(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の第1の実施形態に係り、
図1は内視鏡に接続されたリークテスタの基本構成を示すブロック図、
図2は内視鏡に対するリーク判定ルーチンを示すフローチャートである。
【0011】
図1に示す本実施形態のリークテスタ1は、例えば、医療用の内視鏡2を対象物としてリーク判定を行うリークテスタであり、このリークテスタ1は、リークテスタ本体5と、内視鏡2の表面温度を測定する温度測定部6と、内視鏡2の表面温度Tを所定範囲内に維持するための恒温部7と、これらリークテスタ本体5及び恒温部7の制御を行うための制御部8と、を有して構成されている。
【0012】
ここで、リーク判定対象物としての内視鏡2は、可撓性を有する細長の挿入部10と、挿入部10の基端側に接続された操作部11と、操作部11の側部から延出された可撓性を有する連結コード(ユニバーサルコード)12と、この連結コード12の端部に設けられ、図示しない光源装置に着脱自在に接続されるコネクタ部13と、このコネクタ部13の側部に設けられ、図示しないビデオプロセッサに信号ケーブルを介して着脱自在に接続可能な電気コネクタ部14と、を有している。
【0013】
挿入部10は、可撓性を有する柔軟な可撓管部15と、この可撓管部15の先端側に設けられ、操作部11の操作により湾曲可能な湾曲部16と、この湾曲部16の先端側に設けられ、図示しない観察光学系、照明光学系等が設けられた先端部17と、を有して構成されている。
【0014】
先端部17には、送気送液チューブ20から供給される洗浄液や気体を図示しない観察光学系の外表面の光学部材に向けて噴出するための送気送水ノズル20aが設けられている。また、先端部17には、処置具の挿通及び体内の液体の吸引等を行うための処置具チャンネル21の先端側の開口である吸引口21aが設けられている。さらに、先端部17には、前方送水用送液チューブ22から供給される液体を観察対象物に向けて噴出するための送液口22aが設けられている。
【0015】
操作部11には、送気操作、送水操作を行うための送気送水操作ボタンと、吸引操作を行うための吸引操作ボタンと、湾曲部16の湾曲操作を行うための湾曲操作ノブと、ビデオプロセッサを遠隔操作するための複数のリモートスイッチと(何れも図示せず)、が設けられ、さらに、処置具チャンネル21に連通した開口である処置具挿入口21bが設けられている。
【0016】
コネクタ部13には、図示しない光源装置に内蔵された気体供給源と着脱自在に接続される気体供給口金25と、液体供給源である図示しない送水タンクと着脱自在に接続される送水タンク加圧口金26及び液体供給口金27と、が設けられている。また、送水タンク加圧口金26及び液体供給口金27の背面側には、吸引口21aより吸引を行うための図示しない吸引源と接続される吸引口金28が設けられている。また、吸引口金28の近傍には、送液口22aより送水を行うための図示しない送水手段と接続される注入口金29が設けられている。
【0017】
さらに、コネクタ部13には、通気部30が設けられている。この通気部30は、内視鏡2の内部に挿通した管路の外表面と内視鏡2の外装部材(外皮部)との間における水密的に閉塞された領域の空間部32と、内視鏡外部とを連通するための連通孔である。この通気部30には、防水キャップ31が着脱自在に装着され、これにより、内視鏡2の使用時等において、空間部32は水密的に閉塞される。
【0018】
なお、このように構成された内視鏡2は、被検者の体温、電装品の発する熱、及び、照明光等を熱源として加熱されるため、通常、使用直後の温度が雰囲気温度よりも高温となる。
【0019】
リークテスタ本体5は、送気部としてのエアポンプ50を有する。このエアポンプ50は、例えば、ダイアフラム型のエアポンプであり、エアポンプ50の吐出口にはエア供給管路51の一端側が接続されている。
【0020】
