(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966507
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/29 20060101AFI20160728BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20160728BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/46
A61Q17/04
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-75461(P2012-75461)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-203708(P2013-203708A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100158724
【弁理士】
【氏名又は名称】竹井 増美
(72)【発明者】
【氏名】服部 岳
(72)【発明者】
【氏名】伊能 正浩
【審査官】
中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−012437(JP,A)
【文献】
特開2006−001873(JP,A)
【文献】
特開2009−137855(JP,A)
【文献】
特開2009−040755(JP,A)
【文献】
特表2012−505219(JP,A)
【文献】
特開2010−138020(JP,A)
【文献】
特開2006−282616(JP,A)
【文献】
特開2005−206477(JP,A)
【文献】
Anti-Bacterial Hand Soap Refill,Mintel GNPD,2011年 5月,[online], [検索日 2015.10.09], インターネット<URL:http://www.gnpd.com/sinatra/gnpd/frontpage/>, 商品ID# 1548053,URL,http://www.gnpd.com/sinatra/gnpd/frontpage/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸化チタン、および(B)トルエンスルホン酸またはその塩を含有する皮膚化粧料であって、(A)の重量/(B)の重量が、1/1〜1000/1である、皮膚化粧料。
【請求項2】
(B)が、p−トルエンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸ナトリウムである、請求項1に記載の皮膚化粧料。
【請求項3】
(A)の濃度が、皮膚化粧料の全重量に対して0.01〜40重量%である、請求項1または2に記載の皮膚化粧料。
【請求項4】
皮膚化粧料のSPF値が15以上である、請求項1から3の何れか1項に記載の皮膚化粧料。
【請求項5】
酸化チタン(A)が含まれる皮膚化粧料の調製方法であって、該化粧料にトルエンスルホン酸またはその塩(B)を、(A)の重量/(B)の重量が1/1〜1000/1となるよう添加する工程を含み、当該工程により、酸化チタンの凝集を抑制する、方法。
【請求項6】
(B)が、p−トルエンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸ナトリウムである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(A)の濃度が、皮膚化粧料の全重量に対して0.01〜40重量%である、請求項5または6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(A)酸化チタン、および(B)トルエンスルホン酸またはその塩を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的効果を利用して、人の外観印象を変えるものとして、メークアップ化粧料が使用されている。光学効果を奏する成分としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、群青、紺青等の顔料類や、タルク、セリサイト、マイカ、チタンマイカ、チタンセリサイト、シリカ、アルミナ、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム或いは炭酸カルシウムなどの無機成分が知られている。これらの顔料類や無機成分は、凝集力が高いために皮膚に塗布する際、伸ばしにくく、肌へのなじみが悪いという傾向があるが、さらにこれらの光学特性が汗や皮脂などにより変化した場合、外観印象が大きく変わる、所謂「化粧崩れ」が起こることが知られている。本発明者らは、化粧崩れの原因について詳細に検討したところ、汗の中の塩分による酸化チタンの凝集が一因であることを見出した。
【0003】
このため、前記顔料類や無機成分を高分子化合物で被覆する方法(特許文献1)等により、酸化チタンの凝集を防ぐ工夫がされているが、その効果は十分なものではなかった。
【0004】
