特許第5966180号(P5966180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966180
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】トレーニング方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/00 20060101AFI20160728BHJP
   A63B 21/04 20060101ALI20160728BHJP
   A63B 23/035 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   A63B23/00 Z
   A63B21/04
   A63B23/035 B
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-73011(P2012-73011)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-202151(P2013-202151A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】512080767
【氏名又は名称】株式会社ラダースポーツ
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【弁理士】
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】樋爪 克好
【審査官】 青山 玲理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−163209(JP,A)
【文献】 特表2002−514105(JP,A)
【文献】 特表2008−522712(JP,A)
【文献】 特開2006−158903(JP,A)
【文献】 特開2004−065959(JP,A)
【文献】 特開2009−102780(JP,A)
【文献】 特開2011−045628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00−26/00
A41D 13/00−20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊張状態が常態化した筋肉を含む体の部位に対し、前記緊張状態を解くようにトレーニング用バンドを巻く第1ステップと、
前記トレーニング用バンドが巻かれた状態で、首から下の部分で頭を支える姿勢をとる第2ステップと、を備え、
前記第1ステップでは、常態化した上腕の筋肉の緊張状態を解くように、前面、外側面、背面、内側面の順に前記トレーニング用バンドが上腕に巻かれ、
前記上腕に巻かれた前記トレーニング用バンドは、肘及び肩の間を往復するように巻かれていることを特徴とするトレーニング方法。
【請求項2】
前記上腕における前記トレーニング用バンドは、肘から始まって肩に向かって巻かれることを特徴とする請求項1記載のトレーニング方法。
【請求項3】
前記第1ステップでは、常態化した前腕の筋肉の緊張状態を解くように、前面、内側面、背面、外側面の順に前記トレーニング用バンドが前腕に巻かれ、
前記前腕に巻かれた前記トレーニング用バンドは、肘及び手の間を往復するように巻かれていることを特徴とする請求項1または2記載のトレーニング方法。
【請求項4】
前記前腕における前記トレーニング用バンドは、肘から始まって手に向かって巻かれることを特徴とする請求項3記載のトレーニング方法。
【請求項5】
前記第2ステップでは、前記トレーニング用バンドが巻かれた状態で起立する、または、前記トレーニング用バンドが巻かれた状態で座ることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載のトレーニング方法。
【請求項6】
筋肉の緊張を解くようにして、前記筋肉を含む体の部位にトレーニング用バンドを巻くトレーニング方法であって、
前記トレーニング用バンドは、
前記体の部位に直接巻かれる第1のバンドと、
前記第1のバンドを介して前記体の部位に巻かれる第2のバンドと、を有し、
前記第2のバンドの伸縮性は、前記第1のバンドの伸縮性よりも大きく、
前記第1のバンドと前記第2のバンドとが連なることを特徴とするトレーニング方法。