一方、エア供給管路51の他端側には、接続部としてのコネクタ52が設けられている。このコネクタ52は、内視鏡2のコネクタ部13に設けられた通気部30に着脱自在な構成を有しており、防水キャップ31に形成された通気部30に接続されることにより、エア供給管路51を内視鏡2の内部(空間部32)に連通することが可能となっている。
【0021】
また、エア供給管路51の中途には、開閉弁53が介装されている。この開閉弁53は、制御部8からの制御信号に応じて開閉動作され、開弁状態にあるとき、エア供給管路51の上流側管路部51a(すなわち、エアポンプ50側の管路部)と下流側管路部51b(すなわち、コネクタ52側の管路部)とを連通させる。これにより、エアポンプ50からの気体を、内視鏡2の空間部32内に導入することが可能となっている。前記気体としては特に限定されず、例えば空気を用いることができる。また、気体は圧縮気体であってもよい。
【0022】
一方、開閉弁53は、閉弁状態にあるとき、エア供給管路51の上流側管路部51aと下流側管路部51bとを(エアポンプ50側)を遮断する。これにより、エア供給管路51の下流側管路部51bは、内視鏡2の空間部32と一体的な閉空間を形成することが可能となっている。
【0023】
また、エア供給管路51の上流側管路部51aには、大気開放弁54と、リリーフ弁55と、が設けられている。大気開放弁54は、制御部8からの制御信号に応じて開閉動作され、開弁状態にあるとき、上流側管路部51aを大気開放する。また、リリーフ弁55は、上流側管路部51aの管路内圧力が予め設定された圧力以上の過圧状態となったとき、機械的に開弁動作し、上流側管路部51aを大気開放することが可能となっている。
【0024】
また、エア供給管路51の下流側管路部51bには、エア供給管路51の管路内圧力を測定するためのゲージ圧センサ56が設けられている。このゲージ圧センサ56は、開閉弁53が閉弁されて下流側管路部51bと空間部32とによる閉空間が形成されているとき、リーク判定の対象物である内視鏡2の内圧を測定する内圧測定部として作用することが可能となっている。
【0025】
温度測定部6は、例えば、熱電対或いは測温抵抗体を備えた温度センサによって構成されている。この温度測定部6は、対象物である内視鏡2の表面に接触するよう配置されることにより、内視鏡2の表面温度Tを計測することが可能となっている。或いは、温度測定部6を内視鏡2の近傍に非接触な状態にて配置し、測定結果に所定の補正加えることにより、間接的に表面温度Tを測定することも可能である。また、内視鏡2の内部に温度センサが内蔵されている場合には、内蔵された温度センサを温度測定部6として代用し、測定した内視鏡2の内部温度から表面温度を推定するよう構成することも可能である。或いは、温度測定部6を赤外線センサ等のような非接触式の温度センサによって構成し、サーモグラフィによる画像処理によって表面温度Tを計測するよう構成することも可能である。
【0026】
恒温部7は、例えば、内視鏡2の表面に対し、遠赤外線を供給することが可能な遠赤外線照射部60を有して構成されている。ここでは、遠赤外線が前記エネルギーとして用いられており、遠赤外線を対象物に照射することにより対象物の温度が低下することを防止できる。
【0027】
この遠赤外線照射部60は、例えば、供給される交流電流の周期毎におけるON時間の割合が、制御部8における位相制御によって制御されることにより、遠赤外線の照射量が制御される。そして、このように遠赤外線の照射量が制御されることにより、遠赤外線照射部60は、内視鏡2の表面温度を所定の範囲内に収めることが可能となっている。
【0028】
次に、制御部8によって実行される内視鏡2のリーク判定について、
図2のリーク判定ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは、リークテスタ本体5のコネクタ52が内視鏡2の通気部30に接続されるとともに、温度測定部6及び恒温部7に対して内視鏡2が予め設定された位置にセットされた後にスタートするものである。なお、本実施形態の対象物である内視鏡2は、長尺であるため、例えば
図1に示すように、環状に巻回された状態にてリークテスタ1にセットされる。
【0029】
