特許第5966111号(P5966111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966111
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】ボトムス及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/06 20060101AFI20160728BHJP
   A41H 43/00 20060101ALI20160728BHJP
   A41H 43/04 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   A41D1/06 501J
   A41H43/00 D
   A41H43/04 B
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-505640(P2016-505640)
(86)(22)【出願日】2015年3月24日
(86)【国際出願番号】JP2015058982
(87)【国際公開番号】WO2015151940
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2016年2月2日
(31)【優先権主張番号】特願2014-71702(P2014-71702)
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 優貴
【審査官】 山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−002407(JP,U)
【文献】 特開2000−336513(JP,A)
【文献】 特開昭49−104749(JP,A)
【文献】 実公昭44−020802(JP,Y1)
【文献】 登録実用新案第3046746(JP,U)
【文献】 特開2013−142203(JP,A)
【文献】 特開2006−132064(JP,A)
【文献】 特開2011−157677(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/055072(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/011914(WO,A1)
【文献】 特許第3475912(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00−11/14
A41D 1/06−1/16
A41H 1/00−43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の柄によって全体が装飾されたボトムスであって、
前記柄を形成する複数色の複数のインクドットと、
前記複数色の複数のインクドットによって形成された前記柄が記録された布帛によって形成され、前記ボトムスの正面に配置され且つ色濃度が第一濃度である前記柄全体のうちの正面領域を形成する第一部分と、前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度より高い第二濃度である前記柄全体のうちの陰影領域を形成する第二部分と、を含む第一パーツと、
前記布帛によって形成され、前記ボトムスの背面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度である前記柄全体のうちの背面領域を形成する第三部分と、前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第二濃度である前記陰影領域を形成する第四部分と、を含む第二パーツと、
糸と、を備え
前記第一パーツと前記第二パーツとは、前記第二部分が記録された前記第一パーツの部分と、前記第四部分が記録された前記第二パーツの部分と、で前記縫糸によって繋ぎ合わされた状態とされ、
前記陰影領域では、所定面積当たりの前記複数色の複数のインクドットの数が、前記正面領域より多く、且つ前記背面領域より多い状態とされている、ボトムス。
【請求項2】
前記第一パーツは、色濃度が前記第一濃度と前記第二濃度との間で連続的に変化する第五部分を、前記第一部分と前記第二部分との間に含み、
前記第二パーツは、色濃度が前記第一濃度と前記第二濃度との間で連続的に変化する第六部分を、前記第三部分と前記第四部分との間に含む、請求項1に記載のボトムス。
【請求項3】
前記第一部分は、前記ボトムスの正面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度である第一模様の前記正面領域を形成し、
前記第二部分は、前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第二濃度である前記第一模様とは異なる第二模様の前記陰影領域を形成し、
前記第三部分は、前記ボトムスの背面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度である前記第一模様の前記背面領域を形成し、
前記第四部分は、前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第二濃度である前記第二模様の前記陰影領域を形成する、請求項1に記載のボトムス。
