特許第5966191号(P5966191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5966191取付応力を低減するリングを有する流体連通装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966191
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】取付応力を低減するリングを有する流体連通装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/14 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   F16L37/14
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-521029(P2015-521029)
(86)(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公表番号】特表2015-525858(P2015-525858A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】EP2013065103
(87)【国際公開番号】WO2014016184
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2015年1月7日
(31)【優先権主張番号】1257124
(32)【優先日】2012年7月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507046288
【氏名又は名称】アー ライモント エ カンパニュイ
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ショパン、ジェローム
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−178003(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0082146(US,A1)
【文献】 実開平01−102590(JP,U)
【文献】 実開昭54−129812(JP,U)
【文献】 実開昭51−054822(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/00−39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の循環を許容する管状体を有し、所定の軸方向に延在する管状端部材(20)を備える流体連通装置(1)であって、
前記管状端部材は、外側環状ロッキング頸部を備えるプラグインパイプ(8)に軸方向に挿入することによって接続されるように構成されており、
前記装置はさらに、前記管状端部材が取り付けられるアセンブリヘッド(7)を有し、
該アセンブリヘッドは、前記管状端部材と同芯の受入チャンバ(73)を有し、かつ前記プラグインパイプが前記管状端部材に接続されるよう当該プラグインパイプを受け入れるように構成されており、
前記アセンブリヘッドはまた、2つのアームを備えるU字形ロッキングエレメント(6)を有し、前記2つのアームは、前記受入チャンバに前記軸方向に対して直交する挿入方向で挿入され、
前記2つのアームは、前記パイプが前記チャンバ内で、当該パイプが前記管状端部材に完全に接続される接合位置に軸方向で移動されるときに、前記受入チャンバ内で前記軸方向に対して横方向に弾性的に拡開するように構成されており、
前記アームはさらに、前記プラグインパイプが前記管状端部材を基準にしてその接合位置に達したときに、互いに接近運動することにより前記プラグインパイプの前記環状頸部に係合するように構成されており、これにより前記プラグインパイプの位置が前記アセンブルヘッド内でロックされ、
さらに介装リング(4)が設けられており、該介装リングは、前記ロッキングエレメントを予備開放するために前記軸方向にスライド可能であるように、前記受入チャンバ内に取り付けられており、
前記介装リングは、前記プラグインパイプが前記受入チャンバ内で前記管状端部材に向かって移動されるときに、当該プラグインパイプによって軸方向に押されるように構成されており、
前記介装リングは面取部(42)を有し、該面取部は、前記プラグインパイプがその接合位置に達する直前に、前記ロッキングエレメントの2つのアームが弾性的に拡開するように作用する、流体連通装置。
【請求項2】
