特許第5966220号(P5966220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966220
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】組成物及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20160728BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20160728BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20160728BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20160728BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   C08L21/00
   C08L83/04
   C08L23/06
   C08L23/12
   B32B27/00 104
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-511499(P2015-511499)
(86)(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公表番号】特表2015-521223(P2015-521223A)
(43)【公表日】2015年7月27日
(86)【国際出願番号】US2013037991
(87)【国際公開番号】WO2013169485
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2014年11月7日
(31)【優先権主張番号】61/645,471
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】カーステッター ランダル ハワード ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ジュルダン エリック ピー
(72)【発明者】
【氏名】山口 利昭
(72)【発明者】
【氏名】ウール ユージーン アール
(72)【発明者】
【氏名】河崎 広
【審査官】 上前 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−052031(JP,A)
【文献】 特開平10−330540(JP,A)
【文献】 特開2002−201320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/00
C08K 3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 少なくとも部分硬化されているゴムの分散相、
(ii)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーを含む連続熱可塑性相であって、前記熱可塑性ポリマーがポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一種を含む
(iii) 100 kg/モルより大きい数平均分子量を有する第一ポリシロキサン、及び
(iv) 100 kg/モル未満の数平均分子量を有する第二ポリシロキサンを含むことを特徴とする組成物であって、前記組成物が前記組成物の質量を基準として、20質量%から60質量%までのポリプロピレン及び12質量%から50質量%までのポリエチレンを含む、組成物
【請求項2】
第二ポリシロキサンが液体ポリシロキサンである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
第一ポリシロキサンが、ASTM D 1601及びD 4020に従って測定して、10,000 dl/g より大きい固有粘度を有する、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
第二ポリシロキサンが1,000cSt以下の粘度を有する、請求項1から3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が該組成物の質量を基準として、8質量%から20質量%までの第一ポリシロキサンを含む、請求項1から4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が該組成物の質量を基準として、2質量%から12質量%までの第二ポリシロキサンを含む、請求項1から5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が該組成物の質量を基準として、4質量%から20質量%までのゴム、3質量%から85質量%の熱可塑性ポリマー、8質量%から20質量%までの第一ポリシロキサン、2質量%から12質量%までの第二ポリシロキサン、0.5質量%から5質量%までのスリップ助剤を含む、請求項1から6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
(a) (i) 請求項1からのいずれか1項記載の組成物を含む第一層、及び
(b) ポリマー又は熱可塑性加硫ゴムを含む第二層、
を含むことを特徴とするラミネート。
【請求項9】
(a) (i) 少なくとも部分硬化されているゴムの分散相、及び少なくとも一種の熱可塑性ポリマーを含む連続熱可塑性相を含む熱可塑性加硫ゴムを、(ii) 100 kg/モルより大きい数平均分子量を有する第一ポリシロキサン、及び(iii) 100 kg/モル未満の数平均分子量を有する第二ポリシロキサンと合わせる工程、及び
(b) 組成物を生成する工程、を含み、前記熱可塑性ポリマーがポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一種を含み、前記組成物が前記組成物の質量を基準として、20質量%から60質量%までのポリプロピレン及び12質量%から50質量%までのポリエチレンを含むことを特徴とする、前記組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
この出願は2012年5月10日に出願された、米国特許出願第61/645,471号の優先権及びその利益を主張し、その開示が参考として本明細書にそのまま含まれる。
本発明は第一ポリシロキサン及び第二ポリシロキサンを含む組成物に関する。これらの組成物はスリップコート(slip-coat)組成物、ラミネート、又はウェザーシール(weatherseal)として有益であり得る。
【背景技術】
【0002】
ウインドーチャンネルはガラスを窓枠にかみ合わせるのに普通使用される。これらのウインドーチャンネルは典型的には構造保全性を与え、しばしば環境又は音響上のシールを有利に与える軟質の、弾性材料を含む。結果として、多くのウインドーチャンネルはウェザーシールと称される。或る用途、例えば、自動車等では、ウェザーシールはまた引き込みウインドーが摺動し、シールし得る表面を与える。適切なシールを与えることに加えて、ウェザーシールは耐磨耗性であり、かつ低摩擦係数を示すことが望ましい。
或る場合には、ウインドーチャンネルが支持体層(これは典型的にはゴム状材料である)の上に適用されるポリマーフィルム又は層を含み得るスリップコートで増進されてもよい。例えば、米国特許第5,447,671 号は支持体に適用された接触層を含むウェザーシールを記載している。支持体は弾性かつ可撓性の合成樹脂又は合成ゴムを含み、また接触層は高分子量ポリエチレン(300,000 g/モル)と超高分子量ポリエチレン(1,300,000 g/ モル)のブレンドを含んでもよい。
米国特許第6,146,739 号は支持体層及びスライド樹脂層を含む接触部分を含むガラスランチャンネルを記載している。その支持体層は熱可塑性エラストマー(例えば、ゴムと熱可塑性樹脂のブレンド)を含み、またそのスライド樹脂層は135 ℃で溶媒デカリン中で測定して7-40 dl/gの固有粘度を有する超高分子量ポリオレフィン、135 ℃で溶媒デカリン中で測定して0.1-5 dl/gの固有粘度を有するポリオレフィン、並びにゴム及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性エラストマーを含む。
特開第7-346094 号は脂肪アミド、及びポリオレフィン樹脂もしくは有機ポリシロキサン又はポリオレフィン樹脂と有機ポリシロキサンの両方、そして必要によりシリカとともに、完全又は部分架橋オレフィン系熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィン樹脂、可塑剤、及び充填剤を含むスリップコート組成物を記載している。商品名BY16-140 (ダウ・コーニング・東レ・シリコーン社)として販売される超高分子量シリコンオイル又は商品名SH200(ダウ・コーニング・東レ・シリコーン社)として販売される1,000,000 cStの粘度を有するシリコーンとして特徴づけられる有機ポリシロキサンが例示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ウェザーシール、特にウェザーシールのスリップ被覆物を改良するようにとの要望がある。特に、これらのスリップ被覆物の摩擦係数だけでなく、これらの被覆物の表面特性、例えば、それらの外観を改良するようにとの要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(i) 少なくとも部分硬化されているゴムの分散相、(ii)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーを含む連続熱可塑性相、(iii) 100 kg/モルより大きい数平均分子量を有する第一ポリシロキサン、及び(iv) 100 kg/モル未満の数平均分子量を有する第二ポリシロキサンを含む組成物が本明細書に提供される。
また、(a) (i) 少なくとも部分硬化されているゴムの分散相、(ii)連続熱可塑性相、(iii) 100 kg/モルより大きい数平均分子量を有する第一ポリシロキサン、及び(iv) 100 kg/モル未満の数平均分子量を有する第二ポリシロキサンを含む第一層、及び(b) ポリマーを含む、第二層を含むラミネートが本明細書に提供される。また、本明細書に記載された組成物及びラミネートの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