【請求項4】
前記第一部分は、特定形状が繰り返される前記所定の柄の前記特定形状の前記ボトムスの丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する前記正面領域を形成し、
前記第二部分は、前記特定形状の前記丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する前記陰影領域を形成し、
前記第三部分は、前記特定形状の前記丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する前記背面領域を形成し、
前記第四部分は、前記特定形状の前記丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する前記陰影領域を形成する、請求項1又は請求項2に記載のボトムス。
【請求項5】
特定形状が繰り返される所定の柄によって全体が装飾されたボトムスであって、
前記柄を形成する複数色の複数のインクドットと、
前記複数色の複数のインクドットによって形成された前記柄が記録された布帛によって形成され、前記特定形状の前記ボトムスの丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する第一パーツと、
前記布帛によって形成され、前記特定形状の前記丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する第二パーツと、
糸と、を備え
前記第一パーツと前記第二パーツとは、前記縫糸によって繋ぎ合わされた状態とされている、ボトムス。
【請求項6】
所定の柄によって全体が装飾されたボトムスの製造方法であって、
インクジェット記録装置によって布帛の表面に複数色の複数のインクドットを形成する記録工程と、
前記複数色の複数のインクドットによって形成された前記柄が記録された前記布帛を裁断し、前記ボトムスの正面に配置され且つ色濃度が第一濃度である前記柄全体のうちの正面領域を形成する第一部分と前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度より高い第二濃度である前記柄全体のうちの陰影領域を形成する第二部分とを含む第一パーツと、前記ボトムスの背面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度である前記柄全体のうちの背面領域を形成する第三部分と前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第二濃度である前記陰影領域を形成する第四部分とを含む第二パーツと、を形成する裁断工程と、
前記第二部分が記録された前記第一パーツの部分と、前記第四部分が記録された前記第二パーツの部分と、で前記第一パーツと前記第二パーツとを縫糸によって縫製する縫製工程と、を含み、
前記記録工程では、前記陰影領域における所定面積当たりの前記複数色の複数のインクドットの数が、前記正面領域における前記所定面積当たりの前記複数色の複数のインクドットの数より多く、且つ前記背面領域における前記所定面積当たりの前記複数色の複数のインクドットの数より多くなる状態で、前記複数色の複数のインクドットが形成される、製造方法。
【請求項7】
特定形状が繰り返される所定の柄によって全体が装飾されたボトムスの製造方法であって、
インクジェット記録装置によって布帛の表面に複数色の複数のインクドットを形成する記録工程と、
前記複数色の複数のインクドットによって形成された前記柄が記録された前記布帛を裁断し、前記特定形状の前記ボトムスの丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する第一パーツと、前記特定形状の前記丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する第二パーツと、を形成する裁断工程と、
前記第一パーツと前記第二パーツとを縫糸よって縫製する縫製工程と、を含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下半身にアウターウェアとして着用するボトムスとボトムスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、体型を美しく見せる、シャツ、ズボン又はスカート等の衣類が開示されている。この衣類では、体型を美しく見せる影及び光の模様が衣類の裏側にプリントされる。この模様は、骨格や筋肉等の体の凹凸、服のシワ、服の重ね着等によって生じるものである。
【0003】
特許文献2には、体形を立体的に美しく見せることができる衣服が開示されている。この衣服は、水着、レオタード等の体にぴったりフィットする衣服である。この衣服には、衣服全体に略同形状の柄が連続的に形成される。この際、胸部分及び臀部分の柄は腹部分の柄よりも大きく形成され、ウエストライン近傍部分の柄は腹部分の柄よりも小さく形成される。この衣服では、胸部分及び臀部分の色が腹部分の色よりも淡く設定され、ウエストライン左右両端部分の色が腹部分の色よりも濃く設定される。色の濃淡は、色の明度又は彩度に差をつけることにより、適宜設定することができる。図柄は、コンピューターグラフィックを用いて作成し、生地にプリントしたものである。