当該装置は、前記受入チャンバ(73)内に取り付けられた弾性バイアスエレメント(5)を有し、該弾性バイアスエレメントは、前記介装リングがパイプによって押されない場合、前記介装リングを、管状端部材(20)の自由端部に近い前面位置に戻すために当該介装リング(4)の軸方向移動に対抗するよう作用する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記介装リング(4)は基準舌片(43)を有し、該基準舌片は、前記パイプが前記管状端部材上にロックされたとき、前記アセンブリヘッドの外側から視覚的に確認できる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体輸送のための取付部品の分野に関するものであり、より詳細には流体連通(ないし継手)装置に関する。この流体連通装置は、流体の循環を許容する管状体を有し、所定の軸方向に延在する管状端部材を備え、前記管状端部材は、外側環状ロッキング頸部を備えるプラグインパイプに軸方向に挿入することにより接続されるように構成されており、前記装置はさらに、前記管状端部材が取り付けられるアセンブリヘッドを有し、該アセンブリヘッドは、前記管状端部材と同芯の受入チャンバを有し、前記プラグインパイプが前記管状端部材に接続されるように当該プラグインパイプを受け入れるように構成されており、前記アセンブリヘッドはまた、2つのアームを備えるU字形ロッキングエレメントを有し、前記2つのアームは、前記受入チャンバに前記軸方向に対して直交する挿入方向で挿入され、前記2つのアームは、前記パイプが前記チャンバ内で当該パイプが前記管状端部材に完全に接続される接合位置に軸方向で移動されるときに、前記受入チャンバ内で弾性的に前記軸方向に対して横方向に拡開するように構成されており、前記アームはさらに、前記プラグインパイプが前記管状端部材を基準にしてその接合位置に達したときに、互いに接近運動することにより前記プラグインパイプの前記環状頸部に係合するように構成されており、これにより前記プラグインパイプの位置が前記アセンブリヘッド内でロックされる。
【背景技術】
【0002】
この形式の流体連通装置は、あらゆる形式の流体パイプを、とりわけ自動車工業での流体インジェクタ、フィルタおよびラジエータを接続するためのフランジに迅速に接続するために広く使用されている。いくつかの場合、これらのフランジの機械による製造は、フランジが複雑であるため、いくつかの再加工処理を必要とすることがある。しかしそれらの製造コストを低減するために、これらフランジの製造業者は、接続すべきパイプの半径および面取部での完成作業をもはや行わず、このことは結果として、上に定義したような連通装置に設けられたシールを損傷することがある。また、パイプを連通装置に挿入するために必要な挿入力が過度に大きい場合には、連通装置のロッキングエレメントを損傷することもある。これは、一方の内側に挿入すべきエレメントが他方を拘束ないし係止するからである。
【0003】
公開された米国特許第7,445,249号には環状リブを備えるプラグインパイプが記載されており、この環状リブは、流体連通装置にあるU字形ロッキングエレメントを予備開放するために用いられる。しかし上に述べたように、プラグインパイプを備えるフランジの製造業者は、このようなパイプの複雑性の低減を実際に試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,445,249号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、U字形ロッキングエレメントを予備開放するための機構を備えるように構成された流体連通(継手)装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明の対象である流体連通装置は、流体の循環を許容する管状体を有し、所定の軸方向に延在する管状端部材を備え、前記管状端部材は、外側環状ロッキング頸部を備えるプラグインパイプに軸方向に挿入することにより接続されるように構成されており、前記装置はさらに、前記管状端部材が取り付けられるアセンブリヘッドを有し、該アセンブリヘッドは、前記管状端部材と同芯の受入チャンバを有し、前記プラグインパイプが前記管状端部材に接続されるよう当該プラグインパイプを受け入れるように構成されており、前記アセンブリヘッドはまた、2つのアームを備えるU字形ロッキングエレメントを有し、前記2つのアームは、前記受入チャンバに前記軸方向に対して直交する挿入方向で挿入され、前記2つのアームは、前記パイプが前記チャンバ内で当該パイプが前記管状端部材に完全に接続される接合位置に前記軸方向で移動されるときに、前記受入チャンバ内で弾性的に前記軸方向に対して横方向に拡開するように構成されており、前記アームはさらに、前記プラグインパイプが前記管状端部材を基準にしてその接合位置に達したときに、互いに接近運動することにより前記プラグインパイプの前記環状頸部に係合するように構成されており、これにより前記プラグインパイプの位置がアセンブリヘッド内でロックされる。