連続熱可塑性相内に分散された少なくとも部分硬化されたゴム並びに第一ポリシロキサン及び第二ポリシロキサンだけでなく、スリップ助剤の如きその他の任意成分を含む組成物が本明細書に提供される。その第一ポリシロキサンは100 kg/モルより大きい分子量を特徴とし、またその第二ポリシロキサンは100 kg/モル未満の分子量を特徴とし得る。本発明の組成物はスリップコート組成物として有益であり、湿潤条件における多数のサイクル及び広い温度スパンにわたっての技術上有益な摺動力(sliding force)を示す。更に、その組成物が或る硬度閾値を満足するように配合され、或る熱可塑性加硫ゴム支持体の上に適用される場合に、有利な結果が得られる。こうして、本発明の実施態様はまた支持体の上に付着された本発明の組成物を含むラミネートに関する。
本発明の組成物(これらはスリップコート組成物として有益であり得る)は、連続熱可塑性相内に分散された硬化ゴム、100 kg/モルより大きい数平均分子量を有する第一ポリシロキサン、及び100 kg/モル未満の数平均分子量を有する第二ポリシロキサンを含む。一つ以上の実施態様において、組成物が更にスリップ助剤、充填剤及び/又は炭化水素油を含む。一つ以上の実施態様において、熱可塑性相がポリプロピレンとポリエチレンのブレンドを含む。
ゴム
ゴム相を形成するのに使用し得るゴムは硬化又は架橋し得るこれらのポリマーを含む。ゴムへの言及は一種より多いゴムの混合物を含んでもよい。ゴムの非限定例として、オレフィン性エラストマーコポリマー、ブチルゴム、及びこれらの混合物が挙げられる。一つ以上の実施態様において、オレフィン性エラストマーコポリマーとして、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム又は非共役ジエンモノマーから誘導された単位を含むプロピレン系ゴム状コポリマーが挙げられる。
エチレン−プロピレンゴムという用語はエチレン、少なくとも一種のα−オレフィンモノマー、及び少なくとも一種のジエンモノマーから重合されたゴム状コポリマーを表す。そのα−オレフィンとして、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一つの実施態様において、α−オレフィンとして、プロピレン、1-ヘキセン、1-オクテン又はこれらの組み合わせが挙げられる。ジエンモノマーとして、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジビニルベンゼン、1,4-ヘキサジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、1,3-シクロペンタジエン、1,4-シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、又はこれらの組み合わせが挙げられるかもしれないが、これらに限定されない。エチレン、α−オレフィン、及びジエンモノマーから調製されたコポリマーがターポリマー又は更には多種のα−オレフィンもしくはジエンが使用される場合にはテトラポリマーと称されてもよい。
【0006】
エチレン−プロピレンゴムは約12質量%から約85質量%まで、又は約20質量%から約80質量%まで、又は約40質量%から約70質量%まで、又は約60質量%から約66質量%までのエチレンモノマーから誘導されるエチレン単位、及び約0.1 質量%から約15質量%まで、又は約0.5 質量%から約12質量%まで、又は約1質量%から約10質量%まで、又は約2質量%から約8質量%までのジエンモノマーから誘導されるジエン単位を含んでもよく、その残部はα−オレフィンモノマー(例えば、プロピレンの如きC3-C10オレフィン)から誘導されるα−オレフィン単位を含む。モル%で表して、ターポリマーは約0.1 モル%から約5モル%まで、又は約0.5 モル%から約4モル%まで、又は約1モル%から約2.5 モル%までのジエンモノマーから誘導されるジエン単位を含んでもよい。一つ以上の実施態様において、ジエンが5-エチリデン-2-ノルボルネンを含む場合、そのエチレン−プロピレンゴムが少なくとも1質量%、又は少なくとも3質量%、又は少なくとも4質量%、又は少なくとも5質量%、又は約1質量%から約15質量%まで、又は約5質量%から約12質量%まで、又は約7質量%から約11質量%までの5-エチリデン-2-ノルボルネンから誘導される単位を含んでもよい。一つ以上の実施態様において、ジエンが5-ビニル-2-ノルボルネンを含む場合、そのエチレン−プロピレンゴムが少なくとも1質量%、又は少なくとも3質量%、又は少なくとも4質量%、又は少なくとも5質量%、又は約1質量%から約15質量%まで、又は約5質量%から約12質量%まで、又は約7質量%から約11質量%までの5-ビニル-2-ノルボルネンから誘導される単位を含んでもよい。
【0007】
エチレン−プロピレンゴムは100,000 g/モルより大きく、又は200,000 g/モルより大きく、又は400,000 g/モルより大きく、又は600,000 g/モルより大きい重量平均分子量(Mw) を有してもよい。エチレン−プロピレンゴムのMwが1,200,000 g/モル未満、又は1,000,000 g/モル未満、又は900,000 g/モル未満、又は800,000 g/モル未満であることが好ましい。
有益なエチレン−プロピレンゴムは20,000g/モルより大きく、又は60,000g/モルより大きく、又は100,000 g/モルより大きく、又は150,000 g/モルより大きい数平均分子量(Mn) を有してもよい。エチレン−プロピレンゴムのMnは500,000g/モル未満、又は400,000 g/モル未満、又は300,000 g/モル未満、又は250,000 g/モル未満であってもよい。
分子量(Mn、Mw、及びMz)及び分子量分布 (MWD)を測定するための技術が米国特許第4,540,753 号(これが参考として本明細書に含まれる)、及びその中に引用された文献、並びにVerstrate ら著Macromolecules, 1988, 21巻, 3360頁(これはまた参考として本明細書に含まれる)、及びその中に引用された文献に見られるかもしれない。
エチレン−プロピレンゴムはまた約10から約500 まで、又は約50から約450 までのASTM D-1646によるムーニー粘度(125 ℃におけるML(1+4) )を有することを特徴とし得る。本明細書に使用される、ムーニー粘度はフォーマット:ローター(測定温度、℃における[予熱時間、分]+[せん断時間、分])を使用して報告され、その結果、ML(125 ℃における1+4 )は125 ℃の温度で1分の予熱時間及び4分のせん断時間につき、ML 又はASTM D1646-99による大きいローターを使用して測定されたムーニー粘度を示す。
特に明記されない限り、ムーニー粘度はASTM D-1646によるムーニー単位でML(125 ℃における1+4 )として本明細書に報告される。しかしながら、約100 より大きいムーニー粘度値は一般にこれらの条件下で測定し得ない。この場合には、一層高い温度(即ち、150 ℃)が、その結果としての一層長いせん断時間(即ち、125 ℃又は150 ℃における1+8 )で使用し得る。本明細書の目的のためのムーニー測定は非規格の小さいローターを使用して行なわれることが更に好ましい。その非規格のローターデザインはムーニー装置での同じ計測が約100 ML(125 ℃における1+4 )より上のムーニー粘度を有するポリマーで使用されることを可能にするムーニースケールの変化でもって使用される。本明細書の目的のために、この変更されたムーニー測定がMST (ムーニー・スモール・シン)と称される。
【0008】
ASTM D1646-99はムーニー装置のキャビティ内で使用されるローターの寸法を規定している。この方法は直径のみを異にする、大きいローター及び小さいローターの両方で可能である。これらの異なるローターがASTM D1646-99でML(ムーニーラージ)及びMS(ムーニースモール)と称される。しかしながら、EPDMは、これらの標準の規定されたローターを使用すると、ムーニー装置のトルク限界を超え得るような高分子量で製造し得る。これらの場合には、その試験は直径が一層小さく、かつ一層薄いMST ローターを使用して実施される。典型的には、MST ローターが使用される場合、その試験はまた異なる一定時間及び温度で実施される。予熱時間は標準の1分から5分まで変化され、試験が標準の125 ℃に代えて200 ℃で実施される。これらの変更条件下で得られた値が本明細書でMST (200 ℃における5+4 )と称される。注:ムーニー読み取りが行なわれる終了時の4分の実験時間は標準条件と同じに留まる。MST が(200 ℃における5+4 )で測定され、またMLが(125 ℃における1+4 )で測定される場合、1MST ポイントは5MLポイントとほぼ同じである。それ故、測定の二つのスケール間のおよその変換の目的のために、MST (200 ℃における5+4 )ムーニー値が5倍にされておよそのML(125 ℃における1+4 )均等値を得る。本明細書で使用されるMST ローターは下記の仕様に従って準備され、利用された。
【0009】
ローターは30.48 ±0.03mmの直径及び2.8 ±0.03mmの厚さ(平目刻みの上部から測定される)並びに直径11mm以下のシャフトを有するべきである。
ローターは約0.8 mmの正方形の溝及び1.6 mmの中心でカットされた約0.25-0.38 mmの深さを有する、平目刻みの面及び端部を有するべきである。平目刻みは互いに直角の2組の溝からなり、それにより正方形のクロスハッチを形成するであろう。
ローターはローターディスクの中心線がダイキャビティの中心線と±0.25mmの許容度内に一致するようにダイキャビティの中心に配置されるべきである。スペーサー又はシムがムーニー測定のための当業界で典型的な慣例と合致して、シャフトを中間点まで上げるのに使用されてもよい。
磨耗点(ローターの上面の中心に配置された円錐形プロチュバランス)がローターの面で平らに機械加工されるべきである。
マルチモーダルポリマー組成物のムーニー粘度は本明細書中のポリマーのブレンドについて測定されてもよい。ブレンドの特別な成分のムーニー粘度は(1) に示される関係を使用して本明細書で得られる。
log ML = nA log MLA +nB log MLB (1)
式中、全ての対数は基底が10であり、MLは2種のポリマーA及びBのブレンドのムーニー粘度であり、夫々が個々のムーニー粘度MLA 及びMLB を夫々有し、nAはブレンド中のポリマーAの質量%分率を表し、かつnBはブレンド中のポリマーBの質量%分率を表す。