また、酸化チタンは、紫外線遮蔽能を有する物質であり、紫外線を防止する目的でも化粧料に配合される。しかしながら、光照射や高熱処理に対する安定性に問題があり、化粧料を変色または着色させる場合があった。そこで、酸化チタンの配合量を減少させ、紫外線遮蔽能を有する別の物質を配合するなどの工夫がされているが、化粧料の紫外線遮蔽性が低下したり、刺激性やアレルギーなどの問題を引き起こすことがあった。
【0005】
一方、トルエンスルホン酸は、毛髪のまとまりを改善するために毛髪化粧料に使用される成分である(例えば、特許文献2)が、皮膚化粧料としての有用性については知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−68929号公報
【特許文献2】特開2006−282616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、酸化チタンの凝集を抑制し、優れた色安定性、および紫外線遮蔽性を有する化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、酸化チタンとトルエンスルホン酸を併用することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の態様を含む。
【0009】
[1](A)酸化チタン、および(B)トルエンスルホン酸またはその塩を含有する化粧料。
[2](B)が、p−トルエンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸ナトリウムである上記[1]に記載の化粧料。
[3](A)の濃度が、化粧料の全重量に対して0.01〜40重量%である上記[1]または[2]に記載の化粧料。
[4](A)の重量/(B)の重量が、1/1〜1000/1である上記[1]から[3]の何れかに記載の化粧料。
[5]化粧料のSPF値が15以上である上記[1]から[4]の何れかに記載の化粧料。
[6]酸化チタン(A)が含まれる化粧料の調製方法であって、該化粧料にトルエンスルホン酸またはその塩(B)を、(A)の重量/(B)の重量が1/1〜1000/1となるよう添加する工程を含み、当該工程により、酸化チタンの凝集を抑制する、方法。
[7](B)が、p−トルエンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸ナトリウムである上記[6]に記載の方法。
[8](A)の濃度が、化粧料の全重量に対して0.01〜40重量%である上記[6]または[7]に記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、酸化チタンの凝集を抑制し、優れた色安定性、および紫外線遮蔽性を有する化粧料を提供し、これにより化粧崩れを防止し、凝集による使用感の悪さ(のびの悪さや肌へのなじみの悪さなど)を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、(A)酸化チタン、および(B)トルエンスルホン酸またはその塩を含有する化粧料に関する。
【0012】
[(A):酸化チタン]
酸化チタンは、チタンの酸化物で、TiO
2の化学式で表される。二酸化チタン、およびチタニアとも呼ばれる。
【0013】
酸化チタンとして、球状、紡錘状、棒状、ヒトデ状、板状、不定形状などいずれの形状のものでも用いることができるが、紫外線遮蔽性に優れる点から、球状、紡錘状、または板状が好ましく、球状または紡錘状がより好ましい。
【0014】
酸化チタンの大きさに制約はないが、紫外線遮蔽性を高めるには、電子顕微鏡で観測した平均一次粒子径が5〜40000nmのものが好ましい。10〜30000nmがより好ましく、20〜20000nmがさらに好ましく、30〜10000nmが一層好ましい。凝集を抑制する観点から、1000〜5000nmのものが好ましい。
【0015】
酸化チタンの結晶構造は、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型、またはアモルファスのいずれの形態でも良く、アナターゼ型またはルチル型が好ましく、ルチル型がより好ましい。
【0016】
酸化チタンは、その表面を、粉体活性の抑制や化粧料使用感の改良、粒子表面の疎水化などの目的で無機物質によって表面処理を施されていても良く、特にシリカやアルミナ、水酸化アルミニウムといった物質で表面処理されたものでも良い。更に、粉体の濡れ性改良や撥水性の付与などの目的で有機物質や有機高分子で被覆されていても良く、特にアルキルシランやオルガノポリシロキサンといった物質で被覆されていてもよい。
【0017】