この装置は、さらに介装リングが設けられており、該介装リングは、ロッキングエレメントを予備開放するために前記軸方向にスライド可能であるよう前記受入チャンバ内に取り付けられている。前記介装リングは、前記プラグインパイプが前記受入チャンバ内で前記管状端部材に向かって移動されるときに、前記プラグインパイプによって軸方向に押されるように構成されており、前記介装リングは面取部(チャンファ)を有し、該面取部は、前記プラグインパイプがその接合位置に達する直前に、ロッキングエレメントの2つのアームが弾性的に拡開(互いに離れるように拡開)するように作用する、ことを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0007】
したがって本発明が基礎とするアイデアは、スライドする介装(中間)リングを提供することであり、この介装リングは、パイプが連通装置内で管状端部材上のパイプ接合位置まで挿入されるようにし、これにより管状端部材上でのパイプの取付応力が低減される。
本発明によれば以下の形態が可能である。
(形態1)流体の循環を許容する管状体を有し、所定の軸方向に延在する管状端部材を備える流体連通装置であって、前記管状端部材は、外側環状ロッキング頸部を備えるプラグインパイプに軸方向に挿入することによって接続されるように構成されており、前記装置はさらに、前記管状端部材が取り付けられるアセンブリヘッドを有し、該アセンブリヘッドは、前記管状端部材と同芯の受入チャンバを有し、かつ前記プラグインパイプが前記管状端部材に接続されるよう当該プラグインパイプを受け入れるように構成されており、前記アセンブリヘッドはまた、2つのアームを備えるU字形ロッキングエレメントを有し、前記2つのアームは、前記受入チャンバに前記軸方向に対して直交する挿入方向で挿入され、前記2つのアームは、前記パイプが前記チャンバ内で、当該パイプが前記管状端部材に完全に接続される接合位置に軸方向で移動されるときに、前記受入チャンバ内で前記軸方向に対して横方向に弾性的に拡開するように構成されており、前記アームはさらに、前記プラグインパイプが前記管状端部材を基準にしてその接合位置に達したときに、互いに接近運動することにより前記プラグインパイプの前記環状頸部に係合するように構成されており、これにより前記プラグインパイプの位置が前記アセンブルヘッド内でロックされ、さらに介装リングが設けられており、該介装リングは、前記ロッキングエレメントを予備開放するために前記軸方向にスライド可能であるように、前記受入チャンバ内に取り付けられており、前記介装リングは、前記プラグインパイプが前記受入チャンバ内で前記管状端部材に向かって移動されるときに、当該プラグインパイプによって軸方向に押されるように構成されており、前記介装リングは面取部を有し、該面取部は、前記プラグインパイプがその接合位置に達する直前に、前記ロッキングエレメントの2つのアームが弾性的に拡開するように作用する、流体連通装置が提供される。
(形態2)当該装置は、前記受入チャンバ内に取り付けられた弾性バイアスエレメントを有し、該弾性バイアスエレメントは、前記介装リングがパイプによって押されない場合、前記介装リングを、管状端部材の自由端部に近い前面位置に戻すために当該介装リングの軸方向移動に対抗するよう作用することが好ましい。
(形態3)前記介装リングは基準舌片を有し、該基準舌片は、前記パイプが前記管状端部材上にロックされたとき、前記アセンブリヘッドの外側から視覚的に確認できることが好ましい。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照番号はもっぱら理解を助けるためであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0008】
本発明による流体連通装置は、有利には以下の特徴を有することができる:
・この装置は、前記受入チャンバ内に取り付けられた弾性バイアスエレメントを有し、この弾性バイアスエレメントは、介装リングがパイプによって押されない場合、この介装リングを初期位置に戻すために、前記介装リングの前記軸方向移動に対抗するよう作用する。
・前記介装リングは基準(リファレンス)舌片を有し、該基準舌片は、前記パイプが前記管状端部材上にロックされたときに、前記アセンブリヘッドの外側から視覚的に顕著である。
【0009】
一実施形態の詳細な説明を読了し、添付図面を参照すれば、本発明がより良く理解され、その他の利点も明らかとなる。この一実施形態は一例であり、決して限定ではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による流体連通装置の展開(分解)斜視図である。