本開示において、式(1) が高ムーニー粘度ポリマー(A) 及び低粘度ムーニー粘度ポリマー(B) を含むブレンドのムーニー粘度を測定するのに使用され、これらのポリマーは(125 ℃における1+4 )条件下で測定可能なムーニー粘度を有する。ML、MLA 及びnAを知ると、MLB の値が計算し得る。
しかしながら、高ムーニー粘度(即ち、100 ML(125 ℃における1+4 )より大きいムーニー粘度)ポリマーについて、MLA が上記のようにMST ローターを使用して測定される。ブレンド中の低分子量ポリマーのムーニー粘度がその後に上記式1を使用して測定され、この場合、MLA が下記の相関関係(2) を使用して測定される。
MLA (125 ℃における1+4 )= 5.13*MSTA (200 ℃における5+4 ) (2)
エチレン−プロピレンゴムはASTM D-1601に従って135 ℃でデカリン中で測定して、約1dl/gから約8dl/gまで、又は約3dl/gから約7dl/gまで、又は約4dl/gから約6.5 dl/gまでの固有粘度を有することを特徴とし得る。
エチレン−プロピレンゴムはASTM E-1356に従って示差走査熱量測定(DSC) により測定して、-20 ℃未満、その他の実施態様では-30 ℃未満、その他の実施態様では-50 ℃未満、またその他の実施態様では約-20 ℃から約-60 ℃までであるガラス転移温度(Tg)を特徴とし得る。
【0010】
エチレン−プロピレンゴムは種々の技術を使用することにより製造又は合成されてもよい。例えば、これらのコポリマーは種々の触媒系を使用する溶液重合技術、スラリー重合技術、又は気相重合技術を使用することにより合成し得る。例示の触媒として、チーグラー−ナッタ系、例えば、バナジウム触媒を含むもの、及びIV-VI 族メタロセンを伴なう束縛形状触媒を含む単一部位触媒が挙げられる。エラストマーコポリマーは商品名ビスタロンTM(エクソンモービル・ケミカル社;ヒューストン、テキサス)、ケルタンTM(ランキセス)、ノーデルTMIP(ダウ)、ノーデルMGTM(ダウ)、ロイヤレンTM(ライオン・コポリマー)及びブナTM(ランキセス)で市販されている。
そのゴムは動的加硫技術を使用することにより硬化される。動的加硫はゴム及び少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含むブレンド中に含まれるゴムのための加硫方法又は硬化方法を表す。そのゴムは熱可塑性樹脂の融点以上の温度でせん断及び延長の条件下で加硫される。そのゴムは同時に架橋され、熱可塑性樹脂マトリックス内に(好ましくは微粒子として)分散されることが好ましいが、その他の形態、例えば、共連続形態が、硬化の程度、ゴム対プラスチック粘度比、混合の強さ、滞留時間、及び温度に応じて存在し得る。
【0011】
動的加硫後に、そのゴムは微細な形態であり、連続熱可塑性相又はマトリックス内に良く分散された加硫又は硬化ゴムの粒子であるが、共連続形態がまた可能である。硬化ゴムが微細な形態であり、熱可塑性媒体内に良く分散された粒子であるこれらの実施態様において、ゴム粒子は典型的には50μm未満、又は30μm未満、又は10μm未満、又は5μm未満、又は1μm未満である平均直径を有する。好ましい実施態様において、ゴム粒子の少なくとも50%,又は少なくとも60%、又は少なくとも75%が5μm未満、又は2μm未満、又は1μm未満の平均直径を有する。
その組成物内のゴムは少なくとも部分硬化されることが好ましい。一つ以上の実施態様において、ゴムが有利には完全又は充分に硬化される。硬化の程度はシクロヘキサン又は沸騰キシレンを抽出剤として使用することにより熱可塑性加硫ゴムから抽出し得るゴムの量を測定することにより測定し得る。ゴムは15質量%以下、又は10質量%以下、又は5質量%以下、又は3質量%以下が米国特許第4,311,628 号、同第5,100,947 号及び同第5,157,081 号(これらが参考として本明細書に含まれる)に記載されたように23℃でシクロヘキサンにより抽出し得る硬化の程度を有することが好ましい。また、ゴムは架橋密度がゴム1ミリリットル当り少なくとも4x10-5 モル、又は少なくとも7x10-5モル、又は少なくとも10x10-5 モルであるような硬化の程度を有する。Ellul ら著“動的加硫TPE における架橋密度及び相形態”Rubber Chemistry and Technology, 68巻, 573-584 頁(1995)を参照のこと。
【0012】
ゴムは種々の硬化系(これらは当業界で知られている)を使用することにより動的加硫されてもよい。例えば、フェノール樹脂、ヒドロシリル化(a.k.a.ケイ素含有硬化系)、及び遊離基硬化系が使用されてもよい。
有益なフェノール硬化系が米国特許第2,972,600 号、同第3,287,440 号、同第5,952,425号及び同第6,437,030号(これらが参考として本明細書に含まれる)に開示されている。一つ以上の実施態様において、フェノール樹脂硬化剤はレゾール樹脂を含み、これらはアルカリ性媒体中の、アルキル置換フェノール又は未置換フェノールとアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドの縮合又は二官能性フェノールジアルコールの縮合によりつくられる。そのアルキル置換フェノールのアルキル置換基は1個から約10個までの炭素原子を含んでもよい。パラ位で1個から約10個までの炭素原子を含むアルキル基で置換された、ジメチロールフェノール又はフェノール樹脂が使用されてもよい。一つ以上の実施態様において、オクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とノニルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂のブレンドが使用される。そのブレンドは約25質量%から約40質量%までのオクチルフェノール−ホルムアルデヒド及び約75質量%から約60質量%までのノニルフェノール−ホルムアルデヒドを含んでもよく、その他の実施態様では、ブレンドが約30質量%から約35質量%までのオクチルフェノール−ホルムアルデヒド及び約70質量%から約65質量%までのノニルフェノール−ホルムアルデヒドを含む。一つ以上の実施態様において、ブレンドが約33質量%のオクチルフェノール−ホルムアルデヒド及び約67質量%のノニルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含み、この場合、オクチルフェノール−ホルムアルデヒド及びノニルフェノール−ホルムアルデヒドの夫々がメチロール基を含む。このブレンドは相分離しないで約30%の固形分でパラフィンオイルに溶解し得る。
有益なフェノール樹脂は商品名SP-1044 、SP-1045 (シェネクタディ・インターナショナル;シェネクタディ、N.Y.)で得られてもよく、これらがアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂と称し得る。SP-1045 はメチロール基を含むオクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とノニルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂のブレンドであると考えられる。SP-1044 樹脂及びSP-1045 樹脂はハロゲン置換基又は残留ハロゲン化合物を実質的に含まないと考えられる。ハロゲン置換基を実質的に含まないことは、樹脂の合成がほんの痕跡量のハロゲン化合物を含み得る非ハロゲン化樹脂を提供することを意味する。
フェノール樹脂硬化剤の例として、下記の一般式により特定されるものが挙げられる。
【0013】
【化1】
【0014】
式中、Qは-CH2- 、-CH2-O-CH2- からなる群から選ばれた2価の基であり、mは0又は1から20までの正の整数であり、かつR’は有機基である。一つの実施態様において、Qが2価の基-CH2-O-CH2- であり、mが0又は1から10までの正の整数であり、かつR’が20個未満の炭素原子を有する有機基である。その他の実施態様において、mが0又は1から10までの正の整数であり、かつR’が4〜12個の炭素原子を有する有機基である。
フェノール樹脂はゴム100 重量部当り約2重量部から約6重量部まで、又は約3重量部から約5重量部まで、又は約4重量部から約5重量部までの量で使用されてもよい。
塩化第一スズの補充量はゴム100 重量部当り約0.5 重量部から約2.0 重量部まで、又は約1.0 重量部から約1.5 重量部まで、又は約1.2 重量部から約1.3 重量部までを含んでもよい。それと連係して、約0. 1 重量部から約6.0 重量部まで、又は約1.0 重量部から約5.0 重量部まで、又は約2.0 重量部から約4.0 重量部までの酸化亜鉛が使用されてもよい。一つ以上の実施態様において、フェノール硬化剤とともに使用されるオレフィン性ゴムは5-エチリデン-2-ノルボルネンから誘導されるジエン単位を含む。
ケイ素含有硬化系は少なくとも2個のSiH 基を有するケイ素水素化物化合物を含んでもよい。有益なケイ素水素化物化合物として、メチル水素ポリシロキサン、メチル水素ジメチルシロキサンコポリマー、アルキルメチル共メチル水素ポリシロキサン、ビス(ジメチルシリル)アルカン、ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
ヒドロシリル化に有益な触媒として、VIII族の遷移金属が挙げられるが、これらに限定されない。これらの金属として、パラジウム、ロジウム、及び白金だけでなく、これらの金属の錯体が挙げられるが、これらに限定されない。有益なケイ素含有硬化剤及び硬化系が米国特許第5,936,028 号に開示されている。
シラン含有化合物はゴム100 重量部当り約0.5 重量部から約5.0 重量部まで、又は約1.0 重量部から約4.0 重量部まで、又は約2.0 重量部から約3.0 重量部までの量で使用されてもよい。触媒の補充量はゴム100 万重量部当り約0.5 重量部から約20,0重量部まで、又は約1.0 重量部から約5.0 重量部まで、又は約1.0 重量部から約2.0 重量部までを含んでもよい。一つ以上の実施態様において、ヒドロシリル化硬化剤とともに使用されるオレフィン性ゴムが5-ビニル-2-ノルボルネンから誘導されるジエン単位を含む。