商業的に入手可能な酸化チタンとしてはMT−01、MT−10EX、MT−05、MT−100TV、MT−100Z、MT−150EX、MT−150W、MT−100AQ、MT−100WP、MT−100SA、MT−500B、MT−500SA、MT−500SAS、MT−500H、MT−500HSA、MT−600B、MT−700B、MT−02、MTY−02、MTY−110M3S、MTY−700BS、JR−301、JR−403、JR−405、JR−600A、JR−603、JR−605、JR−600E、JR−805、JR−806、JR−701、JR−800、JRNC、JR、JA−1、JA−C、JA−3、JA−4、JA−5、JR−1000(テイカ社製)、TTO−51(A)、TTO−51(C)、TTO−55(A)、TTO−55(B)、TTO−55(C)、TTO−55(D)、TTO−55(N)、TTO−S−1、TTO−S−2、TTO−S−3、TTO−S−4、MPT−136、TTO−V−3、TTO−V−4、TTO−F−1、TTO−F−2、TTO−F−6、TTO−W−5、TTO−M−1、TTO−D−1(石原産業社製)、KA−10、KA−15、KA−20、KA−30、KA−35、KA−80、KR−310、KR−380、KR−380N、KR−460、KR−480、KR−270、STT−65C−S、STT−30EHJ(チタン工業社製)、STR−60C−LP、STR−100C−LP、STR−100A−LP(堺化学工業株式会社製)酸化チタン(IV)(アナターゼ型、GR)、酸化チタン(IV)(ルチル型、一級)、酸化チタン(外原規)(純正化学社製)、Parsol TX(DSM社製)、R−KB−1(バイエル社製)等が挙げられる。
【0018】
本発明の化粧料中の酸化チタンの濃度は化粧料の全重量に対して0.01〜40重量%であることが好ましい。下限値は、0.05重量%がより好ましく、0.1重量%がより好ましく、0.5重量%がより好ましく、1重量%がより好ましく、1.5重量%がより好ましく、2重量%がより好ましい。上限値は、35重量%がより好ましく、30重量%であることがさらに好ましく、25重量%であることがさらに好ましく、20重量%であることが一層好ましい。
【0019】
[(B):トルエンスルホン酸またはその塩]
トルエンスルホン酸としては、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸が挙げられる。p−トルエンスルホン酸が好ましい。塩としては、特に限定されないが、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルカノールアミン塩等のアンモニウム塩;および塩基性有機物塩などが挙げられる。これらのうち、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩またはカリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
【0020】
具体的には、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸カリウム、またはp−トルエンスルホン酸四級アンモニウム塩などが好ましく用いられ、より好ましくは、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ナトリウムが用いられ、さらに好ましくはp−トルエンスルホン酸が用いられる。
【0021】
本発明の化粧料は、(A)の重量/(B)の重量が、1/1〜1000/1であることが好ましい。1/1〜500/1であることがより好ましく、2/1〜300/1がより好ましく、3/1〜200/1がさらに好ましく、5/1〜100/1が一層好ましく、5/1〜50/1が一層好ましい。
【0022】
本発明の化粧料は、(A)酸化チタンが含まれる化粧料に(B)トルエンスルホン酸またはその塩を、(A)の重量/(B)の重量が上記の割合となるよう添加することにより調製することができる。好ましくは、酸化チタンをトルエンスルホン酸またはその塩と直接接触させ、その後、通常化粧料に使用し得る各種成分を添加することにより調製する。
【0023】
本発明の化粧料は、紫外線遮蔽性に優れた化粧料である。本発明において、「紫外線遮蔽性に優れた化粧料」とは高いSPF値を有する化粧料を意味する。SPF値とは、「Sun Protection Factor」の頭文字であり、紫外線のうち、UVB波を遮断する効果の程度を表す指標である。好ましくは、SPF値が15以上の化粧料であり、より好ましくはSPF値が20以上の化粧料である。SPF値の上限は、特に制限はないが、例えば200以下が好ましく、100以下が好ましい。
【0024】
本発明の化粧料としては、形態には特に制限はなく、液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等の任意の形態をとることができる。具体的には、皮膚化粧料とすることが好ましく、化粧水、ローション、クリーム、乳液、美容液、エナメル、ファンデーション、アイライナー、アイブロウペンシル、マスカラ、アイシャドウ、チーク、リップスティック、おしろい、パウダー、日焼け防止剤が挙げられる。
【0025】
