【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、粉砕機、例えば、コーヒーメーカーを作動させる新規な方法を提供し、それは既知の粉砕機の欠点を克服し或いは軽減する。本発明の一部の実施態様の目的は、粉砕部材、例えば、粉砕ディスク又はコーンの効率を考慮に入れて、粉砕サイクルの持続時間を粉砕機の実際の動作条件に適合させることである。
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、少なくとも回転粉砕部材を含む粉砕機を作動させる方法が提供される。通常、粉砕機は固定粉砕部材も含む。2つの粉砕部材は互いに面し合い、それらの間に粉砕空間を定める。粉砕部材は、粉砕ホイール又は粉砕ディスクの形態にあり得るし、さもなければ粉砕コーン又は同等物の形態にあり得る。一般的には、本記載及び付属の請求項の脈絡内で、粉砕部材は、粉砕されるべき原料の寸法を減少させ得る任意の部材、装置、構成部品又は同等物として理解されるであろう。よって、粉砕部材は、より大きな寸法の粒子、例えば、コーヒー豆を、より小さな、好ましくは、コーヒー粉末のような粉末状の粒子に変換させ得る、任意の部材又は構成部品として理解されよう。
【0011】
本方法は、能動粉砕期間が終了する時を推定し或いは検出するステップを提供し、能動粉砕期間中、事前設定された或いは所与の量の原料が粉砕される。能動粉砕期間は、粉砕されるべき所与の量の原料が粉砕された時に終了させられる。本方法は、必要であれば、能動粉砕期間の検出される又は推定される持続時間に基づき、粉砕サイクルの総持続時間を変更することによって、後続の粉砕サイクルを適合させる。能動粉砕期間及び後続の空転期間のような、粉砕サイクルの又はその部分期間の持続時間を、回転粉砕部材の回転数に関して表現し得る。粉砕機の動作パラメータに基づき、能動粉砕期間の終了を直接的に又は間接的に推定し或いは検出し得る。以下の記載から明らかであるように、この目的のために、異なるパラメータを用い得る。粉砕されるべき原料が使い尽くされる時における検出される又は推定される瞬間に基づき、粉砕サイクルの能動粉砕期間の持続時間を推定し得る。
【0012】
一部の実施態様において、動作パラメータは、回転粉砕部材の動作パラメータである。他の実施態様において、動作パラメータは、回転粉砕部材の回転を制御するモータの動作パラメータであり得る。
【0013】
よって、粉砕部材の実際の効率を考慮に入れて、粉砕サイクルの持続時間を動的に適合させ得る。粉砕部材の粉砕効率の低減が考慮され、粉砕サイクル持続時間の適合をもたらす。例えば、製造プロセスに起因する、粉砕部材の開始効率における差も当然に考慮し得る。
【0014】
本方法は、
粉砕機に所与の量の粉砕されるべき原料を供給し、能動粉砕期間に亘って回転粉砕部材を回転させることによって原料を粉砕するステップと、
粉砕機から残留粉砕原料を除去するために、能動粉砕期間に続く空転期間に亘って回転粉砕部材を空転させるステップと、
粉砕機の動作パラメータに基づき能動粉砕期間が終了する時を推定し或いは検出するステップと、
第1の粉砕サイクルの能動粉砕期間の推定される持続時間に基づき、後続の粉砕サイクルのために持続時間を適合させるステップとを含み、
能動粉砕期間及び空転期間は、粉砕サイクルを定める。
【0015】
能動粉砕期間の終了の、即ち、粉砕されるべき原料が使い尽くされたことの推定又は検出は、粉砕サイクルの能動粉砕期間の持続時間を決定することを可能にする。次に、必要であれば、従前の粉砕サイクルの検出される又は推定される持続時間に基づき、次の粉砕サイクルの持続時間が適合させられる。
【0016】
好適な実施態様において、粉砕機の動作パラメータは、粉砕部材の回転速度の変動を示す。粉砕されるべき原料が使い尽くされると、粉砕部材の回転速度は急激に増大するので、速度変動は粉砕が完了した時を決定するのに特に有用である。
【0017】
よって、一部の特に好適な実施態様において、粉砕機の動作パラメータは、粉砕部材の回転速度に関連付けられるパラメータである。例えば、パラメータは、回転速度自体であり得る。他の実施態様において、パラメータは、粉砕部材又は粉砕部材の速度に比例する速度で回転する機械構成部品の回転を検出するよう設計され且つ構成されるセンサ構成によって生成される後続の回転パルス間の時間遅延であり得る。よって、例えば、粉砕部材を制御する電気モータの回転速度を動作パラメータとして用い得る。
【0018】
好適な実施態様によれば、本方法は、回転粉砕部材の回転を検出して回転粉砕部材の回転に対応する回転パルスを生成するセンサ構成を提供するステップと、後続の回転パルスの対の間の時間遅延を検出するステップとを更に含み得る。よって、回転粉砕部材の回転速度の変化を、後続の回転パルスの対の間の時間遅延の関数として検出し得る。