【0004】
特許文献3には、色調自然濃色部付衣服が開示されている。この衣服には、バスト部、ウエスト部又はヒップ部の所望位置に、水平帯状又は左右対称任意形状の色調自然濃色部が施される。特許文献4には、濃色部を施したワンピースが開示されている。このワンピースにおいて濃色部は、ワンピースの胴部のまわりに施される。
【0005】
出願人は、色彩検査装置に関する技術を特許文献5で提案している。この色彩検査装置は、測定台と光源と測定部と判定部を備える。測定台には、測定対象物が載せ置かれる。測定対象物としては、繊維製品が挙げられる。光源は、測定対象物の表面に光を照射する。光源は、測定対象領域に対して垂直方向に光を照射するように設定される。測定部は、測定対象物から所定距離を置いて設置される。測定部は、分光放射輝度計を備える。分光放射輝度計は、測定対象物の表面の測定対象領域を広角レンズを介して直径7cm以上の測定径で測定する。分光放射輝度計は、測定対象領域に対して45度傾斜した方向から測定するように設定される。判定部は、分光放射輝度計から得られた測定結果に基づいて測定対象物表面の色彩の良否を判定する。特許文献5には、自動車用の内装材として用いられる布帛の色彩検査では測定領域を広くとり、一見色として色をとらえることが有効である、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−213303号公報
【特許文献2】特開平11−323624号公報
【特許文献3】実開昭58−92325号公報
【特許文献4】実開昭55−15244号公報
【特許文献5】特許第4588070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
着用者のスタイルを良く見せることができる衣服が種々提案されている。発明者は、衣服のうち、下半身にアウターウェアとして着用するボトムスを対象として、着用者のスタイルを良く見せることができる視覚的効果が得られる技術を検討した。
【0008】
本発明は、着用者のスタイルを良く見せることができるボトムスとボトムスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、所定の柄によって全体が装飾されたボトムスであって、前記柄を形成する複数色の複数のインクドットと、前記複数色の複数のインクドットによって形成された前記柄が記録された布帛によって形成され、前記ボトムスの正面に配置され且つ色濃度が第一濃度である前記柄全体のうちの正面領域を形成する第一部分と、前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度より高い第二濃度である前記柄全体のうちの陰影領域を形成する第二部分と、を含む第一パーツと、前記布帛によって形成され、前記ボトムスの背面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度である前記柄全体のうちの背面領域を形成する第三部分と、前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第二濃度である前記陰影領域を形成する第四部分と、を含む第二パーツと、縫糸と、を備え、前記第一パーツと前記第二パーツとは、前記第二部分が記録された前記第一パーツの部分と、前記第四部分が記録された前記第二パーツの部分と、で前記縫糸によって繋ぎ合わされた状態とされ、前記陰影領域では、所定面積当たりの前記複数色の複数のインクドットの数が、前記正面領域より多く、且つ前記背面領域より多い状態とされている、ボトムスである。
【0010】
これによれば、着用者の脚を細く見せる視覚的効果をボトムスに付与することができる。このボトムスの着用者の正面及び背面からこの着用者を見た第三者に対して、着用者の脚が細い印象を与えることができる。インクジェット記録装置から吐出されたインクによって形成された複数色の複数のインクドットによって柄を形成することで、高画質の柄とすることができる。柄を複数色の複数のインクドットで形成することで、第一パーツを、第一部分と第二部分がそれぞれ記録された別の部分パーツを繋ぎ合わせて形成する必要がなく、第二パーツを、第三部分と第四部分がそれぞれ記録された別の部分パーツを繋ぎ合わせて形成する必要がない。繋ぎ目のない第一パーツ及び第二パーツとすることができる。このボトムスにおいて、全体を装飾する柄は、上記の記載から明らかな通り、第一濃度の正面領域及び背面領域と第二濃度の陰影領域を含む。従って、このボトムスの全体を装飾する柄は、色濃度が同一である単一色の柄を対象とするものではない。更に、このボトムスの全体を装飾する柄は、素材となる布帛自体に形成された凹凸のみによって表現された柄を対象とするものではない。このボトムスの全体を装飾する柄は、少なくとも、複数色の複数のインクドットによって形成される。インクドットの色に関し、複数色は、色を表現する要素としての色相と明度と彩度のうち、少なくとも1つの要素がそれぞれ異なる2種以上の色である。色濃度は、色相と明度と彩度のうち、例えば、明度又は彩度を異ならせることで変化させることができる。第一濃度は、正面領域及び背面領域に個々に含まれる各色のうちの特定の色の色濃度を示すものではない。第一濃度は、正面領域及び背面領域の各領域の全体を対象とした一見色の濃度である。第一濃度は、正面領域及び背面領域の各領域の全体から得られる色目である。第二濃度は、陰影領域に個々に含まれる各色のうちの特定の色の色濃度を示すものではない。第二濃度は、陰影領域の全体を対象とした一見色の濃度である。第二濃度は、陰影領域の全体から得られる色目である。
