特許第5966214号(P5966214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966214
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】チューブレスマイクロポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 5/00 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   F04C5/00 341C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-96234(P2013-96234)
(22)【出願日】2013年5月1日
(65)【公開番号】特開2014-218899(P2014-218899A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】597095957
【氏名又は名称】株式会社アクアテック
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】玉川 長雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 広昭
(72)【発明者】
【氏名】西松 忠男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛士
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−200794(JP,A)
【文献】 米国特許第05899675(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材料で構成されたベース部材の上面に、回転装置によって回転される回転加圧部材を収容させる回転加圧部材収容部と、回転加圧部材収容部の周囲に沿って回転加圧部材の回転に伴って流体を送る送り流路と、この送り流路に流体を導入させる導入流路と、送り流路から送られてきた流体を送り出す導出流路とが凹設されてなり、このベース部材の上面に蓋部材が取り付けられて、ベース部材の上面が閉塞されるチューブレスマイクロポンプにおいて、前記の回転加圧部材回転装置により回転されて、この回転加圧部材により回転加圧部材収容部と送り流路との間の隔壁部を送り流路側に押圧変形させる部分、導入流路側から導出流路側に向けて周方向に移動されることを特徴とするチューブレスマイクロポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブレスマイクロポンプにおいて、前記のベース部材の上面に前記の蓋部材を装着させる取付用凹部が設けられると共に、前記の蓋部材の下面に前記の取付用凹部内に圧入させる取付用凸部が設けられ、蓋部材の取付用凸部ベース部材の取付用凹部内に圧入されて、ベース部材の上面に蓋部材装着されると共に前記のベース部材の上面部変形されて、前記の送り流路の上部と導入流路の上部と導出流路の上部とそれぞれベース部材によって閉塞されることを特徴とするチューブレスマイクロポンプ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のチューブレスマイクロポンプにおいて、前記の回転加圧部材は、回転装置によって回転される回転軸と、この回転軸に取り付けられて偏芯回転する偏芯ロータと、この偏芯ロータの外周に設けられて回転加圧部材収容部と送り流路との間の隔壁部を送り流路側に押圧する押圧部材を有することを特徴とするチューブレスマイクロポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブを使用しないで流体を適切に送液させるようにしたチューブレスマイクロポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、マイクロポンプによって微小量の流体を送液させることが行われている。
【0003】
そして、このようなマイクロポンプとしては、一般に、特許文献1等に示されるように、本体ケース内に設けられた円形状のチューブ収容部の内壁面に沿わせてチューブをリング状に配置し、チューブの内周側において回転加圧部材を回転装置により回転させ、この回転加圧部材により、前記のチューブをチューブ収容部の内壁面に押圧変形させる部分を周方向に移動させて、このチューブ内を通して流体を送液させるようにしたチューブポンプが使用されている。
【0004】
ここで、このようなチューブポンプにおいては、本体ケースとは別にチューブを用いるため、部品数が増加すると共に、チューブポンプの大きさ等に応じて適当な径のチューブを選択して装着させることが必要になる等の問題があった。
【0005】
また、このようなチューブポンプにおいては、回転加圧部材によりチューブをチューブ収容部の内壁面に押圧変形させる部分を周方向に移動させるため、次第にチューブが摩耗したり、損傷したりするため、チューブを交換させることが必要になる。
【0006】
しかし、チューブを交換させるにあたっては、円形状のチューブ収容部の内壁面に沿わせて配置されて、回転加圧部材によって加圧された状態にあるチューブを、前記のチューブ収容部から取り出し、その後、新しいチューブを同様の状態にセットすることが必要になり、チューブを交換させる作業が面倒で時間を要するという問題があった。
【0007】
そして、特許文献1においては、チューブポンプを、円形状のチューブ収容部を備えた外側部材、チューブ及びチューブをチューブ収容部の内壁面に押し付けて加圧する加圧部材等で形成される従動側ユニットと、前記の加圧部材を偏芯運動させる偏芯軸及びこの偏芯軸を駆動させるモータ等で形成される駆動側ユニットとを分離可能に設け、チューブを交換させるにあたり、前記の従動側ユニットと駆動側ユニットとを分離させて、駆動側ユニットに設けられた偏芯軸を従動側ユニットにおける加圧部材内から抜き出し、加圧部材によるチューブの加圧を弱めた状態で、チューブ収容部の内壁面と加圧部材との間に装着されたチューブを交換させるようにしたものが提案されている。
