【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係るコネクタの固定構造1が組み込まれたサンバイザーユニット400を示した分解斜視図である。
図2は、
図1に示したコネクタの固定構造1を示した斜視図である。
図3は、
図2に示したコネクタの固定構造1を後方から視た斜視図である。
図4は、
図1に示したコネクタの固定構造1の上面図である。
図5は、
図4に示したコネクタの固定構造1のC−C線断面図である。
図6は、
図1に示した固定側コネクタハウジング20を拡大した斜視図である。
図7は、
図1に示した取付部材80と、取付部材80に取り付けされた移動側コネクタ50とを示した図である。
なお、便宜上、図中矢印方向を上下左右前後方向とする。
本発明の実施例のコネクタの固定構造1は、例えば、自動車に設けられるサンバイザーユニット400に組み込まれ、
図1に示すように、サンバイザー401に設けられた照明付き鏡の照明の電気接続部となるものでる。
【0018】
コネクタの固定構造1は、雄端子23aが保持され、嵌合方向が取付面210に直交するように固定されてなる固定側コネクタ10と、雄端子23aに接続される雌端子61aが保持されてなる移動側コネクタ50が移動可能に取り付けられ、一端縁部に設けられたアーム部81を支軸として回動されて取付面210に固定される板状の取付部材80とを有し、取付部材80が取付面210に固定されることによって固定側コネクタ10と移動側コネクタ50とが嵌合されるようになっている。
なお、サンバイザーユニット400は、車体内部の骨格を形成する骨格パネル200の車内側の面が取付面210とされ、骨格パネル200に保持され、この骨格パネル200と重なる天井パネル300に対しても保持されるようになっている。
【0019】
まず、骨格パネル200について説明する。
骨格パネル200は、パネル開口部220と、取付部材固定部230と、アーム位置決め部240とを有してなる。
パネル開口部220は、固定側コネクタ10の後述する上側突出片部26aが当接されるまで挿通可能に形成された開口である。
取付部材固定部230は、取付部材80を固定させる部分であり、不図示のボルトが挿通されるボルト挿通孔230aを有してなる。このボルト挿通孔230aと、取付部材80に形成されたボルト挿通孔83aとに、ボルトが挿通され、不図示のナットを用いて締結されることによって取付部材80が骨格パネル200に固定されるようになっている。
アーム位置決め部240は、取付部材80のアーム部81が所定位置に位置決めされるようにアーム部81の形状に対応して切り欠かれた切り欠き部分である。
【0020】
次に、天井パネル300について説明する。
天井パネル300は、
図1に示すように、後述する固定側コネクタハウジング20の下部が挿通されるように形成されたコネクタ挿通用開口部310を有してなる。このコネクタ挿通用開口部310は、後述する各下側突出片部26bが挿通されるように一対の切り欠き部310aが形成されている。
【0021】
次に、固定側コネクタ10について説明する。
固定側コネクタ10は、本体部となる固定側コネクタハウジング20を有してなる。
固定側コネクタハウジング20は、絶縁性の樹脂からなり、略矩形状の天井壁21と、天井壁21の左右両側縁に立設された一対の延出側壁22を有してなる。この一対の延出側壁22は、後述する囲い壁25の一部をなし、後述する移動ガイド部100として機能するようになっている。
この固定側コネクタハウジング20は、固定側コネクタハウジング20内の上部に複数の雄端子23aが保持される端子保持部23、および移動側コネクタ50と嵌合される部分となる固定側コネクタ嵌合部24を有してなる。
【0022】
端子保持部23は、電線Wに接続された複数の雌端子23bが保持されるようになっており、これら雌端子23bに対して着脱自在に雄端子23aが接続されるようになっている。この雄端子23aは、いわゆるジョイント型の端子である。
なお、この実施例では雄端子23aがジョイント型の端子であるものを例示したが、これに限らず、圧着あるいは圧接端子を用いても構わない。
【0023】
固定側コネクタ嵌合部24は、
図5に示すように、移動側コネクタ50の後述する移動側コネクタ嵌合部62の外周面を囲うように形成された壁である囲い壁25を有してなる。
この固定側コネクタ嵌合部24の底部24aは天井壁21によって形成され、下端部が移動側コネクタ50の嵌入口25aになっている。雄端子23aの相手端子との接続部23aaは、天井壁21を貫通されて固定側コネクタ嵌合部24内に突出されるようになっている。