【0011】
このボトムスにおいて、前記第一パーツは、色濃度が前記第一濃度と前記第二濃度との間で連続的に変化する第五部分を、前記第一部分と前記第二部分との間に含み、前記第二パーツは、色濃度が前記第一濃度と前記第二濃度との間で連続的に変化する第六部分を、前記第三部分と前記第四部分との間に含む、ようにしてもよい。これによれば、正面又は背面から側面への色彩の変化を自然な状態とすることができる。
【0012】
前記第一部分は、前記ボトムスの正面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度である第一模様の前記正面領域を形成し、前記第二部分は、前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第二濃度である前記第一模様とは異なる第二模様の前記陰影領域を形成し、前記第三部分は、前記ボトムスの背面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度である前記第一模様の前記背面領域を形成し、前記第四部分は、前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第二濃度である前記第二模様の前記陰影領域を形成する、ようにしてもよい。これによれば、ボトムスのデザインのバリエーションを豊富にすることができる。第一模様と第二模様における模様は、装飾に施す種々の形、又は表面にあらわれた図形を意味する。
【0013】
前記第一部分は、特定形状が繰り返される前記所定の柄の前記特定形状の前記ボトムスの丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する前記正面領域を形成し、前記第二部分は、前記特定形状の前記丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する前記陰影領域を形成し、前記第三部分は、前記特定形状の前記丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する前記背面領域を形成し、前記第四部分は、前記特定形状の前記丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する前記陰影領域を形成する、ようにしてもよい。これによれば、着用者の足を長く見せる視覚的効果をボトムスに付与することができる。このボトムスの着用者を見た第三者に対して、着用者の足が長い印象を与えることができる。
【0014】
本発明の他の側面は、特定形状が繰り返される所定の柄によって全体が装飾されたボトムスであって、前記柄を形成する複数色の複数のインクドットと、前記複数色の複数のインクドットによって形成された前記柄が記録された布帛によって形成され、前記特定形状の前記ボトムスの丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する第一パーツと、前記布帛によって形成され、前記特定形状の前記丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する第二パーツと、縫糸と、を備え、前記第一パーツと前記第二パーツとは、前記縫糸によって繋ぎ合わされた状態とされている、ボトムスである。
【0015】
これによれば、着用者の足を長く見せる視覚的効果をボトムスに付与することができる。このボトムスの着用者を見た第三者に対して、着用者の足が長い印象を与えることができる。インクジェット記録装置から吐出されたインクによって形成された複数色の複数のインクドットによって柄を形成することで、高画質の柄とすることができる。このボトムスにおいて、全体を装飾する柄は、素材となる布帛自体に形成された凹凸のみによって表現された柄を対象とするものではない。このボトムスの全体を装飾する柄は、少なくとも、複数色の複数のインクドットによって形成される。インクドットの色に関し、複数色は、上記同様である。
【0016】
本発明の更に他の側面は、所定の柄によって全体が装飾されたボトムスの製造方法であって、インクジェット記録装置によって布帛の表面に複数色の複数のインクドットを形成する記録工程と、前記複数色の複数のインクドットによって形成された前記柄が記録された前記布帛を裁断し、前記ボトムスの正面に配置され且つ色濃度が第一濃度である前記柄全体のうちの正面領域を形成する第一部分と前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度より高い第二濃度である前記柄全体のうちの陰影領域を形成する第二部分とを含む第一パーツと、前記ボトムスの背面に配置され且つ色濃度が前記第一濃度である前記柄全体のうちの背面領域を形成する第三部分と前記ボトムスの側面に配置され且つ色濃度が前記第二濃度である前記陰影領域を形成する第四部分とを含む第二パーツと、を形成する裁断工程と、前記第二部分が記録された前記第一パーツの部分と、前記第四部分が記録された前記第二パーツの部分と、で前記第一パーツと前記第二パーツとを縫糸によって縫製する縫製工程と、を含み、前記記録工程では、前記陰影領域における所定面積当たりの前記複数色の複数のインクドットの数が、前記正面領域における前記所定面積当たりの前記複数色の複数のインクドットの数より多く、且つ前記背面領域における前記所定面積当たりの前記複数色の複数のインクドットの数より多くなる状態で、前記複数色の複数のインクドットが形成される、製造方法である。これによれば、対応する上記のボトムスを製造することができる。この製造方法は、上記のボトムスと同様、他の要素を含むボトムスの製造方法として特定することもできる。
