特許第5966224号(P5966224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966224
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】電流検出用抵抗器の実装構造
(51)【国際特許分類】
   H01C 13/00 20060101AFI20160728BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20160728BHJP
   H01C 17/065 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   H01C13/00 A
   H05K1/18 S
   H01C17/065 310
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-51316(P2012-51316)
(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公開番号】特開2013-187354(P2013-187354A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092406
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 信太郎
(74)【復代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【復代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(74)【復代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(72)【発明者】
【氏名】知久 里志
(72)【発明者】
【氏名】平沢 浩一
【審査官】 柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−155134(JP,A)
【文献】 特開2008−198687(JP,A)
【文献】 特開平07−191059(JP,A)
【文献】 特開2005−174955(JP,A)
【文献】 特開平06−216308(JP,A)
【文献】 特開2003−70230(JP,A)
【文献】 特開2010−40622(JP,A)
【文献】 特開2010−165810(JP,A)
【文献】 特開2006−112868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 13/00
H01C 17/065
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された一対のランドを含む配線パターンと、
前記ランドに並列に実装された少なくとも2つの電流検出用抵抗器と、
前記一対のランドから導出された検出端子と、を備え、
一の電流検出用抵抗器の実装部の近傍および他の電流検出用抵抗器の実装部の近傍の配線パターンの抵抗値を下げるための調整素子を備えたことを特徴とする電流検出用抵抗器の実装構造。
【請求項2】
前記配線パターンの少なくとも一方は、前記電流検出用抵抗器の電極配置方向と略直角方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の電流検出用抵抗器の実装構造。
【請求項3】
基板上に形成された一対のランドを含む配線パターンと、
前記ランドに並列に実装された少なくとも2つの電流検出用抵抗器と、を備え、
一の電流検出用抵抗器の電極の端部から、他方の電流検出用抵抗器の電極の端部に及ぶ調整素子であって、電流検出用抵抗器よりも電気抵抗率が低い調整素子を備えたことを特徴とする電流検出用抵抗器の実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電流検出に用いられる抵抗器の実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の充放電電流を監視し、電池の充放電電流を制御する等の目的で電流検出用抵抗器が使用される。電流検出用抵抗器は、監視対象電流の経路に挿入され、該電流によって抵抗器両端に生じる電圧を検出し、既知の抵抗値から電流を検出する。このような用途では、例えば10mΩ以下の低抵抗値の電流検出用抵抗器が用いられる場合があるが、さらなる低抵抗値の要求に対して、電流検出用抵抗器15a,15bを配線パターン11a、11b間に複数並列に実装することがある(図1参照)。
【0003】
係る用途に好適な電流検出用抵抗器として、特許文献1に記載の構造が知られている。このような構造の抵抗器であって、例えば0.2mΩ程度の低抵抗値の電流検出用抵抗器を2個並列に接続することで、0.1mΩ程度の合成抵抗値とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−57009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、0.1mΩ程度の低抵抗値となると、配線パターンに流れる電流の状態が無視できなくなる。例えば、図2(a)に示す一方の配線パターン11aの端部Xから他方の配線パターン11bの端部Yに電流が流れる場合と、図2(b)に示す配線パターン11aの端部Xから配線パターン11bの端部Zに電流が流れる場合とでは、2個の抵抗器15a,15bに流れる電流に偏りが生じる。そうすると、2個の抵抗器15a,15bに均等に電流が流れる場合と比較して、検出電圧に誤差が生じることになる。