本発明を実施するのに使用される硬化系は遊離基硬化剤及び助剤を含む。遊離基硬化剤として、有機過酸化物の如き過酸化物が挙げられる。有機過酸化物の例として、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、α,α−ビス(tert-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン(DBPH)、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、ジラウロイルペルオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、ジアリールペルオキサイド、ケトンペルオキサイド、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキサイド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタール、及びこれらの混合物が使用されてもよい。
【0015】
熱可塑性加硫ゴムの動的加硫に有益な過酸化物及びそれらの使用方法が米国特許第5,656,693 号(これが米国特許実施の目的のために参考として本明細書に含まれる)に開示されている。
助剤は多官能性アクリレートエステル、多官能性メタクリレートエステル、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。換言すれば、助剤は2個以上の有機アクリレート又はメタクリレート置換基を含む。多官能性アクリレートの例として、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート (TMPTA)、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ビストリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、又はこれらの組み合わせが挙げられる。多官能性メタクリレートの例として、トリメチロールプロパントリメタクリレート (TMPTMA)、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0016】
熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂相は固体の、一般に高分子量のプラスチック樹脂を含むこれらの熱可塑性ポリマーを含む。例示の熱可塑性ポリマーとして、結晶性、半結晶性、及び結晶化可能なポリオレフィン、オレフィンコポリマー、及び非オレフィン樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂はエチレン又はα−オレフィン、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン、及びこれらの混合物を重合することにより生成されてもよい。エチレンとプロピレンのコポリマー並びにエチレン及び/又はプロピレンと別のα−オレフィン、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン又はこれらの混合物とのコポリマーがまた意図されている。プロピレンとエチレン又は上記された、高級α−オレフィン、或いはC10-C20 ジオレフィンの反応器コポリマー、耐衝撃性コポリマー、及びランダムコポリマーが特別に含まれる。これらのプロピレンコポリマーについてのコモノマー含量は、例えば、米国特許第6,867,260 B2 号(これは参考として本明細書に含まれる)のように、ポリマーの1質量%から約30質量%までであってもよい。商品名VISTAMAXXTM(エクソンモービル)として入手し得るコポリマーが特別に含まれる。
その他のポリオレフィンコポリマーはオレフィンとスチレンのコポリマー、例えば、スチレン−エチレンコポリマー又はオレフィンとα,β−不飽和酸、α,β−フ飽和エステルのポリマー、例えば、ポリエチレン−アクリレートコポリマーを含んでもよい。非オレフィン熱可塑性ポリマーはスチレン、α,β−不飽和酸、α,β−フ飽和エステル、及びこれらの混合物のポリマー及びコポリマーを含んでもよい。例えば、ポリスチレン、ポリアクリレート、及びポリメタクリレートが使用されてもよい。2種以上のポリオレフィン熱可塑性樹脂、例えば、本明細書に記載されたもののブレンド又は混合物、或いはその他のポリマー変性物とのブレンドもしくは混合物が、本発明によればまた好適である。有益な熱可塑性ポリマーはまた耐衝撃性コポリマー及び反応器コポリマーを含んでもよい。
【0017】
熱可塑性樹脂は主としてプロピレンの重合から誘導される単位を含むこれらの固体の、一般に高分子量の可塑性樹脂を含むプロピレンをベースとするポリマーを含んでもよい。或る実施態様において、プロピレンをベースとするポリマーの単位の少なくとも75%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも97%がプロピレンの重合から誘導される。特別な実施態様において、これらのポリマーがプロピレンのホモポリマーを含む。
或る実施態様において、プロピレンをベースとするポリマーはまたエチレン及び/又はα−オレフィン、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン、及びこれらの混合物の重合から誘導される単位を含んでもよい。
プロピレンをベースとするポリマーは半結晶性ポリマーを含んでもよい。これらのポリマーは少なくとも25質量%、又は少なくとも55質量%、又は少なくとも65質量%、又は少なくとも70質量%の結晶度を特徴とし得る。結晶度はサンプルの融解熱を100 %の結晶性ポリマーの融解熱(これはポリプロピレンについて290 ジュール/グラムであると推定される)により割ることにより測定し得る。
一つ以上の実施態様において、プロピレンをベースとするポリマーは少なくとも52.3J/g、又は100J/gを超え、又は125J/gを超え、又は140J/gを超えるHfを特徴とし得る。
一つ以上の実施態様において、有益なプロピレンをベースとするポリマーが約50 kg/モルから約2,000kg/モルまで、又は約100kg/モルから約600kg/モルまでのMwを特徴とし得る。それらがまたポリスチレン標準物質を用いてGPC により測定して、約25 kg/モルから約1,000kg/モルまで、又は約50 kg/モルから約300kg/モルまでのMnを特徴とし得る。
【0018】
一つ以上の実施態様において、有益なプロピレンをベースとするポリマーが100dg/分未満、又は50 dg/分未満、又は10 dg/分未満、又は5dg/分未満のMFR (ASTM D-1238、230 ℃で2.16kg)を有し得る。これらの実施態様又はその他の実施態様において、プロピレンをベースとするポリマーが少なくとも0.1dg/分、又は0.2dg/分、又は少なくとも0.5dg/分のMFR を有し得る。
一つ以上の実施態様において、有益なプロピレンをベースとするポリマーが約110 ℃から約170 ℃まで、又は約140 ℃から約168 ℃まで、又は約160 ℃から約165 ℃までである溶融温度(Tm)を有し得る。それらが約-10 ℃から約10℃まで、又は約-3℃から約5℃まで、又は約0℃から約2℃までのガラス転移温度(Tg)を有し得る。一つ以上の実施態様において、それらが少なくとも約75℃、又は少なくとも約95℃、又は少なくとも約100 ℃、又は少なくとも105 ℃、又は105 ℃から130 ℃までの範囲の結晶化温度(Tc)を有し得る。
プロピレンをベースとするポリマーは当業界で知られている適当な重合技術、例えば、通常のチーグラー−ナッタ型重合(これらに限定されない)、並びに単一部位有機金属触媒(メタロセン触媒を含むが、これらに限定されない)を使用する触媒作用を使用することにより合成し得る。
特別な実施態様において、プロピレンをベースとするポリマーが高結晶度のアイソタクチック又はシンジオタクチックポリプロピレンを含む。このポリプロピレンは約0.89g/ccから約0.91g/ccまでの密度を有することができ、殆どアイソタクチックのポリプロピレンが約0.90g/ccから約0.91g/ccまでの密度を有する。また、分数(fractional)溶融流量を有する高分子量ポリプロピレン及び超高分子量ポリプロピレンが使用し得る。一つ以上の実施態様において、ポリプロピレン樹脂が10 dg/分以下、又は1.0dg/分以下、又は0.5 dg/分以下であるMFR (ASTM D-1238、230 ℃で2.16kg)を特徴とし得る。
一つ以上の実施態様において、熱可塑性相が、ポリプロピレン樹脂に加えて、ポリエチレン樹脂を含む。一つ以上の実施態様において、このポリエチレン樹脂が少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも99%のエチレンから誘導されるポリマー単位を含む。一つ以上の実施態様において、このポリエチレン樹脂がポリエチレンホモポリマーである。
【0019】
一つ以上の実施態様において、ポリプロピレンと連係して使用されるポリエチレンが約100kg/モルから250 kg/モルまで、又は約110kg/モルから220kg/モルまで、又は約150kg/モルから200kg/モルまでの重量平均分子量を有することを特徴とし得る。このポリエチレンが12未満、又は11未満、又は10未満、又は9未満である多分散性を有することを特徴とし得る。
一つ以上の実施態様において、ポリプロピレンと連係して使用されるポリエチレンがASTM D-1238(190 ℃かつ2.16kgの負荷における)に従って、1.2dg/分から12 dg/分まで、又は0.4dg/分から10 dg/分まで、又は0.5dg/分から8.0dg/分までのメルトインデックスを有することを特徴とし得る。
一つ以上の実施態様において、ポリプロピレンと連係して使用されるポリエチレンがASTM D 1601及びD 4020に従って測定して、0.5 dl/gから10 dl/gまで、又は1.0 dl/gから9.0 dl/gまで、又は1.5 dl/gから8.0 dl/gまでである固有粘度を有することを特徴とし得る。
一つ以上の実施態様において、ポリプロピレン樹脂と連係して使用されるポリエチレンがASTM D4883 に従って測定して、0.93g/ccより大きく、又は0.94g/ccより大きく、又は0.95g/ccより大きい密度を特徴とし得る。
ポリプロピレンと連係して使用されるポリエチレンとして有益なポリマーは一般に高密度ポリエチレン樹脂と称し得る。例えば、有益な高密度ポリエチレン樹脂として、商品名HDPE HD7960.13 (エクソンモービル)として入手し得るものが挙げられる。
【0020】
ポリシロキサン
