特許第5966207号(P5966207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5966207エラー回復方法、アクセス・ポイント装置、端末装置、およびそれらのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966207
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】エラー回復方法、アクセス・ポイント装置、端末装置、およびそれらのシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20160728BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20160728BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20160728BHJP
【FI】
   H04W28/04 110
   H04W52/02
   H04W84/12
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-505490(P2014-505490)
(86)(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公表番号】特表2014-514858(P2014-514858A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】CN2012072880
(87)【国際公開番号】WO2012163146
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2013年10月21日
【審判番号】不服2015-13132(P2015-13132/J1)
【審判請求日】2015年7月9日
(31)【優先権主張番号】201110167875.7
(32)【優先日】2011年6月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504277388
【氏名又は名称】▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】李 云波
(72)【発明者】
【氏名】伍 天宇
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲訊▼
【合議体】
【審判長】 近藤 聡
【審判官】 佐藤 智康
【審判官】 山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−507349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス・ポイント(AP)により、現在の送信機会(TXOP)期間中に、節電モードに入ることを許可された端末にデータ・フレームを送信するステップであって、前記データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために用いられるステップと、
前記APにより、前記データ・フレームが受信されたことに応答して前記端末が返す応答フレームがない場合には、新規のTXOP期間を争うことなく、前記現在のTXOP期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するステップと、
を含む、エラー回復方法。
【請求項2】
前記データ・フレームが受信されたことに応答して前記端末が返す応答フレームがない場合に前記現在の送信機会期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するステップは、
応答フレームを受信するための所定期間中に正常チャネル評価結果が所定閾値より低いことが検出され、前記応答フレームが受信されていないと判定された場合に、前記APにより、前記現在の送信機会期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するステップ、
または、
前記応答フレームを受信するための前記所定期間中に前記正常チャネル評価結果が前記所定閾値より低くないが前記応答フレームを受信するための前記所定期間中に受信された前記フレームが誤ってデコードされたことが検出され、前記応答フレームが受信されていないと判定された場合に、前記APにより、前記現在の送信機会期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するステップ、
を含む、請求項1に記載のエラー回復方法。
【請求項3】
前記現在の送信機会期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するステップは、前記APにより、前記現在の送信機会期間内の所定期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するステップを含み、前記端末は前記所定期間の後にドーズ状態に入る、請求項1に記載のエラー回復方法。
【請求項4】
前記現在の送信機会期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するステップは、前記APにより、前記現在の送信機会期間中に所定回数だけ前記データ・フレームを前記端末に再送するステップを含む、請求項1に記載のエラー回復方法。
【請求項5】
前記所定回数は1回である、請求項4に記載のエラー回復方法。
【請求項6】
節電モードに入ることを許可された端末により、現在の送信機会(TXOP)期間中に、新規のTXOP期間を争うことなく、アクセス・ポイントにより送信されたデータ・フレームを受信するステップであって、前記データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために用いられるステップと、
前記端末により、前記現在のTXOP期間中に、前記アクセス・ポイントにより再送された前記データ・フレームを受信するステップと、
を含み、
前記アクセス・ポイントが送信した前記データ・フレームに応答した前記端末からの応答フレームを前記アクセス・ポイントが受信できなかった場合に前記データ・フレームが前記アクセス・ポイントにより送信される、
エラー回復方法。
【請求項7】
前記現在の送信機会期間中に前記アクセス・ポイントにより再送された前記データ・フレームを受信するステップは、
前記データ・フレームが誤ってデコードされた場合には、前記端末により、前記現在の送信機会期間中に前記アクセス・ポイントにより再送された前記データ・フレームを受信するステップ、
または、
前記データ・フレームが正しくデコードされた場合には、前記端末により、前記応答フレームを前記アクセス・ポイントに送信した後に、前記現在の送信機会期間内の所定期間中に前記アクセス・ポイントにより再送されたデータ・フレームを受信するステップと、