このルーチンがスタートすると、制御部8は、先ず、ステップS101において、現在(すなわち、リーク判定制御開始直後において)温度測定部6によって計測されている内視鏡2の表面温度Tを、目標温度Ttとして設定する。
【0030】
続くステップS102において、制御部8は、内視鏡2の表面温度Tを目標温度Ttに保持するための温度保持制御を開始する。ここで、この温度保持制御は、例えば、遠赤外線照射部60への電力供給量(すなわち、内視鏡2に対する遠赤外線の照射量)を、目標温度Ttと現在の表面温度Tとに基づいてフィードバック制御することによって行われる。
【0031】
続くステップS103において、制御部8は、リークテスタ本体5による内視鏡2内への空気の供給制御を開始する。すなわち、制御部8は、開閉弁53を開弁制御するとともに、大気開放弁54を閉弁制御し、その後、エアポンプ50を駆動させることにより、内視鏡2内への空気の供給を開始する。
【0032】
そして、ステップS103からステップS104に進むと、制御部8は、空気の供給開始から設定時間t0以上が経過したか否かを調べる。ここで、設定時間t0は、例えば、エアポンプ50による空気の供給によって内視鏡2の内圧Pを予め設定された圧力P0まで上昇させるのに十分な時間に設定されている。
【0033】
そして、ステップS104において、空気の供給開始からの経過時間が設定時間t0以上であると判定した場合、制御部8は、ステップS109に進み、内視鏡2に明らかなリークが発生していると判定した後、ステップS110に進む。
【0034】
一方、ステップS104において空気の供給開始からの経過時間が設定時間t0未満であると判定した場合、制御部8は、ステップS105に進み、ゲージ圧センサ56によって測定される内視鏡2の内圧Pが設定圧力P0に達したか否かを調べる。
【0035】
そして、ステップS105において、内視鏡2の内圧Pが設定圧力P0未満であると判定した場合、制御部8は、ステップS104に戻る。
【0036】
一方、ステップS105において、内視鏡2の内圧Pが設定圧力P0に達したと判定した場合、制御部8は、ステップS106に進み、エアポンプ50を停止させて空気の供給制御を終了するとともに、制御弁53を閉弁制御して空気を内視鏡2の空間部32内及びエア供給管路51の下流側管路部51b内に封止する。
【0037】
そして、ステップS107に進むと制御部8は、空気を封止後に予め設定されたリーク判定時間t1が経過したか否かを調べる。
【0038】
そして、ステップS107において、未だリーク判定時間t1が経過していないと判定した場合、制御部8は、そのまま待機する。
【0039】
一方、ステップS107において、リーク判定時間t1が経過したと判定した場合、制御部8はステップS108に進み、空気を封止してからリーク判定時間t1が経過するまでの内視鏡2の内圧Pの変化に基づき、内視鏡2にリークが発生しているか否かの判定を行った後、ステップS110に進む。
【0040】
そして、ステップS108或いはステップS109からステップ110に進むと、制御部8は、遠赤外線照射部60への電力供給を停止して内視鏡2に対する温度保持制御を終了し、続くステップS111において、制御弁53及び大気開放弁54を開弁制御して内視鏡2内の空気を大気開放した後、ルーチンを終了する。
【0041】
このような実施形態によれば、内視鏡2の内部の空間部32にエア供給管路51を接続して空気を送気し、この空気による内視鏡2の内圧の変化に基づいてリーク判定を行うに際し、遠赤外線照射部60から内視鏡2の表面に対して遠赤外線を照射するエネルギー供給制御を通じて、温度測定部6によって測定される内視鏡2の表面温度Tをリーク判定開始時の温度Ttに維持することにより(すなわち、内視鏡2の表面温度Tの変化を、目標温度Ttを基準とする所定範囲に収めることにより)、内視鏡2の温度Tが雰囲気温度と相違する場合にも、空気の熱収縮による内圧変化等に起因する誤判定を防止し、自動リーク判定を短時間で精度良く行うことができる。
【0042】