一般に、ポリシロキサンは式-R2SiO-(式中、夫々のRは独立にヒドロカルビル基の如き有機基である)を有するmer 単位を含むこれらの有機ケイ素ポリマー及びオリゴマーを含む。ヒドロカルビル基の例示の型として、アルキル、アルケニル、アリールが挙げられる。これらのポリシロキサン化合物はまたシリコーンと称し得る。
ポリシロキサンの例示の型として、ポリ(ヒドロ)(アルキル)シロキサン、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、及びポリ(ヒドロ)(アリール)シロキサン、ポリ(アルキル)(アリール)−シロキサンが挙げられる。ポリシロキサンの特別な例として、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリジイソプロピルシロキサン、ポリジブチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリ(ヒドロ)(メチル)シロキサン、ポリ(ヒドロ)(フェニル)シロキサン、及びポリ(メチル)(フェニル)シロキサンが挙げられる。
第一ポリシロキサン
超高分子量ポリシロキサンであってもよい、第一ポリシロキサンは、ゲル透過クロマトグラフィーにより測定して100 kg/モルより大きく、又は130 kg/モルより大きく、又は150 kg/モルより大きく、又は170 kg/モルより大きく、又は200 kg/モルより大きく、又は220 kg/モルより大きく、又は250 kg/モルより大きい数平均分子量を特徴とし得る。第一ポリシロキサンは約1,500kg/モルまで、又は約1,000kg/モルまで、又は約750kg/モルまで、又は約500kg/モルまでの数平均分子量を特徴とし得る。一つ以上の実施態様において、第一ポリシロキサンが約100kg/モルから約1,000 kg/モルまで、又は約150kg/モルから約750 kg/モルまで、又は約200kg/モルから約500kg/モルまでの数平均分子量を特徴とし得る。
第一ポリシロキサンがまたASTM D1601及びD 4020により測定して、10,000dl/gより大きく、又は25,000dl/gより大きく、又は50,000dl/gより大きく、又は100,000dl/gより大きく、又は150,000dl/gより大きく、又は200,000dl/gより大きい固有粘度を特徴とし得る。一つ以上の実施態様において、第一ポリシロキサンがASTM D1601及びD 4020により測定して、500,000dl/gまで、又は250,000dl/gまで、又は200,000dl/gまで、又は100,000dl/gまでの固有粘度を特徴とし得る。或る実施態様において、第一ポリシロキサンが10,000dl/gから500,000dl/gまで、又は10,000dl/gから200,000dl/gまで、又は25,000dl/gから150,000dl/gまでの固有粘度を特徴とし得る。
一つ以上の実施態様において、ポリシロキサンが下記の式Iにより特定し得る。
【0021】
【化2】
【0022】
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は夫々独立にアルキル基、ビニル基、クロロアルキル基、フルオロアルキル基、アミノアルキル基、エポキシ基、クロロ基、フルオロ基、又はヒドロキシ基からなる群から選ばれ、かつαは500 以上である。特別な実施態様において、αが1000以上であり、又はαが1000〜20000 であり、又はαが1000〜15000 である。
一つ以上の実施態様において、式IのR2、R3、R4、R5、R6及びR7がメチル基である場合、第一ポリシロキサンが下記の式IIのポリジメチルシロキサンである。
【0023】
【化3】
【0024】
式中、R1及びR2は独立にアルキル基、ビニル基、クロロアルキル基、アミノアルキル基、エポキシ基、フルオロアルキル基、クロロ基、フルオロ基、又はヒドロキシ基であり、かつαは500 以上である。特別な実施態様において、αが1000以上であり、又はαが1000〜20000 であり、又はαが1000〜15000 である。
或る実施態様において、式IIのR2、R3、R4、R5、R6及びR7がメチル基であり、かつ式IIのR1及びR8がビニル基である場合、第一ポリシロキサンが下記の式III のポリシロキサンである。
【0025】
【化4】
【0026】
式中、αは1350以上である。
超高分子量ポリシロキサンは多くの異なる形態で、例えば、純粋な組成物として、化合物として、濃厚物として、又はマスターバッチとして入手し得る。超高分子量ポリシロキサンが配合し得るポリマーの例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン (ABS)、ポリエステルエラストマー及びコポリエーテルエステルエラストマーが挙げられる。典型的には、市販の濃厚物が40質量%から70質量%までの範囲の濃度の超高分子量ポリシロキサンを含んでもよいが、最終生成物中の所望の質量%が得られる限り、あらゆる濃度が本発明の目的に許容し得る。
一つ以上の実施態様において、第一ポリシロキサンが超高分子量ポリジアルキルシロキサンとポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの組み合わせとの混合物として組成物に添加される。このようなポリシロキサン混合物の幾つかの非限定例として、MB50シリーズマスターバッチ(ダウ・コーニング(登録商標)マルビベース)、例えば、MB50-001、MB50-002、MB50-313、MB50-314及びMB-50-321、ダウ・コーニング(登録商標)マルチベース)、が挙げられる。
【0027】
第二ポリシロキサン
第二ポリシロキサンは、ゲル透過クロマトグラフィーにより測定して100 kg/モル未満、又は90 kg/モル未満、又は75 kg/モル未満、又は50 kg/モル未満、又は35 kg/モル未満、又は25 kg/モル未満の数平均分子量を特徴とし得る。第二ポリシロキサンは少なくとも250 g/モル、又は少なくとも500 g/モル、又は少なくとも1 kg/モル、又は少なくとも2.5 kg/モル、又は少なくとも5 kg/モル、又は少なくとも10 kg/モル、又は少なくとも25 kg/モルの数平均分子量を特徴とし得る。一つ以上の実施態様において、第二ポリシロキサンが約1 kg/モルから約100kg/モルまで、又は約5 kg/モルから約85 kg/モルまで、又は約10 kg/モルから約85 kg/モルまで、又は約25 kg/モルから約75 kg/モルまでの数平均分子量を特徴とし得る。一つ以上の好ましい実施態様において、第二ポリシロキサンが通常の条件圧力及び温度で液体である。
第二ポリシロキサンがまたASTM D1601及びD 4020により測定して、10,000dl/g未満、又は5,000dl/g未満、又は2,500dl/g未満、又は2,000dl/g未満、又は1,500dl/g未満、又は1,000dl/g未満の固有粘度を特徴とし得る。或る実施態様において、第二ポリシロキサンが1,000dl/gから10,000dl/gまで、又は1,500dl/gから5,000dl/gまで、又は2,000dl/gから5,000dl/gまでの固有粘度を特徴とし得る。
一つ以上の実施態様において、第二ポリシロキサンが下記の式の約10反復単位から1500反復単位までを含む。
RnSiO(4-n)/2
式中、夫々のR基は同じ又は異なり、かつ独立に1個から約18個までの1価の炭化水素基から選ばれ、nは0から4までである。或る実施態様において、Rが1個から約8個までの炭素原子を有するアルキル基又はアリール基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、ヘキシル、フェニル又はオクチル;アルケニル基、例えば、ビニル;又はハロゲン化アルキル基、例えば、3,3,3-トリフルオロプロピルである。特別な実施態様において、全てのR基の少なくとも50%がメチル基であり、これらのうちの或る実施態様において、実質的に全てのR基がメチル基である。
【0028】
或る実施態様において、第二ポリシロキサンがまた第二ポリシロキサンを含む組成物について所望される硬化メカニズムに基づいて選ばれるR基を含む。典型的には、その硬化メカニズムが縮合硬化又は付加硬化によるが、一般には付加硬化プロセスによる。縮合反応について、分子当り2個以上のR基がヒドロキシル基又は加水分解可能な基、例えば、3個までの炭素原子を有するアルコキシ基であるべきである。付加反応について、分子当り2個以上のR基が不飽和有機基、典型的にはアルケニル基又はアルキニル基であってもよく、好ましくは8個までの炭素原子を有する。第二ポリシロキサンを含む組成物が付加反応により硬化される場合、Rがアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基又はヘキセニル基であることが好ましい。
一つ以上の実施態様において、第二ポリシロキサンが下記の式により特定される一種以上のポリマーを含む。
R2R1SiO[(R2SiO)x(RR1SiO)y]SiR2R1
式中、夫々のRは同じ又は異なり、かつ先に記載されたとおりであり、好ましくは夫々のR基はメチル基又はエチル基であり、R1はアルケニル基、例えば、ビニル基又はヘキセニル基であり、xは整数であり、かつyは0又は整数である。一実施態様において、第二ポリシロキサンが2個以上のアルケニル基を含む。
第二ポリシロキサンの特別な例として、下記の式のポリマーが挙げられる。
Me2ViSiO[(Me2SiO)x(MeViSiO)y]SiMe2Vi 及びMe2ViSiO(Me2SiO)xSiMe2Vi
式中、Meはメチル基(-CH3)を表し、かつViはビニル基(CH2=CH-)を表す。
【0029】
スリップ助剤
一つ以上の実施態様において、本発明の組成物は更にスリップ助剤を含んでもよい。スリップ助剤は本発明の組成物を含むスリップコート層(例えば、ラミネート)の摩擦係数を高め、又は低下し、かつ好ましくは組成物に有害な影響を有しないあらゆる物質を含んでもよい。スリップ助剤の型として、脂肪酸、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸アミド、エステル、フルオロポリマー、グラファイト、モリブデン、シリカ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、及びこれらの混合物が挙げられる。
有益な脂肪酸として、動物源及び植物源の両方から得られるものが挙げられ、また飽和酸及び不飽和酸の両方が挙げられる。例示の飽和脂肪酸として、酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸が挙げられる。例示の不飽和脂肪酸として、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びパルミトール酸が挙げられる。これらの脂肪酸のトリグリセリドがまた使用されてもよい。