【0024】
また、固定側コネクタハウジング20は、天井挟み込み部26を有し、この天井挟みこみ部26によって天井パネル300に組み付けられるようになっている。
この天井挟み込み部26は、
図6に示すように、上側突出片部26aおよび下側突出片部26bを有してなる。
上側突出片部26aは、一対の延出側壁22の各延出側壁22の外面に片状に突設されてなる。この上側突出片部26aは、各延出側壁22の前後の2箇所に間隔を空けて並んで配置されている。
下側突出片部26bは、上側突出片部26aに比して下方、かつ上側突出片部26aと平行に、各延出側壁22の外面に片状に突設されてなる。
このような固定側コネクタ10は、各下側突出片部26bが各切り欠き部310aに挿通されるように固定側コネクタハウジング20の下部がコネクタ挿通用開口部310に挿通され、さらに固定側コネクタハウジング20がスライドされることによって天井パネル300に組み付けられるようになっている。
【0025】
また、固定側コネクタハウジング20は、取付部材80が取付面230に固定される場合、取付部材80の移動にともなって、移動側コネクタ50が後述する係止部90によって係止された向きから嵌合方向に向きを漸次変化させるようにガイドする移動ガイド部100としての一対の延出側壁22と、一対のガイド溝部30とを有してなる。
【0026】
一対の延出側壁22は、囲い壁25のうち後述する一対のガイド突起部63に向かい合い、かつ固定側コネクタ嵌合部24の嵌入口25aよりも高く延出されてなる壁である。
【0027】
一対のガイド溝部30は、移動側コネクタ50が固定側コネクタ嵌合部24の嵌入口25aに移動されるまでの間に嵌合方向に向くようにガイドする溝である。この一対の一対のガイド溝部30は、後述する一対のガイド突起部63が嵌め合わされるように各延出側壁22に形成されてなる。
各ガイド溝部は、嵌入口25aを拡大するように溝の内縁面が傾斜された傾斜面30aを有してなる。後述する各ガイド突起部63が各傾斜面30aに摺接されることによって移動側コネクタ50が嵌合方向に向きを漸次変化させるようにガイドされるようになっている。
【0028】
また、固定側コネクタハウジング20は、取付部材80を係止する固定ハウジング側係合部31を有してなる。
この固定ハウジング側係合部31は、取付部材80が取付完了位置で回動されないように固定側コネクタハウジング20に係止させる鉤状の係合部である。
【0029】
次に、取付部材80について説明する。
取付部材80は、絶縁材料からなる板状部材であり、雄端子23aに接続される雌端子61aが保持されてなる移動側コネクタ50が移動可能に取り付けられ、一端縁部に設けられたアーム部81を支軸として回動されて取付面210に固定されるものである。
【0030】
アーム部81は、取付部材80の取付側の面80a(以下、部材取付側面という。)に鉤状に屈曲されるようにして突設されてなる。
【0031】
また、取付部材80は、取付部材側係合部82と、固定部83と、サンバイザー取付部84と、係止部90とを有してなる。
取付部材側係合部82は、固定ハウジング側係合部31と係合されることによって取付部材80が回動完了位置で固定側コネクタハウジング20に係止されるように設けられた鉤状の係合部である。
固定部83は、骨格パネル200に取付部材80を固定させる部分であり、不図示のボルトが挿通されるボルト挿通孔83aを有してなる。このボルト挿通孔83aと、骨格パネル200に形成されたボルト挿通孔230aとに不図示のボルトが挿通され、締結されることによって取付部材80が骨格パネル200に固定されるようになっている。
サンバイザー取付部84は、部材取付側面80aに筒状に突設された部分であり、筒内にサンバイザー401の支持部401aが挿通されることによって、サンバイザー401が保持され部分である。
【0032】
係止部90は、固定側コネクタ10との嵌合部となる移動側コネクタ嵌合部62が取付部材80の部材内側面80aに対して直交する方向に向くように移動側コネクタ50を係止する部分である。
この係止部90は、移動小側係止部91および移動大側係止部92を有してなる。
【0033】
移動小側係止部91は、部材取付側面80aから鉤状に突出された部分であり、その先端部に移動側コネクタ50の後述する引掛り部64に引っ掛かるように突起された引掛り突起部91aを有してなる。
この移動小側係止部91は、移動側コネクタ50が回動と同様にして移動されるように、その回動中心側としての下端縁60a(以下、移動小側下端縁という。)を支持する部分である。
移動小側下端縁
