特許第5966336号(P5966336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966336
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】電磁連結装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 27/10 20060101AFI20160728BHJP
   F16D 55/28 20060101ALI20160728BHJP
   F16D 65/14 20060101ALI20160728BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20160728BHJP
   H01F 7/06 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   F16D27/10 A
   F16D55/28 B
   F16D65/14
   F16D65/18
   H01F7/06 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-265449(P2011-265449)
(22)【出願日】2011年12月5日
(65)【公開番号】特開2013-117272(P2013-117272A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年11月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】福崎 亮一
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特表平01−501409(JP,A)
【文献】 特表2003−525400(JP,A)
【文献】 特表2009−537745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 27/10
F16D 55/28
F16D 65/14
F16D 65/18
H01F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に一対の鍔部を有し当該鍔部間にコイルを巻回されたコイルボビンと、
軸心部と周壁部の間に一方に開放された円環状の凹部を有しこの凹部に前記コイルボビンを装着したヨークと、
当該ヨークに対向配置されたアーマチュアと、
当該アーマチュアの対向位置に配置されるディスクおよびエンドプレートと、
当該エンドプレートと前記ヨークとの間に介在してアーマチュアおよびディスクの移動しろを確保するカラーと、
このカラーを介して前記エンドプレートと前記ヨークとの間を連結する連結具とを具備したものにおいて、
前記カラーを、少なくともその一部が前記ヨークの凹部からの前記コイルボビンの抜け止めとなるような相対的な位置関係に設け
コイルボビンの鍔部の外周縁部が前記ヨークの内周壁に対して径方向に重合して設けられていることを特徴とする電磁連結装置。
【請求項2】
端部に一対の鍔部を有し当該鍔部間にコイルを巻回されたコイルボビンと、
軸心部と周壁部の間に一方に開放された円環状の凹部を有しこの凹部に前記コイルボビンを装着したヨークと、
当該ヨークに対向配置されたアーマチュアと、
当該アーマチュアの対向位置に配置されるディスクおよびエンドプレートと、
当該エンドプレートと前記ヨークとの間に介在してアーマチュアおよびディスクの移動しろを確保するカラーと、
このカラーを介して前記エンドプレートと前記ヨークとの間を連結する連結具とを具備したものにおいて、
前記カラーを、少なくともその一部が前記ヨークの凹部からの前記コイルボビンの抜け止めとなるような相対的な位置関係に設け、
前記カラーの端部を前記コイルボビンの鍔部に当接させていることを特徴とする電磁連結装置。
【請求項3】
端部に一対の鍔部を有し当該鍔部間にコイルを巻回されたコイルボビンと、
軸心部と周壁部の間に一方に開放された円環状の凹部を有しこの凹部に前記コイルボビンを装着したヨークと、
当該ヨークに対向配置されたアーマチュアと、
当該アーマチュアの対向位置に配置されるディスクおよびエンドプレートと、
当該エンドプレートと前記ヨークとの間に介在してアーマチュアおよびディスクの移動しろを確保するカラーと、
このカラーを介して前記エンドプレートと前記ヨークとの間を連結する連結具とを具備したものにおいて、
前記カラーを、少なくともその一部が前記ヨークの凹部からの前記コイルボビンの抜け止めとなるような相対的な位置関係に設け、