【0019】
能動粉砕期間の終了の推定又は検出がどのように得られるかに拘わらず、本方法は、粉砕サイクルの総持続時間を能動粉砕期間の実際の持続時間に適合させることを可能にする。よって、粉砕部材の粉砕効率の劣化を考慮に入れて、従来技術の粉砕機の欠点を回避し或いは軽減し、粉砕サイクルの最適な持続時間を保証し得る。
【0020】
一部の実施態様によれば、回転速度の増大に対応し、よって、能動粉砕期間の終了を示す、後続のパルス間の遅延の降下を検出し得る。
【0021】
一部の好適な実施態様では、粉砕機のより安定した制御をもたらし、回転速度の偶発的な変動に起因する制御エラーを回避するために、本方法は、後続の回転パルス間の時間遅延の少なくとも一部を格納するステップと、格納される時間遅延に基づき、粉砕サイクル内の回転速度の変化の位置を捜し出すステップとを含み得る。例えば、1つ又はそれよりも多くの平均遅延値を計算するために、格納される遅延データを処理し得る。
【0022】
例えば、一部の実施態様において、本方法は、
粉砕サイクルの間の後続の回転パルスの対の間の時間遅延を格納するステップと、
能動粉砕期間内の後続の回転パルスの間の第1の平均遅延を計算するステップと、
空転期間内の後続の回転パルスの間の第2の平均遅延を計算するステップと、
第1の平均遅延と第2の平均遅延との間の閾遅延値を計算するステップと、
閾遅延に対応する回転パルス数の位置を捜し出すステップと、
能動粉砕期間の開始と閾遅延に対応する回転パルス数との間の回転パルスの総数を能動粉砕期間の持続時間として設定するステップとを更に含み得る。
【0023】
粉砕サイクルの総持続時間は、能動粉砕期間に空転期間を加えたものによって与えられる。各粉砕サイクルで、2つの異なる期間、即ち、能動粉砕期間及び空転期間の間の分離地点を検出することによって、粉砕サイクルの持続時間を、場合によっては変化する動作条件に適合させ得る。能動粉砕期間の持続時間が変化するならば、後続の粉砕サイクルのために異なる長さ又は持続時間が設定される。よって、粉砕機は適合的な方法において作動させられ、必要に従って粉砕サイクルの総持続時間を増大させ或いは減少させる。
【0024】
粉砕機が行う各粉砕サイクル中に能動粉砕期間の終了を検出し得る、即ち、推定し得る。他の低い正確性の実施態様では、一部の粉砕サイクルの間にのみ、例えば、2又は3回の粉砕サイクルのうちの1回に、能動粉砕期間の終了の検出を行い得る。
【0025】
能動粉砕期間の実際の持続時間は先天的に分からないので、一部の実施態様によれば、本方法は、
能動粉砕期間内に第1の検出窓を設定するステップと、
空転期間内に第2の検出窓を設定するステップと、
第1の検出窓内で後続の回転パルス間の第1の平均遅延を計算するステップと、
第2の検出窓内で後続の回転パルス間の第2の平均遅延を計算するステップとを更に含む。
【0026】
第1及び第2の検出窓は、能動粉砕及び空転のそれぞれの期間内に適切に位置付けられるので、それらが能動粉砕期間から空転期間への移行を位置付け得る間隔を伴って重なり合うことは決してない。
【0027】
例えば、所定の持続時間を有する粉砕サイクルの終わりに第2の検出窓を位置付け得る。第2の検出窓の持続時間は、空転期間より少なく、例えば、空転期間の半分の持続時間、即ち、空転期間中に回転粉砕部材が行う回転数に亘って持続するように選択される。
【0028】
第1の検出窓は、例えば、粉砕サイクルの開始後の回転粉砕部材の特定の数の回転後に開き得るし、あらゆる可能な動作条件の下で必要とされる最小の数の回転よりも少ない回転の数に亘って持続して、事前設定される量の原料の粉砕を完了し得る。一部の実施態様では、能動粉砕期間の絶対的に最小の持続時間を実験的に決定し得る。その場合には、第1の検出窓がそのような絶対的に最小の能動粉砕期間の終了前に閉まるように、第1の検出窓を位置付け且つ寸法取り得る。
【0029】
本方法が能動粉砕期間及び空転期間中に第1の平均遅延及び第2の平均遅延をそれぞれ計算することを含むときには、粉砕サイクルを中断するためのルーチンを予見し得る。粉砕されるべき原料の量が最小の事前設定される量よりも少ないならば、第1の平均遅延と第2の平均遅延との間の差は閾値よりも低い。これが起こるならば、粉砕サイクルは中断させられる。
【0030】