例示の脂肪酸アミドとして、ラウラミド、パルミタミド、ステアラミド及びベヘナミド;不飽和脂肪酸アミド、例えば、エルカミド、オレアミド、ブラシダミド及びエライダミド;並びにビス脂肪酸アミド、例えば、メチレンビスステアラミド、メチレンビスオレアミド、エチレンビスステアラミド及びエチレンビスオレアミドが挙げられる。
有益なエステルとして、セチルアルコールと酢酸のエステル、セチルアルコールとプロピオン酸のエステル、セチルアルコールと酪酸のエステル、牛脂アルコールと酢酸のエステル、牛脂アルコールとプロピオン酸のエステル、牛脂アルコールと酪酸のエステル、ステアリルアルコールと酢酸のエステル、ステアリルアルコールとプロピオン酸のエステル、ステアリルアルコールと酪酸のエステル、ジステアリルアルコールとフタル酸のエステル、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、12-ヒドロキシル化ステアレート、グリセロールトリステアレート、トリメチロールプロパントリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、ベヘン酸エステル、エステルを含むカルシウム石鹸、イソトリデシルステアレート、セチルパルミテート、セチルステアレート、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘネート、エチレングリコールモンタネート、グリセロールモンタネート、ペンタエリスリトールモンタネート及びカルシウム含有モンタン酸エステルが挙げられる。これらのうち、ジステアリルアルコールとフタル酸のエステル、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、ステアリン酸エステル及びグリセロールモンタネートが好ましい。ジステアリルアルコールとフタル酸のエステル、グリセロールモノステアレート及びグリセロールモンタネートが、特に好ましい。
【0030】
有益なフルオロポリマーとして、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ化ビニリデンコポリマーが挙げられる。一実施態様において、フルオロポリマーがフルオロポリマー粉末から誘導される微細に分散された粒子の形態で存在する。これらの粒子又は粉末のサイズは約0.1 μmから約15μmまで、又は約0.2 μmから約5.0 μmまでである。
【0031】
付加的な添加剤
必要により含まれてもよい充填剤として、ポリマー物質の配合に通常使用されるこれらの強化充填剤及び非強化充填剤又はエキステンダーが挙げられる。有益な充填剤として、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、タルク、及び二酸化チタンが挙げられる。
可塑剤、エキステンダーオイル、合成加工オイル、又はこれらの組み合わせがまた必要によりブレンドに添加されてもよい。エキステンダーオイルとして、芳香族エキステンダーオイル、ナフテン系エキステンダーオイル、及びパラフィン系エキステンダーオイルが挙げられるが、これらに限定されない。例示の合成加工オイルはポリ線状α−オレフィン、ポリ分枝α−オレフィン、及び水素化ポリアルファオレフィンである。本発明の組成物は有機エステル、アルキルエーテル、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。米国特許第5,290,886 号及び同第5,397,832 号がこれに関して本明細書に含まれる。本発明の組成物への或る種の低分子量〜中間分子量の有機エステル及びアルキルエーテルエステルの添加がポリオレフィン及びゴム成分、並びに全組成物のTgを著しく低下し、かつ低温特性、特に可撓性及び強度を改良する。これらの有機エステル及びアルキルエーテルエステルは一般に約10,000 未満である分子量を一般に有する。改良された効果が組成物のポリオレフィン及びゴム成分の両方へのエステルの分配により得られると考えられる。特に好適なエステルとして、約2000より下、好ましくは約600 より下の平均分子量を有するモノマー物質及びオリゴマー物質が挙げられる。エステルは組成物のポリオレフィン及びゴム成分の両方と相溶性、又は混和性であるべきであり、即ち、それがその他の成分と混合して単一相を生成する。最も好適であるとわかったエステルは脂肪族モノエステルもしくはジエステル又はオリゴマー状脂肪族エステルもしくはアルキルエーテルエステルであった。ポリマーの脂肪族エステル及び芳香族エステルはかなり有効ではないことがわかったし、またリン酸エステルはたいていは有効ではなかった。合成ポリアルファオレフィンはまたTgを低下するのに有益である。
【0032】
オリゴマーのエキステンダーがまた必要により使用されてもよい。好ましいオリゴマーのエキステンダーとして、イソブチレンとブテンのコポリマー又は相補コモノマーと一緒のブタジエンのコポリマーが挙げられる。これらのオリゴマーのエキステンダーは典型的には1,000 未満の数平均分子量を有する。有益なオリゴマーのエキステンダーが市販されている。例えば、イソブチレンとブテンのオリゴマー状コポリマーが商品名ポリブテンTM(ソルテックス;ヒューストン、テキサス)、インドポールTM(BP;英国)、及びパラポールTM(エクソンモービル)として入手し得る。ブタジエンを含むオリゴマー状コポリマーが商品名リコン樹脂TM(リコン・レジンズ社;グランド・ジャンクション、コロラド)として市販されている。
ポリマーの加工添加剤がまた必要により添加されてもよい。これらの加工添加剤は非常に高いメルトフローインデックスを有するポリマー樹脂を含んでもよい。これらのポリマー樹脂として、約500 dg/分より大きく、又は約750 dg/分より大きく、又は約1000dg/分より大きく、又は約1200dg/分より大きく、又は約1500dg/分より大きい溶融流量を有する線状分子及び分枝分子の両方が挙げられる。種々の分枝ポリマー加工添加剤又は種々の線状ポリマー加工添加剤の混合物だけでなく、線状ポリマー加工添加剤及び分枝ポリマー加工添加剤の両方の混合物が使用されてもよい。好ましい線状ポリマー加工添加剤はポリプロピレンホモポリマーである。好ましい分枝ポリマー加工添加剤として、ジエン変性ポリプロピレンポリマーが挙げられる。同様の加工添加剤を含む熱可塑性加硫ゴムが米国特許第6,451,915 号(これは参考として本明細書に含まれる)に開示されている。
安定性を高める薬剤が必要により第一層中に含まれてもよい。これらの薬剤として、当業界で普通に使用されているもの、例えば、酸化防止剤、UV安定剤、オゾン亀裂防止剤、及び制生物剤が挙げられる。
【0033】

ゴム
組成物はゴム、例えば、動的加硫ゴムを含んでもよい。組成物は組成物の合計質量を基準として、少なくとも約5質量%、又は少なくとも約8質量%、又は少なくとも約10質量%、又は少なくとも約12質量%のゴムを含み得る。組成物中のゴムの量は、組成物の全質量を基準として、例えば、約4質量%から約20質量%まで、又は約5質量%から約18質量%まで、又は約6質量%から約15質量%までであってもよい。
プラスチック
組成物中の熱可塑性ポリマー(即ち、ポリシロキサンを除く熱可塑性相中の未硬化ポリマー)の合計量は少なくとも35質量%、又は少なくとも40質量%、又は少なくとも45質量%、又は少なくとも50質量%、又は少なくとも55質量%であってもよい。これらの実施態様又はその他の実施態様において、熱可塑性樹脂の合計量は75質量%未満、又は70質量%未満、又は65質量%未満である。熱可塑性ポリマーの合計量は、組成物の全質量を基準として、約30質量%から約85質量%まで、又は約45質量%から約75質量%まで、又は約50質量%から約60質量%までであってもよい。
一つ以上の実施態様において、組成物が少なくとも20質量%、又は少なくとも25質量%、又は少なくとも30質量%、又は少なくとも33質量%、又は少なくとも35質量%のポリプロピレンを含む。これらの実施態様又はその他の実施態様において、組成物が55質量%未満、又は45質量%未満、又は40質量%未満のポリプロピレンを含む。ポリプロピレンの合計量は、組成物の全質量を基準として、約20質量%から約60質量%まで、又は約25質量%から約55質量%まで、又は約30質量%から約40質量%までであってもよい。
一つ以上の実施態様において、本発明の組成物が低MFR ポリプロピレン(即ち、3以下のMFR )及び高MFR ポリプロピレン(即ち、3より大きいMFR )の両方を含む。低MFR ポリプロピレン対高MFR ポリプロピレンの質量比は約0.1:1 から10:1まで、又は約0.5:1 から2:1 まで、又は約0.7:1 から1.5:1 まで、又は約0.8:1 から1.3:1 まで、又は約0.9:1 から1.2:1 までである。
一つ以上の実施態様において、本発明の組成物が少なくとも20質量%、又は少なくとも15質量%、又は少なくとも18質量%、又は少なくとも20質量%、又は少なくとも22質量%のポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン)を含む。これらの実施態様又はその他の実施態様において、組成物が45質量%未満、又は35質量%未満、又は30質量%未満のポリエチレンを含む。ポリエチレンの合計量が、組成物の全質量を基準として、約12質量%から約50質量%まで、又は約15質量%から約35質量%まで、又は約20質量%から約30質量%までであってもよい。
【0034】
第一ポリシロキサン
組成物は組成物の全質量を基準として、5質量%より大きく、又は7質量%より大きく、又は9質量%より大きい第一ポリシロキサンを含んでもよい。これらの実施態様又はその他の実施態様において、組成物が組成物の全質量を基準として20質量%未満、又は15質量%未満、又は12質量%未満の第一ポリシロキサンを含む。組成物が組成物の全質量を基準として約5質量%又は約8質量%から約20質量%まで、又は約7質量%又は約9質量%から約15質量%まで、又は約10質量%から約12質量%までの第一ポリシロキサンを含んでもよい。
第二ポリシロキサン
組成物は組成物の全質量を基準として、2質量%より大きく、又は3質量%より大きく、又は4質量%より大きい第二ポリシロキサンを含んでもよい。これらの実施態様又はその他の実施態様において、組成物が組成物の全質量を基準として、12質量%未満、又は10質量%未満、又は8質量%未満、又は7質量%未満の第二ポリシロキサンを含む。組成物が組成物の全質量を基準として、約2質量%から約12質量%まで、又は約3質量%から約10質量%までの第二ポリシロキサンを含んでもよい。