【請求項7】
ロッド本体と、前記ロッド本体の上端に設けられ手を載せるための載置部と、前記ロッド本体の下端に設けられ水平面に当接するための当接部と、を有し、前記当接部を中心にして、垂直に起立した姿勢と斜めに起立した姿勢との間で揺動自在なレーニング用ロッドを用いて、
前記第2ステップでは、前記トレーニング用バンドが巻かれた腕の筋肉の緊張が解放されるように、当該腕側の手載置部で載置したまま、上半身を使って前記トレーニング用ロッドの揺動を行なうことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載のトレーニング方法。
【請求項8】
前記ロッド本体の中途部には錘が設けられたことを特徴とする請求項項記載のトレーニング方法。
【請求項9】
前記第2ステップが椅子に座った状態で行われることを特徴とする請求項7または8記載のトレーニング方
法。
【請求項10】
前記第2ステップがあぐらの状態で行われることを特徴とする請求項7または8記載のトレーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立ち仕事、デスクワーク等、体の筋肉の一部分のみを使用し、他の部分をほとんど使用しない人にとって、肩こり、首こり、腰痛などが悩みの種である。肩こり等の解消の方策として、例えば、症状がでている部位の血行を良くするために、当該部位をマッサージするためのマッサージ機(例えば、特許文献1)等、さまざまなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−172642号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載のようなマッサージ機を用いてマッサージを行った場合、その直後においては一定の効果があるものの、普段の生活に戻ると再び症状がでてしまう。なぜならば、肩こりなどの症状は、全身の姿勢が理想状態から外れたことにより起因するものであるため、単にマッサージを行っても、姿勢の矯正が行われない。この結果、マッサージを行った後には、理想状態から外れた姿勢によって再び症状が現れてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するトレーニング方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者の鋭意研究により、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0007】
本発明のトレーニング方法は、緊張状態が常態化した筋肉を含む体の部位に対し、前記緊張状態を解くようにトレーニング用バンドを巻く第1ステップと、前記トレーニング用バンドが巻かれた状態で、首から下の部分で頭を支える姿勢をとる第2ステップと、を備え、前記第1ステップでは、常態化した上腕の筋肉の緊張状態を解くように、前面、外側面、背面、内側面の順に前記トレーニング用バンドが上腕に巻かれ、前記上腕に巻かれた前記トレーニング用バンドは、肘及び肩の間を往復するように巻かれていることを特徴とする。
【0008】
前記上腕における前記トレーニング用バンドは、肘から始まって肩に向かって巻かれることが好ましい。また、前記第1ステップでは、常態化した前腕の筋肉の緊張状態を解くように、前面、内側面、背面、外側面の順に前記トレーニング用バンドが前腕に巻かれ、前記前腕に巻かれた前記トレーニング用バンドは、肘及び手の間を往復するように巻かれていることが好ましい。さらに、前記前腕における前記トレーニング用バンドは、肘から始まって手に向かって巻かれることが好ましい。
【0009】
前記第2ステップでは、前記トレーニング用バンドが巻かれた状態で起立する、または、前記トレーニング用バンドが巻かれた状態で座ることが好ましい。
【0010】
本発明のトレーニング方法は、筋肉の緊張を解くようにして、前記筋肉を含む体の部位にトレーニング用バンドを巻くトレーニング方法であって、前記トレーニング用バンドは、前記体の部位に直接巻かれる第1のバンドと、前記第1のバンドを介して前記体の部位に巻かれる第2のバンドと、を有し、前記第2のバンドの伸縮性は、前記第1のバンドの伸縮性よりも大きく、前記第1のバンドと前記第2のバンドとが連なることを特徴とする
【0011】