図2図1の流体連通装置の組み立てにおける種々の工程を連続して示す、2つの軸平面に沿った軸方向断面図である。
図3図1の流体連通装置の組み立てにおける種々の工程を連続して示す、2つの軸平面に沿った軸方向断面図である。
図4図1の流体連通装置の組み立てにおける種々の工程を連続して示す、2つの軸平面に沿った軸方向断面図である。
図5図1の流体連通装置の組み立てにおける種々の工程を連続して示す、2つの軸平面に沿った軸方向断面図である。
図6図1の流体連通装置の組み立てにおける種々の工程を連続して示す、2つの軸平面に沿った軸方向断面図である。
図7図1の流体連通装置の組み立てにおける種々の工程を連続して示す、2つの軸平面に沿った軸方向断面図である。
図8図1の流体連通装置の組み立てにおける種々の工程を連続して示す、2つの軸平面に沿った軸方向断面図である。
図9図1の流体連通装置の組み立てにおける種々の工程を連続して示す、2つの軸平面に沿った軸方向断面図である。
図10図1の流体連通装置の半径方向断面図であり、ロッキングエレメントを通る、とりわけ図9の平面AAを通る切断面を示し、ロッキングエレメントのアンロック位置を示す。
図11図1の流体連通装置の半径方向断面図であり、ロッキングエレメントを通る、とりわけ図9の平面AAを通る切断面を示し、ロッキングエレメントのロック位置を示す。
【実施例】
【0011】
図面、とりわけ図1を参照すると、本発明の流体連通(継手)装置1は、管状体2、シール3、介装リング4、弾性バイアスエレメント5、ロッキング手段6、および一種のスリーブ7を形成する中空ヘッドを有する。流体連通装置1は、プラグイン流体パイプ8(図4から11に図示)を受け入れるように構成されている。
【0012】
本体2は管状端部材20を有し、この管状端部材は軸方向Aに延在し、そしてここで2つの段付き端部材21は管状端部材20と共にT字形を形成する。管状端部材20と段付き端部材21を軸方向に通過すると共に、パイプ22(複数)は互いに連通し、やはりT字形を形成する。本体2はもちろん、他の適切な形状を有することができる。したがって流体は、管状端部材20のパイプ22内を、段付き端部材21の一方または両方に向かって、およびその反対に通流することができる。管状端部材20は、一体として円筒状であり、その自由端部に向かって設けられた外側円形スロット23を有し、環状ガスケット3を受けるように構成されている。この環状ガスケットは、流体パイプ8が管状端部材20に嵌め込まれた後、シール手段を形成する。管状端部材20は付加的に長手リブ24を有し、本例ではそれらの4つが管状端部材20の端末部の周囲に分布して配設されている。それらの機能については後で説明する。これらの長手リブ24は、管状端部材20の自由端部とは反対側で、管状端部材20の一部分にだけ延在している。長手リブ24の端部は、管状端部材20の円筒状部分と、傾斜面25(図1に図示)を介して合体している。傾斜面の機能については後で説明する。
【0013】
介装リング4は図面に黒塗りで示されている。介装リングは、ガイドリング40(図1に図示)を有し、このガイドリングは、管状端部材20の長手リブ24の外径よりも僅かに大きな内径を有する。この管状端部材20の上に介装リングはスライド可能に取り付けられている。介装リングの外面上にガイドリング40は円筒部分41を有し、この円筒部分には面取部42が続いている。この面取部は、円筒部分41からの距離が増大するにつれ外側に張り出す。面取部42は、介装リング4が管状端部材20上に嵌め込まれるときに、この面取部42が管状端部材20の自由端部から離れて延在するように配置されている。面取部42は少なくとも部分的に環状である。図示の例で、面取部42は2つの別個の同芯部分を有する。さらに介装リング4は、直径方向に配置された2つの舌片43を有し、これらの舌片はガイドリング40と一体を成す。これらの舌片43は、面取部42の部分(複数)の間に設けられており、面取部42の直径よりも直径が大きいシリンダに内接する。また舌片(複数)43は弾性的に変形可能である。各舌片43の自由端部には半径方向ラグ44が設けられており、その機能については後で説明する。介装リング4が管状端部材20の上にいったん嵌め込まれると、舌片43は、介装リング4と管状端部材20との間に環状シート45を形成する。介装リング4は、管状端部材20の上で前面位置と背面位置との間を方向Aにスライドすることができる。前記前面位置では介装リングは管状端部材20の自由端部に近い所にあり、前記背面位置では介装リングは管状端部材20の自由端部から離れていて、段付き端部材21に近付く位置にある。
【0014】