前記コイルボビンの鍔部の外周縁部にスラスト方向の第二鍔部を設けていることを特徴とする電磁連結装置。
【請求項4】
前記第二鍔部に前記カラーの外周面と係合する切り欠き部を設けていることを特徴とする請求項3記載の電磁連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構造でコイルボビンの取り付けの適正化を図った電磁連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁連結装置において、コイルボビンをヨークに固定する構造として、コイルを巻回したコイルボビンに樹脂や接着剤などを流し込み、これらのコイルやコイルボビンともどもヨークに一体化して固定する方法が知られており、例えば、特許文献1にも開示されている。
【0003】
また、樹脂を使わない構造として、特許文献2に開示されているような、内部にボビンを収容するためのブレーキコアと呼ばれるヨークにコイルボビンを固定するための係止部を設けたものや、ヨークとコイルボビンとの接面においていずれかの接面にローレット加工を施しヨークにコイルボビンを圧入して固定する方法などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−238958公報
【特許文献2】特開平5−256330公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂や接着剤などをコイルボビンに流し込む構造だと、樹脂や接着剤などが硬化するまでに時間がかかる上、樹脂材料、工数、乾燥炉の使用に係る費用も要するという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示されているような構造だと、部品加工に手間がかかるばかりか、塵や電磁連結装置の摩擦板の摩擦時に発生する導電性の摩擦粉の混入を防止することができない。また、コイルボビンに割れを起こしたり、銅線の皮膜損傷等の問題も引き起こすおそれのあるものである。
【0007】
本発明は、このような問題を解消し、コイルボビンをヨークに固定する際の面倒な加工および樹脂や接着剤などの注入を不要にする電磁連結装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明の電磁連結装置は、端部に一対の鍔部を有し当該鍔部間にコイルを巻回されたコイルボビンと、軸心部と周壁部の間に一方に開放された円環状の凹部を有しこの凹部に前記コイルボビンを装着したヨークと、当該ヨークに対向配置されたアーマチュアと、当該アーマチュアの対向位置に配置されるディスクおよびエンドプレートと、当該エンドプレートと前記ヨークとの間に介在してアーマチュアおよびディスクの移動しろを確保するカラーと、このカラーを介して前記エンドプレートと前記ヨークとの間を連結する連結具とを具備したものにおいて、前記カラーを、少なくともその一部が前記ヨークの凹部からの前記コイルボビンの抜け止めとなるような相対的な位置関係に設けている。
【0010】
このようにすると、即存の部品の位置関係だけでコイルボビンの抜け止めができるので、コイルボビンをヨークに固定するための加工を始め樹脂や接着剤等の注入も不要とすることが可能となる。
【0011】
ここにおいて、コイルボビンの抜け止めとは、前記カラーを、少なくともその一部が前記ヨークの凹部から抜脱しようとする前記ボビンに対して干渉することで抜脱を規制することである。
【0012】
加えて、コイルボビン内に埃やブレーキの摩耗粉などの混入を防ぐために本発明は、コイルボビンの鍔部の外周縁部が前記ヨークの内周壁に対して径方向に重合して設けられていることを特徴としている
【0013】
また、コイルボビンのスラスト方向のガタつきをなくすために本発明は、カラーの端部を前記コイルボビンの鍔部に当接させることを特徴としている
【0014】
加えて、コイルボビンの歪変形による隙間の発生を防止するに本発明は、前記コイルボビンの鍔部の外周縁部にスラスト方向の第二鍔部を設けていることを特徴としている
【0015】
この上さらに、コイルボビンをヨークにより適切に固定するためには、前記第二鍔部に前記カラーの外周面と係合する切り欠き部を設けていると望ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明した本発明によれば、即存の部品の位置関係を調整するだけでコイルボビンの抜け止めが可能となり、コイルボビンをヨークに固定するための面倒な加工をはじめ樹脂や接着剤等の注入も不要とした電磁連結装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の電磁連結装置を構成するヨークにコイルボビンを装着した状態を示す斜視図。