ロッド本体と、前記ロッド本体の上端に設けられ手を載せるための載置部と、前記ロッド本体の下端に設けられ水平面に当接するための当接部と、を有し、前記当接部を中心にして、垂直に起立した姿勢と斜めに起立した姿勢との間で揺動自在なレーニング用ロッドを用いて、前記第2ステップでは、前記トレーニング用バンドが巻かれた腕の筋肉の緊張が解放されるように、当該腕側の手を載置部で載置したまま、上半身を使って前記トレーニング用ロッドの揺動を行なうことが好ましい。
【0012】
前記ロッド本体の中途部には錘が設けられたことが好ましい。
【0013】
前記第2ステップは、椅子に座った状態で行われることが好ましい。また、あぐらの状態で行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上記の手段によれば、肩こりなどの症状を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】腕や脚にトレーニング用バンドを巻いた状態で行われるトレーニング方法の概要を示す説明図である。
図2】トレーニング用バンドを上腕に巻く手順を示す説明図である。
図3】トレーニング用バンドを上腕に巻く手順を示す説明図である。
図4】トレーニング用バンドを上腕に巻く手順を示す説明図である。
図5】トレーニング用バンドを前腕に巻く手順を示す説明図である。
図6】トレーニング用バンドを前腕に巻く手順を示す説明図である。
図7】トレーニング用バンドを前腕に巻く手順を示す説明図である。
図8】トレーニング用バンドの概要を示す平面図である。
図9】手にトレーニング用バンドを巻いた状態で行われるトレーニング方法の概要を示す説明図である。
図10】足にトレーニング用バンドを巻いた状態で行われるトレーニング方法の概要を示す説明図である。
図11】トレーニング用踏み具を用いたトレーニング方法の概要を示す説明図である。
図12】トレーニング用踏み具の概要を示す側面図である。
図13】トレーニング用踏み具の概要を示す平面図である。
図14】トレーニング用ロッドの概要を示す正面図である。
図15】トレーニング用ロッドを用いたトレーニング方法の概要を示す説明図である。
図16】トレーニング用ロッドを用いたトレーニング方法の概要を示す説明図である。
図17】トレーニング用ロッドを用いたトレーニング方法の概要を示す説明図である。
図18】トレーニング用ロッドを用いたトレーニング方法の概要を示す説明図である。
図19】トレーニング用ロッドを用いたトレーニング方法の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
トレーニング用バンドは、帯状に形成され、形成材料は、例えば、布や不織布などである。そして、トレーニング用バンドとしては、伸縮性を有するもの、伸縮性を有しないもののいずれでもよい。
【0019】
図1には、トレーニング用バンドの一例として、上腕用バンド11や前腕用バンド12を示す。上腕用バンド11は上腕21にて外回りに巻かれ、前腕用バンド12は前腕22にて内回りに巻かれる。ここで、「外回りに巻かれる」とは、巻かれたバンドが、前面、外側面、背面、内側面の順に巻かれることをさす。また、「内回りに巻かれる」とは、巻かれたバンドが、前面、内側面、背面、外側面の順に巻かれることをさす。
【0020】
上腕21において、上腕用バンド11は、肘から肩へ向かって外回りに巻かれた(図2参照)後、そのまま、肩から肘へ向かって外回りに巻かれる(図3参照)。さらに、その後、上腕用バンド11は、肘から肩へ向かって外回りに巻かれる(図4参照)。
【0021】
前腕22において、前腕用バンド12は、肘から手へ向かって内回りに巻かれた(図5参照)後、そのまま、手から肘へ向かって内回りに巻かれる(図6参照)。さらに、その後、前腕用バンド12は、肘から手へ向かって内回りに巻かれる(図7参照)。
【0022】
次に、トレーニング用バンドを用いたトレーニング方法を説明する。
【0023】
図1に示すように、上腕21には上腕用バンド11が外巻きで巻かれるとともに、前腕22には前腕用バンド12が内巻きで巻かれる。このようにして、各部にトレーニング用バンドが巻かれたまま、起立した姿勢を一定の時間(例えば、5〜10分)維持する。ここで、起立した姿勢とは、首から下の部分が頭を支える姿勢であり、全身が起立した姿勢や、上半身が起立した姿勢(例えば、地面に座った姿勢、椅子に腰を掛けた姿勢)でもよい。
【0024】
次に、トレーニング用バンドの作用を説明する。
【0025】