すなわち、リーク判定に際し、内視鏡2の表面温度Tの維持によって内視鏡2自体の温度を雰囲気温度に追従させることなく一定に保持することにより、内視鏡2の温度と雰囲気温度との温度差による外乱の影響を排除することができる。従って、内視鏡2の温度を雰囲気温度に追従させるための時間を必要とすることなく、自動リーク判定を短時間で精度良く行うことができる。換言すれば、使用直後の高温となった内視鏡2は主に外気と接する表面における熱交換によって所定時間かけて冷却されることに着目し、表面温度Tの管理を通じて内視鏡2自体の温度変化を抑制することにより、内視鏡2に対する雰囲気温度の影響を的確に排除し、自動リーク判定を短時間で精度良く行うことができる。
【0043】
この場合において、特に、内部の空間部32が長尺且つ細い管状となっている内視鏡2においては、空間部32内に冷却用の空気等を循環させることが困難であるため、内視鏡2自体の温度を雰囲気温度まで冷却するには長時間を要するが、本実施形態のリークテスタ1は、内視鏡2の温度を雰囲気温度に追従させるのではなく維持したままリーク判定を行うため、自動リーク判定を短時間で開始することができ、しかも、高い判定精度を確保することができる。
【0044】
次に、
図3は本発明の第2の実施形態に係り、
図3は内視鏡に接続されたリークテスタの基本構成を示すブロック図である。なお、上述の第1の実施形態では遠赤外線に代表される光エネルギーを照射することによって内視鏡2の表面を直接的に加熱して表面温度Tを目標温度Ttに維持する構成について説明したが、本実施形態は、内視鏡2の雰囲気を加熱等することにより、表面温度Tを目標温度Ttに維持する構成である点が主として異なる。その他、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0045】
図3に示すように、本実施形態の恒温部7は、例えば、内視鏡2の雰囲気を加熱することが可能な熱源部としてのヒータ65を有して構成されている。本実施形態において、ヒータ65は、例えば、電熱線ヒータによって構成され、内視鏡2の近傍に配置することが可能となっている。
【0046】
このヒータ65は、上述の第1の実施形態と同様、目標温度Ttと内視鏡2の表面温度Tとに基づき、制御部8においてフィードバック制御される。これにより、ヒータ65は、内視鏡2の雰囲気を加熱し、当該内視鏡2の表面に熱エネルギーを供給することが可能となっている。
【0047】
リークテスタ自体が下記変形例に示すような送風部を持たない場合、加熱された雰囲気が内視鏡2に迅速に到達できる仕組みを備えていることが好ましい。
【0048】
例えば、リークタスタ自体の内視鏡収容部、またはリークテスタと内視鏡とを収容する収容部が気体の対流を起こし易い形状を有していることが好ましい。
【0049】
また他の例としては、リークテスタと気体の対流を起こす送風部とを併用することが好ましい。
【0050】
また他の例としては、熱源部を内視鏡の近傍に配置することが好ましい。
【0051】
このような構成によれば、上述の第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。ここで、内視鏡2の表面に雰囲気を介してエネルギーを供給する本実施形態においては、例えば、
図4〜
図8に示すように、種々の変形が可能である。
【0052】
図4は本実施形態の第1の変形例に係り、
図4は内視鏡に接続されたリークテスタの基本構成を示すブロック図である。
【0053】
図4に示すように、本変形例において、恒温部7は、内視鏡2に向けて送風を行うための送風部としての送気ポンプ70と、この送気ポンプ70に連結された送気通路71と、この送気通路71の中途に介装された熱源部としてのヒータ72と、を有して構成されている。そして、この恒温部7は、送気通路71の下流端に開口する送風口71aが内視鏡2に指向するよう配置されることにより、ヒータ72によって加熱された空気を、内視鏡2の周囲に雰囲気として供給することが可能となっている。
【0054】
