯留容器31内から溶液10を排出する流体排出部35を構成している。
【0020】
なお、貯留容器31内への溶液10の供給及び貯留容器31内からの溶液10の排出のいずれか一方は、ポンプ33を用いずに重力の作用によって行われる形態であってもよい。また、貯留容器31内に溶液10を供給する流体供給部34と、貯留容器31内から溶液10を排出する流体排出部35とは、それぞれ異なる構成からなる形態であってもよい。
【0021】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ20は、処理槽22内において内視鏡及び内視鏡付属物の少なくとも一方に対してすすぎ処理及び消毒処理等を実施する際には、貯留容器31内から全ての溶液10を排出する。
【0022】
そして、内視鏡リプロセッサ20は、内視鏡及び内視鏡付属物の少なくとも一方に対して消毒処理等を実施する前の時点において、薬液タンク23中に貯留されている溶液10の濃度測定を実行する。内視鏡リプロセッサ20は、溶液10の濃度測定を実行する際に、ポンプ33を動作させて、薬液タンク23から貯留容器31内に所定の体積の溶液10を流入させる。貯留容器31内に移送される溶液10の体積は、センサ部2が溶液中に浸漬する値とされる。
【0023】
内視鏡リプロセッサ20は、貯留容器31内に溶液10が流入した後に、濃度計1を動作させて溶液10の濃度を測定する。内視鏡リプロセッサ20は、濃度計1による溶液10の濃度の測定結果が、所定の値の範囲内であれば、溶液10を用いた内視鏡及び内視鏡付属物の少なくとも一方に対する消毒処理の実行が可能であると判定する。一方、内視鏡リプロセッサ20は、濃度計1による溶液10の濃度の測定結果が、所定の値の範囲外であれば、溶液10を用いた内視鏡及び内視鏡付属物の少なくとも一方に対する消毒処理の実行が不可能であると判定し、例えば音や光を発することによって使用者に向かって警告を発する。
【0024】
濃度計1は、イオン選択性電極を用いた電気化学センサの構成を有する。濃度計1は、貯留容器31内に配設された
図2に示すセンサ部2を備える。センサ部2は、例えばイオン選択性電極等と称される周知の構成を有するものである。センサ部2は、液溜まり部9及び透過膜4が配設された本体部3を備える。本体部3は、貯留容器31内において位置が固定されている。
【0025】
液溜まり部9は、貯留容器31内の空間に向かって開口する凹形状の窪み状の部位である。
図2に示す本実施形態では、液溜まり部9は、本体部3の最上部において上方に向かって開口しているが、液溜まり部9の配置位置や開口方向は本実施形態に限られるものではない。液溜まり部9は、本体部3の外部に向かって開口する開口部9aの最下端よりも、底面が重力方向下方に位置している形状であればよい。ここで底面とは、凹形状である液溜まり部9の内面のうち、最も下方に位置する部位のことを称する。
【0026】
言い換えれば、液溜まり部9は、開口部9aが溶液10中に沈んだ場合に開口部9aから内部に溶液10が流入し、その後に開口部9aが空気中に露出した場合に内部に流入した溶液10の少なくとも一部が内部に滞留し続ける形状であればよい。例えば、液溜まり部9は、本体部3の横側面部において開口し、斜め下方に向かって凹形状であってもよい。なお、開口部9aは、複数設けられていてもよい。
【0027】
本体部3の内部には、液溜まり部9の内壁面に設けられた凹形状の部位である収容部3aが設けられている。収容部3aと液溜まり部9とは、透過膜4によって隔てられている。
【0028】
透過膜4は、特定の気体やイオンを選択的に透過する部位である。透過膜4を構成する材料は、濃度計1によって濃度測定する対象である溶液10の種類に応じて選択されるものであり、特に限定されるものではない。透過膜4によって封止されている収容部3a内には、内部液5と電極6が収容されている。電極6と透過膜4とは内部液5によってつながった状態となっている。ここで言う「つなぐ」とは、透過膜4を透過して内部液5中に到達した測定対象である物質が、内部液5を媒体として電極6に到達できる状態を指す。
【0029】
このように、本実施形態の濃度計1においては、透過膜4の一方の面である第1の面4aの少なくとも一部は、液溜まり部9内に露出しており、透過膜4の他方の面である第2の面の少なくとも一部は、内部液5と接触している。すなわち、透過膜4の第1の面4aの少なくとも一部は、液溜まり部9の内面の一部を構成しており、透過膜4の第2の面4bの少なくとも一部は、収容部3aの内面の一部を構成している。
【0030】
透過膜4は、開口部9aが空気中に露出している状態において液溜まり部9内に滞留する溶液10中に第1の面の少なくとも一部が浸漬するように配設されている。言い換えれば、透過膜4の第1面4aの少なくとも一部は、開口部9aの最下端よりも下方に位置している。