起立した状態、座った状態に関わらず、位置覚により、全身は、常に自身のバランスを保とうとする。全身のバランスを保った姿勢が理想的なものである場合、各部位の筋肉がほぼ均等に頭を支えることとなる。
【0026】
ところが、日常の活動パターンに起因して、起立した姿勢が理想的なものから外れてしまうことがある。例えば、頭が理想的な位置よりも前方にずれた場合には、頭より下の部位の筋肉が全身のバランスを維持するとともに、頭を支えようとする。そうすると、当該筋肉にかかる負荷は、理想的な姿勢のものに比べて大きくなる。この増大した分の負荷を、一部分(例えば、肩や腕)の筋肉が支えようとすれば、当該一部分の筋肉が緊張状態となる。このようにして緊張状態となってしまう肩の筋肉としては、例えば、僧帽筋、三角筋、肩甲拳筋、棘上筋、勅下筋があり、腕の筋肉としては、例えば、上腕三頭筋の外側頭や長とう側手根伸筋(extensor carpi radialis longus muscle)がある。
【0027】
そして、当該一部分の筋肉の緊張状態が継続されれば、当該一部分の筋肉の緊張状態が常態化する結果、当該一部分の筋肉の緩和が困難となる。こうして、当該一部分の筋肉の緩和が困難になると、こりの症状として現れる。
【0028】
ここで、緊張状態が常態化した当該一部分の筋肉は、自発的に理想状態に遷移することができない。もちろん、当該一部分の筋肉の緊張状態が常態化したまま、他の筋肉を動かすことは、こりの解消として一定の効果があるものの、十分な効果を得ることができない。
【0029】
そこで、本実施形態では、腕における当該一部分の筋肉を自発的に理想状態に遷移させる方策として、腕にトレーニング用バンドの巻きつけを採用している。トレーニング用バンドの巻きつけにより、緊張が続いていた筋肉が弛緩する結果、筋ポンプの作用によって、血行が良くなる。このようにして、トレーニング用バンドの巻きつけにより、トレーニングを行う者は、気持ちが良くなる結果、リラックスすることができる。さらに、このリラックス作用は、上腕21における当該一部分の筋肉の緊張を解きやすくする。さらに、トレーニング用バンドの巻きつけにより筋肉の緊張が解かれるプロセスとして、次のようなことが推測される。まず、筋収縮、皮膚の張力等が変化する。次に、位置覚が筋収縮等の変化を検知することにより、全身は検知された変化に基づいてバランスを保とうとする。この結果、全身の姿勢は理想状態となる、あるいは理想状態へ近づくため、筋肉の緊張が解かれる。
【0030】
また、上腕用バンド11が上腕21にて外回りに巻かれるため、上腕21における当該一部分の筋肉が理想状態となるように矯正することができる。
【0031】
ここで、上腕21にて上腕用バンド11を外回りに巻くことにより、上腕21における当該一部分の筋肉が理想状態となるプロセスは次のように推測される。頭の位置が理想の位置よりも前方にずれた場合、両腕は肩よりも前方に位置しやすい。この結果、上腕21の当該一部分の筋肉は、内回り方向に遷移する。したがって、上腕21にて上腕用バンド11を外回りに巻くことにより、上腕21における当該一部分の筋肉が理想状態となる。
【0032】
また、前腕用バンド12が前腕にて内回りに巻かれるため、前腕における当該一部分の筋肉が理想状態となるように矯正することができる。
【0033】
ここで、前腕22にて前腕用バンド12を内回りに巻くことにより、前腕22における当該一部分の筋肉が理想状態となるプロセスは次のように推測される。頭の位置が理想の位置よりも前方にずれた場合、両腕は肩よりも前方に位置しやすい。この結果、前腕22の当該一部分の筋肉は、外回り方向に遷移する。さらに、上腕用バンド11が上腕21にて外回りに巻かれることにより、前腕22、特に肘側の筋肉は、外回りに遷移しやすい。したがって、前腕22にて前腕用バンド12を内回りに巻くことにより、前腕22における当該一部分の筋肉が理想状態となる。
【0034】
さらに、各バンド11、12が巻かれた状態が維持されるため、全身の筋肉は、全身のバランスを維持するとともに、それまで上腕21の一部分の筋肉が支えていた過度の負荷を全体で支えようとする。この全身の筋肉の作用により、頭の位置が理想的な位置へ戻る。この結果、全身の姿勢は理想状態となる。
【0035】
このように、トレーニング用バンドを用いたトレーニングによれば、日常の活動パターンによって失われた理想的な姿勢を取り戻すとともに、理想的な姿勢の喪失によって現れた肩こりなどの症状を抑えることができる。
【0036】