粉砕されるべき原料の最小の許容可能な量に基づき、予期される能動粉砕期間内の第1の検出窓の位置を選択し得る。より具体的には、インパルス数に基づく検出及び適合システムを実施例として考えるとき、Nが最小の許容可能な量の原料を粉砕するために理論的に必要とされる回転数であるならば、それよりも下で粉砕サイクルは中断させられ、第1の検出窓の動作を(N+m)番目の回転パルスに設定可能であり、ここで、mは、少なくとも1である。この場合、粉砕されるべき原料の量が不十分であるならば、第1及び第2の検出窓の間に格納される遅延値に基づき計算される2つの平均遅延は実質的に同じであり、粉砕サイクルは中断させられる。「実質的に同じ」は、2つの値が、例えば、最大でも10%だけ、好ましくは、最大でも5%だけ異なる、ことを意味する。
【0031】
簡単な実施態様において、空転期間は、一定の持続時間、即ち、一定の数の回転パルスを有し得る。他の実施態様では、より正確な方法が空転期間の適合的な持続時間を提供し得る。能動粉砕期間が短ければ短いほど、空転期間がより短いように、空転期間の持続時間を設定し得る。
【0032】
本方法は、能動粉砕期間の持続時間を推定するステップと、能動粉砕期間の推定される持続時間に基づき、後続の粉砕サイクルのために空転期間の持続時間を適合させる後続ステップとを含み得る。
【0033】
特に(必ずしもそうである必要はないが)コーヒー飲料製造機内で、コーヒー豆を粉砕するために用いられるならば、本方法は特に有用である。そのような用途において、本方法はコーヒー粉砕機に対して行われて、コーヒー粉末を生成し、次に、コーヒー粉末は浸出ユニット又はコーヒーフィルタ又は同等物内に装填される。
【0034】
粉砕機を制御して、1つ又はそれよりも多くの粉砕サイクルを実行し、所要の量の挽きコーヒーをもたらし得る。一部の実施態様では、単一の粉砕サイクルが浸出サイクルを遂行するのに十分な量のコーヒー粉末を提供する。それにも拘わらず、他の実施態様では、例えば、挽かれるべきコーヒー豆を投与するために、より小さな容積式の投与室が用いられるならば、幾つかの粉砕サイクルを実行して、浸出ユニットのために十分な量のコーヒー粉末を提供し得る。
【0035】
速度に関連するパラメータ、即ち、粉砕部材の回転速度に関連するパラメータが、ここに記載する作動方法を遂行するために特に適するとしても、この目的のために、他のパラメータを適切に用い得る。能動粉砕期間の完了後に、即ち、粉砕されるべき原料が使い尽くされた後に、粉砕部材の動作条件が変わるという考慮に基づき、この変化によって影響を受ける或いはこの変化を反映する如何なるパラメータをも、ここに開示する方法を遂行するための制御パラメータとして用い得る。
【0036】
粉砕されるべき原料が使い尽くされるとき、粉砕部材に適用される抵抗性トルク、従って、モータによって粉砕部材に適用されるべきトルクは降下する。例えば、トルク計によって、粉砕部材に適用されるトルクを測定し得る。トルクの測定信号を粉砕機の動作条件を示すものとして用い得る。トルクの急勾配の変化が能動粉砕期間の終わりに起こり、上述のように、適合的な方法において粉砕機を制御するため用いられ得る。ここで理解されるようなトルク計は、トルク又は粉砕部材に伝達されるトルクの少なくとも変動を検出するのに適した任意の装置、部材、構成部品又は構成、さもなければ前記トルク又はトルク変動に関連付けられるパラメータであり得る。
【0037】
他の実施態様によれば、ここに開示する方法を遂行するために、粉砕部材を駆動させる電気モータの電気パラメータも用い得る。例えば、電気モータによって吸収される電流を、粉砕機の動作条件を示すパラメータとして有利に採用し得る。粉砕されるべき原料を使い尽くした後に、抵抗性トルクは降下し、結果的に、モータによって生成される電力も降下する。電圧が実質的に一定であるならば、電力降下はモータによって吸収される電流の減少を招く。能動粉砕期間の終了をモータに電力供給するのに要する電流の降下として検出し得る。
【0038】
更なる特徴によれば、本発明は、場合によっては固定粉砕部材と協働する回転粉砕部材と、回転粉砕部材の回転を制御するモータと、上述のような方法を遂行するようにプログラムされる制御ユニットとを含む、粉砕機にも関する。更に、粉砕機は、粉砕されるべき原料のための少なくとも1つの容器、例えば、コーヒー豆容器と相互作用させ得る、容積式の投与室の一部であり得る。
【0039】
更に他の特徴によれば、本発明は、ここに記載するような粉砕機と、飲料調製ユニット、例えば、コーヒー浸出ユニットとを含む、飲料製造機、例えば、コーヒーメーカーにも関する。
【0040】
本発明の更なる機能及び利点を、その例示的な実施態様の後続の記載中に並びに本記載の一体的な部分を形成する請求項中に示す。
【0041】
本発明の1つの例示的な非限定的な実施態様を示す添付の図面と共に考察されるとき、本発明及びその利点の多くのより完全な理解は、それが後続の詳細な記載を参照することによってより十分に理解されるようになるときに直ちに得られるであろう。