を含む、請求項6に記載のエラー回復方法。
【請求項8】
前記所定期間は、前記応答フレームを送信した時刻から前記アクセス・ポイントが他の端末に送信したフレームを受信した時刻までの期間である、請求項7に記載のエラー回復方法。
【請求項9】
現在の送信機会(TXOP)期間中に、節電モードに入ることを許可された端末にデータ・フレームを送信するように構成された送信モジュールであって、前記データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために用いられる送信モジュールと、
前記データ・フレームが受信されたことに応答して前記端末が返す応答フレームがない場合には、新規のTXOP期間を争うことなく、前記現在のTXOP期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するように構成された再送モジュールと、
を備える、アクセス・ポイント装置。
【請求項10】
前記再送モジュールは、
応答フレームを受信するための所定期間中に正常チャネル評価結果が所定閾値より低いことが検出され、前記応答フレームが受信されていないと判定された場合に、前記現在の送信機会期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するように構成された第1の再送ユニット、
または、
前記応答フレームを受信するための前記所定期間中に前記正常チャネル評価結果が前記所定閾値より低くないが前記応答フレームを受信するための前記所定期間中に受信された前記フレームが誤ってデコードされたことが検出され、前記応答フレームが受信されていないと判定された場合に、前記現在の送信機会期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するように構成された第2の再送ユニット、
を備える、請求項9に記載のアクセス・ポイント装置。
【請求項11】
前記再送モジュールは、前記現在の送信機会期間内の所定期間中に前記データ・フレームを前記端末に再送するように構成され、前記端末が前記所定期間の後にドーズ状態に入る、請求項9に記載のアクセス・ポイント装置。
【請求項12】
前記再送モジュールは、前記現在の送信機会期間中に所定回数だけ前記データ・フレームを前記端末に再送するように構成される、請求項9に記載のアクセス・ポイント装置。
【請求項13】
端末装置であって、
現在の送信機会(TXOP)期間中に、新規のTXOP期間を争うことなく、アクセス・ポイントにより送信されたデータ・フレームを受信するように構成された第1の受信モジュールであって、前記データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために用いられる第1の受信モジュールと、
前記現在のTXOP期間中に、前記アクセス・ポイントにより再送された前記データ・フレームを受信するように構成された第2の受信モジュールと、
を備え、
前記アクセス・ポイントが送信した前記データ・フレームに応答した前記端末装置からの応答フレームを前記アクセス・ポイントが受信できなかった場合に前記データ・フレームが前記アクセス・ポイントにより送信される、
端末装置。
【請求項14】
前記第2の受信モジュールは、
前記データ・フレームが誤ってデコードされた場合には、前記アクセス・ポイントにより再送された前記データ・フレームを前記現在の送信機会期間中に受信するように構成された第1の受信ユニット、
または、
前記データ・フレームが正しくデコードされた場合には、前記応答フレームを前記アクセス・ポイントに送信した後に、前記現在の送信機会期間内の所定期間中に前記アクセス・ポイントから再送されたデータ・フレームを受信するように構成された第2の受信ユニットと、
を備える、請求項13に記載の端末装置。
【請求項15】
前記所定期間は、前記応答フレームを送信した時刻から前記アクセス・ポイントが他の端末に送信したフレームを受信した時刻までの期間である、請求項14に記載の端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ローカル・エリア・ネットワークの分野に関し、特に、無線ローカル・エリア・ネットワークの分野におけるエラー回復方法、アクセス・ポイント装置、端末装置、およびそれらのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
節電機構、即ち送信機会(Transmission Opportunity、TXOP)節電(Power Save、PS)が新たな標準に導入されている。当該節電機構TXOP PSでは、特定の条件がTXOP期間中に満たされたとき、当該機構をサポートする端末(Station、STA)はドーズ状態に入って電力を節約することができる。
【0003】
アクセス・ポイント(Access point、 AP)は、VHT−SIG−A1(超高スループット信号A1、Very High Throughout Signal−A1)内のTXOP_PS_NOT_ALLOWED(TXOP PS不可)フィールドを設定して、TXOP PSモードのSTAがドーズ状態に入れるかどうかを示すことができる。当該フィールドが0のとき、これはTXOP PSモードのSTAがドーズ状態に入れることを示し、そうでない場合には、TXOP PSモードのSTAがドーズ状態に入れないことを示す。
【0004】
TXOP期間中は、TXOP PSモードのSTAがドーズ状態に入れる場合、即ち、節電モードの場合は、STAは特定の条件が満たされるかどうかを判定する必要がある。当該特定の条件が満たされる場合には、STAはTXOP期間が終了するまでドーズ状態に入ることができ、APは、現在のTXOP期間の残り時間において、ドーズ状態に入ることを既に許可されたSTAに対してさらにデータを送信することはできない。
【0005】
ドーズ状態に入るための特定の条件の1つは、モア・データ・フィールド(More Data Field)が0であるフレームに応答してSTAが応答フレームを返すことである。モア・データ・フィールド(More Data Field)が0であるフレームはデータ送信の終了を示すデータ・フレームであり、当該フレームはSTA宛てのユーザ・データを保持し、STAに送信されるユーザ・データがもうないことを示し、その結果、STAは応答フレームを返した後にドーズ状態に入る。
【0006】