60aは、移動小側係止部91によって移動量が小さくなるようにその移動が規制される。
【0034】
移動大側係止部92は、部材内側面からほぼL字状に突出された部分であり、部材取付側面80aに立設された立設部92aと、立設部92aの上端部から移動側コネクタ50が取り付けられる側に向けて屈曲されてなる移動範囲規制爪部92cとを有してなる。
【0035】
立設部92aは、移動側コネクタが回動と同様にして移動されるように、回動中心側から離れた側の下端縁60b(以下、移動大側下端縁という。)に摺接される部分である。
この立設部92aは、移動小側下端縁60aの移動量に比して移動大側下端縁60bの移動量が大きくなるようにその高さが設定されている。
また、立設部92aは、移動ガイド部100としての機能も有している。より具体的には、立設部92aは、移動大側下端縁60bに摺接される摺接面92bが移動側コネクタ50が嵌合方向に向きを漸次変化させるようになだらかな曲面形状をなしている。
【0036】
移動範囲規制爪部92cは、移動側コネクタ50に形成された後述する爪部挿通孔65内に挿通され、孔内底面65aに当接されることによって移動側コネクタ50の移動を規制するものである。
このような係止部90によって、移動側コネクタ50の移動小側下端縁60aが移動小側係止部91に引っ掛かり、移動大側下端縁60bが移動大側係止部92の立設部92aの根元に当接されて、移動側コネクタ嵌合部62が部材取付側面80aに対して直交する方向に向くように係止される。
【0037】
次に、移動側コネクタ50について説明する。
移動側コネクタ50は、絶縁性の樹脂からなり、本体部となる移動側コネクタハウジング60を有してなる。
移動側コネクタハウジング60は、移動側コネクタハウジング60内に複数の雌端子61aが保持される雌端子保持部61と、固定側コネクタ嵌合部24と嵌合される移動側コネクタ嵌合部62と、一対のガイド突起部63と、引掛り部64と、爪部挿通孔65とを有してなる。
【0038】
移動側コネクタ嵌合部62は、固定側コネクタ嵌合部24と嵌合されることによって、雌端子61aを固定側コネクタ10の雄端子23aに接続させる部分ある。
この移動側コネクタ嵌合部62は、全体としてほぼ直方体形状をなし、先端側に各雄端子23aの接続部23aaが挿通可能な複数の端子挿通孔62aが形成されている。
【0039】
一対のガイド突起部63は、取付部材80が取付面210に固定される場合、移動ガイド部100として機能する部分である。
この一対のガイド突起部63は、移動側コネクタ嵌合部62の先端側両側部62b,62bに突起された部分である。各ガイド突起63が各ガイド溝部30の傾斜面30aに摺接されることによって移動側コネクタ50が嵌合方向に向けられるようになっている。
【0040】
引掛り部64は、移動小側係止部91が引っ掛かるように移動側コネクタハウジング60の移動小側下端縁60aに突出して設けられた部分である。
【0041】
爪部挿通孔65は、移動側コネクタハウジング60の移動大側下端縁60b周辺に形成された孔である。この爪部挿通孔65は、取付部材80の移動範囲規制爪部92cが孔内底面65aに当接されることによって移動側コネクタ50の移動を規制するものである。
【0042】
ここで、取付部材80を取付面210に固定させる手順を
図7−
図14を用いて説明する。
図8−
図15は、取付部材80が取付面210に固定される手順を示した図である。
なお、図中、上側の図は、
図4に示したサンバイザーユニット400のB−B線断面図を示し、下側の図は、
図4に示したサンバイザーユニット400のC−C線断面図であり、取付部材80が上図と同様な取り付け状態になっている。
【0043】
まず、作業者は、取付部材80のアーム部81を骨格パネル200のアーム位置決め部240に嵌めこむ(
図8参照)。この状態において移動側コネクタ50は嵌合方向に対して最大に傾いた状態で取付部材80に係止されている。
【0044】
その後、作業者は、取付部材80をアーム部81を支軸として回動開始させる(
図9参照)。このように取付部材80の回動が開始されると、一対のガイド突起部63が傾斜面に当接され、移動側コネクタ50が嵌合方向に向けられるようにガイドが開始される。
【0045】
その後、作業者は、取付部材80をさらに回動させる(
図10参照)。移動側コネクタ50が係止部90によって係止された向きから、漸次嵌合方向に向けられていく。より具体的には、移動側コネクタ50の移動大側下端縁62bが立設部92aの摺接面92bに摺接されつつ、移動側コネクタ嵌合部62の先端側両側部62bにある一対のガイド突起部63が傾斜面30aに摺接開始される。