【0006】
本発明は、上述の事情に基づいてなされたもので、低抵抗値の抵抗器を並列接続して電流検出する場合に、配線パターンの電流経路に基づく並列接続した抵抗器の電流の偏りを低減し、検出電圧に生じる誤差を低減できる電流検出用抵抗器の実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電流検出用抵抗器の実装構造は、基板上に形成された一対のランドを含む配線パターンと、前記ランドに並列に実装された少なくとも2つの電流検出用抵抗器と、前記一対のランドから導出された検出端子と、を備え、一の電流検出用抵抗器の実装部の近傍および他の電流検出用抵抗器の実装部の近傍の配線パターンの抵抗値を下げるための調整素子を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、調整素子を実装した部位においては、配線パターンの等価的な電気抵抗率が低くなる。このため、電流方向が異なった場合でも、調整素子によって抵抗器実装部分周辺の電位が変化することが抑制される。従って、並列接続したそれぞれの抵抗器に、それぞれの抵抗値に相応の電流が分流することとなり、電流検出精度の安定性が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】2個並列接続した電流検出用抵抗器の従来の実装構造を示す斜視図である。
図1B図1Aの平面図である。
図2】電流経路を破線で示す図であり、(a)はXからYに電流が流れる場合を示し、(b)はXからZに電流が流れる場合を示す。
図3】本発明の一実施例の電流検出用抵抗器の実装構造を示す斜視図である。
図4図3の平面図である。
図5】本発明の説明に用いるグラフのX軸と電圧検出端子取出位置Sとの関係を示す説明図である。
図6】従来の実装構造における、電流経路がX→Yの場合(実線)と電流経路がX→Zの場合(波線)の取出位置Sに対する出現抵抗値を示すグラフである。
図7】従来の実装構造における、電流経路がX→Yの場合(実線)と電流経路がX→Zの場合(波線)の取出位置Sに対する抵抗温度係数(TCR)を示すグラフである。
図8】本発明の実装構造における、電流経路がX→Yの場合(実線)と電流経路がX→Zの場合(波線)の取出位置Sに対する出現抵抗値を示すグラフである。
図9】本発明の実装構造における、電流経路がX→Yの場合(実線)と電流経路がX→Zの場合(波線)の取出位置Sに対する抵抗温度係数(TCR)を示すグラフである。
図10】本発明の第1変形例の電流検出用抵抗器の実装構造を示す斜視図である。
図11】本発明の第2変形例の電流検出用抵抗器の実装構造を示す斜視図である。
図12】本発明の第3変形例の電流検出用抵抗器の実装構造を示す斜視図である。
図13】本発明の第4変形例の電流検出用抵抗器の実装構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図3乃至図13を参照して説明する。なお、各図中、同一または相当する部材または要素には、同一の符号を付して説明する。
【0011】
図3および図4は本発明の一実施例の電流検出用抵抗器の実装構造を示す。この実施例では、基板上に形成された一対のランドを含む配線パターン11a、11bと、ランド間に並列に実装された少なくとも2つの電流検出用抵抗器15a、15bを備える。ここで、配線パターン11a、11bの少なくとも一方は、電流検出用抵抗器15a、15bの電極配置方向と略直角方向に延びている(図示省略)。つまり電流検出用抵抗器15a、15bを流れる電流は、電流検出用抵抗器15a、15bの電極配置方向と同一方向に直線的に流入および流出するのではなく、電流の流入方向および/または流出方向が、電極の配置方向と異なっている。
【0012】
一対のランドからは一対の引出線12a、12bが導出され、電圧検出端子として機能し、この線間電圧を計測することで、2個の並列接続した抵抗器15a、15bの電極間の電圧、すなわち、抵抗器15a、15bに流れる電流を計測することができる。
【0013】
抵抗器15a,15bは銅ニッケル合金、銅マンガンニッケル合金等の金属抵抗材料からなる平板状の抵抗体の両端に銅等の高導電性材料の電極を接合した構造を有している。一例として、抵抗器15a,15bの幅は8mmであり、長さは10mmである。この抵抗器の抵抗値は1個あたり0.2mΩであり、2個並列接続することで、合成抵抗値0.1mΩが得られる。
【0014】
一対の配線パターン11a、11bには、一の電流検出用抵抗器15aの実装部の近傍および他の電流検出用抵抗器11bの実装部の近傍に、配線パターンの抵抗値を下げるための調整素子21a、21bを備える。すなわち、この実施例では、配線パターン11aにおいて、抵抗器15a,15bの両端の実装部近傍に、電極の配置方向と略直角方向に調整素子21a、21bを配置する。
【0015】
調整素子21a、21bは、CuやAlなどの高導電性材料を用いて製作されており、配線パターンや抵抗器よりも電気抵抗率が低い。図示するように、調整素子の厚みは配線パターンの厚みよりも厚く、また、抵抗器の電極よりも厚い。調整素子21a、21bは、はんだ付けや、溶接等により配線パターン上に実装する。はんだ付けを行う場合は、調整素子が配線パターンに当接する部位にSnやNiなどの表面処理があるとはんだ付けが容易になる。
【0016】