従来技術では、STAはモア・データ・フィールドが0であるフレームを受信し応答フレームを返した後にドーズ状態に入り、APはモア・データ・フィールドが0であるフレームをSTAに送信した後にSTAへのデータ送信を停止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、モア・データ・フィールドが0であるフレームに誤りがある場合、または、モア・データ・フィールドが0であるフレームに応答する応答フレームに誤りがある場合は、APは応答フレームを受信できないかもしれず、モア・データ・フィールドが0であるフレームに対応する送信には誤りが存在することとなる。従来技術では、APが応答フレームを受信できなかった場合、APはモア・データ・フィールドが0であるフレームをキャッシュし、STAと通信するための別のTXOPを取得した後にモア・データ・フィールドが0であるフレームをSTAに再送し、対応する応答フレームを再受信してエラー回復を行うことができる。このため、送信効率が低下することとなる。さらに、エラー回復を実施できる前に新規のTXOP期間を取得する必要があるため、エラー回復が長期間遅延し、サービス品質が低下することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の諸実施形態では、エラー回復方法、アクセス・ポイント装置、端末装置、およびそれらのシステムを提供する。当該エラー方法を現在の送信機会期間中に行って、エラー回復を次の送信機会期間が得られるまで実施できないという問題を解決し、それによりエラー回復の効率とサービス品質を改善することができる。
【0009】
1態様では、本発明の1実施形態は、データ・フレームを節電モードに入ることを許可された端末に送信するステップであって、当該データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために用いられるステップと、当該データ・フレームを受信したことに応答して当該端末が返す応答フレームがない場合には現在の送信機会期間中に当該データ・フレームを再送するステップと、を含むエラー回復方法を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明の1実施形態は、アクセス・ポイントにより送信されたデータ・フレームを受信するステップであって、当該データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために用いられるステップと、現在の送信機会期間中に、当該アクセス・ポイントにより再送された当該データ・フレームを受信するステップであって、当該アクセス・ポイントが応答フレームを受信できなかった場合に、当該アクセス・ポイントにより再送された当該データ・フレームが当該アクセス・ポイントにより送信され、当該アクセス・ポイントにより送信された当該データ・フレームが節電モードへ入ることを許可された端末により受信されたときに、当該応答フレームが当該端末により返されるステップと、を含むエラー回復方法を提供する。
【0011】
さらに別の態様では、本発明の1実施形態は、節電モードに入ることを許可された端末にデータ・フレームを送信するように構成された送信モジュールであって、当該データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために用いられる送信モジュールと、当該データ・フレームを受信したことに応答して当該端末が返す応答フレームがない場合には、現在の送信機会期間中に当該データ・フレームを当該端末に再送するように構成された再送モジュールと、を備えるアクセス・ポイント装置を提供する。
【0012】
さらに別の態様では、本発明の1実施形態は、アクセス・ポイントにより送信されたデータ・フレームを受信するように構成された第1の受信モジュールであって、当該データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために用いられる第1の受信モジュールと、現在の送信機会期間中に、当該アクセス・ポイントにより再送された当該データ・フレームを受信するように構成された第2の受信モジュールであって、当該アクセス・ポイントが応答フレームを受信できなかった場合に、当該アクセス・ポイントにより再送された当該データ・フレームが当該アクセス・ポイントにより送信され、当該アクセス・ポイントにより送信された当該データ・フレームが節電モードへ入ることを許可された端末により受信されたときに、当該応答フレームが当該端末により返される第2の受信モジュールと、を備える端末装置を提供する。
【0013】
さらに別の態様では、本発明の1実施形態は、アクセス・ポイント装置および端末装置を備えたエラー回復システムを提供する。当該アクセス・ポイント装置は、ユーザ・データ送信の終了を示すために用いられるデータ・フレームを節電モードに入ることが許可された当該端末装置に送信し、当該データ・フレームを受信したことに応答して当該端末装置が返す応答フレームがない場合には、現在の送信機会期間中に当該データ・フレームを当該端末装置に再送するように構成される。当該端末装置は、当該アクセス・ポイント装置が送信した当該データ・フレームを受信し、当該現在の送信機会期間中に当該アクセス・ポイントが再送した当該データ・フレームを受信するように構成される。
【0014】
上記の技術的解決策に基づいて、ユーザ・データ送信の終了を示すデータ・フレームを送信した後、アクセス・ポイントは、応答フレームが受信されなかった場合に現在の送信機会期間中にデータ・フレームを直接再送する。そのため、従来技術とは異なり、再送前に新規の送信機会期間を争う必要はない。したがって、現在の送信機会期間中にエラー回復を実施することができ、その結果、エラー回復が迅速になりエラー回復による遅延が減少する。エラー回復を現在の送信機会期間内に実施できる場合は新規の送信機会期間を不必要に争うことが回避され、その結果、エラー回復の効率が向上し、ネットワーク・リソースが節約され、サービス品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の1実施形態に従うエラー回復方法の流れ図である。
図2】本発明の1実施形態に従う別のエラー回復方法の流れ図である。
図3】本発明の1実施形態に従うさらに別のエラー回復方法の流れ図である。
図4】本発明の1実施形態に従うさらに別のエラー回復方法の流れ図である。
図5】本発明の1実施形態に従うアクセス・ポイント装置の構造ブロック図である。
図6】本発明の1実施形態に従う別のアクセス・ポイント装置の構造ブロック図である。
図7】本発明の1実施形態に従う端末装置の構造ブロック図である。
図8】本発明の1実施形態に従う別の端末装置の構造ブロック図である。
図9】本発明の1実施形態に従うエラー回復システムの構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の諸実施形態に従う技術的解決策を、諸実施形態と添付図面を参照して下記で明確かつ十分に説明する。明らかに、当該諸実施形態は例にすぎず、本発明はかかる諸実施形態には限定されない。当業者は何ら創造的な作業なしに他の諸実施形態を本明細書で与えた諸実施形態から導くことができ、かかる全ての諸実施形態は本発明の保護範囲に入るものとする。
【0017】
先ず、図1を参照して本発明の1実施形態に従うエラー回復方法100を説明する。
【0018】