図2】同電磁連結装置を組立状態で示す全体斜視図。
図3】同電磁連結装置の図2におけるA−A線に沿った縦断側面矢視図。
図4】同電磁連結装置におけるコイルボビン装着前のヨークを示す斜視図。
図5】同電磁連結装置におけるコイルボビンを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図2および図3に示されるように、本実施形態の電磁連結装置1は、コイル4と、このコイル4を巻回したコイルボビン3と、軸心部21と周壁部22の間に一方に開放された有底円環状の凹部2f(図4参照)を有しこの凹部2fにコイルボビン3を装着したヨーク2とを備えている。このヨーク2は電磁連結装置1の一方の側端部を構成しており、ヨーク2と反対側の側端部には側板としてのエンドプレート5が位置している。ヨーク2とエンドプレート5の間にはヨーク2側からアーマチュア6、ディスク10が配置されるとともに、アーマチュア6およびディスク10の移動しろを確保するための3個のカラー8〜8がエンドプレート5とヨーク2の間に介在されている。また、これらのカラー8〜8を介してエンドプレート5とヨーク2との間を連結する連結具である3本のねじ7〜7が具備されている。なお、連結具はこれに限らず、ボルトなどその他の連結具でもよい。
【0020】
ヨーク2、アーマチュア6、ディスク10、エンドプレート5は全て円環状の部材で、その内径部に外部より回転軸14が挿入されるように構成されており、ディスク10は後述するハブ11を介して回転軸14に回転可能に固定されている。
【0021】
コイルボビン3は、図5に示されるように、樹脂またはプラスチックなどの可撓性の材質のもので、円筒部3aとその両端部において拡開する円環状の鍔部3b、3cとを具備し、円筒部3aと鍔部3b、3cとの間に外向きに開口して周回した状態に形成される凹部にコイル4(図3参照)が巻回される。ここにおいて、ヨーク2に装着された時のヨーク2の開口部側に位置するコイルボビン3の鍔部を3b、反対側の鍔部を3cとする。
【0022】
コイルボビン3を図1のように装着するヨーク2は鉄などの強磁性体で、図4に示されるように、ヨーク2においてアーマチュア6(図2参照)側の端面2aにはコイルばねCS(図3参照)を設置するためのコイルばね穴2b〜2bが6箇所に設けられ、これらにそれぞれコイルばねCSを収納し、これら6個のコイルばねCSがエンドプレート5側に対向配置されているアーマチュア6を常にヨーク2から離れる方向に付勢している。加えて、ヨーク2の端面2aには、図1で示されるように、円周方向に120度間隔で3箇所にカラー8〜8(図面では2個のみ図示)を収容するためのカラー装着溝2d〜2dが設けられている。
【0023】
図2に示されるように、ヨーク2の対向には磁性体であるアーマチュア6が、ヨーク2に付勢された状態で配置されており、アーマチュア6の外周縁部にはヨーク2のカラー装着溝2dに対応する位置にカラー8を係合させるための3箇所の切り欠き部6aが設けられている。
【0024】
アーマチュア6のエンドプレート5側にはディスク10が対向配置されている。このディスク10は円環状の平板で、内周部の形状が略四角形の非磁性体である。
【0025】
ディスク10の略四角形の内周部には、外形が略四角柱状の環状の部材でその内周部の形状が円形であるハブ11が嵌合されている。
【0026】
このハブ11は例えば図示しないキーやギア歯などにより外部からの回転軸14(図3参照)に接続されており、このためディスク10もハブ11を介して回転可能に構成されている。
【0027】
エンドプレート5は、電磁連結装置1の側端部にあり、アーマチュア6の切り欠き部6aおよびヨーク2のカラー装着溝2dにあるねじ孔に対応する位置に3箇所ねじ孔が設けられている。
【0028】
カラー8は中空の円筒部材であって、例えばステンレスで構成されており、図1のように中空部にねじなどを挿通させることにより部材同士を間隙を設けて固定するための補助部材である。ここにおいて、外周面を8a、端部を8bとした。カラーの形状や素材はこれに限らず、使用環境に応じて種々変更可能である。
【0029】