【0031】
本実施形態では一例として、透過膜4は、第1面4aが、液溜まり部9の底面において上方を向いて配設されている。そして、収容部3aは、透過膜4の下方に位置している。
【0032】
なお、図示する実施形態では、透過膜4は平面状であるが、透過膜4の形状は、円筒状や球面状等の曲面であってもよい。また、本実施形態の濃度計1は、透過膜4及び収容部3aを1つずつ備えているが、濃度計1は、透過膜4及び収容部3aを複数備える形態であってもよい。
【0033】
電極6は、濃度計1の図示しない制御部に電気的に接続されている。濃度計1は、センサ部2の他に、制御部に電気的に接続された図示しない参照電極を備える。参照電極が配設される位置は濃度計1が用いる測定原理に応じて定められるものであり、特に限定されるものではなく、参照電極は本体部3内に配設されてもよいし本体部3外に配設されてもよい。
【0034】
濃度計1は、制御部において、電極6及び参照電極の両電極間に生じる電位差の変化、又は両電極間に流れる電流値の変化を計測し、この計測値に基づいてセンサ部2が浸漬されている溶液10の濃度を測定する。このような、電気化学センサである濃度計における濃度測定の原理や構成は周知のものであるため、詳細な説明は省略するものとする。
【0035】
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ20は、溶液10を貯留する貯留容器31内に、凹形状の液溜まり部9と、液溜まり部9内に第1の面4aの少なくとも一部が露出する透過膜4を含む濃度計1を備える。また、内視鏡リプロセッサ20は、貯留容器31内へ溶液10を供給する流体供給部34と、貯留容器31内から溶液10を排出する流体排出部35とを備える。
【0036】
このような構成を有する内視鏡リプロセッサ20は、前述のように、濃度計1による溶液10の濃度測定を実施する場合に、流体供給部34を動作させて、溶液10を貯留容器31内に供給する。ここで、流体供給部34の動作によって貯留容器31内に供給する溶液の体積は、
図3に示すように、貯留容器31内における溶液10の液面が液溜まり部9の開口部9aよりも上方に到達する値とされる。
【0037】
開口部9aが溶液10の液面よりも下方となることにより、液溜まり部9内に溶液10が入り込み、透過膜4の第1面4aが溶液10中に浸漬した状態となる。透過膜4の第1面4aが溶液10中に浸漬することにより、濃度計1による溶液10の濃度測定の実行が可能となる。
【0038】
濃度計1による溶液10の濃度測定が完了した後は、内視鏡リプロセッサ20は、流体排出部35を動作させて、
図4に示すように貯留容器31内から溶液10を排出する。溶液10が排出されることにより、濃度計1のセンサ部2は、貯留容器31内において空気中に露出する。
【0039】
ここで、
図4に示すように、凹形状である液溜まり部9の内部には、溶液10が滞留したままとなるため、貯留容器31内から流体が排出された後も、透過膜4の第1の面4aに溶液10が触れている状態が維持される。
【0040】
したがって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ20は、貯留容器31内において濃度計1のセンサ部2が空気中に露出している場合においても、透過膜4を溶液10による湿潤状態に長時間保つことができる。
【0041】
透過膜4を溶液10による湿潤状態に保つことによって、センサ部2を溶液10中から空気中へ露出させた後に、再び溶液10の濃度測定が行えるようになるまでの待機時間を短縮することができる。例えば、内視鏡リプロセッサ20では、前述のようにセンサ部2が溶液10中に浸漬された状態と、センサ部2が空気中に露出された状態が繰り返されるが、本実施形態では、センサ部2を溶液10に浸漬してから、濃度測定を開始するまでの待機時間を短縮することができる。すなわち、本実施形態によれば、消毒液である溶液10の濃度測定を実行するために必要な時間を短縮することができ、単位時間あたりに消毒処理を実行することのできる内視鏡の台数を増やすことができる。
【0042】
なお、センサ部2が空気中に露出している期間中に、液溜まり部9内に滞留し続ける溶液10の濃度は、次回に濃度測定のために貯留容器31内に供給される溶液10の濃度と値が異なる可能性があるが、貯留容器31内の液面が開口部9aよりも高くなれば液溜まり部9内に溶液10が流れ込むため、この濃度差の影響は解消される。また、例えば液溜まり部9の開口部9a近傍の壁面をメッシュ等の液体を通しやすい形状のものとすれば、開口部9aを溶液10内に浸漬させた際における液溜まり部9内の溶液10の交換を促進することができるため、好ましい。また、液溜まり部9の開口部9aが溶液中10内に浸漬されているかを確実に確認するために、貯留容器31内に水位センサを設けてもよい。また、液溜まり部9が溶液中10内に確実に浸漬するように、ポンプ33の動作時間は定められている。