【0017】
本発明の更に他の側面は、特定形状が繰り返される所定の柄によって全体が装飾されたボトムスの製造方法であって、インクジェット記録装置によって布帛の表面に複数色の複数のインクドットを形成する記録工程と、前記複数色の複数のインクドットによって形成された前記柄が記録された前記布帛を裁断し、前記特定形状の前記ボトムスの丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する第一パーツと、前記特定形状の前記丈方向に直交する方向のサイズが前記丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小する第二パーツと、を形成する裁断工程と、前記第一パーツと前記第二パーツとを縫糸よって縫製する縫製工程と、を含む製造方法である。これによれば、対応する上記のボトムスを製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、着用者のスタイルを良く見せることができるボトムスとボトムスの製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一実施例のパンツを示す写真である。人形に着用させた第一実施例のパンツの正面側を示す。
図2】第二実施例のパンツを示す写真である。人形に着用させた第二実施例のパンツの正面側を示す。
図3】第一実施例のパンツの素材となる布帛を示す写真である。
図4】第一実施例のパンツの素材の一部を拡大した写真である。色濃度が変化する状態を示す。
図5図1及び図2に示すL方向又はR方向から視た部分拡大図である。縫糸によって縫製された状態の概略を示す。
図6】第二実施形態のパンツの素材となる布帛を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
【0021】
<ボトムス>
ボトムスは、下半身にアウターウェアとして着用される。ボトムスとしては、各種形状のパンツ及びスカートが挙げられる。パンツを形状により分類すると、例えば、ストレートパンツ、スリムパンツ又はスキニーパンツがある。この他、丈を所定量短くした、クロップドパンツがある。更に、伸縮性のある素材を用いたストレッチパンツがある。実施形態では、ボトムスとして、図1及び図2に示すパンツ10を例に説明する。
【0022】
<パンツ>
パンツ10について図1及び図2を参照して説明する。パンツ10は、全体が所定の柄によって装飾されている。柄は、例えば、色彩と所定の模様によって形成される。柄としては、例えば、各種のチェック柄(図1及び図2参照)、ツイード調柄、デニム調柄又はストライプ柄が挙げられる。実施形態において、模様は、装飾に施す種々の形、又は表面にあらわれた図形を意味する。パンツ10は、パンツ10A(図1参照)と、パンツ10B(図2参照)を総称するものであり、これらを区別しない場合に用いる名称である。パンツ10Aの素材を「布帛20A」(図3参照)という。パンツ10Bの素材を「布帛20B」(図6参照)という。布帛20A,20Bを総称し、又はこれらを区別しない場合、「布帛20」という。
【0023】
全体が装飾されたパンツ10は、パンツ10の柄が記録された布帛20から、パンツ10を形成する各パーツを裁断し、裁断された各パーツを縫糸31を用いて縫製して形成される。この点に関する説明は後述する。柄の記録には、インクジェット記録装置が用いられる。インクジェット記録装置では、表現すべき色に対応した色のインクがインクジェット記録装置にセットされた布帛(記録媒体)に吐出される。インクジェット記録装置には、複数色のインクが備えられる。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのインクを用いると、高画質でフルカラーの柄を記録することができる。柄の記録に際し、パンツ10を形成する各パーツの輪郭線を記録するようにしてもよい。
【0024】
吐出された各色のインクのインク滴は、記録媒体としての布帛の表面に着弾しインクドットを形成する。このように、パンツ10では、柄は、複数色の複数のインクドットによって形成される。
【0025】
次に、パンツ10について2つの実施例を説明する。第一実施例は、図1に示すパンツ10Aに基づくものである。第二実施例は、図2に示すパンツ10Bに基づくものである。「正面」及び「背面」と「右」及び「左」は、パンツ10の着用者の正面及び背面と左及び右に一致する。パンツ10Aとパンツ10Bのそれぞれを形成する各パーツに対する符号について、同一のパーツ(但し、柄は異なる)には同一の符号を付すこととする。