また、腕の筋肉が緊張状態であると、肩の筋肉や顔の筋肉が、腕の方向、すなわち下方へ引っ張られる。この結果、口元が下がり気味となってしまう。そこで、上記のトレーニング方法を行うことにより、緊張状態であった腕の筋肉が弛緩する。腕の筋肉の弛緩に伴って、肩の筋肉や、顔の筋肉が下方へ引っ張られず、元の状態となる。このように、上記のトレーニング方法によれば、フェイスアップの効果も得られる。
【0037】
トレーニング用バンドは、単一のバンドから形成されてもよいし、複数のバンドから形成されてもよい。複数のバンドから形成されるトレーニング用バンドの例を図8に示す。上腕用バンド11は、上腕に直接巻かれる直接バンド部分11Aと、上腕用バンド11と、他の部材を介在して上腕に巻かれる間接バンド部分11Bと、を有する。直接バンド部分11Aと間接バンド部分11Bとは、連なっていてもよいし、別のバンドであってもよい。前腕用バンド12も、上腕用バンド11と同様である。
【0038】
間接バンド部分11Bは、直接バンド部分11Aに比べて伸縮性に富むものであることが好ましい。また、上腕に上腕用バンド11を2重に巻く場合には、腕に直接巻かれる部分を直接バンド部分11Aとし、最外周に巻かれる部分を間接バンド部分11Bとすればよい。直接バンド部分11Aの伸縮性の小ささにより、所定の筋肉を理想状態へ遷移させることができる。
【0039】
ここで、直接バンド部分11Aの伸縮性の小ささにより、所定の筋肉を理想状態へ遷移させることができるプロセスは次のように推測される。伸縮性が比較的小さい直接バンド部分11Aが上腕に巻かれると、上腕では、周方向のせん断応力が生じる。このせん断応力によって、所定の筋肉が遷移する(矯正作用)ものと考えられる。
【0040】
一方、間接バンド部分11Bの伸縮性の大きさにより、所定の筋肉を理想状態へ遷移させることができる。
【0041】
ここで、間接バンド部分11Bの伸縮性の大きさにより、所定の筋肉を理想状態へ遷移させることができるプロセスは次のように推測される。伸縮性が比較的大きい間接バンド部分11Bが上腕に巻かれると、間接バンド部分11Bの復元力に起因して、体表面から中心に向かう圧縮力が上腕に生じる。この圧縮力により、筋ポンプの作用が生まれ、結果として、トレーニングを行う者は、リラックスすることができる(圧縮作用)。
【0042】
したがって、トレーニング用バンドとして、伸縮性の小さなバンドで巻かれた所定の部位へ、伸縮性の高いバンドを当該バンドに重ねて巻くことにより、矯正作用と圧縮作用との相乗効果によって、所定の筋肉の緊張をより確実に解くことができる。なお、上腕に上腕用バンド11を3重巻く場合には、腕に直接巻かれる部分及び2周目の部分を直接バンド部分11Aとし、3周目の部分、すなわち最外周に巻かれる部分を間接バンド部分11Bとすればよい。
【0043】
バランスのとれた理想状態をつくりだすために、左右両腕のそれぞれにトレーニング用バンドを巻くことがよい。上記実施形態では、一本の腕に対し、上腕用バンド11及び前腕用バンド12を同時に巻いたが、本発明はこれに限られず、いずれか一方を巻いてもよい。
【0044】
上記実施形態では、トレーニング用バンドとして、腕に巻く上腕用バンド11、前腕用バンド12を説明したが、トレーニング用バンドとして、図1に示すように、例えば、腿用バンド13や、脛用バンド14を用いてもよい。腿用バンド13は、腿23に巻かれる。脛用バンド14は、脛24に巻かれる。腿用バンド13が巻かれる方向は、緊張状態が継続した結果、理想状態から外れてしまった腿の一部分の筋肉が、理想状態へ遷移するような方向であればよい。脛用バンド14が巻かれる方向も同様に、緊張状態が継続した結果、理想状態から外れてしまった脛の一部分の筋肉が、理想状態へ遷移するような方向であればよい。これにより、脚(腿や脛)の外側の筋肉と内側の筋肉とを理想状態にすることができる。
【0045】
さらに、トレーニング用バンドとして、手に巻く手用バンド17や、足に巻く足用バンド18もある。
【0046】