【0043】
図5に、内視鏡リプロセッサ20の第1の変形例を示す。本変形例では、透過膜4の第1の面4aは、凹形状である液溜まり部9の側面において液溜まり部9の内部に露出している。言い換えれば、透過膜4の第1の面4aは、液溜まり部9の側面の一部を構成しており、水平方向に面している。
【0044】
本変形例であっても、透過膜4の第1の面4aは、液溜まり部9内に滞留する溶液10と接触するため、前述した実施形態と同様に、貯留容器31内においてセンサ部2が空気中に露出している場合においても、透過膜4を溶液10による湿潤状態に長時間保つことができる。
【0045】
図6に、内視鏡リプロセッサ20の第2の変形例を示す。本変形例の濃度計1は、液溜まり部9内に溶液10が存在しているか否かを検出する液体検出センサ11を備える。液体検出センサ11は、例えば離間して配設された一対の電極を備え、当該一対の電極間の電気的な導通の有無に基づいて、溶液10が液溜まり部9内に存在しているか否かを検出する、いわゆる電極式水位センサの形態を有する。
【0046】
内視鏡リプロセッサ20は、液体検出センサ11による検出結果から、センサ部2が空気中に露出させた際に溶液10が液溜まり部9内に滞留しているか否かを判定する。
【0047】
このような本変形例であれば、蒸発や装置の揺れによって液溜まり部9内から溶液10が消失してしまい透過膜4が乾燥している可能性がある場合を、内視鏡リプロセッサ20は検出する事ができる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0049】
図7に示す本実施形態の内視鏡リプロセッサ20は、濃度計1のセンサ部2を、薬液タンク23内に備える点が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、薬液タンク23が、溶液10を貯留する貯留容器31であり、切り替えバルブ30及び回収管路28が、溶液10を貯留容器31内に供給する薬液供給部34であり、薬液導入管路23a及び薬液導入ポンプ23bが薬液排出部35である。
【0050】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ20は、第1の実施形態と同様に、薬液タンク23内において濃度計1のセンサ部2が空気中に露出している場合においても、透過膜4を溶液10による湿潤状態に長時間保つことができる。
【0051】
透過膜4を溶液10による湿潤状態に保つことによって、センサ部2を溶液10中から空気中へ露出させた後に、再び溶液10の濃度測定が行えるようになるまでの待機時間を短縮することができる。例えば、内視鏡リプロセッサ20では、前述のようにセンサ部2が溶液10中に浸漬された状態と、センサ部2が空気中に露出された状態が繰り返されるが、本実施形態では、センサ部2を溶液10に浸漬してから、濃度測定を開始するまでの待機時間を短縮することができる。すなわち、本実施形態によれば、消毒液である溶液10の濃度測定を実行するために必要な時間を短縮することができ、単位時間あたりに消毒処理を実行することのできる内視鏡の台数を増やすことができる。
【0052】
そして、本実施形態の貯留容器31である薬液タンク23には、水位センサ23cが配設されている。水位センサ23cは、薬液タンク23内に貯留されている溶液10の液面が、センサ部2に設けられている液溜まり部9の開口部9aよりも上方である所定の水位L1よりも上方に有るか否かを検出する。
【0053】
水位センサ23cの構成は特に限定されるものではない。水位センサ23cは、例えば離間して配設された一対の電極を備え、当該一対の電極間の電気的な導通の有無に基づいて、液面が水位L1より上にあるか否かを検出する、いわゆる電極式水位センサであってもよい。また例えば、水位センサ23cは、溶液10に浮くフロートの上下動に応じて開閉するスイッチを具備する、いわゆるフロート式水位センサであってもよい。
【0054】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ20は、濃度計1による溶液10の濃度測定の実施に先だって、水位センサ23cにより、薬液タンク23内の液面が所定の水位L1より上に有るか否かを判定する。言い換えれば、内視鏡リプロセッサ20は、濃度計1による溶液10の濃度測定の実施に先だって、濃度計1の液溜まり部9の開口部9aが、溶液10中に没しているか否かを判定する。