【0026】
<第一実施例>
パンツ10Aについて、図1及び図3図5を参照して説明する。図3図5における「丈方向」は、図1の「丈方向」に準ずる。パンツ10Aは、所定のチェック柄によって全体が装飾されたパンツである(図1参照)。パンツ10Aの柄として例示するチェック柄は、複数の色と、特定形状が繰り返される格子模様による柄である。色は、色相と明度と彩度を要素として表現される。従って、複数の色は、色を表現する要素としての色相と明度と彩度のうち、少なくとも1つの要素がそれぞれ異なる2種以上の色である。パンツ10Aの左右両側面には、正面領域及び背面領域の第一濃度より高い第二濃度の陰影領域11L,11Rが形成される。第一濃度及び第二濃度に関し、色濃度は、色相と明度と彩度のうち、例えば、明度又は彩度を異ならせることで変化させることができる。陰影領域11L,11Rは、パンツ10Aの丈方向において、ベルト通し13が設けられたウエスト領域の下側から裾端に至る範囲に形成される。正面領域は、柄全体のうち、パンツ10Aの正面に配置された領域である(図1参照)。背面領域は、柄全体のうち、パンツ10Aの背面に配置された領域である。背面領域は、図1では不図示とされている。陰影領域11Lは、柄全体のうち、パンツ10Aの左側面に配置された領域である(図1参照)。陰影領域11Rは、柄全体のうち、パンツ10Aの右側面に配置された領域である(図1参照)。
【0027】
第一濃度は、正面領域及び背面領域に個々に含まれる各色のうちの特定の色の色濃度を示すものではない。第一濃度は、正面領域及び背面領域の各領域の全体を対象とした一見色の濃度である。第一濃度は、正面領域及び背面領域の各領域の全体から得られる色目である。第二濃度は、陰影領域11L,11Rの各領域に個々に含まれる各色のうちの特定の色の色濃度を示すものではない。第二濃度は、陰影領域11L,11Rの各領域の全体を対象とした一見色の濃度である。第二濃度は、陰影領域11L,11Rの各領域から得られる色目である。一見色の色濃度は、例えば、上述した出願人による色彩検査装置での測定の場合と同様、公知の方法によって測定することができる。即ち、測定径を、例えば、数cm〜十数cm以上というように広くする等して測定することができる。
【0028】
パンツ10Aは、図3に示す布帛20Aを素材として形成される。布帛20Aは、上述した通り、インクジェット記録装置を用いて記録媒体となる布帛に複数色の複数のインクドットを形成して装飾されたものである。このとき、柄は、基準線Dを中心として左右対称となる状態で記録される。布帛20Aに記録された柄は、第一濃度に表現された領域と、第二濃度に表現された領域を含む。布帛20Aにおいて、第一濃度に表現された領域と第二濃度に表現された領域は、第一濃度と第二濃度の間を連続的に色濃度が変化する変化領域を介して連なる(図4参照)。色濃度の変化は、例えば、所定面積当たりのインクドット数を増減させることで実現することができる。この場合、第二濃度の領域では、所定面積当たりのインクドット数が第一濃度の領域より多くなる。
【0029】
布帛20Aから裁断されるパーツは、左右の前身部21L,21Rと、左右の後身部23L,23Rと、左右の前ポケット部25L,25Rと、左右の後ポケット部27L,27Rと、ウエスト部29である。布帛20Aにおいて、左側の各パーツと右側の各パーツは、基準線Dを基準として、左右対称となる各位置にそれぞれ型取りされる。左側のパーツは、前身部21Lと、後身部23Lと、前ポケット部25Lと、後ポケット部27Lである。右側のパーツは、前身部21Rと、後身部23Rと、前ポケット部25Rと、後ポケット部27Rである。
【0030】
各パーツの型取りは、次のように行われる。前身部21Lと後身部23Lと前ポケット部25Lと後ポケット部27Lの各パーツについては、パンツ10Aにおける柄の正面領域又は背面領域を形成する部分と第一濃度である布帛20Aの領域が合わせられ、陰影領域11Lを形成する部分と第二濃度である布帛20Aの領域が合わせられる。そのため、例えば、前身部21Lは、柄全体のうちの正面領域を形成する部分と、柄全体のうちの陰影領域11Lを形成する部分を含む。前身部21Lは、パンツ10Aの正面から左側面の側へと向かう方向において、色濃度が第一濃度から第二濃度へと連続的に変化する部分を含む(図4に示す「変化領域」参照)。この部分は、第一濃度の部分と第二濃度の部分の間に設けられる。後身部23Lは、柄全体のうちの背面領域を形成する部分と、柄全体のうちの陰影領域11Lを形成する部分を含む。後身部23Lは、パンツ10Aの背面から左側面の側へと向かう方向において、色濃度が第一濃度から第二濃度へと連続的に変化する部分を含む(図4に示す「変化領域」参照)。この部分は、第一濃度の部分と第二濃度の部分の間に設けられる。
【0031】