図9に示すように、手用バンド17は、手のひら27に巻かれ、その巻き経路は人差し指側の側面と、小指側の側面とを通過する。このようにして、手用バンド17が手のひらに巻かれると、指の腱同士をつなぐ腱間結合が弧状、すなわち腱間結合のうち人差し指側の部分及び小指側の部分が、これらの中間部分よりも手のひら側へ突出する状態となる。この状態を一定時間(例えば、5〜10分)維持する。図10に示すように、足用バンド18は、足28の甲部分に巻かれ、その巻き経路は親指の側面と、小指側の側面とを通過する。このようにして、足用バンド18が足に巻かれると、浅横中足靭帯が弧状、すなわち浅横中足靭帯のうち親指側の部分及び小指側の部分が、これらの中間部分よりも足の裏側へ突出する状態となる。この状態を一定時間(例えば、5〜10分)維持する。このように、腱間結合や浅横中足靭帯を弧状のまま維持することにより、緊張状態となっていた一部分の筋肉が理想状態となるため、全身の理想状態をつくりだすことができる。なお、手用バンド17を巻く位置としては、手のひら27の他、親指、人差し指、中指、薬指、小指のいずれかの指であってもよい。中でも、手の指の第一関節、特に爪部分に手用バンド17を巻くことが好ましい。同様に、足用バンド18を巻く位置としては、足28の甲部分の他、親指、人差し指、中指、薬指、小指のいずれかの指であってもよい。中でも、足の指の第一関節、特に爪部分に足用バンド18を巻くことが好ましい。
【0047】
なお、トレーニング用バンドには、ゲルマニウムが含まれることが好ましい。ゲルマニウム含有のトレーニング用バンドは、保温作用が得られるため、上述したリラックス作用がより大きなものとなる。
【0048】
次に、トレーニング用踏み具について説明する。
【0049】
図11に示すように、トレーニング用踏み具30は、左用踏み具31と右用踏み具32とがある。左用踏み具31は、棒31Aと、棒31Aと嵌着するネジ孔を有するリング31Bと、を有する。棒31Aの一端及び他端には、おねじ31ANが設けられる。おねじ30ANは、ネジ孔に形成されためねじと螺合可能である。棒31Aにおいて、両端に設けられたおねじ31ANの間には、足の踏み込みエリア31ASが形成される。図12に示すように、リング31Bは、リング本体31BXと、リング本体31の周面において周方向に並ぶ複数の突起31BTと、を有する。
【0050】
図11に戻って、右用踏み具32も、棒32Aと、棒32Aと嵌着するネジ孔を有するリング32Bとを有する。右用踏み具32は、左用踏み具31と同様であるため、詳細の説明は省略する。
【0051】
左用踏み具31と右用踏み具32の各部品の形成材料は、全身の体重に耐えられるものであれば特に限定されず、例えば、ステンレスやスチールなどがある。
【0052】
次に、トレーニング用踏み具30の作用について説明する。
【0053】
棒31Aの一端側のみにリング31Bを取り付けることにより、左用踏み具31が組み立てられ、棒32Aの一端側のみにリング32Bを取り付けることにより、右用踏み具32が組み立てられる。左用踏み具31及び右用踏み具32は、他端側同士が向き合うように、水平面40上に配される。棒31Aの一端側のみにリング31Bが取り付けられるため、棒31Aは斜めの姿勢となる。同様に、棒32Aの一端側のみにリング32Bが取り付けられるため、棒32Aは斜めの姿勢となる。また、リング31Bが有する複数の突起31BTにより、棒31Aの他端側を中心とする左用踏み具31の転がりを防ぐことができる。同様に、リング32Bが有する複数の突起により、棒32Aの他端側を中心とする右用踏み具32の転がりを防ぐことができる。
【0054】
そして、踏み込みエリア31ASに左足42Lを、踏み込みエリア32ASに右足42Rを乗せる。このとき、図13に示すように、浅横中足靭帯45が踏み込みエリア31AS、32AS上に位置するように踏み込むことで、脚の外側の筋肉と内側の筋肉とを理想状態にすることができる。
【0055】
ここで、脚において外側の筋肉と内側の筋肉とが理想状態から外れている場合には、いずれか一方が常に緊張した状態となり他方が弛緩した状態となってしまう。この結果、こりの症状が現れてしまう。
【0056】
そこで、踏み込みエリア31ASに左足を、踏み込みエリア32ASに右足を乗せることにより、両側の筋肉が理想状態となる結果、筋肉の緊張がいずれか一方に偏らない。このように両脚のバランスが理想的なものとなる結果、理想的な姿勢を生み出すことができる。
【0057】
なお、おねじ31AN、32ANの形成エリアが、それぞれ、リング31B、32Bのめねじの形成エリアに対し十分広いため、棒31A、32Aに取り付けられたリング31B、32Bと、棒31A、32Aの一端との距離が調節可能である。したがって、棒31A、32Aにおけるリング31B、32Bの取り付け位置を調節することで、左用踏み具31及び右用踏み具32を水平面40上に配したとき、水平面40と棒31A、32Aとがなす角度θを調節することができる。角度θは、患者の矯正の規模に応じて設定すればよい。