図1に示すように、方法100は、S110で、データ・フレームを節電モードに入ることを許可された端末に送信するステップであって、当該データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すステップと、S120で、データ・フレームを受信したことに応答して当該端末が返す応答フレームがない場合に現在の送信機会期間中に当該データ・フレームを当該端末に再送するステップとを含む。
【0019】
例えば、方法100をアクセス・ポイントにより実施してもよい。当該アクセス・ポイントは、ユーザ・データ送信の終了を示すデータ・フレームを節電モードに入ることを許可された端末、即ち、ドーズ状態に入ることを許可された端末に送信し、応答フレームが受信されない場合には、再送が新規の送信機会期間を取得した後にのみ実施できる従来技術のケースとは異なり、データ・フレームは現在の送信機会期間中に端末に再送される。したがって、エラー回復を現在の送信機会期間内に実施できるときにエラー回復を実施するために新規の送信機会期間を争う必要はなく、その結果、不要な競争により無用に時間を浪費しリソースを浪費することが回避され、エラー回復の効率が向上する。
【0020】
S110では、ユーザ・データ送信の終了を示すデータ・フレームがデータ・モア・データ・フィールドが0であるフレームであってもよく、当該データ・フレームを通じて、当該端末に送信すべきユーザ・データがもうないことが示される。従来技術では、APがデータ・フレームを送信した後、APが応答フレームの受信に成功したかどうかに関わらず、APはデータ・フレームを端末に再送せず、端末との通信は終了する。特に、APが応答フレームを受信しない場合には、再送を実施するために新規の送信機会期間が争われる。しかし、本発明の実施形態によれば、APが応答フレームを受信しない
場合には、データ・フレームは現在の送信機会期間中に直接再送される。
【0021】
S120で、APが応答フレームを受信しない2つのケースがある。ケース1:端末がデータ・フレームを受信しないかまたはデータ・フレームが誤ってデコードされた可能性があるためAPがフレームを全く受信せず、その結果、応答フレームが送信されない。または、応答フレームが送信中に紛失しAPが応答フレームの存在を検知しない。ケース2:APがフレームを受信したが、APが当該フレームを誤ってデコードし、したがって、APは当該フレームを応答フレームとして特定することができない。
【0022】
何れにせよ、幾つかのケースではAPはデータ・フレームを端末に再送してエラー回復を実施できる場合がある。例えば、端末が応答フレームを送信しないのでAPが応答フレームを受信することができない。このケースでは、端末はデータ・フレームを受信しないかまたはデータ・フレームが誤ってデコードされ、端末はドーズ状態に入らない。このケースでは、APはデータ・フレームを再送することによってエラー回復を実施することができる。
【0023】
本発明の1実施形態によれば、APは現在の送信機会期間内の所定期間中にデータ・フレームを端末に再送してもよく、端末は当該所定期間の後にドーズ状態に入る。
【0024】
或る期間をAPと端末に対して事前に設定してもよく、端末がユーザ・データ送信の終了を示すデータ・フレームを正しく受信し応答フレームを返した場合でも、端末はすぐにはドーズ状態に入らず、ドーズ状態に入る前に暫く待機する。このように、APがエラー回復を実施するための冗長な時間があってもよく、したがって、応答フレームが紛失したかまたはエラーが発生してAPが応答フレームを受信できない場合でも、APには依然として現在の送信機会期間中にエラー回復を実施する機会がある。当該所定期間が終了すると、APは、端末がドーズ状態に入ったことを確認し、データ・フレームの再送を停止する。
【0025】
本発明の実施形態によれば、当該所定期間はSIFS(Short Interframe Space、短フレーム間隔)より短くない期間であってもよい。
【0026】
例えば、当該所定期間がTxPIFSであってもよい。TxPIFSとは、PIFSとaTxRxturnaroundTimeの差分である。aTxRxturnaroundTimeの値は、様々なWiFi(Wireless Fidelity、ワイヤレス・フィデリティ)システムに応じて異なる。当該システムが、直交周波数分割多重システムであるときには、aTxRxturnaroundTimeは2μsより短い。aTxRxturnaroundTimeが、チャネル監視状態から送信状態へ切り替える時間間隔を表してもよい。PIFSは、SIFSとaSlotTime(タイム・スロット期間)の和であり、aSlotTimeは時間単位であり、802.11ac標準ではaSlotTimeが9μsであってもよい。
【0027】
別の例では、上記所定期間がPIFS(Point(coordination function)Interframe Space、ポイント(連携機能)フレーム間隔)より短くない期間であってもよい。例えば、当該所定期間がDIFS(Distributed(coordination function)Interframe Space、分散(連携機能)フレーム間隔)であってもよい。DIFSがPIFSとaSlotTimeの和であってもよい。別の例では、当該所定期間がTxPIFSであってもよい。TxPIFSはDIFSとaTxRxturnaroundTimeの差分である。
【0028】
本発明の1実施形態によれば、APが現在の送信機会期間中に所定回数だけデータ・フレームを端末に再送してもよい。
【0029】
APが応答フレームを受信しない場合には、APは一定の回数だけデータ・フレームを直接再送してもよく、その結果、現在の送信機会期間中にエラー回復を実施できる可能性が高い。例えば、端末がデータ・フレームを受信しないかまたはデータ・フレームが誤ってデコードされたためにAPが応答フレームを受信できないケースでは、端末はドーズ状態になく、APはデータ・フレームを直接再送して現在の送信機会期間中にエラー回復を実施することができる。
【0030】
本発明の1実施形態によれば、APは現在の送信機会期間中にデータ・フレームを端末に一回再送してもよい。APが1回再送することでエラー回復の目的が達成されない場合には、続いて再送してもこの目的が達成される可能性は低いというのが一般的な見方である。したがって、一回の再送により、エラー回復効率とネットワーク・リソースのオーバヘッドの良好なトレードオフを実現することができ、当該エラー回復を実施するための複数回の再送により生ずる不要なネットワーク・オーバヘッドが省かれる。
【0031】
本発明の実施形態に従うエラー回復方法では、ユーザ・データ送信の終了を示すデータ・フレームが送信された後、応答フレームが受信されない場合には、データ・フレームを現在の送信機会期間中に直接再送する。その結果、従来技術とは異なり、再送を実施できる前に新規の送信機会期間を争う必要はない。したがって、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施することができ、それによりエラー回復が迅速になりエラー回復の遅延が減る。エラー回復を現在の送信機会期間中に実施できると、不必要に新規の送信機会期間を争うことが回避され、それによりエラー回復の効率が向上し、ネットワーク・リソースが節約され、サービス品質が向上する。