図示の例で、弾性バイアスエレメント5はコイルを有する圧縮バネであり、コイルの内径は長手リブ24の外径よりも僅かに大きく、コイルの外径は介装リング4の環状シート45の直径よりも僅かに小さい。したがって弾性バイアスリング5は、管状端部材20上に嵌め込むことができ、介装リング4の環状シート45内に部分的に設置される。弾性バイアスリング5の一方の端部は介装リング4のガイドリング40のエッジに支持され、他方の端部は本体2の半径方向ショルダ26に支持される。弾性バイアスエレメント5は介装リング4を、前面位置に相当する当初の静止位置に向かって付勢しようとする。
【0015】
ロッキング手段は、弾性的に変形可能なU字形ロッキングエレメント6を含み、これは例えばスプリングワイヤから形成されている。ロッキングエレメント6は図面に(断面が)黒塗りで示されている。したがってロッキングエレメント6のU字形の2つのアームないし枝60は、解放されてロック位置に互いに弾性的に戻る前において、互いに離れるように、方向Aに対して横方向にアンロック位置に向かって、付勢されることができる。
【0016】
この装置の前面口には、スリーブ7が内部孔70を有し、その形状と寸法は介装リング4の形状および寸法に対して実質的に相補形である。したがってスリーブ7は長手スロット(複数)71を含み、この長手スロットは、介装リング4の舌片43が通過できるように設計されている。これらの長手スロット71は、組み立て中にスリーブ7に対する介装リング4の角度位置を保証するために用いられる。これら長手スロット71間の(直径方向)間隔は、半径方向ラグ44を分離する間隔よりも小さい。したがって舌片(複数)43は、長手スロット71を通過するためには互いに接近するよう撓まなければならない。これらの長手スロット71と整列されており、スリーブ7の中間部分を通過するのが2つの半径方向窓72である。この半径方向窓を通して、介装リング4がその背面位置にあるときに舌片43を見ることができる。スリーブ7が管状端部材20上に嵌め込まれている場合、スリーブ7と管状端部材20は、それらの間に環状チャンバ73を画成し、この環状チャンバ内には介装リング4がスライド可能に着座する。この環状チャンバ73は管状端部材20と同芯であり、プラグイン流体パイプ8の端部を受け入れるように構成されている。プラグイン流体パイプは、管状端部材20の自由端部に、介装リング4を軸方向に押し付け、軸方向に挿入することによって嵌め込まれる。さらにスリーブ7の内部孔70は内側の半径方向凹部74を有する。この凹部は、前面で半径方向窓72を画定し、この凹部には介装リング4の舌片43の半径方向ラグ44が支持される。さらにスリーブ7は2つの半径方向開口部75を有する。これらの開口部は直径方向に互いに対向して配置されており、内部孔70内へ開口している。半径方向開口部75は、角度的に長手スロット71の間に配置されている。これらの半径方向開口部75は、ロッキングエレメント6の枝(アーム)60を受け入れるように構成されており、半径方向リブ76(図1に図示)によって縁取られている。これら半径方向リブは、ロッキングエレメント6の枝(アーム)60を、そのロック位置とアンロック位置との間で案内する。スリーブ7は、長手スロット71とは反対の側に互いに離れて湾曲した2つの長手ウィング77(図1に図示)を有する。これらのウィングは内部孔70を延長する。これらの長手ウィング77は長手スロット71と整列されており、組み立て中にスリーブ7を本体2に対して角度的に配向するために、本体2の段付き端部材21の間の交差点をまたぐように構成されている。
【0017】
使用される連通手段は、その中をメイン孔80が通過する流体パイプ8であり、外径は、面取部42が最大である箇所の介装リング4の最大直径に実質的に等しい。また使用される流体パイプ8には環状頸部81、ここでは円形のものが設けられており、この環状頸部は、ロッキングエレメント6の枝(アーム)60を受け入れるように構成されている。流体パイプの端部は、特定の形状を有する必要はない。
【0018】
図2と3を参照すると、流体連通装置1を使用する前に、環状ガスケット3、弾性バイアスエレメント5、介装リング4、スリーブ7およびロッキングエレメント6が本体2の上に組み立てられる。組み立て中に弾性バイアスエレメント5は、管状端部材20の上に長手リブ24と傾斜面25により案内され、これは挿入を促進する。介装リング4をスリーブ7内に挿入するために、舌片43が互いに近付くよう弾性的に変形され、これにより半径方向ラグ44は長手スロット71を通過することができる。半径方向ラグ44が半径方向窓72に対向する位置に来ると、舌片43は弛緩する。次いで介装リング4がスリーブ7内で、その半径方向ラグ44とスリーブ7の内側の半径方向凹部74とによってロックされる。流体連通装置1のこの予備組み立て状態で、ロッキングエレメント6の枝(アーム)60はロック位置にあり、環状チャンバ73に突入し、介装リング4の案内リング40に支持される。介装リング4は弾性バイアスエレメント5によって前面位置に保持される。スリーブ7に対する介装リング4の角度位置は、舌片43と半径方向窓72とによって保証される。さらに本体2に対するスリーブ7の角度位置は、長手ウィング77と段付き端部材21とによって保証される。
