【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1に係る回転機ギャップ計測装置は、
図1のように、カメラ1、照明器具2、撮影装置ボックス3、画像伝送器4,5、情報装置盤6、画像解析装置7、光ケーブル8及び監視装置13bを備える。
【0027】
上述のカメラ1は、風力発電機の回転機が収納されている機械室(以下、ナセル11と記載)内に設置されている撮影装置ボックス3に収納されており、風車12の固定子9と回転子10のギャップ14周辺を撮影するものである。
【0028】
図2(a)は
図1におけるA−A矢視図である。
図2(a)中の一点鎖線で囲まれたBは、カメラ1による撮影箇所であるが、これを見ればわかるように、カメラ1の光軸を通る画像の横軸方向が回転子10の回転軸からの放射線上になるような角度に設置されている。
【0029】
上述のようにカメラ1を設置すると、
図2(b)のように、回転機の固定子9部分と回転子10部分とギャップ14とが撮影画像20a内で垂直に並ぶように撮影され、画像処理によるギャップ計測が簡単になる(ギャップ計測手段の詳細な説明は後述)。
【0030】
上述の照明器具2は、カメラ1のレンズの外側に設置され、回転機を照らすことで、固定子9と回転子10の部分は光が反射して明るくなり、ギャップ14の部分は光が反射せずに暗い状態が保たれるため、撮影画像20aの明暗がより強調される。
【0031】
上述の撮影装置ボックス3は、ナセル11内の回転機のギャップ14が見える位置に設置され、内部にはカメラ1、照明器具2及び画像伝送器4を収納している。また、ボックス容器は透明な材質により密閉できる形状とし、内部への湿気の侵入を遮断する。さらに、外部にヒートシンクと空冷ファンの設置または冷水を循環させる等の冷却機能を備えることで、カメラ1や画像伝送器4が高温になることを防ぐ。
【0032】
この撮影装置ボックス3は、
図2(a)のように、カメラ1の光軸を通る画像の横軸方向が回転子10の回転軸からの放射線上になるような角度に、複数箇所設置されている。
【0033】
上述の画像伝送器4は撮影装置ボックス3内に設置され、カメラ1で撮影した画像データの電気信号を入力し、光信号に変換する。
【0034】
上述の画像伝送器5は情報装置盤6内に設置され、画像データの光信号を電気信号へ変換して、画像解析装置7へ出力する。
【0035】
上述の光ケーブル8は、撮影装置ボックス3内の画像伝送器4と、情報操作盤6内の画像伝送器5とに接続され、画像データの光信号を画像伝送器4から画像伝送器5へ送信する経路となる。
【0036】
上述の情報装置盤6は、風力発電機の塔の近傍に設置され、画像伝送器5と画像解析装置7を収納する。
【0037】
画像解析装置7は、画像伝送器5から送られてきた画像データを基にギャップを計測する。また、計測した情報はネットワーク13a経由により、遠隔地の監視装置13bへ送信される。
【0038】
本発明の実施例1に係る装置は、上述のような装置構成により、まず、カメラ1で、照明器具2により照らされた回転機のギャップ14を撮影し、撮影した画像データは画像伝送器4によって電気信号から光信号に変換され、光ケーブル8を通り情報装置盤6内の画像伝送器5に送信される。送信された光信号は、画像伝送器5において電気信号に再び変換され、画像伝送器5から画像解析装置7に送信される。画像解析装置7では画像伝送器5から送信されてきた画像データを基にギャップ14の計測を行い、計測した情報はネットワーク13a経由で遠隔地にある監視装置13bへ送信される。
【0039】
次に、上述のように回転機のギャップ計測を行う画像解析装置7について詳述する。
【0040】
画像解析装置7は、
図6のように、処理設定部21、画像入力部22、画像二値化部23、ギャップ計測分24、異常判断部25、ギャップ計測情報作成部26、記憶部27及びデータ出力部28を備える。
【0041】
上述の画像入力部22では、カメラ1で撮影された撮影画像20aを入力画像として入力する。
【0042】
上述の処理設定部21では、入力画像を二値化する際の明るさのしきい値(以下、二値化しきい値と記載)、カメラ1のレンズ焦点距離とCCDサイズ(以下、カメラパラメータと記載)、カメラ1から回転機のギャップ14部分までの距離及び異常の有無を決定するギャップ幅の基準値の、各処理パラメータを設定する。
【0043】
上述の画像二値化部23では、二値化しきい値を基に入力画像を二値化して二値画像20bを作成する。
【0044】
上述のギャップ幅計測部24では、
図4(a)に示すように走査線16を二値画像20bの上下方向に移動させ、
図4(b)のように黒色部分の幅(以下、画像上ギャップ幅と記載)を計測する。さらに、カメラパラメータを基に、画像上ギャップ幅を実寸のギャップの幅(以下、実寸ギャップ幅と記載)に換算した、ギャップ幅データを作成する。
【0045】
上述の異常判断部25では、設置してある全てのカメラ1分のギャップ幅データとギャップ幅の基準値を比較し、異常の有無を判断する。
【0046】
上述のギャップ計測情報作成部26では、実寸ギャップ幅と異常の有無と前記入力画像を整理したギャップ計測情報を作成する。
【0047】
上述の記憶部27では、入力画像と各処理パラメータと二値画像20bとギャップ幅データと異常の有無の記録とギャップ計測情報とを保管する。
【0048】
上述のデータ出力部28では、ギャップ計測情報を外部へ出力する。
【0049】
以下、画像解析装置7によるギャップ計測の手順について、
図5を用いて説明する。