【0008】
しかし、このようにした場合においても、チューブをチューブ収容部の内壁面と加圧部材との間から取り出して装着させる作業が必要になり、依然として、チューブを交換させる作業が面倒で時間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−200794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のようなチューブポンプにおける問題を解決することを課題とするものであり、チューブを使用しないで流体を適切に送液できるようにしたチューブレスマイクロポンプを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るチューブレスマイクロポンプにおいては、前記のような課題を解決するため、弾性材料で構成されたベース部材の上面に、回転装置によって回転される回転加圧部材を収容させる回転加圧部材収容部と、回転加圧部材収容部の周囲に沿って回転加圧部材の回転に伴って流体を送る送り流路と、この送り流路に流体を導入させる導入流路と、送り流路から送られてきた流体を送り出す導出流路とが凹設されてなり、このベース部材の上面に蓋部材が取り付けられて、ベース部材の上面が閉塞されるチューブレスマイクロポンプにおいて、前記の回転加圧部材回転装置により回転されて、この回転加圧部材により回転加圧部材収容部と送り流路との間の隔壁部を送り流路側に押圧変形させる部分、導入流路側から導出流路側に向けて周方向に移動されるようにした。
【0012】
ここで、前記のチューブレスマイクロポンプにおいては、前記のベース部材の上面に前記の蓋部材を装着させる取付用凹部を設けると共に、前記の蓋部材の下面に前記の取付用凹部内に圧入させる取付用凸部を設け、蓋部材の取付用凸部をベース部材の取付用凹部内に圧入させることにより、ベース部材の上面に蓋部材を装着させると共に前記のベース部材の上面部を変形させて、前記の送り流路の上部と導入流路の上部と導出流路の上部とがそれぞれベース部材によって閉塞されるようにすることができる。
【0013】
ここで、前記のチューブレスマイクロポンプにおいて、前記の回転加圧部材としては、回転装置によって回転される回転軸と、この回転軸に取り付けられて偏芯回転する偏芯ロータと、この偏芯ロータの外周に設けられて回転加圧部材収容部と送り流路との間の隔壁部を送り流路側に押圧する押圧部材を有するものを用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のチューブレスマイクロポンプにおいては、前記のようにベース部材の回転加圧部材収容部内に収容された回転加圧部材を回転装置により回転させ、この回転加圧部材により回転加圧部材収容部と送り流路との間の隔壁部を送り流路側に押圧変形させる部分を、導入流路側から導出流路側に向けて周方向に移動させるようにしたため、導入流路から送り流路に導かれた流体が、前記のように導入流路側から導出流路側に向けて周方向に移動する押圧変形された部分に伴って導出流路に送られるようになる。
【0015】
この結果、本発明のチューブレスマイクロポンプにおいては、従来のチューブポンプのようにチューブを使用しなくても、流体を導入流路から送り流路を通して導出流路に導いて送液させることができるようになると共に、チューブを本体ケース内に設けられた円形状のチューブ収容部の内壁面に沿うように装着させたり、またこのように装着させたチューブを交換させたりする面倒な作業を行う必要もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るチューブレスマイクロポンプに使用するベース部材を示し、(A)は概略平面図、(B)は概略断面図である。
図2】前記の実施形態に係るチューブレスマイクロポンプに使用する蓋材の概略底面図である。
図3】前記の実施形態に係るチューブレスマイクロポンプに使用する回転加圧部材の概略平面図である。
図4】前記の実施形態に係るチューブレスマイクロポンプにおいて、ベース部材に設けられた回転加圧部材収容部内に回転加圧部材を収容させた状態を示した概略断面図である。
図5】前記の実施形態に係るチューブレスマイクロポンプを示し、(A)は概略平面図、(B)は概略断面図である。
図6】前記の実施形態に係るチューブレスマイクロポンプにおいて、回転加圧部材収容部内に収容させる回転加圧部材を変更させた変更例の概略平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態に係るチューブレスマイクロポンプを添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係るチューブレスマイクロポンプは、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0018】
この実施形態に係るチューブレスマイクロポンプ1においては、図1(A),(B)に示すように、シリコンゴム等の弾性材料で構成されたベース部材10の上面に、回転装置20によって回転される回転加圧部材21を収容させる回転加圧部材収容部11と、この回転加圧部材収容部11の周囲に沿って回転加圧部材21の回転に伴って流体を送る送り流路12と、この送り流路12に流体を導入させる導入流路13と、送り流路12から送られてきた流体を送り出す導出流路14とを凹設させている。また、前記の回転加圧部材収容部11の中央部に、前記の回転加圧部材21における回転軸21aを挿通させる軸受穴部15を設けると共に、導入流路13と連通される送り流路12の導入部と、導出流路14と連通される送り流路12の導出部と対応する回転加圧部材収容部11の各位置に、それぞれ回転加圧部材収容部11内に突出する突起部16a,16bを設けている。さらに、前記の送り流路12と導入流路13と導出流路14に沿うようにして、ベース部材10の上面に蓋部材30を装着させる取付用凹部17を設けている。