【0032】
図2は、本発明の1実施形態に従うエラー回復方法200の流れ図である。
【0033】
S210で、データ・フレームが節電モードに入ることを許可された端末に送信され、当該端末でデータ・フレームがユーザ・データ送信の終了を示すために使用される。このステップは基本的にはS110と同じである。
【0034】
本発明の1実施形態によれば、S210の次にS212とS220を行ってもよい。S212で、応答フレームを受信する所定期間中に正常チャネル評価結果が所定閾値より低いことが検出された場合、応答フレームが受信されなかったと判定する。S220で、データ・フレームが現在の送信機会期間中に端末に再送される。
【0035】
APは、正常チャネル評価(Clear Channel Assessment、CCA)結果を検出することにより、応答フレームが受信されたかどうかを判定してもよい。APは、チャネル内の搬送波電力を監視し測定することによって、CCAの結果を検出してもよい。
【0036】
標準においては、データ・フレームと返された応答フレームとの時間間隔を、例えばSIFSとして定義する。APはデータ・フレームを端末に送信し、次いでAPは端末が返す応答フレームを待機する。端末がデータ・フレームを正しく受信できた場合は、端末は、データ・フレームを受信し終わった後にSIFS期間中に応答フレームを返す。チャネル内の応答フレームの送信時間は固定されておらず、送信帯域幅と変調方式に応じて変化する。
【0037】
応答フレームの送信時間は固定されていない、即ち、応答フレームの送信長は固定されていないけれども、応答フレームの送信長には、少なくともプリアンブル・シーケンスとデータ・セクションが含まれる。データ・セクションは確認情報を運搬するために使用され、データ・セクションの最小長は様々な標準において異なる。例えば、802.11標準では、プリアンブル・シーケンスは、L−STF(Legacy Short Training Field、レガシー・ショート・トレーニング・フィールド)、L−LTE(Legacy Long Training Field、レガシー・ロング・トレーニング・フィールド)、およびL−SIG(Legacy Signal、レガシー・シグナル)を含んでもよい。データ・セクションは、少なくとも1つの直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Modulation、 OFDM)シンボルを含んでもよく、応答フレームの送信長は少なくともL−STF、L−LTF、L−SIG、およびOFDMシンボルの長さの和である。具体的には、802.11ac標準では、L−STFは8μsであり、L−LTEは8μsであり、L−SIGは4μsであり、および1つのOFDMシンボルは4μsであり、したがって応答フレームの送信時間は少なくとも24μsである。
【0038】
APに対して、応答フレームを受信するための所定期間はAPがデータ・フレームを端末に送信した後に開始してもよく、または、APがデータ・フレームを端末に送信した後にSIFSの期間待機するときに開始してもよい。応答フレームを受信するための所定期間がデータ・フレームをAPが送信したときに開始する場合は、応答フレームを受信するための所定期間はPIFSの期間だけ継続してもよい。応答フレームを受信するための所定期間がデータ・フレームを端末に送信した後SIFSの期間だけ待機するときに開始したときは、応答フレームを受信するための所定期間は、応答フレームの最短送信時間だけ継続してもよく、または、応答フレームの最短送信時間より短い期間だけ継続してもよい。例えば、従来技術の標準では、データ・フレームを送信した後、APはSIFSの期間だけ待機してSSAの結果を検出し始めるが、検出時間は24μsを超えない。24μs内の検出によりCCAの結果が所定閾値より低いことが示された場合には、応答フレームが受信されなかったと判定される。
【0039】
応答フレームを受信するための所定期間において、CCAの結果が閾値より低いままであることをAPが検出した場合には、応答フレームが受信されなかったと判定されるが、当該期間の任意の時点でCCAの結果が所定閾値より低くないとAPが検出した場合には、応答フレームが受信されたと判定してもよい。
【0040】
本発明の1実施形態によれば、S210の次にS214とS220を実施してもよい。S214で、応答フレームを受信するための所定期間中にCCAの結果が所定閾値より低くないとAPが検出した場合には、これはAPが応答フレームを受信したことを意味する。しかし、当該フレームが誤ってデコードされた場合には、APは当該フレームを応答フレームとして特定することができず、APは応答フレームが受信されなかったと判定する。
【0041】
S220で、データ・フレームを現在の送信機会期間中に端末に再送する。
【0042】
本発明の諸実施形態で提供するエラー回復方法によれば、応答フレームを受信するための所定期間中に正常チャネル評価結果を検出することによって、APは応答フレームが受信されたかどうかを効果的に判定することができ、その結果、APは応答フレームを受信するための所定期間中に何らかのエラーが発生したかどうかを迅速に判定することができ、それによりAPに対する迅速なエラー回復が促進され、エラー回復の効率が向上する。
【0043】
以下で、図3を参照して本発明の1実施形態に従うエラー回復方法300を説明する。
【0044】
図3に示すように、方法300は、S310でアクセス・ポイントが送信したデータ・フレームを受信するステップであって、当該データ・フレームがユーザ・データ送信の終了を示すために使用されるステップと、S320でアクセス・ポイントにより再送されたデータ・フレームを現在の送信機会期間中に受信するステップであって、当該・データ・フレームはアクセス・ポイントが応答フレームを受信できなかった場合にアクセス・ポイントにより再送され、アクセス・ポイントにより送信されたデータ・フレームが節電モードに入ることを許可された端末により受信されたときに応答フレームが当該端末により返されるステップと、を含む。
【0045】
例えば、方法300をSTAにより実行してもよい。ユーザ・データ送信の終了を示すデータ・フレームをSTAがAPから受信した後、データ・フレームに応答して応答フレームをAPがSTAから受信しない場合は、APは現在の送信機会期間中にデータ・フレームをSTAに再送して、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施でき、エラー回復を実施するために新規の送信機会期間を争う必要がないようにする。STAの動作はAPの動作に対応するので、方法300の内容については方法100の関連する説明を参照することができ、本明細書では繰り返さない。