【0050】
ステップS1では、画像入力部22により、カメラ1で撮影された撮影画像20aの画像データを画像伝送器5から入力画像として入力する。
【0051】
ステップS2では、画像二値化部23において、
図3のように、入力画像を二値化して二値画像20bを作成する。二値化に用いる二値化しきい値については、処理設定部21にて予め設定しておく。
【0052】
ステップS3では、ギャップ幅計測部24において、上述のごとく画像上ギャップ幅を計測する。
【0053】
ステップS4では、同じくギャップ幅計測部24において、処理設定部21で設定したカメラパラメータを基に画像上ギャップ幅を実寸ギャップ幅に換算する。
【0054】
ステップS5では、異常判断部25において、異常の有無の判断を行う。全てのカメラ1で撮影した全ての実寸ギャップ幅と、ギャップ幅の基準値とを比較し、実寸ギャップ幅が基準値未満であった場合は、異常として判断する。
【0055】
尚、異常の有無の結果は、ギャップ計測情報作成部26において、入力画像とギャップ幅データと共に整理され、ギャップ計測情報としてデータ出力部28からネットワーク13aと通して遠隔地にある監視装置13bへ送信される。また、ネットワーク13aの負荷軽減のため、入力画像は異常がある場合にのみギャップ計測情報に含めるようにしても良い。
【0056】
ちなみに、上述のステップS1乃至S5において、各画像データと各処理パラメータは都度、記憶部27に保管される。
【0057】
本発明の実施例1に係る装置では、風力発電機に使用する回転機のギャップ自体を画像により直接的に計測することができ、また、異常発生時の画像を遠隔地の監視装置13bで確認することができるため、異常確認のために保守作業員が現地まで行き、さらに高さ数十メートルの塔の上に登って回転機のギャップの状態を確認するという手間が省ける。
【実施例2】
【0058】
図7に示すように、回転機の固定子9と回転子10は表面に凹凸17がある。また経年変化による変色18や汚れ19も発生する。このため、回転機のギャップ14周辺を撮影した場合、これら凹凸17、変色18及び汚れ19も撮影される。
【0059】
撮影画像中20aにおいてこれらの部分が暗く写った場合、この画像を二値化すると、
図8の二値化画像20bのように、これらの部分もギャップ14と同じく黒色になる。
【0060】
この状態の二値画像20bから画像上ギャップ幅を計測した場合、二値画像20bを上下方向に走査し、黒色部分の幅を求めるだけでは正確に計測できない。
【0061】
そこで本発明の実施例2に係る回転機ギャップ計測装置は、基本的な装置構成は本発明の実施例1に係る装置と同一であるが、画像解析装置7の処理設定部21における設定とギャップ幅計測部24の機能を変更する。
【0062】
以下、画像解析装置7の処理設定部21とギャップ幅計測部24以外の説明は省略し、処理設定部21とギャップ幅計測部24についてのみ説明する。
【0063】
処理設定部21では、二値化しきい値、カメラパラメータ、カメラ1から回転機のギャップ部分までの距離、ギャップ幅の基準値及び各処理パラメータの設定に加えて、
図9に示すように、ギャップ中にギャップ中央線15を設定する。
図9では画像のほぼ中央にギャップ中央線が設定されているが、実際には必ずしもギャップ中央線が画像中央に設定されるとは限らない。
【0064】
ギャップ幅計測部24では、
図10(a)に示すように二値画像20bの上下方向に走査するが、その際、
図10(b)のように、走査線16中において、ギャップ中央線15から左右方向に二値画像20bの値が黒色から白色に変化するエッジ部分を検出し、検出した左右エッジの間隔を画像上ギャップ幅として計測する。
【0065】
以下、本発明の実施例2に係る回転機ギャップ計測装置の計測手順を
図5に従って説明する。
【0066】
ステップS1では、画像入力部22により、カメラ1で撮影された撮影画像20aの画像データを画像伝送器5から入力画像として入力し、処理設定部21において
図9のようにギャップ中央線15を設定する。
【0067】
ステップS2では、画像二値化部23において、ギャップ中央線15が設定された入力画像を二値化して二値画像20bを作成する。二値化しきい値については、処理設定部21にて予め設定しておく。
【0068】
ステップS3では、ギャップ幅計測部24において、上述のごとく画像上ギャップ幅を計測する。
【0069】
ステップS4では、同じくギャップ幅計測部24において、処理設定部21で設定したカメラパラメータを基に画像上ギャップ幅を実寸ギャップ幅に換算する。
【0070】
ステップS5では、異常判断部25において、異常の有無の判断を行う。全てのカメラ1で撮影した全ての実寸ギャップ幅と、ギャップ幅の基準値とを比較し、実寸ギャップ幅が基準値未満であった場合は、異常として判断する。
【0071】
尚、異常の有無の結果は、ギャップ計測情報作成部26において、入力画像とギャップ幅データと共に整理され、ギャップ計測情報としてデータ出力部28からネットワーク13aと通して遠隔地にある監視装置13bへ送信される。また、ネットワーク13aの負荷軽減のため、入力画像は異常がある場合にのみギャップ計測情報に含めるようにしても良い。
【0072】
ちなみに、上述のステップS1乃至S5において、各画像データと各処理パラメータは都度、記憶部27に保管される。
【0073】
本発明の実施例2に係る装置では、本発明の実施例1に係る装置の機能に加え、回転機の表面の凹凸、変色及び汚れがギャップ幅計測に与える影響を排除することができる。