【0019】
一方、このベース部材10の上面に取り付ける蓋部材30においては、図2に示すように、ベース部材10に設けた前記の取付用凹部17内に圧入させて蓋部材30をベース部材10に取り付けるための取付用凸部31を下面から突出するように設けると共に、前記の回転加圧部材21における回転軸21aを回転可能に保持する軸受穴32を設けている。なお、この蓋部材30における取付用凸部31は、ベース部材10に設けた前記の取付用凹部17よりも幅が大きくなっている。
【0020】
また、前記の回転加圧部材21としては、図3に示すように、回転装置20によって回転する回転軸21aと、この回転軸21aに取り付けられて偏芯回転する偏芯ロータ21bと、この偏芯ロータ21bの外周に設けられて前記の回転加圧部材収容部11と送り流路12との間の隔壁部18を押圧する押圧部材21cとで構成されたものを用いている。
【0021】
そして、図4に示すように、前記の回転加圧部材21を回転加圧部材収容部11内に収容させ、この回転加圧部材21における回転軸21aを回転加圧部材収容部11の中央部に設けられた軸受穴部15を通してベース部材10の下方に延出させて回転装置20に装着させるようにしている。
【0022】
また、このように回転加圧部材21を回転加圧部材収容部11内に収容させた状態で、図5(A),(B)に示すように、ベース部材10に設けられた取付用凹部17内に、この取付用凹部17よりも幅が大きくなった蓋部材30における取付用凸部31を圧入させて、ベース部材10の上面に蓋部材30を取り付けると共に、この蓋部材30に設けられた前記の軸受穴32に、前記の回転加圧部材21における回転軸21aの端部を回転可能に保持させるようにする。
【0023】
ここで、前記のようにベース部材10に設けられた取付用凹部17内に、取付用凹部17よりも幅が大きくなった蓋部材30における取付用凸部31を圧入させると、前記の送り流路12や導入流路13や導出流路14と取付用凹部17との間におけるベース部材10が、この取付用凸部31に押されて変形し、送り流路12や導入流路13や導出流路14の各上部側が変形したベース部材10によって閉塞されるようになる。
【0024】
そして、この状態で、前記の回転装置20により回転加圧部材21の回転軸21aを回転させると、この回転加圧部材21における偏芯ロータ21bが偏芯回転し、この偏芯ロータ21bの外周に設けられた押圧部材21cにより、回転加圧部材収容部11と送り流路12との間の隔壁部18が送り流路12に向けて押圧されて送り流路12が変形する位置が、導入流路13側から導出流路14側に向けて周方向に順々に移動する。これにより、前記の導入流路13から送り流路12内に導かれた流体が、押圧部材21cによる押圧位置の移動に伴って送り流路12内を周方向に送られて前記の導出流路14に導かれ、この導出流路14を通して送液されるようになる。
【0025】
また、回転加圧部材収容部11内に突出した前記の突起部16a,16bが回転加圧部材21における押圧部材21cによって押された状態では、導入流路13と連通される送り流路12の導入部と、導出流路14と連通される送り流路12の導出部とが閉じた状態になり、流体が送り流路12を通して逆流するのが防止される。
【0026】
このため、このチューブレスマイクロポンプ1においては、従来のチューブポンプのようにチューブを使用しなくても、流体を導入流路13から送り流路12を通して導出流路14に導いて送液させることができ、従来のチューブポンプのように、チューブを本体ケース内に設けられた円形状のチューブ収容部の内壁面に沿うように装着させたり、またこのように装着させたチューブを交換させたりする面倒な作業を行う必要がなくなる。
【0027】
なお、この実施形態におけるチューブレスマイクロポンプ1においては、回転加圧部材21として、回転装置20によって回転する回転軸21aと、この回転軸21aに取り付けられて偏芯回転する偏芯ロータ21bと、この偏芯ロータ21bの外周に設けられて前記の回転加圧部材収容部11と送り流路12との間の隔壁部18を押圧する押圧部材21cとで構成されたものを用いるようにしたが、回転加圧部材21はこのようなものに限定されない。
【0028】
例えば、図6に示すように、回転加圧部材21として、回転軸21aと一緒に回転する回転体21dから放射状に複数(図に示す例では4つ)のアーム21eを突出させ、各アーム21eにそれぞれ回転加圧部材収容部11と送り流路12との間の隔壁部18を押圧する押圧ローラ21fを設けたものを用いることができる。
【0029】
そして、このような回転加圧部材21を用いた場合、前記の回転装置20によって回転加圧部材21の回転軸21aと一緒に回転体21dを回転させると、回転加圧部材収容部11と送り流路12との間の隔壁部18を押圧させて送り流路12を変形させる各押圧ローラ21fが周方向に移動し、押圧ローラ21f間の送り流路12内における流体が順々に導出流路14に送られるようになり、前記の導入流路13から送り流路12内に導かれた流体が、回転加圧部材21の回転に伴って、送り流路12内を周方向に順々に送られて導出流路14に導かれ、この導出流路14を通して送液されるようになる。
【符号の説明】
【0030】
1 チューブレスマイクロポンプ
10 ベース部材
11 回転加圧部材収容部
12 送り流路
13 導入流路
14 導出流路
15 軸受穴部
16a,16b 突起部
17 取付用凹部
18 隔壁部
20 回転装置
21 回転加圧部材、21a 回転軸、21b 偏芯ロータ、21c 押圧部材、21d 回転体、21e アーム、21f 押圧ローラ
30 蓋部材
31 取付用凸部
32 軸受穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6