ここで、内視鏡2の雰囲気温度を精度良く管理するため、リークテスタ1は、内視鏡2を収容するための収容部75を有していることが望ましい。この場合、収容部75には送気通路71の下流側が連結され、この送気通路71の下流端に開口する送風口71aが、収容部75内において内視鏡2に臨むように配置されている。
【0055】
また、収容部75には、恒温部7からの送風によって余剰となった空気を排出するための排気口76が設けられている。恒温部7によって加熱された空気が供給される本変形例において、この排気口76は収容部75の下部に設けられていることが望ましく、このように構成することにより、恒温部7から供給される温かい空気を収容部75内に効率良く蓄えることができる。
【0056】
なお、このように収容部75を備えた構成においては、内視鏡2が収容部75に収容された所定のタイミング(例えば、内視鏡2が収容部75に収容された直後のタイミング)において温度測定部6で計測された温度と同じ温度または、計測された温度に対して所定の温度を足し引きした所定範囲の温度が、目標温度Ttとして採用されることが望ましい。
【0057】
次に、
図5は本実施形態の第2の変形例に係り、
図5は内視鏡に接続されたリークテスタの基本構成を示すブロック図である。
【0058】
図5に示すように、本変形例において、恒温部7は、上述した第1の変形例の構成に加え、送気通路71におけるヒータ72の下流側に、第2温度測定部80を有する。
【0059】
このような構成において、例えば、目標温度Ttと第2温度測定部80で計測した温度T2との関係に基づき、恒温部7から送風する空気の温度を制御部8においてフィードバック制御することにより、内視鏡2の表面に対するより精度の高い温度制御が可能となる。
【0060】
次に、
図6は本実施形態の第3の変形例に係り、
図6は内視鏡に接続されたリークテスタの基本構成を示すブロック図である。
【0061】
図6に示すように、本変形例において、恒温部7は、上述した第2の変形例の構成に加え、送気通路71における第2温度測定部80の下流側に、三方弁81を有する。
【0062】
この三方弁81は、例えば、第2温度測定部80よりも下流側において、送気通路71の中途の、連通、遮断、或いは、大気開放を、選択的に行うことが可能となっている。
【0063】
このような構成において、例えば、制御部8による三方弁81に対する制御により、第2温度測定部80によって計測される温度T2が目標温度Ttに到達するまでの間は送気通路71の中途を大気開放し、温度T2が目標温度Ttに到達した後で、送気通路71の中途を連通状態へと切り換えることにより、収容部75内の雰囲気温度を効率良く制御することができる。
【0064】
ここで、例えば、
図6中に示すように、収容部75の排気口76に第3温度測定部82を設け、当該第3温度測定部82で計測した温度T3が目標温度Ttに到達したとき、収容部75内全体の雰囲気温度が目標温度Ttに到達したと判断して、恒温部7自体を停止させることも可能である。
【0065】
次に、
図7は本実施形態の第4の変形例に係り、
図7は内視鏡に接続されたリークテスタの基本構成を示すブロック図である。
【0066】
図7に示すように、本変形例において、恒温部7は、上述した第2の変形例の構成に加え、送気通路71における第2の温度測定部80の下流側から分岐した分岐通路85と、これら送気通路71と分岐通路85との分岐部に介装された三方弁86と、を有する。
【0067】
分岐通路85は、リークテスタ本体5側に延設され、その下流端に開口する第2送風口85aがエアポンプ50の吸気口50aに臨むように配置されている。すなわち、本変形例では、送気通路71自体の下流端に開口する送風口71a(第1送風口)が内視鏡2に向けて送風可能に臨まされ、分岐通路85の下流端に開口する第2送風口85aがエアポンプ50の吸気口50aに向けて送風可能に臨まされている。
【0068】
三方弁86は、例えば、第2温度測定部80よりも下流側において、送気通路71の中途のみの連通、送気通路71のヒータ72側と分岐通路85のみの連通、或いは、送気通路71の中途の連通及び送気通路71のヒータ72側と分岐通路85との連通を、選択的に行うことが可能となっている。