スリップ助剤
組成物は更にスリップ助剤(例えば、脂肪酸アミド)を含んでもよい。組成物は組成物の全質量を基準として、0.5 質量%より大きく、又は1質量%より大きく、又は1.5 質量%より大きいスリップ助剤を含んでもよい。これらの実施態様又はその他の実施態様において、組成物が組成物の全質量を基準として、5質量%未満、又は3質量%未満、又は2質量%未満のスリップ助剤を含んでもよい。組成物が組成物の全質量を基準として、約0.5 質量%から約5質量%まで、又は約1質量%から約3質量%までのスリップ助剤を含んでもよい。
充填剤
組成物が更に充填剤(例えば、カーボンブラック及び/又はクレー)を含んでもよい。組成物は組成物の全質量を基準として2質量%より大きく、又は3質量%より大きく、又は4質量%より充填剤を含んでもよい。これらの実施態様又はその他の実施態様において、組成物が組成物の全質量を基準として10質量%未満、又は8質量%未満、又は6質量%未満の充填剤を含んでもよい。組成物が組成物の全質量を基準として約1質量%から約10質量%まで、又は約2質量%から約7質量%までの充填剤を含んでもよい。
オイル
組成物は更にオイル(例えば、パラフィンオイル)を含んでもよい。組成物は組成物の全質量を基準として2質量%より大きく、又は4質量%より大きく、又は6質量%より大きいオイルを含んでもよい。これらの実施態様又はその他の実施態様において、組成物が組成物の全質量を基準として、15質量%未満、又は12質量%未満、又は10質量%未満のオイルを含む。組成物が組成物の全質量を基準として、約2質量%から約15質量%まで、又は約5質量%から約12質量%までのオイルを含んでもよい。
【0035】
調製
組成物は最初に熱可塑性加硫ゴム供給原料(これは少なくとも部分硬化され、熱可塑性樹脂中に分散されるゴムを含む)を生成することにより調製されてもよい。先に説明されたように、熱可塑性加硫ゴムは動的加硫により生成されてもよい。第一ポリシロキサン及び第二ポリシロキサンだけでなく、スリップ助剤及びその他の添加剤(例えば、付加的な熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン)が、続いて熱可塑性加硫ゴムに添加されて組成物を生成し得る。一つ以上の実施態様において、ポリシロキサン樹脂が添加され、その間に熱可塑性加硫ゴムがその溶融状態にあり、即ち、熱可塑性加硫ゴムが熱可塑性樹脂相の流れを得るのに充分な温度にある。
第一ポリシロキサン及び第二ポリシロキサン(並びにあらゆるその他の付加的な添加剤)が熱可塑性加硫ゴムの製造中だが、ゴムの充分な硬化の後に熱可塑性加硫ゴムに導入されてもよく、これがブレンド中のゴムの転相を達成する。動的加硫は熱可塑性樹脂よりも大きい体積分率のゴムを含むことにより開始してもよい。このようなものとして、熱可塑性樹脂が不連続相として存在する。動的加硫が進行するにつれて、ゴムの粘度が増大し、転相が生じる。換言すれば、熱可塑性樹脂相が連続になり、ゴムが不連続相になる。その他の実施態様において、共連続形態又は擬似共連続形態はゴム及び熱可塑性樹脂の両方が連続相である場合に得られる。一つ以上の実施態様において、熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン又はポリエチレン)は硬化剤の約50%、又は約75%、又は約90%が消費された後に添加される。或る実施態様において、ポリシロキサンは硬化剤が完全に消費され、又は充分な硬化が得られた後に添加される。或る実施態様において、熱可塑性加硫ゴムはポリシロキサンが添加されるまで動的加硫の時点からその溶融状態に維持される。
【0036】
その他の実施態様において、ポリシロキサン(並びにあらゆるその他の付加的な添加剤)は熱可塑性加硫ゴムが冷却され、必要により加工(例えば、ペレット化)され、再溶融された後に熱可塑性加硫ゴムに導入されてもよい。例えば、熱可塑性加硫ゴムのペレットが溶融され、ポリシロキサンと溶融ブレンドし得る。或る実施態様において、熱可塑性加硫ゴムが最初に溶融され、次いでポリシロキサン(並びにあらゆるその他の付加的な添加剤)が続いて導入される。その他の実施態様において、熱可塑性加硫ゴムのペレット及び一種以上のポリシロキサンがブレンドされ(即ち、導入され)、次いでその混合物が溶融され、ブレンドされる。
第一ポリシロキサン及び第二ポリシロキサンの添加は種々の技術を使用することにより生じ得る。例えば、夫々のポリシロキサンが熱可塑性加硫ゴムに連続して添加されてもよい。換言すれば、第一ポリシロキサンが添加され、続いて第二ポリシロキサンが添加されてもよい。また、第二ポリシロキサンが添加され、続いて第一ポリシロキサンが添加されてもよい。添加の順序はその他の成分に関して同様に変化してもよい。
或る実施態様において、第一ポリシロキサン及び第二ポリシロキサンがそれらを熱可塑性加硫ゴムと合わせる前に予備ブレンドされてもよい。例えば、第一ポリシロキサン及び第二ポリシロキサンが溶融ブレンドされてもよく、続いて熱可塑性加硫ゴムに添加されてもよい。溶融ブレンド後のこのその後の添加は液体(溶融)状態又は固体状態で生じ得る。
【0037】
工業上の適用可能性
本発明の組成物はスリップコート組成物として有益であり、多数のサイクルにわたっての摺動力が所望される場合に有益であるラミネートを生成するのに使用し得る。一つ以上の実施態様において、これらの特性が湿潤条件で、かつ/又は広い温度スパンにわたって得られる。ラミネートはウェザーシール、例えば、自動車の移動可能なウインドーとかみ合うウインドーチャンネル(a.k.a.ガラスランチャンネル)(これらに限定されないが)の少なくとも一部を形成し得る。
本発明のラミネートは少なくとも二つの層(これらは第一ポリマー層及び第二ポリマー層と称し得る)を含む。第一ポリマー層(これはまた表面層又はスリップ層又はスリップコート層と称し得る)は、本明細書に記載された組成物から調製されてもよい。第二層(これはまた支持体又はベース層と称し得る)は、周囲温度より低いガラス転移温度(Tg)、例えば、0℃未満、又は-20 ℃未満、又は約-65 ℃未満を有することを特徴とする少なくとも一種のポリマーを含む。一つ以上の実施態様において、支持体が少なくとも一種のゴム状ポリマーを含む。或る実施態様において、支持体が軟質又はゴム状のセグメント(即ち約0℃未満であるガラス転移温度を有するセグメント)を含む一種以上のブロックコポリマーを含んでもよい。その他の実施態様において、これらの組成物が熱可塑性ポリマーと一緒にゴム状ポリマーのブレンドを含んでもよい。
有益なゴム状ポリマーとして、天然又は合成のゴム状ポリマーが挙げられる。合成ゴム状ポリマーとして、一種以上の共役ジエンのホモポリマー及び共役ジエンとビニル芳香族化合物、例えば、スチレンのコポリマーが挙げられる。その他の有益なゴム状コポリマーとして、エチレン、プロピレン、及びジエンモノマーのコポリマーが挙げられる。コポリマーとして、ランダムコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンゴム)だけでなく、ブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(S-B-S )及びこれらの水素化誘導体(S-E/B-S))の両方が挙げられる。別の実施態様において、支持体がポリα−オレフィン(例えば、ポリプロピレン)とブロックコポリマー(例えば、S-B-S 又はS-E/B-S )のブレンドを含み、特別な実施態様において、これらがポリオレフィンと架橋性/架橋スチレンブロックコポリマーとのブレンドを含んでもよい。
【0038】
特別な実施態様において、支持体が熱可塑性加硫ゴムを含み、これは本明細書に記載されたように一般に硬化(完全又は部分)ゴムと熱可塑性樹脂のブレンドを含む。一つ以上の実施態様において、熱可塑性加硫ゴムとして、連続のポリα−オレフィン(例えば、ポリプロピレン)相中に分散されたエチレン、プロピレン、及びジエンモノマーの硬化コポリマー(例えば、EPDM)が挙げられる。
支持体は45より大きく、又は50より大きく、又は55より大きく、又は60より大きいショアーA硬度を特徴とする熱可塑性加硫ゴムを含んでもよい。これらの実施態様又はその他の実施態様において、支持体が70未満、又は65未満、又は60未満、又は55未満、又は50未満のショアーA硬度を特徴とする熱可塑性加硫ゴムである。
ラミネートは種々の技術を使用することにより調製し得る。例えば、本明細書に記載されたスリップコート組成物及び支持体が同時押出されて一体ラミネートを形成し得る。その他の実施態様において、支持体層が最初に成形又は押出を含む種々の技術を使用することにより調製され、次いでスリップコート組成物が続いて支持体に押し出される。その他の実施態様において、スリップコート組成物及び支持体が別々に押し出され、次いで互いに積層し得る。
本発明は第一層及び第二相のあらゆる特別な厚さに特別に限定されないが、スリップコート層(本明細書に記載された組成物を含む)の厚さは約50μmから約150 μmまで、又は約75μmから約125 μmまで、又は約85μmから約115 μmまでであってもよい。支持体層の厚さはラミネート又はガラスランチャンネルの構造に応じて変化し得る。
【0039】
スリップコート層の例示の特性
本明細書に記載された組成物を含むスリップコート層は比較的低い摩擦係数、改良された表面外観、改良された耐摩耗性、改良されたUV安定性、及びストレス白化に対する少ない感受性を含む多くの有利な性質を特徴とし得る。
スリップコート層はASTM D1894-99に従って室温でガラス上で、0.20未満、又は0.19未満、又は0.18未満の動的摩擦係数を示すことを特徴とし得る。
同様に、スリップコート層の或る実施態様はASTM D1894-99に従って室温でガラス上で、0.20未満、又は0.19未満、又は0.18未満の静止摩擦係数を示すことを特徴とし得る。
更に、スリップコート層の或る実施態様は約30から約55まで、又は約35から約50まで、又は約40から約45までのショアーD硬度を示すことを特徴とし得る。
また、スリップコート層の或る実施態様は比較的低い押出表面等級(ESR )により実証されるように改良された表面外観を示すことを特徴とする。ESR はEllulら著“天然ゴム及びEPDM熱可塑性エラストマーの化学表面処理:摩擦及び接着に関する効果”RUBBER CHEMISTRY AND TECHNOLOGY, 67 巻, 4号, 582 頁(1994)により記載されるように分析し得る。スリップコート層は120 未満、又は80未満、又は50未満であるESR値(Ra)を有することを特徴とすることが好ましい。