【0046】
S310で、ユーザ・データ送信の終了を示すデータ・フレームはデータ・モア・データ・フィールドが0であるフレームであってもよい。STAは、データ・フレームが誤ってデコードされたために応答フレームを返すことができず、または、応答フレームを返したがAPが応答フレームを受信できなかったかもしれない。
【0047】
S320で、APが応答フレームを受信しなかった場合には、APはデータ・フレームをSTAに再送する。APが応答フレームを受信しない理由は、応答フレームが送出されなかったからであるかもしれず、または、応答フレームが紛失したからかもしれず、または、応答フレームが誤ってデコードされたからかもしれない。したがって、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施してもよい。正常チャネル評価結果を検出することによって、APは応答フレームが受信されたかどうかを判定してもよい。詳細は、上述の方法200のS212とS214に開示されている。
【0048】
本発明の実施形態に従うエラー回復方法では、節電モードに入ることが許可された端末が現在の送信機会期間中に、アクセス・ポイントが再送したユーザ・データ送信の終了を示すためのデータ・フレームを受信することができる。その結果、アクセス・ポイントが再送前に新規の送信機会期間を争う必要がある従来技術とは異なり、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施することができ、それによりエラー回復が迅速になりエラー回復の遅延が減る。エラー回復を現在の送信機会期間中に実施できると、不必要に新規の送信機会期間を争うことが回避され、それによりエラー回復の効率が向上し、ネットワーク・リソースが節約され、サービス品質が向上する。
【0049】
図4は、本発明の1実施形態に従うエラー回復方法400の流れ図である。
【0050】
S410で、アクセス・ポイントが送信したデータ・フレームを受信する。当該データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために使用される。当該ステップは基本的にはS310と同じである。
【0051】
本発明の1実施形態によれば、S410の次にS422を実施してもよい。S422で、データ・フレームが誤ってデコードされた場合は、アクセス・ポイントが再送したデータ・フレームを現在の送信機会期間中に受信する。
【0052】
STAが受信したデータ・フレームが誤ってデコードされた場合には、STAは応答フレームを返さずドーズ状態に入らない。したがって、APは必ずデータ・フレームを現在の送信機会期間中にSTAに再送してエラー回復を実施することができる。従来技術とは異なり、再送のためにデータ送信を停止し新規の送信機会期間を争う必要はない。これらは、不要な送信遅延、低エラー回復効率、およびネットワーク・リソースの無駄につながるものである。したがって、STAは現在の送信機会期間中にAPが再送したデータ・フレームを直接受信して、現在の送信機会期間中にエラー回復を実施することができ、それによりエラー回復の効率が向上し、リソース接続に起因するネットワーク・オーバヘッドが減り、サービス品質が向上する。
【0053】
本発明の1実施形態によれば、S410の次にS424を実施してもよい。S424で、データ・フレームが正しくデコードされた場合には、応答フレームをアクセス・ポイントに送信した後、アクセス・ポイントから再送されたデータ・フレームを現在の送信機会期間内の所定期間中に受信し、当該所定期間の後にドーズ状態に入る。
【0054】
STAにより受信されたデータ・フレームが正しくデコードされたので、STAは応答フレームをAPに返す。応答フレームの送信中にエラーが発生した可能性があるため、APは応答フレームを受信できない、即ち、応答フレームが紛失したかまたは誤ってデコードされるかもしれない。したがって、発生した可能性のあるエラーから回復するための冗長な時間をもたせるために、応答フレームを返した後、STAはすぐにはドーズ状態に入らず、応答フレームの受信の際にAPが失敗した可能性のために再送されたデータ・フレームを所定期間内に受信するための所定期間だけ待機する。その結果、現在の送信機会期間中にエラー回復の実施が成功する割合が増大し、エラー回復を実施するためにAPが新規の送信機会期間を争う必要はない。
【0055】
本発明の1実施形態によれば、当該所定期間はSIFSより短くない期間であってもよい。APにより送信されたデータ・フレームをSTAが継続的に受信するための最短期間はSIFSであるので、APがSTAへの再送信を実施する場合には、STAがデータ・フレームを受信するための時間間隔は少なくともSIFSであり、その結果、STAはドーズ状態に入る前に少なくともSIFSだけ待機する必要がある。802.11ac標準では、SIFSが16μsであってもよい。
【0056】
本発明の1実施形態によれば、当該所定期間がTxPIFSであってもよい。TxPIFSはPIFSとaTxRxturnaroundTimeの差分である。本発明の1実施形態によれば、当該所定期間はPIFSより短くない期間であってもよい。例えば、当該所定期間がDIFS(Distributed(coordination function)Interframe Space、分散(連携機能)フレーム間隔)であってもよい。DIFSがPIFSとaSlotTimeの和であってもよい。別の例では、当該所定期間がTxPIFSであってもよい。TxPIFSはDIFSとaTxRxturnaroundTimeの差分である。
【0057】
本発明の1実施形態によれば、当該所定期間が、応答フレームを送信した時刻からアクセス・ポイントが他の端末に送信したフレームを受信した時刻までの期間であってもよい。
【0058】
応答フレームを返した後、STAはドーズ状態に入らず、応答フレームの受信に失敗したためにAPが再送したデータ・フレームを受信する。APがフレームを他の端末に送信し始めた場合、これはAPが応答フレームの受信に成功し他の端末との通信に切り替えたことを意味する。したがって、APが他の端末に送信したフレームを受信した際、STAはドーズ状態に入って電力を節約する。
【0059】
さらに、S422およびS424を別の諸実施形態または同一の実施形態に含めてもよい。S422およびS424を同一の実施形態に含めた場合は、S422およびS424の実行シーケンスは本発明の保護範囲を限定せず、S422およびS424はデータ・フレームのデコード結果に基づいて実行される。
【0060】