【0069】
このような構成において、例えば、制御部8による三方弁86に対する制御により、第2温度測定部80によって計測される温度T2が目標温度Ttに到達するまでの間は、送気通路71のヒータ72側と分岐通路85のみの連通が行われる。なお、このとき、制御部8の制御により、エアポンプ50は停止状態となっている。
【0070】
その後、温度T2が目標温度Ttに到達すると、送気通路71の中途の連通及び送気通路71のヒータ72側と分岐通路85との連通が行われ、エアポンプ50が駆動される。これにより、内視鏡2の雰囲気温度のみならず、内視鏡2の空間部32内に供給する空気の温度についても、目標温度Ttに制御することができ、リーク判定の精度をさらに向上させることができる。
【0071】
なお、図示しないが、分岐通路85に代えて、収容部75の排気口76から排気される空気をエアポンプ50の吸気口50aに導く管路を設け、収容部75から排気される温風をエアポンプ50に供給するよう構成しても良い。
【0072】
次に、
図8は本実施形態の第5の変形例に係り、
図8は内視鏡に接続されたリークテスタの基本構成を示すブロック図である。
【0073】
図8に示すように、本変形例において、恒温部7は、上述の第2の変形例で示したヒータ72に代えて、熱源部としてのペルチェ素子90を有して構成されている。すなわち、本変形例において、恒温部7は、リークテストを行う際に、内視鏡2の表面温度Tが雰囲気温度よりも高い場合にはペルチェ素子90によって加熱した空気を送風し、内視鏡2の表面温度Tが雰囲気温度よりも低い場合にはペルチェ素子90によって吸熱した空気を送風することが可能となっている。
【0074】
また、このように温風のみならず冷風についても収容部75内に効率良く蓄えるため、収容部75の下部には第1排気弁93によって開閉可能な第1排気口91が設けられているとともに、収容部75の上部には第2排気弁94によって開閉可能な第2排気口92が設けられている。
【0075】
このような構成において、雰囲気温度が目標温度Ttよりも低い場合、制御部8は、ペルチェ素子90に対する発熱制御を行い(すなわち、正の熱源部として作用させ)、収容部75内に加熱された空気を供給する。このとき、収容部75内に温風を効率良く蓄えるため、制御部8は、第1排気弁93を開弁制御するとともに、第2排気弁94を閉弁制御する。
【0076】
一方、雰囲気温度が目標温度Ttよりも高い場合、制御部8は、ペルチェ素子90に対する吸熱制御を行い(すなわち、負の熱源部として作用させ)、収容部75内に冷却された空気を供給する。このとき、収容部75内に冷風を効率良く蓄えるため、制御部8は、第1排気弁93を閉弁制御するとともに、第2排気弁94を開弁制御する。
【0077】
このような変形例によれば、熱源部としてペルチェ素子90を用いることにより、使用によって高温となった内視鏡2のみならず、冷所から持ち込まれた内視鏡2等についても、自動リーク判定を短時間で精度良く行うことができる。
【0078】
次に、
図9,10は本発明の第3の実施形態に係り、
図9は内視鏡リプロセッサ内の内視鏡に接続されたリークテスタの基本構成を示すブロック図、
図10は内視鏡リプロセッサの斜視図である。内視鏡リプロセッサは、内視鏡に対して、再生処理を施す装置である。ここでいう再生処理とは特に限定されるものではなく、水によるすすぎ処理、有機物等の汚れを落とす洗浄処理、所定の微生物を無効化する消毒処理、全ての微生物を排除もしくは死滅させる滅菌処理、またはこれらの組み合わせ、のいずれであってもよい。
【0079】
なお、本実施形態は、内視鏡リプロセッサ300に対してリークテスタ1を適用する場合の一例について説明するものである。より具体的には、本実施形態では、内視鏡リプロセッサ300に対して、例えば、上述の第2の実施形態における第4の変形例で示した構成と略同様のリークテスタ1が適用されている。従って、上述の各実施形態等で示した構成と同様の構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0080】