前身部21Rと後身部23Rと前ポケット部25Rと後ポケット部27Rの各パーツについては、パンツ10Aにおける柄の正面領域又は背面領域を形成する部分と第一濃度である布帛20Aの領域が合わせられ、陰影領域11Rを形成する部分と第二濃度である布帛20Aの領域が合わせられる。そのため、例えば、前身部21Rは、柄全体のうちの正面領域を形成する部分と、柄全体のうちの陰影領域11Rを形成する部分を含む。前身部21Rは、パンツ10Aの正面から右側面の側へと向かう方向において、色濃度が第一濃度から第二濃度へと連続的に変化する部分を含む(図4に示す「変化領域」参照)。この部分は、第一濃度の部分と第二濃度の部分の間に設けられる。後身部23Rは、柄全体のうちの背面領域を形成する部分と、柄全体のうちの陰影領域11Rを形成する部分を含む。後身部23Rは、パンツ10Aの背面から右側面の側へと向かう方向において、色濃度が第一濃度から第二濃度へと連続的に変化する部分を含む(図4に示す「変化領域」参照)。この部分は、第一濃度の部分と第二濃度の部分の間に設けられる。ウエスト部29は、第一濃度の布帛20Aの領域に型取られる。
【0032】
左右の各パーツは、このような柄の記録及び型取りによって、左右対称な形状で且つ左右対称な柄となる。例えば、前身部21L,21Rは、左右対称な形状で且つ左右対称な柄となる。後身部23L,23Rは、左右対称な形状で且つ左右対称な柄となる。
【0033】
布帛20Aから裁断された各パーツは縫糸31を用いて適宜縫製され、パンツ10Aがこれら各パーツによって形成される。例えば、前身部21Lと後身部23Lが、縫糸31を用いて縫製される(図5参照)。前身部21Lと後身部23Lは、陰影領域11Lを形成する各部分が記録された前身部21Lの部分と後身部23Lの部分で縫製される。これによって、パンツ10Aの陰影領域11Lのうち、前身部21Lと後身部23Lによる部分が形成される。前身部21Rと後身部23Rが、縫糸31を用いて縫製される(図5参照)。前身部21Rと後身部23Rは、陰影領域11Rを形成する各部分が記録された前身部21Rの部分と後身部23Rの部分で縫製される。これによって、パンツ10Aの陰影領域11Rのうち、前身部21Rと後身部23Rによる部分が形成される。縫糸31によって縫製された前身部21Lと後身部23L又は前身部21Rと後身部23Rの各繋ぎ目33は、例えば、図5に示すような状態となる。図5では、パンツ10Aの全体を装飾する柄の図示は、省略されている。
【0034】
<第一実施例の効果>
パンツ10Aによれば、次のような効果を得ることができる。
【0035】
(1)着用者の脚を細く見せる視覚的効果をパンツ10Aに付与することができる。パンツ10Aの着用者の正面及び背面からこの着用者を見た第三者に対して、着用者の脚が細い印象を与えることができる。インクジェット記録装置から吐出されたインクによって形成された複数色の複数のインクドットによって柄を形成することで、高画質の柄とすることができる。色濃度が変化するパーツに関し、柄を複数色の複数のインクドットで形成することで、色濃度が異なる2つの部分パーツを縫製等の方法によって繋ぎ合わせる必要がない。色濃度が変化する部分での繋ぎ目をなくすことができる。色濃度が変化するパーツは、図3に基づけば、ウエスト部29以外のパーツである。
【0036】
(2)色濃度の変化を連続的とすることで(図4参照)、パンツ10Aで、正面又は背面から側面への色彩の変化を自然にすることができる。
【0037】
<第二実施例>
パンツ10Bについて、図2図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6における「丈方向」は、図2に示す「丈方向」に準ずる。パンツ10Bは、所定のチェック柄によって全体が装飾されたパンツである(図2参照)。パンツ10Bの柄として例示するチェック柄は、複数の色と、特定形状が繰り返される格子模様による柄である。複数の色については、第一実施例の場合と同様である。パンツ10Bのチェック柄は、ギンガムチェックと称される。但し、パンツ10Bでは、このチェック柄において繰り返される特定形状としての格子は、丈方向を基準としたとき、上側から下側に向かいそのサイズが連続的に縮小した形状とされる。
【0038】
パンツ10Bは、図6に示す布帛20Bを素材として形成される。布帛20Bは、上述した通り、インクジェット記録装置を用いて記録媒体となる布帛に、複数色の複数のインクドットを形成して装飾されたものである。このとき、柄は、基準線Dを中心として左右対称となる状態で記録される。布帛20Bに記録された柄は、非変形領域と変形領域を含む。非変形領域は、布帛20Bにおけるチェック柄において繰り返される格子が同一形状のまま繰り返された領域である。変形領域は、布帛20Bにおけるチェック柄において繰り返される格子のサイズを丈方向の上側から下側(腰側から裾側)へと連続的に縮小させた領域である。サイズの縮小は、丈方向に直交する方向、又は丈方向及び丈方向に直交する方向になされる。
【0039】
布帛20Bから裁断されるパーツは、第一実施例の場合と同様、左右の前身部21L,21Rと、左右の後身部23L,23Rと、左右の前ポケット部25L,25Rと、左右の後ポケット部27L,27Rと、ウエスト部29である。布帛20Bにおいて、左側の各パーツと右側の各パーツは、基準線Dを基準として、左右対称となる各位置にそれぞれ型取りされる。左側のパーツは、上述した通り、前身部21Lと、後身部23Lと、前ポケット部25Lと、後ポケット部27Lである。右側のパーツは、上述した通り、前身部21Rと、後身部23Rと、前ポケット部25Rと、後ポケット部27Rである。
【0040】