【0058】
また、いわゆるO脚の矯正の場合には、図11に示すように、左用踏み具31及び右用踏み具32を配すればよい。一方、いわゆるX脚の矯正の場合には、図11に示される配置とは反対、すなわち、リング31Bが取り付けられた一端側同士が向き合うように、左用踏み具31及び右用踏み具32を配すればよい。
【0059】
なお、上記実施形態では、棒31Aの一端側のみにリング31Bを取り付けたが、本発明はこれに限られず、棒31Aの両端にリング31Bを取り付けてもよい。このとき、棒31Aの両端に取り付けられるリング31Bの外径は、異なっていてもよい。
【0060】
また、理想的な姿勢が維持されている場合には、棒31Aに取り付けられるリング31Bを省略する、あるいは、棒31Aの両端に取り付けられるリング31Bの外径を等しいものとする、としてもよい。
【0061】
また、トレーニング用踏み具30とともに、前述のトレーニング用バンドを用いてトレーニングしてもよい。トレーニング用踏み具30とともに併用可能なトレーニング用バンドとしては、上腕用バンド11、前腕用バンド12、腿用バンド13、脛用バンド14、手用バンド17や、足用バンド18がある。
【0062】
次に、トレーニング用ロッドについて説明する。
【0063】
図14に示すように、トレーニング用ロッド50は、ロッド本体51と、ロッド本体51の一端を覆う当接キャップ52と、ロッド本体51の他端を覆う手載置キャップ53と、ロッド本体51の当接キャップ52よりも上方の部分に設けられた錘54と、を備える。ロッド本体51は、比較的軽い材質(例えば、木)から形成される。当接キャップ52は、水平面60に当接するためのものである。手載置キャップ53は、手を載置するためのものである。各キャップ52、53は、弾性体(例えば、ゴム)から形成される。錘54は、ロッド本体51や各キャップ52、53に比べて十分重いものである。錘54としては、例えば、所定の金属から形成されたものや、砂が充てんされた袋状の物などがある。
【0064】
当接キャップ52を水平面60に当接した状態でロッド本体51を起立させると、トレーニング用ロッド50は、垂直方向に起立する位置(図14の実線部分)、及び垂直方向に対して斜めに起立する位置(図14の二点鎖線部分)との間で起伏自在となる。トレーニング用ロッド50の長さは、例えば、80cm〜110cm程度である。
【0065】
次に、トレーニング用ロッド50の作用について説明する。
【0066】
図15に示すように、椅子61に座った状態で、腕を伸ばした状態のままあげる。腕を上げる高さは、両手が肩の高さ近傍である。次に、椅子61の両側にトレーニング用ロッド50を配する。そして、水平面60にて起立した一対のトレーニング用ロッド50を用いて、両手をそれぞれの手載置キャップ53に載せる。これにより、腕の筋肉は緊張から解放される。
【0067】
その後、図16に示すように、上半身が前方へ倒れる程度まで、手載置キャップ53に載置された左手を前方へ出す。次に、手載置キャップ53に載置されたまま左手を後方へ戻すとともに、上半身が前方へ倒れる程度まで、手載置キャップ53に載置されたまま右手を前方へ出す。これを繰り返し行う。
【0068】
ここで、トレーニング用ロッド50を用いたトレーニング方法を、腕の筋肉を緊張させた状態で行うと、腕の筋肉の緊張に伴って、背中の筋肉が緊張しやすくなる結果、背中の筋肉のストレッチを行うことが困難となる。
【0069】
そこで、トレーニング用ロッド50を用いたトレーニング方法においては、手を前方へ出すとき、腕にはほとんど力を入れず、上半身全体を使ってトレーニング用ロッド50を動かす。手の前方への移動は、トレーニング用ロッド50の運動に追従して行われる。つまり、ロッド本体51に設けられた錘54の作用により、腕に余計な力をかけずとも、手を前方へ出すことができる。
【0070】
このようにして、腕の筋肉を弛緩させた状態で、背中の上部の筋肉をストレッチすることができる。さらに、上腕用バンド11や前腕用バンド12を併用することにより、腕の筋肉の緊張が解かれる結果、背中の上部の筋肉のストレッチが行いやすくなる。
【0071】