化粧料には、通常、化粧料、皮膚外用剤、医薬部外品に使用し得る各種成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合しても良い。例えば、油性成分、界面活性剤、アミノ酸類、アミノ酸誘導体類、低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、糖アルコールおよびそのアルキレンオキシド付加物、水溶性高分子、ゲル化剤、保湿剤、殺菌剤および抗菌剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗真菌剤、角質軟化剥離剤、皮膚着色剤、ホルモン剤、紫外線吸収剤、育毛剤、発汗防止剤および収斂活性成分、汗防臭剤、ビタミン剤、血管拡張剤、生薬、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、粘度調整剤、パール化剤、天然香料、合成香料、色素、顔料、酸化防止剤、防腐剤、乳化剤、脂肪およびワックス、シリコーン化合物、香油等が挙げられる。
【0026】
本発明の化粧料は、これらの成分を常法に従って処理することにより、製造することが出来る。
【実施例】
【0027】
以下に、実施例を挙げて本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【0028】
[評価1:凝集抑制効果]
表1および表2に示す重量で、酸化チタンと、p−トルエンスルホン酸一水和物またはケラチンをミルサー(岩谷産業社製)に入れ、一分間ドライブレンドを行った後、得られた混合物の0.05gを1%塩化ナトリウム水溶液5gに分散させ、分散液を偏光顕微鏡(ニコン社製、ECLIPSE LV100POL)で観察し、ランダムで選んだ10画面中に存在する最大幅が50μmを超える凝集体の数を計数し、以下のように評価した。
◎ 凝集体の数が、5個未満。
○ 凝集体の数が、5個以上10個未満。
△ 凝集体の数が、10個以上15個未満。
× 凝集体の数が、15個以上。
【0029】
[評価2:色安定性]
表1に示す重量で上記と同様にして得られた水溶液を25℃に保たれた室内において、1週間直射日光下に放置し、色安定性を目視により以下のように評価した。
◎ 着色が見られない
○ 着色がわずかに見られる
△ 着色が見られる
× 着色が強く見られる
【0030】
[評価3:紫外線遮蔽性]
下記表3に示すIの成分を乳鉢に入れ混合し、これとは別にIIの成分を80℃のオイルバスを用いて加熱溶解し、両者を混合し10分間攪拌を行った。24時間、室温25℃の部屋で放冷することにより化粧料を調製、得られた化粧料のSPFをSPF ANALYZER(三洋貿易社製、SPF 290S Plus)用いて測定し、紫外線遮蔽性を以下のように評価した。
◎ SPF値が、20以上。
○ SPF値が、15以上20未満。
△ SPF値が、10以上15未満。
× SPF値が、10未満。
【0031】
[結果]
【表1】
【0032】
なお、実験に使用した成分は以下のとおりである。
p−トルエンスルホン酸:p−トルエンスルホン酸一水和物、関東化学社製
ケラチン(羊毛由来):東京化成工業社製
酸化チタン:純正化学社製、酸化チタン(IV)(アナターゼ型)一級、粒子径0.3−0.4μm
【0033】
実施例1および2は、p−トルエンスルホン酸を含まない比較例1、または、p−トルエンスルホン酸の代わりに特許文献1に記載のケラチンを使用した比較例2および3に比べ、より優れた凝集抑制効果、および色安定性を有することが判る。
【0034】
【表2】
【0035】
なお、実験に使用した成分は以下のとおりである。
p−トルエンスルホン酸:p−トルエンスルホン酸一水和物、関東化学社製
ケラチン(羊毛由来):東京化成工業社製
酸化チタン(粒子径:1.5−2.1μm):純正化学社製、酸化チタン(IV)(ルチル型)GR
酸化チタン(粒子径:0.03−0.05μm):石原産業社製、超微粒子酸化チタン TTO−55(N)(ルチル型)
【0036】
実施例3、4および5は、p−トルエンスルホン酸を含まない比較例4および5、または、p−トルエンスルホン酸の代わりに特許文献1に記載のケラチンを使用した比較例6と比べ、より優れた凝集抑制効果を有することが判る。粒子径が1.5−2.1μmである実施例3と粒子径が0.03−0.05μmである実施例5は、同等の凝集抑制効果を有するが、比較例4および5からの改善の程度を比べると、実施例3のほうが改善の程度が大きいことがわかる。
【0037】
【表3】
【0038】
なお、実験に使用した成分は以下のとおりである。
p−トルエンスルホン酸:p−トルエンスルホン酸一水和物、関東化学社製
ケラチン(羊毛由来):東京化成工業社製
酸化チタン(ルチル型、粒子径:1.5−2.1μm):純正化学社製、酸化チタン(IV)(ルチル型)GR
ジメチコンポリオール:信越シリコーン社製、KF−6019
シクロメチコン:東レ・ダウコーニング社製、DC246
炭酸ジアルキル:日光ケミカルズ社製、Lialcarb SR−1000/R
パルミチン酸デキストリン:千葉製粉社製、レオパールKL2
【0039】
実施例6の化粧料は、p−トルエンスルホン酸を含まない比較例7、または、p−トルエンスルホン酸の代わりに特許文献1に記載のケラチンを使用した比較例8と比べ、より優れた紫外線遮蔽能を有することが判る。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明により、酸化チタンの凝集を抑制し、優れた色安定性、および紫外線遮蔽性を有する化粧料を提供し、これにより化粧崩れを防止し、凝集による使用感の悪さ(のびの悪さや肌へのなじみの悪さなど)を改善することができることは意義深い。