図10に示す内視鏡リプロセッサ300は、使用済みの内視鏡2を洗浄、消毒するための装置であり、装置本体302と、その上部に、例えば図示しない蝶番を介して開閉自在に接続されたトップカバー303とにより、主要部が構成されている。
【0081】
トップカバー303が、装置本体302に閉じられている状態では、装置本体302とトップカバー303とは、装置本体302及びトップカバー303の互いに対向する位置に配設された、例えばラッチ308により固定される構成となっている。
【0082】
装置本体302の操作者が近接する図中前面であって、例えば左半部の上部に、洗剤/アルコールトレー311が、装置本体302の前方へ引き出し自在に配設されている。
【0083】
洗剤/アルコールトレー311には、内視鏡2を洗浄する際に用いられる液体である洗浄剤が貯留された洗剤タンク311aと、洗浄消毒後の内視鏡2を乾燥する際に用いられる液体であるアルコールが貯留されたアルコールタンク311bとが収納されており、洗剤/アルコールトレー311が引き出し自在なことにより、各タンク311a、311bに、所定に液体が補充できるようになっている。
【0084】
尚、洗剤/アルコールトレー311には、2つの窓部311mが設けられており、該窓部311mにより、各タンク311a、311bに注入されている洗浄剤及びアルコールの残量が操作者によって確認できるようになっている。
【0085】
また、装置本体302の前面であって、例えば右半部の上部に、消毒液トレー312が、装置本体302の前方へ引き出し自在に配設されている。消毒液トレー312には、内視鏡2を消毒する際に用いる、例えば過酢酸水溶液等の消毒液が注入された2つの薬液ボトル312a、312bが収納されており、消毒液トレー312が、引き出し自在なことにより2つの薬液ボトル312a、312bを所定にセットできるようになっている。尚、消毒液トレー312には、2つの窓部312mが設けられており、該窓部312mにより、各薬液ボトル312a、312bに注入されている消毒液の残量が操作者によって確認できるようになっている。なお、内視鏡に対して滅菌処理を施す内視鏡リプロセッサの場合、滅菌液が注入された前記薬液ボトル312a、312bを配置することができる。滅菌液としては、例えば過酢酸水溶液が挙げられる。
【0086】
さらに、装置本体302の前面であって、消毒液トレー312の上部に、洗浄消毒時間の表示や、消毒液を加温するための指示釦等が配設されたサブ操作パネル313が配設されている。
【0087】
また、装置本体302の図中前面の下部に、装置本体302の上部に閉じられているトップカバー303を、操作者の踏み込み操作により装置本体302の上方に開くためのペダルスイッチ304が配設されている。
【0088】
また、装置本体302の上面の、例えば操作者が近接する前面側の右端寄りに、装置本体302の洗浄、消毒動作スタートスイッチ、及び洗浄、消毒モード選択スイッチ等の設定スイッチ類が配設されたメイン操作パネル325が設けられているとともに、操作者が近接する前面側の左端寄りに、近付けられた内視鏡2から情報を受け取る、例えばRFIDから構成された受信部365が設けられている。
【0089】
また、装置本体302の上面であって、操作者が近接する前面に対向する背面側に、装置本体302に水道水を供給するための水道蛇口に接続された給水ホース399が接続される給水ホース接続口331が配設されている。尚、給水ホース接続口331に、水道水を濾過するメッシュフィルタが配設されていてもよい。
【0090】
さらに、装置本体302の上面の略中央部に、内視鏡収納口をトップカバー303によって開閉される、内視鏡2が収納自在な収容部としての処理槽440が設けられている。
【0091】
処理槽440は、操作者が近接する前面側に位置する第1の槽本体440tと、第1の槽本体440tよりも底面が低く位置しているとともに第1の槽本体440tよりも背面側に位置する第2の槽本体440dと、第1の槽本体440t及び第2の槽本体440dの内視鏡収納口の外周縁に連続して周設されたテラス部440rとにより構成されている。