調整素子21a、21bを実装した部位においては、配線パターンの等価的な電気抵抗率が低くなる。このため、配線パターンの電源位置の変化等により電流方向が変わったとしても、調整素子によって抵抗器実装部分周辺の電位が変化することが抑制され、並列接続した抵抗器の電流検出精度の安定性が維持される。調整素子自体の抵抗値は低いほど電位調整効果は高い。
【0017】
次に、調整素子を備えない従来の実装構造(図1参照)と本発明の調整素子を備えた実装構造(図3参照)による効果を対比して検討する。まず、図2(a)に示すように配線パターン11a、11bの一方の端部X,Y側に電源が接続されている等の理由により、電流経路がXからYにU字型となる場合である。この場合に、2個の抵抗器15a,15bには、配線パターンの抵抗により外側の抵抗器15aの電流が減少し、内側の抵抗器15bの電流が増加すると考えられる。すなわち、2個の抵抗器15a,15bに電流分布の偏りが生じる。
【0018】
これに対し、図2(b)に示すように、電流経路がXからZに配線パターン11a、11bにおいて同一方向に流れる場合である。この場合には、2個の抵抗器15a,15bに略均等に電流が流れると考えられる。
【0019】
調整素子の効果を検証するため、電流経路がX→Yの場合とX→Zの場合について、電圧検出端子Sの導出位置によって、どのように特性が変化するかを検証した。具体的には、図5下部に示す配線パターンからの電圧検出端子取出位置Sを両抵抗器15a,15bの中心位置を0.00とし、取出位置Sを、両抵抗器を固定した状態で左右に移動させ、出現抵抗値および抵抗温度係数(TCR)を測定した。そして、図5上部に示すグラフに、横軸を電圧検出端子取出位置Sとし、縦軸を出現抵抗値(mΩ)または抵抗温度係数(ppm/℃)として、位置Sの変化による出現抵抗値と抵抗温度係数の変化を調べた。
【0020】
図6および図7は調整素子が存在しない実装構造における出現抵抗値および抵抗温度係数(TCR)のグラフである。実線で示すのが、電流をX→Yへ流した場合で、破線で示すのが、電流をX→Zへ流した場合である。このグラフで示すとおり、電圧検出端子取出位置Sが0mm、つまり、並列接続した2つの抵抗器15a,15bの中間においては、出現抵抗値や抵抗温度係数が安定する。しかし、実線で示す電流経路がX→Yの場合には、これをはずれた位置では、出現抵抗値や抵抗温度係数が大きく変化する。従って、抵抗器の実装位置のバラツキによって特性が変化し易く、安定した精度の電流検出が難しくなる。
【0021】
図8および図9は調整素子を実装した本発明の実装構造における出現抵抗値および抵抗温度係数(TCR)のグラフである。このグラフで示すとおり、調整素子を備えない場合に比べて、X→Y方向とX→Z方向のそれぞれのグラフの乖離が押さえられており、特にX→Y方向における出現抵抗値や抵抗温度係数のグラフの傾斜が緩やかになっていることが分かる。従って、調整素子21a、21bを配置することで、両抵抗器の電流分布の偏りが小さくなり、抵抗器の実装位置ズレ、あるいは、電圧検出端子取出位置Sのズレによる、電流検出の精度のバラツキを抑制できることが分かる。また、本発明は、より低い抵抗値が要求される場合に効果が高く、特に、5mΩ以下の電流検出用抵抗器、更に好ましくは1mΩ以下の電流検出用抵抗器を並列に実装して使用する場合に好適である。
【0022】
図10は本発明の第1変形例の実装構造を示す。この変形例では、CuやAlなどの抵抗率が低い材料をクランク状に折り曲げた形状の調整素子22a、22bを採用している。抵抗器の並び方向に沿って、一方の抵抗器15aの電極の端部から、他方の抵抗器15bの電極の端部までに及ぶサイズのブリッジ状の調整素子である。上記実施例に比べると、実装面積が小さいため、実装性が向上する。すなわち、はんだ付けを行う場合は、実装面積が大きくなるとボイドの発生が懸念されるが、実装面積が小さいので、そのような懸念が低減する。
【0023】
図11は本発明の第2変形例の実装構造を示す。この変形例では、第1変形例と同様にクランク状に折り曲げた形状の調整素子23a、23bを採用している。この調整素子は第1変形例の調整素子と比較して、抵抗器の並び方向に沿って、短く形成されている。
【0024】
図12は本発明の第3変形例の実装構造を示す。この変形例では、第1変形例と同様にクランク状に折り曲げた形状の調整素子24a、24bを採用している。この調整素子は同様に抵抗器の並び方向に沿って配置されているが、電流が一方の抵抗器15aに流出入する部位の手前に調整素子の接続部位があり、調整素子の他の接続部位が、他の抵抗器15bに電流が流出入する部位の手前となるように、長く配置されている。
【0025】
図13は本発明の第4変形例の実装構造を示す。この変形例では、第1変形例と同様にクランク状に折り曲げた形状の調整素子25a、25bを採用している。この調整素子は同様に抵抗器の並び方向に沿って配置されているが、調整素子の幅が配線パターンの幅と等しくなっている。すなわち、電流が抵抗器に流出入する手前で、配線パターンが調整素子に分岐し、電流の一部が配線パターンから分岐して流れ、さらに調整素子から抵抗器に流出入し得る構造になっている。
【0026】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施例に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、低抵抗値の抵抗器を並列接続して使用する、電流検出用抵抗器の実装構造に好適に利用可能である。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13