本発明の実施形態に従うエラー回復方法では、STAはユーザ・データ送信の終了を示すためのデータ・フレームが誤ってデコードされたときにAPが再送したデータ・フレームを依然として受信することができる。一方、従来技術では、誤ってデコードしたケースで再送されるデータ・フレームを受信することはできない。したがって、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施することができる。さらに、従来技術と異なり、STAが応答フレームを返した場合には、STAはすぐにドーズ状態に入らずその前に所定期間だけ待機する。それにより、応答フレームの受信失敗に起因するエラーから回復するための冗長な時間がもたらされる。したがって、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施することができる。したがって、本発明の実施形態に従うエラー回復方法を用いるとエラー回復を迅速にすることができ、エラー回復の遅延を減らすことができる。エラー回復を現在の送信機会期間中に実施できると、不必要に新規の送信機会期間を争うことが回避され、それによりエラー回復の効率が向上し、ネットワーク・リソースが節約され、サービス品質が向上する。
【0061】
以上で本発明の諸実施形態に従うエラー回復方法を説明した。本発明の諸実施形態に従うエラー回復に対応する装置を以下で図5乃至8の構造ブロック図を参照して説明する。
【0062】
図5は、本発明の1実施形態に従うアクセス・ポイント装置500の構造ブロック図である。
【0063】
アクセス・ポイント装置500は送信モジュール510と再送モジュール520を備える。アクセス・ポイント装置500は、無線ローカル・エリア・ネットワーク内のAPであってもよく、アクセス・ポイント装置を介してネットワークにアクセスする端末にサービスを提供する。送信モジュール510を、データ・フレームを節電モードに入ることを許可された端末に送信するように構成してもよく、当該データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために使用される。再送モジュール520を、データ・フレームを受信したことに応答して端末が返す応答フレームがない場合に、データ・フレームを現在の送信機会期間中に端末に再送するように構成してもよい。
【0064】
送信モジュール510および再送モジュール520の上記もしくは他の動作および/または機能が上述の方法100におけるS110およびS120を参照してもよいので、本明細書では繰り返さない。
【0065】
本発明の実施形態によれば、ユーザ・データ送信の終了を示すデータ・フレームを送信した後に、アクセス・ポイント装置は応答フレームが受信されなかった場合にデータ・フレームを現在の送信機会期間中に再送し、その結果、従来技術とは異なり、再送前に新規の送信機会期間を争う必要はない。したがって、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施することができ、それによりエラー回復が迅速になりエラー回復の遅延が減る。エラー回復を現在の送信機会期間中に実施できると、不必要に新規の送信機会期間を争うことが回避され、それによりエラー回復の効率が向上し、ネットワーク・リソースが節約され、サービス品質が向上する。
【0066】
図6は、本発明の1実施形態に従うアクセス・ポイント装置600の構造ブロック図である。アクセス・ポイント装置600の送信モジュール610および再送モジュール620は、基本的にはアクセス・ポイント装置500の送信モジュール510および再送モジュール520と同じである。
【0067】
本発明の実施形態によれば、再送モジュール620は第1の再送ユニット622および/または第2の再送ユニット624を備えてもよい。第1の再送ユニット622を、応答フレームを受信するための所定期間内に正常チャネル評価結果が所定閾値より低いと検出された場合にデータ・フレームを現在の送信機会期間中に端末に再送し、応答フレームが受信されなかったと判定するように構成してもよい。第2の再送ユニット624を、応答フレームを受信するための所定期間内に正常チャネル評価結果が所定閾値より低くないが応答フレームを受信するための所定期間に受信されたフレームが誤ってデコードされたと検出された場合に、データ・フレームを現在の送信機会期間中に端末に再送し、応答フレームが受信されなかったと判定するように構成してもよい。
【0068】
本発明の1実施形態によれば、再送モジュール620を、データ・フレームを現在の送信機会期間内の所定期間中に端末に再送するように構成してもよく、端末は当該所定期間の後にドーズ状態に入る。
【0069】
本発明の1実施形態によれば、再送モジュール620を、データ・フレームを現在の送信機会期間中に所定回数だけ端末に再送するように構成してもよい。例えば、当該所定回数が1回であってもよい。
【0070】
第1の再送ユニット622、第2の再送ユニット624、および再送モジュール620の上記もしくは他の動作および/または機能が上述の方法200におけるS212、S214、およびS220ならびに方法100におけるS120を参照してもよいので、本明細書では繰り返さない。
【0071】
本発明の実施形態によれば、応答フレームを受信するための所定期間中に正常チャネル評価結果を検出することによって、アクセス・ポイント装置は応答フレームが受信されたかどうかを効果的に判定することができ、その結果、応答フレームを受信するための所定期間中に、アクセス・ポイントは何らかのエラーが発生したかどうかを迅速に判定することができ、それにより迅速なエラー回復が促進され、エラー回復の効率が向上する。
【0072】
図7は、本発明の1実施形態に従う端末装置700の構造ブロック図である。
【0073】
端末装置700は、第1の受信モジュール710および第2の受信モジュール720を備える。端末装置700は、コンピュータ、サーバ、およびユーザ端末であってもよく、無線ローカル・エリア・ネットワークのアクセス・ポイントを介してネットワークにアクセスしてもよい。第1の受信モジュール710を、アクセス・ポイントが送信したデータ・フレームを受信するように構成してもよく、当該データ・フレームはユーザ・データ送信の終了を示すために使用される。第2の受信モジュール720を、現在の送信機会期間中にアクセス・ポイントが再送したデータ・フレームを受信するように構成してもよく、アクセス・ポイントが再送したデータ・フレームは、アクセス・ポイントが応答フレームを受信できなかった場合にアクセス・ポイントにより再送され、応答フレームは、アクセス・ポイントが送信したデータ・フレームが節電モードに入ることを許可された端末により受信された後に、端末により返される。
【0074】
第1の受信モジュール710および第2の受信モジュール720の上記もしくは他の動作および/または機能は上述の方法300におけるS310およびS320を参照してもよいので、本明細書では繰り返さない。
【0075】