各パーツの型取りは、次のように行われる。前身部21Lと後身部23Lについては、丈方向を基準として、裾端を含む裾部と非変形領域が合わせられ、裾部の上側から着用者の臀部に対応した所定の位置までの部分と変形領域が合わせられ、前述の範囲より上側の部分と非変形領域が合わせられる。前ポケット部25Lについては、その全体に非変形領域が合わせられる。後ポケット部27Lについては、丈方向の下側の領域と変形領域が合わせられ、丈方向の上側の領域と非変形領域が合わせられる。後ポケット部27Lにおける変形領域及び非変形領域の配置は、後身部23Lの臀部での変形領域及び非変形領域の配置に対応させたものである。
【0041】
前身部21Rと後身部23Rについては、丈方向を基準として、裾端を含む裾部と非変形領域が合わせられ、裾部の上側から着用者の臀部に対応した所定の位置までの部分と変形領域が合わせられ、前述の範囲より上側の部分と非変形領域が合わせられる。前ポケット部25Rについては、その全体に非変形領域が合わせられる。後ポケット部27Rについては、丈方向の下側の領域と変形領域が合わせられ、丈方向の上側の領域と非変形領域が合わせられる。後ポケット部27Rにおける変形領域及び非変形領域の配置は、後身部23Rの臀部での変形領域及び非変形領域の配置に対応させたものである。ウエスト部29は、非変形領域に型取られる。
【0042】
左右の各パーツは、このような柄の記録及び型取りによって、左右対称な形状で且つ左右対称な柄となる。例えば、前身部21L,21Rは左右対称な形状で且つ左右対称な柄となる。後身部23L,23Rは左右対称な形状で且つ左右対称な柄となる。
【0043】
布帛20Bから裁断された各パーツは、縫糸31を用いて適宜縫製され、パンツ10Bがこれら各パーツによって形成される。例えば、前身部21Lと後身部23Lが、縫糸31を用いて縫製される(図5参照)。前身部21Rと後身部23Rが、縫糸31を用いて縫製される(図5参照)。縫糸31によって縫製された前身部21Lと後身部23L又は前身部21Rと後身部23Rの各繋ぎ目33は、第一実施例の場合と同様、例えば、図5に示すような状態となる。図5では、パンツ10Bの全体を装飾する柄の図示は、省略されている。
【0044】
<第二実施例の効果>
着用者の足を長く見せる視覚的効果をパンツ10Bに付与することができる。パンツ10Bの着用者を見た第三者に対して、着用者の足が長い印象を与えることができる。インクジェット記録装置から吐出されたインクによって形成された複数色の複数のインクドットによって柄を形成することで、高画質の柄とすることができる。
【0045】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0046】
(1)上記では、パンツ10A,10Bを例に説明した。パンツ10Aは、陰影領域11L,11Rを含む柄によって全体が装飾される(図1及び図3参照)。パンツ10Bは、繰り返される特定形状のサイズを丈方向の上側から下側に向けて連続的に縮小させた領域を含む柄によって全体が装飾される(図2及び図6参照)。パンツ10A,10Bにおいて個別に採用された前述の構成を1本のパンツにおいて実現するようにしてもよい。パンツ10Aに基づき説明すると、パンツ10Aにおける柄として表現されたチェック柄を形成する格子の間隔を、丈方向の上側から下側に向けて縮小するようにしてもよい。縮小対象となる間隔は、上記同様、丈方向に直交する方向、又は丈方向及び丈方向に直交する方向である。チェック柄が変形される丈方向の範囲は、例えば、上記同様、裾端を含む裾部の上側から着用者の臀部に対応した所定の位置までの範囲とされる。パンツ10Bに基づき説明すると、パンツ10Bの左右両側面に、正面領域及び背面領域の第一濃度より高い第二濃度の陰影領域を形成するようにしてもよい。陰影領域が設けられる丈方向の範囲は、例えば、上記同様、ベルト通し13(図2参照)が設けられたウエスト領域の下側から裾端に至る範囲とされる。色濃度の変化も連続的とされる。
【0047】
(2)上記では、パンツ10Aにおける柄を、正面領域及び背面領域と陰影領域11L,11Rによる全領域において同一模様とした構成を例に説明した(図1及び図3参照)。正面領域及び背面領域と陰影領域11L,11Rで模様を異ならせた柄のパンツとしてもよい。例えば、正面領域及び背面領域を色濃度が第一濃度のチェックとし、陰影領域11L,11Rを色濃度が第二濃度であるツイード調又はデニム調とするようにしてもよい。正面領域及び背面領域と陰影領域11L,11Rの間の色濃度の変化に関し、色濃度が連続的に変化する部分を省略するようにしてもよい。
【0048】
(3)上記では、陰影領域11L,11Rを左右両側面(外側)に設けたパンツ10Aを例に説明した(図1及び図3参照)。股側の左右両側面に、上述した陰影領域11L,11Rと同様の陰影領域を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10,10A,10B パンツ、 11L,11R 陰影領域
13 ベルト通し、 20,20A,20B 布帛
21L,21R 前身部、 23L,23R 後身部
25L,25R 前ポケット部、 27L,27R 後ポケット部
29 ウエスト部、 31 縫糸、 33 繋ぎ目、 D 基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6