【0055】
そして、内視鏡リプロセッサ20は、薬液タンク23内の液面が所定の水位L1より上に有ると判定した場合には、濃度計1による溶液10の濃度測定を実行する。
【0056】
一方、内視鏡リプロセッサ20は、薬液タンク23内の液面が所定の水位L1より下に有ると判定した場合には、濃度計1による溶液10の濃度測定を実行せず、溶液10が不足している旨を、例えば音や光を発することによって使用者に向かって知らせる警告を発する。
【0057】
薬液タンク23内の液面が所定の水位L1より上に有れば、濃度計1の液溜まり部9の開口部9aが溶液10中に没しているため、薬液タンク23内に貯留されている溶液10の濃度測定を確実に行うことができる。しかし、薬液タンク23内の液面が所定の水位L1より下である場合に濃度測定を実行した場合には、濃度計1の液溜まり部9の開口部9aが溶液10中に没したか否かが不確実であるため、測定結果が、センサ部2が空気中に露出している期間中に液溜まり部9内に滞留していた溶液10の濃度を示している可能性がある。本実施形態では、このような場合に濃度測定を行わないため、センサ部2が空気中に露出している期間中に液溜まり部9内に滞留していた溶液10の濃度が、測定結果として取得されてしまうことを防止できる。
【0058】
なお、水位センサ23cは、処理槽22内における消毒処理の実行に必要な体積の溶液10が薬液タンク23内に貯留されているか否かを判定するのに用いられるものであってもよい。
【0059】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。以下では第1及び第2の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1及び第2の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0060】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ20は、
図8に示すように、貯留容器31内に蓋部12及び案内部13を備える。なお、貯留容器31は、第1の実施形態のように薬液タンク23とは異なる容器であってもよいし、第2の実施形態のように薬液タンク23と同一の容器であってもよい。
【0061】
蓋部12は、濃度計1の液溜まり部9の開口部9aを開閉する部材である。蓋部12は、開口部9aを閉塞又は狭窄する閉位置と、開口部9aを貯留容器31内の空間に開放する開位置との間で移動可能である。蓋部12は、ガイドレールやヒンジ等の構成を有する案内部13によって移動方向及び移動範囲が定められている。なお、案内部13は、図示する本実施形態のようにセンサ部2の本体部3に設けられる形態に限らず、貯留容器31の内壁面に設けられる形態であってもよい。
【0062】
蓋部12は、溶液10よりも比重が小さく、空気よりも比重が大きいフロート部12aを有する。貯留容器31内の溶液10の液面が液溜まり部9の開口部9aよりも上方に位置している場合には、蓋部12は、溶液10中においてフロート部12aに生じる浮力によって開位置に移動する。
【0063】
一方、貯留容器31内の溶液10の液面が液溜まり部9の開口部9aよりも下方に位置している場合には、蓋部12は閉位置に移動する。蓋部12を閉位置に移動させるための力は、蓋部及びフロート部12aの自重によるものであってもよいし、バネ機構によるものであってもよい。なお、バネ機構を用いる場合、当該バネによる蓋部12を閉位置に移動させるため力は、溶液10中のフロート部12aに生じる浮力による蓋部12を開位置に移動させる力よりも小さい。
【0064】
より具体的に、
図8に示す本実施形態では、蓋部12は、ヒンジ状の案内部13によって、センサ部2の本体部3に対して回動可能に配設されている。蓋部12は、板状の部材であり、閉位置に位置している場合に、液溜まり部9の開口部9aを閉塞又は狭窄する。本実施形態における蓋部12の開位置とは、閉位置よりも上方に向かって開口部9aから離れる方向に蓋部12が回動した位置である。
【0065】
また、蓋部12は、溶液10よりも比重が小さく、空気よりも比重が大きい材料によって構成されている。すなわち、本実施形態では蓋部12の全体がフロート部12aとして機能する。なお、フロート部12aは、本実施形態のように蓋部材12と一体に形成された構成であってもよいし、蓋部材12とは分離された部材であって鎖や紐等の連結部材を介して蓋部材12に連結された構成であってもよい。
【0066】
貯留容器31内の溶液10の液面が液溜まり部9の開口部9aよりも下方に位置している場合には、蓋部12は空気中に露出しているため、
図8に示すように、自重によって閉位置に位置する。一方、