【0092】
第1の槽本体440t及び第2の槽本体440dは、内視鏡2が洗浄消毒される際、該内視鏡2が収納自在である。尚、第1の槽本体440tには、内視鏡2の挿入部10及びユニバーサルコード12が巻回されて収納され、第2の槽本体440dには、内視鏡2の操作部11、コネクタ部13が収納される。
【0093】
第2の槽本体440dの底面には、第1の槽本体440t及び第2の槽本体440dに供給された洗浄液、水、アルコール、消毒液等を第1の槽本体440t及び第2の槽本体440dから排水するための排水口355が設けられているともに、第1の槽本体440t及び第2の槽本体440dに供給された洗浄液、水、消毒液等を、内視鏡2の内部に具備された各管路に供給する、またはメッシュフィルタ等を介し、後述する給水循環ノズル324から第1の槽本体440t及び第2の槽本体440dに再度上記液体を供給するための循環口356が設けられている。尚、循環口356には、洗浄液等を濾過するメッシュフィルタが設けられていても良い。
【0094】
テラス部440rのテラス面440rtに、第1の槽本体440t及び第2の槽本体440dに対し、洗剤タンク311aから水道水により所定の濃度に希釈される洗浄剤を供給するための洗剤ノズル322及び消毒液を供給するための消毒液ノズル323が設けられている。
【0095】
また、テラス面440rtに、第1の槽本体440t及び第2の槽本体440dに対し給水するための、または循環口356から吸引した洗浄液、水、消毒液等を、再度第1の槽本体440t及び第2の槽本体440dに供給するための給水循環ノズル324と、第1の槽本体440t及び第2の槽本体440dに供給された洗浄液、水、消毒液等の異常水位を検知するフロートスイッチ391とが設けられている。
【0096】
さらに、テラス面440rtに、内視鏡2の内部に具備された各種管路に、洗浄液、水、アルコール、消毒液、またはエア等を、洗浄チューブを介して供給するためのコネクタ451〜454が設けられている。
【0097】
このような構成の内視鏡リプロセッサ300において、テラス部440rには、リークテスタ本体5の下流側管路部51bに連通する接続部としての内視鏡接続部52aが設けられ、この内視鏡接続部52aは、接続管路52bを介して内視鏡2の内部(空間部32)に連通可能となっている。
【0098】
また、テラス部440rには、送気通路71の送風口71aが開口されている。なお、本実施形態において、送気通路71の中途、及び分岐通路85の中途には、制御部8によって個別に開閉制御される制御弁95,96が、三方弁86に代えてそれぞれ介装されている。
【0099】
このような実施形態によれば、内視鏡2に対するリークテスト、洗浄、消毒等の各工程を、一連の工程として単一の内視鏡リプロセッサ300において行うことが可能となる。
【0100】
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。例えば、上述の各実施形態及び各変形例に示した構成を適宜組み合わせても良いことは勿論である。
【0101】
また、上述の各実施形態及び変形例においては、リークテストの対象物として内視鏡を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の各種機器に対するリークテスト、或いは、各種製造工程等におけるリークテストに対しても適用が可能であることは勿論である。
【0102】
対象物の具体例として例えば、タイヤなどが挙げられる。
【0103】
本出願は、2015年1月26日に日本国に出願された特願2015−12592号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
内視鏡2の内部の空間部32にエア供給管路51を接続して空気を送気し、この空気による内視鏡2の内圧の変化に基づいてリーク判定を行うに際し、遠赤外線照射部60から内視鏡2の表面に対して遠赤外線を照射するエネルギー供給制御を通じて、温度測定部6によって測定される内視鏡2の表面温度Tをリーク判定開始時の温度Ttに維持する。