【0040】
特別な実施態様
本発明の例示の実施態様が以下に提供される。
実施態様A (i) 少なくとも部分硬化されているゴムの分散相、(ii)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーを含む連続熱可塑性相、(iii) 100 kg/モルより大きい数平均分子量を有する第一ポリシロキサン、及び(iv) 100 kg/モル未満の数平均分子量を有する第二ポリシロキサンを含む、スリップコート組成物として有益な、組成物。
実施態様B 第一ポリシロキサンが130 kg/モルより大きい分子量を有する、実施態様Aの組成物。
実施態様C 第二ポリシロキサンが液体ポリシロキサンである、実施態様A及びBの組成物。
実施態様D 組成物が組成物の質量を基準として、約4質量%から約20質量%までのゴムを含む、実施態様A−Cの組成物。
実施態様E 組成物が組成物の質量を基準として、約3質量%から約85質量%の熱可塑性ポリマーを含む、実施態様A−Dの組成物。
実施態様F 組成物が組成物の質量を基準として、約8質量%から約20質量%までの第一ポリシロキサンを含む、実施態様A−Eの組成物。
実施態様G 組成物が組成物の質量を基準として、約2質量%から約12質量%までの第二ポリシロキサンを含む、実施態様A−Fの組成物。
実施態様H スリップ助剤を更に含む、実施態様A−Gの組成物。
実施態様I スリップ助剤が脂肪酸アミドである、実施態様A−Hの組成物。
実施態様J 組成物が組成物の質量を基準として、約0.5 質量%から約5質量%までのスリップ助剤を含む、実施態様A−Iの組成物。
実施態様K 熱可塑性ポリマーがポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一種を含む、実施態様A−Jの組成物。
実施態様L ポリプロピレンが結晶性ポリプロピレンであり、かつポリエチレンが組成物の質量を基準として、高密度ポリエチレンである、実施態様Kの組成物。
実施態様M 組成物が組成物の質量を基準として、20質量%から60質量%までのポリプロピレン及び12質量%から50質量%までのポリエチレンを含む、実施態様K又はLの組成物。
実施態様N (a) (i) 少なくとも部分硬化されているゴムの分散相、(ii)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーを含む連続熱可塑性相、(iii) 100 kg/モルより大きい数平均分子量を有する第一ポリシロキサン、及び(iv) 100 kg/モル未満の数平均分子量を有する第二ポリシロキサンを含む組成物を含む第一層、及び(b) ポリマーを含む第二層を含むラミネート。
実施態様O 第二層が熱可塑性加硫ゴムを含む、実施態様Nのラミネート。
実施態様P 第一層中の組成物が組成物の質量を基準として、約4質量%から約20質量%までのゴム、約3質量%から約85質量%までの熱可塑性ポリマー、約8質量%から約20質量%までの第一ポリシロキサン、約2質量%から約12質量%までの第二ポリシロキサン、及び約0.5 質量%から約5質量%までのスリップ助剤を含む、実施態様N−Oのラミネート。
【0041】
実施態様Q 第一層中の組成物が20質量%から60質量%までのポリプロピレン及び12質量%から50質量%までのポリエチレンを含む、実施態様N−Pのラミネート。
実施態様R (a) (i) 少なくとも部分硬化されているゴムの分散相、及び少なくとも一種の熱可塑性ポリマーを含む連続熱可塑性相を含む熱可塑性加硫ゴムを、(ii) 100 kg/モルより大きい数平均分子量を有する第一ポリシロキサン、及び(iii) 100 kg/モル未満の数平均分子量を有する第二ポリシロキサンと合わせる工程、及び(b) 組成物を生成する工程を含む、組成物の製造方法。
実施態様S (a) (i) 少なくとも部分硬化されているゴムの分散相、(ii)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーを含む連続熱可塑性相、(iii) 100 kg/モルより大きい数平均分子量を有する第一ポリシロキサン、及び(iv) 100 kg/モル未満の数平均分子量を有する第二ポリシロキサンを含む組成物を含む第一層を生成する工程、(b) ポリマーを含む第二層を生成する工程、及び(c) 第一層及び第二層を含むラミネートを生成する工程を含む、ラミネートの製造方法。
実施態様T 第一ポリシロキサンが、ASTM D 1601及びD 4020に従って測定して、10,000 dl/g より大きい固有粘度を有し、かつ/又は第二ポリシロキサンが、ASTM D 1601及びD 4020に従って測定して、10,000 dl/g 未満の固有粘度を有する、上記実施態様のいずれかの組成物又はラミネート。
実施態様U 上記実施態様のいずれかの組成物及び/又はラミネートを含むウェザーシール。
【実施例】
【0042】
本発明の実施を実証するために、下記の実施例を調製し、試験した。しかしながら、実施例は本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。
サンプル1-3
最初の実験では、3種の組成物を調製し、標準化試験に従って摺動性能について試験した。特に、市販の熱可塑性加硫ゴムの一種以上、2種の付加的なポリプロピレン、ポリエチレン、第一ポリシロキサン及び第二ポリシロキサン、並びにスリップ助剤を溶融ブレンドすることにより組成物を調製した。夫々のサンプルについての特別な配合を表Iに提示する。
表I
【0043】
【表1】
【0044】
熱可塑性加硫ゴムを商品名サントプレン121-87(エクソンモービル)で入手し、これは87のショアーA硬度を特徴とし、高MFR PPを商品名F180A (ブラスケム)で入手し、これは230 ℃で2.16kgの負荷で20g/10分のMFR を特徴とし、低MFR PPを商品名PP5341(エクソンモービル)で入手し、これは230 ℃で2.16kgの負荷で0.8g/10 分のMFR を特徴とし、HDPEを商品名HDPE7960.13(エクソンモービル)で入手し、これは0.06のメルトインデックスを特徴とし、スリップ助剤は商品名ケマミドE(PMC グループ)で入手された脂肪酸アミドであり、第一ポリシロキサンを商品名SiMB 50-314 (ダウ・コーニング)で入手し、これは超高分子量ポリシロキサンとして特徴づけられ(例えば、100kg/モルより大きい数平均分子量を有するとして特徴づけ得る)、また第二ポリシロキサンを商品名PMX-200 キアメーター(ダウ・コーニング)として入手し、これは1,000 cStの粘度を特徴とする液体であり、100kg/モル未満の数平均分子量を有するとして特徴づけ得る。
組成物を2軸押出機で調製した。混合をポリプロピレンの融解温度より上の温度で行なった。成分の夫々を押出機の供給スロートに添加し、混合生成物を押出時にペレットにした。
ラミネートを熱可塑性加硫ゴムで生成することにより試験サンプルを調製した。ラミネートは夫々の層(即ち、スリップコート層及び熱可塑性加硫ゴム支持体)を有して、厚さ約2mmであり、夫々が厚さ約1mmであった。熱可塑性加硫ゴム支持体を商品名サントプレン121-67W175又は121-73W175で入手した。ラミネートを同時押出又は材料の夫々のシートの積層により生成した。
試験は一般にガラス試験ブロックを100 mmのストローク距離及び6000mm/分の速度でスリップコート層を横切って摺動することにより行なった。試験ブロックをスリップコート層を横切って摺動するのに必要とされる力を夫々のサイクルについて記録した。ガラス試験ブロックは5kgの質量を有し、5cmの半径を有する丸形表面を含んでいた。試験の結果を表Iに提示する。
表I中のデータは第二ポリシロキサンの添加がスリップコートの摺動特性を改良することを示す。
【0045】
サンプル4-7
第二の実験では、4種の組成物を調製し、標準試験に従って摺動性能について試験した。特に、一種以上の市販の熱可塑性加硫ゴム、付加的なポリプロピレン、ポリエチレン、第一ポリシロキサン及び第二ポリシロキサン、並びにスリップ助剤を溶融ブレンドすることにより組成物を調製した。夫々のサンプルについての特別な配合を表IIに提示する。
表II
【0046】
【表2】
【0047】
使用した成分は低MFR PPを使用せず、その代わりに第二ポリシロキサンを商品名PMX-200 キアメーター(ダウ・コーニング)で入手し、これは350cStの粘度を特徴とし、100kg/モル未満の数平均分子量を有することを特徴とし得る液体であった以外は、サンプル1−3中に使用されたものと同じであった。
組成物を実験用ハークミキサーで調製した。サンプル1−3で示された操作を使用して試験サンプルを調製し、同じ試験を行なった。
表II中のデータは相乗関係が第二ポリシロキサンと高密度ポリエチレンの間に存在し得ることを示す。
サンプル8-15
第三の実験では、8種の組成物を調製し、標準試験に従って摺動性能について試験した。特に、市販の熱可塑性加硫ゴムを付加的なポリプロピレン、ポリエチレン、第一ポリシロキサン及び第二ポリシロキサン、並びにスリップ助剤と溶融ブレンドすることにより組成物を調製した。夫々のサンプルについての特別な配合を表III に提示する。
表III
【0048】
【表3】
【0049】
使用した成分は低MFR PPを使用せず、異なる市販の熱可塑性加硫ゴムを或るサンプル中に使用した以外はサンプル1-3中に使用したものと同じであった。熱可塑性加硫ゴムIを商品名121-87で入手し、これは87のショアーA硬度を特徴とし、熱可塑性加硫ゴムIIを商品名123-40(エクソンモービル)で入手し、これは40のショアーA硬度を特徴とし、熱可塑性加硫ゴムIII を商品名123-50(エクソンモービル)で入手し、これは50のショアーA硬度を特徴とした。サンプル1-3のように、第二ポリシロキサンを商品名PMX-200 キアメーター(ダウ・コーニング)で入手し、これは100cStの粘度を特徴とし、100kg/モル未満の数平均分子量を有することを特徴とし得る液体であった。
組成物を2軸押出機で調製した。サンプル1−3で示された操作を使用して試験サンプルを調製し、同じ試験を行なった。
表III 中のデータは組成物の総合硬度がスリップコートの総合性能に影響し得ることを示す。
本発明の範囲及び精神から逸脱しない種々の変更及び変化が当業者に明らかになるであろう。本発明は本明細書に示された例示の実施態様に不当に限定されるべきではない。