【0019】
次に図4と5を参照すると、流体パイプ8を嵌め込むべき時に、流体パイプはまず管状端部材20の軸に配置され、次に軸方向に管状端部材20の上で、スリーブ7の内部孔70に挿入される。この工程では、流体パイプ8の自由端部が介装リング4の側面と接触する。流体パイプ8と管状端部材20との間の耐漏洩性は、環状ガスケット3によって保証される。図6と7を参照すると、流体パイプ8の自由端部は軸方向にさらに挿入され、これにより介装リング4は環状チャンバ73内に移動され、弾性バイアスエレメント5が徐々に圧縮され、ロッキングエレメント6の枝60はガイドリング40上をスライドされる。ロッキングエレメント6は、この時点ではロック位置のままである。流体パイプ8の自由端部の挿入が継続する。ロッキングエレメント6の枝60は面取部42と接触し、この面取部42が除去(クリア)されるまで、方向Aに対して横方向に弾性的に拡開される。そして図10により示されるように、ロッキングエレメント6の枝60はアンロック位置になり、このアンロック位置で枝(アーム)は間隔をもって分離されており、この間隔により流体パイプ8の自由端部は応力なしで通過することができる。この工程の間、弾性バイアスエレメント5の圧縮は増大される。流体パイプ8の自由端部の挿入はさらに続行する。図8、9および11を参照する。ロッキングエレメント6の枝60が流体パイプ8の環状頸部81に対向すると、枝はそれらのロック位置へ弛緩する。このロック位置で枝は環状頸部81内に着座し、流体パイプ8がスリーブ7および管状端部材20から引き抜かれるのを阻止する。次に流体パイプは、管状端部材と接合される。流体パイプ8と管状端部材20との間の耐漏洩性は、環状ガスケット3によって保証され続ける。このロック位置では介装リング4の舌片43を、スリーブ7の半径方向窓72を通して見ることができる。半径方向窓72における舌片43の位置を視覚的に検査することにより、流体パイプ8が適切に接続され、有効にロックされていることを確認することができる。流体パイプ8は、流体連通装置1にしっかりと嵌め込まれている。
【0020】
必要であれば、舌片(複数)43を互いに押し付け、半径方向ラグ44が内側の半径方向凹部74から解放されるようにすることによって、流体パイプ8を流体連通装置1から簡単に取り外すことができる。次に流体パイプ8を強制的に引き抜くことにより、弾性バイアスエレメント5を解放することができ、ロッキングエレメント6の枝60を、流体パイプ8の環状頸部81内にある環状スロットから引き出すことができる。弾性バイアスエレメント5は、管状端部材に向かう介装リングの軸方向移動に対抗するよう作用し、介装リングがプラグイン流体パイプによって押し付けられない場合に、介装リング4をその前面初期位置に維持するように構成されている。したがって除去した後、流体パイプ8を再び流体連通装置1に、上記のようにして接続することができる。
【0021】
上記記載から明らかなように、本発明による流体連通装置1は、流体パイプ8上に嵌め込む際に及ぼさなければならない力を制限することができる。これはとりわけ面取部42を備える介装リング4が、流体パイプ8がロッキングエレメント6を通過するのを容易にするからであり、流体パイプ8の端部に対して特定の形状を必要としない。本発明が、実施形態の前記記載に制限されるものではないことは自明であり、この実施形態は、本発明の枠を逸脱することなくいくつかの変形が可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 連通(継手)装置
2 管状体、本体
3 シール、環状ガスケット
4 介装リング
5 弾性バイアスエレメント
6 ロッキング手段、U字形ロッキングエレメント
7 スリーブ、アセンブリヘッド
8 プラグインパイプ、流体パイプ
20 管状端部材
21 段付き端部材
22 パイプ
23 外側円形スロット
24 長手リブ
25 傾斜面
26 半径方向ショルダ
40 ガイドリング
41 円筒部分
42 面取部
43 舌片
44 半径方向ラグ
45 環状シート
60 アーム、枝
70 内部孔
71 長手スロット
72 半径方向窓
73 環状チャンバ、受入チャンバ
74 内側の半径方向凹部
75 半径方向開口部
76 半径方向リブ
77 長手ウィング
80 メイン孔
81 環状頸部
図1
図2
図3
図4
図5
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