エンドプレート5をヨーク2に固定する際は、図1に示されるように、カラー8をカラー装着溝2dに装着して、図2のように、アーマチュア6の切り欠き部6aをカラー8に係合させ、図3に示す外部からの回転軸14にハブ11を介して固定されたディスク10とともに回転軸14をヨーク2の内径部に挿通しつつ、最後にエンドプレート5のねじ孔にカラー8の他方の端部8bを合致させ、ねじ7をカラー8に挿通しながらヨーク端面2aのカラー装着溝2dの溝底に設けてあるねじ孔に螺合して固定する。このとき、エンドプレート5およびヨーク2の間において、アーマチュア6の切り欠き部6aにカラー8を係合させることにより、アーマチュア6はスラスト方向に移動可能、かつ円周方向に回転不可能に固定される。また、ハブ11を介して回転軸14に回転可能に固定されるディスク10はアーマチュア6とエンドプレート5に挟まれ、かつカラー8に接触しないように径が制限されている。
【0030】
このような構成において、本実施形態では、さらに以下のような構成を採用している。
【0031】
図5に示されるように、コイルボビン3の鍔部3bの外周縁部からコイルボビン3の外方にスラスト方向の立ち上がりを設けこれを第二鍔部3dとし、この第二鍔部3dにおいてカラー8が載置される箇所に3箇所の切り欠き部3g〜3gを設けている。また、図4のように、ヨーク2の内周壁には外周側に凹ませてヨーク端面2aから垂直に長さLに亘り肉盗みを設けることによって元の内周との間に段差2cを新たに設け、前述した元の内周壁を第一内周壁2e、新たに形成された内周壁を第二内周壁2eとする。ここにおいて、長さLは図5に示されるように、コイルボビン3の第二鍔部3dの外側部3eの長さにほぼ等しく設定されている。
【0032】
また、図1および図3に示されるように、カラー8の設置位置をヨーク2の内径方向に移動させ、カラー8の外周部8aの少なくとも一部がコイルボビン3の最外径部、つまり、第二鍔部3dの外側部3e(図5参照)より内側に位置するように構成する。このとき、カラー8を挿通するねじ7は従来通りヨーク2に螺合して固定される。
【0033】
一方、カラー8の設置位置の移動に伴い、これらに対応するヨーク2側にも新たに形状の変更を行っている。具体的には、図1および図4のように、カラー8の設置位置をヨーク2の内径側に移動し、カラー8を、ヨーク2の第二内周壁2eよりも内側にはみ出して位置するようにヨーク端面2aにカラー装着溝2d〜2dを一部開放した状態で円周方向に120度間隔で3箇所設ける。
【0034】
これに合わせて、図5に基づいて前述したコイルボビン3の第二鍔部3dの切り欠き部3gの形状は図1に示すようにヨーク2から内側にはみ出したカラー8の形状に適合するように形成されており、設置時にはカラー8の端部8bを切り欠き部3gおよびカラー装着溝2dに同時に係合させている。すなわち、カラー8がコイルボビン3に対してこのコイルボビン3の抜け止めとなるような相対的な位置関係となるように両者を配置している。
【0035】
このように構成される本実施形態における電磁連結装置1の作動は、従来形電磁連結装置と基本的に同様で、非通電時は、ヨーク端面2aの6つのコイルばね穴2b〜2bに設置された6個のコイルばねCSが対向配置されているアーマチュア6をディスク10の方向へ付勢し、このアーマチュア6がディスク10を圧接することにより制動効果を発揮する。一方、通電時は、図3のコイル4に磁界が発生し、アーマチュア6がこのコイルばねCSの付勢力に抗してヨーク2に吸着されることにより、アーマチュア6はディスク10への圧接を解除し、ディスク10が回転軸14と共に回転する。
【0036】
本実施形態においては、図4に示されるように、ヨーク2の内周壁に段差2cを設け、それにより形成された第二内周壁2eと段差2cによって形成された窪みにコイルボビン3の第二鍔部3d(図5参照)を係合させることにより、このヨーク2の段差2cが撓みやすいコイルボビン3の第二鍔部3dの強度的な後ろ支えとなりコイルボビン3の変形を防いでいる。
【0037】
また、本実施形態の優れた点として、本実施形態は構造上の変更が旋盤やフライス盤等の切削機械によるわずかな追加加工で形成でき、かつ、これら二つの切削機械はこれまでのヨークの加工にも使用していたため、セッティングの工数が追加されず、ほとんどコストアップとならない点が挙げられる。
【0038】
以上のように、本実施形態の電磁連結装置1は、端部に一対の鍔部3b、3cを有しこれらの鍔部3b、3cの間にコイル4を巻回されたコイルボビン3と、軸心部21と周壁部22の間に一方に開放された円環状の凹部2fを有しこの凹部2fにコイルボビン3を装着したヨーク2と、このヨーク2に対向配置されたアーマチュア6と、このアーマチュア6の対向位置に配置されるディスク10およびエンドプレート5と、このエンドプレート5とヨーク2との間に介在してアーマチュア6およびディスク10の移動しろを確保するカラー8と、このカラー8を介してエンドプレート5とヨーク2との間を連結する連結具であるねじ7とを具備したものにおいて、カラー8を、少なくともその一部がヨーク2の凹部2fからのコイルボビン3の抜け止めとなるような相対的な位置関係に設けてストッパとしての役割を付与したので、即存の部品の位置関係を若干変更するだけでカラー8によってコイルボビン3の抜け止めができ、コイルボビン3をヨーク2に固定するための加工をはじめ樹脂や接着剤等の注入も不要とすることが可能となる。