【0046】
その後、作業者は、取付部材80をさらに回動させる(
図11参照)。このように取付部材80がさらに回動されると、移動側コネクタ50が嵌合方向に向けられ、移動側コネクタ嵌合部62が固定側コネクタ嵌合部24に対して直線的に移動されて嵌合できる向きになる。なお、移動範囲規制爪部92cが爪部挿通孔65内で孔内底面65aに当接されるので、移動側コネクタ50の移動が規制されている(
図11(b)参照)。
【0047】
その後、作業者は、取付部材80をさらに回動させる(
図12参照)。このように取付部材80がさらに回動されると、固定側コネクタ10と移動側コネクタ50との嵌合が開始される。この際、移動側コネクタ嵌合部62が固定側コネクタ嵌合部24に対して直線的に移動開始される。また、取付部材80が移動側コネクタ50が係止部90によって係止されていた位置に戻すように、すなわち、移動側コネクタ嵌合部62が部材取付側面80aに対して直交する方向に向けくように取付部材80が回動される。
【0048】
その後、作業者は、取付部材80をさらに回動させることによって固定側コネクタ10と移動側コネクタ50との嵌合が完了される(
図13−
図15参照)。固定側コネクタ10と移動側コネクタ50との嵌合が完了されると、移動側コネクタ50は、移動側コネクタ嵌合部62が取付部材80の部材取付側面80aに対して直交する方向に向けられた状態となり、係止部90によって再び係止される(
図15参照)。
また、固定ハウジング側係合部31と、取付部材側係合部82とが係合されることによって取付部材80が固定側コネクタ10に係止される。
なお。最後にボルト挿通孔83a,230aに、不図示のボルトが挿通され、不図示のナットを用いて締結されることによって取付部材80が骨格パネル200に確実に固定される。
【0049】
本発明の実施例に係るコネクタの固定構造1は、移動側コネクタ50が係止部90によって、移動側コネクタ嵌合部62が取付部材50の部材取付側面80aに対して直交する方向に向くように係止され、取付部材80の回動にともなって、移動ガイド部100によって嵌合方向に向きを漸次変化されるので、取付部材80が回動される前は、移動側コネクタ50が嵌合方向に対して大きく傾斜された状態とされ、取付部材80のアーム部81が取付面210に組み付けられる際、無理に嵌合されることを防止できる。しかも、取付部材80が回動完了されると、移動側コネクタ嵌合部62が取付部材80の部材取付側面80aに対して直交する方向に向くことになり、移動側コネクタ50が係止部90によって再び係止されることになるので、係止部90が移動側コネクタを複数の姿勢に係止可能に構成される必要がない。このため、簡易な構成、かつ端子が損傷されることを防止することができる。
【0050】
また、本発明の実施例に係るコネクタの固定構造1は、移動側コネクタ50の一対のガイド突起部63が、固定側コネクタ10のガイド溝部30にガイドされて移動側コネクタ50の向きが変化されるようになっているので、移動側コネクタ50と固定側コネクタ10との接触部分を少なくして移動側コネクタ50の向きを変化させることができるので、移動側コネクタ50の向きを滑らかに変化させることができる。
【0051】
また、本発明の実施例に係るコネクタの固定構造1は、一対のガイド突起部63の各ガイド突起部63が嵌入口を拡大するように溝の内縁面を傾斜して形成されてなる傾斜面30aに摺接されることによって移動側コネクタ50を嵌合方向に向くようにガイドされるので、各ガイド突起部63が傾斜面30aに当接されることによって各ガイド溝部30に滑らかに嵌め込まれ、結果的に移動側コネクタ50の向きを滑らかに変化させることができる。
【0052】
また、本発明の実施例に係るコネクタの固定構造1は、雄端子23aが固定側コネクタ10に保持された雌端子23bに着脱自在に取り付けされてなるので、ジョイントコネクタなしで雄端子23aを雌端子23bに接続させることができる。
【0053】
なお、本発明の実施例に係るコネクタの固定構造1は、骨格パネル200の取付面210に固定されるものを例示したが、これに限らず、その他の取付先の面に固定されるようにしても構わない。
【0054】
また、本発明の実施例に係るコネクタの固定構造1は、固定側コネクタ10に雄端子23aが保持され、移動側コネクタ50に雌端子61aが保持されるものを例示したが、これに限らず、固定側コネクタ10に雌端子が保持され、移動側コネクタ50に雄端子が保持されるようにしても構わない。
【0055】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。