図9に示すように、貯留容器31内の溶液10の液面が液溜まり部9の開口部9aよりも上方に位置している場合には、浮力によって開位置に移動する。
【0067】
以上のような構成を有する本実施形態の内視鏡リプロセッサ20は、貯留容器31内において濃度計1のセンサ部2が空気中に露出している場合において、液溜まり部9の開口部9aを蓋部材12によって閉塞又は狭窄するため、液溜まり部9内に滞留している溶液10の蒸発を防止又は抑制することができ、第1及び第2の実施形態に比して、より長い時間、透過膜4を湿潤状態に保つことができる。
【0068】
図10に、本実施形態の内視鏡リプロセッサ20の第1の変形例を示す。本変形例では、蓋部12の移動を案内する案内部13は、ガイドレールの形態を有する。案内部13は、蓋部12が固定されたスライド部13aと、スライド部13aが摺動するレール部13bとからなる。レール部13bは、スライド部13aを上下方向に移動するように案内する。なお、レール部13bは、図示するように本体部3に固定されていてもよいし、貯留容器31の内壁面に固定されていてもよい。
【0069】
本変形例では、貯留容器31内の溶液10の液面が液溜まり部9の開口部9aよりも下方に位置している場合には、蓋部12は空気中に露出し自重によって下方の閉位置に位置する。一方、貯留容器31内の溶液10の液面が液溜まり部9の開口部9aよりも上方に位置している場合には、浮力によって上方の開位置に移動する。
【0070】
図11に、本実施形態の内視鏡リプロセッサ20の第2の変形例を示す。本変形例では、蓋部12の移動を案内する案内部13は、ガイドレールの形態を有する。案内部13は、蓋部12が固定されたスライド部13aと、スライド部13aが摺動するレール部13bとからなる。レール部13bは、スライド部13aを水平方向に移動するように案内する。
【0071】
蓋部12は、案内部13による案内によって、液溜まり部9の開口部9aの上方に位置する閉位置と、開口部9aの上方から退避する開位置との間で水平方向に進退移動する。なお、レール部13bは、図示するように貯留容器31の内壁面に固定されていてもよいし、本体部3に固定されていてもよい。
【0072】
本変形例では、フロート部12aは、蓋部12と別の部材である。フロート部12aは、貯留容器31の内壁面に設けられた基部12bを基端とした腕部12cの先端に固定されている。腕部12cは、基部12bにおいて、水平な回動軸周りに揺動する。すなわち、腕部12cは、上下方向に揺動する。腕部12cの回動軸は、鉛直上方から見た場合において、レール部13bの延在方向と直交している。腕部12cが最も下方に位置している状態において、フロート部12aは、液溜まり部9の開口部9aよりも上方の所定の高さに位置する。なお、基部13bは、本体部3に設けられていてもよい。
【0073】
腕部12cは、リンク部材12dによって蓋部12に連結されている。腕部12cの揺動は、リンク部材12dを介して蓋部12に伝えられる。蓋部12は、腕部12cの上方向への揺動に連動して、閉位置から開位置に向かう方向に移動する。また蓋部12は、腕部12cの下方向への揺動に連動して、開位置から閉位置に向かう方向に移動する。
【0074】
本変形例では、貯留容器31内の溶液10の液面が液溜まり部9の開口部9aよりも下方に位置している場合には、フロート部12aを含む腕部12cが下方に揺動するため、蓋部12は閉位置に位置する。一方、貯留容器31内の溶液10の液面が液溜まり部9の開口部9aよりも上方の所定の高さより上に位置している場合には、フロート部12aを含む腕部12cが浮力によって上方に揺動し、蓋部12は開位置に移動する。
【0075】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡リプロセッサもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0076】
本出願は、2014年11月17日に日本国に出願された特願2014−232938号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
本発明の内視鏡リプロセッサは、溶液を貯留する貯留容器と、前記貯留容器内に前記溶液を供給する流体供給部と、前記貯留容器内から前記溶液を排出する流体排出部と、前記貯留容器内に固定され、底面が開口部よりも重力方向下方に位置する凹形状の液溜まり部と、前記液溜まり部内に露出する第1の面の少なくとも一部が前記開口部よりも重力方向下方に位置する透過膜、前記透過膜の前記第1の面とは反対側の第2の面の少なくとも一部を内面として含む容器状の収容部、前記収容部内に収容される内部液、及び、前記収容部内に収容される電極、を含む濃度計と、を有する。