本発明の実施形態で提供する端末装置によれば、節電モードに入ることが許可された端末装置は、ユーザ・データ送信の終了を示し現在の送信機会期間中にアクセス・ポイントにより再送されたデータ・フレームを受信することができる。その結果、アクセス・ポイントが再送のために新規の送信機会期間を争う必要がある従来技術とは異なり、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施することができ、それによりエラー回復が迅速になりエラー回復の遅延が減る。エラー回復を現在の送信機会期間中に実施できると、不必要に新規の送信機会期間を争うことが回避され、それによりエラー回復の効率が向上し、ネットワーク・リソースが節約され、サービス品質が向上する。
【0076】
図8は、本発明の1実施形態に従う端末装置800の構造ブロック図である。端末装置800の第1の受信モジュール810および第2の受信モジュール820は、基本的には端末装置700の第1の受信モジュール710および第2の受信モジュール720と同じである。
【0077】
本発明の実施形態によれば、第2の受信モジュール820は第1の受信ユニット822および/または第2の受信ユニット824を備えてもよい。第1の受信ユニット822を、データ・フレームが誤ってデコードされた場合に、アクセス・ポイントが現在の送信機会期間中に再送したデータ・フレームを受信するように構成してもよい。第2の受信ユニット824を、データ・フレームが正確にデコードされた場合、応答フレームがアクセス・ポイントに送信された後に、現在の送信機会期間内の所定期間中にアクセス・ポイントから再送されたデータ・フレームを受信し、当該所定期間後にドーズ状態に入るように構成してもよい。
【0078】
本発明の1実施形態によれば、当該所定期間は、応答フレームを送信した時刻からアクセス・ポイントが他の端末に送信したフレームを受信した時刻までの期間であってもよい。
【0079】
本発明の1実施形態によれば、当該所定期間はSIFSより短くない期間であってもよい。例えば、当該所定期間がTxPIFSであってもよい。
【0080】
本発明の1実施形態によれば、当該所定期間はPIFSより短くない期間であってもよい。例えば、当該所定期間がDIFSまたはTxDIFSであってもよい。
【0081】
第1の受信ユニット822および第2の受信ユニット824の上記もしくは他の動作および/または機能は上述の方法400におけるS422およびS424を参照してもよいので、本明細書では繰り返さない。
【0082】
本発明の実施形態で提供する端末装置によれば、ユーザ・データ送信の終了を示すためのデータ・フレームが誤ってデコードされたときに端末装置はアクセス・ポイントが再送したデータ・フレームを依然として受信することができる。一方、従来技術では、誤ってデコードされた場合には再送されたデータ・フレームを受信することはできない。したがって、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施することができる。さらに、端末装置が応答フレームを返す場合、従来技術と異なり、端末装置はすぐにはドーズ状態に入らずその前に所定期間待機し、それにより応答フレームの受信失敗に起因するエラーから回復するための冗長な時間がもたらされる。したがって、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施することができる。したがって、本発明の諸実施形態によれば、端末装置はエラー回復を迅速にすることができ、エラー回復の遅延を減らすことができる。エラー回復を現在の送信機会期間中に実施できると、不必要に新規の送信機会期間を争うことが回避され、それによりエラー回復の効率が向上し、ネットワーク・リソースが節約され、サービス品質が向上する。
【0083】
図9は、本発明の1実施形態に従うエラー回復システム900の構造ブロック図である。システム900は、アクセス・ポイント装置910および端末装置920を備える。
【0084】
アクセス・ポイント装置910を、節電モードに入ることが許可された端末装置920に、ユーザ・データ送信の終了を示すために使用されるデータ・フレームを送信し、当該データ・フレームに応答して端末装置920返した応答フレームが受信されなかった場合に、当該データ・フレームを現在の送信機会期間中に端末装置920に再送するように構成してもよい。
【0085】
端末装置920を、アクセス・ポイント装置910が送信したデータ・フレームを受信し、アクセス・ポイント装置910が現在の送信機会期間中に再送したデータ・フレームを受信するように構成してもよい。
【0086】
アクセス・ポイント装置910の上記もしくは他の動作および/または機能が、方法100および200における対応する内容を参照することができ、端末装置920の上記もしくは他の動作および/または機能が、方法300および400における対応する内容を参照することができるので、本明細書では説明を繰り返さない。
【0087】
本発明の実施形態に従うエラー回復システムでは、ユーザ・データ送信の終了を示すデータ・フレームを送信した後、アクセス・ポイント装置は応答フレームが受信されない場合にデータ・フレームを現在の送信機会期間中に直接再送する。その結果、従来技術と異なり、再送前に新規の送信機会期間を争う必要はない。したがって、エラー回復を現在の送信機会期間中に実施することができ、それによりエラー回復が迅速になりエラー回復の遅延が減る。エラー回復を現在の送信機会期間中に実施できると、不必要に新規の送信機会期間を争うことが回避され、それによりエラー回復の効率が向上し、ネットワーク・リソースが節約され、サービス品質が向上する。
【0088】
本明細書で開示した諸実施形態に従う方法およびユニットのステップを電子ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、またはそれらの組合せで実装してもよいことは当業者には理解される。ハードウェアおよびソフトウェアの互換性を明確に説明するために、各実施形態のステップおよび一部は以上の明細書における機能に一般的に従って説明されている。これらの機能がハードウェアまたはソフトウェアを通じて実装されるかどうかは、技術的解決策の具体的な適用と設計の制約に依存する。当業者は様々な方法を使用して説明した機能を具体的な適用ごとに実装できるが、この実装は本発明の保護範囲を超えるものとして解釈すべきではない。
【0089】
本明細書で開示した諸実施形態に従う方法のステップを、ハードウェア、もしくはプロセッサにより実行されるソフトウェア・プログラムによって実装することができ、またはそれらの組合せによって実装することができる。当該ソフトウェア・プログラムは、RAM(random access memory)、メモリ、ROM(read−only memory)、電子的プログラム可能ROM、電子的消去可能プログラム可能ROM、レジスタ、ハード・ディスク、取外し可能磁気ディスク、もしくはCD−ROM、または当業界で公知な他の任意の種類の記憶媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
500 アクセス・ポイント装置
510 送信モジュール
520 再送モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9