【0039】
また、本実施形態における電磁連結装置1は、コイルボビン3の鍔部3bの外周縁部が前記ヨーク2の内周壁に対して径方向に重合して設けられているので、コイルボビン3とヨーク2の間の隙間を塞ぐことができ、コイルボビン3の内部に埃やブレーキの摩耗粉などが混入することを防ぐことが可能となる。コイルボビン3は通常可撓性の樹脂やプラスチックでできており、これは作製において寸法を精密に出すことが難しく、また熱によって歪みやすいので、このようにコイルボビン3の鍔部3bの外周縁部を前記ヨーク2の内周壁の段差2cに径方向に重合して設けていれば、コイルボビン3の鍔部3bに多少寸法誤差が生じたとしても、隙間を生じるまでには至らないので、両者をオーバーラップさせることは有効である。
【0040】
さらに、本実施形態における電磁連結装置1は、カラー8の端部8b〜8bを前記コイルボビン3の鍔部3bに当接させて、コイルボビン3を装着するヨーク2の凹部2fにおいて、コイルボビン3がスラスト方向に移動することを規制したので、コイルボビン3の同方向のガタつきがなくなり、より確実にヨーク2に固定することが可能となる。コイルボビン3がガタついていると、例えばコイル4に接続されるリード線13の断線などを引き起こしかねないので、このようにカラー8の端部8b〜8bをコイルボビン3の鍔部3bに当接させることには優れた効果がある。
【0041】
さらにまた、本実施形態における電磁連結装置1は、前記コイルボビン3の鍔部3bの外周縁部にスラスト方向の第二鍔部3dを具備したので、第二鍔部3dにより鍔部3bの強度が上がると共に、万が一、発熱によってコイルボビン3の鍔部3bが歪んでコイル4側に傾倒したとしても、第二鍔部3dがヨーク2の段差2cに係合していることにより、隙間の発生を防止することが可能となる。
【0042】
この上、本実施形態における電磁連結装置1は、前記第二鍔部3dに切り欠き部3g〜3gを具備して構成したので、コイルボビン3の円周方向の回転を防止して、コイルボビン3をカラー8〜8を介してヨーク2に適切に固定することが可能となった。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0044】
例えば、上記実施形態においては、コイルボビンの鍔部の外周縁部をヨークの内周壁に対して径方向に重合して設けたが、ブレーキの摩擦粉の発生等が問題とならなければ、コイルボビンの鍔部の外周縁とヨークの内周壁との間に隙間が存していても構わない。
【0045】
また、上記実施形態においては、カラーの端部を前記コイルボビンの鍔部に当接させて固定したが、コイルボビンがわずかに軸方向に多少ガタつくことが問題にならなければ、ラーの端部を前記コイルボビンの鍔部に近接させておくだけでもよい。
【0046】
さらに、コイルボビンの鍔部にある程度の強度が期待できる場合には、鍔部の外周縁部に第二の鍔部を設けることや、この第二の鍔部に切り欠き部を設けることを必ずしも要しない。
【0047】
さらにまた、本実施形態においては、エンドプレート5をヨーク2に固定するために、エンドプレート5およびヨーク2に3箇所のカラー8〜8の設置箇所を設けたが、所望の効果を得られれば又は逆にさらに強固な固定が必要ならば、使用環境に応じて、一部のカラー載置箇所の省略または増設が可能である。それに応じて、上記に対応する位置でのアーマチュアの切り欠き部も省略または増設可能である。
【0048】
加えて、本実施形態においては、アーマチュア6にカラー8〜8を係合させるための切り欠き部6a〜6aを設けたが、ディスクの制動力を多少犠牲にしてもよければ、ディスクを小径化して、アーマチュアの切り欠き部を貫通孔にしてもよい。
【0049】
上記以外にも、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1・・・電磁連結装置
2・・・ヨーク
2e・・・(内周壁)第一内周壁
2f・・・凹部
3・・・コイルボビン
3b、3c・・・鍔部
3d・・・第二鍔部
3g・・・切り欠き部
4・・・コイル
5・・・エンドプレート
6・・・アーマチュア
7・・・連結具(ねじ)
8・・・カラー
8b・・・端部
10・・・ディスク
21・・・軸心部
22・・・周壁部
図1
図2
図3
図4
図5