次に、トレーニング用ロッド50を用いたトレーニング方法は、上記のものに限られない。例えば、図17に示すように、椅子61に座った状態で、上体を右方向へねじる。次に、椅子の右側面にて、トレーニング用ロッド50を起立させる。そして、上体を右にねじったまま、起立したトレーニング用ロッド50の手載置キャップ53に両手をかける。さらに、手載置キャップ53に両手をかけたまま、トレーニング用ロッド50を前後方向に起伏させる。同様にして、上体を左方向へねじるとともに、椅子の左側面に起立したトレーニング用ロッド50の手載置キャップ53に両手をかける。そして、手載置キャップ53に両手をかけたまま、トレーニング用ロッド50を前後方向に起伏させる。なお、トレーニング用ロッド50の動かし方は、前述のトレーニング用ロッド50を用いたトレーニング方法と同様である。
【0072】
手載置キャップ53に両手がかけられたままトレーニング用ロッド50の起伏運動が行われると、上体は、トレーニング用ロッド50の起伏運動に追従するようにしてねじられる。これにより、筋肉の緊張を抑えつつ、肩からへそまでの筋肉のストレッチを行うことができる。さらに、上腕用バンド11や前腕用バンド12を併用することにより、腕の筋肉の緊張が解かれる結果、肩からへそにかけての筋肉のストレッチが行いやすくなる。
【0073】
なお、トレーニング用ロッド50を用いたトレーニングを、椅子61に座った姿勢で行った(図15〜16参照)が、トレーニング用ロッド50を用いたトレーニングを、水平面80に座った状態で行ってもよい(図18参照)。特に、あぐらの姿勢で行うことが好ましい。この場合のトレーニング用ロッド50の長さは、例えば、30cm〜50cm程度である。また、トレーニング用ロッド50の動かし方は、前述のトレーニング用ロッド50を用いたトレーニング方法と同様である。この結果、背中の下部の筋肉をストレッチすることができる。さらに、上腕用バンド11や前腕用バンド12を併用することにより、腕の筋肉の緊張が解かれる結果、背中の下部の筋肉のストレッチが行いやすくなる。
【0074】
なお、図18に示すトレーニング方法では、トレーニング用ロッド50の起伏運動を前後方向に行ったが、本発明はこれに限られない。図19に示すように、左手用のトレーニング用ロッド50は体の斜め左の前方に配される。そして、左手用のトレーニング用ロッド50は、体の斜め左方向において一の方向(体に近づく方向)、他の方向(体から遠ざかる方向)に起伏させる。同様に、右手用のトレーニング用ロッド50は体の斜め右の前方に配される。そして、右手用のトレーニング用ロッド50は、体の斜め右方向において一の方向(体に近づく方向)、他の方向(体から遠ざかる方向)に起伏させる。
【0075】
なお、トレーニング用ロッド50とともに、前述のトレーニング用バンドを用いてトレーニングを行ってもよい。トレーニング用ロッド50とともに併用可能なトレーニング用バンドとしては、上腕用バンド11、前腕用バンド12の他、腿用バンド13、脛用バンド14、手用バンド17や、足用バンド18である。
【0076】
また、トレーニング用ロッド50とともに、前述のトレーニング用踏み具30を用いてもよい。この場合には、トレーニング用踏み具30の上にて中腰姿勢となり、左手が載置されたトレーニング用ロッドと、右手が載置されたトレーニング用ロッドとを交互に前方へ押し出す。このとき、手を前方に押し出しながら腰を後方へ突き出し、前方に出した手を後方へ戻しながら後方へ突き出された腰を前方へ戻すことが好ましい。それ以外については、前述のトレーニング用ロッド50を用いたトレーニング方法と同様にして、トレーニング用ロッド50を動かす。この結果、背から大腿部までの筋肉をストレッチすることができる。
【符号の説明】
【0077】
11 上腕用バンド
11A 直接バンド部分
11B 間接バンド部分
12 前腕用バンド
13 腿用バンド
14 脛用バンド
17 手用バンド
18 足用バンド
21 上腕
22 前腕
23 腿
24 脛
28 足
30 トレーニング用踏み具具
31 具
31 リング本体
31 左用踏み具
31A 棒
31AS 踏み込みエリア
31B リング
31BT 突起
31BX リング本体
32 右用踏み具
32A 棒
32AS 踏み込みエリア
32B リング
40 水平面
45 浅横中足靭帯
50 トレーニング用ロッド
51 ロッド本体
52 当接キャップ
53 手載置キャップ
54 錘
60 水平面
61 椅子
80 水平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19